日本の作家 (映画原作含む)(2025.6.24更新)
あ)
赤川次郎
「悪魔のような女」・・一番印象に残るのは「召使」。元になった映画の方は見たことなし。ダーク・ボガードは好きなので見てみたいのだが。「召使」を読むと、私もちゃんと家事をやらなきゃ・・という気にさせられる。たぶんあの召使は未来から送り込まれたロボットだと思うな。お試し用だから無料。でも、この時代(昭和50年代)への販売作戦は失敗する。召使は性能がよかったけど、使う側がまだ成熟してない。何しろ自分達に都合が悪くなると召使を殺しちゃうんだもの。製作者側も、召使を人間と全く同じに作る必要はないのだと、わかったはずだ。つまり刺すと血が出るとか。
「ヴァージン・ロード」・・文庫で上下とかなり長い。いつ殺人事件が起きるのかなと思いながら読んでいたけどこれってそういうのじゃないのね。お見合いとか結婚とかそっち系。こういうの読んでいていつも思うのは、何かと言えば外食、喫茶店、タクシー・・。ヒロインは妹や弟におごり、姉としての喜びを感じる。よっぽど高給もらってるらしい。自分の経験から言うと、とてもこんな金の使い方はできないな。
「涙のような雨が降る」・・みんなの本棚から借りてきたもの。金持ちの令嬢の身代わりを務める少年院出身の少女。本物の方の令嬢がどうしていたのやらの説明がなさすぎ。
「午前0時の忘れもの」・・みんなの本棚から借りたもの。「スマイリー」のあと、コリン・ウィルソンの「精神寄生体」を読み始めたのだが、これがまた「スマイリー」以上に読みにくい。で、うっちゃってこういう軽いもの読むことに。これは「あした」という題で映画化されたようで。ありえない内容で、それはまあ別にいいけど、読み終わってもこれと言って心に残るものはないな。
「死体は眠らない」・・みんなの本棚から。最初から最後までとぼけた感じ。笑えると言うより少々うんざり。何人も人が死ぬが、命が軽い軽い。妻の美奈子を殺した池沢。後始末をする時間はたっぷりある・・はずだった。次から次へとハプニングが起き、死体が増え・・。池沢の家の中だけ(金持ちだから広い)で展開するので、このまま舞台劇にできそうだ。
「真夜中のオーディション」・・みんなの本棚から。短編5つ。まだ売れていない役者の卵美里は、奇妙なオーディションを受ける。何だか変な仕事だなと思いつつも、きっちり仕事。「死体は眠らない」ほどふざけてはいない。これくらいだと気持ちよく読める。雇い主のことが不明なまま終わるけど、この美里を主人公にしたシリーズは他にもあるのかしら。これで終わりじゃもったいない。
「泥棒に手を出すな」・・みんなの本棚から。夫は泥棒、妻は刑事というありえない設定のシリーズ7作目だが、他のを読む機会はなさそう。短編が5つだが、もう内容思い出せない。そう言えばスクールバスなんちゃらのがあったな。
「いつもの寄り道」・・みんなの本棚から。新婚一年目で未亡人になってしまったヒロイン。でも夫が本当に死んだとは思えない。同様に若い妻を失って悲嘆にくれる年上男。この二人とどことなく怪しい刑事との捜査と言うか珍道中。解説では作風がクリスティーと似ているとか何とか。だから安心して読むことができると。でもあっちはここまで羽目は外していないよな・・と思いながら読んでいた。
「向日葵色のフリーウェイ 杉原爽香<50歳の夏>」・・これも妹から借りたもの。ヒロインが15歳の時に始まって今が50歳だから36作目らしい。登場人物が多く、誰が誰の娘だって?という感じ。事件の方も大したことなくて、もう内容思い出せなくて、でもそこがいいんだろうけど(たぶん)。
「花嫁、街道を行く」・・妹から借りたもの。女子大生探偵亜由美と、犬のドン・ファンのコンビを主人公とするシリーズで、第35弾?そんなに続いているの?軽く読めるのはいいけど内容軽すぎて例えば王子の病気結局何だったんだろうとか思ってしまう。
「三毛猫ホームズの傾向と対策」・・ホームズシリーズの22作目だけど、ホームズ物を読むのは初めて。読みやすいけど深みはないニャ。
「交差点に眠る」・・さすが赤川氏、ふざけているようでいてちゃんとツボは押さえている。
「幽霊物語」・・みんなの本棚から。例によって軽いタッチで、スラスラ読める。主人公山岡は交通事故で死ぬが、なぜか幽霊となってウロウロする。社長である自分亡き後、誰が後を継ぐのか見守るはめに。未亡人となった妻までが社長になるつもりでいるらしい。もう二年も幽霊のままさまよっているのが15歳で殺された郁子。今度は父親が殺され、後に残されたのは妹の和美。その彼女にも魔の手が伸びている。二つの事件を交互に描くが、山岡達は幽霊なので何もできない。25くらい年の離れた二人が愛し合うようになるのは妙な設定だ。郁子が自分の悲惨な運命・・レイプされ殺された・・をさほど引きずっていないのも妙な感じ。
芥川龍之介
「地獄変・偸盗」・・映画の「地獄変」を見て買って、でもあんまり前のことなので全部読んだのかどうか覚えていない。「藪の中」もおさめられているが、映画の「羅生門」は見たことなし。NHKBSで何度もやってくれてるのにね、どうも興味わかなくて。
梓林太郎
「上高地・大雪殺人孤影」・・梓林太郎氏の作品を読むのは初めて。最後の方が物足りない。それまでの推理が裏付けられるだけで、驚きがない。
前に読んだの忘れてまた借りてきてしまった。感想は同じ。犯人が捕まってみると、刑事が推測した通りの経過たどってた。ひねりも何もなし。
阿刀田高
「東京25時」・・「銀色のフラスク」はテレビで見たことがある。私は日本のテレビドラマはほとんど見ないけど、中にはもう一度見たいなと思うものもある。
綾辻行人
「迷路館の殺人」・・図書館から。こんなアホらしい作りの館住みたくないな。トイレに行きたくなったらどうするの。いやいやトイレはいつもより余分に作られておりますってか?恨みも何もない人を何人も殺すってそういう設定に大きな無理があるって私なんかは思っちゃいますけど。そんなことにこだわっているようでは綾辻作品を読む資格はないんでしょう。
「暗黒館の殺人」・・図書館から。すごい分量だよな~。でもそのせいでもったらもったらしてる感じも。何か言いかけると必ず邪魔入るし。いつもなら一館だけど、今回は東西南北四館の大サービス。でもここまで広くされちゃうとここの角を曲がってとか、ここの隣りがとか書いてあっても頭に浮かばんのよ。作者は図を片手に正確にと大変だったろうけど、こっちはどっちが南?というレベルですから。最後の方で夢・・となって、おいッそれはないだろッと思うけど。登場人物のその後が説明されないのは不親切だけど。特に「家人に一人、優秀な医師がいる」って、それ誰のことよ。何で聞かないんだよ~。それにしてもまだ19なのにタバコにお酒・・いいんですかね誰も気にしてない。
「黒猫館の殺人」・・図書館から。「暗黒館」の後だと、まあ分量の少ないこと。あっという間に読める。黒猫館も小さなアパート程度。と言うか地下部分を入れなきゃね。一階にバストイレが一つというのは少ないんじゃないの?どんでん返しもやや強引。
再読。前に読んだの忘れてまた借りてきた。まあ内容覚えてないからいいんだけどさ。伏線はいろいろ張られているけど、それでもやっぱり強引な感じ。
「奇面館の殺人」・・図書館から。○○館だと建物の図が載っているので、それを見るだけでも楽しい。狭い家に家具に囲まれて暮らしているならよりいっそう・・。ムダにだだっ広くて、迷子になりそうで・・。掃除も食事の支度もしてくれるならこういうところに住んでみたいな・・と、妄想はここまでにしてと。主人公鹿谷は、ある事情で別の人のフリをして影山邸へ。泊まるだけで報酬は200万。しかし主人が殺され、通報しようにも大雪に降りこめられる。電話も不通。おまけに会に参加した者は眠っている間に仮面をかぶらされ、鍵がないため脱ぐことができなくなってしまう。主人用の仮面の鍵が後でマスターキーだとわかるが、そんなの見つけた時点で気づくはずだ。何とかして仮面をはずそうといろいろやったのだから、だめもとでこの鍵も試してみようと一人くらいは思うはずだが。それはさておき、「世にも怪奇な物語」のビデオが出てくるのはムヒヒだった。影山は自分の分身を捜していて、それは2話目の「影を殺した男」の内容ともリンクしている。ビデオを見ていた瞳子は主人らしき男から電話を受け、見るのを中断せざるを得なくなり、3話目は結局見ていない。この3話目は主人公が首を切断というムヒヒなラストなのだが。
「時計館の殺人」・・図書館から。たくさん時計があって、「時計たち」と生き物のような表現されるのが印象的だった。読みながら、犯人バレバレじゃん・・と思ってた。睡眠薬の扱いがずさんすぎるもん。いちいち飲むところは見ていない・・ってこれじゃ飲まないでためておいて一度に飲んで死んじゃったらどうすんのって普通思う。で、バレバレじゃんと思わせといて最後引っくり返る。ははあなるほど。そこが腕の見せどころなんですな。
「人形館の殺人」・・図書館から。「時計館」の後で読んだので、やはり同じように引っくり返すのかなと思ったらそうでもなかったな。読み始めて早々、あれこれって○✕△じゃん・・と気づく。主人公があまりにも何もしなさすぎる。空白の時間がある。入院も長すぎる。二重じゃなくて三重だったのが目を引くくらいで。それ・・三人目だって何だか言動が変だったし。
「霧越邸殺人事件」・・読むのは三回目くらい。それとも四回目か。最初に読んだのは義兄が入院し、泊まり込んでいた時。病院の図書スペースにあったのを、暇つぶしに読んだ。で、自分の本棚にあってもいいなと思い、古本屋で買った。こういう広い洋館での事件て好き。内容そのものは知識の羅列にうんざりする。最初に読んだ時はびっくりした。え?犯人明かしてるじゃん・・て。邸の見取り図がついているのがうれしいけど、3階がどうなっているのか知りたい!
「十角館の殺人」・・「そして誰もいなくなった」を思わせる内容だが、孤島と本土が交互に出てくるところが違う。ポウが最初の犠牲者オルツィの死体を他のメンバーに見せないので、てっきりこの二人がぐるで、オルツィが殺して回っているのかなと思ったら違った。島と本土との往復には無理がある。
「黄昏の囁き」・・兄やその幼なじみが次々に殺される。主人公は幼い頃の事件がそれに関係しているのでは・・という気がしてならないが、なかなか記憶が戻らない。いじめられっ子が実は生きていて復讐して回っているのかと思わせて実は・・。読みながら「ゴースト・ストーリーズ~英国幽霊奇談」を思い浮かべていた。記憶のすり替え、封印、思い込み。
「暗闇の囁き」・・みんなの本棚から。読み始めると止まらなくて、一気に読んだ。”あっちゃん”の正体は途中で予想つく。
「緋色の囁き」・・冴子はお嬢様学校聖真女学園へ転校して来る。全寮制で、校則は呆れるほど厳しい。来てすぐ寮で同室の恵が死ぬ。焼身自殺に見えるが、殺人かも。その後も次々と。冴子は魔女狩りのターゲットにされピンチに。時々過去の出来事が挟まれる。最初は冴子の暗い過去のように思えるが、そのうち違うとわかる。ではクラスの女王綾か?いや、それも違う。綾はテレビの「未来からの挑戦」の高見沢みちるを思い出させる。自信に満ち、まわりに影響与える。犯行の描写はかなり残酷。
泡坂妻夫
「比翼」・・みんなの本棚から。短編集。こちとら家紋とかマジックには興味ないので、別に読んでいても楽しくないけど、それでも読むのは他に借りる本がないから。「風神雷神」で着物の紋の位置が左右違うのは、女性ならたぶん理由に気がつくだろう。一番良かったのは「お村さんの友達」。曾祖母のお村さんはマンションで一人暮らしをしていたが、ガンで倒れ病院へ。そのうち意識障害を起こし、意味不明の言葉を。アキラだのウタエだの一人暮らしのはずなのに人の名前を言う。もしかしてマンションに誰かいる?お村さんが亡くなって彼女の部屋へ入ってみて、名前の理由がわかる。何か20分くらいのファンタジーにできそうな結末で、映像が目に浮かぶ。
「乱れからくり」・・入手できるとは思っていなかったラッキー。当然のことながら映画とは違う。主人公勝は競輪狂ではなくてボクサー上がり。朋浩は太っているし、舞子も太っている。真棹には2歳の子供。おもしろいことはおもしろいんだけど、出てくる人みんな学者みたいにペラペラ能書きを並べる。こんな風に次から次へと知識を披露するなんてみんな何て博学なんだ!勝は真棹に夢中になって暴走する。あら、免疫がなかったのね。映画と一番違うのは犯人が死んでしまうこと。映画みたいに実は身代わりが・・なんてことはなし。事件を解決するのは舞子。ほとんど神業に近い。
い)
池波正太郎
鬼平犯科帳(二十四)他のは読んでないし、テレビ、映画も見たことなし。出てくる人はみんなレギュラーで、前のにも出てるんだろうけど、こちとら初めてでして。驚いたことに最後の「誘拐」は作者逝去のため未完。ふ~ん、こういう途中のものまで出版しちゃうんだ。
石山透
「続・タイムトラベラー」・・これは筒井康隆氏ではなく、石山透氏。テレビの写真があるのがファンにはうれしい。巻末にテレビの番組裏話みたいなものがおさめられているのもうれしい。
「タイム・トラベラー」・・テレビ二作のシナリオ。映像は一作目の最終回分しか残っていないが、これを読めば少しは思い出すこともできる。
井上靖
「額田女王」・・みんなの本棚から。借りてきたのはだいぶ前。ちょこっと読んではほったらかし、ちょこっと読んではほったらかしの連続。起伏がなくて退屈。と言って途中で投げ出すのは嫌だしな。美貌の持ち主で歌の才能があって二人の皇子に愛されて、でも自分は神の声を聞くために存在しているのだ体は与えても心は与えないからね~って感じ?何おたかくとまってるんだよって感じ?
