2024年4月19日(金)16:00~17:00
会場:理学部1号館1F 12番教室
講演者:鈴木航介 氏(山形大学)
講演題目:準モンテカルロ法入門
アブストラクト:
多次元関数の数値積分法として、一様ランダムにとった点集合上の関数値の平均を近似値とするモンテカルロ法がよく知られている。準モンテカルロ法は、ランダム点集合の代わりに超一様点集合を使うことでより高速な収束を目指す数値積分法である。本講演では、古典的な一様性の尺度 discrepancy、格子やその多項式類似を用いた点集合の構成法、フーリエ解析による積分誤差の評価といった準モンテカルロ法の理論の概要を紹介する。
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2024年2月9日(金)15:00~16:00
会場:理学部1号館1F 12番教室
講演者:森田 英章 氏(室蘭工業大学)
講演題目:組合せ論的ゼータ函数の表示式について
アブストラクト:
組合せ論的ゼータ函数とは、これまで離散構造に対して考えられてきた諸々のゼータ函数を統一的に扱うことを可能にする枠組みとして定義された。それはある種の有限性をもつ力学系ゼータとして定義され、その定義式を含め一般に三種類の表示式、「指数表示」・「オイラー(積)表示」・「橋本表示」をもつ。この講演では、これら三種の表示の関係について述べ、既存の具体例が組合せ論的であることを紹介する。合わせて、近年盛んに展開されている、量子ウォークや結び目理論との関連についても、時間が許せば紹介する予定である。
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2023年12月8日(金)15:00~16:00
会場:理学部1号館1F 12番教室
講演者:石川 彩香 氏(山形大学データサイエンス教育研究推進センター)
講演題目:グラフゼータの伊原表示について
アブストラクト:
グラフゼータとはセルバーグゼータ函数のグラフに対する類似であり,グラフの「素なるもの」に関する形式的冪級数で与えられる.1966年に伊原康隆氏によって伊原ゼータが定義されて以来,グラフゼータをグラフに関する行列の行列式で表示することが主問題の一つである.その求めるべき行列式表示の一つが「伊原表示」であるが,具体的な定義は未だ与えられておらず,伊原表示の構成に関する統一的な議論にも至っていない. 今回はグラフゼータの概要から,伊原表示の定義に向けた議論と最近の結果について紹介する.
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2023年10月27日(金)15:00~16:00
会場:理学部1号館1F 12番教室
講演者:深澤 知 氏(山形大学理学部)
講演題目:グラフのガロア点について
アブストラクト:
代数幾何において、平面曲線に対するガロア点が次のように定義されている(吉原1996): 曲線上の非特異点からの射影が呈する関数体の拡大がガロア拡大であるとき、射影の中心点Pをガロア点と呼ぶ。このとき、付随するガロア群は、Pを通る直線と平面曲線の交わりの点(ただしPを除く)に作用する。ガロア点理論の重要な成果のひとつは、ガロア点の配置により、代数多様体の分類結果が得られていることである。本講演では、ガロア点のグラフ理論類似について考える。Baker-Norine (2007)により、グラフ上の因子の linear system が導入され、(有限)グラフのリーマン・ロッホの定理が証明されている。その後、代数曲線に対する種々の結果のグラフ類似が得られている。特に、浦川(2000)により導入されたグラフの harmonic morphism (及びその一般化)は、グラフ間の被覆のフルヴィツ公式を与えるのに用いられている。また、代数曲線のガロア被覆に対応する概念として、harmonic group action が Corry (2011)によって導入された。これらの道具(因子による linear system, harmonic group action)を用いて、本講演では「グラフのガロア点」を導入する。主結果として、完全グラフが「グラフのすべての頂点を使った因子に関する linear system に対してガロア点が2つ以上ある」という性質によって特徴づけられることを説明する。以上の成果は、三枝崎剛氏(早稲田大学)との共同研究により得られた。
グラフ理論と代数幾何の2分野が関係して内容が多いため、事前にノートを公開する。ノートは発表内容の全体像を把握するのに役立つ。当日は、内容すべてを完了することよりも、議論に重きをおきたい。
講演に関するノートを こちら にアップしますのでご参照ください。
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2022年12月23日(金)15:00~16:00 (その後ディスカッション)
会場:理学部1号館1F 11番教室
