BOOK2

日本の作家 (映画原作含む)(2023.11.7更新)

あ)

赤川次郎

「悪魔のような女」・・一番印象に残るのは「召使」。元になった映画の方は見たことなし。ダーク・ボガードは好きなので見てみたいのだが。「召使」を読むと、私もちゃんと家事をやらなきゃ・・という気にさせられる。たぶんあの召使は未来から送り込まれたロボットだと思うな。お試し用だから無料。でも、この時代(昭和50年代)への販売作戦は失敗する。召使は性能がよかったけど、使う側がまだ成熟してない。何しろ自分達に都合が悪くなると召使を殺しちゃうんだもの。製作者側も、召使を人間と全く同じに作る必要はないのだと、わかったはずだ。つまり刺すと血が出るとか。

「ヴァージン・ロード」・・文庫で上下とかなり長い。いつ殺人事件が起きるのかなと思いながら読んでいたけどこれってそういうのじゃないのね。お見合いとか結婚とかそっち系。こういうの読んでいていつも思うのは、何かと言えば外食、喫茶店、タクシー・・。ヒロインは妹や弟におごり、姉としての喜びを感じる。よっぽど高給もらってるらしい。自分の経験から言うと、とてもこんな金の使い方はできないな。

「涙のような雨が降る」・・みんなの本棚から借りてきたもの。金持ちの令嬢の身代わりを務める少年院出身の少女。本物の方の令嬢がどうしていたのやらの説明がなさすぎ。

「午前0時の忘れもの」・・みんなの本棚から借りたもの。「スマイリー」のあと、コリン・ウィルソンの「精神寄生体」を読み始めたのだが、これがまた「スマイリー」以上に読みにくい。で、うっちゃってこういう軽いもの読むことに。これは「あした」という題で映画化されたようで。ありえない内容で、それはまあ別にいいけど、読み終わってもこれと言って心に残るものはないな。

「死体は眠らない」・・みんなの本棚から。最初から最後までとぼけた感じ。笑えると言うより少々うんざり。何人も人が死ぬが、命が軽い軽い。妻の美奈子を殺した池沢。後始末をする時間はたっぷりある・・はずだった。次から次へとハプニングが起き、死体が増え・・。池沢の家の中だけ(金持ちだから広い)で展開するので、このまま舞台劇にできそうだ。

「真夜中のオーディション」・・みんなの本棚から。短編5つ。まだ売れていない役者の卵美里は、奇妙なオーディションを受ける。何だか変な仕事だなと思いつつも、きっちり仕事。「死体は眠らない」ほどふざけてはいない。これくらいだと気持ちよく読める。雇い主のことが不明なまま終わるけど、この美里を主人公にしたシリーズは他にもあるのかしら。これで終わりじゃもったいない。

「泥棒に手を出すな」・・みんなの本棚から。夫は泥棒、妻は刑事というありえない設定のシリーズ7作目だが、他のを読む機会はなさそう。短編が5つだが、もう内容思い出せない。そう言えばスクールバスなんちゃらのがあったな。

「いつもの寄り道」・・みんなの本棚から。新婚一年目で未亡人になってしまったヒロイン。でも夫が本当に死んだとは思えない。同様に若い妻を失って悲嘆にくれる年上男。この二人とどことなく怪しい刑事との捜査と言うか珍道中。解説では作風がクリスティーと似ているとか何とか。だから安心して読むことができると。でもあっちはここまで羽目は外していないよな・・と思いながら読んでいた。

芥川龍之介

「地獄変・偸盗」・・映画の「地獄変」を見て買って、でもあんまり前のことなので全部読んだのかどうか覚えていない。「藪の中」もおさめられているが、映画の「羅生門」は見たことなし。NHKBSで何度もやってくれてるのにね、どうも興味わかなくて。

梓林太郎

「上高地・大雪殺人孤影」・・梓林太郎氏の作品を読むのは初めて。最後の方が物足りない。それまでの推理が裏付けられるだけで、驚きがない。

前に読んだの忘れてまた借りてきてしまった。感想は同じ。犯人が捕まってみると、刑事が推測した通りの経過たどってた。ひねりも何もなし。

阿刀田高

「東京25時」・・「銀色のフラスク」はテレビで見たことがある。私は日本のテレビドラマはほとんど見ないけど、中にはもう一度見たいなと思うものもある。 

綾辻行人

「迷路館の殺人」・・図書館から。こんなアホらしい作りの館住みたくないな。トイレに行きたくなったらどうするの。いやいやトイレはいつもより余分に作られておりますってか?恨みも何もない人を何人も殺すってそういう設定に大きな無理があるって私なんかは思っちゃいますけど。そんなことにこだわっているようでは綾辻作品を読む資格はないんでしょう。

「暗黒館の殺人」・・図書館から。すごい分量だよな~。でもそのせいでもったらもったらしてる感じも。何か言いかけると必ず邪魔入るし。いつもなら一館だけど、今回は東西南北四館の大サービス。でもここまで広くされちゃうとここの角を曲がってとか、ここの隣りがとか書いてあっても頭に浮かばんのよ。作者は図を片手に正確にと大変だったろうけど、こっちはどっちが南?というレベルですから。最後の方で夢・・となって、おいッそれはないだろッと思うけど。登場人物のその後が説明されないのは不親切だけど。特に「家人に一人、優秀な医師がいる」って、それ誰のことよ。何で聞かないんだよ~。それにしてもまだ19なのにタバコにお酒・・いいんですかね誰も気にしてない。

「黒猫館の殺人」・・図書館から。「暗黒館」の後だと、まあ分量の少ないこと。あっという間に読める。黒猫館も小さなアパート程度。と言うか地下部分を入れなきゃね。一階にバストイレが一つというのは少ないんじゃないの?どんでん返しもやや強引。

「奇面館の殺人」・・図書館から。○○館だと建物の図が載っているので、それを見るだけでも楽しい。狭い家に家具に囲まれて暮らしているならよりいっそう・・。ムダにだだっ広くて、迷子になりそうで・・。掃除も食事の支度もしてくれるならこういうところに住んでみたいな・・と、妄想はここまでにしてと。主人公鹿谷は、ある事情で別の人のフリをして影山邸へ。泊まるだけで報酬は200万。しかし主人が殺され、通報しようにも大雪に降りこめられる。電話も不通。おまけに会に参加した者は眠っている間に仮面をかぶらされ、鍵がないため脱ぐことができなくなってしまう。主人用の仮面の鍵が後でマスターキーだとわかるが、そんなの見つけた時点で気づくはずだ。何とかして仮面をはずそうといろいろやったのだから、だめもとでこの鍵も試してみようと一人くらいは思うはずだが。それはさておき、「世にも怪奇な物語」のビデオが出てくるのはムヒヒだった。影山は自分の分身を捜していて、それは2話目の「影を殺した男」の内容ともリンクしている。ビデオを見ていた瞳子は主人らしき男から電話を受け、見るのを中断せざるを得なくなり、3話目は結局見ていない。この3話目は主人公が首を切断というムヒヒなラストなのだが。

「時計館の殺人」・・図書館から。たくさん時計があって、「時計たち」と生き物のような表現されるのが印象的だった。読みながら、犯人バレバレじゃん・・と思ってた。睡眠薬の扱いがずさんすぎるもん。いちいち飲むところは見ていない・・ってこれじゃ飲まないでためておいて一度に飲んで死んじゃったらどうすんのって普通思う。で、バレバレじゃんと思わせといて最後引っくり返る。ははあなるほど。そこが腕の見せどころなんですな。

「人形館の殺人」・・図書館から。「時計館」の後で読んだので、やはり同じように引っくり返すのかなと思ったらそうでもなかったな。読み始めて早々、あれこれって○✕△じゃん・・と気づく。主人公があまりにも何もしなさすぎる。空白の時間がある。入院も長すぎる。二重じゃなくて三重だったのが目を引くくらいで。それ・・三人目だって何だか言動が変だったし。

「霧越邸殺人事件」・・読むのは三回目くらい。それとも四回目か。最初に読んだのは義兄が入院し、泊まり込んでいた時。病院の図書スペースにあったのを、暇つぶしに読んだ。で、自分の本棚にあってもいいなと思い、古本屋で買った。こういう広い洋館での事件て好き。内容そのものは知識の羅列にうんざりする。最初に読んだ時はびっくりした。え?犯人明かしてるじゃん・・て。邸の見取り図がついているのがうれしいけど、3階がどうなっているのか知りたい!