今邑彩
「ルームメイト」・・図書館から。映画を見たので、原作も読みたいと思ってた。当然映画とは内容異なっているが、なかなかおもしろかった。ただ、最後の方で人格障害があり、しかも人格の一つが殺人を犯しているとわかっていて結婚しますかね。おまけに一つの人格が消えても新しい人格が出現することもわかってる。
今村昌弘
「屍人荘の殺人」・・今村昌弘著。東京へ行った時古本を見つけて買った。巻頭に建物の見取り図がついているし、映画では省かれていたテロリスト達のことも書いてある。異色なのは、まわりに感染させた後、自ら注射してゾンビになること。普通は安全なところへ逃げてその後の成り行きを見守るところだ。
「魔眼の匣の殺人」・・「屍人荘の殺人」に続く第2弾。ある限られた場所に閉じ込められることや、次々に人が殺されることなど設定は似ている。葉村と剣崎コンビは前作ほどの魅力感じられないが、仕方ないんだろうな。
う)
内田康夫
「貴賓室の怪人」・・浅見物。みんなの本棚から。豪華客船飛鳥による世界一周の旅のルポを書くため乗船した浅見。もちろんこんな・・一番安いクラスでも300万かかる旅に裏がないはずはなく。一番高いので一人1600万。これが書かれたのは1999年頃だから、今はもっと高いかも。ま、私には縁のないことだからどうでもいいけど。「飛鳥」編とあるからまだ続けるようで。まだ一周してないしな。事件は起きるけど貴賓室なんちゃらとは無関係。乗客に内田夫妻がいるのは悪ノリしすぎ。内容は「オリエント急行殺人事件」の設定を拝借。一人の男を殺すのにずいぶんお金(船賃)かけたね。
「沃野の伝説」・・みんなの本だなから借りたもの。浅見物は犯人の逃亡や死で終わることが多い。黒幕はそのまんま。単行本で上下2冊、普通に買うと2600円だ。読み終わって事件が解決してないことに気づいた時、お金損したって思うだろうなあ。
「秋田殺人事件」・・浅見物。作者は小説を借りて警察や政治への不信感を強く主張しているが、あまりそれが強いと読んでいてうんざりする。
「神戸殺人事件」・・浅見物。浅見はよく正義を主張しているが、そのくせ自分にその権限もないのに真実を握り潰す。若く美しい金持ち令嬢やその家族は汚名を免れるが、犠牲者二人はあれじゃ浮かばれない。まあ腹が立つなら読まなきゃいいんだけどさ。
「風葬の城」・・浅見物。そう言えば作者内田氏の訃報が新聞に載っていたな。ご冥福をお祈りいたします。とは言え感想はまた別です。ラストで浅見は犯人をわざと逃がす。実行犯はすでにつかまっているから十分だろう・・って、アンタにそんな勝手な判断する権利ないと思うが・・。
「上野谷中殺人事件」・・浅見物。上野駅は私にとっても懐かしさを感じさせる駅だ。大晦日、ぎゅうぎゅう詰めの列車で帰ったっけ。超高層の新駅ビルの構想なんて本当にあったのだろうか。小説の方は大した盛り上がりもなく終わる。ヒロインにも浅見にも魅力が感じられないのがイタイ。
「耳なし芳一からの手紙」・・浅見光彦シリーズ。いつものことだが水っぽい内容。最後の方で実は・・となるけど、あまり説得力がない。被害者が妻のことを「この女」と呼んでいたのなら、聞き込みとかで耳にするんじゃないの?な~んて書きながら、実はもうどんな内容だったか思い出せないのだ。
「歌わない笛」・・みんなの本棚から。浅見物。ヴァイオリニストの千恵子は、雪の中でフルートを持ったまま自殺した康子の写真を見て違和感を覚える。康子はフルーティストなのに持ち方が逆なのである。もしかしたら殺人なのでは・・と、以前知り合った浅見に連絡する。もちろん警察は取り合ってくれない。浅見もすぐ乗り出したわけではないが、そのうち康子の婚約者戸川が死亡。後追い自殺とされたこの事件に興味がわき、行動を起こす。私は浅見はあまり好きではない。変に正義感ぶってるし、ずうずうしいし、死人増やすし。十津川のキャラの方がよっぽどマシ。
冲方丁
「天地明察」・・映画は見たことなし。渋川春海のことは知らない。関孝和の名前は知ってる。記念切手にもなった。私の脳は数学とか物理とかそっち系は理解不能にできてる。いやホント情けないことに何が何だかさっぱりわからない。この本では数学の他に天文学が出てくる。渋川はそれ以外に碁の名人でもある。でも何がそうなってそうなるのだろう(←?)。本ではもうそういう人として出てくる。最初からそういうアタマの持ち主なのだ。こっちはああそうですかと受け入れるしかない。
「月と日の后」・・紫式部が主人公で、彼女から見た彰子が描かれるのはよくあるが、その逆・・彰子が主人公というのは珍しい。出仕した式部を紫式部と彰子が呼ぶのは変。藤式部と呼ぶでしょ。全体的には誰と誰が一緒になっていついつに何があってのオンパレード。まるで貴族の日記読んでるみたいだ。
え)
江戸川乱歩
「少年探偵団」・・みんなの本棚から。このシリーズを読むのは初めてかな。明智小五郎が意外と間抜け。インド人イコール怪しいと言うのがいかにもな感じ。
「D坂の殺人事件」・・短編が五つ。「D坂」は映画にもなってるけど、見たことなし。有名になる前の明智は髪がモジャモジャで、しかもかき回す癖がある。まるで金田一耕助だ。ちょっと長めの「地獄の道化師」なんかもう横溝正史の作品ですって言ってもわからないくらいティストが一緒。「D坂」での明智は25かそこらで、間借り生活。四畳半の部屋は本に埋もれていて、寝る場所もないほど。いいですなあ・・私好み。
「陰獣」・・もう何度も読んでる。テレビで映画をやったので予習と言うか、復習と言うかまた読んだ。これだけだと映画にはしにくいのだろう、増量してある。いやホント、改めて読むとシンプルなのよ。ヒロインは弁解も説明もしないまま自殺してしまうし。普通なら主人公のところへ告白の手紙が来るとかさ。
「孤島の鬼」・・文庫を買ったのは「陰獣」目当てだったので、こっちはずっと後まで読まずにほったらかしにしてた。ある時読んでみたら・・こっちの方がおもしろいじゃん!とびっくり。主人公はちょっとやなやつだよな。自分が美しいこと自覚して、それを利用しているようなところがある。
「江戸川乱歩全集5」・・図書館から。乱歩の全集を借りて読んでるのはいいけど、読んだはしから内容忘れてしまう。たぶん似たような内容のせいだと思う。当時の読者にとっては斬新な内容だったんだろうが。「吸血鬼」・・と言っても吸血鬼は出てこない。テレビでよく何とかかんとかの美女というのやってるけど、一度も見たことがない。そのうち見たいとは思っているのだが。この作品は「氷柱の美女」という題で作られているらしい。読んでいて途中で犯人はわかる。「黄色い部屋の謎」と同じなので、笑ってしまう。これで解決かと思うとその後もあって、明智と文子は結婚してハッピーエンドだが、それ以外の者は不幸で終わる。最後の方になると、まだ終わらないのかしつこいな・・という印象。「虫」・・こういう、思い込みが激しくてしつこいキャラはよく出てくる。「火星の運河」・・何じゃこりゃ?
「江戸川乱歩全集8」・・図書館から。「白髪鬼」・・メアリ・コレリという人の小説「ヴェンデッタ」をもとにしているらしい。主人公は両親は死んだし、兄弟もいないけど、ありあまるほどの財産があり、若い。一目ぼれした女性と結婚し、これ以上ないというくらい幸せな日々を送る。ところが、妻には裏切られ、親友にも裏切られ、復讐の鬼と化す。これからどうなるのか想像がつかないというのではなく、ああなるぞ、こうなるぞと予告し、その通りになるという書き方なので、意外性はなし。まあ連載物だから、読者の興味をあおるような文章になるのは仕方ないわな。「暗黒星」・・偶然今日のテレビでやってるようだ。録画しとこ。途中で犯人の目星はつく。自分は頭がいいとうぬぼれているので、わざわざ明智に助けを求めたりする。すぐそばにいるから捜査がどうなってるかわかるし、心の中であざ笑うこともできる。しかしそんなことをしていれば余計なことしたり言ったりして尻尾をつかまれることとなる。終わりの方で犯人の意外な出生の秘密が明かされるが、赤ん坊のすり替えが行なわれたとして、もう一人の赤ん坊はどうなった?他に短編の「押絵と旅する男」「一枚の切符」「盗難」。
「江戸川乱歩全集9」・・図書館から。「黒蜥蜴」・・これは映画やテレビになっていて有名らしいが、見たことなし。ここでの明智は魅力なし。主役の黒トカゲは背景不明。美しい宝石泥棒でしかない。まあその方が映像化する時いろいろふくらませることができるんだろうけど。早苗の身代わりになる葉子も、都合良く見つかるものだ。閉じ込められていた美青年香川の背景も不明。黒トカゲの死よりも、この香川と葉子はその後どうなったんかいな・・と、そちらの方が気になった。「お勢登場」・・短編。これで終わっちゃうの?と、拍子抜け。「妖虫」・・妖虫はサソリのこと。今日のテレビ欄に「赤いさそりの美女」とあるぞ。これのことかな。犯人は途中でわかる。こういう、好奇心が強くて、警察に届けず、自分の手で解決してやれとか、突き止めてやれとかいう人物はよく出てくる。びっくりしたのは、名探偵とされる老人が猫を殺すこと。アンタ、全くその必要ないじゃんよ。何で罪もない猫殺すのよ!
「江戸川乱歩全集13」・・図書館から。「幽霊塔」・・アメリカの小説を黒岩涙香が翻訳、それを乱歩風に書き改めたとあとがきにある。テレビで「時計台の美女」というのがあるけど、これかな。原作に美女が出てこない時はどうするのかな。叔父が手に入れた屋敷は古めかしく、まるで幽霊屋敷。住むためには改装が必要なので、下検分に来た甥の光男は、時計台に入り込んでいた美しい謎の美女とめぐり逢う。「鬼」・・読んでいてすぐシャーロック・ホームズの「ブルース・パーティントン計画書」を思い出す。内容はかなり不自然。「芋虫」・・これは映画「キャタピラー」の原作らしい。映画は見てないし、見る気もなし。「百面相役者」・・これはあとがきで乱歩自身拙作と書いているが、その通り。よく考えもしないで書き始め、いいかげんに終わらせたって感じ。
「江戸川乱歩全集15」・・図書館から。「三角館の恐怖」・・あとがきにロージャー・スカーレットの「エンジェル家の殺人」の翻案とある。こういう、外国の作品を日本に置き直してということはちょくちょくあったのかな。蛭峰兄弟は双生児で、家族は四角形の館を半分にして・・ということは三角形になるのだが・・住んでいる。殺人事件は財産相続が絡んでいると思われたが実は・・という内容。「幽鬼の塔」・・あとがきによると、シムノンの「聖フォリアン寺院の首吊人」の翻案とある。あら?どこかで聞いたような・・。少し前に読んだ「サン・フォリアン教会の首吊り男」のことだな。まあうまく変えてあるけど、この作品は導入部の主人公の行動がねえ。他に「算盤が恋を語る話」という短編。
遠藤周作
「闇のよぶ声」・・映画化もされたのか、文庫のカバーに小林麻美さんがうつってる。調べてみたら「真夜中の招待状」とか言うらしい。意外なことにみんな酷評している。事件を追うのがくたびれた中年の精神科医というのが珍しい。普通なら同じくたびれたでも中年刑事か中年探偵が出てくる。ず~っと謎めいたままで行って、最後は犯人の告白の手紙ですべてが明らかに。最後まで一気に読ませるほど引き込まれたけど、いくつか?の箇所はある。何で復讐する相手が一人だけなのか。もう一人にも同じくらい恨みがあるはずだが。犯人が精神科医に接触するのも変。
お)
逢坂剛
「禿鷹の夜」・・みんなの本棚から。読みにくいかなと思ったらそんなことはなくて、一気に読んでしまった。主人公には私は魅力感じなかったな。特に人のミスをあとあとまで何度も指摘して嫌味を言うところがいや。帯には警察暗黒小説とある。こんなとんでもない刑事がいたら大変だな。暴力団の連中の方がまともに見えちゃう。シリーズ化されてるようだから今度図書館で調べてみよう。
大倉崇裕
「問題物件」・・これは少し前までテレビでやってた。見たかったけど「ヒロシのぼっちキャンプ」と重なるので。再放送されたら見るつもり。前知識は何にもなしで読んだが、けっこうおもしろかった。時々クスッと笑える。続編があるらしいが、文庫になったらね。猫が人間になったらというのはよくあるけど、犬は珍しいのでは?
大村友貴美
「死墓島の殺人」・・みんなの本棚から。何となく「獄門島」思い浮かべた。内容は違うけど雰囲気が。最後の方で警部補がある女性の生き方の弁護するけど、読んでいてもそうは思わない。まわりに迷惑かけっぱなし、振り回しっぱなし。やっぱり無視するのが一番賢明だと思うな。他の作品も読んでみたい。
「首挽村の殺人」・・早速大村友貴美氏の作品を借りてきた。ちょっと死人が出すぎという感じ。ラストの謎解きも片方は東京、片方は岩手で距離がある。そのせいで間延びした印象受ける。岩手の方にいる犯人がぶち切れて、死人がもう一人増える可能性もあった。犯人を前にして自分の推理を述べるなんて、アンタバカじゃないの?と思ってしまう。ここはやっぱり犯人に対峙するのは東京で調べて確信を持った刑事でなきゃ。
恩田睦
「六番目の小夜子」・・今いち。
「蒲公英草紙 常野物語」・・みんなの本棚から。戦争が終わって何もかもなくして明日への希望も持てない。気がつけばすっかり年を取っておばあさんになってる。子供の頃に書いた日記のようなものを読み返してみる。体の弱い金持ちのお嬢様の話し相手として過ごした日々。そのお嬢様には不思議な能力があって。不思議な能力を持つ一族の物語はこの作品以外にも書かれているらしい。
「訪問者」・・妹から借りた。なかなかおもしろかったが、ちょっと無理なんじゃないの?という部分も。読みながらクリスティの「ねずみとり」思い浮かべた。いきなり現われ、次々に推理を述べる青年は信用できるのか。ほとんど家の中で展開するので、舞台化もできそうだ。
か)
海堂尊
「玉村警部補の災難」・・チーム・バチスタの何とかというのは聞いたことがある。この本は番外編らしい。医師の田口、警視正の加納、警部補の玉村。中では加納のキャラが強烈。映像では誰が演じているのだろう。と言うか出ているんだろうか。4話目がおもしろかったけど、死んでから焼けたってのはわかるんじゃないの?