Zoomでも配信いたします。接続情報は石渡までご連絡ください。
講演者:奥村 久士 氏(分子科学研究所)
講演題目:アミロイド線維の非平衡分子動力学シミュレーション
アブストラクト:タンパク質は通常、生体内で正しく折りたたまれ、その機能を維持している。しかし、老化などの理由によりその濃度が高くなると、球状に凝集したオリゴマーや線維上に凝集したアミロイド線維を形成する。これらのタンパク質の凝集体は約40種類のヒトの神経変性疾患と関連している。例えば、アルツハイマー病はアミロイドβペプチドの凝集体が原因で発症することが知られている。これまでに超音波や赤外線レーザーを照射することでアミロイド線維を破壊する実験がいくつか行われている。講演者はこれまでにこれらの条件下におけるアミロイド線維破壊の非平衡分子動力学シミュレーションを行ってきた。本セミナーではこれらの非平衡分子動力学シミュレーションの結果を紹介する。
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2021年12月10日(金)15:00~16:00 (その後フリーディスカッション)
Zoom (ミーティングID等は石渡までお問い合わせください)
Zoom接続環境がない方向けに12番教室で上映いたします。
講演者:松本 正和 氏(岡山大学理学部)
講演題目:水素無秩序氷の超均質性とその起源
アブストラクト:
私達が日常目にする氷Ihの結晶構造では、通常の結晶とは異なり、結晶内での分子の向きはランダムであるため、絶対零度まで冷やしてもエントロピーが0にならない残余エントロピーという現象が起こる。Paulingは、氷の中で水分子がどのように配置していても結合エネルギーが等しいという簡潔なモデルを導入して組合せ論的に残余エントロピーを予測し、後にそれが極めて実験値と近いことが確認された。
水素無秩序氷の中では、ある分子に対する、周囲の水分子の相互作用は引力にも斥力にもなりえるので、それを近い順に積算すると、標準偏差は増えていきそうに思える。しかし実際には、標準偏差は積算するほど小さくなり、Paulingが予想した通り、水分子はエネルギー的に均質な環境におかれていることがわかる。なぜこんな奇妙なことが起こるのかを、結晶の立体配置と水素結合ネットワークのトポロジーの両面から考察する。
M. Matsumoto, T. Yagasaki, and H. Tanaka, J. Chem. Phys. 155 (2021).
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2021年11月11日(木)15:00~16:00 (その後フリーディスカッション)
Zoom (ミーティングID等は石渡までお問い合わせください)
Zoom接続環境がない方向けに、12番教室でも上映いたします。
講演者:衛藤 稔 氏(山形大学理学部)
講演題目:プランクトン骨格構造のトポロジカル デザイン — 離散幾何学 x 超対称ゲージ理論 —
アブストラクト:
放散虫と呼ばれる海洋性プランクトンの骨格構造が想像を超えて美しくまた多様性に富んでいることを本セミナーのスピーカーはごく最近知りました。ある種の骨格は対称性の高い多面体構造をもち、それを説明する数理モデルも提案されていますが、現実の骨格構造全体を説明するのは困難です。そこで今回は全く新しい試みとして、素粒子理論物理学で研究されている超対称性ゲージ理論に基づくトポロジカル ソリトンを用いてより現実的な放散虫骨格の数理モデルを考案しました。素粒子・微生物・地質学・離散幾何学という一見すると全く異なる分野が融合して新しい学祭的学問領域を開拓する(かもしれない)、その現状をお伝えできたらと思います。
キーワード:
放散虫・素粒子・トポロジカルソリトン・離散幾何学・ボロノイ分割
本講演は「かたち×Science」との共催として開催されます。「かたち×Science」につきましては
ホームページをご参照ください。
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2021年7月15日(木)15:00~16:00 (その後フリーディスカッション)
Zoom
講演者:小林 舜典 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)
講演題目:微分幾何学と連続体力学に基づく結晶性固体中の転位のモデル化
概要:
結晶性固体中には無数の格子欠陥が含まれているが,中でも線欠陥の一種である転位は塑性変形の素過程を担っていることから,固体力学分野における中心的な研究対象となっている.転位を含む結晶性固体の力学状態は連続体力学理論によって効率的に記述することが可能であり,そこでは転位は微分幾何学において定義される捩率テンソルと対応づけられる.本講演では結晶性固体中の転位と捩率テンソルがいかに結び付けられるかを概観するとともに,この定式化に基づく数値計算の結果を紹介する.
