興味があること

水は0℃以下で容易に結晶化します。ですが、氷Ihを130K以下の低温で1GPa(1万気圧)以上に加圧するとアモルファス化し、アモルファスな水を調製することができます。この様にして調製した水をHigh Density Amorphous ice(HDA)と呼んでいます。このHDAを0.1Gpa以下に減圧するとLow Density Amorphous ice(LDA)になります。LDAは他にも調製方法があります。この二つのアモルファス状態の水の動的な性質を特徴づけ、違いを明らかにすることを目指しています。

アモルファス状態の物質の温度を上げれば液体状態になります。これはガラス転移と呼ばれています。水も同様にアモルファス状態から液体状態に移り変わると思われますが、アモルファス状態の水の温度を上げると急速に相転移が起こるので液体状態の観測は簡単ではありません。結晶化を防ぐために水にグリセロールを少量添加し、グリセロール水溶液とすることで、深い過冷却状態の水を作り出し、水とグリセロールの分子運動を観測することに挑戦しています。

水以外にもいくつかの分子性液体が二つのアモルファス状態を持つことが知られています。その一つ、マンニトールを用いて二つのアモルファス状態の分子運動を特徴づけることに挑戦しています。