角田光代
「対岸の彼女」・・過去と現在が交互に書かれるが、現在の方がおもしろいかな。20年前だとお掃除代行業も今ほど浸透していなかっただろう。全体を貫くのは仲間はずれにされることへの恐怖。学校、職場、子育ての場。振り返って自分はと言えば友達はほとんどいなかったけど苦にならなかったな。自分は自分、他人は他人。
門田泰明
「殺神操作」・・村雨龍シリーズの3作目(らしい)。彼はまるで眠狂四郎のよう。読者向けサービスなのはわかるけど、女性が出てくると必ずと言っていいほど、胸が豊かとか描写されるのには苦笑してしまう。女性はまず胸なのだ。アホらしい。男性が出てくる度に股間が豊かとか書くか?それと同じことですぜ。
「ミッドナイト・ベビー」・・短編が五つ。最初の超能力を持つ赤ん坊の話なんか期待させるんだけど、あら終わっちゃった。他のも同様。盛り上げといてエンド。結論ちゃんと出したくない時は短編に限るってか?
き)
京極夏彦
「姑獲鳥の夏」・・早速図書館から借りてきた。ずっしり重い単行本。読み始めてすぐ、延々と続く会話にうんざり。ああこういう感じなんだ・・と。何かと言うと蘊蓄が続くダン・ブラウンをちょいと思い出した。そのうち慣れてきたけど。私はよく図書館で借りて気に入って、手元に置いておきたくなって購入となるけど、この本はいいや。京極さんごめんなさい。
まだ・・「魍魎の匣」・・これも図書館から。文庫で3冊。映画の方はわかりにくかったけど、こちらを読んで少しは・・。でも削れば上下2冊になるよなあ・・とどうしても思ってしまう。映画の「姑獲鳥の夏」には戦時中上官だった関口に木場が姿勢を正して敬礼をするシーンがあったけど、あれは映画だけの設定なのね。こちらでは「おいこら関口」なんて言っていて、そこは笑えた。
桐野夏生
「柔らかな頬」・・みんなの本棚から。5歳の少女がいなくなった。生きてるのか死んでるのか何があったのか。全く手がかりがない。普通なら娘を捜す母親カスミに同情するところだが、まあ見事なまでに嫌な女で。言い方を変えると自分に正直な女性ということなのだろうが、それにしたってねえ。末期ガンの元刑事内海が協力するが・・。途中からこりゃ犯人ははっきりしないまま終わるぞ・・の予感。読んでいる時はそれなりに引き込まれるが、回想部分が多いのには参った。もう現在に戻って次に進むのかなと思っていると過去の話が続く。あちこちで一時停止している感じ。
こ)
小池真理子
「闇のカルテット」・・みんなの本棚から。芽衣子は男性・・波多野をはねてしまい、彼が死んだのは当然それが原因と思い込み、死体を始末。彼がいなくなったのではまずいから、記憶喪失のルンペン、ケンを身代わりに。フランスには波多野のまだ見ぬ実母がいて、しきりに会いたがっている。準備はしたものの、果たして身代わりは務まるのか。ところが会ってみたら実母は盲目だった。何かすごいこじつけたようなストーリーだが、暇つぶしに読むのにはいい。途中から芽衣子よりケンに比重が移ってしまうのはやや不自然。
「追いつめられて」・・「悪者は誰?」はテレビで見たことがある。 「隣りの女」がおもしろい。
「キスより優しい殺人」・・短編集。みんなの本棚から。「光あふれる樹」がよかった。
木谷恭介
「京都鞍馬街道殺人事件」・・ああいうまわりに迷惑かけるジジイはいやだな。一人で消えろっての。
「紺屋海道・蔵の街殺人事件」・・ヒロインが株でとんでもない金額を手にするところまではおもしろかったけど、後半は・・。前の作品もそうだったけど、ヒロインが捜査に加わっている必要がないような気がするんだけど。
さ)
斉藤栄
「偽装特急殺人事件」・・みんなの本棚から。寝台特急みずほが出てくる。そう言えば神奈川にいた頃、土曜日の練習が終わって横浜駅のホームで電車を待っていると寝台特急が来て・・。宇部行きとか西鹿児島行きとか確かそんな感じだったっけ。・・同じ高校の卒業生6人が、ある設計図を強奪する。その後1億円で会社に売りつけるのだが、その金を用意したニセモノとすり替えるのが「みずほ」の中。計画は成功するが、金を運んでいた小森は何者かに殴られ、生き埋めにされてしまう。何とか脱出し金を見つけるが、半分の5000万しかない。自分を襲ったのは男女の二人組で、女性の腿にホクロがあるということしか手がかりはない。で、手に入れた5000万を使って復讐に乗り出す。仲間は彼が金を持ち逃げしたと思ってる。しかしその仲間の中に犯人がいるのだ。前半はよくある展開だが、途中から雰囲気が変わる。何と小森は整形手術で女性となるのだ。と言っても外見上だけど。金を持ってみずほに乗り込んでいたのは警部だが、金を奪われてからは出てこない。こういうのも珍しい。犯人のうち女性の方は〇〇だろうと予想はつく。一番話に絡んでこない、圏外にいた者が実は・・というのはお約束。男の方はやや意外な人物だったが、なぜ女と結びついたのか不明なまま。男性向けサービス描写が多すぎて、そういう肝腎なところが抜けている。
「香港殺人旅行」・・両親と香港旅行へ行ったのはいつだったかな。それを思い出しながら読んでいた。
「湘南モノレール誘拐事件」・・これはパズルみたいな小説ってことらしい。出てくる男性の名前がジャニス・ジョプリンというのは、冗談としか思えない。
笹沢左保
「死神の舞」・・何と言うか・・美しくてプロポーションがよくて、次々に男が寄ってきて。初めて皿を焼いたら絶賛されて、次ので賞をとって。ああ、そうですかって感じ?私にゃ縁のない世界ですだ。
「異常者」・・週刊誌の連載だろう、重複が多い。何度も同じ説明が出てくるのがわずらわしい。連続殺人が起きて途中で犯人がつかまる。えらく早いな。いやいや、九件のうち三件はこの模倣者の仕業。そのせいで見えにくくなっていた本来の事件の犯人は意外にも・・。いやそれが全然意外じゃなくて。ある女性のこと全く忘れているなんてあり得る?主人公健忘症じゃないか?舞台が九州に移るともう読んでる人は〇〇が犯人・・ってわかっちゃう。あの時の電話で自分の仇だって知ったのだ。何も気づかない主人公がアホに見える。
し)
島田荘司
「寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁」・・これが吉敷初登場作品らしい。なになに・・耳がすっかり隠れるくらいの長髪で目は大きく鼻筋は高く通り長身で混血のモデルみたいだと・・あらまあ。ブルートレインって今でも走っているのかしら。平塚にいた頃、土曜の練習が終わって横浜駅のホームに立っていると、九州行きのがとまっていたっけ。自分自身は一回急行越前で寝台を経験したが、冬だった。暖房が暑くて暑くてとても眠れたもんじゃない。セーターを脱ぐなどストリップやってたけどそれでも暑い。仕方なく普通車の方へ行って、これじゃ何のために寝台取ったのかわかりゃしない。で、「はやぶさ」だけど、被害者千鶴子の母親がなぜ萌子を殺そうとするのか。千鶴子を殺したのは辰郎だし、その辰郎にとどめを刺したのは萌子なんだから。千鶴子をそそのかしたから恨む・・だけじゃ動機として弱いんじゃないの?
「嘘でもいいから殺人事件」・・島田氏がこういうふざけた小説書くとは思っていなかったのでびっくり。生きてる人間の首を切断すれば返り血がすごいと思うが、そんなこと突っ込んじゃいけないんだろうな。
「占星術殺人事件」・・図書館から。島田荘司の本は自分でも数冊持ってる。これは御手洗潔を主人公とするシリーズらしい。どこかですごくほめていて、それで期待したけどさほどでもなかったな。体の一部がない数体の死体。でも首のない死体が一番怪しいってのは常識でしょ。
「涙 流るるままに」・・図書館から。吉敷竹史物。彼は珍しく長身でハンサムらしいので興味はある。ちょうど映画「リベリオン」を再見してたので、読んでてクリスチャン・ベールの顔が重なった。きっとあんな感じに違いない。分厚い文庫2冊は読みでがあるけど、ヒロイン通子の部分は、何じゃこりゃ。バカじゃないの?ラストは出来過ぎだけど読んでてウルウル。何はともあれよかったよかった。
「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」・・ロンドンに留学中の漱石が、シャーロック・ホームズやワトソンと共に不思議な事件を解決。ワトソンが書くものと漱石が書くものが交互に出てくる。同じ事柄でもたぶんワトソンのものは脚色してある。だから内容は少し食い違っている。こういうパロディーみたいなもの、推理作家にとっては魅力的なんだろうな。漱石の「倫敦塔」もそのうち読み返してみよう。
「島田荘司全集Ⅵ.」・・図書館から。「灰の迷宮」目当てで借りてきた。「御手洗潔の挨拶」・・図書館には御手洗物がけっこう揃えてある。でも私はあんまり御手洗には興味ないな。吉敷の方がいい。あんまり苦労することもなくすぐに謎解いちゃうし。「灰の迷宮」・・テレビと違い、佐々木のDVはなし。「ひらけ!勝鬨橋」・・ゲートボールのルールって複雑なのねえ・・。ゲートボールにも車やバイクにも興味ないもんで、これに関する長い描写にはうんざり。読んでいても何が何やら。短編では「毒を売る女」と「渇いた都市」がまあまあおもしろい。どんどんどつぼにはまっていく感じ。
ところでこの本には長い長い後書きがついているのだが、その中でテレビの吉敷竹史シリーズについて書いてある。四作目の「幽体離脱殺人事件」の出来がよくなく、視聴率も悪かったので、そのせいで以後作られることはなくなったとか何とか。「幽体」の方はまだ原作見つけられないでいるが、テレビの出来はそんなにひどいとは私は思わない。と言うか、一作目は見てないけど二作目、三作目だってすごくいい出来なわけじゃない。話は変わるけどこの本は誤植が多い。せっかくの全集なのに。ロープがローブ、自分が白分、ポルシェがボルシェ・・まあ次から次へと。
「北の夕鶴2/3の殺人」・・再読。主人公吉敷の、元妻通子に対する複雑な愛情が興味深い。読んでいても何でこんな厄介で面倒くさくて鬱陶しい女にいつまで引き回されているのだ?と不思議に思うが、それが人間というものなのだろう。もう一つ不思議なのは、あの時の通子はこうだった、ああだったと盛んに過去を思い返すが、こういう場合他の作家なら絶対に入れてくる描写が、この作品では皆無なこと。うんざりするほどしつこく描写する作家もいるからな。
白石一文
「一億円のさようなら」・・図書館から。NHKのドラマは毎週見ていた。あちらは若い頃の二人もかなり出てきたけど、原作はそれほどでもない。福岡や金沢の描写が多く、それは別にいいのだが、私自身はあまり好きではない。描写をしている間はストーリーが進まないからだ。どこに何があって、何がおいしかったなんてどうでもいいじゃん・・と思う。何かあっても次の章ではその続きが書かれず、時間や場所が飛ぶ。しばらくしてから前の続きが書かれる。水を差されると言うか、あまり何度もやられると読み続けようという気が萎える。
す)
鈴木光司
「ループ」・・みんなの本棚から。これって「リング」や「らせん」、貞子なんちゃらと関係しているのかな。何となく映画の「13F」連想した。仮想空間が現実の世界へ・・みたいな。読んでいても何が何だかさっぱりわかりましぇん。
「らせん」・・「リング」の続編らしい。読んでからしばらくたつのでもう内容忘れた。
「バースデイ」・・前の作品の穴を埋めるような三編。あそこでは書かれてなかったけど実はこんなことが起こっていた的な。
首藤瓜於
「脳男」・・WOWOWで映画見たので早速原作ゲット。映画もいいけど原作もおもしろく、一気に読んでしまった。こういうユニークなの好きです。
再読・・やっぱり一作目は面白い。
「差し手の顔」・・「脳男」がおもしろかったので、アマゾンで入手。古本屋へ行けないので、新刊書を買うことが多くなった。読む人の多くは脳男こと鈴木のその後の動向が気になって読むのだと思うけど、その期待は裏切られる。真梨子や茶屋の活躍でがまんするしかない。一気に読んだが、一作目ほどのおもしろさはない。同じありえないにしても、楽しめるありえないと、楽しめないありえないがあるのだ。ストーリーには関係ないけど、真梨子の冷蔵庫の中身が描写される。一作目でも描写されてたけど、それ以外の家の中全体も描写される。真梨子の冷蔵庫は食料がぎっしり詰まっているけど、彼女はたいていコーヒーで空腹をごまかす。だから廃棄率はかなり高いと思う。
再読・・やっぱり二作目は今いち。一作目と非常によく似た文章があるのに驚く。大型冷蔵庫のなかみ、クッキーかビスケットってだけで、何もつまむ気になれないこと。結局はコーヒーだけですますこと。なるほどそうすりゃ太らないですむんだな。
「ブックキーパー脳男」・・こちらはまだ文庫化されてないようで、図書館から借りて読んだ。本はとても重くて、持っている左手が痛くなった。文庫本では味わえない感覚だ。一日で読んだが、鈴木の出番は二作目以上に少なく、その点では期待はずれ。
そ)
曾野綾子
「切りとられた時間」・・みんなの本棚から。奥付には昭和46年とある。人間だったら50年たてばずいぶんポンコツになるが、カバーはないものの本はきれいだ。古くてもきれいな本を見つけるとうらやましく感じてしまう今日この頃。私より長生きするかも。戦争が終わって20数年、南の島にやって来た釣師。彼は戦時中ここにいて大変な思いをしたけれど、軍人ではないこの島の住民もそれ以上に大変な思いをした。宿のおかみは集団自決で二人の娘を殺したけど、自分は生き残った。教会の神父は上陸したアメリカ人兵士の懺悔を聞いたり、ミサを上げたりした。そういう過去は聞いてくれる相手がいると出てくるが、普段はしまわれていて今の生活を生きる。自分の中の何かが壊れているけど、人間はそれでも生き続ける。
た)
大門剛明
「告解者」・・これも2時間ドラマでやって、原作図書館にあったので早速借りて読んだけどやっぱり自分用に欲しい。そしたらゴールデンウィークで東京へ行った時に古本見つけたのよ、うれぴ~。テレビでは心を入れ替えたように描かれていた理紗だが、原作ではそうでもないようで。そこが何となくリアルに思えた。人間てそんなに簡単には変われない。
高木彬光
「法廷の魔女」・・高木彬光の作品もいろいろ読んでみたいと思っているが、なかなか時間がない。古本屋へ行っても、まず海外のミステリーを捜し、日本のまで手が届かない。この文庫本はたぶん母のものだろう。たいていのものは一度読んで、あるいは読まないまま処分したけど(だって浅見光彦シリーズとかみんなおんなじなんだもん)、これは残しておいた。夫殺しの容疑で逮捕されたヒロインは、いつも微笑を浮かべているせいでまわりに誤解されてしまう。今だって微笑なんか浮かべていたら「不敵な薄笑いを浮かべている」とかマスコミに叩かれるだろうな。でも、悲しい時絶望した時怒った時なぜか知らないけど笑ってしまうことってあるよな。
巻末の解説ですごくほめてるけど、この作品はヒロインの冤罪が晴れてめでたしめでたしはいいけど、途中で提示される疑問・・川瀬の前妻の死因とか・・がうやむやのままだ。殺人に使われる毒の入手方法も不明。二匹の猫を殺したのも犯人の仕業?