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2021年5月27日(木)15:00~16:00 (その後フリーディスカッション)
Zoom
講演者:井上 和俊 氏(東北大学 材料科学高等研究所)
講演題目:結晶粒界の多面体配列と階層性
概要:
現代社会を維持する上で必要不可欠な金属や酸化物等の固体材料は, 多結晶体と呼ばれる有限サイズの結晶粒の集合体として用いられることが多い. 材料の内部には多くの欠陥構造が存在し, 特に隣接する結晶同士の界面である粒界は特異な原子構造を有する. 特異構造はマクロな物性への寄与が大きいため, 粒界構造の背後に存在する数理を明らかにすることで, 粒界構造に起因する諸現象に対する根源的な理解へ貢献出来ると期待される.従来, 粒界構造は, 電子顕微鏡像等の2次元投影像の原子位置を結んで多角形を描画することにより議論されてきたが, 描画方法に恣意性があることや投影方向に依存する等の問題があった. 一方, 面心立方格子は, 最近接原子を結べば二種類の多面体(正四面体および正八面体)によって充填されることが知られているが, 粒界近傍には母結晶の多面体を微小変形したものの他に, 粒界構造に起因する多面体が存在する. 本研究では, 面心立方格子の対称傾角粒界近傍に存在する格子多面体を抽出し, 有限個の特徴的な多面体とその微小変形によって構成され
ることを示した. また, 多面体配列の傾角依存性には, ファレイ図で記述される階層性が存在することが分かった[1]. さらに, この手法を実材料に応用し, 六方晶酸化物の対称傾角粒界における多面体配列を系統的に明らかにした[2].
[1] Inoue, K; Kawahara, K; Saito, M; Kotani, M; Ikuhara, Y: “3Darrangement of atomic polyhedra in tilt grain boundaries”, Acta Mater.202, 266-276 (2021). DOI: 10.1016/j.actamat.2020.10.017
[2] Inoue, K; Roh, JY; Kawahara, K; Saito, M; Kotani, M; Ikuhara, Y:
“Arrangement of polyhedral units for [0001]-symmetrical tilt grainboundaries in zinc oxide”, Acta Mater. 212 (2021) in publication. DOI:10.1016/j.actamat.2021.116864
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11月14日(木)13:00~14:00 理学部1号館5階521号室
講演者:豊田 晃典 氏(山形大学地域教育文化学部4年)
講演題目:サイクルの二乗グラフ上の乱歩における期待到達時間の解析
概要:一般に与えられた無向グラフの族における期待到達時間の解析は困難な場合が多いが,サイクルの二乗グラフの族については,
2014年にNoureddine Chairが,graphのeffective resistanceを介して,任意の二点間の期待到達時間を表す閉じた式を与えている
[The Effective Resistance of the N-Cycle Graph with FourNearest Neighbors,Journal of Statistical Physics,154 (2014),1177--1190].
本研究では,Chair(2014)とは異なる計算方法を用いて,サイクルの二乗グラフの期待到達時間のシンプルな式を与える.
併せて、我々の計算過程を通して垣間見える,サイクルの二乗グラフの族の期待到達時間とフィボナッチ数列との間の非自明な関係についても,報告したい.
なお,本研究は,土井 義耀(山形大学地域教育文化学部),中上川 友樹(湘南工科大学),佐久間 雅(山形大学理学部), 瀬川 悦生(横浜国立大学),篠原 英裕,田中 優帆(山形大学地域教育文化学部),田村 駿也(山形大学地域教育文化学部)との共同研究に基づく.
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2019年10月25日(金)16:30~17:30 理学部1号館5階521号室
講演者:石渡 聡 氏(山形大学理学部)
講演題目:収束理論、近似理論に使われる数学について
概要:マクロな視点で観察される物理現象を、分子構造などのミクロな状態を用いて調
べるという研究はこれまで様々な設定で研究が行われてきた。それらには収束や近似につい
ての数学的な意味づけが大変重要であるが、解析の専門的な知識が必要な場合も多い。
本講演では収束定理や近似定理に使われる数学が様々な物理現象を解釈するための手段にな
ることを, 大学院生や非専門家の方向けに紹介したい。
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日程:2016年11月14日(月)
場所:地域教育文化学部2号館4階共通第一実習室
時間:16:30~17:30
講演者:Abuzer Yakaryilmaz 氏(ラトビア大学)
タイトル:Bit versus qubit
概要:
In this talk, we shortly describe finite automata models and then basics of probabilistic and quantum computation. After this, we compare them based on simple problems and show how quantum models can be more powerful in different computational settings.