「十角館の殺人」・・「そして誰もいなくなった」を思わせる内容だが、孤島と本土が交互に出てくるところが違う。ポウが最初の犠牲者オルツィの死体を他のメンバーに見せないので、てっきりこの二人がぐるで、オルツィが殺して回っているのかなと思ったら違った。島と本土との往復には無理がある。

「黄昏の囁き」・・兄やその幼なじみが次々に殺される。主人公は幼い頃の事件がそれに関係しているのでは・・という気がしてならないが、なかなか記憶が戻らない。いじめられっ子が実は生きていて復讐して回っているのかと思わせて実は・・。読みながら「ゴースト・ストーリーズ~英国幽霊奇談」を思い浮かべていた。記憶のすり替え、封印、思い込み。

「暗闇の囁き」・・みんなの本棚から。読み始めると止まらなくて、一気に読んだ。”あっちゃん”の正体は途中で予想つく。

「緋色の囁き」・・冴子はお嬢様学校聖真女学園へ転校して来る。全寮制で、校則は呆れるほど厳しい。来てすぐ寮で同室の恵が死ぬ。焼身自殺に見えるが、殺人かも。その後も次々と。冴子は魔女狩りのターゲットにされピンチに。時々過去の出来事が挟まれる。最初は冴子の暗い過去のように思えるが、そのうち違うとわかる。ではクラスの女王綾か?いや、それも違う。綾はテレビの「未来からの挑戦」の高見沢みちるを思い出させる。自信に満ち、まわりに影響与える。犯行の描写はかなり残酷。

泡坂妻夫

「比翼」・・みんなの本棚から。短編集。こちとら家紋とかマジックには興味ないので、別に読んでいても楽しくないけど、それでも読むのは他に借りる本がないから。「風神雷神」で着物の紋の位置が左右違うのは、女性ならたぶん理由に気がつくだろう。一番良かったのは「お村さんの友達」。曾祖母のお村さんはマンションで一人暮らしをしていたが、ガンで倒れ病院へ。そのうち意識障害を起こし、意味不明の言葉を。アキラだのウタエだの一人暮らしのはずなのに人の名前を言う。もしかしてマンションに誰かいる?お村さんが亡くなって彼女の部屋へ入ってみて、名前の理由がわかる。何か20分くらいのファンタジーにできそうな結末で、映像が目に浮かぶ。

い)

石山透

「続・タイムトラベラー」・・これは筒井康隆氏ではなく、石山透氏。テレビの写真があるのがファンにはうれしい。巻末にテレビの番組裏話みたいなものがおさめられているのもうれしい。

「タイム・トラベラー」・・テレビ二作のシナリオ。映像は一作目の最終回分しか残っていないが、これを読めば少しは思い出すこともできる。

今邑彩

「ルームメイト」・・図書館から。映画を見たので、原作も読みたいと思ってた。当然映画とは内容異なっているが、なかなかおもしろかった。ただ、最後の方で人格障害があり、しかも人格の一つが殺人を犯しているとわかっていて結婚しますかね。おまけに一つの人格が消えても新しい人格が出現することもわかってる。

う)

内田康夫

「貴賓室の怪人」・・浅見物。みんなの本棚から。豪華客船飛鳥による世界一周の旅のルポを書くため乗船した浅見。もちろんこんな・・一番安いクラスでも300万かかる旅に裏がないはずはなく。一番高いので一人1600万。これが書かれたのは1999年頃だから、今はもっと高いかも。ま、私には縁のないことだからどうでもいいけど。「飛鳥」編とあるからまだ続けるようで。まだ一周してないしな。事件は起きるけど貴賓室なんちゃらとは無関係。乗客に内田夫妻がいるのは悪ノリしすぎ。内容は「オリエント急行殺人事件」の設定を拝借。一人の男を殺すのにずいぶんお金(船賃)かけたね。

「沃野の伝説」・・みんなの本だなから借りたもの。浅見物は犯人の逃亡や死で終わることが多い。黒幕はそのまんま。単行本で上下2冊、普通に買うと2600円だ。読み終わって事件が解決してないことに気づいた時、お金損したって思うだろうなあ。

「秋田殺人事件」・・浅見物。作者は小説を借りて警察や政治への不信感を強く主張しているが、あまりそれが強いと読んでいてうんざりする。

「神戸殺人事件」・・浅見物。浅見はよく正義を主張しているが、そのくせ自分にその権限もないのに真実を握り潰す。若く美しい金持ち令嬢やその家族は汚名を免れるが、犠牲者二人はあれじゃ浮かばれない。まあ腹が立つなら読まなきゃいいんだけどさ。

「風葬の城」・・浅見物。そう言えば作者内田氏の訃報が新聞に載っていたな。ご冥福をお祈りいたします。とは言え感想はまた別です。ラストで浅見は犯人をわざと逃がす。実行犯はすでにつかまっているから十分だろう・・って、アンタにそんな勝手な判断する権利ないと思うが・・。

「上野谷中殺人事件」・・浅見物。上野駅は私にとっても懐かしさを感じさせる駅だ。大晦日、ぎゅうぎゅう詰めの列車で帰ったっけ。超高層の新駅ビルの構想なんて本当にあったのだろうか。小説の方は大した盛り上がりもなく終わる。ヒロインにも浅見にも魅力が感じられないのがイタイ。

「耳なし芳一からの手紙」・・浅見光彦シリーズ。いつものことだが水っぽい内容。最後の方で実は・・となるけど、あまり説得力がない。被害者が妻のことを「この女」と呼んでいたのなら、聞き込みとかで耳にするんじゃないの?な~んて書きながら、実はもうどんな内容だったか思い出せないのだ。

「歌わない笛」・・みんなの本棚から。浅見物。ヴァイオリニストの千恵子は、雪の中でフルートを持ったまま自殺した康子の写真を見て違和感を覚える。康子はフルーティストなのに持ち方が逆なのである。もしかしたら殺人なのでは・・と、以前知り合った浅見に連絡する。もちろん警察は取り合ってくれない。浅見もすぐ乗り出したわけではないが、そのうち康子の婚約者戸川が死亡。後追い自殺とされたこの事件に興味がわき、行動を起こす。私は浅見はあまり好きではない。変に正義感ぶってるし、ずうずうしいし、死人増やすし。十津川のキャラの方がよっぽどマシ。

え)

江戸川乱歩

「少年探偵団」・・みんなの本棚から。このシリーズを読むのは初めてかな。明智小五郎が意外と間抜け。インド人イコール怪しいと言うのがいかにもな感じ。

遠藤周作

「闇のよぶ声」・・映画化もされたのか、文庫のカバーに小林麻美さんがうつってる。調べてみたら「真夜中の招待状」とか言うらしい。意外なことにみんな酷評している。事件を追うのがくたびれた中年の精神科医というのが珍しい。普通なら同じくたびれたでも中年刑事か中年探偵が出てくる。ず~っと謎めいたままで行って、最後は犯人の告白の手紙ですべてが明らかに。最後まで一気に読ませるほど引き込まれたけど、いくつか?の箇所はある。何で復讐する相手が一人だけなのか。もう一人にも同じくらい恨みがあるはずだが。犯人が精神科医に接触するのも変。

お)

逢坂剛

「禿鷹の夜」・・みんなの本棚から。読みにくいかなと思ったらそんなことはなくて、一気に読んでしまった。主人公には私は魅力感じなかったな。特に人のミスをあとあとまで何度も指摘して嫌味を言うところがいや。帯には警察暗黒小説とある。こんなとんでもない刑事がいたら大変だな。暴力団の連中の方がまともに見えちゃう。シリーズ化されてるようだから今度図書館で調べてみよう。

大村友貴美

「死墓島の殺人」・・みんなの本棚から。何となく「獄門島」思い浮かべた。内容は違うけど雰囲気が。最後の方で警部補がある女性の生き方の弁護するけど、読んでいてもそうは思わない。まわりに迷惑かけっぱなし、振り回しっぱなし。やっぱり無視するのが一番賢明だと思うな。他の作品も読んでみたい。

「首挽村の殺人」・・早速大村友貴美氏の作品を借りてきた。ちょっと死人が出すぎという感じ。ラストの謎解きも片方は東京、片方は岩手で距離がある。そのせいで間延びした印象受ける。岩手の方にいる犯人がぶち切れて、死人がもう一人増える可能性もあった。犯人を前にして自分の推理を述べるなんて、アンタバカじゃないの?と思ってしまう。ここはやっぱり犯人に対峙するのは東京で調べて確信を持った刑事でなきゃ。

恩田睦

「六番目の小夜子」・・今いち。

「蒲公英草紙 常野物語」・・みんなの本棚から。戦争が終わって何もかもなくして明日への希望も持てない。気がつけばすっかり年を取っておばあさんになってる。子供の頃に書いた日記のようなものを読み返してみる。体の弱い金持ちのお嬢様の話し相手として過ごした日々。そのお嬢様には不思議な能力があって。不思議な能力を持つ一族の物語はこの作品以外にも書かれているらしい。

「訪問者」・・妹から借りた。なかなかおもしろかったが、ちょっと無理なんじゃないの?という部分も。読みながらクリスティの「ねずみとり」思い浮かべた。いきなり現われ、次々に推理を述べる青年は信用できるのか。ほとんど家の中で展開するので、舞台化もできそうだ。

