趣意書

伊藤敏幸先生 教授退職記念事業 趣意書

謹啓、初春の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、伊藤敏幸先生におかれましては2019年1月に65歳のお誕生日を迎えられ、同年3月末日をもちまして、鳥取大学の教授をご退職されることになりました。

先生は1976年(昭和51年)東京教育大学をご卒業後、地元三重県で高校教諭をお勤めになりました。その後1986年に東京大学にて理学博士の学位を取得され、1987年に岡山大学教育学部の助手に着任され、1988年に講師、1989年には助教授に昇進されました。また、その間1990年から1年間コロラド州立大学A. G. M. Barrett教授の下で博士研究員として研鑽を積まれました。1995年には岡山大学大学院自然科学研究科の併任となり、2001年から鳥取大学工学部物質工学科助教授、2004年に鳥取大学工学部物質工学科教授となられました。先生は岡山大学教育学部ならびに鳥取大学工学部において30年以上の長きにわたり、有機合成化学の教育と研究に携わり、薫陶を受けた向山光昭先生の研究における「素直さと明るさと情熱」という言葉を大切にされ、研究室から優れた人材を多数輩出されました。

先生は鳥取大学附属中学校長、鳥取大学附属学校部長、鳥取大学工学部グリーンサステイナブルケミストリー研究センター長を歴任されました。また、学外では日本学術振興会学術システム研究センター専門研究員、イオン液体研究会世話人代表、日本フッ素化学会会長、有機合成化学協会中国四国支部長、有機合成化学協会理事、日本化学会理事を歴任され、鳥取大学、中国四国地方にとどまらず、日本の化学を先導する要職にありました。また、フッ素化学討論会、有機典型元素化学討論会、有機電子移動化学討論会、イオン液体討論会をはじめとする全国規模の学会を多数鳥取県内でお世話され、学会と地域に貢献しました。このような先生の有機合成化学、フッ素化学、イオン液体科学に関するご研究と大学、学協会へのご貢献に対し、2009年にGSC賞、2010年に有機合成化学協会賞、2013年に鳥取大学学長表彰などを受けておられ、2017年には英国王立化学会フェローに推戴されました。

この機会に関係者が集い、先生に心から感謝の意を表するとともに、先生のご活躍とご健康を祈念すべく、退職記念事業を計画しました。

何卒、本趣旨にご賛同頂き、皆様のご臨席を賜りたく、謹んでご案内申し上げます。

謹白

2019年1月吉日

伊藤敏幸先生 教授退職記念事業会

発起人代表 高木由美子