日程:2016年10月14日(金)
場所:理学部2号館5階521
時間:16:30~17:30
講演者:高橋卓大氏(東北大学)
タイトル:トロピカル曲線とその応用
概要:
トロピカル曲線は max-plus 半環上で定義される代数曲線であり,polyhedral complexの構造を持つことが知られている.特に平面トロピカル曲線は R^2 内のある性質を満たす有限グラフと見なすことができる.以上のようにトロピカル曲線は組合せ的な性質を強く持つが,変形理論を応用することで代数幾何学の研究の中で強力なツールとして活用されている.本講演では平面トロピカル曲線の基礎的事項を紹介し,最後に主結果として特異点論との関連について述べたい.
日程:2016年7月29日
場所:理学部2号館5階521セミナー室
時間:16:00~17:00
講演者:瀬戸道生氏(防衛大学)
タイトル:グラフ準同型写像と擬直交分解
概要:
グラフラプラシアンから離散ソボレフ空間を構成できることはよく知られています.その離散ソボレフ空間が自然に再生核をもつことに注目すると,単射なグラフ準同型写像を再生核ヒルベルト空間の埋め込みの言葉に翻訳することができます.そこに,あるアナロジーを背景に擬直交補空間 (quasi orthogonal complement) の理論を援用すると,グラフの商に相当すると考えられる再生核ヒルベルト空間が構成できます.今回はこの再生核ヒルベルト空間の構成法と基本的な性質を紹介します.
日程:2016年6月30日
場所:理学部2号館5階521
時間:16:30~17:30
講演者:富安亮子氏(山形大学)
タイトル:同じZ, Q上表現を持つ実数係数の三変数二次形式について
概要:
Z, Q上で完全に同一な表現(つまり二次形式の値)の集合を持つ異なる二次形式に関して、得られている定理と計算結果を紹介する。もともと数理結晶学における計測の問題が動機であるため、実数係数まで考えるが、この場合、有理数係数二次形式のペアのsimultaneous representationの問題に帰着される。二変数の場合(Watson(1979, 1980), Delang (1982, 1987))と異なり、三変数の場合はまだ様々な問題が残っている。定理の証明には、議論を見やすくするため、Bhargavaによるquartic ringの
parametrizationを随所で用いたが、本質的には、代数的二次形式論・整数論の既存の方法でも実行可能と考えている。
ちなみにもともとの動機だった応用研究は、結晶学分野で利用可能な形で終了しており、観測誤差のある測定系においても、p進数を用いた数学が有効であることを示すこと
ができた。
日程:2016年6月9日
場所:理学部2号館5階521
時間:16:00~17:30
講演者:斎藤憲氏(東北大学)
タイトル:巡回行列から構成される4元体上の符号の分類
概要:
4元体上のベクトル空間の加法部分群として定義される符号のうち、自己双対となるものはすべて、ある無向グラフの隣接行列をもとに構成される符号に同値であることが知られている。隣接行列が巡回行列となる場合のグラフについては広く先行研究されている。巡回行列から得られる長さ36までの最大の最小重みをもつ符
号の分類が行われているが、ある長さでは分類が完了していない。長さ n の4元体上の符号は、長さ 3n の2元体上の符号に対応させることで同値判定を行うことができる。本講演では、符号の特徴付けとともに、新たに得られた符号の最小重みの最大値や分類結果の紹介をしたい。
日程:2016年5月13日
場所:理学部2号館5階521
時間:14:40~15:10
講演者:深澤知氏(山形大学)
タイトル:有限体上の平面曲線に対する有理点とガロア点
概要:
平面曲線に対して, 射影平面内の点からの射影による関数体の拡大がガロア拡大となるとき, 射影の中心点をガロア点という(定義は吉原久夫氏による:1996年). ガロア点は代数幾何において定義されるが, 有限体の代数閉包上で考えるとき, ガロア点と有理点が一致する平面曲線が3例知られている. 本講演では, この逆問題「ガロア点と有理点が一致する平面曲線はこれらに限られるか」を考える. 非特異曲線のときは肯定的とわかっているが, さらに「種数が1以下であり, 曲線上に非特異な有理点がある」ときにも その解は肯定的であることがわかった. この結果(Finite Fields Appl. 39, 2016)について解説したい.