こ)

小池真理子

「闇のカルテット」・・みんなの本棚から。芽衣子は男性・・波多野をはねてしまい、彼が死んだのは当然それが原因と思い込み、死体を始末。彼がいなくなったのではまずいから、記憶喪失のルンペン、ケンを身代わりに。フランスには波多野のまだ見ぬ実母がいて、しきりに会いたがっている。準備はしたものの、果たして身代わりは務まるのか。ところが会ってみたら実母は盲目だった。何かすごいこじつけたようなストーリーだが、暇つぶしに読むのにはいい。途中から芽衣子よりケンに比重が移ってしまうのはやや不自然。

「追いつめられて」・・「悪者は誰?」はテレビで見たことがある。 「隣りの女」がおもしろい。

「キスより優しい殺人」・・短編集。みんなの本棚から。「光あふれる樹」がよかった。

木谷恭介

「京都鞍馬街道殺人事件」・・ああいうまわりに迷惑かけるジジイはいやだな。一人で消えろっての。

「紺屋海道・蔵の街殺人事件」・・ヒロインが株でとんでもない金額を手にするところまではおもしろかったけど、後半は・・。前の作品もそうだったけど、ヒロインが捜査に加わっている必要がないような気がするんだけど。

さ)

斉藤栄

「偽装特急殺人事件」・・みんなの本棚から。寝台特急みずほが出てくる。そう言えば神奈川にいた頃、土曜日の練習が終わって横浜駅のホームで電車を待っていると寝台特急が来て・・。宇部行きとか西鹿児島行きとか確かそんな感じだったっけ。・・同じ高校の卒業生6人が、ある設計図を強奪する。その後1億円で会社に売りつけるのだが、その金を用意したニセモノとすり替えるのが「みずほ」の中。計画は成功するが、金を運んでいた小森は何者かに殴られ、生き埋めにされてしまう。何とか脱出し金を見つけるが、半分の5000万しかない。自分を襲ったのは男女の二人組で、女性の腿にホクロがあるということしか手がかりはない。で、手に入れた5000万を使って復讐に乗り出す。仲間は彼が金を持ち逃げしたと思ってる。しかしその仲間の中に犯人がいるのだ。前半はよくある展開だが、途中から雰囲気が変わる。何と小森は整形手術で女性となるのだ。と言っても外見上だけど。金を持ってみずほに乗り込んでいたのは警部だが、金を奪われてからは出てこない。こういうのも珍しい。犯人のうち女性の方は〇〇だろうと予想はつく。一番話に絡んでこない、圏外にいた者が実は・・というのはお約束。男の方はやや意外な人物だったが、なぜ女と結びついたのか不明なまま。男性向けサービス描写が多すぎて、そういう肝腎なところが抜けている。

「香港殺人旅行」・・両親と香港旅行へ行ったのはいつだったかな。それを思い出しながら読んでいた。

「湘南モノレール誘拐事件」・・これはパズルみたいな小説ってことらしい。出てくる男性の名前がジャニス・ジョプリンというのは、冗談としか思えない。

笹沢左保

「死神の舞」・・何と言うか・・美しくてプロポーションがよくて、次々に男が寄ってきて。初めて皿を焼いたら絶賛されて、次ので賞をとって。ああ、そうですかって感じ?私にゃ縁のない世界ですだ。

「異常者」・・週刊誌の連載だろう、重複が多い。何度も同じ説明が出てくるのがわずらわしい。連続殺人が起きて途中で犯人がつかまる。えらく早いな。いやいや、九件のうち三件はこの模倣者の仕業。そのせいで見えにくくなっていた本来の事件の犯人は意外にも・・。いやそれが全然意外じゃなくて。ある女性のこと全く忘れているなんてあり得る?主人公健忘症じゃないか?舞台が九州に移るともう読んでる人は〇〇が犯人・・ってわかっちゃう。あの時の電話で自分の仇だって知ったのだ。何も気づかない主人公がアホに見える。

し)

島田荘司

「寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁」・・これが吉敷初登場作品らしい。なになに・・耳がすっかり隠れるくらいの長髪で目は大きく鼻筋は高く通り長身で混血のモデルみたいだと・・あらまあ。ブルートレインって今でも走っているのかしら。平塚にいた頃、土曜の練習が終わって横浜駅のホームに立っていると、九州行きのがとまっていたっけ。自分自身は一回急行越前で寝台を経験したが、冬だった。暖房が暑くて暑くてとても眠れたもんじゃない。セーターを脱ぐなどストリップやってたけどそれでも暑い。仕方なく普通車の方へ行って、これじゃ何のために寝台取ったのかわかりゃしない。で、「はやぶさ」だけど、被害者千鶴子の母親がなぜ萌子を殺そうとするのか。千鶴子を殺したのは辰郎だし、その辰郎にとどめを刺したのは萌子なんだから。千鶴子をそそのかしたから恨む・・だけじゃ動機として弱いんじゃないの?

「嘘でもいいから殺人事件」・・島田氏がこういうふざけた小説書くとは思っていなかったのでびっくり。生きてる人間の首を切断すれば返り血がすごいと思うが、そんなこと突っ込んじゃいけないんだろうな。

「占星術殺人事件」・・図書館から。島田荘司の本は自分でも数冊持ってる。これは御手洗潔を主人公とするシリーズらしい。どこかですごくほめていて、それで期待したけどさほどでもなかったな。体の一部がない数体の死体。でも首のない死体が一番怪しいってのは常識でしょ。

「涙 流るるままに」・・図書館から。吉敷竹史物。彼は珍しく長身でハンサムらしいので興味はある。ちょうど映画「リベリオン」を再見してたので、読んでてクリスチャン・ベールの顔が重なった。きっとあんな感じに違いない。分厚い文庫2冊は読みでがあるけど、ヒロイン通子の部分は、何じゃこりゃ。バカじゃないの?ラストは出来過ぎだけど読んでてウルウル。何はともあれよかったよかった。

「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」・・ロンドンに留学中の漱石が、シャーロック・ホームズやワトソンと共に不思議な事件を解決。ワトソンが書くものと漱石が書くものが交互に出てくる。同じ事柄でもたぶんワトソンのものは脚色してある。だから内容は少し食い違っている。こういうパロディーみたいなもの、推理作家にとっては魅力的なんだろうな。漱石の「倫敦塔」もそのうち読み返してみよう。

白石一文

「一億円のさようなら」・・図書館から。NHKのドラマは毎週見ていた。あちらは若い頃の二人もかなり出てきたけど、原作はそれほどでもない。福岡や金沢の描写が多く、それは別にいいのだが、私自身はあまり好きではない。描写をしている間はストーリーが進まないからだ。どこに何があって、何がおいしかったなんてどうでもいいじゃん・・と思う。何かあっても次の章ではその続きが書かれず、時間や場所が飛ぶ。しばらくしてから前の続きが書かれる。水を差されると言うか、あまり何度もやられると読み続けようという気が萎える。

す)

首藤瓜於

「脳男」・・WOWOWで映画見たので早速原作ゲット。映画もいいけど原作もおもしろく、一気に読んでしまった。こういうユニークなの好きです。

「差し手の顔」・・「脳男」がおもしろかったので、アマゾンで入手。古本屋へ行けないので、新刊書を買うことが多くなった。読む人の多くは脳男こと鈴木のその後の動向が気になって読むのだと思うけど、その期待は裏切られる。真梨子や茶屋の活躍でがまんするしかない。一気に読んだが、一作目ほどのおもしろさはない。同じありえないにしても、楽しめるありえないと、楽しめないありえないがあるのだ。ストーリーには関係ないけど、真梨子の冷蔵庫の中身が描写される。一作目でも描写されてたけど、それ以外の家の中全体も描写される。真梨子の冷蔵庫は食料がぎっしり詰まっているけど、彼女はたいていコーヒーで空腹をごまかす。だから廃棄率はかなり高いと思う。

「ブックキーパー脳男」・・こちらはまだ文庫化されてないようで、図書館から借りて読んだ。本はとても重くて、持っている左手が痛くなった。文庫本では味わえない感覚だ。一日で読んだが、鈴木の出番は二作目以上に少なく、その点では期待はずれ。

曾野綾子

「切りとられた時間」・・曽野綾子。みんなの本棚から。奥付には昭和46年とある。人間だったら50年たてばずいぶんポンコツになるが、カバーはないものの本はきれいだ。古くてもきれいな本を見つけるとうらやましく感じてしまう今日この頃。私より長生きするかも。戦争が終わって20数年、南の島にやって来た釣師。彼は戦時中ここにいて大変な思いをしたけれど、軍人ではないこの島の住民もそれ以上に大変な思いをした。宿のおかみは集団自決で二人の娘を殺したけど、自分は生き残った。教会の神父は上陸したアメリカ人兵士の懺悔を聞いたり、ミサを上げたりした。そういう過去は聞いてくれる相手がいると出てくるが、普段はしまわれていて今の生活を生きる。自分の中の何かが壊れているけど、人間はそれでも生き続ける。

