BOOK1

外国の作家(映画原作含む)(2023.11.7更新)

あ)

ステファン・アーンヘム

「顔のない男」・・「ミレニアム」の影響なのか、図書館でも北欧の小説が読める。これがテレビだともっと顕著で、WOWOWとか北欧の刑事物がいっぱい放映されてる。ヒマがないから見ないけど。「ミレニアム」にしろ「特捜部Q」にしろ読めば読むほど知的で男女平等でといった北欧のイメージがガラガラと崩れまくる。妻や恋人との仲がうまくいっていない人ばっか。セクハラ、パワハラだらけ。主人公のリスクは好感の持てないタイプ。アンタそんなことしたらマズイでしょ・・と思っていたら、案の定何の関係もない女性が犠牲になっちゃった。疫病神みたいな男だ。

バリー・アイスラー

「雨の牙」・・「レイン・フォール/雨の牙」の原作。映画は評価低いけど、私には楽しめた。原作はベトナムでの経験とか映画ではカットされていることも。まあ詰め込まれているって感じ。それと絶体絶命のピンチなのに切り抜けちゃうという都合のいい展開も。レインを主人公にした他の作品もあるようだが、邦訳はされてるのかな。

「ハード・レイン/雨の影」・・「レイン・フォール/雨の牙」に続く二作目。古本屋で買った。宿敵山岡は出てこないが、タツの依頼で山岡の手下を倒す。レインはベトナム戦争へ行っているから、けっこう年食ってるはずだが、負ければ死・・の殴り合いには勝つし、美女は寄ってくるし、いい気なものだ。今作では得難い協力者ハリーが死ぬ。女と子供は殺さない主義のレインだが、ハリーを陥れた美女を瞬殺。これ以降もレインシリーズは続く。自分の身のまわりへの気の配り方とかそういうのはためになる。

ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)

「黒いアリバイ」・・「レオパルドマン 豹男」の原作だというので、アマゾンから取り寄せた。今は東京へ行って古本屋めぐりもできない。多くの欲しい本は絶版になっていて手に入らない。だから手に入るものはさっさと・・。映画より殺人は一件多くしてある。また、犯人は意外な人物にしてある。意外イコール反則とも言うが。ジェリーが一件目から犯人は人間と疑い出すのはいささか早すぎ。また彼はキキにクビにされ、別の女性とめぐり合う。仕事もないのにどうやって食っていけるのか私には不思議で仕方がない。

「裏窓」・・これは最近テレビでもやった。「踊り子探偵」はビデオ(「殺意の罠」)になってる。「ただならぬ部屋」はなかなかおもしろい。 

アイザック・アシモフ

「SF九つの犯罪」・・短編が九つ。アシモフ以外は知らない人。一番良かったのはトム・リーミイの「デトワイラー・ボーイ」。美しいせむしの青年。シャム双生児。吸血鬼。SFと言うより乱歩や横溝正史の世界。ランドル・ギャレットの「イプスウィッチの瓶」やラリイ・ニーヴンの「アーム」はわかりにくい。特に後者は何が何やら。文章だけだと何がどうなってるのか・・想像力が貧弱なもんで。ウィリアム・テンの「予定犯罪者」はおもしろい考え方。犯罪を犯す前にその分の刑期をつとめあげちゃう。これだと実際に犯罪を犯した時の刑期の半分ですむ。殺人だと14年の半分の7年。ただし遠く離れた異星での地獄のような日々。命を落とす者が多い。耐えきれず中止を申し出る者も多い。彼らはすぐ地球へ戻れるが、その代わり異星での日々はチャラになる。めでたく殺人の刑期をつとめあげた者は、地球へ戻ってから一人殺すことができる。一見あほらしく見えるが、様々な理由で犯罪抑止効果がある。(犯罪的傾向のある者が)向こうで死んでしまうとか、向こうへ行ってる間に標的が死んじゃうとか、主人公みたいに復讐がバカらしくなったり。

ジェフ・アボット

「図書館の死体」・・たくさんある推理小説の中から私に選んで読んでもらうには、”本”とか”図書館”とか”猫”という単語を題名、あるいはカバーの説明文に入れることですな。この作品での私のお気に入りキャラはレンフロじいさん。郵便局を定年退職してからは、日中を図書館で過ごす。たぶん全蔵書を読破しているか、するつもり。いいな~そういう暮らし。私だって図書館がもうちょっと近くにあればねえ・・。

「図書館の親子」・・3作目。ちゃんと話しておけば・・その機会はあったはずなのに・・よかったのに距離を置くから恨みばかりがたまる。

「図書館長の休暇」・・4作目。図書館とはほとんど関係なくなってる。親族が集まる島へ渡ったジョーディと恋人キャンディス。ところが早速殺人が・・。ボブ・ドンが実の父とわかってからだいぶたつのに、まだうじうじしている主人公にはいいかげんうんざりさせられる。被害者意識が強い。また、何かあると余計な口出しするくせに、大事なことを黙っていたりする。流産したキャンディスが鬱状態になって彼から離れるが、その方がいいよ。こんな自分から災難に足突っ込んでばかりの男なんか捨てちゃいなさい!アル中だったグレッチェンが3作目あたりから好感持てるキャラに。2作目ではジョーディをひどい目にあわせるらしいが、2作目だけ図書館に置いてないのよね。

V・C・アンドリュース

「刺があるなら」・・「屋根裏部屋の花たち」シリーズ。あと二作品ある。

「屋根裏部屋に還る」・・シリーズ最終作。他に前日譚ぽいのがあるけど、それはこれから。間があいたので、前作までの内容は忘れたけど、読み返すのは後で。何しろこのシリーズ、読むには体力必要。それと、読み始めると途中でやめられなくなって、夜中を過ぎてしまうなんてことも。内容は・・途中あれこれ書いてあったことは結局何だったのか、事実なのかヒロインの妄想なのか。あいまいなままで終わってしまうのが物足りない。がんばって読んできたのにこれかよ・・って感じ。

「屋根裏部屋の花たち」・・これがまたすごい。花王奥様劇場みたいなおどろおどろしい内容。

「炎に舞う花びら」・・こういうのは読み始めるとついつい夜更かし。結末が気になって気になって。ヒロイン、キャシーよりも兄のクリスの方が気になる。同じ年頃の男友達がいない。相談相手になってくれる父親とか、年上の男性もいない。いないのはキャシーも同様なんだけど、彼の方が深刻。屋根裏部屋から脱出してからの彼がどういうふうに順応していったのか、学校での勉強の具合とか、そういうのも知りたかったな。男性みんなをとりこにするキャシーなんかどうでもいいからさ。たくましく成長した彼は「ブラックリスト」のレスラーみたいな感じかな・・なんて想像してみたり。

う)

S・S・ヴァン・ダイン

「カシノ殺人事件」・・カジノじゃなく、カシノというのが時代を感じさせる。読んでいてもここは変じゃないのかと思うことばかり。一番アレなのは犯人の銃に空砲を詰めておくこと。空砲ってことは撃っても死なないってことで。犯人に自白させて、それを録音したのなら、それでいいと思うが。録音させてもらったよ、実は弾は空砲と取り替えてあるから撃っても無駄だよ、そう言って逮捕させればすむことなのに。犯人に撃たせて自分は死んだふり。他の人も撃とうとした犯人は撃たれて死亡。わざと撃たれるように仕向けるなんて絶対おかしいってば。犯人の自白引き出すお膳立て整えておきながら、犯人の代わりに自分がべらべらしゃべるというのもアレだ。出しゃばりと言うか自分の頭の良さをひけらかさずにはいられないんだろうなあ。

「カブト虫殺人事件」・・長編2冊目。最後の方になって主人公が、実は最初から犯人はわかっていたのだとか言い出すんだから笑っちゃうな。

「グリーン家殺人事件」・・何度も危ない目に会うけど助かるってのは、運がいいんじゃなくて犯人だから。どことなく横溝正史の「悪魔の寵児」風。また、物語の終わりの方で、ホームズの「ソア橋のなぞ」と全く同じ偽装自殺のケースが語られていて、これにはびっくりした。

F・ポール・ウィルスン

「神と悪魔の遺産」・・始末屋ジャック物。以前店でF・P・ウィルスンの作品見つけても、始末屋ジャックとあると、何だか違う気がして・・自分の読むようなタイプのじゃない気がしてスルーしてた。もっと早く読めばよかったと思う頃には店であまり見かけなくなって。まあ気長に捜そう。最後の方・・アリシアはどうなったのかいな。今までのような不幸な子供達に身を捧げる毎日ではなく、自分の幸せつかむ方へ方向転換?莫大な富は結局スルー?

「始末屋ジャック 凶悪の交錯 」・・日本の量産作家の作品続けて読んだ後でこういうのを読むと、内容の厚みに圧倒される。どっちがよくてどっちが悪いということじゃなくて、軽いのと重いのを交互に読むと一段と楽しいってこと。「始末屋ジャック」シリーズは何冊かあるようだし、「ザ・キープ」とも繋がってるらしいし、スケールがでかい。古本屋めぐりが一段と楽しくなる。

「リボーン」・・リボーン・・ったって老人福祉施設じゃなくて、「ザ・キープ」に始まるナイトなんちゃらシリーズの四作目らしい。大きな流れの一部だから、何も解決せず次に続くのだが、「ナイト・マネジャー」に比べればマシ。気になったのは人名ミスが何か所もあること。てっきり主人公だと思ったジムが途中であっさり死んでしまうのにはびっくり。若くて体格が立派でハンサムな神父、ビルが出てくる度、「グランチェスター」のジェームズ・ノートンを思い浮かべたのは私だけでしょうか。

「異界への扉」・・始末屋ジャック物。ジャックはいなくなった妻を捜してくれと頼まれる。普通はそういうのは受けないのだが・・。それと並行してDV夫の始末も請け負う。いつもながら重量感のある展開。日本の作家が大量に生み出す作品が何と薄っぺらに思えることか。

コリン・ウィルスン

「精神寄生体」・・やっと読み終わった。これを古本屋で見つけた時はうれしかったけど、読み始めてがっくり。何じゃこりゃ。たぶん訳している人も大変だったと思うよ。文章そのものは別に意味不明じゃないんだけど、読んでみるとなぜか意味不明という実に不思議な状況。

「スペース・バンパイア」・・これは運よく古本を見つけた。映画は原作から観客に受けそうなところだけ取り出し、うんと視覚的にサービスしていたのだとわかる。こっちはそれなりに興味深いが、最後の方はわけがわからない。「避難所」もそうだけど、主人公のなかみが突然変わっちゃう。・・するってえとあの女バンパイアはどうなったんですかい?

「スクールガール殺人事件」・・読むのは三度目くらい。主人公のソールトフリート警視は、驚くほど真面目で温厚。こういうキャラはなかなかいない。奥さんもできた人で、事件が起きたせいで何かがふいになっても怒らない。起こる事件は異常だがソールトフリートは毒されない。この作品がよかったせいで、古本屋で「精神寄生体」を見つけた時はすぐ買ったんだけど、あっちは見事に期待はずれでした。

R・D・ウィングフィールド

「フロスト日和」・・フロスト物はとにかくぎっちり詰め込んである。一つのことを終わらせる前に次のことに手を出すから全部中途半端。それと犯罪統計はまだしも残業手当の請求をフロストのようなだらしのない男にやらせるなんて、誰かがいいかげん気づくはずだと思うが。

「クリスマスのフロスト」・・古本屋へ行く度に何とかのフロストとか分厚いのが並んでいて、私に「おいでおいで」をするわけよ。そのたんびに「もう少し待て」と自分に言い聞かせるのよ。どうせ読んだってテレビで「フロスト警部」見れば感想書くのにもう一度読み直すことになるんだからやめとけ・・って。それでなくても「モース」とか「ルイス」とか「ホームズ」とか複雑なのが目白押しなんだから。「ブラウン神父」とか「バーナビー」なんてのもあるな。「フォイル」も・・ああ、どうしよう(アホ)。で、「クリスマス」ですけど、これがシリーズ一作目らしい。40代後半で服装だらしなくていつもタバコ吸っていて・・これじゃあコロンボじゃん。でもコロンボは下品な話はしないし、たいてい一人で動き回っている。こちらのフロストは奥さん死んで一人のせいか、いつまでも仕事続ける。コンビ組まされる方はたまったもんじゃない。まあいろんな事件が起きて複雑だけど、それなりに描写され、始末つけられる。よくできていると思う。ただ、出て来る女性はそそるかそそらないか、その視点でしか描かれず、その点は呆れた。

「夜のフロスト」・・フロストが組むのは毎回違う新入りなのか。普通はモースとルイスとかいつも同じコンビだけど。で、若い方がだんだん成長していくとか。でも、フロストの場合はそんなことなくて、新入りは彼の無能さに幻滅し、怒り、たぶんこの後すぐ別の者の下に配置され、それでやっと・・。つまり新入りはフロストからはたぶん何も学んでいない・・。

「フロスト気質」・・「フロスト」物はとにかく長い。でも、旅行に持って行って少しずつ読もうとか思ってはいけない。少しずつ読んでいたら何が何だかわからなくなる。事件が次から次へと起こる。で、フロストはあれをやったりこれをやったり。今帰って来たと思ったらまた引き返したり。これでやっと家に帰れる・・と部下が思ってもフロストは寄り道するし。これで三冊目だけど、フロストが風呂へ入ったとか新しい下着に着替えたとか歯を磨いたとか、そういう描写まだ出てこない。で、話を戻して「フロスト」物は一度読み出すと最後まで行き着きたくてついつい夜更かしをしてしまうという・・。旅行の二日目くらいには読みきってしまって、あとは分厚くて重い文庫を持って歩くはめになるという・・そういう作品なのよ。でもまあ買ってきた3冊も読んでしまったことだし・・次に仕入れるまでしばらくはお預け。

ジョン・ウィンダム

「呪われた村」・・これはもう十回以上読んでる。「光る眼」の原作。会話が多く、やや退屈。宇宙人の子供のことがあまり描写されず、物足りない。普段当然だと思っていることが、覆されることもあるけど、それをなかなか承認できない。常識などにとらわれてぐずぐずしているうちに、危機はすぐそこまで迫って来る。この場合は宇宙人の侵略だけど、そうでなくたって今の我々にはいろんな危機が迫っていると思う。目をそむけているだけで。

「海竜めざめる」・・図書館から。普通ティーン向けの本棚は見ないんだけど、偶然見つけた。ジョン・ウィンダムと言えば映画「光る眼」の原作「呪われた村」。その解説のところに「海魔めざめる」というのが出てくるけど、それがこの「海竜めざめる」のことらしい。さすがウィンダム、おもしろくて一気に読んでしまった。宇宙から来たと言っても、深海にいるから詳しいことは全然わからない。人間は深海にはほとんど行かないから棲み分けができるんじゃないかとも思えたけど、そのうち海からまんじゅうみたいなのが上がってきて、風船みたいなのが分離して、いきなり破裂して無数の触手が四方に伸び、まるでイソギンチャクみたい。窓から見物していた人間達はあっという間に触手にとらえられ・・。発想がユニークだよな。その一方で氷が解けて海面が上昇。多くの都市が沈んで人類ピンチ。ここらへんは当時は空想科学だったろうけど、今じゃ現実に起こりかけてるわけで。最後の方で日本人の発明した兵器で人類は助かりそう・・となるけど、別にそうならなくてもよかった気がする。人類は増え、栄え続けるなんて楽観的すぎる。いつこういうしっぺ返し食らうかわからない。それでも生きていくのが人間。

「赤い館」・・H・R・ウエイクフィールド。図書館から。知らない作家だが、英国の幽霊小説(ゴースト・ストーリー)作家なのだとか。一時期もてはやされたが、晩年は忘れ去られたような感じだったらしい。こういうのって小説でも映画でもひんぱんにお目にかかっている印象があるけど、そう言えば幽霊ってのはあまりないなと今更ながら気づく。たいていは悪魔とかそういうキリスト教的なものなんだ・・って。死者がひんぱんに出る館。入ったとたんいやな感じがする。追い出そうとする意志を感じる。昼はまだしも夜はいけない。待て待てそう感じているのは自分だけなのか。気のせいなのではないか。ぐずぐずしていて取り返しのつかないことになるのも小説としてはありだが、さっさと引き払って家族全員無事でしたの方が、読む方としては後味がいいです。

H・G・ウェルズ

「宇宙戦争」・・ちょうど昨日の今頃なんだよな。あの時「宇宙戦争」の原作読んでいたんだよな。ガタガタし始めてテレビつけてそのまんま夜まで釘付け。日本人にとって火星人なんて怖くないんだよな、地震の方がよっぽど怖い。あ、今もゆれたぞ。こっちでなくてよかったと思ってたら、今朝はグラグラッときて、ああやっぱりどこにいても逃れられないんだ・・って思った。

「タイム・マシン」

「透明人間」

「ドクター・モローの島」・・バート・ランカスターの方の映画はまだ見てない。原作には女性は出て来ないんだな。本のカバーにはバーバラ・カレラの写真が載ってるけど、女性を出してくるのは映画用なんだな。続いて「透明人間」を読み返しているところ。

ジュール・ヴェルヌ

「海底二万哩」

「月世界へ行く」・・まあいちおう古典なので読んでみたが・・だめだこりゃ、内容が全然頭に入ってこない。退屈で退屈で眠くて眠くて。読んだはずなのに読んだ覚えがない。読んでいるはずなのにいつの間にか寝てる。いやホント今まで読んだ中で一番つまんない。「何かが道をやってくる」もつまんなかったけど、これも同じくらいつまらん。数字の羅列ばっか。いつ月に着陸するのかと待っていたけど、まわり回っただけで帰ってきちゃった。

「地底旅行」

「八十日間世界一周」・・本文よりも解説で紹介されている「カルパチアの城」の内容にびっくりした。「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」によく似ているから。あの映画は何が何だかさっぱりわからないひとりよがり映画で、全部見るのには忍耐が必要だったっけ。

A・E・ヴァン・ヴォークト

「時間と空間のかなたに」・・古本。この中の「避難所」が「スペースバンパイア」の元になってるというので買った。七編がおさめられているが、どれもわかりにくい文章で、よくわからないまま終わるしで、読んでいてもストレスがたまる。しかも読み終えると内容忘れてる。

お)

ユッシ・エーズラ・オールスン

「特捜部Q-キジ殺し-」・・WOWOWあたりで少し前までやってたけど、何だかんだで見逃したんだよな。またやってくれるかな。古本屋で何冊かまとめて買った。108円じゃないけど、次の機会はなさそうだから。全体的には「ミレニアム」シリーズに似ている。金があって権力があって表向きは名士だけど、裏ではおっそろしく汚らしいことやってる連中。大量の仕事に忙殺されながらも悪事を暴く連中。その中間にいてカギを握る孤独な女。それ以外には「フロスト警部」シリーズ的雰囲気も少し。寝るヒマも食事のヒマもろくになくフラフラの状態の警部補とその部下。「ミレニアム」やこれを読むと、豊かで知的な北欧のイメージ壊れますな。

「檻の中の女」・・これが一作目らしい。女性が監禁されたまま4年以上というのは残酷な仕打ちだな。髪や爪が延びるだろうし、女性だと生理があるから大変だ。

「Pからのメッセージ」・・宗教に凝り固まった親のせいで、人生や人格が破壊されてしまった子供の悲劇。

「カルテ番号64」・・今新聞をにぎわわせているようなことがデンマークでも行なわれていたんですなあ。

「知りすぎたマルコ」・・マルコが逃げてばかりいて、最初のうちはそれも仕方ないかなと思うけど、あんまりそれが続くとうんざりしてくる。逃げてるうちは事件解決しないわけだから。

「吊された少女」・・6弾。分厚いハヤカワミステリ新書版。図書館から。600ページ以上ある。他の何作かよりはおもしろく読めるかな。奇妙な事件、相変わらず不運なカール、個性的な部下。新興宗教と言うか、カルトと言うか。何やら施してもらったせいでカールら3人は調子が悪くなる。

「自撮りする女たち」・・7弾。ローセの悲惨な過去が明らかになるけど、明らかにしなくてもいいと思うのは私だけ?

