動的語用論研究会(Dynamic Pragmatics Association)

第8回動的語用論研究会

「動的語用論(Dynamic Pragmatics)の構築へ向けて」


日時:2018年9月16日(日)12:50~5:10 p.m.

場所:京都工芸繊維大学(松ヶ崎キャンパス)60周年記念館1階記念ホール


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受付:12:30

趣旨説明と講師紹介:12:501:00 p.m.
コミュニケーションの多様性に潜むダイナミズム」:田中廣明(京都工芸繊維大学)

 

第一部 1:00 p.m.~2:50 p.m.

テーマ:「経路指示のダイナミズム」 

【研究発表】

1.小島隆次(滋賀医科大学) 1:00 p.m.1:50 p.m.

「双方向コミュニケーション状況での言語的経路指示における指示者の視点取得と自己中心性」

 

第二部 2:00 p.m.5:10 p.m.

テーマ:「コミュニケーション環境・形態の多様性に潜むダイナミズム:『日常生活』『演説』」 

【講演1】 2:00 p.m.3:30 p.m.

「言語使用を取り巻く日常生活環境のダイナミズムを捉える視点:成員性と関与」

高梨克也先生(京都大学)

 

【講演2】 3:40 p.m.5:10 p.m.

「ヒトラーの演説《ドイツ国民への呼びかけ》 (1933) におけるインタラクション」

高田博行先生(学習院大学)

 


連絡先:田中廣明(京都工芸繊維大学)

  〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町 京都工芸繊維大学

Email: htanaka-at-kit.ac.jp (-at-を@に変えてください)

参加費は無料。事前登録必要なし。

終了後、懇親会5,000円(場所は未定。懇親会参加希望者は田中廣明まで上記メール宛先にご連絡をいただけたら)

 

世話人兼発起人:田中廣明(京都工芸繊維大学)・岡本雅史(立命館大学)・小山哲春(京都ノートルダム女子大学)・木本幸憲(名古屋大学PD)・西田光一(下関市立大学)・五十嵐海理(龍谷大学)・山口征孝(神戸市外国語大学)・吉田悦子(三重大学)・秦かおり(大阪大学)



「第8回動的語用論研究会--動的語用論(Dynamic Pragmatics)の構築へ向けて」(京都工芸繊維大学・田中廣明研究室主催)を、第1回目、第2回目、第3回目、第4回目、第5回目、第6回目、第7回目と同じく、京都工芸繊維大学で、来る916日(日)に開催いたします(今回は12:50 p.m.5:00 p.m.までと開催時間が早くなっておりますので、ご注意下さい)。今回も、「動的語用論の構築へ向けて」と題し、「コミュニケーションの多様性に潜むダイナミズム」をテーマに掲げたいと思います。第一部では「経路指示に見られるダイナミズム」を「双方向コミュニケーション、視点取得、自己中心性バイアス」をキーワードにして、認知・行動実験から話し手と聞き手の情報共有プロセスについて、第二部では、講演として、コミュニケーションン環境・形態の多様性に焦点を当て、「日常生活」と「演説」に、実際は大きく見られるダイナミズムがあることを、お二人の講師に切り込んでいただきます。

第一部では、小嶋隆次氏(滋賀医科大学)による認知心理学・実験心理学からの研究発表を行います。第二部では、エスノメソドロジー・会話分析から高梨克也先生(京都大学)、ドイツ語歴史語用論から高田博行先生(学習院大学)をお迎えし、ご講演を行っていただきます。

今回の第8回動的語用論研究会の開催が、我が国の言語研究に一石を投じられたらという願いで開催したいと思います。ふるってご参加ください。

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【お知らせ】

 日本語用論学会第20回記念大会(2017年12月16日(土)17日(日)・於・京都工芸繊維大学)において、「動的語用論の構築へ向けて―共通基盤化(grounding)の実際を例証する―」と題してワークショップ(田中廣明(京都工芸繊維大学)・吉田悦子(三重大学)・秦かおり(大阪大学)・山口征孝(神戸市外国語大学))を行いました。詳しくは、日本語用論学会第20回大会発表論文集第13号(Proceedings of the 20th Conference of the Pragmatics Society of Japan)のpp. 287-306にまとめてありますので、ご参照ください。