た)

高木彬光

「法廷の魔女」・・高木彬光の作品もいろいろ読んでみたいと思っているが、なかなか時間がない。古本屋へ行っても、まず海外のミステリーを捜し、日本のまで手が届かない。この文庫本はたぶん母のものだろう。たいていのものは一度読んで、あるいは読まないまま処分したけど(だって浅見光彦シリーズとかみんなおんなじなんだもん)、これは残しておいた。夫殺しの容疑で逮捕されたヒロインは、いつも微笑を浮かべているせいでまわりに誤解されてしまう。今だって微笑なんか浮かべていたら「不敵な薄笑いを浮かべている」とかマスコミに叩かれるだろうな。でも、悲しい時絶望した時怒った時なぜか知らないけど笑ってしまうことってあるよな。 

巻末の解説ですごくほめてるけど、この作品はヒロインの冤罪が晴れてめでたしめでたしはいいけど、途中で提示される疑問・・川瀬の前妻の死因とか・・がうやむやのままだ。殺人に使われる毒の入手方法も不明。二匹の猫を殺したのも犯人の仕業? 

高橋克彦

「偶人(からくり)館の殺人」・・みんなの本棚から。いつも借りてるところは、他に借りる人があまりいないらしくいつ行っても同じ本があるけど、たまに別のところへ行くと、こうやって目新しい本があるわけよ。駅前のせいで利用者も多いのか、本の出入りが激しい。で、この本だけどからくりを文章で表わすのって難しいと思う。からくり人形ってあまり見たことがないし。そう言えば昔テレビのCMで、ウィスキーだったと思うけど、きれいな西洋人形で、タバコの煙を吐くのが出ていたな。ストーリーは・・あまりおもしろくないな。蘊蓄が多い割には無関係だったり。探偵役の矢的が意外に役に立たなかったり・・。

「ドールズ 闇から招く声」・・いつもとは別のみんなの本棚から。ここは年に数回しか来ないから、返却するのはいつになるか。でも図書館みたいに期限がないのは助かる。これはシリーズ物らしい。少女の意識の中に江戸時代の人形師が棲んでいて、事件を解決というのはユニークな設定。プロローグのせいで途中で犯人の目星はつく。

高山ちあき

「かぐら文具店の不可思議な日常」・・みんなの本だなから借りたもの。読みやすいけどなかみは・・。今時の若い女の子にはこれでいいのかな。青年はあくまでも生活臭がなく、人間かどうかさえもわからない。女の子は見かけはさえないけど、実はとってもかわいい。ヒロインは失踪した父親らしい人が見つかっても、すぐには母親には言わない。自分と父親のことしか考えない。母親がどう思うかは考えてみようともしない。全体的に非常に偏った感じで、まあそこがいいのかもしれないが、私には首を傾げるようなことばかり。第一何で家族でうつした写真持っていかないの?

谷崎潤一郎

「細雪」・・読み返した。「われよりほかに」を読んだせいか、前に読んだ時とは違うこと考えたりした。こういうことがあったああいうことがあったという部分は、さぞ集めまくり、ためまくったんだろうなあと。

つ)

筒井康隆

「時をかける少女」・・映画見たので読み返した。こんなに短い小説だったんだ。あんまり広がりもないし。写真は帯だけなのが残念。テレビの後で、映画の前だから、「タイムトラベラー」の写真。

と)

堂場瞬一

「時限捜査」・・借りたもの。登場人物同じで他のもあるらしい。かなり長いが、わりとおもしろかったので、他のも読んでみたいが、みんなの本棚には置いてない。買ってまで読もうとは思わない。今作は大阪での立てこもり事件がメイン。

な)

長岡弘樹

「道具箱はささやく」・・妹が貸してくれたもの。短編集。水っぽい十津川物の後では、なかみが詰まってるという感じ。中にはちょっと設定に無理が感じられるものもあるが、おもしろく読めた。

夏樹静子

「紅い陽炎」・・何人かの女性が出てきて、最初のうちは話があちこちに飛んでる感じ。あらまた新しい女性の登場人物?って感じ。そのうちだんだんまとまってくるけど。

「Mの悲劇」・・陶芸家の妻と若い弟子・・よくあるパターンですな。

「アリバイの彼方に」・・これもみんなの本棚から。短編集。短いけど一つ一つに力がこもっている。中では「便り」がよかった。

夏目漱石

「文鳥・夢十夜・永日小品」・・短編集。印象に残るのは「文鳥」と「猫」。猫はともかく文鳥は籠の中にいて、世話してくれる人だけが頼みなんだから、それができないのなら飼うなっちゅ~の。餓死した文鳥が気の毒で。テレビの「偉人たちの健康診断」で南極に置き去りにされた犬達のことやってたけど、本当に気の毒で気の毒で。人間達の都合で生死を左右されるんだからたまったもんじゃない。

に)

仁木悦子

「黒いリボン」・・図書館から。前にいくつか見つけて読んで、他にはないと思ってたけど、これだけ大活字本の棚にあった。ヒロインが偶然再会した声楽家で、今は家庭におさまっている女性の息子が誘拐される。身代金を渡しに行った夫が殺され、ヒロインは兄と共に捜査に乗り出す。まあいつもの通りです。むごたらしさとか異常さとは無縁で、普通に読んでいられる。

「刺のある樹」・・仁木兄妹物。こういう軽い推理物が置いてあるとすぐ借りてきて読む。

「猫は知っていた」・・これは大昔読んだことがあるかもしれない。

「林の中の家」・・仁木氏の作品は古本屋でもあんまり見かけない。ホントは全部読みたいんだけど。何となくクリスティーの作品みたいな感じ。ものすごく残酷とかものすごくいやらしいとか、そういうのがなく品がいい。また、今のものすごく便利なスピーディーな世界ではなく、ひと昔ふた昔前の暮らしの中での出来事なのがいい。

「私の大好きな探偵」・・仁木兄妹が活躍する長編は四つしかないようだ。意外と少ないんだな。あと読んでないのは「黒いリボン」か。これは短編集で、あまり深みはないけど、さらっと読める。

「名探偵コレクション 吉村記者の全事件」・・仁木悦子作品は古本屋でも見かけないので、図書館で全集見つけた時にはびっくりした。全部揃ってるかどうかは不明だが、とにかくありがたい。これは長編の「殺人配線図」と短編が四つ。体を壊して社会部から文化部へ移った新聞記者吉村が主人公。短編のうち「みずほ荘殺人事件」は犯人を当てる企画が「宝石」誌上でなされたのだそうで。平野謙という人の答案も載っている。こんなに細かくほじくられたのでは、オチオチ小説も書けないなあという気がした。

「名探偵コレクション 砂村朝人の全事件」・・こちらは翻訳屋の砂村が主人公。長編「青じろい季節」と短編が二つ。短編のうち「一本のマッチを擦る時」はすぐに犯人がわかる。

「名探偵コレクション 櫟ファミリーの全事件」・・長編「二つの陰画」ではアパートの大家や金貸しをしていた老女が殺される。アパートに住む櫟夫妻が犯人捜し。甥や姪がいるのになぜか遺産は別の女性に。そのうちこの女性が実は老女の娘とわかるが、最後にはそれも引っくり返る。つまり女性は二重に正体を偽っていたわけ。密室トリックが出てくるが、別になくてもいいような。この作品では赤ん坊の息子が、二つの短編には小学生として出てくる。「一匹や二匹」には子猫が出てくる。野良猫の世話をするネコおばさんのキャラがいい。他の短編にも出てきて欲しい、できれば主役で。

仁木英之

「黄泉坂案内人」・・みんなの本だなから借りたもの。発想がユニークで、登場するキャラもいい。特に玉置さん。ちょっとわかりにくいところや、ラストが100パーセントハッピーエンドじゃないのが残念。

西村京太郎

「祭ジャック・京都祇園祭」・・十津川警部物。何だか無理のある流れ。十津川の妻直子の行動が理解できない。夫と一緒にいて事件の流れ、犯人のずるがしこさがいやというほどわかっていて、それで何でやすやすとつかまるのかね。小野篁のことがちょこっと出てくるのが珍しいかな。

「十津川警部 捜査行 宮古行「快速リアス」殺人事件」

「十津川警部 捜査行 わが愛 知床に消えた女」

文庫に四編入っている。これくらいの長さだと長編のような水増し感はあまり感じないですむ。スイッチバックとか乗り継ぎとか上りと下りで別の線路とかまあいろいろ出てくるが、この年になると読んでいても何も頭に入ってこない。

「十津川警部 捜査行 湘南情死行」・・短編の方が文章のくり返しが少ない分、幾分まともな作品に思える。

「紀勢本線殺人事件」・・若い女性が次々に殺され、浮かび上がった男性は女装がよく似合う。ホステスの目撃証言に「女性にしては背が高い」がないのはおかしい。暗がりで見かけたとしても印象に残るはず。読者はすぐに「はは~ん」とわかるが、十津川達はなかなか気がつかない。アホか!