「アサドの祈り」・・8弾。今度はアサドの悲惨な過去が明らかに。ローセは少しよくなってきたかな。7、8とカールはやや脇に回ってる印象。

「カールの罪状」・・9作目。10作で完結なのかな。コロナとか出てきて、だいぶ最近の設定。そもそもの事件が今になってカールに祟ってくる。ラストでは逮捕されてしまう。何と言うか彼は多くのことをやらずにすませる傾向がある。つまりさぼるとかいいかげんにしておくとか。事件捜査に目いっぱい力を注いでいるので、それ以外のことはいいだろうみたいな甘えがある。だからあんまり気の毒に思えない。アサドの家庭が壊れかかってる方が心配。復帰して元通りになったローサにホッ。

か)

ディクスン・カー(カーター・ディクスン)

「一角獣殺人事件」・・図書館から。主人公はよくあるタイプ。軽い気持ちでトラブルに首を突っ込む。巻き込まれるのではなく、自分から巻き込まれに行く。たいてい若くて魅力的な女性が出てきて、それにポーッとなって、少しでも長く一緒にいたいとウソを重ねる。とは言え今回のイヴリンは、オツム弱そうに見えて物事はちゃんと見ている。主人公ケンと同じくらいに。フラマンドという怪盗がいて、それをつかまえようとしているパリ警察のガスケがいる。どちらも顔を知られておらず、ガスケのニセモノが出て来たり、ケンがフラマンドだと疑われてみたり。最後のH・Mの謎解きはちょっと苦しいかも。それにフラマンドもガスケも案外間抜け。

「三つの棺」・・図書館から。ギデオン・フェル博士物。密室殺人物。カーの作品の中でも出来がいいのだそうな。ホントかいな。一番不思議なのは、フェルが犯人はわかっていると言った時、誰です?と誰も聞かないこと。普通聞くでしょ?カーの作品はいくつか読んだけど、あんまりおもしろくないな。もったいぶった感じで。

「貴婦人として死す」・・カーター・ディクソンにはヘンリ・メリヴェール卿シリーズというのがあるらしい。このシリーズで読んだのあったっけ?今回初めてかも。たいていの人は読んでいて途中で犯人は書き手?と思うかも。クリスティーの某作品みたいに。でも違った。ちょっとひねってあった。後半になると読んでいても眠くて眠くて。よくわからなくなって少し前に戻って読むけど、また眠くなって。

「九人と死で十人だ」・・2万7千トンの大型客船が舞台だが、そんなに揺れるのかしら。こういう小説にはたいてい隠し事をしていて事件をややこしくする若い女性が出てくる。で、たいてい主人公の青年は彼女と恋に落ちる。

「白い僧院の殺人」・・H・M卿物。このジイサンはなかなかいいキャラ。他にもあるようなので、これから発掘して読んでいく楽しみが増えた。ただ、この「白い」はあまりおもしろくない。

「テニスコートの謎」・・例によって若くてきれいな女性を救うため、ウソやら何やらでことを面倒にする。年を取ったブスのために・・なんて聞いたことがない。ケガをしていて、犯行は無理と除外される人物が出てきたら、たいていはそいつが犯人。犯行の手口にもかなり無理がある。

「帽子収集狂事件」・・フェル博士とやらを主人公にした作品がいっぱいあるらしい。読んでいてもややこしくて、わからなくなって前に戻って読み返したりする。ポーの未発表原稿なんて魅力的な小道具で、作者ディクスン・カーがポーにチャレンジするのかと期待したが・・違いましたな。

「盲目の理髪師」・・これはとんでもないドタバタ劇。本格推理小説の枠からはみ出している。読んでいて頭がおかしくなりそう。

「夜歩く」・・「あら、ラウルがいまカード室へはいりますわ」・・このルイズ夫人の言葉で、犯人は予想つきますな。

「死が二人をわかつまで」・・フェル博士物。レンデルにも同じ題名のがあったな。ディックは美しいレスリーと結婚するので幸せいっぱい。ところがバザーで彼女を占った占い師は、実は著名な病理学者。レスリーは過去に3人も毒殺した悪女と言われ大ショック。過去二回も結婚していて、28歳だけど18歳にしか見えないと思ってたのに実際は41歳だなんて!ところがその病理学者が密室で殺され、しかも病理学者の名をかたる犯罪者だったことがわかる。ディックのまわりには、レスリーの出現でポイされちゃったけど、まだ彼に未練があってまわりをウロウロするシンシアも。読んでいておもしろくなりそうなんだけど・・。何と言うか、すぐ目の前にあるのにわざと別の方向見ていると言うか。厚く着込んだオーバーの上からかゆいところをかいているみたいな。わざと的をはずしたような会話が多く、わかりにくい。何度も前に戻って読み直すはめに。退屈で眠くなるし。思いがけない真犯人というより、存在忘れてたし。

トルーマン・カポーティ

「夜の樹」・・これはみんなの本だなで借りてきたもの。カポーティの短編集。読んでいても意味がわからず、あんまりおもしろいとは思わなかった。

「冷血」・・やっと読んだ。文庫で600ページくらいある。前に読んで覚えていた文章があるのだが、それは100ページくらいのところに出てきた。ってことは前に読んだ時は六分の一くらいは読んだってことか。なぜ途中でやめてしまったのかあんまり前のことなのでよく覚えていないが、前置きが長くて退屈だったのかも。「カポーティ」を見た時に印象的だったのは、彼が聴衆の前で朗読していたこと。小説を目で読むことはあっても、耳で聞くというのは私の中にはなかった発想だから、ちょっとびっくりした。てことは、耳で聞いて心地よい、リズムとかも大切なんだ。今回全部読んで、まあ映画と同じ部分もあったし違う部分もあったし。でも非常にすぐれた作品なのだということはわかる。読んでよかった。被害者一家に対して全然悪いとは思っていないところとか、刑務所を出てもまた同じことくり返すだけとか。確かにそういう人っているよなとか。今だったらもう少し違った判決が出ていたかもという気もした。

き)

エリザベス・ギャスケル

「女だけの町」・・これはギャスケル夫人の「クランフォード」という小説で、岩波文庫から出ている。「ジェーン・エア」や「高慢と偏見」は別として、この時代の小説は退屈で眠くなるものが多いんだけど、これは違います。すっごくおもしろい。最後がハッピーエンドなのも後味がいい。

スティーヴン・キング

「ドクター・スリープ」・・図書館から借りた。映画とはだいぶ違う。小説の「シャイニング」ではボイラーの爆発だかでホテルは焼け落ち、もう残っていない。でも映画ではホテルはそのままだったから、クライマックスではまた舞台になった。それが映画ファンにはうれしかった。自分が書いた映画の感想を読むと、「ドクター・スリープ」ではダニーもビリーもアブラの父も死ぬようだ。見てからだいぶたったのでよく覚えていないが。小説ではこの三人は死なないし、アブラは金髪で青い目だ。ダニーが死なないってことは続編も書けるってことかな。キングの特徴として、あれもこれも省略せずみんな書くというのがある。数行ですむところを数ページにわたって書く。だから長くなる。ダニーの部分、ローズの部分、アブラの部分。長いのが魅力であり、うんざりする点でもある。とは言え私がキングの作品で一番好きなのは「シャイニング」でハロランがウィニーを案内するところだ。ホテルのキッチンの食糧貯蔵庫。何が何ポンド・・ストーリーには関係ないのに長々と細かく。想像してみるだけで楽しい。

「ペット・セマタリー」・・古本、文庫上下2冊、長らくほったらかしにしていたが、映画の感想書くためがんばって読んだ。キングの作品の中にはくどくどと長たらしいものもある。これも長いがわりとスラスラと読めた方。ゲイジの墓を暴くあたりはかなりああしてこうしてとくどいけど。細かく書いてあるわりには情景浮かんでこないけど。映画でははっきりしなかったいくつかのことも、原作読んだおかげでわかった。

「デッド・ゾーン」・・DVDで映画をすでに見ているので、C・ウォーケンの顔がちらついた。

「図書館戦争」・・出てくる怪物は「プロフェシー」を連想させるな。映画の方ではなく、本の方。地球には我々の知らない生物がまだ生きてるっていう・・。「ファントム」もそうだけど。

「幸運の25セント硬貨」・・「1408号室」の原作が入ってる。この映画はまだ見てない。

「ナイト・フライヤー」・・スティーヴン・キング他の作家による中編・短編が13作。中にはだらだらと何を言いたいのやらわからんものもある。わりとよかったのはデヴィッド・マレルの「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」。何だか映像が目に浮かんでくるような内容。マレルは「ランボー」の一作目の作者。

く)

エラリー・クイーン

「悪の起源」・・クイーン物。エラリーはハリウッドにいる。小説を書くためだが、いっこうに進まない。そこへ若く美しいローレルが来る。父リアンダーは心臓発作で亡くなったが、そもそもそれを起こさせたのは一通の手紙。何とか犯人を突き止めたい。リアンダーの協同経営者ロージャーも脅迫されているらしいが、非協力的。不具のロージャーの妻デリアは妖艶で、エラリーも心が揺れる。デリアと前夫の間の息子クロウはローレルに恋している。このクロウが大変な美丈夫で、腰布だけで樹上生活をしている変わり者。「原始のマン」のリンク思い出させて楽しい。「ターザン」に対し、「ジャングル・マン」という映画の企画があるのに、それを断って軍隊に入ってしまうのが残念。いつ何が起こるかわからないからそれに備えるという生活をしていたのに、簡単に愛国青年になってしまう。「ジャングル・マン」で成功して大スターになっちゃった・・の方が面白いのに。

「ギリシャ棺の謎」・・クイーン物。美術商ハルキスが死ぬ。葬儀の後は遺言書・・となるが、弁護士ウッドラフは金庫を見てびっくり。葬儀の前にはあった遺言書がなくなっている!困ったことに金庫の番号はみんなが知ってる。それと死の直前ハルキスは遺言書の一部を書き換えており、画廊の相続人が誰なのかはウッドラフ自身知らない。どこを捜しても見つからないので、エラリーは棺を掘り出すことを提案。ところが棺の中にはなく、それどころかもう一つ死体が入っていた!かなり長く、ハルキス邸での出来事が多い。読んでいて閉塞感がある。若いエラリーはうぬぼれ屋で生意気。自信たっぷりにハルキス犯人説を披露し、大恥をかくこととなる。真犯人は意外な人物で、いろいろ説明されてはいるものの、説得力はない。

「大富豪殺人事件」・・クイーン物で、他に「ペントハウスの謎」を収録。前者は中編で、あまり話は広がらず、登場人物の掘り下げもなく、シンプルな感じ。もう犯人がわかっちゃうの?という感じ。後者は量が二倍くらいあって、複雑になる。その分わかりにくい。どちらもニッキー・ポーターという秘書が登場し、にぎやかさを添える。

「顔」・・クイーン物。歌手グローリーが殺される。夫のアーマンドは女をたぶらかす名人で、一番の容疑者。でも彼には以前浮気相手だったロバータと一緒だったというアリバイがある。そのうち遺言書が公開されるが、遺産の多くはグローリーの姪ロレットのところへ。当てがはずれたアーマンドは今度はロレットに取り入ろうとする。そのうちロレットがグローリー殺しの容疑で逮捕される。彼女の無実を証明できそうな情報を持ったルンペンが現われるが、話す前に殺されてしまう。その後何とか無罪になって釈放される。ロレッタは探偵のバークと愛し合うようになり、いよいよ結婚式となるが・・。推理はできても証拠がなく、犯人の自白を引き出すしかない。悩み苦しむエラリー。ん~だからって判事を呼んで式を始めて途中で中断して・・なんて。幸せの絶頂から絶望に突き落とされたバークの身にもなってみろっての。ものすごく怒ってエラリーに「くたばれ」と言うのも無理ないわさ。あのfaceと音符の意味がわからん。また、ところどころ下品な部分があるのが珍しい。

「アメリカ銃の秘密」・・この作品は出来が悪い。長い物を読んで、はっきりしないまま終わってしまうのって気に食わない。

「オランダ靴の謎」・・早くも記憶が薄れてきているぞ。どういう内容だったっけ?ああ、ジャニー博士の部屋の机の配置が、後ろを通り抜けづらい、まるで「ビフォーアフター」に出てくるような感じだと、そう思ったんだよな。しかも殺人現場だってのに机の後ろの整理戸棚を動かすと。いくら何でも変電所・・じゃなくて、変でしょ。

「ガラスの村」・・クイーン物ではなく、ジョニー・シンという青年が謎解きする。閉鎖的な村人、よそ者がこうむる災難。

「九尾の猫」・・エラリー・クイーン物。たぶん多くの人は事件解決の重要な手がかりつかんだクイーンが、それを言わずウイーンへ出かけたことに首を傾げるだろう。ウイーンで目的の人物にやっとこさ会っても、すぐに本題に入らず、長弁舌をふるい、時間を無駄にする。おかげで犯人は・・。いやホントバッカじゃないの?

「恐怖の研究」・・「シャーロック・ホームズ」を読んだ人でも読んでない人でも、同じ頃世間を騒がせた切り裂きジャックのことをなぜ取り上げなかったんだろうと思うのでは?多くの作家にとってホームズが魅力的な題材なのは想像がつく。本屋には他の作家によるホームズ物がたくさん並んでいるけど、私は読んだことがない。たぶん今回のが初めて。エラリー・クイーンまでがホームズ物を?と、ちょっとびっくり。いつもだともっとひねくった読みにくい文章だが、今回はわりと読みやすい。と言うか、ワトソンの手記の部分はドイルの文章と似ているのだろうか。まあいいや。内容そのものはあまりおもしろくない。

「心地よく秘密めいた場所」・・エラリー・クイーン物。コンビの最後の作品らしい。よく途中で読者に挑戦とかやったけど、ほとんどの場合何も思い当たらなかった。この作品には挑戦はないけれど、この作品こそ犯人バレバレと言うか。エラリーがなぜ気づかないのか理解に苦しむ。

「最後の一撃」・・クイーン物。冒頭から怒涛の展開だが、中盤はだれる。事件が完全に解決するのは25年もたってから。犯人が生きててよかったね。死んでたら自分の推理聞かせられない。読者もエラリーも、カギは双子と思っているが、途中で片方は死んでるとわかり、あれれ?となる。それが実は三つ子とわかって・・なるほどそう来たか。

「災厄の町」・・久しぶりに古本じゃないのを買った。途中でだいたいわかる。クイーンのは読んでいて何となくじれったいと言うか。細かすぎて肝腎なことにはなかなかたどり着かないと言うか。そのわりにはまだ読んでない作品を早く読みたいと言うか。

「シャム双子の謎」・・何となく「ジェーン・エア」のバーサ思い出した。火事と狂女。

「真鍮の家」・・これはエラリーではなく、父親リチャードが主人公。何度も間違った推理をするのがおかしいやら気の毒やら。

「スペイン岬の秘密」・・たぶんたいていの人はあいつが犯人とわかるのでは?クイーンの謎解きは細かいことにこだわり、大きな疑問には目を向けない。あんな目立つ〇〇が、以後人の目にとまらずにいられるものだろうか。〇〇が身に覚えのない✖✖殺しの罪まで着せられて黙っているだろうか。カマーの部分を読みながら、なぜかアラン・ラッドの顔を思い浮かべていた。ラッドは大柄じゃないけどカマーの描写を読むと・・。

「ダブル・ダブル」・・物事には裏と表があると。エラリーはリーマという女性といい感じだけど、結局結婚はしなかったのかな。

「チャイナ橙の謎」・・クイーン物。密室殺人だが、読みながら横溝の「迷路荘の惨劇」を思い出していた。短時間にあんないろんなことできますかね。

「中途の家」・・時代もあるんだろうけど死者に対する尊厳もへったくれもないと言うか。新聞記者がなだれ込み、カメラで死体をうつしまくる。途中で裁判になるけど、有罪判決が出るまでクイーンはほとんど何もしてない。いや何もしてないわけじゃないけど、助けることはできずにいる。読者をハラハラさせようというのが見え見え。無実の人を苦しめるにしては、ヒロインが口を閉ざしている動機が弱い。マッチの燃えさしがたくさん出てきた時は、「仮面舞踏会」みたいに遺伝の説明してたのかな・・と期待したが、単なる「パイプはすぐ消える」だった。何だ、つまんね~の。

「十日間の不思議」・・クイーン物。得意になって謎解きして事件は解決。でも間違っていたことがわかる。で、どうするか。真犯人に自殺を迫る。自分勝手すぎないか?自分を何様だと思ってるんだ?

「盤面の敵」・・クイーン物。図書館にはクイーンの作品が文庫で揃ってる。楽しみだ。これは最初の方はもたついた感じでおもしろくないのだが、途中からよくなる。エラリーの謎解きはなかなか本題に入らない。自分の中ではもう解決しているから急がない。でも聞く方はたまったもんじゃない。父親はじりじりし、爆発し、身悶えし、飛び上がり・・その気持ちわかるわかる。

「緋文字」・・これは古本屋で見つけたもの。ポケミスの奥付を見ると昭和50年だ。クイーン物だが、ちょっと変わっている。夫婦仲が悪化していて、売れない作家の夫は妻の不貞を疑い、精神が不安定。妻はそんな性格でもないはずなのに老俳優と逢引き。妻の友人でエラリーの秘書でもあるニッキーは、何とか夫婦仲を修復しようと骨を折るが、効果なし。エラリーは他人のトラブルに首を突っ込んだことを後悔するが、知らん顔もできない。みんなして泥沼に入り込み、何をしても解決に結びつかない。読みながら、いつになったら殺人事件が起きるのかいな・・と不思議に思ってた。奥様お昼の何とか劇場みたいなことがえんえんと続く。最後の方でやっと殺人事件が起きる。でも、こんな回りくどいことしなくても・・と、どうしても思ってしまう。まあ回りくどいことしなけりゃ小説にはならないんだけどさ。なぜか日本人の召使が出てきて、名前がタマなので猫かと思ったら・・いや、おばあさんかと思ったら男でした。まあタマという苗字もないことはないと、寛大な心で読んでいたら、名前がマユコでした。ウーム、こういうのにぶつかると、エラリー・クイーンも意外と大した作家じゃないな・・と思えてきたりして。

「フランス白粉の謎」・・読んでてびっくりするのは、冒頭から半分以上、場所が殺人の起きた百貨店から動かないこと。まるで舞台劇みたいだ。

「ローマ帽子の謎」

「Xの悲劇」

・・「ローマ帽子の謎」と「Xの悲劇」を古本屋で見つけて読んだ。何と言うか、回りくどくてモタモタした感じで、頭に入りにくい。でも、読むぞ。

「Zの悲劇」・・ドルリー・レーン物。あんまりおもしろくない。エラリー・クイーン作品は、これはというものがないな。それでも読むけどさ。

再読・・図書館から借りてきて読んだけど、自分の蔵書にもありましたわ。XだのYだのいろいろあるから、もう読んだと勘違いしていたんだわ。これはXやYに比べ評価は低いのだそうで、確かに主人公達が必死になって助けようとする前科者に(助けてやるだけの)魅力がない。死刑になりそうだってのにまだ隠し事してるのも変。主人公はドルリー・レーンではなく、サム警視の娘ペーシェンス。若さ、美しさ、健康に恵まれ、経済的な不安もなく、男顔負けの頭の良さを発揮する。はあ、それで?レーンはお膳立てが揃うまでは行動を起こさず、見事真犯人を突き止めるが、電気椅子に座らされ、後はスイッチを入れるだけの状態にされた男の心臓は耐えきれず・・。もったいつけて、劇的効果を狙うからそうなる。自分が舞台で観客に一番いいところを見せるってのとは違うんだって気づけよ!