時間:15:10~16:10
講演者:久保田匠氏(東北大学)
タイトル:グラフの switching と軌道分解
概要:
Godsil-McKay switching は固有値を保ったままグラフを変形する操作のひとつである.しかし,これを適用するためには,非常に強いふたつの条件を満たす点集合の分割を用意しなければならない.一方で,グラフの自己同型写像からなる群の軌道分解は,このうちひとつの条件を自動的に満たす.したがって,もうひとつの条件も満たされるような群の軌道分解を見つけてくることができれば,Godsil-McKay switching を適用することができる.今回,シンプレクティックグラフと呼ばれる強正則グラフの系列にこの手法を適用した.その結果,4種類の強正則グラフの系列で,シンプレクティックグラフと同じパラメータをもつものを構成することができた.また,構成された4つの系列と元々のグラフ,計5つの系列のグラフがすべて互いに非同型であることが確認できた.本講演では,これらの結果について紹介したい.
日程:3月1日
場所:地域教育文化学部 2号館4階 共通第一実習室
時間:10:30~12:00
講演者:東谷章弘氏(京都産業大学)
タイトル:整凸多面体のEhrhart多項式とδ列
概要:
整凸多面体をn倍に膨らませたものに含まれる整数点の個数はnに関する多項式になることが知られており、整凸多面体のEhrhart多項式と呼ばれる。また、Ehrhart多項式の母函数から定義される非負整数列はδ列と呼ばれ、Ehrhart多項式と同値な対象として、Ehrhart多項式を研究する上で代わりに扱われることが多い。本講演では、整凸多面体のEhrhart多項式やδ列の基本的な事柄から始めて、δ列の分類や整凸多面体の分類などに関する最近の研究について紹介する。
日程:2016年2月23日
場所:地域教育文化学部 2号館4階 共通第一実習室
時間:15:00~16:30
講演者:八森正泰氏(筑波大学)
タイトル:Shellabilityに関連する性質とhereditary property
概要:単体的複体のshellabilityという性質とそれに関連するいくつかの性質、特にCohen-Macaulay性やpartitionabilityとの関連について、基本的な共通する性質や相違点、階層性、などを紹介する。また、これらの性質に対してhereditaryを付加した場合、つまり、各頂点部分集合へ制限したものについてもその性質を要求した場合の状況についての紹介も行いたい。
日程:2015年12月3日13時~14時
場所:理学部1号館519
講演者:福田素久氏(山形大学),Dr. Motohisa Fukuda (Yamagata University)
タイトル: Additivity violation and tensor powers of quantum channels
概要:Additivity violation of minimum output entropy of quantum channels implies that entangled inputs can increase the classical capacity of certain quantum channels. In this talk, first we learn about additivity violation, its consequences and open problems. Second, we briefly go over proofs of additivity violation pointing out important techniques: random construction, Dvoretzky's theorem, etc. Third, we go on to similar problems for tensor powers of quantum channels. To investigate behaviors of such things is important to know more about operational quantities, for example classical capacity of quantum channels.
日程:2015年7月17日(金)
場所:理学部2号館5階521
時間:10:30~11:30
講演者:見村万佐人 (東北大)
タイトル:ケーリーグラフの色つき局所収束と、グラフのスペクトルギャップ
アブストラクト:k を 1 以上の整数として固定します.k 元生成群と k 元生成系の順序つき組(これを
「k-marked 群」といいます)は,自然に 2k-正則な辺の色つきケーリーグラフと同一視できます.色つきケーリーグラフの方では,2 つの異なるグラフに対し,「R-ボールまでが全く一緒である」ような半径 R の最大値を「近似半径」と呼び,近似半径が大きければ大きいほど 2 つのグラフは“近い”と思うことが出来ます.色つきケーリーグラフの列に対し,「極限のグラフとの近似半径が無限大に行く」という条件で収束を定義することができます(これを一般に「基点つき色つき局所収束」といいます.ただし,ケーリーグラフは頂点
推移的なので,今回の収束では基点の選び方は本質的ではありません).今回のお話では,この収束に関し,グラフのスペクトルギャップ,つまり(有限グラフの場合)隣接行列の最大固有値と第二固有値の差で定まる数量がどのようにふるまうのかについて,講演者の結果も交えつつお話できたらと考えています.