「呉・広島ダブル殺人事件」・・長編だとまた同じ文章のくり返しが始まる。文庫化する時、修正しないのかな。何だか垂れ流されているみたい。だらだらしてるし締まりがない。最後の方でいきなり犯人が現われる。今まで出てきた連中はいったい何だったのかね。

「十津川警部 殺意の交錯」・・短編集だが、「河津・天城連続殺人事件」にはまいった。普通こんな会話するか?そばで聞いてる人がいたらこいつら異常者か?と思うよ。いくら話すことによって考えをまとめるにしても、こんなことしゃべらないと思うよ。あ~十津川物って何かこんな感想ばっかりだな。他の人は読んでてうんざりしないのかな。

「金沢加賀殺意の旅」・・十津川物。途中まではこれって前に読んだことあったっけ・・と思いながら読んでいた。でも読むのは初めてのようだ。犯人自殺で終わってしまうので「何だよ~」とモヤモヤ気分。

「京都駅殺人事件」・・十津川物。京都の新しい駅舎が醜怪で気に食わんと爆破予告。最初の犯人が交通事故で死んで一件落着かと思ったら、また爆破予告。読んでいても退屈でおもしろくない。最初の犯人は浪人。親からの仕送りが月に25万。予備校月謝があるにしても、ひえ~!な金額だ。

「古都千年の殺人」・・十津川物。妹が貸してくれた。私の蔵書には西村氏の作品はなし。文章がブツブツ切れて読みにくいし、同じこと何度もくり返されるし、結末のつけ方がしょぼいから。「、」を削って、文章の重複を直したら、量が半分になるのではないかしら。内容もばかばかしい。

「青森わが愛」・・十津川物。短編集。中身の薄い長編よりマシな出来。

「悲運の皇子と若き天才の死」「猿が啼くとき人が死ぬ」・・どちらも妹が貸してくれたもの。同じ文章のくり返しにイライラさせられるし、なかみは水っぽい。

「夜ごと死の匂いが」・・短編集。うち三編に私立探偵が出てくるのが珍しい。これも中身の薄い長編よりよっぽどマシ。

「十津川警部 予土線に殺意が走る」・・ホビートレインはかわいらしいね。このおもちゃで釣って、子供を誘拐し、十億の身代金。最後の方でヒロインが自殺しちゃうけど、唐突すぎるな。ありえない。

「十津川警部 出雲伝説と木次線」・・木次と書いて”きすき”と読むんだそうな。退屈な論文読んでるようだ。しかも傷ついたCDじゃあるまいし、同じことを何度も何度も。最高におもしろくない小説。

「十津川警部 「荒城の月」殺人事件」・・これはまあわりとおもしろかったけど、最後の方は十津川が全能の神みたいに推理して終わり。せっかく途中まではよかったのに尻すぼみ。

「哀切の小海線」・・十津川物。みんなの本棚から。近頃は借りたいものもなくなっていたんだけど、どなたかの寄付で新しいものが。よく保険とかのCMで、同じことをくり返すのがある。「おいかあさん、○○歳まで入れる保険があるよ」「あらとうさん、○○歳まで入れる保険があるんですか」。この本読みながらそれを思い浮かべていた。「一週間後に鹿島源太は刑期を終えて出所するはずだった」・・このフレーズがまあ何回くり返されたことか。どう考えたって字数を増やすためとしか思えない。それとやたらめったら「、」が多い。こういう文章って読んでいて首がガクンガクンとなる。これも字数稼ぎだ絶対。同じ文章のくり返しは、雑誌に連載する場合など説明のため多くなるんだろうが、文庫や単行本にする時手を入れないのかね。これで内容がすばらしかったらそんなことも帳消しになるけど、こう言っちゃ何だけどこの作品は浅いし水っぽい。

「犯人は京阪宇治線に乗った」・・読んでてこれもいらん、ここもいらんと思いっぱなし。「葛西と谷村は五年も同棲していた」・・何度くり返されたかね。犯人は出てきた時からわかるし、動機もありえな~い。

「黙示録殺人事件」・・十津川物。奥付を見てびっくり。平成27年で81刷・・今ならもっとだろう。確かに他のに比べれば内容は濃いし、「、」も少ない。以前はちゃんと(←?)書いていたんだ。

「欲望の街 東京」・・四話入ってる。どの話も犯人はわかってるような感じで、意外性はない。四話目あたりは意外性期待したんだけどなあ。一話目は喫煙と浅草寺が見える喫煙場所についてくり返される。でもってやっぱり喫煙と喫煙場所が動機でしたとなる。やれやれ。

「十津川警部 山手線の恋人」・・これが書かれたのは2017年か。まさかコロナでオリンピックが2021年に延期されるとは誰も予想しなかったあの頃。山手線新駅が予定通りできるかどうかの賭け。延期させるためにいろんな妨害するなら、予定通りできるようにするため手をうつ者もいるんじゃないの?あと、いくら年格好が似てるからって、すり替わるのは無理だと思うよ。一番アレなのはラスト。「本当の戦いは、これからだよ」って、そこで終わられても困るんですけど!ちゃんと最後まで終わらせんかい!

「東京地下鉄殺人事件」・・十津川物。地下鉄で二人殺された時、持っていたはずの切符に触れないのはなぜなんだろう。持っていなかったのなら持っていなかったと普通は書くでしょ。

「九州新幹線「つばめ」誘拐事件」・・十津川物。息子を誘拐された福田は、自分の車を三鷹駅前に停めて自宅まで歩いたはずなのに、翌日普通に自宅から車に乗って出勤するのはなぜなんだろう。十津川物は会話とかくり返しが多いけど、週刊誌の連載だからなのか。文庫で読んでるとくどい感じがする。

「九州新特急「つばめ」殺人事件」・・十津川物。解説でほめちぎっているけど、そんなにいいか?話に無理があると言うか、うまくつながっていないと言うか。ヒロインの恋人が殺される必要あったのか。それと彼女、恋人が死んだにしては影響受けてない。

「北陸新幹線ダブルの日」・・十津川物。いきなり上越妙高駅でびっくりするけど、戦争末期の特攻機に話が移り、期待は早々にしぼむ。要するに上越妙高じゃ推理小説にはならないってことですな。ラストもビックリ。まだ数十ページあるから、これから謎解き・・と思っていたら唐突に終わってしまった。そりゃ戦争が終わって70年、事件が起きた10年前でもすでに60年たってる。みんな80代、90代、これじゃ解決もへったくれもないなとは思ったんだけどさ、その通りになりました。巻末に80ページ近く作品リストが載っている。文庫の約四分の一だ。呆れたね。

「十津川警部「記憶」・・こういうの読むといつも不思議に思う。寝た子を起こすようなこと何でやるのかね。記憶が戻っちゃ困るのに記憶戻そうとあれこれやってる。

「韓国新幹線を追え」・・十津川物。途中から展開が苦しくなってくる。文書を送ってきたのは結局誰だったのか。女性はなぜ殺されたのか。

「越後湯沢殺人事件」・・みんなの本棚から。十津川物や浅見物はたくさんある上、どれも似たような感じなので、読んだはしから忘れてしまう。越後湯沢のリゾートマンションで芸者の死体が見つかる。その部屋の持ち主沢木が疑われ、やがて逮捕される。警察は頭から彼を犯人と決めつけ、他の可能性を考えてみようともしない。とにかく自白を引き出そうと躍起になる。沢木が助けを求めたのが大学の同窓生十津川。彼が動き出すと沢木の描写は全くなくなる。これってちょっと偏りすぎ。十津川がいろいろ聞く芸者とみ子は、そのうち殺されるぞと思っていたら案の定。他にもこれはきっとアレだなと思っているとそうなる。意表を突く展開とはならない。それにしてもやたら「、」の多い文章だな。私ならここで区切らないぞ・・とずっと思いながら読んでいた。 

「十津川警部 「初恋」」・・みんなの本棚から。大学生だった十津川が淡い恋心を抱いた夕子は、今は高山で旅館の女将をしている。娘で若女将の由紀が突然病死したことから始まる連続殺人事件。どうもこういう復讐が動機のストーリーが多いな。警察には任せておけないってか?