「孤独の島」・・クイーンの作品だが、エラリーは出てこない。給料を奪った三人組は、ぐずぐずしていたせいで非常線が張られ、逃げられなくなってしまう。そこで警官のマローンに一時金を預けることにする。娘バーバラを人質に取られたマローンと妻エレンは苦悩する。何とかバーバラを奪い返したと思ったら、何者かに金が奪われ、三人組は家に押しかけとピンチの連続。さあどうやって切り抜ける?サスペンス映画を見ているような感じで悪くはないが、最後の方がもたつく。マローンの上司・・60がらみで白髪で実直なセッコは・・映画ならJ・K・シモンズあたりがいいなと思いながら読んでいた。

「第八の日」・・クイーン物。砂漠の真ん中にある、文明から隔絶した村に迷い込んだエラリー。村民の暮らしぶりは聖書を元にしているのかと思えるが、どうもそうではないらしい。豊かで幸せに暮らす人々だが、指導者の”教師”は何かが起きると危惧し、エラリーが来たことを何かの啓示と思い込んでいる。そのうち殺人が起き、エラリーが犯人を挙げるが、後で間違っていたと後悔するのはいつも通り。

「最後の女」・・クイーン物。富豪のジョニーの好意で別荘の離れへ泊っていたクイーン親子。そのジョニーが殺される。別れた三人の妻、新しい遺言状、遺産をそっくり贈られることになっていた謎の女。エラリーより父親クイーン警視の言動の方が魅力的なのはいつも通り。

「悪魔の報酬」・・図書館からクイーンの本を四冊借りてくる。三冊目を読む頃には一冊目の内容忘れてる。だいたいは金持ちが殺され、若いカップルが出てきて、片方は隠し事したりウソをついたりして事態をややこしくする。警察には真実を伝えてはいけないことになっている。伝えていい相手はエラリーだけ。この作品でもLAの大富豪が殺される。父のあこぎなやり方をゆるせない息子ウォルター。容疑者は父の共同経営者で、父のせいで大損させられたリース。彼の娘ヴァレリーとウォルターは恋仲。将来の義理の父、義理の息子をかばって・・。ウォルターは死体は動かすわ凶器は捨てるわ、いやこれで警察に正しい捜査しろったって無理ですわ。

「三角形の第四辺」・・売れない作家デインは母親から父親に女がいると聞かされ驚く。ところがその女シーラにぐんぐん心を惹かれ・・。そのうちシーラが殺され、父が逮捕される。シーラという女性のキャラが興味深い。デザイナーとして経済的に自立しており、結婚には興味なし。恋愛の相手は次々に変わるけど、常に一つ時には一人の男を守る。ただ、デインにはそんな考え方は理解できない。結婚したい。この作品で珍しいのは、エラリーが間違うこと。彼が名指しした男は、ゆすりは働いていたものの、殺人はしていない。でもエラリーにはなかなか自分の間違いが信じられない。犯人が○○だというのはうすうすわかる。すぐカッとなる性格だと何度か説明されるから。今回は珍しく、パパクイーンの勝ちです。

「ドラゴンの歯」・・「悪魔の報酬」の解説によると、クイーンは30年代半ば、高級女性雑誌に作品を発表するようになったのだそうな。エラリーよりヒロインの描写が多いことや、女性好みの題材が多いのはそのせいか。貧しい女性が一夜にして大富豪の相続人にというシンデレラストーリー。ただし相続するには独身でいなければならない。しかし彼女は自分を捜し出してくれた探偵に恋をしてしまった。金を取るか愛を取るか。決心して結婚式をあげるが、それは偽りの結婚式だった!まあ女性が夢中になって読みふけるような内容ではあります。

「フォックス家の殺人」・・父が母を毒殺したというので終身刑に。そのせいで息子デイヴィーは自分も父のように妻リンダを殺すのではと恐れている。戦争では日本兵をたくさん殺したし、リンダを危うく絞め殺すところだったし。リンダの頼みでエラリーは懐かしいライツヴィルを再訪。証拠は揃っていて、父親レイアードの罪は覆りそうもないが、不可能に近いほどエラリーはファイトわくわけで。まあミステリーファンなら読んでいるうちに思い始める。毒殺だ毒殺だと言ってるけど、自殺じゃないの?自殺でなければ事故。何も知らない子供がいたずらして、しかもそのこと全く忘れてるという。そういうことあるでしょ?でまあ表面的には自殺ということで落ち着くけど、それは自分のいたずらのせいで・・なんて気づくのを防ぐため。せっかく若い夫婦が将来に向かって足を踏み出したところなんだから。でも、そのうち思い出すと思うよ。

「エジプト十字架の秘密」・・図書館から。確か前に一度読んだと思うが、蔵書にないところをみると、平塚図書館から借りたのかな。もちろん内容は覚えてないから、初めて読むのと一緒。解説に「真珠郎」にヒント与えたみたいなこと書いてある。首のない死体、ピタッと行方がわからなくなった人物。はい、もうおわかりですね。まあ首を切り落とすというのはかなり大変なことで、一度それをやっちゃうと、(同じ犯人の仕業に見せかけるため、必要もないのに)次もそうしなくちゃならないのが面倒。

ディーン・R・クーンツ

「フランケンシュタイン 野望」・・「デュカリオン」の後で書かれたのか。映画は尻切れトンボだったが、その後のことは次作を読めば明らかになるのか。せっかくいいキャスト揃えて、意欲的にスタートしたのに、そのうちどんどん変な方向へ行って、何とか作ったもののひどい出来。パイロット版だけで終わってしまったという不幸な作品。でもクーンツはあきらめきれなくて新たに小説としてスタート。てなわけで導入部だから、何となく水増し感はあるものの、他のも捜して全部読むぞ。 

「フランケンシュタイン 支配」

「フランケンシュタイン 対決」

・・「デュカリオン」が最後まで作られていたらこうなったのだろうというのと、映画では意味がわからなかったけど、こういうことだったのかというのが、ある程度わかった。わかったからって別にどうもならないのが何とも残念。「野望」も含め3冊読んだけど、読んだってだけで。役に立ったわけでも感銘を受けたわけでもなく。「野望」の内容ははや忘れかけているが、こちらの2冊では次々に新しいキャラが登場して、ぐだぐだとしょうもないことやってる。隣人殺して、そのまた隣りの住人殺して・・って、そんなの読んでておもしろいわけがない。カースンとマイクルのだらだらと続く会話も、いいかげん飽きてくる。デュカリオンに瞬間移動の能力があるのには驚いた。映画ではなかったよな・・もう記憶もおぼろ。最後の方になっていきなり救世主が現われ、何だかわからんうちに終わる。救世主はデュカリオンじゃなかったのかいな。滅ぼされたように見えてヴィクターのクローンが誕生するのも、二流三流のラスト。

「ライトニング」・・「ライトニング」という映画があるので、その原作かと思ったら全然違うので、古本屋で見かけても買わなかった。今回図書館から借りた。不幸な生い立ちのローラという女性が作家になって幸せな結婚をしたけど、夫は殺され・・。彼女がピンチに陥ると、全部じゃないけどある男性が現われて助けてくれる。彼は守護天使か。子供時代がけっこう長い。いい人が次々に命を落とすので、読んでいて気持ちが萎える。そのうちタイムトラベル物だとわかってくる。てっきり未来からと思ったら過去から。小さな息子との逃亡とか、「ターミネーター」風味。母子を助けるシュテファンはウィリアム・フィクトナーあたりがいいな。もちろん若い頃の。

アーサー・C・クラーク

 「幼年期の終わり」・・これは古本屋では見かけないな。見かければ買ってる。SFにしろミステリーにしろハズレとまではいかないけど退屈なものが多いが、これはけっこうおもしろかった。古本屋で見かけたら買っておき、また読み返したい。地球上空に巨大な宇宙船が現われる。異星人オーヴァーロードの目的は不明。姿を見せるだけでも50年という期間を置く。それも当然で、彼らの形は悪魔に似ているのだ。その姿にも慣れた頃、10歳以下の子供達が突然変わり始める。新しい種の誕生だ。異星人はこの流れを観察するため、もっと上の存在から地球へ遣わされたのだ。新しい生命体は、ついには地球をも破壊してしまう。何とも救いようのない結末だ。自我のない、うつろな顔をした者の集まり・・読みながら映画の「セル」のゾンビの集まりを思い浮かべていた。

「宇宙のランデヴー」・・図書館から。2130年、巨大な物体が太陽系へ。円筒形をしていて、どう見たって知的生物が作ったもののよう。エンデヴァー号がラーマと名付けられたこのマーガリン・・じゃない、物体に接近し、内部を探検。ラーマは太陽の近くを通り、そのまま遠ざかるので、チャンスは一度きり。果たしてラーマ人との遭遇はあるか・・ありません。私なんぞは想像力が乏しい方なので、文章読んでも何がどうなっているのかよくわからない。イラストとか入れてくれればああそうかとなるのに。結局エンデヴァー号は一人の乗組員も失わずにすんだが、私には何でこんなにぐずぐずしているのかと思えて仕方がなかった。

「前哨」・・短編集。図書館から。「2001年宇宙の旅」にちょこっと関係している「前哨」が入ってるので借りてきた。でもあまりにも短くて、「は?これだけ?」と拍子抜け。他の作品も暗くて救いようのないものばかりで、読んでいてもつまんない。

ジェーン・K・クリーランド

「出張鑑定にご用心」・・図書館から。ジョシーという骨董鑑定士がヒロインのシリーズ。今のところ邦訳されているのは2冊だけか?セーラ・ケリングシリーズに感じが似ているが、あっちほどコメディーっぽくはない。ジョシーは苦い過去(正しいことをしたのにまわりから攻撃された)と、最愛の父の死の痛手から完全に立ち直れてはいない。これは1作目で、新しい出会いがあるだけに2作目よりはおもしろい。ただ、相手に興味を持ったのなら、恋人はいないのか、妻はいないのかなどそれとなく探るはずだが、何もしていないのはヘン。印象に残るのは「私はひとりぼっちだ」と何度も思うこと。相手のことを愛していなくても、孤独が嫌でとりあえず一緒にいるみたいな。私なんか一人の方が気楽でいいと思うけど、向こうの人は一人には耐えられないのかな。

「落札された死」・・2作目。こちらはあまりおもしろくない。運悪く殺人の容疑者にされてしまうってのが、このシリーズのお約束なのか。

グレアム・グリーン

「おとなしいアメリカ人」・・これを買ったのは「愛の落日」が公開されていた頃だからもう10年以上たってる。NHKBSで「静かなアメリカ人」も放映されたけど、まだ見てない。ベトナム戦争が起きる前の時代。イギリス人記者とアメリカ青年が一人のベトナム女性をめぐって争う。女性の方はちゃんと世話してくれるならどちらでもかまわないというスタンス。欧米人の考える愛とは違う。年長のファウラーにはそれがわかるけど、若いパイルには理解できない。それでいて事態はパイルに有利。こういうぐだぐだしたのは私の好みじゃないけど、いちおうすらすらと読めた。

「第三の男・落ちた偶像」・・これは古本を見つけて読んだ。前者は超有名映画だけど、原作を読んでびっくり。超有名ラストシーンがこちらでは・・。あっちでは一瞥もせず歩き去ったけど、こちらでは・・。いちおうハッピーエンドなのね。後者は短編。同じくキャロル・リードの監督で映画化されているが、見たことなし。内容は大幅に変更されているらしい。

「ヒューマン・ファクター」・・グレアム・グリーンの作品を読むのは初めて。これは映画化されているようで。WOWOWでやったらしいが気がつかなかった。途中で主人公が〇〇だというのはうすうすわかる。

アガサ・クリスティー

「愛の重さ」・・クリスティーの”愛の小説”シリーズは6冊くらいあって、読むのは3冊目かな。ぐじぐじしていて終わっても何も解決してないことが多い。第3部のルウェリンの部分からとたんに面白くなくなる。それまではぐじぐじしていても何とか読んでいられたけど。

「アガサ・クリスティー自伝」・・文庫だがかなり分厚い。失踪事件には触れていないが、その少し前母親が亡くなって、その悲しみと後始末で心労が重なり、自分でも何をやってるのかわからないとか、小切手にサインしようとして自分の名前を思い出せなかったりとか。神経衰弱と言うか一時的な記憶喪失と言うか。だから映画の「アガサ 愛の失踪事件」のような復讐劇はありえないと。

「オリエント急行殺人事件」・・読み返した。やっぱりクリスティーはいいな。軽快だし読後感もすっきり。特に「オリエント」のポアロは2017年版映画やテレビシリーズみたいに深刻になったりせず、スッキリ幕を引く。推理小説はこうでなくちゃね。

「終わりなき夜に生れつく」・・読み返した。

「カーテン」・・読み返した。

「火曜クラブ」・・マープル物。再読。読んでおもしろいものって、日本語訳もよくできてるってこと。時々首を傾げたくなるような邦訳もあるから。

「五匹の子豚」・・再読。クリスティー物は何度でも読めるな。他の作家の物を読んでからこっちへ戻ると、ああ、何て読みやすいんだろう・・と思う。

「死者のあやまち」・・読み返した。

「杉の柩」・・読み返した。

「象は忘れない」・・「ポアロ」のファイナルシーズンが始まるので、読み返した。

「ナイルに死す」・・これは読むの何度目だろう。今までジャクリーンが自分の計画にサイモンを引きずり込んだのだと思い込んでいたけど、久しぶりに読んだら違ってた。サイモンが計画したけど、あまりにもお粗末ですぐばれるに決まってるから自分が力を貸したことになってる。ただ、サイモンの性格から言って、こういう自分が痛い思いをする計画に賛成するとは思えないんだけどな。

「ねじれた家」・・この作品が映画化されて、たぶん公開中なんだろう。テレビでやるまで待つしかないが、これってクイーンの何とかの悲劇と同じだよな。あ、ネタバレ?

「ねずみとり」・・久しぶりに読み返した。最初に読んだ時はすっかりだまされたっけ。ラストシーンでクリスだけ登場しないのはバランス悪い。夫婦が相手に黙ってロンドンへ行った理由もたわいなさすぎる。

「春にして君を離れ」・・いくら読んでも誰も殺されないが、精神的に殺されちゃってる人も・・。中年女性が汽車がストップしたため砂漠で数日足止めを食らう。その間、することがないのでいろいろ考え、自分を見直し反省するが、無事にイギリスへ戻ると、また元の性格に戻っちゃうという(だけの)話。他の作品は6週間かかるけど、この作品は1週間で書き上げ、何も訂正しなかったそうな。ほとんどが心の動き。

「ビッグ・フォー」・・読み返した。

「ヒッコリー・ロードの殺人」・・読み返した。アキボンボ君最高。

・・これもいったい何度読んだことか。こういう食事つきの下宿屋って、何かそそられるものがある。小説だと「下宿人が死んでいく」、映画だと「地球の静止する日」。

「ひらいたトランプ」・・これは読むのは何度目だろう。ブリッジのことは何もわからない。子供の頃セブン・ブリッジをやった記憶はあるが、この作品に出て来るのは違う。

「フランクフルトの乗客」・・読み返した。 

「ヘラクレスの冒険」・・読み返した。

「ポアロとグリーンショアの阿房宮」・・みんなの本だな。「グリーンショウ氏の阿房宮」ってのがあったけど・・あれはミス・マープル物。こっちはポアロで、どうも「死者のあやまち」の元になった中編らしい。前や後ろに文章くっつけて・・はじめにとか、まえがきとか、解説とか・・なんとか一冊の本の体裁整えてるけど、中編をどうふくらませて長編にしたか興味のある人は別として、あんまり読んでも意味がないと言うか。

「ポケットにライ麦を」・・読み返した。ホロリとさせるラストがいい。

「魔術の殺人」・・もう何度読んだかわからない。何がどうということはないけどやっぱりクリスティはいい。ミス・マープルのいつも最悪の事態を予測し、変に楽天的になって自分をごまかさないところがいい。

「未完の肖像」・・愛の小説シリーズの一つ。細かい点であるある、そうそうって思えるものの、全体的にはヒロインに共感できないって言うか。印象に残ったのはジェラルド・デュ・モーリアの名前が出てくること。ダフネ・デュ・モーリアの父親だ。若い女性がお熱を上げるくらいステキな俳優だったのか。

「無実はさいなむ」・・「ルイス警部」にトム・ライリーが出てたので読み返した。クリスティーはいいよな、読みやすくて。

「娘は娘」・・殺人は起こらないものの、母と娘のドロドロした愛と憎悪でハラハラドキドキさせる。生活費はどうなってるの?とか、健康はどうなってるの?とか、ツッコミどころはあるにしてもおもしろかった。

「物言えぬ証人」・・読み返した。

「ABC殺人事件」・・テレビでアガサ・クリスティーのドキュメンタリーやったので久しぶりに読み返した。私は彼女の作品は軽くて読みやすいのがいいと思ってるけど、テレビでは残酷とかそんなふうに言っていたな。

ハル・クレメント

「1千億の針」

「20億の針」

・・「ヒドゥン」の元になったという「20億の針」「1千億の針」も読んだ。どちらかと言うと退屈なSF小説。特に「20億」は訳が古すぎという批評もあったがまさにその通り。そろそろ新訳が出てもいい頃な気もする。 

「窒素固定世界」・・これは古本屋で見つけてすぐ買った。ああ、神田の古本屋にももうずっと行ってないな。今度行けるのはいつかしら。「20億の針」や「一千億の針」以外のハル・クレメントの本が出てるとは思ってなかったのでびっくりした。「重力の使命」もあったので買った。ホントにラッキーだった。他に「テネブラ救援隊」という作品も出てるらしい。難しいことはわからないが、空気中にほとんど酸素がなくなって、窒素ばかりになった数千年後の地球が舞台。エイリアンが入り込んでいるが、侵略ではなく観察が目的。個という観念がないのは「呪われた村」のエイリアンと同じ。人間とは違う体の作りや、もののとらえ方がおもしろいが、ストーリー自体は退屈。何と言うか、あれこれさんざんあおった挙句、何事もなかったように終わってしまうホラー映画があるけど、そんな感じ。

「重力の使命」・・水素の大気にメタンの海、ものすごい重力の惑星メスクリンが舞台。惑星調査をする地球人に協力するのがメスクリン人・・と言ってもムカデみたいな昆虫。例によって地味で退屈だが、投げ出すほどではない。

F・W・クロフツ

「マギル卿最後の旅」・・フレンチ物。これからはフレンチ物とメグレ物にしぼろうかなと思っている。ディックなんか集めるのはもうやめよう。ちっともおもしろくないんだもの。確かにフレンチも退屈なんだけど、それでもまたいつか読むだろうという気だけはする。さて内容はどうだったっけ。もう覚えてないぞ。何でこんな手の込んだことしなくちゃならないのかな・・って、それだけ。

「フレンチ警部最大の事件」・・これはフレンチ初登場作品なのだそうな。推理に行き詰まると奥さんを巻き込むなど、奥さんの登場シーンは他のに比べ多いような。

「フレンチ警部と漂う死体」・・単行本。フレンチが登場するのはずっと後。だからつまらないかな?と思って読み始めたけど、そうでもなかった。とは言えヒロインのキャサリンがジムを疑う描写が何度も出てくるのにはまいった。それってどんなに怪しくても彼は犯人じゃないって言ってるようなものですぜ。

「フレンチ警部とチェインの謎」・・フレンチ物を読むと、どうしてもフロスト物と比べてしまう。あっちはそのだらしなさにうんざりしてしまうが、フレンチはきちんとしている。何と奥さんもいるようだ。

「フレンチ警部と紫色の鎌」・・そんなうまい話転がってるわけないのに、あの人が儲けているのなら私にだってできないはずはないと考える若い女性。深みにはまって身動き取れなくなるさまが延々と書かれる。いかにも愚かな感じのヒロインが機転を利かせたりスーパーウーマンみたいになって事件を解決するのは不自然。

「フレンチ警視と最初の事件」・・ダルシーとフランクの腐れ縁的関係が延々と書かれる。何でこんなどうしようもない男と手を切らず、自分まで犯罪者になるのか。一度はだまされた、復讐してやるとなるけど、男がピンチになるとあの人には私しかいない!となるのも、私には理解できませんな。やり方は不明だけど、聞こえた銃声がニセモノというのは予想がつく。遠からず死ぬであろう相手を急いで殺す必要あったのかね。

「クロイドン発12時30分」・・殺人は割に合わないってことですな。後が大変。いつばれるか、警察はどこまで知っているのか。心の休まる時がない。主人公の陥った苦境に対し、警視や警部が集まってのラストの気楽な謎解きは・・。事件が起こる限り警官は食いっぱぐれがないってことですかね。

「死の鉄路」・・クロフツは鉄道技師だったらしいから、この作品には自分の知識、経験が盛り込まれているのだろうな。犯人は途中で目星がつく。訳者あとがきでもほのめかしていて、こういうのはどうかなと思ってしまう。

「スターヴェルの悲劇」・・フレンチ物。これはけっこうおもしろかった。途中のどんでん返しが効果的。フレンチは地味で、ポアロやホームズのような強烈な個性も、天才的な頭脳もない。全然成果はないとわかっていても、それでもやらなければならないことはちゃんとやる。ポアロやホームズなら絶対省略する。そこが警官と探偵の違い。フレンチはまた実に人間臭い。これが解決したら昇進できるかも・・なんて空想したりする。あるいはなかなかしゃべってくれない相手に、表には出さないけど心の中ではじれて毒づいたりする。みんな普段我々もやっていることだから共感できる。

