拝啓 時下ますますご清祥のことと、お慶び申し上げます。
この度、研究戦略・評価分科会の例会を、JST-CRDSとの共同開催にて、下記のとおり開催いたします。
今回は、University College LondonのDepartment of Science, Technology, Engineering and Public Policyの教授であり、Research on Research Institute (RoRI)のExecutive DirectorであるJames Wilsdon教授から、欧州における研究評価改革の動向について講演をいただきます。欧州では、2022年に欧州委員会、欧州大学協会、Science Europeにより「The Agreement on Reforming Research Assessment」が発表され、現在では800以上の大学やファンディングエージェンシーが署名しています。James Wilsdon教授は、このような取り組みにつながる「責任ある研究評価」などの概念を提唱し、英国の研究指標に関するレビュー『The Metric Tide』を主導してきました。本講演では、「責任ある研究評価」の概念と研究評価改革の現状をご紹介いただきます。。ぜひ多数の方にご参加頂き、活発な議論の場として頂けましたら幸いです。
参加ご希望の方は、学会事務局宛 office@jsrpim.jp にご連絡いただくか、https://forms.gle/wd2ggq6HC5wd8Nz89 からお申し込みください。なお、学会員以外も参加できますが、継続して参加される場合は学会への入会をお願いしております。
記
1.日 時 2024年10月11日(金) 15:00-16:30
2.場 所 政策研究大学院大学 5階M講義室 および オンラインのハイブリッド (zoom接続先は登録者にお伝えします)
3.講演者 James Wilsdon教授(Executive Director, Research on Research Institute (RoRI), Professor of Research Policy, Department of Science, Technology, Engineering and Public Policy(STEaPP), University College London)
4.講演題目 研究の指標、価値、インパクトの最大化 -責任ある研究評価の次のステップとは?-
5.講演概要
現在、研究評価手法は日進月歩で洗練されてきています。国レベルで業績ベースの研究評価を何らかの形で行っている国々では、研究論文の生産性から研究の質へと評価の重点を移しています。また、研究の経済的社会的影響への重視と、評価の範囲は益々広がりを見せています。
さらに、研究文化のポジティブな変化を促進するための加速剤として評価を使用する動きが進んでいます。これを「総括的」評価から「形成的」評価へのシフトと表現することもあります。この動きに伴い、評価プロセスの官僚主義と負担を軽減しようという試みも見られます。
この分野で最も重要な近年のイニシアティブは、2022年に発足したCoARA(Coalition for Advancing Research Assessment)であり、現在では800以上の組織が署名しています。2023年には、DORA(研究評価に関するサンフランシスコ宣言)が10周年を迎えました。国家レベルでは、オーストラリア、ノルウェー、チェコ共和国、イタリア、ニュージーランド、スウェーデン、英国などで評価フレームワークの改革の動きが見られます。中国では、「四唯」(論文のみ、タイトルのみ、教育背景のみ、賞のみ)の影響を打破する新たな推進力が生まれています。そして、ここ日本でも同様の議論が勢いを増しています。
したがって、研究評価は変化しつつありますが、変化がまだ十分に迅速であるとは言えません。今回のセミナーではないと主張するでしょう。この講演では単なる指標と測定に関する議論を超えて、研究の卓越性の変化、活力に満ちた健全な研究文化を育成する方法、多様性と包摂の原則を評価へ組み込む方法を紹介します。同時に責任ある研究評価を進めていくために効果的な取り組みとは何か、意図しない結果をもたらす可能性があるのかといった点について参加者と議論します。
※なお、James Wilsdon教授による別の講演会も開催いたします。関心のある方は、別途お申し込みください。
https://gist.grips.ac.jp/events/2024/09/129th-gist-seminar.html