日程:2014年6月6日(金)
場所:理学部2号館5階521
時間:16:00~17:30
講演者:田崎博之(筑波大)
タイトル:対蹠的部分集合の系列と評価
概要:
今回の講演内容は2013年11月に離散数理セミナーで話した内容のその後の進展に関するものである。前回は有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合と有限集合内のある性質を持つ部分集合族が対応することと、それによる有向実Grassmann多様体の階数が 4 以下のときの極大対蹠集合の分類について話した。前回同様 {1, ..., n} の k 個の元からなる部分集合の全体を P_k(n) で表す。P_k(n) の元 α, β に対して差集合 α-β = {i∈α | i not∈β}の元の個数 #(α-β) が偶数になるとき α, β は対蹠的であるといい、
部分集合 A ⊂ P_k(n) の任意の二元が対蹠的であるときに、A を対蹠的という。k が 4 以下のときの P_k(n) の極大対蹠的部分集合の合同類の分類に現れる
いくつかの対蹠的部分集合の系列を一般化し、それらがいつ極大になるか判定する。さらにこれらの系列を利用して対蹠的部分集合のサイズを評価する。
日程:2013年11月29日(金)
場所:理学部2号館5階519
時間:16:30~18:00
講演者:田崎博之(筑波大)
タイトル:有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合
概要:
この講演の内容の主要部分は次の論文の内容に基いている。
H. Tasaki,
Antipodal sets in oriented real Grassmann manifolds,
Internat. J. Math. 24 no.8 (2013)
コンパクト対称空間の部分集合 S が対蹠集合であるとは、S の任意の元 x, y に対して x に関する点対称が y を固定することであり、これはChen-Naganoの導入した概念である。R^n 内の向きの付いた k 次元部分空間の全体である有向実Grassmann多様体 G~_k(R^n) の対蹠集合に関する結果はこれまでほとんど知られていなかった。この講演では、G~_k(R^n) の対蹠集合に関する結果を解説する。
{1, ..., n} の k 個の元からなる部分集合の全体を P_k(n) で表す。P_k(n) の元 α, β に対して差集合の元の個数 #(α-β) が偶数になるとき、α, β は対蹠的であるといい、部分集合 A ⊂ P_k(n) の任意の二元が対蹠的であるときに、A を対蹠的という。G~_k(R^n) の等長変換全体の単位連結成分の作用によるG~_k(R^n) の極大対蹠集合の合同類と、対称群 Sym(n) の作用による P_k(n) の極大対蹠的部分集合の合同類は、一対一に対応することがわかる。これにより、G~_k(R^n) の極大対蹠集合の分類は、P_k(n) の極大対蹠的部分集合の分類に帰着する。
P_k(n) の極大対蹠的部分集合の合同類をすべて求めるための手順を示し、k が 4 以下のときにこの手順を実行して P_k(n) の極大対蹠的部分集合の合同類の分類を行う。
この分類の際に現れるいくつかの極大対蹠的部分集合は、大きな k の場合にも一般化できることを示し、大きな k に対する P_k(n) の極大対蹠的部分集合の系列を構成する。
日程:2013年7月9日(火)
場所:山形大学地域教育文化学部2号館3階数学実習室
時間:16:30~18:00
講演者:山崎義徳(愛媛大・理工学研究科)
タイトル:Ramanujan circulant グラフについて
概要:Ramanujan グラフとは、隣接行列の (絶対値に関する) 最大非自明固有値が理想的に小さい (言い換えれば連結度が高い) グラフのことである。Ramanujan グラフは、対応する伊原ゼータ関数が Riemann 予想を満たすなど、グラフ理論だけでなく数論的にも非常に興味深い対象である。本講演では、与えられた次数を持つ circulant グラフ (巡回群の Cayley グラフ) がいつ Ramanujan グラフになるかという問題を (次数がある程度大きい場合に) 考察し、この問題には Hardy-Littlewood 予想、Bateman-Horn 予想といった素数に関する予想が深く関係することを説明する。これは愛媛大学の平野幹氏、堅田晃平氏との共同研究である。
日程:2013年6月17日(月)
場所:山形大学地域教育文化学部2号館3階数学実習室
時間:15:00~16:00
講演者:三枝崎剛(山形大・地域教育文化学部)
タイトル: アイゼンシュタイン多項式とゼータ多項式
概要: アイゼンシュタイン級数の有限世界での類似物の一つの候補が,アイゼンシュタイン多項式であり,アイゼンシュタイン級数の持つ良い性質を多く受け継いでいることが,大浦学氏(高知大)によって確認されている.一方,ゼータ多項式とは,代数曲線のゼータ関数をアイデアとして,斉次多項式に対して定義され,その零点配置に関するリーマン仮説類似の成立・不成立が非常に大きな問題である.しかし現在まで,リーマン仮説類似の成立が確認された例は,それほど多くない.