「検事霧島三郎」・・みんなの本棚から。横溝正史に比べ、高木彬光の作品はほとんど読んでない。図書館へ行った時捜してみたけど、驚いたことにほとんど置いてない。なぜ?日本を代表する推理作家なのに。霧島を主人公にした作品はいくつかあるのだろう。何度も映像化されてるようで。でも私は見たことないし、作品を読むのも初めて。検事になって五年、仕事にも慣れ、明るくて美しい恭子との婚約も整い、順風満帆に思えたある日、恭子の父親で弁護士の龍田が失踪。愛人殺しの容疑ばかりか、麻薬取引にも関係している・・となって、二人の苦悩の日々が始まる。量もたっぷりで、読み応えのある作品だと思うが、やや手を広げすぎかなという気もする。途中で恭子に協力する某人物が怪しく思えてきて、最後やっぱりそうだったとなるのは興ざめ。一番アレなのは、フラフラと頼りない恭子のキャラ。たぶん当時の読者は彼女の運命やいかにとハラハラしたのだろうが、今の読者・・特に女性からは「しゃんとしなさいよ!」と冷たい目で見られることだろう。それに比べ共感呼びそうなのが彼女に献身的に尽くす親友悦子。自分の生活ほっぽり出して恭子のために飛び回る。恭子と霧島の間の連絡係を務めている(検事と容疑者の娘では会うことも許されない)うちに、ハンサムな霧島に好意持ち始めるが、嫉妬から二人の仲が壊れればいいと思ってるんじゃないかなどと邪推されたりする。ラストの彼女の言葉も印象的だ。あ~その気持ちわかるわかる・・幸せそうな二人を祝福しつつも、見ていたくないという気持ち・・わかるわぁ~。
高橋克彦
「偶人(からくり)館の殺人」・・みんなの本棚から。いつも借りてるところは、他に借りる人があまりいないらしくいつ行っても同じ本があるけど、たまに別のところへ行くと、こうやって目新しい本があるわけよ。駅前のせいで利用者も多いのか、本の出入りが激しい。で、この本だけどからくりを文章で表わすのって難しいと思う。からくり人形ってあまり見たことがないし。そう言えば昔テレビのCMで、ウィスキーだったと思うけど、きれいな西洋人形で、タバコの煙を吐くのが出ていたな。ストーリーは・・あまりおもしろくないな。蘊蓄が多い割には無関係だったり。探偵役の矢的が意外に役に立たなかったり・・。
「ドールズ 闇から招く声」・・いつもとは別のみんなの本棚から。ここは年に数回しか来ないから、返却するのはいつになるか。でも図書館みたいに期限がないのは助かる。これはシリーズ物らしい。少女の意識の中に江戸時代の人形師が棲んでいて、事件を解決というのはユニークな設定。プロローグのせいで途中で犯人の目星はつく。
高村薫
「マークスの山」・・みんなの本棚から。テレビシリーズにもなったし映画化もされたけど見ていない。山とあるので山岳物かと勝手に思い込んでいた。そしたら本格的警察小説とあるので借りてみた。次々に犠牲者が出るが、関係者は皆口をつぐんでいる。よっぽどすごい秘密抱えているんだろうと思ったら・・あれれ?ラストも・・あれれ?自然に解決しちゃった?
「黄金を抱いて翔べ」・・みんなの本棚から。帯には「コンピューターで制御された鉄壁の防護システムの向こう側に眠る六トンの金塊、しめて百億円」とある。もちろん人力で六トン盗むのは無理なので、500キロ(10億足らず)が目標。実行するまでが長く、実行せずこのまま終わってもいいんじゃないかと思ったくらい。時々ぼかしたような表現があり、これはどういう意味かいな・・と、頭を傾げた。最後は・・死んじゃうの?
高山ちあき
「かぐら文具店の不可思議な日常」・・みんなの本だなから借りたもの。読みやすいけどなかみは・・。今時の若い女の子にはこれでいいのかな。青年はあくまでも生活臭がなく、人間かどうかさえもわからない。女の子は見かけはさえないけど、実はとってもかわいい。ヒロインは失踪した父親らしい人が見つかっても、すぐには母親には言わない。自分と父親のことしか考えない。母親がどう思うかは考えてみようともしない。全体的に非常に偏った感じで、まあそこがいいのかもしれないが、私には首を傾げるようなことばかり。第一何で家族でうつした写真持っていかないの?
谷崎潤一郎
「細雪」・・読み返した。「われよりほかに」を読んだせいか、前に読んだ時とは違うこと考えたりした。こういうことがあったああいうことがあったという部分は、さぞ集めまくり、ためまくったんだろうなあと。
ち)
知念実希人
「猛毒のプリズン」・・題名より作者の名前の方が大きいというのは珍しい。天久鷹央の事件カルテというシリーズがあるようだ。何だかこういう設定の作品が多いな。若くて華奢で、でも頭脳はとんでもなく鋭くて、でも性格は協調性がなくてまわりに迷惑かけっぱなし。男はと言えば彼女に振り回されっぱなし。刑事だったり今回のように部下だったり。
「スフィアの死天使」・・図書館には天久鷹央物が一杯揃えてあるぞ、しめしめ当分楽しめるぞ。テレビの方はそろそろ終わりだな。鷹央と小鳥遊の出会いが描かれる。鷹央の言動がユニークでおもしろい。これを読むとテレビの配役はぴったりだったんだな・・と改めて思う。
「天久鷹央の推理カルテ」・・図書館から。テレビの最終回でやったカルバマゼピンのエピソードが入ってる。ただの痛み止めと軽く考えてちゃいけないんだな・・と思った。
「生命の略奪者」・・天久物。図書館から。臓器移植がテーマ。こういうの読むと、自分の体を大事にしなくてはいけないなと改めて思う。関係ないけど以前自分のぼうこうを内視鏡で見たことがある。ピンク色をしていて、水滴がピャッという感じで飛び出してくる。これが尿なんだ。何てきれいなんだろう・・と。
「魔弾の射手」・・廃病院の屋上から飛び降りる者が続出。みんな自殺で片づけられていたけど、お母さんは絶対自殺なんかしない!という娘の主張が鷹央を動かし・・。
「火焔の凶器」・・小鳥遊が統括診断部へ来てから10ヶ月。平安時代の陰陽師蘆屋炎蔵の墓が鎌倉にある。墓を調査した准教授が焼死。もう二人は体調が悪くなり、鷹央によって真菌が原因と診断されるが、一人は手遅れで死亡。通夜の席では棺は炎上。残りの一人宗田は救急車で運ばれてきたものの、処置をしていた小鳥遊の目の前でいきなり発火して焼死。棺の前にいたのも彼なので、疑われるはめに。宗田の妻と娘が以前骨折で整形外科にかかったことがあるという時点で、カンのいい人は「はは~ん」となりますわな。
「甦る殺人者」・・天久物。小鳥遊が統括診断部へ来てから10ヶ月。連続殺人が起きているが、犯行現場に残されたDNAは四年前に死んだ男のもの。しかもその男の死亡宣告をしたのは鷹央だった。実際は死んでいなかったのか。双子の兄弟がいたのか。なかなか真犯人に近づけないが、こういう時は身近にいて、協力者で一見犯人とは思えない人物が実は・・というのがお約束。
「幻影の手術室」・・図書館から。手術後のオペ室で麻酔科医が殺される。密室状態なので、容疑は麻酔から覚めかけた研修医舞にかかる。鷹央と小鳥遊は何とか彼女の容疑を晴らそうと・・。鷹央は毒島や犬頭と同じタイプ。小鳥遊は振り回されっぱなし。ここでの彼は天医会総合病院に赴任して9ヶ月目。
「神秘のセラピスト」・・天久物。血の涙を流し、手のひらには聖痕。でもこれも医学的に説明できちゃうというのは驚き。鷹央にはあまり悩んだり自信失って欲しくない。いつもスーパーポジティブでいて欲しい。
「吸血鬼の原罪」・・天久物。今回は鷹央、小鳥遊、鴻ノ池の会話が多く、なかなか話が先へ進まない。字数を稼いでいるという感じ。こういう時は読んでいてもあまりおもしろくない。
「神話の密室」・・図書館から。小鳥遊が赴任して1年くらい。テレビでは院長大鷲との確執とか強調されてたけど、小説では今のところそういうの出てこない。今回はアル中作家やキックボクサーの話。やや低調。
「久遠の檻」・・運び込まれた美少女は16年前にはアイドルをしていて、今は32歳のはずだが10代半ばにしか見えない。年を取らないということで新興宗教の教祖に祭り上げられている。本当にこんなことはあるのか。永遠の若さ、美しさは女性の悲願だが、やっぱり裏にはからくりがありましたな。
「ファントムの病棟」・・テレビシリーズの最後は鷹央が次は吸血鬼だと聞いて興味持ってたけど、「吸血鬼の原罪」以外にも吸血鬼の話はあったのね。テレビで言ってたのはどっちの吸血鬼事件なのかしら。健太が白血病で亡くなるのがこの回。テレビシリーズの最終回の宗一郎の件の直後。あんまりうじうじしている鷹央は見たくないね。
「密室のパラノイア」・・天久物。図書館から。密室で溺死した男の謎など、密室に力が入っている。中から錠がかけられていたわけだが、その錠についているはずの指紋のこと何も言ってなかったな。
「羅針盤の殺意」・・天久物。図書館から。「遺された挑戦状」はテレビの7話目でやった。MRIってそんなに強力な磁気を出し、しかもずっと動かし続けているなんて知らなかった。さて、これで図書館にある天久物は全部読んだかな?