「製材所の秘密」・・クロフツの作品だが、フレンチは出ていない。しかしウィリス警部はフレンチのキャラそのまま。まあウィリスの方が昇進への意欲が強いかな。でもそうも思っていなきゃ退屈で地味な仕事やってらんないのも確か。この作品はちょっとわかりにくい。緻密に組み立てられてるってことだろうが、私のとろい頭じゃ何が何だか。

「樽」・・これは前から読みたいなあと思っていたが、なかなか古本屋では出てなくて。今回やっと。3部くらいに別れていて、最初はロンドンで警部が捜査。次にパリへ移って向こうの警部と協力。その後なぜか私立探偵が解決する。ロンドンとパリの連中が出て来なくなるのは、読んでいても不自然。とは言え他のクロフツ作品も読んでみたい。

「チョールフォント荘の恐怖」・・珍しく新刊を買った。メロドラマみたいで。揺れ動く女ごころが細かく描かれる。愛情はないけど契約した以上は・・こういう女性も珍しいね。歯がゆいけど気持ちはわかる。

「二つの密室」・・読んでいるうちに犯人の目星はつくけど・・あまりにも都合よく出て来る目撃譚は、かえって怪しい。とは言えよく描けていると思う。生命保険や遺言書が出てこないのはおかしいけど(だって事務弁護士ですぜ)。

「ポンスン事件」・・いつになったらフレンチが出てくるのかな・・と思ったら、これはタナー警部が主人公でした。性格はほぼ同じで、彼の方が若いのかな。どんなに退屈でうんざりするようなことでも粘り強く最後までというのは珍しいな。たいていはここらへんでいいだろうとか、これが有望だとわかるとそっちへ行って、あとは省略してしまうものだけど。最後まで全部調べ尽すからこそ、絶対これじゃないと自信を持って言えるわけだけど、今回はそれも引っくり返されてしまう。あんなに努力したのに関係者のウソのせいでそれが無駄になってしまう。そこが何だか気の毒だった。あと、「ポンスン殺人事件」ではなく、「ポンスン事件」なのはネタバレですな。

「ホッグス・バックの怪事件」・・フレンチ物。え~っと確かに読んだんだけど、もう内容思い出せない。読んでると眠くなる。別に退屈なわけではないけど。まあそのうちにまた読み返しましょ。犯人の目星は早い段階でつくよ。

「クロフツ短編集1」「クロフツ短編集2」・・だいたい金の使い込みとかして、それをネタにゆすられ、にっちもさっちもいかなくなって殺人・・というのが多い。ゆする方もバカだね。要求額を釣り上げていくから返り討ちにあう。ある短編で書かれているように、金そのものより、相手を自分の意のままにしているということにサディスティックな快感覚え始めるんだろうな。中には犯行思いとどまったのに処刑された者もいて、そういうエピソードは後味が悪いね。

こ)

パトリシア・コーンウェル

「核心」・・スカーペッタシリーズも最近では上下分冊だから、下はあるけど上がないという場合、見つけるまで読むわけにいかんのよ。それも105円のを見つけるまでお預け。数ヶ月待ってやっと揃ったので即読んだけど・・いつものことだけど初めがよくて終わりが尻すぼみ。店を広げすぎてあれはどこいった、これはどうなった状態。スカーペッタは異次元に入り込んだらしく、年齢がおかしなことになってる。夜は眠らないし食事もちゃんと取らない。それでも平気らしい。

「血霧」・・ずっと前に上巻だけ買ったけど、今回下巻が108円なのを見つけて、それでやっと。まあいつも通りと言うか。ミステリーで反則と言うと、「書き手が犯人」、「刑事など捜査する側が犯人」の他に、「実は双子だった」というのがあるけど、そういうのだと何となくはぐらかされた気がするな。せっかく夜遅くまで起きて読んだのにこれかよ・・って。 

「死層」・・上下に分かれていて一冊1200円以上するから、約2500円か・・。文庫も高くなったものだ。これじゃあ新刊で買うのは無理。分冊するほどの量でもなし。内容は例によって例のごとく。最後はささっと簡単に、今までのは何だったんだ状態。手の込んだ料理の描写で終わり。料理なんていいから、ちゃんと後始末しろ!!でも、これからも読みますけど。

「邪悪」・・上下・・こりゃ普通に買うとしたら税抜きで2500円かかりまっせ。なかみは上下合わせて108円てとこでしょうか。それくらいひどい。私にはベントンがルーシーやジャネットと共謀して(←?)スカーペッタにあの映像送ってくる意味がどうしてもわからん。全編(勘違いさせられた)スカーペッタの独白。延々と読まされるこっちこそいい迷惑。「邪悪」の前にまだ読んでないのが2作あるけど、急いで手に入れたいとは思わない。惰性で読んでるようなもの。

「変死体」・・最初の頃は一冊完結だったけど、そのうち上下で出るようになった。上下揃って置いてないところも多く、片方だけだと読むわけにはいかない。だから揃うまで、105円のを見つけるまで待つ。今回読んだのは「変死体」。女流作家で多いのは、冒頭・中盤まではいいが、終盤でまとまりがなくなること。シャーロット・マクラウドもそうだが、肝腎の謎解き部分が弱い。

「儀式」・・上下各1200円+税。うひょー文庫も高くなったものだ。もちろんこれは古本屋で買ったもの。この内容じゃ各100円で十分。いや、二冊で100円だな。延々と愚痴やら個人攻撃、どうでもいいようなことをあーでもないこーでもないと突っつき回す。最初の頃のスカーペッタはこうじゃなかった。生真面目できりっとしていて潔かった。いつからこんなブータレ女になったんだろう。こんな風に感じるのは私だけかと思ったら、アマゾンのコメントでも同じような意見が。やっぱりみんなそう思っているんだわ。読む度に失望するけど、でも次回作に期待する。そしてまた裏切られる。それにしても・・マリーノの下品さをこれでもかと書く一方、私はマリーノの手の届かない女と、ぬけぬけと書くスカーペッタって・・。やな女。

リザ・コディ

「夏をめざした少女」・・リザ・コディの作品はあまり翻訳されてないようだ。今回の東京行きで入手可能なものはいちおう揃った。運がよかった。内容は今いちかな。最初は期待させるけど、そのうち、あれ?変だぞ・・となって、よく説明されないうちに終わってしまう。結局何がどうなっていたんだろう。そういうことより、若くて女性であるがためにいろいろ障害が立ちはだかるけど、粘り強く仕事に打ち込むヒロインに共感していればいいのかな。

「見習い女探偵」・・女探偵アンナ・リーシリーズの一つ。「汚れた守護天使」を読んでこの作家に興味を持った。アンナはそう若くもないが、探偵としては駆け出しで、大した仕事はさせてもらえないし、手柄はボスに横取りされてしまう。すぐ男性と恋に落ちるとかそういうのはなく、真面目に仕事に取組むのがいい。女性が一人で生きていくのって大変。まず仕事をちゃんとやって生活費を稼がなければ。それに比べると「ブリジット・ジョーンズの日記」はお気楽だったよなあ・・。

「汚れた守護天使」・・108円だったので買ってみた。ヒロインはレスラーで、なかなか興味深いキャラ。「ミレニアム」のリスベットのような、自立した性格。でもリスベットのようなハッカー技術も恋愛も大金も豪邸もなし。廃車に住み、電気はなく、いつでも荷物一つで動ける。警備の仕事の他に使い走りで小遣い稼ぎ。トレーニングに励み、つつましく生活する。女探偵アンナ・リーのキャラもいい。彼女のシリーズもあるようだから、古本屋へ行ったら注意して見よう。 

「ロンリー・ハートの女」・・若い女性が生きていくのは大変だ。名前さえまともに呼んでもらえない。人気絶頂の女性ロックスターの身辺警護の仕事につくが、ほとんど雑用係。いやなことが続いても投げ出さずがんばる。私自身今考えると何で20年近くアルバイトをしていたんだろうかと思う。いやなことばっかりだった気がする。「怒られるのも給料のうち・・」とがまんしていたけど。

「掟破りのリターンマッチ」

「闘う守護天使」

これはプロレスラー、エヴァの二作目、三作目。二作目でエヴァはクビになり、三作目ではなまった体を鍛え直そうとする。彼女は頭が悪く、人の言うことを聞かない。自分では利口だと思っているが、利用されてばかり。一作目ではユニークに思えた個性も、そのうちうんざりしてくる。彼女にとって本格的で優雅な技を見せるハーシュはヒーローだったが、彼の言うことは高尚すぎてエヴァには理解できない。そのうち彼はあっさり故国へ戻る。彼はエヴァには親切だったけど(他の男がひどすぎるってのもあるけど)、決して深入りはせず、エヴァとは距離を置いてる。彼は利口だったと思う。

ウィルキー・コリンズ

「夢の女・恐怖のベッド」・・コリンズの短編集。「月長石」も「白衣の女」も読んだけど、内容はもう忘れてしまった。こちらの本も、それなりにおもしろく読めたが、特に感動したとか印象に残ったという話はないなあ。強いて言えば「黒い小屋」かな。ヒロインよりも最後の方で出てくる農園の息子の行動。身分違いと家族に反対されてもヒロインと結婚するところがね。

ジョゼフ・コンラッド

「密偵」・・コンラッドの長編。「シークレット・エージェント」の原作。ヒッチコックの「サボタージュ」の方は見てない。「シークレット」を見ていてもヴァーロックの立場はよくわからなかったんだけど、原作を読むと少しわかったような。文章はわかりにくく、読んでると眠くなる。半分寝ながら読んでるから頭に入らず、少し前に戻って読み直し、やっと読み終えた。

さ)

フランソワーズ・サガン

「ブラームスはお好き」・・これは読むのは初めて。映画はまだ見ていない。絶世の美男子で、お金があって、年上の女性を一途に愛して・・それはいいけど仕事はいいかげんてのはバツだな。映画ではアンソニー・パーキンスだけど、読みながら私が頭に思い浮かべていたのはヒュー・ダンシーだな。今はもうちょっと年だけど、10年前だったらぴったりだと思うな。

し)

P・D・ジェームス

「ある殺意」・・これはダルグリッシュ物。もう内容忘れてるけど、いいんだ、また読むから。ず~っと来て、最後の方でもたついた感じになるのはなぜかな。どの作品もそんな感じ。

「女には向かない職業」・・これは映像化されてるようだが、見たことなし。ヒロインは22歳の新米探偵。パートナーが自殺し、経験もないのに一人でやることになって悪戦苦闘。まだすれてなくて潔癖なところがあるのが好もしい。でも報酬はちゃんともらわないと、仕事として成り立たないぞ。書かれたのは1972年だからだいぶ昔だ。

「黒い塔」・・ダルグリッシュ物。メグレはさらさらとすぐに読めたけど、こっちはまだ終わらないのか・・という感じ。私は長いのが好きだけど、花や草や道や・・要するに事件とは関係のない風景描写が長いのは苦手。普通の人は風景思い浮かべて作者の力量ワンダホーとなるのだろうが、私は「早くしてくれ、次に進んでくれ」って思っちゃう。

「策謀と欲望」・・ダルグリッシュ物。前に読んだ何かに出ていた叔母が死んで遺品整理に行ったダルグリッシュ。私が死んだら厖大な量の本やDVDはブックオフ行きかな。

「死の味」・・テレビでやったので読み返した。ベロウンの複雑な心理は誰にもわからない。殺されてしまったから。テレビは鬱病ということで片づけられていたけど、そんな単純なもの・・病気が治れば気持ちも変わる・・じゃないと思うよ。

「原罪」・・調べてみたらダルグリッシュ物ってそんなにたくさんないのね。あと数冊しかない。どっちかというと「死の味」の方がおもしろかったかな。どうなるんだろう、どうなるんだろうという感じで、読み始めると止まらない。相変わらず建物がどうとかこうとかそういう描写が多いな。そんなのいいからあれはどうなったのか、これはどうなったのか早く知らせてよって感じ?

「神学校の死」・・ダルグリッシュ物。こういう分厚いのは大好き。ついつい夜更かししてしまう。今回は・・今回も・・たいていのミステリーがそうだが、最後の方が尻すぼみ。「そうだったのか!!」と、感心して読み終わるのってほとんどなし。

「灯台」・・「秘密」よりは読んだ後のモヤモヤ感は少ないかな。暖炉で燃やされていたもののことが気になるけど、あれはオリヴァーの新作なのかな。結婚を反対されて怒った娘のミランダが焼いたのかな。最後の方を読みながらたいていの読者は、父親オリヴァーと同じ暴君的傾向を示し始めたミランダに嫌気がさし、デニスが別れを告げることを期待したと思う。彼には彼の才能があって、独り立ちできるはずだ、その方がいい・・ってね。でも、そのままだったな。 

「皮膚の下の頭蓋骨」・・島で起きた殺人事件。クリスティーの「そして誰もいなくなった」を思わせる設定。主人公はダルグリッシュではなく、コーデリアの方。彼女は時々はダルグリッシュを思うらしい。両方を読んでいるファン(でもないか)としてはうれしい。それにしてもP・D・ジェイムズは建物の描写とか好きだな。二度目に読む時は飛ばしてしまおう。あたしゃ建物の中の描写は好きだけど、外観はどうでもいいです。木や草、花もどうでもいい。それにしても400ページ以上もある長いの読まされて、あの結末じゃがっくりきますな。スカッと終わって欲しい。

「秘密」・・P・D・ジェイムズとかいう作家の「秘密」を読んだ。私はハヤカワポケミスが好きだ。ちょっと黄色っぽい紙も、二段組みの活字も、本の大きさも好き。「秘密」は半額でもまだ高いけど、分厚いから・・と期待して買った。最初はいいけど、ラスト近くはぐじゅぐじゅで、期待外れだった。一人目の事件は、誰の仕業かも動機もわかるけど、二人目がはっきりしない。同じ人物の仕業なのか、別の人が犯人なのか。その場合動機は?ネットで調べたけど、主人公の結婚に関することばかりで。まあいいや、ヒマ潰しにはなったし、何年か後には内容忘れてまた読み直すだろう。

読み返して・・ダルグリッシュ警視長は魅力がないなあ。ウェクスフォードといい勝負だ。

「不自然な死体」・・ダルグリッシュはデボラとの結婚に迷い、休暇中に考えてみようと思ったらしいけど、滞在先で事件に巻き込まれ・・結局恋人とは別れたのね。自立している彼の叔母ジェインは印象に残る。

「わが職業は死」・・ダルグリッシュ物。読んで一ヶ月たたないのにもう内容忘れてる。だから何回も読み返すんだけど。

再読だから読んでいてああそう言えばそうだった・・と途中で思い出すものだが、全く、これっぽっちも思わなかった。あの頃は東京へ行って古本屋へ行って10冊も20冊も推理小説を買い込み、帰ってから片っ端から読みまくった。だから中には読まないまま読んだつもりになっていたのがあってもおかしくない。この作品もそうなのかなと思ったが、2018年8月にちゃんと読んである。変だな、おかしいな。そんなにつまんない内容でもないのにな。読み返したのはテレビで「刑事ダルグリッシュ」のシーズン2やったから。2をやってくれるとは全く思っていなかったからうれしかった。

「正義」・・図書館から借りた。上下2冊の長編。家で読んで、診察の日に病院で読んで、図書館で読んで、そして返却した。図書館には読みたい本がいっぱいあるけど、期限があるからなあ。歩いていくのはけっこう大変。先にテレビの方を見てあるから、原作をこういう風に改変したのだとわかる。まあうまくそぎ落としてあるとは思う。原作では犯人をつかまえることができないまま終わっていたのにはびっくりした。当然読み終わってもすっきりしない気分にさせられる。

ジョルジュ・シムノン

「メグレと若い女の死」・・シムノンのメグレ物はあまり古本屋でも見かけなくて、あっても高いから買わないことが多いんだけど、みんなの本棚にあったので早速借りてきた。ハヤカワ・ミステリで発行は昭和47年・・もう50年も前のだけど、汚れもなくきれいなものだ。そんなに長くもなくすぐ読み終えた。若い女性の死体が見つかり、調べていくうちにこの女性の生きてきた歴史が浮かび上がる。必ずしも好感の持てるタイプではなく、最初はいいんだけどそのうちに彼女と一緒にいるのが苦痛になって来る。べったりくっつかれるのが嫌になり、逃げ出したくなる。何かすごくリアルだよな、こういう人っているしな。

再読。映画を見たもんで。最初読んだ時あったはずの文章がない・・。映画でも時々こういうことがあるけど、どうやら頭の中で勝手に文章や場面を作っちゃうらしいんだな。で、それを印象深いものとして記憶しちゃう。で、二回目見た時読んだ時あれれとなる。日本語訳はやや古臭い感じ。犯人や動機は映画では変更されていて、まああっちの方がすんなり受け入れやすいかな。

「メグレ罠を張る」・・メグレ物はあまり外へ広がらず、じっくり調べ上げていくところが魅力。びっくりするような仕かけもなし。女性の連続殺人。手がかりゼロ。女性達に共通しているのは小柄でふくよかなことくらい。で、そういう体形の婦人警官を囮に、大規模な罠を張る。逃げられてしまったが、ボタンと少量の布地は手に入った。その線からある男性に行き着くが、警察に留め置いている間にまた事件発生。こりゃメグレの大ミスか。残念なのはカギとなるボタン、布地を使った背広が見つかったというのに、その男性がつけた焼け焦げのことばかり気にすること。ボタンが引きちぎられているかどうかの方を調べるんじゃないの?ところで文庫本読み始めたら・・1ページ目から早速灰皿を灰血だなんて、やらかしてくれてました。

「メグレと火曜の朝の訪問者」・・メグレ物を読むのは初めて。この作品はちょっと変わっていて、事件が起きるのは三分の二くらいたってから。まあ何ていうこともない内容だけど、こういうさらっと読めるのもいいな。これからはメグレ物も読んでみよう。

「メグレと老婦人」・・最近はフレンチ物も手に入らなくなったので、メグレに手を伸ばし始めた。この二人はキャラが似ていると思う。この作品は途中で犯人は予想がつく。余計なことをしているのが、たいていは犯人。

「メグレと老婦人の謎」・・いかん、読んだばかりなのにもう内容を思い出せないぞ。こういう似たような題名って買う時困るな。同じ物の可能性があるから。

「13の秘密」・・13の短編と、メグレ物。メグレ物の「第1号水門」はさっぱりおもしろくない。謎解きがメインではなく、心理がメインなのか。それにしてもおもしろくない。短編はまあまあ。

ウィルマー・H・シラス

「アトムの子ら」・・高校の時に買ってからもう何度読んだかわからないほど。最初が一番よくて、後へ行くほど平凡になる。最初に読んだ頃は私もまだ若かったから、ここに出てくる子供達のようにたくさんの本を読もう・・なんて考えていたものだ。残りの人生でどれだけ読めるものやら。とは言えこの前図書館へ行ったらけっこう借りたくなる本が並んでいて。自分の蔵書さえまだ読んでないのがいっぱいあるのに・・。

た)

ジョン・ダニング

「失われし書庫」・・元刑事の古本屋クリフ物。こういう分厚いのってどうしても期待しちゃうけど、「死の蔵書」ほどじゃなかったな。探検家リチャード・バートンにまつわるあれこれがメインで、一般的な古書のことはあんまり出てこない。いろいろあるけど、広げ過ぎて収拾がつかなくなってるみたいな。なかなか芽の出ない作家稼業とか、ろくでなしに見えた男が意外と友情に厚かったり、そこはよかったけど。一番首を傾げるのはクリフの行動。何となく事態を悪い方へ悪い方へ追いやってるみたいな印象受ける。

「死の蔵書」・・こういう、本がたくさん出てくる小説は好き。本の収集、壁という壁に天井まで取りつけられた本棚に整然と並ぶ本、本、本。飾っておくだけじゃなく、ちゃんと読む本。手に入れて値上がりを待つんじゃなく、ちゃんと読む本。ああでもこれに出てくるのは・・。こちらの規格からすると、私が持ってる本なんかクズ本、駄本なんだろうな。別にいいけど。刑事なのに古本好きな主人公。この設定はユニークだけど、途中で刑事やめて古本屋になっちゃう。そこはちょっとがっかり。今は一般人なのに、刑事を装って調べ回るのは犯罪だと思うが。