本講演では,アイゼンシュタイン多項式とゼータ多項式の,新たな関係を指摘する.
時間:16:10~17:10
講演者:奥田隆幸(東北大・学振PD)
タイトル: Hopf 写像を用いた S^7 上の球面デザインの構成について
概要: d-sphere S^d 上の t-デザインの構成に有効な方法の一つは,(d-1)-sphere S^{d-1} 上の t-デザインと, ある重み関数 w_d についての閉区間 [-1,1] 上の t-デザインを``掛け合わせて'',S^d 上の t-デザインを構成するという手法である([Rabau--Bajnok, J. Approx. Theory (1991)],[Wagner, Monatsh. Math. (1991)]).更に, Bondarenko--Viazovska [J. Approx. Theory (2008)] らは上記の手法の一般化として, d-sphere 上のt-デザイン,d'-sphere 上のt-デザイン, 及びある重み関数 w_{d,d'} についての閉区間 [-1,1] 上の t-デザインが与えられたとき,これらの``掛け合わせ'' として (d+d'+1)-sphere 上の t-デザインが構成できることを示した.
上記の二つの構成法で核となっているそれぞれの幾何学は,``ほぼ S^{d-1}-bundle'' となっている高さ関数 S^d -> [-1,1] と,それの一般化として得られる ``ほぼ S^{d}-bundle''
S^{d+d'+1} -> S^{d'} × [0,π/2] である.本講演では, S^3-bundle である Hopf 写像 S^7 -> S^4 に注目し,上記の類似の結果として, S^3 上の 2t-design と S^4 上の t-design の``掛け合わせ'' として S^7 上の 2t-design を構成する方法について報告する.
日程:2013年6月14日(金)
場所:山形大学理学部521
時間:16:30~18:00
講演者:見村万佐人(東北大学大学院理学研究科)
タイトル:多分割等周定数,エクスパンダー族と有限ケーリーグラフ
概要: 有限正則グラフ G の(通常の)等周定数 h_2(G) とは,グラフの頂点集合 V の(空でない)2 分割(A_1,A_2) を動かすとき,|A_iの辺境界| を |A_i| で割った量の i=1,2 での最大値の分割での最小値をとることで定義される.2≦n≦|V| なる整数 n をとるとき,グラフの頂点集合の(空でない)n分割で同様のことを考えることで,G の n 分割等周定数 h_n(G) が定義される.h_n(G) は G のラプラス作用素の第 n 固有値(0 を第 1 固有値とする)λ_n(G) と関連することが知られており,「チーガー型の不等式」と呼ばれている(n=2 のときはAlon--V. Milman の著名な結果, 一般の場合は Lee--Gharan--Trevisan による最近の結果による).
h_n(G) は n について単調非減少だが,一般に h_{n+1}(G) は h_n(G)に比べいくらでも大きくなりうる.藤原耕二は,“グラフ G が連結ケーリーグラフの場合に h_{n+1} と h_nの値の間には非自明な関係があるのではないか”,という問題を提起した.本講演では,この藤原耕二の問題の定量的な解決をお話ししたい.講演者の結果から,任意の n≧2 に対し,有限連結ケーリーグラフの列 {G_m}_m において「inf_m h_n(G_m) が正である」ことと「inf_mh_2(G_m) が正である」ことの同値性が従う.また,有限な頂点推移的なグラフ G と n≧2 に対して,「h_n(G) とh_{n+1}(G) の間に(定量的な)ギャップがあるときには G が(nに依る形で記述できる)ある種の対称性をもつ」ことも明らかになった.