発表要旨

「双方向コミュニケーション状況での言語的経路指示における指示者の視点取得と自己中心性」

小島隆次(滋賀医科大学)

他者に言葉で道案内をする際には、「そこで右に曲がって」「え?こっち?」「違う違う、あなたから見たら、左の方向!」のようなやりとりが生じることがある。被指示者を特定の位置から目的地へと移動させることが可能な情報を言語によって伝達することを言語的経路指示(Denis, 1997; Lovelace, Hegarty, & Montello, 1999)と呼ぶが、先の例のように、指示者と被指示者の双方が適宜コミュニケーションをしながら言語的経路指示を行う状況では、効率的で適切な言語的経路指示の達成のために、指示者の視点取得と自己中心性バイアスとの関係を明らかにしていくことが必要である。ここで、自己中心性バイアスとは、他者の内的状態を推定する際に、自己をモデルとして推定する傾向のことを意味する概念である(e.g., Epley, Keysar, Van Boven, & Gilovich, 2004; Gilovich, Savitsky, & Medvec, 1998; Keysar, 1994)。

 本発表では、自己中心性バイアスを扱う認知・行動実験で用いられる実験パラダイムを基盤に、経路の指示者と被指示者間で言語コミュニケーションが行われるような言語的経路指示場面を模した状況を用いた心理学実験研究について紹介し、指示者の視点取得傾向と自己中心性バイアスの関係及び指示者と被指示者との間で情報共有プロセスについて検討する。

 

「言語使用を取り巻く日常生活環境のダイナミズムを捉える視点:成員性と関与」

高梨克也(京都大学)

会話は人々の日常的な言語使用の最も典型的な環境であるが,会話における言語使用のメカニズムを捉えるには,実は会話の内部だけを分析するのでは不十分である.従来,こうした外的要因は「文脈」や「状況」といった概念によって捉えられていたが,その扱い方は恣意的で不十分なものであったとも考えられる.そこで,本講演では,日常生活環境における会話コミュニケーションの分析において,従来会話外的だと考えられてきた諸要因を体系的に取り込むための方法論の構築に向けた試みについて紹介したい.具体的には,会話を取り巻く社会的環境については参与者の持つ「成員性」,認知的環境については各参与者の活動への「関与」という分析概念が,従来の会話コミュニケーションのモデルを基盤としつつこれを拡張する有効な視点になるのではないかという点を,事例分析を通じて提示したいと考えている.

 

「ヒトラーの演説《ドイツ国民への呼びかけ》 (1933) におけるインタラクション」

高田博行(学習院大学)

1933130日に、ヒトラーは政権を掌握し首相となった。その二日後、ヒトラーはラジオ放送で施政方針演説を行ったが、目の前に聴衆がいないスタジオでは、いつもの演説ができなかった。ラジオ時代にあっても、大衆集会で演説者と聴衆とが感性のつながりをもつことの重要性を、ヒトラーは再認識した。本発表は、このラジオ放送の失敗の10日後に満を持して行われた演説(1933210日、「ドイツ国民への呼びかけ」)の動画と音声をデータとして、演説者と聴衆の間のインタラクションのありさまを注視する。この演説会場で聴衆は、長短・強弱さまざまな拍手、喝采の「ブラボー」、祝福の「バンザイ」、同意の「その通り」、忿懣の「こんちくしょう」等で、演説者ヒトラーに反応している。本発表では、Atkinson (1984)Heritage & Greatbatch (1986)Lerner (1993) 等の会話分析の手法を援用して、ヒトラー演説の何がシグナルとなって聴衆にこれらの反応を引き起こしているのかについて、統語論的・文体論的観点、意味論的観点のほか、プロソディ(声の強さとリズム)とジェスチャーの観点から考察を試みる。