「幻の特装本」・・今回はポーの「大鴉」の特装本。途中まではいいんだけど、後半ありゃりゃ。ヒロインと思われた女性が出てこなくなる。何となくみんなの態度が変。まあ赤ん坊二人を抱え、貧しさの中でもけなげに働く女性に、幸運が舞い込んだことはよかったけど。あと、金持ちが金に物を言わせてあらいざらいかっさらってしまうため、金をためてはこつこつと収集している者は手も足も出ないとか・・そういうところは気の毒に思えた。 

「災いの古書」・・古書店主クリフを主人公にしたシリーズの四作目。三作目を読んでから間があいたので、背景とか忘れちゃったけど、これはなかなかおもしろかった。クリフの恋人エリンにはローラという親友がいた。深い絆で結ばれていたけど、ローラがエリンの恋人マークを奪って結婚したことから、仲は決裂。そのローラがマークを殺した容疑で逮捕され、弁護士のエリンに助けを求めてくる。彼女は自分がやったと自白してしており、状況はよくない。担当した保安官代理レニーは頭空っぽで、彼がいろいろミスをしているのは明らか。ローラの自白も、口のきけない養子ジェリーをかばってのこと。しかもマークの蔵書を調べてみると、貴重なサイン本がどっさりあり、これが動機の第三者による犯行にも思われた。ローラの言動には何か裏があるように思える。ウソをつく、隠し事をする、忠告を聞かない、それでいて助けて欲しい。虫がよすぎると言うか、信用できない。エリンは心にわだかまりを残しつつ、プロとして全力を尽くす。そのうちジェリーには特殊な才能があることがわかる。映画の「レインマン」で知られるサヴァン症候群だ。彼の場合見たものをそのまま記憶し、絵に描くことができる。写真より鮮明に。だからサインも・・マークが金儲けのためにジェリーに書かせていたのだ。そして真犯人はやはり・・。今回のクリフはあまり有能じゃない。余計なことしゃべりすぎ。ラストは皮肉だ。ジェリーは言葉を取り戻すけど、絵の才能は失ってしまう。三作目を読んで、このシリーズはもう読まなくてもいいかな・・と思ったけど、また見つけて読んでしまいそう。

ち)

G・K・チェスタトン

「ブラウン神父の不信」・・短編集だが、やや読みにくいと言うか、わかりにくいと言うか。そこは博士ではなくて秘書だろう?と思ったり。原文もそうなってるのか、訳がおかしいのか・・って読んでない人には何のことかわからないね。「犬のお告げ」での犬の心理解説はおもしろかった。この時代に限らず、ある出来事をその人の都合のいいように解釈するってのはよくあるな。特に動物が何かやってるとキャーかわいい!とか、私のためにこれをやってくれたのねと感激したり。いやいや本人(←?)はそう思ってないって。私だってかわいいとは思うけど、人間のためにかわいいんじゃないし、人間のためにそういうことやってるんじゃないってことくらいは承知している。まわりのものが自分のために、人間のために存在しているってあまり思わない方がいい。

「ブラウン神父の童心」・・読んでいて・・確かに読んだはずなのに・・内容がつかめない。それで、しばしば前に戻ることになる。ちょっとしたことをうまく料理して一つの話にまとめ上げているなという感じ。おもしろいかと言われればそうでもないと答えるしかないけど。

レイモンド・チャンドラー

「大いなる眠り」・・マーロウが33歳と若いのにはちょっとびっくり。賄賂は受け取らないし、請求する報酬額も良心的。そこが何だかよかった。

「かわいい女」・・これは前に一度本を買って読んだけど、その後処分しちゃったんだと思う。映画がテレビで放映された時は、予告でブルース・リーの出演部分だけをくり返しやっていたような記憶が。もちろん原作にはないキャラで、出演シーンもほんのちょびっと。映画そのものも全然おもしろくなかったと思う。何にも覚えていないから。原作の方は・・退屈だしわかりにくいし、要するにつまんない。読んでいてもなぜマーロウがこういう行動を取るのか理解に苦しむ。相手が若くてかわいい女性だと必要以上に親切にする。わざわざ警官を怒らせ、殴られなくてもいいのに殴られる。バッカじゃないの?たぶんこういうふうに釈然としないものを感じるのは、私が若くもなくかわいくもないオバサンだからだろう。とは言えこの種のどの作品読んでもいつも思うんだよな。もし彼女が若くもなくかわいくもなかったら主人公は同じことをするだろうか・・って。少ししかお礼が払えなくても動いてくれるかしら。悪いことしても見逃してくれるかしら。 

「さらば愛しき女よ」・・これはテレビでやったようだ。これもあんまりおもしろくないな。健全でマーロウの相棒・・秘書にはぴったりの女性が出て来るけど、興味がない。マーロウが引かれるのは美貌で危険な女。世の中うまくいかないね。

「長いお別れ」・・例によってあとがきで持ち上げているが、私にはぴんとこなかったな。と言うか、内容思い出せない(読んだばかりなのに!)。エリオット・グールドで映画化されてるのは知ってるけど、見たことなし。グールドにはマーロウのイメージ全然ないけど。映画には猫が出て来るのだそうで、それは見たいかな。

「ブルー・ダリア」・・絶対手に入らないと思っていたのでうれしかった。小説かと思ったらシナリオ。ちょっと驚いたのはチャンドラーのベロニカ・レイク評。口を閉じてる時はいいけど、何かやり出したとたんひどくなる・・と酷評。でもレイク扮するジョイスのキャラをあいまいにしたのはチャンドラー自身で。

「プレイバック」・・チャンドラーのマーロウ物。まあまあ。この二冊は先日の東京行きで見つけたもの。二冊で100円という破格の安さ。状態は悪いけど、読むのには何の支障もない。

「待っている」・・中短編集。マーロウが出てくるのは一篇だけ。まあホント信じられない世界です。相手と話す前にまず殴るとか、ろくにごはん食べないでウィスキーばかり飲んでいるとか、極めて不健康な生活。ビールはほとんど出てこなくて・・。

「チャンドラー傑作集1」・・私はじっくり読むのが好きな方だから、短編はあまり好きじゃない。でも読むけど。てっきりマーロウ物だと思ったら、そうでないものも。たまに興味深いキャラはいるけど・・「赤い風」のイバラとか・・、ほとんどは嫌な連中。

て)

フィリップ・K・ディック

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」・・「ブレードランナー」の感想を書くため読み直した。内容はほとんど忘れていて、てっきり短編だと思ってた。映画とは全然内容が違う。読んでいて思うのは、こういう未来の話を書く時、あるいは宇宙の果てでの話を書く時って、ものの考え方それ自体が今ここにいる我々のものとは違うという前提で書かれていること。ヘンなこと考えるなあとか、話しているなあと思うのは・・この作品の場合電気ペット、あるいは本物の動物を飼うこと・・そういう社会になっているからだ。そうか、SF作家ってそういう想像力も働かせるのか・・と思ってみたり。SF映画だと、どんなに時代が進んでも、どんなに地球から離れても人間は変わらないみたいな描き方するけど。

「偶然世界」・・ディックの処女長編なんだそうな。ディックはいちおう有名なので、古本屋で見かけると買うようにしているけど、読んでおもしろいのってあんまりなくて、この頃では買わなくてもいいかなと思ったり。これもわかりにくいし(時々前へ戻って読み返すはめになる)、はずれかなと思ったけど、読み終わってみればまあまあかなと。

「ゴールデン・マン」・・「NEXT-ネクスト-」の原作だけど、もちろん内容は全然違う。主人公は新人類と言うか。特殊な能力があるからどうのってことではなくて、普通の人間にはあるものがなくて、それで完成していると言うか。過去が存在せず、一人で生きていけるみたいな、そういうところが印象に残った。

「パーキー・パットの日々」・・読み返した。ディックは最終戦争後の暗い日々を書いてることが多く、読んでいて後味が悪い。

「ペイチェック」・・読み返した。

「高い城の男」・・フィリップ・K・ディックの長編を読むのは初めて。読んでいる間中ずっと、これはスタニスラフ・レムの作品だ・・いや、違うディックの作品だ・・と、頭の中で思いっぱなし。何でかなと思ったら、レムには「高い城」という自伝があるからだった。WOWOWのガイドブックにルーファス・シーウェルの記事が載っていて、テレビシリーズ「高い城の男」のジョン・スミス役なんて書いてあって。でも、ジョン・スミスなんて登場しないんだよな。まあ見る機会もないだろうからどうでもいいけどさ。戦争が枢軸国側の勝利に終わった世界を描く。日本人のことはさほど悪く書かれてないが、読んでいて退屈。おもしろくない。

コリン・デクスター

「ウッドストック行最終バス」・・これはモース物の一作目か。ルイスの方がモースより年上みたいな描写があって「あれ?」と思う。一作目から的外れの推理展開して・・あれ?もう内容思い出せないぞ(まずい!)。

「オックスフォード運河の殺人」・・へえ・・モースってこんな感じなんだ。「新米刑事モース」の頃のういういしさもナイーブさも繊細さも・・っておんなじことか・・とにかく違うじゃん!でっぷり太って酒飲みで女好き。こんなモースいやだわん。

「悔恨の日」・・主人公が死んでしまうのは珍しいな。酒をやめ、タバコをやめ、ちゃんとした食事を取り、適度な運動をして、処方通りに薬を飲み、あるいは注射を打ち、休養を取っていればもう少し長生きできたんだろうな。モース物を読むのは、ルイスが好きだからだ。彼の奥さんはフライの名人なのだそうな。朝から揚げ物、炒め物。パンまで揚げるってどういうことかな。焼くのならわかるけど。夕食は週に三回はエッグ・アンド・チップス。ルイスは毎日同じもの食べても平気な方らしい。

「カインの娘たち」・・テレビの方は細かい部分は覚えてないけど、こちらでは犯人ははっきりさせていたな。ただ、読んでいても電話の通話記録とか何で調べないのかなと思ってしまう。犯行時、ブレンダの家からジュリアへ、ケイへ、ケヴィンへ電話がかけられていることがわかったはずだが。それと例によってモースはジュリアやケイに心を動かされ、ケイはモースのせいで結婚を取りやめる。あほらしいったらありゃしない。また、冷静で用意周到で自分が罪をかぶる気でいたジュリアが告白書を残しておかないのもおかしい。

「消えた装身具」・・おもしろかったけど、モースは間違った推理で暴走。原文がそうなのか、訳が間違ってるのかフィリッパの年齢が29歳だったり35歳だったり。昼食なのに朝食だったり。あと、章の最初にいちいち引用文があるのがわずらわしいな。

「キドリントンから消えた娘」・・う~ん何ですか、これ。結局何がどうなったんですか?例えばこんな作文出したら先生に言われちゃうと思う。「最後までちゃんと書きなさい」って。何もかも宙ぶらりんのままなのに、あとがきではほめちぎっていて、こんなのおかしいんじゃないの?

「ジェリコ街の女」・・読んでもさほど面白いとは思えない。英国推理作家協会賞受賞となっているが、筋立てに無理があって、とてもうまくいくとは思えない。

「死者たちの礼拝」・・ぎゃッ、これも読んだばっかりなのに内容思い出せないぞ。ええと、そうそう、犯人は死んだあの〇〇としか思えないと思ったんだよな。コマンド部隊にいたんだから。何だか読んでても話に無理があるし、あれはどうなったんだ?これはどうなったんだ?と思うことばかり。どの小説読んでても何とか賞受賞とか、かんとか賞候補とかほめちぎっていて、これのどこがそんなに優れているのだ?と不思議に思う。別に優れた作品に与えられる賞とは限らないのかな(おいおい)。

「死はわが隣人」・・ええと、どういう内容だったっけ。大学の学寮長の地位を争ってるんだっけ。モースはビール代とかいつもルイスに払わせていて、ずるいやつだ。

「謎まで三マイル」・・最後の方になっても被害者の身元ははっきりしない。関係者はあらかた死んでしまう。いくらページをめくっても身元判明に行き着かないのは困る。こちとらご飯も作らなきゃならないし、風呂にも入らなきゃならないし。で、風呂の中でつらつら考える。みんな死んじゃったということは、たぶん被害者は〇〇なんだろう・・って。で、後で読んでみたらやっぱり〇〇でしたとさ。ここでのモースは歯痛に悩んでいる。決められた量の二倍の痛み止めを酒で流し込む。

「ニコラス・クインの静かな世界」・・で、結局何が何だったんですか?私の頭がおかしいのかな。もう一度読み返せってことなのかな。ポアロやマープルではちゃんと最後は謎解きされてたと思ったけど、こっちは何でいつも中途半端で終わるのかいな。 

「別館三号室の男」・・推理小説で何かをほのめかすというのはよくあるが、それがあまりにも多いのも考えものだ。読み終わっても何が何だかわからない。はっきりとした結末よりも、そこへ行くまでの過程を楽しめということかもしれないが、あたしゃはっきりした結末の方がいいです!モースは”偶然”ラスタファリー教徒とやらを見つける。あらまあ、偶然ですか。

「モース警部、最大の事件」・・これは短編集。モースの出てないのもある。全体的に意味がわからず、おもしろくない。何度読んでもわからん。

「森を抜ける道」・・これは迷ったのよ。ポケミスだけどページははずれてるし、端はよれてるし、一度濡れて乾かしたような感じ。文庫が出てるしもっと状態のいいもの見つけるまで待とうかと思ったけど、でもやっぱり買ってしまった。「死の蔵書」の収集家みたいに美品求めてるわけじゃない。読みたいから買うのだ。で、内容だけどテレビとはかなり違っていて、わかりにくいしあいまい。最後の謎解き部分であいまいな表現されると、どっと疲れが出て頭にくる。でもまた読むんだけどさ。 

ダフネ・デュ・モーリア

「愛と死の記録」・・「レイチェル」という題で文庫が出ている。訳者も違うから、少しは感じも違うのか。何度読んでも真相はいったいどういうことだったのだろう・・と思ってしまう。こういうあいまいな結末は好きではないのだが。ポイントは語り手が若くて未熟な青年であること。フィリップはまわりが男ばかりの中で育ち、女性に接する機会がない。幼なじみのルイズがいるが、女性として見てない。自分を育ててくれたアンブローズの未亡人、年上のレイチェルにのぼせてしまう。本来なら彼女が受け取るべきだったもの・・と、宝石やら何やらを全部贈ろうとする。贈ったって大丈夫、彼女はボクと結婚するのだから・・。読んでいても何というアホなのだ・・と呆れる。フィリップが単細胞なのに対し、レイチェルには何層にも重なった複雑さがある。経験を積んだ男性なら彼女を理解できる。長所もあれば短所もあると。そこがおもしろいから、私は何度もこれを読むのだ。デュ・モーリアの作品の中では「埋もれた青春」の次に好きな作品。

「鳥」・・デュ・モーリア傑作集。つい最近もテレビでやったよな。見なかったけど。「鳥」はオッサンとその家族が主人公で、ティッピー・ヘドレンやスザンヌ・プレシェットのような美女は出て来ません、念のため。

と)

コナン・ドイル

「恐怖の谷」

「四つの署名」

「緋色の研究」

・・NHKBSで「シャーロック」を見たのが運のつき(←?)、ベネディクト・カンバーバッチにドボンとはまり、抜け出せません。「殺人は容易だ」を見てもな~んもはまらんかったのに。

テレビで「シャーロック・ホームズの冒険」を放映している。ジェレミー・ブレットははまり役だ。古本屋で「冒険」と「回想」を見つけたので読んだ。他のも早く読みたいけど見つけるまでがまんだ。

シャーロック・ホームズの冒険

シャーロック・ホームズの事件簿

シャーロック・ホームズの叡智

シャーロック・ホームズの最後の挨拶

シャーロック・ホームズの帰還 

ドイル 海洋奇談編

ドイルの短編集。

ドイル恐怖編

ドイルの短編集。

ドイルミステリー編

中では「甲虫採集家」がよかったな。映像化するならリンチミア卿役はS・ウェストがいいな・・なんて思ってみたり。

「失われた世界」・・映画になってるはずだが、見ていない。力強くて、荒唐無稽なわりには説得力がある。ただ、飛べる翼竜が他へ行かないというのは変。

「霧の国」・・ドイルの晩年の作品。チャレンジャー教授物だが、出番は少ない。ドイルが心霊術に傾倒していたことは知られているが、死ぬまでそうだったのかな。この作品では肯定している。

「マラコット深海」・・ヴェルヌの「海底2万哩」を意識しているのかな。水圧のことが無視されてるのがご愛嬌。

「わが思い出と冒険 コナン・ドイル自伝」・・これは古本。こんなのが出ているとは知らなかった。ドイルなら「シャーロック・ホームズ」についての記述を期待するところだが、ドイル自身はそれ以外の・・歴史小説などで認めてもらいたいらしい。読者の期待なんて無視。また、ドイルと言えば心霊研究で知られるが、さぞたくさん出てくるかと思いきや、最後の方で少しだけ。おもしろいのは本文ではなく、訳者による注釈。親切にいろいろ書いてあるが、ドイルが選挙に二度目の立候補をする部分で???となる。対立候補トミイ・ショウのことを、アラビアのロレンスとしているのである。彼・・トーマス・エドワード・ロレンスは1888年生まれだから、まだティーンエージャーだ。彼は第一次世界大戦後ショーと名乗ったりする。それとトーマス・・トミイで思い違いしたのかな。

マーク・トウェイン

「不思議な少年」・・昔「ふしぎな少年」というテレビ番組があったな。「時間よ、止まれ」「サブタン」・・そうだ、思い出したぞ、今はネットで調べればたいていのことは出てくる。便利な世の中になったものだなあ。話を戻して小説の方は1590年・・おや、だいぶ昔の設定だな。美少年サタン・・そんな名前名乗っていて大丈夫なのかね。トウェインがこんな暗くてある意味救いようのない小説書いていたなんて驚きだ。そうか、みんながそう思っているからそうなるのではなく、実際はそう思ってないのに、一部の人の声の大きさに引きずられてしまうのか。自分もそうしないとひどい目に会うのではないかという恐れ。そう思ってない人を見つけると、自分だけじゃないんだ、やっぱりおかしいんだと思う方へ行かなくて、この人はこんなこと思ってますよと弾劾する方へ行っちゃう。そうなるともうみんなして監視し合って、自分の安全のため、自分を偽る。

「不思議な少年 第44号」・・図書館から。岩波文庫の「不思議な少年」を持ってるので、同じかと思ったら印刷所が出てくる。あら、じゃあ別の話?あとがきを読んでびっくり。ニセモノが80年近くも一般読者をダマしつづけてきた云々。「不思議な少年」は3バージョンあると。書いたものの推敲することもなくトウェインが死んでしまったと。確かに読んでいても編集者じゃなくたって、ここは削りたいとかここはもっとわかりやすくとか何回も思ってしまう。途中で44号の性格が変わるし、最後の方は何が何だかさっぱりわからない。とは言え、最初の方・・現われた少年が名前を聞かれ「第44号 ニュー・シリーズ864962」なんて名乗るところは、SFみたいでびっくりだ。どう考えたってロボットでしょう。どんな力仕事も平気で、疲れも見せない。あるいは人の心を読むなんて超能力者とも思えるし、トウェインはSFも書いていたのか!と期待したんだけどね。そのうちグズグズになる。風呂敷を広げ過ぎたと言うか。

ピーター・トレメイン

「修道女フィデルマの洞察」

「修道女フィデルマの采配」・・書店で見かけることはあっても、古本屋にはなく、それで今までスルーしていた。古本にしてはちょっと高かったけど、2冊あったので買って読んだ。修道士カドフェルよりずっと前、7世紀半ばのアイルランドが舞台。なじみのない言葉が続出し、最初は何だか読みにくかった。フィデルマがそうであるように、女性の地位に男女差別がないなど、意外なことばかり。知的で冷静なフィデルマのキャラも好もしく、もっと早く読めばよかった。他にも何冊かあるようだし、捜す楽しみが増えた。

「死をもちて赦されん」・・修道女フィデルマシリーズの一作目。カドフェルもそうだけど全体的に退屈でわかりにくい。なじみのない世界、時代。まあカドフェルはもういいけどこっちは見つけたらまた買うつもり。何と言っても女性が主人公だからね。664年か663年に開かれた教会会議が舞台。登場人物の多くも実在する人。連続殺人はフィクションだろうけど。フィデルマはエイダルフという修道士と共同で殺人の捜査をすることに。プライドの高い彼女は共同でなんていやだったけど、行動を共にするうちに心もほぐれ、彼を得難い友人とみなすようになる。恋したんじゃないわ友情よ!友情・・ってところか。

は)

パトリシア・ハイスミス

「孤独の街角」・・ハイスミスの作品はなかなか手に入らないから、見つけた時に買っておかないと・・そう思って手に入れたけど・・。いっこうに事件は起こらないし、起きたと思ったら犯人はバレバレ。推理も何もありゃしませんでしたとさ。

「殺人者の烙印」・・これも古本。108円だし、パトリシア・ハイスミスのなので買ってみた。どんどん事態が悪化していくんだけど、行動起こさない主人公の夫婦に、もどかしさを感じる。警察の態度のていねいなこと。アメリカじゃこうはいかない?

