標準的な経済学学習のスケジュール- 大学1年:経済学入門。ミクロ、マクロの違いや、基本的な考え方を学ぶ。
- 大学2年:学部レベルのミクロとマクロ。高校までの数学を利用しつつ、ミクロとマクロについて学ぶ。
- 大学3, 4年:ミクロとマクロを土台として関心のある分野を学ぶ。計量経済学も学ぶ。
- 大学院進学を考えている場合は、経済数学、経済学史を学ぶとともに、研究論文を読み始める。
- 大学院1年目:大学院レベルのミクロとマクロを学ぶ。学部レベルのミクロ、経済数学、計量経済学が土台となる。
- それ以降:自分の専門分野に特化して学習・研究を行う。
経済学の研究者を目指して大学院進学を考えている学生へ- 院試に向けて
- 一般的には、経済学の基礎知識、英語 (TOEFLなど)、研究計画書 (もしくは論文) で審査されます。
- 経済学の基礎知識
- ミクロ、マクロの教科書などを利用し、基本的な知識を身につけて下さい。
- 同時に、公務員試験や経済学検定試験の問題集などを利用して問題を解く力をつけておいて下さい。
- 院試の過去問が出版されていたり、ダウンロードできるケースがあるので、必ずチェックして下さい。
- 基本的な知識が身に付いたら、経済学史を勉強して頭を整理すると良いでしょう。
- 英語
- 少なくとも、英語の教科書と論文を読む力が必要です。地道に勉強して下さい。
- 研究計画書
- 「こいつは修士論文を書き上げることができる」と思わせることが重要だそうです。
- そのためには、土台 (経済学の基礎知識) とセンス (問題抽出力など) が必要です。
- Journal of Economic Perspectives の中で関心のある論文なんかを読むと良いかもしれません。
- 大学院入学時
- ミクロ、数学 (微分程度)、英語 (読解) は必要です。
- それ以外にも、計量経済学、マクロ経済学、自分の専門分野に関する知識、研究したい課題・目的意識を持っていた方が良いでしょう。
- 大学院1年目で学ぶマクロ経済学の標準的な教科書の1つである Romer, "Advanced Macroecnomics" に次のような一節がありました。
- "In terms of economics, the book (Advanced Macroeconomics) assumes an understanding of microeconomics through the intermediate level. (中略) Little background in macroeconomics is absolutely necessary."
- この一節からもミクロ経済学の重要性がわかると思います。
- 入学後
- 海外でも活躍できるように行動しましょう。
- 専門分野を決め、いち早く精通し、その中で面白い研究を行っている人や大学を見つけ、そっちに移籍するぐらいの意気込みを持って研究して下さい。
- 学部生向けの経済学参考書 (ちょっと古いです)
- マクロ経済学
- Hall & Taylor, "Macroeconomics" (訳本あり)
- 中谷巌, "入門マクロ経済学"
- 福田 & 照山,"マクロ経済学入門"
- 斉藤他, "マクロ経済学"
- ミクロ経済学
- Krugman & Wells, " Microeconomics" (訳本あり)
- Varian, "Intermediate Microeconomics" (訳本あり)
- 神取道宏, "ミクロ経済学の力"
- 梶井 & 松井, "ミクロ経済学 戦略的アプローチ"
- 神戸伸輔, "入門 ゲーム理論と情報の経済学"
初学者はKrugman & Wells、より高いレベルを目指すなら神取やVarianと使い分けると良いと思います。- 経済数学
- Chiang, "Fundamental Methods of Mathematical Economics" (訳本あり)
- 日本評論社, "経済セミナー増刊:経済学に最小限必要な数学"
- 小島淳子, "高校数学の基本と仕組み"
- 茂木喜久雄, "らくらくミクロ・マクロ経済学入門 計算問題編"
- Chiang, 日本評論社 はそれなりにむずかしいですが、これが理解できれば十分です。
- 小島 は柔らかく数学を説明しています。久しぶりに数学に触れる人は、これから始めると良いでしょう。内容的にも大学院進学最小限の数学はカバーできます。
- 茂木 は公務員試験などに利用する数学に特化しています。独学するのには良いかもしれません。
- 問題集
- 資格試験研究会, "公務員試験 新スーパー過去問ゼミ2" の ミクロ経済学とマクロ経済学
- 試験向け解説集
- 論文集
- Journal of Economic Perspectives
- 最新の経済学の成果を紹介する論文集
- 専門家以外 (学部生など) でも理解できるように書かれています。
- 統計学
- 南風原朝和, "心理統計の基礎"
- Mood, Graybill, & Boes, "Introduction to the Theory of Statistics"
- 計量経済学
- Stock & Watson "Introduction to Econometrics"
- 鹿野繁樹, "新しい計量経済学"
- 国際経済学 (国際金融論 & 国際貿易論)
- Krugman & Obstfeld, "International Economics" (訳本あり)
- 経済成長論、発展論
- Van Den Berg, "Economic Growth and Development" (もう売ってないかも)
- 労働経済学
- 比較制度分析
- 経済学史
- 馬渡, "経済学のメソドロジー:スミスからフリードマンまで" (古本が入手可能です)
- 経済学史の一般的な解説書を一冊読んだ後にこれを読むと良いでしょう
- 英語辞典
- Longman Dictionary of Contemporary English
- 注:読む順番を間違えないでください。まずはじめはミクロ、マクロです。
- ミクロ、マクロがわからずに、例えば Krugman & Obstfeld を読んでも理解できません。
- どっちにするか迷った際は、厚い本をお薦めします。詳しく書いてあることが多いので。
- Mas-Corell, Whinston & Green, "Microeconomic Theory"
- Romer, "Advanced Macroeconomics" (訳本あり)
- Blanchard & Fisher, "Lectures on Macroeconomic" (訳本あり)
- Adda & Cooper, "Dynamic Economics"
- 英語の勉強の仕方
- 英文法:高校の英文法を参考書を使って文法の基礎を頭に叩き込む
- 英単語:高校の英単語帳を使って、基本的な単語を頭に叩き込む
- 単語を覚えるときは、例文を少なくとも1つは覚える
- モーティベーションを維持するために、
- 英検、TOEIC、TOEFLなどの試験を少なくとも3ヶ月に1回は受ける
- 英語を使う環境に身を置くよう心がける
- 加えて
- 新聞記事などを利用して読解の練習をする (WSJは聴くこともできます)
- わからない単語は英英辞典で調べ、その単語を自分の英単語帳に書き写し例文も覚える
- 英語学校:行くのなら、英語教育に定評のある学校 (例えば日米会話学院) を選びましょう
- 英会話学校へは行ってもあまり意味はありません。時間がかかりすぎます。
- iPhone:語学学習のアプリケーションが充実してきています。試してみると良いと思います。