「恨みの三保羽衣伝説」・・みんなの本棚から。短編が四つ。十津川と言うより部下の西本や日下が主人公だったりする。若くて独身、女難、思い込み、空回り。ところでいろんな小説読んでて不思議に思うことがある。車を運転しているのにアルコール類を平気で飲むことである。外国ならまだしも。この本でもビールを飲んでいる。何でノンアルコールと付け加えないのかね。

「越後・会津殺人ルート」・・十津川物。読んでしばらくたつともうどういう内容だったか思い出せない。ということは大した内容じゃなかったってことか。

ひ)

東川篤哉

「謎解きはディナーのあとで」・・みんなの本棚から。てっきり映画の原作だと思って借りてきたら違った。短編集。ヒロインはもっとお気楽なタイプ(お嬢様だし)だと思っていたら、意外と真面目で一生懸命仕事してる。他にもないか今度図書館で捜してみよう。なかなかよく考えられている内容。執事の影山はあまり普通の人間ぽくなって欲しくないな。

「謎解きはディナーのあとで3」・・早速図書館から借りてきましたよ。「3」ってことは「2」もあるんだろうけど貸し出し中なのかな。「1」と同じく楽しめる。ディナーのメニューがおいしそう。こんな夕食食べてみたいものだ。

「新 謎解きはディナーのあとで」・・このシリーズは何冊あるのかな。続けて読むと、当然のことながら読んだはしから忘れてしまう。トリック考えるの大変だと思うけど。

東野圭吾

「ラプラスの魔女」・・映画がよかったので、図書館から借りて読んだ。最初行った時は文庫も単行本も貸し出し中だった。人気あるのだろうと思った。青江が家族持ちで、しかも妻子から軽んじられているようなのが意外だった。そのうち古本屋で捜して買って、自分の蔵書に加えたいものだ。

「容疑者Xの献身」・・みんなの本だなから借りてきた。前に一度借りてきたけど、おもしろくなさそうな気がして返したのを、思い直してもう一度借りてきた。一気に読んで、まあおもしろかったんだけど、いろいろ引っかかるところのある作品だ。無理がありすぎてあっけにとられる。

「真夏の方程式」・・図書館から。映画を見てからだいぶたってるけど、場面を思い出しながら読んだ。かなり無理のある設定だが、こちとら湯川の言動にしか興味ないもんで。

「片想い」・・これも借りてきたもの。分厚いしミステリーだし暇つぶしにはなるだろう・・って暇でもないんだけど。何かやらなくちゃならないことがあると、読書に逃げる。東野圭吾作品は初めて。ある人物が不治の病だってのは見え見えなのに、主人公が全然気がつかないのはおかしいよな。

「沈黙のパレード」・・久しぶりに定価で買った。映画を見たのでどうしても比較してしまうが、まあ流れはほとんど同じ。違うのは仮装大会の扱い。映画ではかなり時間もお金もかけていたけど、こちらはサラリ。驚いたのは表紙カバー。映画が公開されたからか二重になってる。こんなの初めて。しかも!「容疑者Xはひとりじゃない」なんて印刷してある。こら!ネタバレするな!

平岩弓枝

「セイロン亭の謎」・・借りたもの。平岩氏がこういうのを書くとは・・いや、私が知らないだけだろうけど。神戸と東京を行ったり来たりなのがちょっとまだるっこいかな。読みやすいけど、最後の方は誰が誰だって?と、ちょっと混乱する。

「湯の宿の女」・・みんなの本棚から。短編集。ハッピーエンドのものとそうでないものとがある。何と言うか、男女の出会いとか別れとか、私自身からは遠く離れた世界の話のような気がする。何にもないもんね、こちとら。

ま)

松岡圭祐

「カウンセラー」・・かなり残酷な描写。内容的には映画の「ブレイブ ワン」によく似ている。

再読。途中まで読んで気がついた。前に読んだことあるぞ・・って。はい、やっぱり今回も残酷でした。

「催眠」・・これはみんなの本だなで借りたもの。最後のページに、映画化されたと書いてあって、そう言えばテレビだか映画館だかで予告編を見たな・・と、思い出した。テレビドラマ化もされたのかな。どっちも見ていない。おもしろかったけど、偏った感じもした。映画ではヒロインは菅野美穂さんが演じたそうだが、私は何となく壇蜜さんを思い浮かべながら読んでいた。 

再読・・映画の方はまだ見てない。WOWOWあたりでやってくれないかな。みんなの本棚から再度借りてきて読んだ。と言っても主な流れは三つあって、途中からはそのうちの由香の部分だけ読んだ。あとの二人の部分はあんまりおもしろくないから。

松本清張

「波の塔」・・いつになったら殺人事件が起きるのかな・・と思いながら読んでたけど結局・・。カバーに長編恋愛小説とあるのでいやな予感はしてたんだよな。いやつまりこんな分厚い新書読む楽しみって私の場合事件・推理・謎解きであるわけで。モタモタした男女関係じゃないんですよ。爽やかに登場した青年が人妻との関係にぐじゅぐじゅ悩むとか、最後ヒロインは富士の樹海にとかさ。もっと他の生き方あるでしょって言いたくなっちゃう。

「高校殺人事件」・・これはNHK少年ドラマシリーズの一つ、「赤い月」の原作。あれはもう見ることはできないんだろうなあ。内容はよく覚えてないけど、小西役市山登氏がすてきだった。「幕末未来人」では沖田総司役で、これまたすてきだった。びっくりしたのは市山貴章という名でまだ活躍してること。「麒麟がくる」にも出ていたらしい。え?何の役で?小西はすぐ死んじゃうんだけど、印象に残るのは彼だけ。他のこと全然覚えてない。詩を暗唱しているあのシーン。ほよ~。小説の方は高校生向け雑誌に書かれたもの。地味で堅実、振れ幅は小さい。つまり奇想天外なものはなし。

「地の指」・・みんなの本だなから借りてきて読んだ。松本清張氏の作品なので、一定のレベルは期待できると言うか。でも何となく設定に無理があるかな。とは言えこういう、刑事が地道な捜査をするというのはいい。無駄もいっぱいやってるけど、その無駄がなければ解決にたどり着かないと言うのが。今は何でも無駄を省いて近道はないか、そればっかりだからね。

「隠花の飾り」・・昔テレビで見た。

「張込み」・・映画が有名らしいが、見たことなし。テレビは田原俊彦氏が出ていたもの。最後の方で大竹しのぶさんが大演説始めちゃって、ムードぶち壊し。まあ彼女のせいじゃなくて脚本のせいだけど。

眉村卓

「ねらわれた学園」・・映画(1981年製)を見たのでこっちも読み返した。少年ドラマシリーズと映画との落差が大きすぎて、原作の存在なんかどこかへ吹っ飛んでしまい、したがって感想も思い浮かばん。読み返した・・それだけ。

み)

三島由紀夫

「美しい星」・・映画の感想書くために何十年ぶりかで読み直した。読みにくいし、あまりおもしろくない。これからというところで終わってしまうし。

光瀬龍

「暁はただ銀色」・・これは何回か読んでるけど、不思議にストーリー覚えてないので、初めて読むような感じ。テレビの少年ドラマも、見たような気はするけど、ちゃんと全部見たかどうか。でもできることならテレビシリーズ全部見たいものだ。小説のような死者の多さ、範囲の広さ、大がかりさは無理だから、うんと話を縮小してあるだろうけど。

宮部みゆき

「模倣犯」・・図書館から。文庫がなく、単行本。ずっしりと重い。しかも上下2冊。何でこんなに重いのかな。内容のせい?・・なんちゃって。最近某氏の水っぽいスカスカの作品ばっか読んでいたから、そのボリュームには圧倒された。何と言うか、具がいっぱいすぎてかき混ぜることもできないオデンみたいな・・。箸が折れそうなくらいいっぱいと言うか。すでに映画見てるから記憶たどりながら読む。俳優さん達はそれなりに合っていて、それなりに演技していたんだなあとわかる。ストーリーだってこんなに複雑に絡み合っているのに、それなりにうまく整理されていたのだとわかる。それが何であんな・・珍作になってしまったのかね。小説の方は出てくる人・・ほんの小さな役どころの人でもちゃんと背景がつけられていて。よく映画であるでしょ。映画のストーリーには全然関係ないチョイ役なのにどこで生まれてこういう性格でっていちいち背景つけなきゃ気がすまないみたいな。人間である以上背景のない人なんかいないみたいな。まあ映画だとそういうのは描写されないけど、小説だとその部分も読まされるわけで、最初はいいけどそのうちうんざりしてくる。ああ、早く次へ行きたいなあ、何で関係のない人の人生読まされなくちゃならないんだろ・・なんてね。もっとゆったりと構えて読むべきなんだろうけど、読みながらいらついている自分に気づくわけよ。