つ)
筒井康隆
「時をかける少女」・・映画見たので読み返した。こんなに短い小説だったんだ。あんまり広がりもないし。写真は帯だけなのが残念。テレビの後で、映画の前だから、「タイムトラベラー」の写真。
と)
堂場瞬一
「時限捜査」・・借りたもの。登場人物同じで他のもあるらしい。かなり長いが、わりとおもしろかったので、他のも読んでみたいが、みんなの本棚には置いてない。買ってまで読もうとは思わない。今作は大阪での立てこもり事件がメイン。
な)
長岡弘樹
「道具箱はささやく」・・妹が貸してくれたもの。短編集。水っぽい十津川物の後では、なかみが詰まってるという感じ。中にはちょっと設定に無理が感じられるものもあるが、おもしろく読めた。
「幕間のモノローグ」・・いつまでたっても殺人事件は起きない。あれれ?そういう内容じゃないの?芝居を職業とする人々が代わる代わる主人公になる短編集。スターの座をつかむのはほんの一握りで、あとは別の道を歩むかずっとそのままやっていくか。でもどんな職業だってそれなりに大変なんだけどね。
中山七里
「どこかでベートーヴェン」・・妹がまたゴソッと貸してくれた。ニュース番組で岬洋介の名前を聞いたとたん思い出した、17歳の時に起こった殺人事件。天才的なピアニストで、事件を解く鋭い頭脳も持った岬。彼が弾くピアノがいかにすばらしいかが、延々と描写される。がまんして読むが、そのうちうんざりしてくる。
「ヒポクラテスの憂鬱」・・県警のホームページの掲示板にコレクターの書き込み。コレクターと言っても修正者の意味。それに振り回され、司法解剖が増える。ただでさえ予算が少ないのに・・。結局そうやってする必要のない司法解剖を増やしてパンクさせ、自分の起こす殺人での司法解剖をできなくさせるというのがコレクターの目的でした。
「境界線」・・なかなかおもしろく一気に読んだが、後半かなり長い過去の話がある。すぐ現在に戻るかなと思ったら、なかなか戻らない。戻ったと思ったらもうラスト。そそくさと終わってしまった。
「ドクター・デスの遺産」・・人気シリーズ第四弾とある。犬養刑事を主人公にしたシリーズがあるようだ。映画は感想を書いた後消去してしまった。残しておけばよかったかな。途中まではぐいぐい読む者を引っ張っていく迫力がある。読み始めたら最後やめられないと言うか。それが・・犯人の背景が描かれ始めるととたんにそれまでの迫力がなくなる。犯人も最初は普通の人間・・善人でした、それが・・。いや、そんな説明いりませんてば。
「ヒポクラテスの誓い」・・こちらが一作目か。強調されるのは予算の少なさ。そのためよほどのことがないと司法解剖はされず、殺人事件が見過ごされてしまうことも。中心となるのは研修医の真琴、刑事の古手川、光崎教授と准教授のキャシー。読んでいるうちに不思議に思えてくる。光崎は易者で言うなら黙って座ればピタリと当たる天才的なタイプ。それでいて交渉などの面倒なことは一切しない。すべて真琴達が押しつけられる。お膳立てがすべて整ったところで腕を振るう。もし一人で何もかもとなったらどうするんだろ。
「おわかれはモーツァルト」・・岬のキャラは魅力的だけど、私だったらこのシリーズは買わない。例によってアレです。やっと終わったかなと思うと第二楽章。もううんざりです。よくもまあズラズラと文章続けられますな。いくら読んでも頭に全く何も浮かばないこちとら・・クラシックに疎い自分がいけないのでしょう。それにしても犯人は隆平に濡れ衣を着せることを何とも思わなかったのでしょうか。「ドクター・デスの遺産」を読んだばかりなので、犬養刑事の登場にはオオッと思った。犯人は・・動機まではわからないけど、この人だろうなというのは予想つく。
「作家刑事毒島」・・これが一作目ね。テレビもこれ。読みながらどうしてテレビは一作で終わっちゃったの・・と思いっぱなし。もったいないわ~。
「毒島刑事最後の事件」・・あら、毒島物はこれで最後?なんて早とちりしてしまったけど、大丈夫でしょう。刑事として最後の事件てことでした。今頃になって気づいたけど、犬養は「ドクター・デスの遺産」に出ていたキャラなのね。高千穂もそうなんだわ。こうやってつながってると読んでいても何だかうれしいな。
「作家刑事 毒島の嘲笑」・・このシリーズは人気なのかいつもどれかが貸し出し中。今回は思想の貧弱さとかそういうのを嘲笑している感じ。しかし毒島の言動は、遠くから見ている(読んでいる)ぶんには楽しいですな。「じゃん」とか「やっほー」とか笑ってしまう。そのたんびにテレビで毒島を演じていた佐々木蔵之介の顔が浮かぶ。はまり役なのに何で一作しか作られなかったのかしらもったいない。中山氏の音楽を題材にした小説は読んでてしんどく、まあ妹が貸してくれたから仕方なく読んでたんだけど、こういうシリーズはいいですな。毒島は開けっぴろげに見えるけど、それでいて依然謎の部分が多いのも興味を引く。
「作家刑事 毒島の暴言」・・テレビでやったので、原作はないかと図書館で捜したらみんな貸し出し中で、これだけ残ってた。これを読んだ後、むしょうに映画の「私家版」を見たくなって、見直した。作家という生き物の嫌な部分を集めたようなキャラが出てくるから。こちらの本の方は、作家あるいは作家志望の人達の嫌らしい部分を描きつつも、やっぱりそれくらいでなきゃ生き残っていけないのだろうなとは思う。時々毒島みたいに、「うふふふふ」となりながら楽しく読んでいた。
夏樹静子
「紅い陽炎」・・何人かの女性が出てきて、最初のうちは話があちこちに飛んでる感じ。あらまた新しい女性の登場人物?って感じ。そのうちだんだんまとまってくるけど。
「Mの悲劇」・・陶芸家の妻と若い弟子・・よくあるパターンですな。
「アリバイの彼方に」・・これもみんなの本棚から。短編集。短いけど一つ一つに力がこもっている。中では「便り」がよかった。
夏目漱石
「文鳥・夢十夜・永日小品」・・短編集。印象に残るのは「文鳥」と「猫」。猫はともかく文鳥は籠の中にいて、世話してくれる人だけが頼みなんだから、それができないのなら飼うなっちゅ~の。餓死した文鳥が気の毒で。テレビの「偉人たちの健康診断」で南極に置き去りにされた犬達のことやってたけど、本当に気の毒で気の毒で。人間達の都合で生死を左右されるんだからたまったもんじゃない。
に)
仁木悦子
「黒いリボン」・・図書館から。前にいくつか見つけて読んで、他にはないと思ってたけど、これだけ大活字本の棚にあった。ヒロインが偶然再会した声楽家で、今は家庭におさまっている女性の息子が誘拐される。身代金を渡しに行った夫が殺され、ヒロインは兄と共に捜査に乗り出す。まあいつもの通りです。むごたらしさとか異常さとは無縁で、普通に読んでいられる。
「刺のある樹」・・仁木兄妹物。こういう軽い推理物が置いてあるとすぐ借りてきて読む。
「猫は知っていた」・・これは大昔読んだことがあるかもしれない。
「林の中の家」・・仁木氏の作品は古本屋でもあんまり見かけない。ホントは全部読みたいんだけど。何となくクリスティーの作品みたいな感じ。ものすごく残酷とかものすごくいやらしいとか、そういうのがなく品がいい。また、今のものすごく便利なスピーディーな世界ではなく、ひと昔ふた昔前の暮らしの中での出来事なのがいい。
「私の大好きな探偵」・・仁木兄妹が活躍する長編は四つしかないようだ。意外と少ないんだな。あと読んでないのは「黒いリボン」か。これは短編集で、あまり深みはないけど、さらっと読める。
「名探偵コレクション 吉村記者の全事件」・・仁木悦子作品は古本屋でも見かけないので、図書館で全集見つけた時にはびっくりした。全部揃ってるかどうかは不明だが、とにかくありがたい。これは長編の「殺人配線図」と短編が四つ。体を壊して社会部から文化部へ移った新聞記者吉村が主人公。短編のうち「みずほ荘殺人事件」は犯人を当てる企画が「宝石」誌上でなされたのだそうで。平野謙という人の答案も載っている。こんなに細かくほじくられたのでは、オチオチ小説も書けないなあという気がした。
「名探偵コレクション 砂村朝人の全事件」・・こちらは翻訳屋の砂村が主人公。長編「青じろい季節」と短編が二つ。短編のうち「一本のマッチを擦る時」はすぐに犯人がわかる。
「名探偵コレクション 櫟ファミリーの全事件」・・長編「二つの陰画」ではアパートの大家や金貸しをしていた老女が殺される。アパートに住む櫟夫妻が犯人捜し。甥や姪がいるのになぜか遺産は別の女性に。そのうちこの女性が実は老女の娘とわかるが、最後にはそれも引っくり返る。つまり女性は二重に正体を偽っていたわけ。密室トリックが出てくるが、別になくてもいいような。この作品では赤ん坊の息子が、二つの短編には小学生として出てくる。「一匹や二匹」には子猫が出てくる。野良猫の世話をするネコおばさんのキャラがいい。他の短編にも出てきて欲しい、できれば主役で。
仁木英之
「黄泉坂案内人」・・みんなの本だなから借りたもの。発想がユニークで、登場するキャラもいい。特に玉置さん。ちょっとわかりにくいところや、ラストが100パーセントハッピーエンドじゃないのが残念。
西村京太郎
「祭ジャック・京都祇園祭」・・十津川警部物。何だか無理のある流れ。十津川の妻直子の行動が理解できない。夫と一緒にいて事件の流れ、犯人のずるがしこさがいやというほどわかっていて、それで何でやすやすとつかまるのかね。小野篁のことがちょこっと出てくるのが珍しいかな。
「十津川警部 捜査行 宮古行「快速リアス」殺人事件」
「十津川警部 捜査行 わが愛 知床に消えた女」
文庫に四編入っている。これくらいの長さだと長編のような水増し感はあまり感じないですむ。スイッチバックとか乗り継ぎとか上りと下りで別の線路とかまあいろいろ出てくるが、この年になると読んでいても何も頭に入ってこない。
「十津川警部 捜査行 湘南情死行」・・短編の方が文章のくり返しが少ない分、幾分まともな作品に思える。
「紀勢本線殺人事件」・・若い女性が次々に殺され、浮かび上がった男性は女装がよく似合う。ホステスの目撃証言に「女性にしては背が高い」がないのはおかしい。暗がりで見かけたとしても印象に残るはず。読者はすぐに「はは~ん」とわかるが、十津川達はなかなか気がつかない。アホか!
「呉・広島ダブル殺人事件」・・長編だとまた同じ文章のくり返しが始まる。文庫化する時、修正しないのかな。何だか垂れ流されているみたい。だらだらしてるし締まりがない。最後の方でいきなり犯人が現われる。今まで出てきた連中はいったい何だったのかね。
「十津川警部 殺意の交錯」・・短編集だが、「河津・天城連続殺人事件」にはまいった。普通こんな会話するか?そばで聞いてる人がいたらこいつら異常者か?と思うよ。いくら話すことによって考えをまとめるにしても、こんなことしゃべらないと思うよ。あ~十津川物って何かこんな感想ばっかりだな。他の人は読んでてうんざりしないのかな。
「金沢加賀殺意の旅」・・十津川物。途中まではこれって前に読んだことあったっけ・・と思いながら読んでいた。でも読むのは初めてのようだ。犯人自殺で終わってしまうので「何だよ~」とモヤモヤ気分。
「京都駅殺人事件」・・十津川物。京都の新しい駅舎が醜怪で気に食わんと爆破予告。最初の犯人が交通事故で死んで一件落着かと思ったら、また爆破予告。読んでいても退屈でおもしろくない。最初の犯人は浪人。親からの仕送りが月に25万。予備校月謝があるにしても、ひえ~!な金額だ。
「古都千年の殺人」・・十津川物。妹が貸してくれた。私の蔵書には西村氏の作品はなし。文章がブツブツ切れて読みにくいし、同じこと何度もくり返されるし、結末のつけ方がしょぼいから。「、」を削って、文章の重複を直したら、量が半分になるのではないかしら。内容もばかばかしい。
「青森わが愛」・・十津川物。短編集。中身の薄い長編よりマシな出来。
「悲運の皇子と若き天才の死」「猿が啼くとき人が死ぬ」・・どちらも妹が貸してくれたもの。同じ文章のくり返しにイライラさせられるし、なかみは水っぽい。
「夜ごと死の匂いが」・・短編集。うち三編に私立探偵が出てくるのが珍しい。これも中身の薄い長編よりよっぽどマシ。
「十津川警部 予土線に殺意が走る」・・ホビートレインはかわいらしいね。このおもちゃで釣って、子供を誘拐し、十億の身代金。最後の方でヒロインが自殺しちゃうけど、唐突すぎるな。ありえない。
「十津川警部 出雲伝説と木次線」・・木次と書いて”きすき”と読むんだそうな。退屈な論文読んでるようだ。しかも傷ついたCDじゃあるまいし、同じことを何度も何度も。最高におもしろくない小説。
「十津川警部 「荒城の月」殺人事件」・・これはまあわりとおもしろかったけど、最後の方は十津川が全能の神みたいに推理して終わり。せっかく途中まではよかったのに尻すぼみ。
「哀切の小海線」・・十津川物。みんなの本棚から。近頃は借りたいものもなくなっていたんだけど、どなたかの寄付で新しいものが。よく保険とかのCMで、同じことをくり返すのがある。「おいかあさん、○○歳まで入れる保険があるよ」「あらとうさん、○○歳まで入れる保険があるんですか」。この本読みながらそれを思い浮かべていた。「一週間後に鹿島源太は刑期を終えて出所するはずだった」・・このフレーズがまあ何回くり返されたことか。どう考えたって字数を増やすためとしか思えない。それとやたらめったら「、」が多い。こういう文章って読んでいて首がガクンガクンとなる。これも字数稼ぎだ絶対。同じ文章のくり返しは、雑誌に連載する場合など説明のため多くなるんだろうが、文庫や単行本にする時手を入れないのかね。これで内容がすばらしかったらそんなことも帳消しになるけど、こう言っちゃ何だけどこの作品は浅いし水っぽい。
「犯人は京阪宇治線に乗った」・・読んでてこれもいらん、ここもいらんと思いっぱなし。「葛西と谷村は五年も同棲していた」・・何度くり返されたかね。犯人は出てきた時からわかるし、動機もありえな~い。
「黙示録殺人事件」・・十津川物。奥付を見てびっくり。平成27年で81刷・・今ならもっとだろう。確かに他のに比べれば内容は濃いし、「、」も少ない。以前はちゃんと(←?)書いていたんだ。
「欲望の街 東京」・・四話入ってる。どの話も犯人はわかってるような感じで、意外性はない。四話目あたりは意外性期待したんだけどなあ。一話目は喫煙と浅草寺が見える喫煙場所についてくり返される。でもってやっぱり喫煙と喫煙場所が動機でしたとなる。やれやれ。
「十津川警部 山手線の恋人」・・これが書かれたのは2017年か。まさかコロナでオリンピックが2021年に延期されるとは誰も予想しなかったあの頃。山手線新駅が予定通りできるかどうかの賭け。延期させるためにいろんな妨害するなら、予定通りできるようにするため手をうつ者もいるんじゃないの?あと、いくら年格好が似てるからって、すり替わるのは無理だと思うよ。一番アレなのはラスト。「本当の戦いは、これからだよ」って、そこで終わられても困るんですけど!ちゃんと最後まで終わらせんかい!
「東京地下鉄殺人事件」・・十津川物。地下鉄で二人殺された時、持っていたはずの切符に触れないのはなぜなんだろう。持っていなかったのなら持っていなかったと普通は書くでしょ。
「九州新幹線「つばめ」誘拐事件」・・十津川物。息子を誘拐された福田は、自分の車を三鷹駅前に停めて自宅まで歩いたはずなのに、翌日普通に自宅から車に乗って出勤するのはなぜなんだろう。十津川物は会話とかくり返しが多いけど、週刊誌の連載だからなのか。文庫で読んでるとくどい感じがする。
「九州新特急「つばめ」殺人事件」・・十津川物。解説でほめちぎっているけど、そんなにいいか?話に無理があると言うか、うまくつながっていないと言うか。ヒロインの恋人が殺される必要あったのか。それと彼女、恋人が死んだにしては影響受けてない。
「北陸新幹線ダブルの日」・・十津川物。いきなり上越妙高駅でびっくりするけど、戦争末期の特攻機に話が移り、期待は早々にしぼむ。要するに上越妙高じゃ推理小説にはならないってことですな。ラストもビックリ。まだ数十ページあるから、これから謎解き・・と思っていたら唐突に終わってしまった。そりゃ戦争が終わって70年、事件が起きた10年前でもすでに60年たってる。みんな80代、90代、これじゃ解決もへったくれもないなとは思ったんだけどさ、その通りになりました。巻末に80ページ近く作品リストが載っている。文庫の約四分の一だ。呆れたね。
「十津川警部「記憶」・・こういうの読むといつも不思議に思う。寝た子を起こすようなこと何でやるのかね。記憶が戻っちゃ困るのに記憶戻そうとあれこれやってる。
「韓国新幹線を追え」・・十津川物。途中から展開が苦しくなってくる。文書を送ってきたのは結局誰だったのか。女性はなぜ殺されたのか。
「越後湯沢殺人事件」・・みんなの本棚から。十津川物や浅見物はたくさんある上、どれも似たような感じなので、読んだはしから忘れてしまう。越後湯沢のリゾートマンションで芸者の死体が見つかる。その部屋の持ち主沢木が疑われ、やがて逮捕される。警察は頭から彼を犯人と決めつけ、他の可能性を考えてみようともしない。とにかく自白を引き出そうと躍起になる。沢木が助けを求めたのが大学の同窓生十津川。彼が動き出すと沢木の描写は全くなくなる。これってちょっと偏りすぎ。十津川がいろいろ聞く芸者とみ子は、そのうち殺されるぞと思っていたら案の定。他にもこれはきっとアレだなと思っているとそうなる。意表を突く展開とはならない。それにしてもやたら「、」の多い文章だな。私ならここで区切らないぞ・・とずっと思いながら読んでいた。
「十津川警部 「初恋」」・・みんなの本棚から。大学生だった十津川が淡い恋心を抱いた夕子は、今は高山で旅館の女将をしている。娘で若女将の由紀が突然病死したことから始まる連続殺人事件。どうもこういう復讐が動機のストーリーが多いな。警察には任せておけないってか?