日程:2013年5月15日(水)
時間:16:30~17:30
場所:山形大学理学部519
講演者:西村拓士(山形大・理学部)
タイトル: グラフの 3-placement について
日程:2013年4月26日(金)
場所:山形大学理学部14番教室
時間:16:30~17:20
講演者:中本 敦浩(横浜国立大学環境情報研究院)
タイトル:曲面の偶三角形分割について
時間:17:30~18:20
講演者:太田 克弘(慶應義塾大学理工学部)
タイトル:平面グラフの完全マッチングについて
(理学部講演会を兼ねて開催)
注意:「離散数理セミナー」としての開催は2013年4月以降です。
日程:2013年3月18日(月)
時間:10:00~12:00、13:30~15:30
場所:山形大学理学部519
講演者:須田庄(国際基督教大)
タイトル:Skew weighing matrices, complex spherical designs and related association schemes
日程:2013年2月27日(水)、28日(木)
時間:27日は14:30~16:30、28日は10:00~12:00
場所:山形大学理学部521
講演者:入江佑樹(千葉大学)
タイトル:Maya games と Steiner systems と Greedy codes
日程:2013年2月7日(木)
場所:山形大学理学部519
時間:13:00~14:20
講演者:樋口雄介(昭和大学)
タイトル:Scattering matrices of graphs and related topics
時間:14:40~15:40
講演者:石渡聡(山形大学)
タイトル:ラプラシアンのスペクトルとランダム・ウォークの長時間挙動
日程:2013年2月18日(月)
場所:山形大学理学部519
10:00~11:00 籾原 幸二 (熊本大学)
11:15~12:15 原田 昌晃 (山形大学)
14:00~15:00 佐久間 雅 (山形大学)
15:15~15:45 三枝崎 剛 (山形大学)
16:00~17:00 籾原 幸二 (熊本大学)
日程:2012年1月23日(月)
時間:16:20~(1時間程度)
場所:山形大学理学部13番教室
講演者:北詰正顕 (千葉大学大学院理学研究科)
タイトル:散在型単純群の話題から
(理学部講演会を兼ねて開催)
日程:2012年1月18日(水)
時間:15:00~16:00
場所:山形大学理学部521
講演者:樋口雄介 (昭和大学)
タイトル:Some remarks on a combinatorial scattering matrix of a graph
日程:2011年12月8日(木)
時間:14:00~16:00
場所:山形大学理学部521
講演者:野崎寛(東北大学大学院情報科学研究科)
タイトル:複素球面上のコード
日程:2011年10月18日(火)
時間:10:30~12:00
場所:山形大学理学部519
講演者:大浦学(高知大学教育研究部自然科学系)
タイトル:有限と無限の間を取り持つテータ関数
日程:2011年9月21日(水)
時間:10:00~
場所:山形大学理学部521
講演者:和田山正(名古屋工業大学 大学院工学研究科)
タイトル:ランダムグラフにおけるネットワーク信頼度の評価
日程:2011年7月26日(火)
時間:15:00~
場所:山形大学理学部521
講演者:松井一(豊田工業大学工学部)
タイトル:一般化準巡回符号、整数符号、Hecke環
日程:2011年7月13日(水)
時間:14:00~
場所:山形大学理学部519
講演者:田村宏樹(東北大学)
タイトル:Bonnecaze, Desideri Bracco, Dougherty, Nochefranca, Sole の仕事の紹介
日程:2011年7月5日(火)
時間:14:00~
場所:山形大学理学部521
講演者:新谷誠(静岡大)
タイトル:Triple system
講演者:平木彰(大阪教育大)
タイトル:Hamming subgraphs in Hamming graphs
講演者:原田昌晃(山形大)
タイトル:F4 上の additive self-dual code と正則グラフ
日程:2011年7月6日(水)
時間:10:00~
場所:山形大学理学部519
講演者:田端俊(東北大)
タイトル:Danielsen-Parker の仕事の紹介
日程:2011年6月27日(月)
時間:14:40~16:10
場所:山形大学理学部521
講演者:樋口雄介 (昭和大)
タイトル:The number of spectral bands for discrete Laplacians on crystal lattices
日程:2009年3月5日、6日
場所:山形大学理学部521
時間:3月5日、9:30~
講演者:神保雅一(名古屋大)
タイトル:Strictly cyclic Steiner quadruple systems on Z_n admitting all units as multipliers
時間:3月5日、14:00~
講演者:坂内英一(九州大)
タイトル:球面上の代数的組合せ論
時間:3月6日、9:30~
講演者:宗政昭弘(東北大)
タイトル:Computing automorphism groups of codes over Z_4
(「JSTさきがけセミナー」として開催)