「クロスファイア」・・図書館から借りた。ははあ原作はこうなっているんですか。映画はこれともう一冊が合わさった内容なんですな。今度そっちも読んで見よう・・って、置いてあるかな。映画では木戸がなぜあんな暮らしできるのか不思議だったけど、金持ちの息子ですか、そうですか。石津ちか子というキャラはいいですな。女性ということで嫌な思いさせられることもあるけど、違う見方考え方をすることで受け流す。そうそう、ある程度の年になると、真っ向から受け止めてキリキリするのアホらしくなるんですよね。「何ですって!?」と怒るのではなく、「あらそう」って感じ。

「R.P.G.」・・宮部みゆきさんの小説を読むのはたぶん初めて。みんなの本棚から借りてきたもの。だいたい読み尽くしたかなと思ってると、しばらくすると他の文庫が。文庫の半分は時代物だけど、私はそっちには興味ないので読まない。この作品はNHKでもやったらしい。何も知らないで読んでいたら、事件の聴取だけで終わりまで行ってしまったので、ある意味びっくりした。聴取が全部警官による芝居というのはちょっと無理があると思うけどね。

「魔術はささやく」・・みんなの本棚から。若い女性が次々に自殺。和子は次は自分の番かもとおびえる。彼女達四人は一時ある商売で金を儲けていた。主人公は16歳の守。3人目の死者洋子に関連し、事件に巻き込まれていく。読んでいて先の読めない楽しさはあるが、ラストに近づくにつれて、あららそうきたか・・となる。催眠術、サブリミナル。守は錠前破りの特技がある。「解錠師」という小説の主人公も若かったけど、あっちはさっぱりおもしろくなかった。守の父親は失踪し、しかも公金横領をしていた。その父の謎も解ける。解説ではこの小説をほめちぎっているけど、あんまり持ち上げると嘘くさくなる。普通におもしろいじゃだめなのかな。

三好徹

「幻の女」・・みんなの本だなから借りてきた。小野小町に関する考察みたいなのが出てくるけど・・。美女のほまれ高い小町だが、絵に描かれる時は後ろ姿。絵にも描けない美しさなのか、本当は美人ではなかったのか。まあ平安時代の女性の美しさは顔立ちとは限らないからね。黒髪の豊かさ、長さ、つややかさが美女の条件。そう考えりゃ後ろ姿でも(髪が見えるんだから)かまわないわけで。で、おもしろかったかって?い~え。ラストははしょりすぎ。あと、主人公の行動は軽はずみすぎるね。

も) 

森博嗣

「赤緑黒白」・・これはみんなの本棚から借りてきたもの。けっこうな分量だけど、会話が多く、その間は話が進まない。だから分量のわりには話のなかみは深くない。裏表紙にVシリーズの第10弾なんて書いてあるから、シリーズ物なんだ。

森村誠一

「流氷の夜会」・・森村氏の作品と言うとだいぶ前「黒魔術の女」を読んだことがある。何じゃこりゃ作品だったな。こちらはうら若い美しい新妻の夫が失踪。会社はヤクザみたいなのが牛耳って危なくなってる。彼女は以前の自分の崇拝者に頼んで協力をしてもらい、失踪、続いて起こった殺人事件を探る。彼女は全く気づいていなかったが、彼女自身も犯人のターゲットの一人で・・。あのねえ・・彼女がそのことを全く思い出さないわけがないでしょうが。時期的、場所的に。

再読・・流氷などどこにも出てこないんですけど?水っぽい十津川物の後では内容濃く感じるが、偶然が重なりすぎという気も。終盤になってヒロインに疑惑が浮かぶのはお約束。ラストもグレーがかってる。

「棟居刑事の悪の器」・・棟居刑事シリーズもあるのかいな。双葉社から出ている新書版を読んだが、普通ならカバーにあらすじとか作者の紹介印刷されてるものだが、何もなし。あとがきもなし。シンプルだなあ・・。内容は・・あら、もう忘れちゃった。棟居刑事がちっとも活躍しないことが印象に残るくらいで・・。

「棟居刑事の悪の塔」・・棟居刑事シリーズもいっぱいあるのかな。この作品は・・たぶん冒頭で犯人予測できちゃう。あと、ラストの方で有光が全然出てこなくなるのがバランス悪い。だって彼ほとんど主人公じゃん。

や)

山村美紗

「京都詩仙堂殺人事件」・・短編集。みんなの本棚から。読みやすくていいけど、出てくる人・・犯人の女性とか・・の浅はかさが目立つ。こうだからああする、ああだからこうする。後先考えず突っ走る。立ち止まるということをしない。みんな相手のせいにする。だから全く共感できない。

「京都殺人地図」・・女検視官江夏冬子物。同じ検視官でもスカーペッタみたいにいろいろどろどろくっついていなくて、さっぱりしているのがいいね。

まだ返本せず、家に置きっぱなし。返すには電車に乗らなきゃならないので。この暑い中、本を返すためだけに出かけるのもしんどくて。それにしても読んでいてところどころあれれと思う。第2話・・本棚を移すってけっこう大変なのよ。本をみんな出して棚を移してまた並べて。本は重いから床にしろ畳みにしろ棚のあとがつく。置いてあったところにはホコリがたまってるはずだ。それ以外に大人の男性一人を埋めるための穴も掘る。こりゃ忙しいね。第6話・・もう一つ気になるのは琵琶湖の水。いくら琵琶湖の水で溺れさせたのがわかっても、衣類が琵琶湖で見つかっても、死体が自分のうちで見つかったのでは何にもならんでしょ。

「京都大原殺人事件」・・みんなの本棚から。失恋して京都へやってきたヒロインが、連続殺人に巻き込まれる。フラれてもすぐ次の男性が現われ、大事にしてくれる。元カレもよりを戻したいと言ってくる。ああん、どうすればいいの・・いい気なもんじゃい。せっかくの密室のトリックも読んでも意味がわからない。書生はなぜ死んだんだっけ。本当は誰が死ぬことになっていたんだ?

「長崎殺人物語」・・冬子というキャラが気に入ったので借りて読んでみたが・・これはハズレ。長編ということで長崎の観光やおいしいものの描写で増量している。冬子の友人百合子の不倫相手大宮の妻が殺される。現場はすぐ近くだし、動機はあるし。でも彼女は自分とずっと一緒にいたし。友情と捜査の板挟みで困惑する冬子。でも実はそれが百合子の狙いで。最後まで自分勝手な百合子。そんな友人のために事実をねじ曲げる冬子。後味悪いです。

「京都清水坂殺人事件」・・冬子物。読んでいてもさっぱりおもしろくない。内容が頭に入ってこない。捜査一課では新年を祝って冷酒で乾杯。和気あいあいやってると、事件発生。車で現場へ直行・・・おいおい、待ってくれ。それじゃあ飲酒運転じゃないか!!

「紫式部殺人事件」・・新書はどれもボロボロで、修復してある。それだけ多くの人が借りて読んでるってことだ。意外と冊数が少ないが、傷んで廃棄された本も多いのか。ヒロインは「紫式部日記」を卒論のテーマに選んだ大学生香子。三年前にひき逃げされて亡くなった父、片思いの相手大宮、中学で同級だった良子の兄、そして教授。次々に殺人事件が・・。大宮が死んでもちゃんと次のが現われるし、まあできすぎですな。

「ポケットベルに死の予告」・・推理作家池加代子と、その娘で女優の梨花が主人公の短編集。会話が多い。また、読みながらこれは誰をモデルにしているのだろうと思ってしまう。ポケベルは今ではほとんど使われていないのでは?狩矢警部がここでも出てくるが、一般の人にこんなに捜査情報をもらすなんてありえないな・・と、いつも思う。

「夜の都大路殺人事件」・・週刊アサヒ芸能に連載されたものらしい。そのせいか男性向けサービス描写が多い。ヒロイン、夏子には二人のパトロンがつくが、最後の最後には一方を選ぶ。そうか、もう一方は妻帯者だしな。それにしてもお気楽な流れだ。

「竜飛岬殺人事件」・・久しぶりに図書館へ行って10冊借りてきた。ハードカバーは重いから文庫や新書。5編おさめられているが、皆それぞれに楽しい。さっぱりしているし、誰かさんみたいに正論振りかざしたりしない。若い女性が主人公なので考えることは結婚。「向日葵は死のメッセージ」は花屋をやっている姉妹が主人公。葬儀に使った花を、少し安くして売り捌いていたけど、本当にそんなことするのかな。そりゃそのまま捨てたのではもったいないけど。買う方は知らずにいるけど、知ったら縁起でもないといやな気持ちになるだろうな。

よ)