「見知らぬ乗客」・・ヒッチコックの映画版とは結末が違う。映画で印象的なテニスの試合も、クライマックスの回転木馬もなし。あと、「死刑台に接吻」という映画があるけど、原作は「見知らぬ」なのね。一度見たいと思ってるけど。

「リプリー」・・読み返した。リプリーの特徴は、あまりあわてて行動しないこと。わりとのん気に構えている。 

ロバート・A・ハインライン

「銀河市民」・・図書館には不要な本を置くスペースがある。気に入ったら持ち帰ればいい。空っぽなことも多いが、時には置いてあることも。ハインラインだし・・と思って持ってきて読んだが、まあまあだった。主人公の少年は奴隷で、彼を買ったのは乞食。少年はいろいろなことを教えられ成長する。乞食は諜報員か何かで、奴隷制度撲滅のために尽力しているらしい。乞食が死ぬと、少年は商人の船で、ある一族の一人として火器担当員になる。その後軍用船に。そのうち身元がわかる。ある大企業の大金持ちの跡取りだったのだ。三つくらいに分けられるが、最後の方は・・大金持ちになってからはさっぱりおもしろくない。終わり方も尻切れトンボ。ただ、年頃なのに女性に全く興味がないというのは珍しい設定。

「夏への扉」・・この作品が愛されるとしたら、猫のピートのおかげもあるかも。特に「猫にとっては、つねに”一度に一つ”なのだ」という文章には感心してしまった。

再読・・映画を見たので読み返した。福島正実氏の訳文が小気味いい。「腕に、ぼたん雪がぱらりと落ちたような感じ」・・猫を飼ってる人なら猫に片足かけられて、腕にその重みを感じる、あの感じがわかるだろう。軽くさりげなく、でも意志を持って。何かして欲しい時じゃなければ猫はそんなことしませんて。そしてこっちはそういう要求をされることがうれしい。こちらを覗き込むあの表情まで目に浮かぶ。

「天翔る少女」・・長野で見つけた。ロバート・A・ハインラインの作品は古本屋でもあまり見かけないので、買って読んでみたが・・。何じゃこりゃ。ポディという少女の一人称で語られるのだが、これがまた退屈でさっぱりおもしろくない。すぐ眠気を催してくる。従って内容がちっとも頭の中へ入ってこない。終わりの方は何が何やらだ。

ダシール・ハメット

「ガラスの鍵」・・何かわかりにくいし、退屈なんだけど、それでいて先が読みたくなる不思議な小説。

ひ)

エリス・ピーターズ

「悪魔の見習い修道士」・・確かテレビシリーズも作られているんだよな。見たことないけど。内容は、これと言って・・つまんなくもないけどワクワクもしない。

「死体が多すぎる」・・あんまりおもしろくない。あんなの無理だと思う。でもとらえどころのないべリンガーのキャラはいいと思う。おもしろくないと言いつつ、見つけたらまた読むつもり。

「修道士の頭巾」・・修道士の頭巾てトリカブトのこと。犯人は予想つく。今来たばかりなので犯人じゃないってのは、たいてい引っくり返る。今来たばかりのフリしただけ。

「聖女の遺骨求む」・・美男美女が出てきて、殺人事件が起こって、濡れ衣を着せられると助かる見込みはまずないから逃げて。最後は真犯人が見つかってめでたしめでたし。このパターンは一作目からずっと変わらないようだ。

「デーン人の夏」・・途中まで読んだけど、退屈なのでしばらくほったらかしにしてた。やっと全部読んだ。今回カドフェルはあまり活躍せず、脇役。どんなに主人が愚かでも、部下である以上忠節を尽くすということから起きる悲劇。そのどうしようもない主人が生き残るのだから、やんなっちゃうね。

トニイ・ヒラーマン

意外にたくさん翻訳されて出ている。全部読みたい!主要人物がナバホ族なので、他の白人黒人を主人公にしたものとはちょっと異なる。考え方の違い、面倒くさい習慣。読んでいてわかりにくいところもあるけれど、それは別にこの作者の作品に限らない。ホント、自然の描写とか長々とやられると、こっちもうんざりしちゃうのよ。とっとと事件の解決に向けて足を踏み出せ・・っての。花がどうの、草がどうの、風がどうの、月がどうの。あるいはクイーンみたいにぐだぐだ演説するとか、おっそろしく回りくどい言い方するとかさ。まあ好きなこと言ってますけど。作品のいくつかは映像化されているらしい。ジム・チー巡査がルー・ダイヤモンド・フィリップスだなんて・・見たいよ~ん。

トニイ・ヒラーマンの作品は「祟り」だけだと思っていた。一発屋だと思い込んでいた。本屋で見かけないし、古本屋でもそう。ゴールデンウイークで東京へ行った時二冊見つけてびっくりした。もっとびっくりしたのは何冊か邦訳が出ていること。ただ、古本屋で気長に捜すしかないようだ。若い巡査チーが主人公のものと、リープホーン警部補が主人公のものがあって、二人が初めて顔を合わせるのが「魔力」。「祟り」はリープホーン、「黒い風」はチー物。

「魔力」・・持ってる中では「魔力」がお気に入り。何しろ猫が出てくる。チーのトレーラーハウスの近くをうろつき、そのうち中へ入ってくる。しかし決してなつかない。ところがチーはおなかの大きいその猫を箱に入れて元カノのところへ送ってしまうのだ。何てことを!突然猫を送りつけられた元カノはどうしたかね。迷惑だったんじゃないの?猫にとっても大迷惑!!

内容は三件の殺人と、警官・・つまりチーの殺害未遂事件。チーには自分がなぜ狙われるのか、いくら考えてもわからない。

「黒い風」・・セスナの着陸失敗、麻薬密輸、たまたま近くにいたために疑われるチー。明らかにリープホーンよりチーの方が魅力的なキャラ。白人とは違うナバホやホピなどのネイティブアメリカンの物の考え方、行動の仕方が興味深い。

「コヨーテは待つ」

「死者の舞踏場」・・ヒラーマンの小説はちょっととっつきにくい。たいてい冒頭はある人物の・・被害者の心理描写。意味不明の名詞がずらずらっと出てきて、さあ読もうという意欲がちょっとくじける。第2章でリープホーンが出てきてちょっとホッとする。今回は彼が主人公か。いつものようにあまりなじみのないネイティブ・アメリカンのものの考え方が披露される。しかも部族によってみんな違う。白人が主人公の小説なら、ネイティブ・アメリカンの連中は・・とひとくくりにされるが、こちらでは逆だ。白人の方がひとくくりにされる。それにしても、ぼかしたような終わり方は気に食わない。せっかく苦労して読んできたのに。そこで前に戻ってあれこれ考える。犯人はどうなったんだ?ふんとにもう・・ほんとにもうじゃなくてふんとにもうですよ、鼻息荒くしたくなるから・・あいまいな終わり方するのはやめてくださいッ!

「聖なる道化師」

レジナルド・ヒル

「幻の森」・・ダルジール物。デブで好色なダルジールも、細かいことにくよくよこだわるパスコーも、あたしゃ好きじゃないんです。もう一人ウィールドってのが出てくるけど、彼の方がよっぽどマシ。パートナーのエドウィンは本ばかり読んでいて、家の中はどこもかしこも本だらけ。製薬会社の研究所。動物実験に反対する連中の侵入事件。侵入途中の、ドロドロの沼地で見つかった人骨。パスコーの祖母の死。パスコーのひいじいさんの話。第一次世界大戦中の塹壕戦。雨でドロドロ、地獄のような毎日。無意味な死。綿密に組み立てられているのはわかるけど、頭の悪い私にはついていけない。第一あまりおもしろくない。本・本・本の洪水。積み上げられた本の間で溺れ死にしそう・・そっちの方想像してる方が楽しくていいや。

「王子を守る者」・・英国王子アーサーの描写がおもしろい。途中で主人公の娘が死んでしまうのが後味悪い。

「幸運を招く男」・・これはダルジール物ではなくて、ジョー・シックススミスというさえない探偵が主人公。あまり頭もよくなくて、要領も悪くて、読んでいても今いちおもしろくないのだが、ホワイティという黒猫を飼っていて、それだけかな、興味を引くのは。それにしても誤植が気になる。暗唱番号とかさ。

「死にぎわの台詞」・・これはダルジール警部物で、読むのは初めて。いろんな警部物、探偵物があるけど、中にはあんまり個性がなくて、印象に残らない人も。読んでしばらくたつと、内容が思い出せない。三人の老人が一晩のうちに死ぬという話だったな、覚えてるのはそれだけ。

「秘められた感情」・・ダルジール物。でももっぱらパスコーが動く。ダルジールはウェクスフォードと同じであんまり魅力ない。ウェクスフォードの方は家族いるけど、ダルジールは独り者か・・ん?妻は出ていった?パスコーも頭の中でぐだぐだ考える方。二人揃って魅力なし。でもシリーズ全部読むぞ。今回はバックハウスという警視も出てくる。ダルジールよりも優秀かも。

「べウラの頂」・・これはダムの底に沈んだ村の話。ダルジール物。彼のキャラは強烈だけど、どうも好きになれない。コンビを組むパスコーがまたうじうじしたやつで。魅力を感じないと言いつつ、作品は集めているけど。

「甦った女」・・ダルジール物。どうも最近読むものは、スカッとした終わり方をせず、何やらフニャフニャと言うかフニュフニュと言うか、何かごまかされたような気分。

ジェームズ・ヒルトン

「心の旅路」・・映画の感想書くついでに読み返した。映画と違い、ポーラの比重は軽い。戦争で記憶失ってラストで全部(その間にももう一度記憶失ってるし)思い出すまでには20年ほどかかっている。映画と違うもう一つの点は、次の戦争への不安を感じ始めていること。出版が1941年で映画が42年。そのことを考えながら読むとまた一味違うかも。ドイツは本気なのか、今度もまた何もなくてすむんじゃないか・・そういうふうに思われていたのね。

「学校の殺人」・・定価は170円だ。買ったのは50年近く前。何度も読んだ。ジェームズ・ヒルトンは「チップス先生、さようなら」で知られているが、こんな推理小説も書いていたのだ。長編はこれ一冊きりなのだそうで、他に短編が二つあるらしいが、読む機会はなさそう。解説でもそれ・・推理小説が書かれなかったこと・・を惜しんでいる。ちょっとした文章や詩を書いてのん気に暮らしている、いささかうぬぼれ屋なところがある若者レヴェルが主人公。母校で生徒が怪死し、校長から調べて欲しいという依頼が来る。レヴェルは在学中ちょっとした推理で事件を解決したことがあり、いまだにそれで知られているのだ。ところが第二、第三の事件が起き・・。こいつが怪しいと思うものの証拠はなく・・。おまけにそいつの奥さんにポ~ッとなってしまった。まあ今読めば犯人はすぐわかる。レヴェルが気づかないのがおかしいくらいだ。でも、何度読んでもおもしろいんだよな。

ふ)

ジャック・フィニイ

「盗まれた街」・・テレビでやったので復習。

「レベル3」・・短編集。これは以前定価で買ったもの。2000円プラス税なので、なかなか踏ん切りがつかなかったが、古本屋でも見かけないので。「おかしな隣人」という作品は、何十年も前に買った「時をかける少女」の解説で紹介されていたので、読んでみたかった。だからこの作品は読んだはずだが、他のは読んだのかどうか。でも読み始めてわかったけど、読んでなかったみたい。前置きが長いが、要するに一冊一冊の本にはそれぞれいわくと言うか、歴史があるわけ。一冊の本であると同時に、他の本といろいろつながってる。11の短編がおさめられているが、「トータル・リコール」を連想させるもの、ロマンスもの、読んでいていたたまれなくなるものなど、いろいろ。現実から逃れたいけど、やっぱりその中で生きていくしかないという内容が多い。

イーデン・フィルポッツ

「だれがコマドリを殺したのか?」・・フィルポッツの作品だが、さっぱりおもしろくない。いちおう新刊買ったんだけど。登場人物数人のだらだらした関係が続き、最初の殺人が起きる頃には、今更どうでもいいやという感じにさせられる。

「灰色の部屋」・・まあしょーもないことを延々と議論してバッカじゃないの?って感じ。あげくの果てにはボルジア家。何だよ全く。

「赤毛のレドメイン家」・・フィルポッツの代表作。たぶん乱歩が激賞したおかげで読まれているのかも。確かに他の作品に比べれば勢いがあって、ノッている感じ。まあ訳者のおかげもあるんだろうけど。これは新刊を買った。税込みで1320円。古本なら何冊買えるだろう・・いやいや、安いせいで買わなくてもいいようなものまで買って、本棚が満杯になってるのだ。少しは反省しろ!・・どう見たってAがBを殺したように見えるけど、死体がない。Aは目撃されるけど、いっこうにつかまらない。あなたそれは殺したのがBで、殺されたのがAってことですぜ。これ常識。しかもAには赤毛という目立つ特徴がある。赤毛でさえあればみんなAがまだ生きてると思い込む。

ダン・ブラウン

「ロスト・シンボル」・・みんなの本だなで見つけた。例によって上中下。上下でいいのに。映画の方はやや間があいているが、この作品ではなく「インフェルノ」が製作中なのかな。ベン・フォスターが出ているらしいので、そこは期待してしまう。「ロスト」の方は何じゃこりゃ的内容。例によって大風呂敷。さんざんあおるけど焦点ボケボケ。特にCIA保安局局長イノエ・サトウ・・ってなった時点で、少なくとも日本人読者は萎えるよ。「ティファニーで朝食を」の時代ならまだしも21世紀ですぜ。極東の謎の国じゃないんだからさぁ。名前くらいちゃんとしようよ。それ以上に私が腑に落ちなかったのが、CIAがどうやってあの動画を入手したのかということ。どこにも書いてないでしょ?マラークが送りつけたのかな?とも思ったけど、送ってない。自宅に踏み込まれて初めてCIAが関与しているって気づいたくらい。動画に気づいたのはCIAの分析官ノーラだろう。彼女がサトウに報告したのだ。でも・・どうやって気づくの?撮影したものをパソコンにアップした時点でCIAにはわかっちゃうの?それくらいすごい情報収集機能があるなら、そのパソコンのある場所・・マラークの居場所くらい簡単にわかるのでは?簡単と言えばマラークの正体も、すぐわかりますな。

テレビでやったので図書館から借りてきて読み直した。以前なら古本見つけて買うところだが、今は買わない。いつでも読めるように自分の手元に置きたいという気にならない。ラングドンは40代、キャサリンは50代になるところだから、ロマンスの花開くとはいかない。ピーターとキャサリンはテレビでは親子だが、こっちは兄妹。テレビでは数日たってるけど、こっちはほとんど一晩の出来事。あと違うのはカスケードという機械もザカリーを変えるきっかけとなるシェムハザも出てこないこと。ヌニェスも活躍しない。何かあるごとに回想が始まるので、またかよ・・とうんざりする。ま、こういうのでも入れなきゃこの分量にはならないんだけどさ。

レイ・ブラッドベリ

「何かが道をやってくる」・・レイ・ブラッドベリの作品はあまり読んだことがない。この作品は・・まあたぶん今まで読んだSFの中でサイコーに退屈な作品だったな。こんなにおもしろくないなんて・・読みながら首をひねってた。SFだと思っちゃいけないのかな。アマゾンのレビューでは翻訳がひどいと書いてある。大久保康雄氏と言うとデュ・モーリアの作品があったな。ほとんど全部大久保氏の訳だった。たぶん他の人の訳でも私にはこの作品は合わないな。

ロバート・ブロック

「血は冷たく流れる」・・図書館で借りたもの。「サイコ」で有名なロバート・ブロックの短編集。SF調ありホラー風味ありと多彩。印象的なのは「野牛のさすらう国にて」。核戦争を生き残ったのは生き残り術に長けたアウトロー達だった。人類の数は激減し、今では動物の方が数が多いかも。ジェイク達三人は野牛狩りに行くが、夜、空からロケットが。戦争直前月へ脱出した連中が様子を見にきたのだ。連中は今では人口が増えたので地球へ戻りたい。文明が進むどころか逆戻りしていることに驚き、こりゃ政府の指導のもとにちゃんと教育し、文明を発達させなくちゃ・・と言う。ジェイク達が今のままでいいと言っても耳を貸さず、言うことを聞かない者がいたら細菌兵器すら使いかねない始末。ジェイク達は連中をあっさり始末する。・・感染・自粛・経済衰退という時期だけに、この短編には考えさせられた。「もっといい暮らしを」「もっと便利に快適に」「もっと儲かる」「もっとおいしく」・・そんな暮らしは必ず行き詰まる。そういうのとは別の考え方があるよと気づくチャンスが今なのだと思う。

へ)

シリル・ヘアー

「英国風の殺人」・・図書館から。クリスマス、雪で孤立、殺人事件、この中に殺人犯が・・。まるで「ねずみとり」のようなシチュエーション。現職の大蔵大臣サー・ジューリアスの護衛のためヤードのロジャーズ巡査部長が同行しているので、彼に期待してしまうが、謎解きをするのは古文書解読のため屋敷に滞在していたボトウィンク博士。これがまあおしゃべりで思わせぶりで犯人の目星ついてるみたいなこと言うので、こういうのは犠牲になってもおかしくないが、最後まで生き残りましたとさ。

ま)

ジョン・P・マーカンド

「サンキュー、ミスター・モト」・・これは新聞で広告見てすぐ入手。でも今頃になってやっと読んだのよ。モトが出てくる作品で入手できたのはこれと、文庫の「天皇の密偵」と雑誌の「EQ」に二回に分けて載った「ミカドのミスター・モト」の三つだけ。あと輸入ビデオを一本持ってる。もちろん見ても内容はわからない。ジョン・キャラダインが出ていたような。シリーズ全部DVDで出ないかな。で、この「サンキュー」だけど、舞台は北京、モトは脇役である。日本人、中国人、アメリカ人、イギリス人が入り混じる。単純なことも多くの国が関係することで複雑になる。また、同じ中国人でも階層によって考え方や行動が異なる。それに比べるとアメリカ人は単純だ。男も女も無鉄砲。運命を受け入れず、変えようと行動を起こす。モトは複雑で、矛盾しているがそれでいて我々日本人の中にはそういう部分が確かにある。80年以上たって日本人の意識もだいぶ変わったけど、それでもね。ストーリーそのものはさほどおもしろくはない。でもいきなり切った張ったの世界に置かれて、現実とは思えないでいる主人公の気持ちはリアルだ。モトという苗字は別に変じゃないけど、訳者あとがきによると6作目の作品の中でモトは苗字の後ろ半分で、本名は・・となって、ヤマモトが例にあがるのはいいとして、もう一つの例がアジノモトなのだそうで、これには笑ってしまった。

ロス・マクドナルド

「ウィチャリー家の女」・・ロス・マクドナルドの作品も読むのは初めて。リュー・アーチャー登場作品では「動く標的」があるけど、映画の方はまだ見ていない。アーチャーは女性といちゃついたりせず、わりと真面目に調べ回ってるのが好もしい。

「動く標的」・・これは手に入るとは思ってなかったので、108円じゃないけど買ってしまった。映画では奥さんが出てきたけど、こっちでは出てこない。映画の記憶・・もううっすらとしか覚えてないけど・・をたどりながら読んでいた。

「運命」・・リュウ・アーチャー物。美しくけなげな若妻が実は・・という内容。麻薬をやめられない者とか、自分から立場を悪くしていく者とか、何だか読んでいても心が暗くなってしまう。

「ギャルトン事件」・・リュウ・アーチャー物。何と言うか、まともな人がいる一方で、殺伐としていて常識が通じなくて問答無用で・・っていう世界がある。アーチャーの態度にしてもまともかと思うと驚くほど無鉄砲で、一貫してないように思える。

「縞模様の霊柩車」・・中途半端なモース物を読んだ後でこれを読むと、よくできているなあと思う。最後の方はどんでん返し続きだが、ちゃんと始末されてる。推理物はこうでなくちゃ!