「恨みの三保羽衣伝説」・・みんなの本棚から。短編が四つ。十津川と言うより部下の西本や日下が主人公だったりする。若くて独身、女難、思い込み、空回り。ところでいろんな小説読んでて不思議に思うことがある。車を運転しているのにアルコール類を平気で飲むことである。外国ならまだしも。この本でもビールを飲んでいる。何でノンアルコールと付け加えないのかね。
「越後・会津殺人ルート」・・十津川物。読んでしばらくたつともうどういう内容だったか思い出せない。ということは大した内容じゃなかったってことか。
「京都嵐電殺人事件」・・十津川物。みんなの本棚から。私は西村氏の作品はトラベルミステリーと言うよりぶつ切れリフレインミステリーだと思っている。「、」の多さ、同じことのくり返しにはうんざりする。元は連載物だから読者のための説明が重複するのは仕方がないが、それをそのまま文庫本にするかね。嵐電好きの集まり「嵐電会」のメンバーは7人。そのうちの一人出版社に勤める岩田が企画したイベントで死者が出る。参加した夫婦が一見心中のような形で死亡。同じ頃東京で殺された女性は以前「嵐電会」に入会しようとして面接で落とされていた。2つの事件はつながりがあるのか偶然か。こう言っちゃ何だけど動機はともかく犯人の目星は早々につく。ホテルで仕事?あなたそれその間にってことじゃん!他にも説明不足のことが多く、なかみは薄い。
ひ)
東川篤哉
「謎解きはディナーのあとで」・・みんなの本棚から。てっきり映画の原作だと思って借りてきたら違った。短編集。ヒロインはもっとお気楽なタイプ(お嬢様だし)だと思っていたら、意外と真面目で一生懸命仕事してる。他にもないか今度図書館で捜してみよう。なかなかよく考えられている内容。執事の影山はあまり普通の人間ぽくなって欲しくないな。
「謎解きはディナーのあとで3」・・早速図書館から借りてきましたよ。「3」ってことは「2」もあるんだろうけど貸し出し中なのかな。「1」と同じく楽しめる。ディナーのメニューがおいしそう。こんな夕食食べてみたいものだ。
「新 謎解きはディナーのあとで」・・このシリーズは何冊あるのかな。続けて読むと、当然のことながら読んだはしから忘れてしまう。トリック考えるの大変だと思うけど。
東野圭吾
「ラプラスの魔女」・・映画がよかったので、図書館から借りて読んだ。最初行った時は文庫も単行本も貸し出し中だった。人気あるのだろうと思った。青江が家族持ちで、しかも妻子から軽んじられているようなのが意外だった。そのうち古本屋で捜して買って、自分の蔵書に加えたいものだ。
「容疑者Xの献身」・・みんなの本だなから借りてきた。前に一度借りてきたけど、おもしろくなさそうな気がして返したのを、思い直してもう一度借りてきた。一気に読んで、まあおもしろかったんだけど、いろいろ引っかかるところのある作品だ。無理がありすぎてあっけにとられる。
「真夏の方程式」・・図書館から。映画を見てからだいぶたってるけど、場面を思い出しながら読んだ。かなり無理のある設定だが、こちとら湯川の言動にしか興味ないもんで。
「片想い」・・これも借りてきたもの。分厚いしミステリーだし暇つぶしにはなるだろう・・って暇でもないんだけど。何かやらなくちゃならないことがあると、読書に逃げる。東野圭吾作品は初めて。ある人物が不治の病だってのは見え見えなのに、主人公が全然気がつかないのはおかしいよな。
「沈黙のパレード」・・久しぶりに定価で買った。映画を見たのでどうしても比較してしまうが、まあ流れはほとんど同じ。違うのは仮装大会の扱い。映画ではかなり時間もお金もかけていたけど、こちらはサラリ。驚いたのは表紙カバー。映画が公開されたからか二重になってる。こんなの初めて。しかも!「容疑者Xはひとりじゃない」なんて印刷してある。こら!ネタバレするな!
「探偵ガリレオ」・・東京へ行って古本を数冊ゲット。他にも欲しいものいっぱいあったけど、重くて持てなくなるからあきらめた。短編集で、これにはまだ内海は出てこない。
「予知夢」・・第二弾。
「ガリレオの苦悩」・・第4弾。内海は(映画のイメージもあって)私生活もきちんとしていそうだが、そうでもないらしい。忙しさにかまけて・・いろいろ想像してみるのも楽しい。
「禁断の魔術」・・東野氏の作品は(短編でも)一作一作がボリュームがある。
「虚像の道化師」・・長編。あんまり苦悩する湯川は見たくないが。あと、彼の私生活は全く不明。たぶん朝食はコーヒーだけ、昼は学食、夜は居酒屋だろう・・なんちゃって。
「聖女の救済」・・ガリレオシリーズはこれで全部読んだのかな。草薙が容疑者に恋をしてしまうという珍しい設定。私はどちらかと言うと内海に興味がある。彼女の私生活はほとんど不明で、仕事面しか描かれないがそこがよかったりして。いつどこでも仕事のことしか考えてなくて臨戦態勢にあるなんて実際はありえないけど。人間だから睡眠取らなきゃならないし、疲れはあるし。
「ウィンクで乾杯」・・パーティ・コンパニオンのヒロインは、玉の輿を夢見て日々努力。玉の輿に乗った後の心配は全然してないけど。同僚が殺され、アパートの隣の部屋には刑事が引っ越してきた。刑事が職務上の秘密話すのは小説だからかね。さっぱりした性格のヒロインがいい。刑事とのコンビの作品は他にもあるのかしら。
「ある閉ざされた雪の山荘で」・・図書館から。いつも貸し出し中でやっと読むことができた。奥付を見てびっくり。108刷ですってよ!映画と違っているのは久我が由梨江のハートを射止めようと思っていること。映画はそれをなくしていたけど、それで正解だったな。
再読。自分でも映画やテレビの原作ばかり読んでいるな・・とは思う。これは一度図書館から借りてきて読んだけど、結局買うことにした。映画と違うのは主人公久我の性格。映画の方が性格はいいかな。
「夢幻花」・・図書館から。祖父を殺された梨乃。どうやら黄色い花のせいらしい。蒼太は朝顔ではないかと推理するが、鉢は持ち去られ、残っているのはブログにアップした写真だけ。祖父も、警察庁の役人である蒼太の兄も、この花が世間に知られることをなぜか危惧している。危惧する理由は想像つく。きっと麻薬とかそっち系。・・で、やっぱりそうでした。読んでいる間はすごくおもしろいけど、読み終わるとやや物足りなさを感じた。
「透明な螺旋」・・湯川が出ているらしいので古本を買った。彼の意外な生い立ちが明らかになる。
「プラチナデータ」・・映画を見たので原作を入手。映画とはだいぶ違うなと思いながら読んでいた。あっちはいろいろつじつまが合わないと言うか、妙なところがあったけど、こっちはちゃんとしてると言うか。文章がきちんとしていて読んでいて心地良い。妹が貸してくれる今風作家の今風文体の後だからそう感じるのかな。
平岩弓枝
「セイロン亭の謎」・・借りたもの。平岩氏がこういうのを書くとは・・いや、私が知らないだけだろうけど。神戸と東京を行ったり来たりなのがちょっとまだるっこいかな。読みやすいけど、最後の方は誰が誰だって?と、ちょっと混乱する。
「湯の宿の女」・・みんなの本棚から。短編集。ハッピーエンドのものとそうでないものとがある。何と言うか、男女の出会いとか別れとか、私自身からは遠く離れた世界の話のような気がする。何にもないもんね、こちとら。
ま)
松岡圭祐
「カウンセラー」・・かなり残酷な描写。内容的には映画の「ブレイブ ワン」によく似ている。
再読。途中まで読んで気がついた。前に読んだことあるぞ・・って。はい、やっぱり今回も残酷でした。
「催眠」・・これはみんなの本だなで借りたもの。最後のページに、映画化されたと書いてあって、そう言えばテレビだか映画館だかで予告編を見たな・・と、思い出した。テレビドラマ化もされたのかな。どっちも見ていない。おもしろかったけど、偏った感じもした。映画ではヒロインは菅野美穂さんが演じたそうだが、私は何となく壇蜜さんを思い浮かべながら読んでいた。
再読・・映画の方はまだ見てない。WOWOWあたりでやってくれないかな。みんなの本棚から再度借りてきて読んだ。と言っても主な流れは三つあって、途中からはそのうちの由香の部分だけ読んだ。あとの二人の部分はあんまりおもしろくないから。
松本清張
「波の塔」・・いつになったら殺人事件が起きるのかな・・と思いながら読んでたけど結局・・。カバーに長編恋愛小説とあるのでいやな予感はしてたんだよな。いやつまりこんな分厚い新書読む楽しみって私の場合事件・推理・謎解きであるわけで。モタモタした男女関係じゃないんですよ。爽やかに登場した青年が人妻との関係にぐじゅぐじゅ悩むとか、最後ヒロインは富士の樹海にとかさ。もっと他の生き方あるでしょって言いたくなっちゃう。
「高校殺人事件」・・これはNHK少年ドラマシリーズの一つ、「赤い月」の原作。あれはもう見ることはできないんだろうなあ。内容はよく覚えてないけど、小西役市山登氏がすてきだった。「幕末未来人」では沖田総司役で、これまたすてきだった。びっくりしたのは市山貴章という名でまだ活躍してること。「麒麟がくる」にも出ていたらしい。え?何の役で?小西はすぐ死んじゃうんだけど、印象に残るのは彼だけ。他のこと全然覚えてない。詩を暗唱しているあのシーン。ほよ~。小説の方は高校生向け雑誌に書かれたもの。地味で堅実、振れ幅は小さい。つまり奇想天外なものはなし。
「地の指」・・みんなの本だなから借りてきて読んだ。松本清張氏の作品なので、一定のレベルは期待できると言うか。でも何となく設定に無理があるかな。とは言えこういう、刑事が地道な捜査をするというのはいい。無駄もいっぱいやってるけど、その無駄がなければ解決にたどり着かないと言うのが。今は何でも無駄を省いて近道はないか、そればっかりだからね。
「隠花の飾り」・・昔テレビで見た。
「張込み」・・映画が有名らしいが、見たことなし。テレビは田原俊彦氏が出ていたもの。最後の方で大竹しのぶさんが大演説始めちゃって、ムードぶち壊し。まあ彼女のせいじゃなくて脚本のせいだけど。
眉村卓
「ねらわれた学園」・・映画(1981年製)を見たのでこっちも読み返した。少年ドラマシリーズと映画との落差が大きすぎて、原作の存在なんかどこかへ吹っ飛んでしまい、したがって感想も思い浮かばん。読み返した・・それだけ。
み)
三島由紀夫
「美しい星」・・映画の感想書くために何十年ぶりかで読み直した。読みにくいし、あまりおもしろくない。これからというところで終わってしまうし。
光瀬龍
「暁はただ銀色」・・これは何回か読んでるけど、不思議にストーリー覚えてないので、初めて読むような感じ。テレビの少年ドラマも、見たような気はするけど、ちゃんと全部見たかどうか。でもできることならテレビシリーズ全部見たいものだ。小説のような死者の多さ、範囲の広さ、大がかりさは無理だから、うんと話を縮小してあるだろうけど。
宮部みゆき
「模倣犯」・・図書館から。文庫がなく、単行本。ずっしりと重い。しかも上下2冊。何でこんなに重いのかな。内容のせい?・・なんちゃって。最近某氏の水っぽいスカスカの作品ばっか読んでいたから、そのボリュームには圧倒された。何と言うか、具がいっぱいすぎてかき混ぜることもできないオデンみたいな・・。箸が折れそうなくらいいっぱいと言うか。すでに映画見てるから記憶たどりながら読む。俳優さん達はそれなりに合っていて、それなりに演技していたんだなあとわかる。ストーリーだってこんなに複雑に絡み合っているのに、それなりにうまく整理されていたのだとわかる。それが何であんな・・珍作になってしまったのかね。小説の方は出てくる人・・ほんの小さな役どころの人でもちゃんと背景がつけられていて。よく映画であるでしょ。映画のストーリーには全然関係ないチョイ役なのにどこで生まれてこういう性格でっていちいち背景つけなきゃ気がすまないみたいな。人間である以上背景のない人なんかいないみたいな。まあ映画だとそういうのは描写されないけど、小説だとその部分も読まされるわけで、最初はいいけどそのうちうんざりしてくる。ああ、早く次へ行きたいなあ、何で関係のない人の人生読まされなくちゃならないんだろ・・なんてね。もっとゆったりと構えて読むべきなんだろうけど、読みながらいらついている自分に気づくわけよ。
「クロスファイア」・・図書館から借りた。ははあ原作はこうなっているんですか。映画はこれともう一冊が合わさった内容なんですな。今度そっちも読んで見よう・・って、置いてあるかな。映画では木戸がなぜあんな暮らしできるのか不思議だったけど、金持ちの息子ですか、そうですか。石津ちか子というキャラはいいですな。女性ということで嫌な思いさせられることもあるけど、違う見方考え方をすることで受け流す。そうそう、ある程度の年になると、真っ向から受け止めてキリキリするのアホらしくなるんですよね。「何ですって!?」と怒るのではなく、「あらそう」って感じ。
「R.P.G.」・・宮部みゆきさんの小説を読むのはたぶん初めて。みんなの本棚から借りてきたもの。だいたい読み尽くしたかなと思ってると、しばらくすると他の文庫が。文庫の半分は時代物だけど、私はそっちには興味ないので読まない。この作品はNHKでもやったらしい。何も知らないで読んでいたら、事件の聴取だけで終わりまで行ってしまったので、ある意味びっくりした。聴取が全部警官による芝居というのはちょっと無理があると思うけどね。
「魔術はささやく」・・みんなの本棚から。若い女性が次々に自殺。和子は次は自分の番かもとおびえる。彼女達四人は一時ある商売で金を儲けていた。主人公は16歳の守。3人目の死者洋子に関連し、事件に巻き込まれていく。読んでいて先の読めない楽しさはあるが、ラストに近づくにつれて、あららそうきたか・・となる。催眠術、サブリミナル。守は錠前破りの特技がある。「解錠師」という小説の主人公も若かったけど、あっちはさっぱりおもしろくなかった。守の父親は失踪し、しかも公金横領をしていた。その父の謎も解ける。解説ではこの小説をほめちぎっているけど、あんまり持ち上げると嘘くさくなる。普通におもしろいじゃだめなのかな。