横溝正史

「悪魔の百唇譜」・・2時間ドラマの感想書くため読み返した。駄作と書いてる人もいるけど、私はそうでもないと思う。2時間ドラマはひどかったけど。

「悪霊島」

「女が見ていた」

「壺中美人」・・読み返した。これは映像化はされてないのかな。

「殺人鬼」・・何回か読んでる。テレビでやってくれたようだけど、深夜だとなかなか録画もできない。機械の関係で一晩中電源入れとかないと録画できないのが不便。

「死仮面」・・これとか「七つの仮面」とかはあまりくり返し読んでいない。いちおう一つの作品にまとめました・・って感じ。それ以上のものがない。

「支那扇の女」・・これらはあまりメジャーでないので、読み返す頻度は低い。 

「死神の矢」・・これは久しぶりに読み返した。最後の方は涙、涙で異様でさえある。娘の気持ちを無視して婿選びゲームをしたり、遺書に犯人の名前を書かないなど不自然。

「スペードの女王」・・印象に残っているのはソーメンと福神漬け。何とまあ質素な・・。これに限らず横溝作品で好きなのは出てくる食事。一生懸命考えたであろうトリックよりそっちの方が好き。特に「白と黒」に出てくる食事の、何とおいしそうなこと。

「蝶々殺人事件」

「毒の矢」 

「呪いの塔」・・これは何度も読んでる。金田一も由利も出てこないけど、しばらくたつとまた読み返したくなる不思議な作品。塔というのが魅力的なんだと思う。奥さんが実は作品書いてて、旦那は傀儡というのは「陰獣」連想させる。

「花園の悪魔」・・これはテレビの「獄門岩の首」の感想書くために読み直した。そう言えば前にも「白蠟の死美人」の感想書くために読み直したのよ。

「迷路荘の惨劇」・・読み返した。ダルジールやダルグリッシュの複雑に絡み合った文章読み続けていると、時々クリスティーや横溝さんで息抜きしたくなるのよ。あたしゃ頭悪いので、あんまりぼかしたような描写は好きじゃないです。

「迷路の花嫁」・・これは何度目かの読み返し。金田一はあまり表に出てこない異色作。人情物と言うか、ホロリとさせられるところも。

「幽霊座」・・「鴉」をやったので、これが入っている「幽霊座」も読み返した。「幽霊座」と「トランプ台上の首」も映像化されてるらしいので、見てみたい。

「夜歩く」・・これは感想書くために読み直した。何と言うか、ものすごく盛り上げようとする文章の連続で、かえってしらけると言うか。まあいいんですけどね。横溝作品は読みやすいので、読まなきゃならないものがある時でも・・例えば「ゴーストライター」をいつまでもほったらかしにしてないで読み終えなくちゃと思いつつ・・また読んでみようかな・・と思ったりする。

「病院坂の首縊りの家」・・難しい本読んだりすると、その反動としてクリスティーとか横溝作品を読み返したくなる。この作品は構成は複雑だが、文章は読みやすい。円熟味のようなものを感じる。したがって何度も読んでいる。映画や2時間ドラマだと、その時間内におさまりきれないので、犯人を変更してしまう。そのためゆがみと言うか無理が生じてしまい、しっくりこない。

吉川英治

「上杉謙信」・・みんなの本棚には時代小説も何冊か置いてあるけど、あまり読む気になれない。これを読む気になったのはやっぱり吉川英治だから。それと文庫だから。大部の作品は読む前にもう降参て感じ。他の小説と文章が違うな。何と言うか歌うような、目で読むためだけじゃなく声に出して読むためにあるような、そんな文章。聞きなれない単語や表現もいっぱいあるけど、これでいいんだろうと納得させられるような。内容も謙信の一生を網羅してあるわけではなく、人生の一時期を切り取った、そんな感じ。

その他の作品( 順不同)

「仮寝」・・みんなの本棚から。中沢けい著。中編が二つ。中沢作品を読むのは初めて(で最後かも)。文章が長くて時代小説のよう。細かく細かくほじくってほじくって、結局何だったんだろうという印象。

「うたかた/サンクチュアリ」・・吉本ばなな著。これもみんなの本棚から。中編が二つ。あらかた借り尽くして、あとは時代小説しか残ってないけど、そっちは読む気になれない。これは読みやすいけど、あとに何も残らない。

「ハイランド幻想」・・景山民夫著。みんなの本棚から。景山氏は50歳で亡くなったんですか、早過ぎるね。8つの短編がおさめられていて、ジャイアント馬場氏とかネッシーとか、ちょっと変わった題材。他にもSFっぽかったりホラーっぽかったり、いろいろ。

「袋小路の男」・・絲山秋子という人の短編が三つ。書いても書いても世に出られるのはほんの一握りというのは作家に限らないけど、大変だろうとは思う。淡々とした文章で読みやすいけど、何もあとに残らない。でもその残らないのがいいのかも。

「慟哭」・・貫井徳郎という知らない人のデビュー作。途中で、あらもしかして・・と思う。この予想がはずれていて欲しかったけど、だめでしたな。他のシリーズ物の軽さに物足りなさを感じていたので、この作品のなかみの充実感は読んでいてもうれしかった。ただ、新興宗教が何で黒魔術になるのかいな・・という不自然さはある。

「夜の牙」・・勝目梓作。・・あらら、何じゃこりゃ。

「佐渡・密室島の殺人」・・深谷忠記氏の美緒と壮のコンビが活躍するシリーズ。警察官が部外者に捜査中の事件の助力を求めるなんてありえないと思うけど、そこは小説だからね。素人に口を出されて刑事達がいら立つのも無理はない。他のも読みたいけどみんなの本棚にはないんだよな。多いのは浅見物、十津川物。読んでしまうともういらなくなるんだろうな。

「匣の中の失楽」・・武本健二という人は知らないけど、みんなの本だなで見つけて、分厚いのが気に入って借りてきた。でも・・おもしろくない。ネットでも好き嫌いが別れているようで。読み終わって感じたのは達成感でも満足感でもなく、疲労感と何じゃこりゃ感。時間を無駄にしたとまでは言わないけど、得るものがない。推理小説じゃないからこれでいいんだってことだろうけど、じゃあいったい何のために書いたんだろう。まあ私の好みじゃなかったってだけの話だけど。読み始めた以上は最後まで読んだ。読んでいるうちにわけがわからなくなって、前に戻って確認したりしたけど、終わった後で理解するためもう一度読もうとはさすがに思わない。書かれていることは後でみんな引っくり返るので、そのうち読んでも仕方ないんじゃないか、無駄なんじゃないかと思えてくるのだ。読む以上は何かを得たい。映画だってそうだ。どんなクズ映画でも一ついいところがあれば、見た甲斐があるというものだ。あ、別にこの小説がクズだというわけではないですよ。でも、あれだけのことを書いておきながら、そういうのがないってのも珍しいとは思う。そういうところがすごいのかな。

「竹中半兵衛」・・著者は高橋和島とかいう人。ここでの半兵衛はよだれをたらして眠りこけているようなタイプ。服装にも無頓着。前半ゆっくりで・・ということは創作部分が多いってことだ。秀吉の配下になってからの・・歴史に記されるようになってからの部分は少ない。つまり後半は駆け足。何度も出てくる男性向けサービス描写にはうんざり。

「黒い羽」・・みんなの本棚から。誉田哲也という人の作品。ヒロイン典子は幼いころからずっと右肩の瑕に悩まされている。どんな治療も効果なし。担当医の野本に勧められた遺伝子治療に一縷の望みを託すが、その研究所へ向かう途中車が事故を起こす。二人死んだが、典子達四人は何とか研究所にたどり着く。やれやれと思ったのもつかの間、内臓がなくなった惨殺死体がゴロゴロ。熊の仕業でないとすれば・・。雪で道はふさがれ、ケータイは圏外、車は壊されている。自分達は怪物と一緒に閉じ込められたことになる。印象としては研究所・怪物で「バイオハザード」、死体がたくさんで「ファントム」風味。限られた登場人物、限られた場所で一気に読ませる。一転して希望の持てるラストはいいんだか悪いんだか。

古典文学

「落窪物語」・・これは子供の頃読んだ記憶がある。子供向けに書かれたやつで、図書館から借りて。びっくりしたのは四部まであること。ヒロインの不幸せな境遇、意地の悪い継母の仕打ち、助けに現われる青年貴族。容姿も地位も財力もすべてある。おまけに源氏なんかと違って他の女性には見向きもしない。助け出した後は継母への復讐だ。継母や実父は、自分達がなぜひどい目にあわされるのかわからず戸惑う。普通ならそこでスパッと終わりにするところだ。青年とその妻はますます幸せに暮らし、継母側は落ちぶれましたとさおしまい・・とかさ。しかしこの物語はその後も延々と続くのである。三部、四部はさっぱりおもしろくない。片方は絶対的に有利。もう徹底的にやっつける。読んでて不愉快。あ、読むと言っても現代語訳の方ですよ。

「堤中納言物語」・・「落窪」とは対照的にこちらは話の途中で終わってしまうものばかり。後はお好きに想像して楽しんでくださいって感じ。10篇のうち「虫めづる姫君」は何度も読んだけど、それ以外は読んだことなし。今回初めて全部読んだ。