「別れの顔」・・リュー・アーチャー物。途中で警官に肩を撃たれて入院するけど、全然保障とかなくて、自分で支払ってるのが不思議。今だったら訴訟物でしょ。ある男が銀行から50万ドル横領するけど、どこにあるのかわからない。男の妻は見つけてくれたら半分あげるってアーチャーに言うけど、これも不思議よねえ。あんたのお金じゃないでしょ。出てくる連中はみんな秘密を持っていて、それを言わずに解決しろって言ってくるからアーチャーだって困るわな。とは言え途中で人妻と仲良くなっちゃうし、何だ他の探偵と変わらないじゃんとがっかり。でも他のも読みますけど。

シャーロット・マクラウド

「浮かんだ男」・・マクラウドは2005年に亡くなったので、もう新作は読めないと思っていたのだが、ぽつりぽつりと出ている。この作品も書かれたのは1998年のようで。セーラ・ケリングシリーズで一番面白いのは二作目の「下宿人が死んでいく」。一番先に読んだのがこれで、それでマクラウドの作品を読むようになった。「浮かんだ男」は正直言ってあまりおもしろくはない。

「唄う海賊団」・・六作目。これにはエマ伯母さんが出て来る。ケリング一族では彼女が一番マシな方か。フレデリック従兄もマシな方。マシでない方の代表メイベルも出て来る。客を招いても鰯一匹ですませる。

「おかしな遺産」・・書かれたのは1995年頃で、他にもう一編未訳の長編があるらしい。「盗まれた御殿」の後日談ぽい11作目。カバー絵のティストが変わってしまったのが残念。セーラ・ケリング物は全部読んでるが、これは最初のうちは読みながらクリスティーの「運命の裏木戸」みたいだな・・と思った。いつまでたっても話が進まないのだ。そのうち殺人事件が起きると少しは面白くなるが、読み終わってみると「あれ?」と思う。あの人は何で殺されたんだっけ?セーラは何で狙われたんだっけ?何で壁に穴をあけたんだっけ?何で帽子のピンを送ってきたんだっけ?園芸好きのアンのキャラがなかなかいい。

「消えた鱈」

「下宿人が死んでいく」・・もう何度読んだだろう。下宿をやるためのあれこれ。どうやったら少ない予算でたっぷりの食事を出せるのか。そういうやりくりが読んでいて楽しい。マックスと結婚してからは生活の心配もなくなり、そういうやりくりを読む楽しさは薄れていく。

「サンタクロースにご用心」・・これは短編集と言うかアンソロジー。シャーロット・マクラウドの作品はほとんど読んでる。ここでのシャンディ教授のはさほどおもしろくない。他の作家のもあんまりおもしろくない。

「盗まれた御殿」・・これでシオニアとブルックスが出会って結婚するんだな。ウスペンスカ伯爵夫人と言う強烈なキャラが出て来るけど、私はなぜかビル・ジョーンズが気になったりする。

「ビルバオの鏡」・・何と言ったってアピー伯母さん。そばにいられちゃ困るけど、本で読む分には楽しい人。小麦粉に埋まってるところを想像するだけで気分が晴れる。

「富豪の災難」・・8作目。ボーディシア伯母さんのマイペースぶりが印象的。

「復活の人」・・10作目。これはちょっとホロリとさせられるラスト。

「ポカパック島の黒い鞄」・・これはセーラ・ケリングシリーズの9作目・・と言うか、主人公はエマ伯母さん。

「リサイクルされた市民」・・セーラ・ケリングシリーズ7作目。ここらへんから後の作品はたぶんまだ一回しか読んでいない。つまり今回が二度目。前に出ていた人がまた出てくるというのが多くなる。それはそれで楽しいけど、最初の頃の生き生きとした感じはやっぱ薄れてきている。

み)

A・A・ミルン

「赤い館の秘密」・・読んでから一ヶ月もたってないのにもう内容思い出せない。作者ミルンは「熊のプーさん」で有名なのだそうな。でも私って世間でよく言われる童話のたぐいは全然記憶にないんだよな。医者とか行くとよく待合室でお母さんが子供に絵本読んであげてるけど、私について言えば母親に読んでもらった記憶もなし。

め)

ハーマン・メルヴィル

「白鯨」・・読み返したが、半分以上は読み飛ばした。最初に読んだ時は全部ちゃんと読んだけど、退屈で眠くなった。クィークェグがユニークで魅力的で、最初のうちはまあおもしろいけど、航海が始まるとあんまり出てこなくなって残念。エイハブとか全然魅力ないし。これもテレビで映画やったので読み返したんだけどね。

「幽霊船」・・これは最近古本屋で見つけたもの。定価より高い値がついていて、しかも水に濡れたらしく、状態もよくないのだが、「白鯨」以外のメルヴィルの作品はなかなか手に入らないだろうと思って。「幽霊船」は前半は退屈でしかもわかりにくい文章。途中でがらっと変わって展開が速くなる。今までのことが説明される部分は裁判の証言記録という形を取っているので、ますます読みにくい。これは肯定してるのか否定してるのか・・わけがわからない。口語体で書いて欲しかった。「バートルビー」はとても変わった作品。読みにくいのは同じだが、バートルビーという謎の青年のことが気になって最後まで読んでしまう。結局最後まで謎は謎のまま。真相はどうのと言うより、そこへ行くまでの過程がメインなのだろう。

も)

パトリシア・モイーズ

「サイモンは誰か?」・・みんなの本棚から。こういうハヤカワミステリがみんなの本棚にあるなんて珍しいことで。モイーズの名前はハヤカワミステリや文庫の解説でよく名前が出てくるから知ってるけど、読むのは初めて。夢中になるほどじゃないけど、あったら読んで見たいとは思う。遺産相続、名乗りを上げた二人の男、どちらが正当な相続人か。そのうち一人が殺され・・。捜査をするのはティベット主任警視。どういう人なのか何も描写されないが、奥さんは40代・・ってことは彼も40代なんだろう。

ギ・ド・モーパッサン

「脂肪の塊 テリエ館」・・モーパッサンを読むのは初めて。

サマセット・モーム

「アシェンデン」・・古本屋で見つけた。あまり安くなっていないけど、モームのはなかなか出てないから思い切って。あまりおもしろくはないけど、岩波文庫も字が大きくなって読みやすくなった。誤植もなかったようだし。いやホント、最近読んでて誤植が多いのには驚く。印刷前にチェックしないのかな。

「世界の十大小説」・・上下を読み返した。私はこのうち「白鯨」と「嵐が丘」と「高慢と偏見」の三つしか読んでない。

ら)

スティーグ・ラーソン

「ミレニアム1」・・とてもおもしろかった。一作目だけだけど、残りの二作も古本屋で捜して読むぞ。映画の方は見ていない。と言うかテレビでもやったけど見逃した。まあいいや、そのうち・・。

「ミレニアム2 」・・二作目を読んだ。三作目は上しかなくて、下を手に入れるまでしばらくがまん。ものすごい大金を手に入れたリスベットが、高級アパートや家具、衣類を手に入れるのはイメージに合わない気がした。彼女なら今まで通りボロアパートで古着を着て・・つまり、目立つことはいっさいせずにいると思うのだが。

「ミレニアム3」・・上巻。次から次へと新しい人が出てくるので混乱する。書きたいことを全部詰め込んでいるという感じ。でも著者の急死を考えると、詰め込んでいてよかったのかも。下巻はなかなか108円では売っていないので、510円だったけど買って読んで終わりにした。4は出る予定あるんだろうか。たぶん他の人も書いてる通り、リスベットの妹が出てくるんだろうな。3は上巻で登場した大女で筋肉女のモニカに期待したけど、下巻では魅力も薄れ、普通の女性とあんまり変わらなくなっていて残念だった。 

ピーター・ラヴゼイ

「マダム・タッソーがお待ちかね」・・みんなの本だなから借りてきて読み返した。何度でも読める。いつもあるってことは誰も借りないのか。クリッブとかいう巡査部長が主人公で、何作かあるらしいが、古本屋では見かけない。たいていの警官・・モースとかウェクスフォードとか・・は太りすぎで血圧が高いが、クリッブはやせている。それだけでも好感持てる。

今回文庫の古本見つけました、ラッキー!これからは好きな時に読めるぞ。

「最後の刑事」・・たまには他の推理作家の本も読んでみようかと思って。そしたらこのピーター・ラヴゼイって「マダム・タッソーがお待ちかね」を書いた人なんだわ。これからはこの人の作品も積極的に読んでみようかしら。読み始めるともう止まらないって感じ。最後の方まで、いったい誰が犯人なんだ?って感じ。この人じゃないしあの人でもないとなると・・まさか・・。それじゃあちょっと反則だな・・あら、やっぱりこの人?ってなわけでラストはちょっと不満。でもいいか、楽しませてもらったから。主人公ダイヤモンドはモースに似ているな。違うのはちゃんと奥さんがいて、ビールしか飲まないなんて不健康な食生活じゃないこと。笑えたのは「暇な時間に詩を書いたりする刑事たち」には共感できないという部分。それってダルグリッシュのことじゃないの?あはは。

「漂う死体」・・図書館には意外とたくさんピーター・ラヴゼイのが揃っていて。全部読むぞ。人でにぎわう浜辺で、一人の女性が殺される。彼女はある殺人事件のプロファイリングをしていた。殺人はあと二件予告されていて、手がかりはほとんどなし。捜査にあたるのはダイヤモンド。何と彼の妻ステファニーは殺されたらしく、その痛手からまだ完全には立ち直れていない。へえ~珍しい設定だな。殺されるのはどの作品なんだろう。こちらの方は最後の方になっても有力な容疑者がいない。出てきてもそのうち容疑が晴れる。そうなるとプロファイラー殺しは〇〇かな。今まであまり表には出てこないけど・・と思えてくる。連続殺人犯の方は、今更全く新しい人物が登場するのもおかしいから、一度疑いの晴れた✕✕かな・・なんて。で、結局そうなったんだけど、さほど失望はしない。読んでいてとにかくおもしろいのだ。一つ困るのは、こういうおもしろいものは、後で読み返せるよう手に入れたくなること。図書館を利用するから、今後いっさい本は買わずにすませるとはならないのだ、私の場合。

「死神の戯れ」・・クリッブもダイヤモンドも出てこないので、借りるのためらったけど、とてもおもしろく一気に読んでしまった。読み始めると止まらないって感じ。てっきりクリッブ物みたいに昔が舞台かと思ったら現代の話。でもイギリスの田舎だから「ミス・マープル」の頃とさして変わらないんだろうな。村人はお互いのことよく知っていて詮索好きで。村の中心はパブと教会・・みたいな。フォクスフォードの牧師オーティスは若くてハンサムで説教がうまい。仕事熱心で、誰からも尊敬されている。女性達は妻を亡くして独身の彼にお熱を上げ、バザーだ献金だと熱心に活動する。ところが彼はそういう現金を着服し、豪華ヨットにつぎ込んでいた。着服がばれそうになると殺人もいとわない。この作品は犯人は誰かではなく、最初からわかっている。だから彼がつかまるのか、逃げおおせるのか、それとも死んでしまうのかといったことが興味のポイント。彼の場合牧師の仕事は隠れ蓑ではなく、生きがいというのが珍しい。オーティスやヒロイン、レイチェルだけでなく出てくる人一人一人が個性的。文章がのびのびしていて、わかりにくさや退屈とは無縁。映像化するとしたらオーティスはジェームズ・スペイダーがぴったりだな・・なんて読みながら思っていた。まあ20~30年前のスペイダーってことですけど。

「単独捜査」・・ダイヤモンド物は「最後の刑事」が一作目で、これが二作目らしい。前作で警察をやめたダイヤモンドは、ロンドンのデパートの夜間警備員やってる。ある晩警報が鳴り出し、彼の持ち場に少女が残っていたことがわかり、クビになってしまう。この少女は自閉症らしく、何も話さない。親も名乗り出ない。一方ある製薬会社では、アルツハイマーの画期的な治療薬の発表に会社の命運を賭けている。これが少女とどう結びつくのか。ダイヤモンドは誘拐された少女を追ってアメリカへ、更には日本へ飛ぶ。時には警視のフリをし、アメリカの警察に大きな迷惑をかけながらも少女の行方を追う。スポンサーは大関の山形だ。彼は愛する娘を病気でなくすという過去があり、テレビで見た少女のことをどうしても助けたいのだ。この作品の設定は1992年頃か。91年の10月には大相撲ロンドン場所があったから、大関が巡業でロンドンにいても別におかしくはない。裸の尻のことばかり書かれているが、向こうの人にとってはまずそれが異様に感じられるのだろう。クライマックスでは山形が車のフロントガラスに激突して止めるが、力士のぶつかり合いを見て、これくらいできるだろうと思われたのか。250ポンドあるダイヤモンドがほっそりして見えるくらいの肉の塊である山形は、さてどの力士を見て思いついたのだろう。内容は説得力に乏しい。あの製薬会社はどうなったのだろう。

関係ないけどロンドン場所は確かNHKBSでやったと思う。日本と違って客席を暗くし、土俵だけ明るく照らしていたように記憶している。先日終わった無観客での大阪場所を見て、このロンドン場所を思い出した。

「ダイナマイト・パーティへの招待」・・クリッブ物。彼は40代らしいが、この作品でははたちそこそこの女性に惚れられてしまう。英国の抱える問題の一つにアイルランド独立を目指す連中のテロ活動がある。ノーベルによってダイナマイトが開発され、鉱山や道路、鉄道の工事が楽になったが、その一方でテロリスト、アナーキストの手にかかると厄介なことに。クリッブはテロ組織に潜入。標的がプリンス・オブ・ウェールズであることを知る。しかし正体がばれてしまい大ピンチ。警備の厳重な王子に近づくための手段として、潜水艦が出てきたりする。話だけ聞くとわくわくする冒険活劇に思えるが、私にはどうもねえ。退屈でわかりにくく、読んでいて眠かった。

「降霊会の怪事件」・・クリッブ物。「ダイナマイト~」では彼のことは40代としか書いてなかったが、こちらではもう少し詳しく・・背が高く痩せぎすで角張った顔つき・・となっている。また、1885年頃が舞台のようだ。プロバート家で降霊会が行なわれる。科学的に証明しようという試みだが、霊媒師のブランドが感電死してしまう。装置は絶対安全なように手配してあったのに。この会にはクリッブの上司ジョエット警部も参加していたが、調べ回るのはもっぱらクリッブと巡査のサッカレイ。無能なジョエットのもとで辛抱強く耐えるクリッブ。ところで彼は霊なんて信じない。霊能力や怪奇現象の裏には協力者がいる。ブランドも結局ゆすりや詐欺を働くニセ霊媒だった。そしてそれが・・ニセモノであることが殺される原因だった。登場人物の中ではプロバートの娘アリスの婚約者ナイが印象的だ。独占欲が強く、すぐカッとなって暴力をふるう。でもまわりからは・・クリッブでさえアリスにとっては頼りになる夫になるだろうと思われているのだ。信じられない!もう一人印象的なのは夫に無視され続けているプロバート夫人。耐え忍んでいるわけではなく、夫に気づかれないよう昔からの男の友人と心を通わせている。誰にも信じてもらえないだろうが、二人して仲良く酒を分け合って飲むだけ。そういう奇妙な友情、愛情があってもいい。

再読・・以前借りて読んだのを忘れて、また借りてきてしまった。内容覚えてないのでもう一度読み返す。何と言うか、文章の意味がわからないんだよな。読んでいても何を言ってるんだろうって感じ。その作家独特の言い回しがあってそうなるのか、訳してる人によってそういう文章になるのか。少なくとも私は意味不明の文章は書かないようにしよう。

「地下墓地」・・ダイヤモンド物。バースと言えばジェイン・オースティンだが、メアリー・シェリーもここで「フランケンシュタイン」を書いたらしい。映画のせいで多くの人々は怪物について勘違いしてるのだとか。人の手の骨が発見されたのはメアリーが住んでいた番地の地下。この骨は切断されていたから、殺人事件の被害者と思われる。一方アメリカ人の学者ジョーは妻のドナと旅行に来ていたが、ジョーはメアリーのものらしいライティングボックスを見つけて狂喜する。ところがその骨董的価値に気づいたらしい店主ペグはなかなか売ってくれない。そのうちドナが失踪し、女性の遺体が見つかったと思ったらペグで。ドナを捜して欲しいのに、ペグ殺しの容疑者にされてしまうジョーの気の毒なこと。ライティングボックスは「ブロンテ姉妹の抽斗」を読んだばかりだからどういうものかはわかる。いつもながら強引なダイヤモンド。それ以上に偏執的なのが主任警部ウィグフル。こんなのに目をつけられたら大変だ。ラスト、いきなり犯人に行き着くところは説得力がない。ダイヤモンドが飼っている猫のラッフルズの描写がおもしろい。何かに飛び上がろうとして前足は成功するけど、後ろ足を滑らせるドジな猫っていますよねえ。

「服用量に注意のこと」・・短編集。中にはピーター・ダイヤモンド警視が出てくるものも。私が気に入ったのは「オウムは永遠に」。鳥というと漱石の「文鳥」を思い出すが、あっちは哀れな結末だった。こっちはハッピーエンドで気持ちがいい。オウムのロジャーの行動が興味深い。主人公がとりこになってしまうのも無理はない。

「ミス・オイスター・ブラウンの犯罪」・・同じくラヴゼイの短編集。一番おもしろいのは表題にもなってる作品。あまり似てないけどオイスターとパールは双子の姉妹。彼らの家に入った者はいない。近頃なぜかパールの姿が見えず、それなのにオイスターはいかにもパールが家にいるように取り繕う。近所の人は不思議に思ってうわさしてもそれだけだが、薬局のトリガーは行動に移す。オイスターの留守に家に忍び込む。もしかしてパールが病死?あるいはもっと悪い状況・・殺人?ところが家の中は買いだめした食料品や日用品がいっぱい。読む方はこれはいったいどうしてなのだろうと、ますます興味をそそられる。で、鮮やかな種明かし。殺人は起きるけど陰惨さはなし。トリガーはちっとも気の毒じゃない。あまりにもしつこいし、好奇心が強すぎる。

「処刑人の秘めごと」・・ダイヤモンド物。図書館から。妻のステフが亡くなって3年。ダイヤモンドのところへ秘密の崇拝者から手紙やチョコレートケーキ、電話がくるが、連続無視。あることがきっかけでパロマという感じのいい女性と知り合うが、電話で声を聞いてるのになぜ気づかないんだろう。ラストはパロマとの縁が続きそうな感じだけどどうなるのかな。

る)

ジョン・ル・カレ

「スマイリーと仲間たち」・・スマイリー物は何作あるのか知らんが、これで2作目。かなり分厚くて、字も小さいから読むの大変。しかもしょっちゅう何が何だかわからなくなる。スマイリーはどうしても映画の印象あるから、ここでのでっぷり太ったスマイリーというのはぴんとこない。シリアスな内容だが、ギラムが身重の若妻を心配して・・のエピソードが、くすりと笑えて楽しい。

「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」・・「裏切りのサーカス」の原作なので、読みたいと思っていた。お目当てはもちろんピーター・ギラム!まあ彼の出てくるところと、ジムの部分は別として、他の部分はあまり・・。どうでもいいと言うか(おいおい)。読んでいても何が何だかさっぱりわからないんだわ。

「ナイト・マネジャー」・・上下二冊の長編。別にこんなに長くしなくても・・。細部まで細かくていねいに書いてあるけど、全体が見えてこないっちゅ~か。しかもラストに至っては何がどうなったのやら。何でこんなハッピーエンドになるのやら。忍耐強く長いの読んできて、ラストで???というのは、時間を無駄にさせられた気分。

ガストン・ルルー

「オペラ座の怪人」・・長いな。わかりにくいし。

「黄色い部屋の謎 」・・大昔に一度読んだことがある。犯人が〇〇ってこと以外全部忘れていたので、初めて読むのと変わらない。続編があるとは知らなかった。出来が悪いらしいが、機会があったら読んでみよう。