「龍は眠る」・・図書館から。テレビでやったので読んでみた。超能力を扱うのは珍しい。霊能力はよくあるけど。こちらの直也は、何とテレポーテーションもできる。すごい能力だ。でも、体はともかく、服や靴もできるかしら。
三好徹
「幻の女」・・みんなの本だなから借りてきた。小野小町に関する考察みたいなのが出てくるけど・・。美女のほまれ高い小町だが、絵に描かれる時は後ろ姿。絵にも描けない美しさなのか、本当は美人ではなかったのか。まあ平安時代の女性の美しさは顔立ちとは限らないからね。黒髪の豊かさ、長さ、つややかさが美女の条件。そう考えりゃ後ろ姿でも(髪が見えるんだから)かまわないわけで。で、おもしろかったかって?い~え。ラストははしょりすぎ。あと、主人公の行動は軽はずみすぎるね。
も)
森博嗣
「赤緑黒白」・・これはみんなの本棚から借りてきたもの。けっこうな分量だけど、会話が多く、その間は話が進まない。だから分量のわりには話のなかみは深くない。裏表紙にVシリーズの第10弾なんて書いてあるから、シリーズ物なんだ。
森村誠一
「流氷の夜会」・・森村氏の作品と言うとだいぶ前「黒魔術の女」を読んだことがある。何じゃこりゃ作品だったな。こちらはうら若い美しい新妻の夫が失踪。会社はヤクザみたいなのが牛耳って危なくなってる。彼女は以前の自分の崇拝者に頼んで協力をしてもらい、失踪、続いて起こった殺人事件を探る。彼女は全く気づいていなかったが、彼女自身も犯人のターゲットの一人で・・。あのねえ・・彼女がそのことを全く思い出さないわけがないでしょうが。時期的、場所的に。
再読・・流氷などどこにも出てこないんですけど?水っぽい十津川物の後では内容濃く感じるが、偶然が重なりすぎという気も。終盤になってヒロインに疑惑が浮かぶのはお約束。ラストもグレーがかってる。
「棟居刑事の悪の器」・・棟居刑事シリーズもあるのかいな。双葉社から出ている新書版を読んだが、普通ならカバーにあらすじとか作者の紹介印刷されてるものだが、何もなし。あとがきもなし。シンプルだなあ・・。内容は・・あら、もう忘れちゃった。棟居刑事がちっとも活躍しないことが印象に残るくらいで・・。
「棟居刑事の悪の塔」・・棟居刑事シリーズもいっぱいあるのかな。この作品は・・たぶん冒頭で犯人予測できちゃう。あと、ラストの方で有光が全然出てこなくなるのがバランス悪い。だって彼ほとんど主人公じゃん。
「明日なき者への供花」・・アパート立ち退きに抵抗して居座る四人。紅一点の由祈子は暴力団組長の娘。その父が殺されたため二代目を継ぐことに。あとの三人と父のボディガードとの四人で彼女を守る。組長を失ってバランスの崩れた組織を維持していけるのか。落ちこぼれ三人が意外な働きを見せるのはいいが、由祈子には危機意識に欠けるところがある。女子大生だから仕方ないけど。
「高層の死角」・・2時間ドラマを見たので読んでみた。内容はかなり変更されている。当然だけど。某描写には読んでいてうんざり。
や)
山村美紗
「京都詩仙堂殺人事件」・・短編集。みんなの本棚から。読みやすくていいけど、出てくる人・・犯人の女性とか・・の浅はかさが目立つ。こうだからああする、ああだからこうする。後先考えず突っ走る。立ち止まるということをしない。みんな相手のせいにする。だから全く共感できない。
「京都殺人地図」・・女検視官江夏冬子物。同じ検視官でもスカーペッタみたいにいろいろどろどろくっついていなくて、さっぱりしているのがいいね。
まだ返本せず、家に置きっぱなし。返すには電車に乗らなきゃならないので。この暑い中、本を返すためだけに出かけるのもしんどくて。それにしても読んでいてところどころあれれと思う。第2話・・本棚を移すってけっこう大変なのよ。本をみんな出して棚を移してまた並べて。本は重いから床にしろ畳みにしろ棚のあとがつく。置いてあったところにはホコリがたまってるはずだ。それ以外に大人の男性一人を埋めるための穴も掘る。こりゃ忙しいね。第6話・・もう一つ気になるのは琵琶湖の水。いくら琵琶湖の水で溺れさせたのがわかっても、衣類が琵琶湖で見つかっても、死体が自分のうちで見つかったのでは何にもならんでしょ。
「京都大原殺人事件」・・みんなの本棚から。失恋して京都へやってきたヒロインが、連続殺人に巻き込まれる。フラれてもすぐ次の男性が現われ、大事にしてくれる。元カレもよりを戻したいと言ってくる。ああん、どうすればいいの・・いい気なもんじゃい。せっかくの密室のトリックも読んでも意味がわからない。書生はなぜ死んだんだっけ。本当は誰が死ぬことになっていたんだ?
「長崎殺人物語」・・冬子というキャラが気に入ったので借りて読んでみたが・・これはハズレ。長編ということで長崎の観光やおいしいものの描写で増量している。冬子の友人百合子の不倫相手大宮の妻が殺される。現場はすぐ近くだし、動機はあるし。でも彼女は自分とずっと一緒にいたし。友情と捜査の板挟みで困惑する冬子。でも実はそれが百合子の狙いで。最後まで自分勝手な百合子。そんな友人のために事実をねじ曲げる冬子。後味悪いです。
「京都清水坂殺人事件」・・冬子物。読んでいてもさっぱりおもしろくない。内容が頭に入ってこない。捜査一課では新年を祝って冷酒で乾杯。和気あいあいやってると、事件発生。車で現場へ直行・・・おいおい、待ってくれ。それじゃあ飲酒運転じゃないか!!
「紫式部殺人事件」・・新書はどれもボロボロで、修復してある。それだけ多くの人が借りて読んでるってことだ。意外と冊数が少ないが、傷んで廃棄された本も多いのか。ヒロインは「紫式部日記」を卒論のテーマに選んだ大学生香子。三年前にひき逃げされて亡くなった父、片思いの相手大宮、中学で同級だった良子の兄、そして教授。次々に殺人事件が・・。大宮が死んでもちゃんと次のが現われるし、まあできすぎですな。
「ポケットベルに死の予告」・・推理作家池加代子と、その娘で女優の梨花が主人公の短編集。会話が多い。また、読みながらこれは誰をモデルにしているのだろうと思ってしまう。ポケベルは今ではほとんど使われていないのでは?狩矢警部がここでも出てくるが、一般の人にこんなに捜査情報をもらすなんてありえないな・・と、いつも思う。
「夜の都大路殺人事件」・・週刊アサヒ芸能に連載されたものらしい。そのせいか男性向けサービス描写が多い。ヒロイン、夏子には二人のパトロンがつくが、最後の最後には一方を選ぶ。そうか、もう一方は妻帯者だしな。それにしてもお気楽な流れだ。
「竜飛岬殺人事件」・・久しぶりに図書館へ行って10冊借りてきた。ハードカバーは重いから文庫や新書。5編おさめられているが、皆それぞれに楽しい。さっぱりしているし、誰かさんみたいに正論振りかざしたりしない。若い女性が主人公なので考えることは結婚。「向日葵は死のメッセージ」は花屋をやっている姉妹が主人公。葬儀に使った花を、少し安くして売り捌いていたけど、本当にそんなことするのかな。そりゃそのまま捨てたのではもったいないけど。買う方は知らずにいるけど、知ったら縁起でもないといやな気持ちになるだろうな。
よ)
横溝正史
「悪魔の百唇譜」・・2時間ドラマの感想書くため読み返した。駄作と書いてる人もいるけど、私はそうでもないと思う。2時間ドラマはひどかったけど。
「悪霊島」
「女が見ていた」
「壺中美人」・・読み返した。これは映像化はされてないのかな。
「殺人鬼」・・何回か読んでる。テレビでやってくれたようだけど、深夜だとなかなか録画もできない。機械の関係で一晩中電源入れとかないと録画できないのが不便。
「死仮面」・・これとか「七つの仮面」とかはあまりくり返し読んでいない。いちおう一つの作品にまとめました・・って感じ。それ以上のものがない。
「支那扇の女」・・これらはあまりメジャーでないので、読み返す頻度は低い。
「死神の矢」・・これは久しぶりに読み返した。最後の方は涙、涙で異様でさえある。娘の気持ちを無視して婿選びゲームをしたり、遺書に犯人の名前を書かないなど不自然。
「スペードの女王」・・印象に残っているのはソーメンと福神漬け。何とまあ質素な・・。これに限らず横溝作品で好きなのは出てくる食事。一生懸命考えたであろうトリックよりそっちの方が好き。特に「白と黒」に出てくる食事の、何とおいしそうなこと。
「蝶々殺人事件」
「毒の矢」
「呪いの塔」・・これは何度も読んでる。金田一も由利も出てこないけど、しばらくたつとまた読み返したくなる不思議な作品。塔というのが魅力的なんだと思う。奥さんが実は作品書いてて、旦那は傀儡というのは「陰獣」連想させる。
再読。「陰獣」読んだらこっちも読まないわけにはいかない。金田一は出てこないけど、バベルの塔など印象的で、何度も読んでる。「陰獣」との類似点も興味深い。
「花園の悪魔」・・これはテレビの「獄門岩の首」の感想書くために読み直した。そう言えば前にも「白蠟の死美人」の感想書くために読み直したのよ。
「迷路荘の惨劇」・・読み返した。ダルジールやダルグリッシュの複雑に絡み合った文章読み続けていると、時々クリスティーや横溝さんで息抜きしたくなるのよ。あたしゃ頭悪いので、あんまりぼかしたような描写は好きじゃないです。
「迷路の花嫁」・・これは何度目かの読み返し。金田一はあまり表に出てこない異色作。人情物と言うか、ホロリとさせられるところも。
「幽霊座」・・「鴉」をやったので、これが入っている「幽霊座」も読み返した。「幽霊座」と「トランプ台上の首」も映像化されてるらしいので、見てみたい。
「夜歩く」・・これは感想書くために読み直した。何と言うか、ものすごく盛り上げようとする文章の連続で、かえってしらけると言うか。まあいいんですけどね。横溝作品は読みやすいので、読まなきゃならないものがある時でも・・例えば「ゴーストライター」をいつまでもほったらかしにしてないで読み終えなくちゃと思いつつ・・また読んでみようかな・・と思ったりする。
「病院坂の首縊りの家」・・難しい本読んだりすると、その反動としてクリスティーとか横溝作品を読み返したくなる。この作品は構成は複雑だが、文章は読みやすい。円熟味のようなものを感じる。したがって何度も読んでいる。映画や2時間ドラマだと、その時間内におさまりきれないので、犯人を変更してしまう。そのためゆがみと言うか無理が生じてしまい、しっくりこない。
横山秀夫
「深追い」・・短編集。「深追い」は2時間ドラマで見て、原作出てると知って入手。主人公秋葉の性格はやや自分勝手で、思い込みが激しいかな。他の短編も暗い内容が多く、読んでいてやるせなくなるが、中にはほんのり希望を持たせるラストなのもあって、作者はきっとやさしい人なんだろうと思った。
「陰の季節」・・テレビの方はまだ見てない。事件の捜査をする側ではなく、人事とか監察とかそっち関係が舞台。いやホント、こんな胃に穴があくようなストレスの多い職場なんですかね。
吉川英治
「上杉謙信」・・みんなの本棚には時代小説も何冊か置いてあるけど、あまり読む気になれない。これを読む気になったのはやっぱり吉川英治だから。それと文庫だから。大部の作品は読む前にもう降参て感じ。他の小説と文章が違うな。何と言うか歌うような、目で読むためだけじゃなく声に出して読むためにあるような、そんな文章。聞きなれない単語や表現もいっぱいあるけど、これでいいんだろうと納得させられるような。内容も謙信の一生を網羅してあるわけではなく、人生の一時期を切り取った、そんな感じ。
れ)
連城三紀彦
「夜よ鼠たちのために」・・1980年代初めの頃の作品なので、今の作家のを読んだ後でこれを読むとちょっと変な感じ。短編が九編。入り組んでいて、時々わけがわからなくなる。絶望的な内容のが続くが、最後のはちょっぴり毛色が変わっていて、高校に勤め始めて間もない教師が主人公。彼女を主役に、シリーズができそうだ。
その他の作品・オムニバス( 順不同)
「仮寝」・・みんなの本棚から。中沢けい著。中編が二つ。中沢作品を読むのは初めて(で最後かも)。文章が長くて時代小説のよう。細かく細かくほじくってほじくって、結局何だったんだろうという印象。
「うたかた/サンクチュアリ」・・吉本ばなな著。これもみんなの本棚から。中編が二つ。あらかた借り尽くして、あとは時代小説しか残ってないけど、そっちは読む気になれない。これは読みやすいけど、あとに何も残らない。
「ハイランド幻想」・・景山民夫著。みんなの本棚から。景山氏は50歳で亡くなったんですか、早過ぎるね。8つの短編がおさめられていて、ジャイアント馬場氏とかネッシーとか、ちょっと変わった題材。他にもSFっぽかったりホラーっぽかったり、いろいろ。
「袋小路の男」・・絲山秋子という人の短編が三つ。書いても書いても世に出られるのはほんの一握りというのは作家に限らないけど、大変だろうとは思う。淡々とした文章で読みやすいけど、何もあとに残らない。でもその残らないのがいいのかも。
「慟哭」・・貫井徳郎という知らない人のデビュー作。途中で、あらもしかして・・と思う。この予想がはずれていて欲しかったけど、だめでしたな。他のシリーズ物の軽さに物足りなさを感じていたので、この作品のなかみの充実感は読んでいてもうれしかった。ただ、新興宗教が何で黒魔術になるのかいな・・という不自然さはある。
「夜の牙」・・勝目梓作。・・あらら、何じゃこりゃ。
「佐渡・密室島の殺人」・・深谷忠記氏の美緒と壮のコンビが活躍するシリーズ。警察官が部外者に捜査中の事件の助力を求めるなんてありえないと思うけど、そこは小説だからね。素人に口を出されて刑事達がいら立つのも無理はない。他のも読みたいけどみんなの本棚にはないんだよな。多いのは浅見物、十津川物。読んでしまうともういらなくなるんだろうな。
