サンプル集

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ここでは基本的な入力ファイルの作成例と計算結果について紹介します。

  1. 長方形の親水領域

    1. 2つの接触角領域の作成

    2. 接触角領域の複製

    3. 曲線の描画

長方形の親水領域

下の例では、長方形の外部が疎水領域(接触角60°)、内部が親水領域(接触角30°)の表面における液滴の濡れ広がりを計算します。

初期状態(左)とエネルギー最小化後(右)

UnitOfLength um // 使用する長さの単位

UnitOfVolume pL // 使用する体積の単位

Grid 50 // グリッド線の間隔 (um)

Density 0 // 液体の密度 (g/mL)

SurfaceTension 73 // 液体の表面張力 (mN/m)

Outside 60 // 長方形の外側の接触角 (°)

Pattern 30 // 長方形の内側の接触角 (°)

P 60 40 // 右上の頂点座標 (um)

P -60 40 // 左上の頂点座標 (um)

P -60 -40 // 左下の頂点座標 (um)

P 60 -40 // 右下の頂点座標 (um)

Droplet 100 0 0 90 8 // 順に、液滴の体積 (pL)、中心のx座標 (um)、中心のy座標 (um)

// 初期接触角 (°)、メッシュ分割レベル

1, 2行目: 使用する単位の設定

以降の数値入力ではここで設定された単位が適用されます。

長さにはm, cm, mm, um, nm、体積にはL, dL, mL, uL, nL, pL, fLを設定可能です。

省略した場合はumとpLになります。(明示的に設定することを推奨します。)

4行目: グリッド線の間隔

グリッド線の間隔を設定します。

省略した場合、グリッド線の間隔はオートとなります。

6, 7行目: 液体の表面張力と密度

これらのパラメータ設定は必須ではありません。

デフォルトでは密度は0であり、このとき重力の効果は無視されます。

表面張力は「重力を考慮する場合」または「エネルギーの絶対値を知りたい場合」にのみ必要です。

9行目: 基準接触角の設定

基板表面のうち、いずれの領域にも含まれない部分の接触角を設定します。

11-15行目: 新しい接触角領域の作成

まずPatternコマンドで新しい領域の接触角を設定します。

その後、Pコマンドで領域の輪郭を表す頂点座標を必要な数だけ設定します。

17行目: 液滴の初期形状の作成

Dropletコマンドでは初期形状が球状の液滴を作成できます。

パラメータは順に体積、中心のx座標、中心のy座標、初期接触角、メッシュ分割レベルです。

メッシュ分割レベルを大きくすると、メッシュがより細かく分割されます。推奨値は8-16です。

計算の開始

このテキストファイルを開いた後に、左上の「計算開始: 自動」ボタンを押すとエネルギー最小化計算が始まります。

計算は通常数秒以内に完了します。

その後、「メッシュの再分割」ボタンを押すとメッシュがより細かく分割されます。

その後さらに「計算開始: 自動」ボタンを押すことにより、再びエネルギー最小化計算が始まります。

2つ以上の接触角領域の作成

接触角領域は何個でも定義でき、それぞれに異なった接触角を指定できます。

ただし複数の領域が重なってはいけません。


初期状態(左)とエネルギー最小化後(右)

Grid 50

Outside 60 // 正方形の外側は接触角60°

Pattern 50 // 右上の三角形は接触角50°

P 50 50 // 右上の三角形の頂点座標

P -50 50

P 50 -50

Pattern 30 // 左下の三角形は接触角30°

P -50 -50 // 左下の三角形の頂点座標

P 50 -50

P -50 50

Droplet 100 0 0 90 8 // 液滴

接触角領域の複製

接触角領域を複製するにはCopyPatternコマンドを使用します。

このコマンドでは接触角領域を少しずつ平行移動しながら任意の個数複製します。

初期状態(左)とエネルギー最小化後(右)

Grid 50

Outside 60

Pattern 30 // 接触角30°の帯状領域

P -100 -500

P -90 -500

P -90 500

P -100 500

CopyPattern 20 0 9 // x方向に 20 um、y方向に 0 um ずつ移動しながら 9 個複製

Droplet 100 0 0 60 8 // 液滴の初期接触角 60°

曲線の描画

曲線として、円弧とベジエ曲線を描くことができます。

円弧を書くにはArcコマンドを使用し、始点 (x, y)、中心点 (x, y)、回転角、分割数を指定します。

また、ツールバーで「パターンの描画(Draw Pattern)」モードを選択することにより、マウスで直接領域を描画することもできます。

初期状態(左)とエネルギー最小化後(右)

Grid 50

Outside 60

Pattern 30 // 銀杏の葉の内側は接触角30°

Arc 50 0 0 0 180 18 // 上半分の円弧

Arc -50 0 -50 -50 -90 9 // 左下の円弧

Arc 0 -50 50 -50 -90 9 // 右下の円弧

Droplet 40 0 20 90 8 // 液滴は40 pL、(0, 20)の位置に

入力ファイルの形式

  • 1行に1つのコマンドを書きます。空行は無視されます。

    • コマンドは上から順に処理されます。

    • コマンド名には大文字、小文字のどちらも使用可能です。

    • コマンドと各パラメータの間は半角スペース、カンマ、タブ、丸括弧のいずれかで区切ります。

    • ダブルスラッシュ(//)の後ろはコメント扱いとなり、無視されます。

    • 以下のコマンドはいずれも同じ結果になります。

VIEWANGLE 45 60 // タブ区切り

ViewAngle 45, 60 // スペースとカンマ区切り

viewangle(45, 60) // 括弧つき