「黒衣婦人の香り」・・「黄色い部屋の謎」の続編。「黄色」の解説には出来が悪いと書いてあったが、古本屋で見つけたのでいちおう読んでみようと・・。まあ確かにおっそろしくつまらんわな。大したことでもないのを大げさに意味ありげに書いていて、まわりくどく、進み方が遅い。まあ新聞の連載小説だからある程度のことは大目に見なきゃいけないけど、それにしてもねえ。これに比べるとクリスティーの作品なんかはずいぶんすっきりしていると改めて思う。「黒衣」が1909年、「スタイルズ荘」が1920年、10年あまりしか違わないのにねえ。

モーリス・ルブラン

「カリオストロ伯爵夫人」・・ルパン物はほとんど読んでない。映画「ルパン」も見たけど、この本とは関係あるのかな。内容全然覚えていない。おもしろくなかったってことだけど。この本も、主人公がお気楽すぎて共感できない。

「緑の目の令嬢」・・ルパン物の「緑の目の令嬢」を読んだ。やや読みにくい文章。緑の目の美女より、青い目の美女の方が数段印象強い。早々に殺されてしまうのが残念。

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アイラ・レヴィン

「死の接吻」・・読むのは何年ぶりだろう。昔買った時、帯に紀比呂子さんと黒沢年男氏の写真があって、テレビでやったんだけど、見てないだろうなあ。調べてみたら1971年の放映。たぶん買ったのは映画の方・・ロバート・ワグナーの「赤い崖」を見たせいだと思う。たぶん月曜ロードショーで、後半だけ見たのだと思う。前半は「スパイ大作戦」があるから見られない。印象としては赤茶けた感じ。カラーがそういう感じだったのだろう。にやけたプレイボーイのイメージしかないワグナーが怖い顔をして・・。覚えているのはそれだけ。本は古本屋にでも売ってしまったのか。今回改めて文庫本を買った。昔の私は時々むしょうに自分の持ち物を処分したくなって、今から考えるとバカなことをしたものだと思う。40年以上たって読み返したわけだが、覚えのある文章はほとんどなし。まあ読んだけどつまらなかったからこそ処分したわけで。年取ってから読むから、なるほどと思うわけで。

「ローズマリーの赤ちゃん」・・初めて読んだ。アイラ・レヴィンは「硝子の塔」も書いてる。「死の接吻」は昔買って読んだはずだけど、今は持ってない。確か黒沢年男氏と紀比呂子さんでテレビでやったと思うが、見たかどうかは覚えていない。映画は「赤い崖」という題で、ロバート・ワグナーがこんな役やるなんて・・とびっくりした。全部ちゃんと見たかどうかは不明。マット・ディロン版も見てみたい。

「ローズマリーの息子」・・図書館から。こういうのがあるとは知らなかった。映画化はされてないのかな。呪いのせいで長期の昏睡状態にあったローズマリー。目が覚めたのは呪いをかけた連中の最後の一人が死んだからか。息子のアンディは33歳になってる。ローズマリーは連中の監視のもとでも彼をできるだけ人間的に育てようと努力したのだが・・。せっかくの続編だけどあまり評判はよくないようで。確かにおもしろいとは言えない。特にラストは何だよそりゃってなること請け合い。結局あのアナグラム、意味は何だったんですか?

「ステップフォードの妻たち」・・図書館から。これで古本捜す必要なくなったな。映画「ステップフォード・ワイフ」ではジョアンナの夫ウォルターが土壇場で改心(←?)して・・だったと思うけど、原作ではジョアンナも・・なのね。旧作の方はまだ見てないけど、原作通りのようで。キャサリン・ロスは日本でも人気あったのに何で公開されなかったのかな。リメイクの方が後味はいいんだろうけど、ウォルターのキャラが何ともあいまいで、そのせいで映画全体もしまりがなくなっていた。とてもいい人なんだけど、でも心の中ではすでに今のジョアンナに見切りをつけていたと、そういう方がゾッとさせられるな。

スタニスワフ・レム

「エデン」・・これは前に一度読んだことがあるのかどうかそれすら思い出せない。初読かも。六人の学者が惑星エデン探査に来るが、着陸に失敗。宇宙船は地面にめり込んだ状態らしい。それでも探査はするが、そこに生きる生物は彼ら・・ってことは地球人のってことだが・・の理解を越えるもので。迫害されている方を助けるべきだという地球での倫理を押しつけるべきなのか。それともここではそれが自然なのだと放っておくべきなのか。まあよくありますな、お節介、押しつけ。

「砂漠の惑星」・・レムだけあって目のつけどころが違うと言うか。人間の判断基準が通用しない世界があるのだと言う・・。まあ私は「捜査」のような作品が好みで、そういうのがあったら読んでみたいと思っているのだが。

「捜査」・・読むのはこれで三回目くらいか。最後まで読んでも事件は未解決のままだから、もやもやが残るが、そこへ行くまでの暗いムードが好きだ。

「天の声・枯草熱」・・レムの全集のうちの一冊。高いから一冊だけ試しに買って・・もう10年以上ほったらかし。「捜査」を読んだついでに今度こそ読むぞと決意。「捜査」のような内容期待したんだけど・・全然だめでした。「天の声」は、まあ「コンタクト」みたいな感じ。宇宙からの通信・・知的生物からの接触か。手紙を解読しようと学者達が集められ、苦心惨憺の日々。文章のほとんどは書き手の思考の流れ。つまり、なぜなら、言ってみれば、結局のところ、したがってが多用される。普通何かわからないことがあっても、「つまり」や「なぜなら」に続く文章を読めば意味がわかるはずだ。そのための・・説明のための文章が続くはずだ。でも、何が何だかさっぱりわからないのであ~る。まるで論文読んでるような気にさせられるのであ~る。読み始めたことを後悔したのであ~る。これに比べりゃ「枯草熱」の方はいくらかマシだ。理由のわからない自殺。「捜査」と違うのは、最後にこれがこうであれがああでと、細かく説明されること。不思議なもので、はっきりすればするほど物語としてのおもしろさが薄れてしまう。「捜査」ははっきりしなくて、そこが不思議な魅力かもし出していたのに。ところで、枯草熱はかれくさねつではなく、こそうねつと読むのだそうな。今の花粉症のことだろう。

「宇宙飛行士ピルクス物語」・・レムの短編集・・と言うか、短編にしては長いから中編集か。文庫本で上下2冊。どうも名前がピクルスみたいで変な感じ。当時としては先進的な内容・・と言うか私には難しすぎてさっぱりわからないことだらけ。印象的なのは「ピルクスの話」。異星人の手になると思われる宇宙船に遭遇したと思われるのに・・とんでもないチャンスだと言うのに・・さまざまな不運なミスが重なり、何にもできなかったという話。これの関係作品として「大失敗」というのが国書刊行会から出ているらしい。読んでみたい。

ルース・レンデル

「悪夢の宿る巣」・・ウェクスフォード物ではないけど、読み始めると止まらないおもしろさ。何でこんな複雑なことするのかね・・という気もするけど。

「偽りと死のバラッド」・・これはわかりにくかったな。読みながらまた前に戻って調べ直したり。筋立てに無理があるし、あんまりよくない出来。

「運命のチェスボード」

「死が二人を別つまで」

「運命」の方はチェスなんか全然出てこないのに何でこの題名?「死が」の方は納得いかない内容。酔っ払い運転で人を轢き殺しておきながら全然反省もせず、また保釈で自由に行動できるエリザベス。これじゃあ被害者は殺され損だ!!二冊ともウェクスフォード首席警部物だけど、彼に魅力がないのも残念。 

「求婚する男」・・これはなかなかよくできてる。でも読んでいる時はうんざりした。主人公ガイはレオノーラが結婚するなんて信じられない。彼女は自分を愛している。まわりの連中が彼女に自分の悪口を吹き込んで邪魔しているのだ。相手の熱がすっかりさめているのに信じない。典型的なストーカー、偏執狂。彼の身勝手な心理が延々と書かれる。一方レオノーラがなぜきっぱりとした態度を取らないのか不思議だ。同じことのくり返しなので読んでいてうんざりするのだ。終わりの方でレオノーラはガイにウソをつき、恋人と結婚式を挙げ、旅行に出てしまう。怒り狂うガイ。レオノーラはガイにつきまとわれ、何年もおびえ、苦しんでいた気の毒な女性なのか。ガイが付き合っているセレステは、レオノーラはガイを手放したくないのだと言う。彼のことはもう愛してないけど、彼に自分を追いかけさせたい。このセレステの分析は正しいのか。そう言えば・・と、前のページを捜す。セレステという若くて美しくて自分を愛してくれている女性がいる・・と、レオノーラに話した時、彼女は一瞬表情が凍りついたのだ。ガイは彼女が嫉妬しているのだと思い込む。私はここを読んだ時、他の女性がいながら自分を追いかけているのかと傷ついたのかと思ったが、最後まで読むと、やはり嫉妬なのかな・・と。悩まされているのは確かだけど、もう全然愛してないけど、でもハンサムで金持ちの見栄えのいい男性を自分に引き付けておきたい。いや~ガイにしろレオノーラにしろ何て嫌な連中なんだろ。で、こういうことを延々書いて読ませるレンデルはすごいなあと。 

「殺す人形」・・これは最初はつまらないんだけど、だんだんおもしろくなる。ただ、頭のおかしい人が二人出てくるのは・・出すぎと言うか。個人的にはパップが興味深い。いちおう商売とか努力しているし。

「罪人のおののき」・・ウェクスフォード物。暇つぶしに読むにはいいが、最後の方がちょっと弱い。ウェクスフォードに魅力がないのはいつものこと。一週間もすると内容忘れる。

「仕組まれた死の罠」

「死のひそむ家」・・「身代りの樹」とかそういう系統。ヒロインは知的で美しく、小さな子供がいて、離婚していて。新しい恋人ができるけど、結局はだめになると。犯人達が何を考えてるのか今いちはっきりしないのが難。犯人も工夫の描写(ほっそり)で予想ついちゃう。頼みのウルフ警部も今いち。

「友は永遠に」・・レンデルの本は古本屋でもあまり見かけないが、今回は「友は永遠に」があったので買って読んだ。他のも読んでみたい。

「眠れる森の惨劇」

「荒野の絞首人」

おもしろくないと言いつつレンデルのをせっせと読んでる。それにしても」「眠れる」の方・・部下に説明するのにずっと話していて、でも結局それは真犯人のことではなくてという、そんなことがありますかね。そんな回り道しますかね。おかげで読んでるこっちは、はあはあそうか〇〇が犯人ね・・と思ってるのに、エッ!?違うの?と、頭がこんぐらがってしまうわけ。しかも真犯人の方の説明が不十分なままで小説は終わってしまうので、結局何がどうなったんだ?ということになる。何がどうなったのかとネットを調べても「傑作だ」とか「いつも通りすばらしい」としか書いてない。あの~みなさん何がどうなったかわかったんですか?

「薔薇の殺意」・・これはレンデルの長編処女作らしい。ウェクスフォードは最初から魅力なかったのね。

「ひとたび人を殺さば」

「惨劇のヴェール」

彼女の作品はかなりたくさん出ているので、まずはウェクスフォード物から攻略。と言っても、どの作品でも彼って魅力ないよなあ・・私個人の感想ですけど。

「街への鍵」・・いちおう殺人事件は起きるけど・・それ以外にも詐欺、ゆすり、ドラッグ中毒もあるけど、ゆったりと言うかモタモタと言うか。まあ犬の描写はよかったけど。推理小説の終わり方って二種類あると思う。探偵などが長々と推理を披露するものと、そういうのなしでスパッと断ち切るように終わるもの。これは後者。殺人犯が逮捕されるところで終わるけど、「赤と白の宅配用のバン」・・これでああ、あの人かと想像するしかない。なぜこんなことしたのかはわからない。小説終わっちゃうから。

「マンダリンの囁き」

「乙女の悲劇」

ウェクスフォードが珍しく中国に旅行。バカ娘シーラが出てこないと、ウェクスフォードも少しはマシに思える。「乙女の悲劇」では、被害者ローダの住所、仕事がいくら調べてもわからず、謎めいていて興味をそそる。でも途中で〇装してたんだろうって想像つくけど。ウェストの部屋を調べればいろいろ明らかになったろうけど、この作家の作品って尻切れトンボ状態で終わることが多いから、説明不足と言うか物足りないと言うか。

「無慈悲な鴉」・・いつものことだがもう内容覚えていない。パラパラとページをめくってみる。そうか、こっちはウェクスフォード物か。重婚していたってやつだな。

「もはや死は存在しない」・・ウェクスフォード物。例によってそんなにおもしろいってものでもない。ラストもわかりにくい。

「ローフィールド館の惨劇」

「わが目の悪魔」・・アンソニー・パーキンス主演の映画の原作。

ろ)

E・C・R・ロラック

「悪魔と警視庁」・・これは題名に引かれて古本を買った。作者ロラックは女性だが、生存中は公表されてなかったそうで。女性が男性名義で出版するというのはブロンテ姉妹もそうだったな。ロラックの作品はあまり邦訳されていないようだが、今度見つけたらまた読んでみよう。「悪魔」はさほどおもしろいわけではなく、読んでいて眠くなるが、マクドナルド首席警部のキャラはなかなかよろしい。モースやホームズ、ポアロのような天才的なひらめきや推理力はなく、変人でもない。そのまともさが時には心地良い。

読み返した。う~ん、読み返してばっかだな。マクドナルド首席警部が気に入ってるわけよ。独身で仕事ばっかしてて無口で地味。どこかの誰かみたいに推理で暴走したり酒ばっか飲んだり女性によろめいたりしない。退屈な仕事を部下に押しつけて自分はクロスワードなんてこともしない。この小説を読んだのは題名に引かれてだけど、正直言ってワクワクドキドキハラハラはしない。どちらかと言うと退屈で眠くなるし、読み返したのはおもしろかったからではなく、内容がよくわからなかったため。でもどういうわけか他の作品も読んでみたくなって。

「殺しのディナーにご招待」・・マクドナルド警部物。解説によると、ロラック名義の長編48作のほとんどは彼が主役らしい。まだ数作しか読めないでいるが、こちとらもう若くないもんで・・大急ぎで翻訳出版してもらわないと間に合わないぞ。このシリーズのいいところは、マクドナルドを始め、警官たちが皆真面目でちゃんとしていること。これの後でアーチャー物を読むと、その差に驚く。向こうは暴力をふるうし、態度が下品だし、不真面目、不熱心。ろくに調べもしないで犯人に仕立て上げられそう。「ディナー」は話があまり広がらず、会話が多い。途中で動機はわからないまでも犯人の目星はつく。でも読んでいて楽しい。ほんの少ししか描写されないマクドナルドのあれこれがかえって想像をかき立てる。

「鐘楼の蝙蝠」・・これに出てくる広くて古いアトリエが魅力的。せっかくマクドナルド達がきれいにしたのに燃えてしまうのが残念。今回の彼はちょっと感情が表に出気味。男性の爪を噛む癖が大嫌い。女性の色香に迷うことはなし。本当のことを言っているのか、ウソをついているのか、いつも考えてるから迷う暇はないのだ。きつい香水もきらい。若い女性に興味持たれてもそっけない。どうせ相手は好奇心半分だし、同年代の本命が別にいる。これで3冊か、他のも読みたい!

「ジョン・ブラウンの死体」・・これで普通に手に入れられるロラックの本は終わりかな。あとは古本屋で捜すか、復刊されるか、新しい・・今まで訳されてなかった・・のが出るかだな。この作品も退屈だしわかりにくい。でも私はマクドナルドが気に入って読んでるのだから、別にいいの。個性に乏しく地味だけど、そこがいいの。

「曲がり角の死体」・・珍しく新刊を2冊買った。古本屋に出るまで待ってられないから。どちらもマクドナルド物。「曲がり角の死体」・・これは途中である人物が風邪をひいているってのと、暗室があるってことで、はは~んとなってしまう。いちおう最後まで他の者に興味をそらすよう工夫はしているけどね。数人の店主による会話がなかなかおもしろかった。警察顔負けの推理をするかと思えば、アルコールと興奮で抑制がきかなくなったり。読んでいても異様な迫力を感じる。

わ)

コリン・ワトソン

「愚者たちの棺」・・イギリスの港町フラックスボローのパーブライト警部を主人公とするシリーズの一作目。あまりメジャーじゃないが、解説によれば癖になるおもしろさがあるのだそうな。何となく変わった文章で、比喩が多いと言うか、皮肉っぽいユーモアが含まれていて、シャーロット・マクラウドの作品を思い出す。パーブライトには強い個性がなく、そのせいでもっと他の作品も読んでみたいと思わされる。ある人物が死亡し、その葬儀に出た者が次々に死ぬという内容。最後の方はちょっとわかりにくいかな。

その他の作品)

「解錠師」・・スティーヴ・ハミルトン。こういう分厚いのは好きなので、期待したけど、あんまりおもしろくなかった。主人公が17とか18なので、未熟なのは仕方ないけど、それにしてもねえ。こっちの方へ行くべきじゃないのがわかっていて行っちゃう。あげくのはてに刑務所暮らし。女の子に夢中になっちゃうのもねえ・・何だやっぱり普通の男の子と変わんないんだなあって感じ?普通とは違うこと読みたくて読むのにさ。

「ブリーダ」・・パウロ・コエーリョ。みんなの本棚から借りてきた。何が何だかさっぱりわからん。あたしゃだめだなこういうの。頭悪いからぼかされた表現苦手。

「幻夢 エドガー・ポー最後の5日間」・・スティーブン・マーロウ。やっと読み終わった。少し読んだところでストップして、ずっとほったらかしにしていた。だって全然おもしろくないんだもん。でも、いつまでも放っておくわけにはいかないので、決心して読み終えた。いろんな話がまじっていて混乱するけど、結局死の床にあるからいろんな夢を見ているってことかな。映画「推理作家ポー 最期の5日間」の原作だと思って買ったけど、違うみたいだな。

「美しき容疑者」・・スーザン・ブロックマン。ハーレクインです。いつものような設定、展開です。ヒロインは食生活めちゃくちゃでもボディラインは完璧です。30過ぎてるけどすばらしい美女です。男の方は例によって上半身のたくましさが何度となく強調される。工芸品鑑定士アニーは美術品窃盗事件の容疑者としてFBIやCIAにマークされる。全く身に覚えがないのに。何とか証拠を見つけたい当局はCIAのピートをボディーガードの名目で彼女に張り付かせる。脅迫電話がかかってきたりするが、アニーは全く気にしない。もちろん二人は会ったとたんビビビとくるが、すぐにはくっつかない。特にピートは彼女をだましているので常に罪悪感を感じている。二人の悶々描写が何度となく繰り返される。ついに結ばれるが、正体がわかるとアニーの態度は一変する。でもピートが死にそうになると・・。読んでいてもワクワクドキドキではなく、プッと吹き出したくなるのは年のせいか。

「惑わされた女」・・マーゴット・ダルトン。ジャッキー・カミンスキーという女刑事を主人公にしたシリーズの一作目。みんなの本棚から。読んだ後で気づいたけど、ハーレクイン小説なのかな。どうりでヒロインは抜群のスタイルの持ち主。美男美女がぞろぞろ出てくる。途中で霊能者が出てくるので、あら珍しいと思った。刑事物では霊視や超常現象はあんまり出てこないから。証拠のないものは信じないとなるのが普通。霊能者は金髪でたくましい体つき。特に上半身、肩や上腕が発達している。何度もそれが強調される。その時点でハーレクインと気づくべきだった。無知な私(←?)。でもこの上半身発達君は礼儀正しく、生活態度はこの上なくきちんとしている。きちんとできない私はそれだけで彼に好意を持ってしまう。二作目があるなら読んでみたいと思ってしまう。内容は幼児誘拐。ちょっと無理のある設定だが、わりとおもしろく読めた方。

「雪 殺人事件」・・みんなの本棚から。スジャータ・マッシー。日米ハーフの女性が主人公。外国人が書いた日本を舞台にした小説だが、男性作家よりはマシかなという気も。このシリーズはいくつかあるらしい。犯人は意外な人物で、びっくりしたけど、人間関係などわかりにくい部分も。ユキという女性が出てくるので、いつ殺されるのかなと思いながら読んでいたが、殺されませんでした。題名に雪をつけるならユキじゃなくて他の名前にすればいいのに。