「匣の中の失楽」・・武本健二という人は知らないけど、みんなの本だなで見つけて、分厚いのが気に入って借りてきた。でも・・おもしろくない。ネットでも好き嫌いが別れているようで。読み終わって感じたのは達成感でも満足感でもなく、疲労感と何じゃこりゃ感。時間を無駄にしたとまでは言わないけど、得るものがない。推理小説じゃないからこれでいいんだってことだろうけど、じゃあいったい何のために書いたんだろう。まあ私の好みじゃなかったってだけの話だけど。読み始めた以上は最後まで読んだ。読んでいるうちにわけがわからなくなって、前に戻って確認したりしたけど、終わった後で理解するためもう一度読もうとはさすがに思わない。書かれていることは後でみんな引っくり返るので、そのうち読んでも仕方ないんじゃないか、無駄なんじゃないかと思えてくるのだ。読む以上は何かを得たい。映画だってそうだ。どんなクズ映画でも一ついいところがあれば、見た甲斐があるというものだ。あ、別にこの小説がクズだというわけではないですよ。でも、あれだけのことを書いておきながら、そういうのがないってのも珍しいとは思う。そういうところがすごいのかな。
「竹中半兵衛」・・著者は高橋和島とかいう人。ここでの半兵衛はよだれをたらして眠りこけているようなタイプ。服装にも無頓着。前半ゆっくりで・・ということは創作部分が多いってことだ。秀吉の配下になってからの・・歴史に記されるようになってからの部分は少ない。つまり後半は駆け足。何度も出てくる男性向けサービス描写にはうんざり。
「黒い羽」・・みんなの本棚から。誉田哲也という人の作品。ヒロイン典子は幼いころからずっと右肩の瑕に悩まされている。どんな治療も効果なし。担当医の野本に勧められた遺伝子治療に一縷の望みを託すが、その研究所へ向かう途中車が事故を起こす。二人死んだが、典子達四人は何とか研究所にたどり着く。やれやれと思ったのもつかの間、内臓がなくなった惨殺死体がゴロゴロ。熊の仕業でないとすれば・・。雪で道はふさがれ、ケータイは圏外、車は壊されている。自分達は怪物と一緒に閉じ込められたことになる。印象としては研究所・怪物で「バイオハザード」、死体がたくさんで「ファントム」風味。限られた登場人物、限られた場所で一気に読ませる。一転して希望の持てるラストはいいんだか悪いんだか。
「科捜研・久龍小春の鑑定ファイル 小さな数学者と秘密の鍵」・・新藤元気著。養護施設が全焼し、少年が一人行方不明になってる。実はこの少年は数学の天才で・・。彼を操る叔父は難病の娘のため大金を必要としている。じゃあ数学の才能を生かして賭けで大儲けするのかな・・と思っていたら違った。小春のキャラがおもしろい。熊谷とのコンビでシリーズ化されそう。
「剣持麗子のワンナイト推理」・・新川帆立著。大手法律事務所で働く傍ら、一般民事まで引き受けるはめになった麗子。読んでいて心配になるくらい忙しく、睡眠時間は削られていく。あ、だからワンナイトなのか。いくら若くてもどこかで線を引かないと過労死しますぜ。
「すみれ屋敷の罪人」・・降田天著。ええと・・読んでからしばらくたってるせいで内容思い出せないぞ。昔の事件で人に聞いて回るけど、みんな少しずつ嘘をついてるとかそんな風な感じだったかな。
「認知心理検察官の捜査ファイル 名前のない被疑者」・・貴戸湊太著。こういう、ある職業で能力に秀でた人が主人公で、相棒(多くは刑事、この作品の場合は助手)と二人で事件を解決ってのが多いな。第三話は読んでいてあれれ、これって殺人現場の偽装じゃん・・とすぐわかる。江夏冬子物でやってた。
「名探偵のままでいて」・・小西マサテル。妹から借りたもの。楓の祖父はレビー小体型認知症だが、介護を受けながら一人暮らしをしている。幻視などがある一方、体調のいい時には鋭い知性を取り戻す。楓が持ち込んだ謎を鮮やかに解いてしまう。とは言え、持ち込んだ謎に祖父が何かの形で関係していることも多く、そこはちょっとずるいかな。楓をめぐる二人の青年・・常識的なタイプと、エキセントリックなタイプとの三角関係も楽しい。
「がん消滅の罠 完全寛解の謎」・・岩城一麻。妹から借りたもの。がん患者にとってはたぶん腹の立つ内容だろうな。医者がこんなことするなんて。結末もすっきりしない。
「死者の威嚇」・・小杉健治。妹から借りたもの。関東大震災の際に起きた朝鮮人虐殺をめぐるミステリー。昭和60年の設定なのでまだ体験者は生存している。大正12年になったり昭和60年になったりするので、読んでいて臨場感があると言うより重複感を感じた。また、ヒロインが独自に調べ回るのも・・何でわかったことを警察に言わないで黙ってるの?と不思議だった。そうしないと小説としておもしろくないから?
「殺しのルート13」・・みんなの本棚から。高木彬光とか鮎川哲也とかそうそうたるメンバーによる13の短編。女性が一人というのはさびしいかな。
「スワロウテイル人工少女販売処」・・籘真千歳。みんなの本棚から。たぶん若者向きのSFなんだろうが、冒頭殺人事件が起きるので、借りてみる気になった。ファンタジーだとアレだけど、犯罪物ならね。一応最後まで読んだけどさっぱり意味がわからない。真面目な内容だと思っていると急にふざけた感じになるし、こういうのは少女コミックでよくあるな。と言ってもそう指摘できるほどコミック読んでませんけど)。
「ブルー・ハネムーン」・・篠田節子著。みんなの本棚から。ヒロイン久美子の職業は結婚詐欺師。どうもこういう人の生き方には共感できないね。カモから大金巻き上げてもどこか遠くへ行ってしばらくはなりを潜めている・・とはならない。すぐ次の仕事。カモを引っかけるにはそれなりの元手が必要なので、巻き上げた金をそれにつぎ込む。要するに金が目的ではなく、スリルを楽しみたくて危ない橋を渡ってる。相棒の修との奇妙な関係がおもしろい。
「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」・・歌田年著。妹から借りたもの。読んでいてくすりとしてしまうことを、ところどころにさりげなく入れてるのはいいと思う。ただ、グーグル検索とかストリートビューを多用し過ぎていて、そんなにうまくいくものかと思う。便利と万能は違うと思う。
「破線のマリス」・・野沢尚著、みんなの本棚から。映画化されたようだが見たことなし。読み始めたけどヒロインに共感できなくて途中でやめてしまった。しばらくたってから残りを読んだ。やっぱりヒロインには・・。おまけに事件は解決しないままだしな。もひとつおまけに私はこういう番組は見ないしな。
「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」・・友井羊著。おいしそうな描写がふんだんに出てくるけど、私はこんなに手をかけていてパンは食べ放題、ドリンクは飲み放題でやっていけるのかねと思ってしまう。推理の方もあまり・・。1話目なんかそもそもダイヤを見せる必要ないでしょ?貸金庫に預けてあると言えばすむこと。ま、それを言っちゃおしまいか。
「神保町 喫茶ソウセキ 真実は黒カレーのスパイスに」・・柳瀬みちる著。神田の神保町は確かにカレー店が多い。でも入ったことはない。私はもっぱらマクドナルドで腹を満たし、休憩する。しばらく行ってないなあ・・。ヒロイン千晴がやってるのは喫茶店だが、目玉は月替わりのカレー。仕事の他に事件も起きて、もうヘトヘト。ビルのオーナーで作家の葉山との間は何もなし。どことなく表面的な感じで、深く掘り下げられることもなく進んでいく。ヒロインの性格・・ことを荒立てたくない、相手に同情してしまう・・のせいもある。
「猫付き平屋でひとやすみ 田舎で人生やり直します」・・黒田ちか著。デザイナーの勝矢は会社をやめて田舎へ戻ってくる。祖父母も両親も死に、一人ぼっち。でも大型の猫、大さんがいる。大さんは何十年も生きているらしい不思議な猫。いつ殺人が起きるのかなと思いながら読んでいたが起こらない。ファンタジーっぽい流れ。「喫茶ソウセキ」のヒロインもそうだが、こちらの勝矢も何事も穏便にすませたいタイプ。相手の奧さんは妊娠中だしと気を回すタイプ。会社をやめたのは自分の作品がチームリーダー佐倉の名で発表され、手柄を横取りされ続けることに嫌気がさしたから。田舎へ戻ってしばらくしたら、大キャンペーン中のフィギュアが、中学時代の自分の作品だと気がついた。おまけにネットで炎上しているのは自分があおっているせいとされ・・。一人称で書かれるが、ナッチだのカッチだの読んでいてウゲゲ。子供の頃は泣き虫だったと何度もくり返し書かれるのも、くどいし子供っぽい。でも若い読者にはこれがいいのかな。
「3分で読める!コーヒーブレイクに読む喫茶店の物語」・・「このミステリーがすごい!」編集部編。25の短編。この中で知ってるのは降田天氏くらいか。ネコがよく出てくるのは喫茶店に合うからだろう。犬はあんまり・・。
「ほっこりミステリー」伊坂幸太郎氏は「仙台ぐらし」の人かな。中山七里氏のは「風の又三郎」っぽいファンタジー。他に柚月裕子氏、吉川映梨氏の四人による人の死なないミステリー小説。中山氏以外の作品は、他の小説で活躍する人物が主人公になっている。出来とは関係ないけど、こういうの読むと、(確実に売れる)小説が足りないのかしらなんて思っちゃう。
「不連続な四つの謎」中では海堂尊氏のカシオペアを舞台にした作品がよかったかな。「オリエント急行」みたいで。何か長編小説読んだような気にさせられる。中山七里氏は例によってピアノ、乾緑郎氏と安生正氏のはSFとかファンタジーっぽい。
「脇坂安治 七本鑓と水軍大将」・・近衛龍春著。私は時代小説ってあまり読まない。昔はよく読んだけど。今回は妹が貸してくれたから読んだだけ。正直言って退屈。脇坂のことも知らない。「砦を築いて退治している」なんてヘンな文章あったな。「対峙している」の間違いだろうな。
「ソウルに消ゆ」・・有沢創司。みんなの本棚から。ソウル・オリンピック、姿を消した同僚、謎めいた韓国人女性通訳、暴力団、北の工作員、麻薬組織、ルイスとジョンソンの100メートル対決、ジョンソンのドーピング事件、暗号解読。内容は盛りだくさんだ。何とか大賞受賞作ということで、巻末に選評が載っているのだが、某氏が書いているように、主人公の記者が女性通訳と寝ることばかり考えているのには呆れた。
「神の値段」・・一色さゆり著。決して人前に姿を現わさないけど、作品はコンスタントに発表し続けている現代芸術家。彼の作品を一手に引き受けている画廊のオーナーが死亡。若いアシスタントは残された仕事と犯人捜しに奔走。さんざんこき使われているのに給料は雀の涙というのが何だかリアル。そのせいかヒロインには恋人もいないし一緒に遊ぶ友人もいない。いやホント、たいていの小説なら一緒に動き回る同年代の異性が登場し、次第に心を通わせ合うようになるものだ。おもしろく読めたが、オークションのあたりは足止めされてるような気分。絵画に縁のないこちとらとしては、作品のすばらしさよりも犯人捜しの方が気になる。
「デッドマン スイッチ~警視庁トリタテ係~」・・幸村明良。妹から借りたもの。借金に苦しむ刑事や監察官四人が、強盗王の遺した50億円を捜し回る。金はヤクザや半グレ(って何?)から盗まれたものなので、当然彼らも捜し回る。この先シリーズ化するのかな?主人公二人の性格は正反対で、いかにも今風。
「ちょっと一杯のはずだったのに」・・志駕晃。妹から借りたもの。人気漫画家で、人気ラジオパーソナリティでもある沙也加が絞殺された。容疑をかけられた恋人でラジオディレクターの矢嶋は泥酔していたため記憶がない。さあどうする・・。警察が彼を犯人と断定できないのは、殺害現場が密室であるため。あのさあ、いくらアホな犯人でも自分の持ち物だってはっきりわかる黄色いネクタイ(凶器)をそのままにしておくか?
古典文学
「落窪物語」・・これは子供の頃読んだ記憶がある。子供向けに書かれたやつで、図書館から借りて。びっくりしたのは四部まであること。ヒロインの不幸せな境遇、意地の悪い継母の仕打ち、助けに現われる青年貴族。容姿も地位も財力もすべてある。おまけに源氏なんかと違って他の女性には見向きもしない。助け出した後は継母への復讐だ。継母や実父は、自分達がなぜひどい目にあわされるのかわからず戸惑う。普通ならそこでスパッと終わりにするところだ。青年とその妻はますます幸せに暮らし、継母側は落ちぶれましたとさおしまい・・とかさ。しかしこの物語はその後も延々と続くのである。三部、四部はさっぱりおもしろくない。片方は絶対的に有利。もう徹底的にやっつける。読んでて不愉快。あ、読むと言っても現代語訳の方ですよ。
「堤中納言物語」・・「落窪」とは対照的にこちらは話の途中で終わってしまうものばかり。後はお好きに想像して楽しんでくださいって感じ。10篇のうち「虫めづる姫君」は何度も読んだけど、それ以外は読んだことなし。今回初めて全部読んだ。
「大鏡」・・「落窪物語」同様日本古典文学全集のうちの一つ。ページの上段が訳注、中段が原文、下段が現代語訳。もちろん原文はスルー。道長に関するおなじみのエピソードは大河ではほとんどスルーされちゃっていて。数ヶ所源博雅のことが書いてあってびっくりした。でももちろん安倍晴明と親友だったなんて書いてありませんけど。300人くらい出てきて、誰が何の位で誰の息子が誰で娘が誰で・・ってそんなのばっか。でも当時の貴族にとってはどういう官職につけるか、誰と縁続きになるかが最大の関心事で。一番印象に残ったのは道兼の長男福足君と伯父にあたる道隆とのエピソード。試験問題に出るなどけっこうポピュラーなエピソードらしい。まあおもしろいしわかりやすいもんね。駄々をこねるクソガキ、凍り付いたその場をうまくおさめる道隆・・この道隆は大河の影響もあって井浦新氏の顔をしております。次は「栄花物語」を読んでみたいな。