山猫は眠らない
この映画も、感想を書きたいと思いつつ今日まで来てしまった。最初に見たのはレンタルビデオで、画質は悪かった。その後DVDを購入。特典ゼロなのが何とも残念。トム・ベレンジャーは「3」ではだいぶふくらんでいた・・たるんでいた・・ぶよぶよしていたが、この頃・・1992年頃は男の魅力全開と言ったところ。「インセプション」ではさらにひどくなって、言われなきゃ彼だとわからないほど。体の方は大丈夫なのかいな・・と心配になった。さて、記念すべき一作目。出来はいいとは言え、ここはいらない、ここは意味がよくわからんとか思うこと多し。シリーズ一作目って、何かしら不完全な部分、欠点がある。でも不思議なことにそれが魅力だったりして。原題はただの「SNIPER」・・シンプルだ。どうして邦題は「山猫」なのだろう・・と思うけど、これはこれでいいネーミング。ベケットは腕利きのスナイパー。パナマでの任務は完了したけど、迎えのヘリが2時間も早く来たせいで・・明るいせいで敵に見つかってしまい、相棒が命を落としてしまった。今回もまた自分が生き残り、若い方が死んでしまった。形見として認識票を取る。もう何枚もある。死んでしまった者はそれっきりだが、任務は次もある。新しい助手が送り込まれてくる。彼ミラーはオリンピック銀メダリスト。それなりにプライド持ってる。送り込む方はおいしいことしか言わない。隠密作戦なので勲章はもらえないが、報酬や戻った後の地位は保証する。それでも彼らは余計なことを付け加えるのを忘れない。上官は君、ベケットがお荷物になるようなら始末しろ。上の者にとって、兵士は消耗品。死んだら次のを送り込むだけ。補充はいくらでもきく。ちょっと頭の回る者なら、自分も同様って気づくはずだが、ミラーはどうかな。自分は特別って思っていそう。・・他国の政治に顔を突っ込み、自国に不利な要素は排除する。こういう傲慢さ、人の命を使い捨てにする精神は、「2」でも「3」でも出てくる。作り手の上への・・権力への不信感ありあり。でもベケットは・・少なくとも今の彼は文句も言わず任務につく。孤高のスナイパーだが、哲人でも賢人でもなく、職人という雰囲気。常に技術を磨き、心構えと共に次の世代に伝える。生活はシンプルで機能的。引退したら故郷へ戻り、釣りのガイドでもしようか。
山猫は眠らない2
でもその故郷はすでに変貌し、自然がなくなっているのだけれど。いつ死んでもおかしくない仕事だから、酒や女、ギャンブルに逃避してもおかしくないが、そうはならない。昔からこうだったわけではなく、苦しみ悩んだあげく今の境地に至ったんだろうけど。もう74人も殺していて、眠ると悪夢だし、一人の時頭に去来するのは、死んでいった者達のこと。気のきいた作り手なら悪夢にうなされるとか、不眠に悩むとかいう描写を挟むが、この映画はしない。その方がいい。見ていて何となく「閉ざされた森」を思い出す。ジャングル、雨、迷彩服。あっちもパナマあたりが舞台だったっけ?上から・・上空からうつすシーンが多い。ビルやハイウェイは見慣れているけど、こちらは深い深い森、間を縫う川、ヘリコプター、鉄橋、列車。眼下に広がる風景を見ただけで圧倒される。この大自然の中で、人間はいったい何をやっているのか。なぜ銃を持って走り回っているのか。さて、ベケットの前に現われたミラーは、彼から見ればヒヨッコにすぎない。オリンピックも特殊攻撃隊もここではあんまり役に立たない。ジャングルでの経験はあるのか、スペイン語は話せるのか・・そっちの方が大事。ミラーは乗ったヘリが銃撃に会った。敵を倒したのは自分ということになってしまった。本当は撃てなかった。突然の修羅場にびびってしまった。それでいてあの手柄が自分のものじゃないと正直に言わなかった。金メダリストではなく、銀メダリストというのもそこらへんにおわせているのか。ここ一番での弱さ。たぶんいいとこのボンボンで、フィアンセもいて、今回の任務もさっと行ってさっと帰るだけの簡単なことだと考えてる。ミラー役ビリー・ゼーンは「メンフィス・ベル」でも実は本当の医者じゃないんだ・・みたいなキャラをやってて。打たれ弱い感じで。でももちろん最後には一皮むける。ベレンジャーとゼーンのコンビはなかなかいいと思う。ベケットの上官役でJ・T・ウォルシュがちょこっと。名前を知っているのはこの三人くらいか。ミラーに絡んでくる二人の海兵隊は見覚えがある。もっと出番あるかと思ったらそれっきり。ほとんどがベケットとミラーの道行き。最初見た時はストーリーよくわからなかった。途中で現地のグループが出てくる。半分泥棒みたいな連中だが、こちらが協力すれば向こうもお返しに協力してくれる。
山猫は眠らない3
そういうのを作り上げるには時間かかったろうが、ミラーはすぐにぶち壊す。協力を断って別れた彼らは、その後すぐに全滅したらしい。襲ったスナイパー・・先日ベケットの助手を殺したのもそいつなのだが・・は、ベケットの教え子らしい。敵の傭兵として今はベケット達を狙っているのだ。「ハンテッド」や「プレデター」風味。やはり途中で、拷問され、殺された男の死体がうつる。最初見た時は誰なのか、意味がわからなかった。でも、標的の情報を提供してくれる神父だと気づいた。でも、私みたいに何回も見る人はそう多いとも思えん。意味がわからないままの人も多いのでは?事態が悪化するにつれて・・複雑になるにつれて・・ミラーの自信はぐらつき、弱気・逃げ腰になる。元々神経の太い方じゃない。オレが上官と言い張ってみたり、もう帰ると言い出したり。計画がスムーズにいかないのはミラーのせいなんだけど、もちろん彼は認めない。ベケットの方は何とかしてやり遂げようと、方法を模索する。し残して帰れば、また自分か他の者が遣わされるだけ。「メンフィス・ベル」風味。そのうちミラーが切れ、味方どうしの戦いが始まる。何てバカなんだ、そんなことしてるから敵に追いつかれるのだ。でももちろんベケットはミラーを殺す気なんてないけど。彼を逃すため、ベケットはわざとつかまる。降伏すると見せて銃弾を一発さりげなく落とす。なぜならミラーの銃はもう弾がないからだ。頭に血が上った彼は、弾数数えず撃ちまくったのだ。弾を落としたのは、ミラーに最後まで仕事をやり終えて欲しいからか。彼が自分を見捨て、任務をほうり出して帰ってしまうおそれもあったが、ベケットはミラーに賭けたのだ。くー泣かせるぜ!その後ベケットは拷問される。「2」でも「3」でもそのせいで指がうまく動かない・・みたいなことに。ここでの描写は、何をされてるのか今いちよくわからない。わかりたくもないけど。ミラーはベケットの代わりに標的二人を倒さなきゃならない。弾は一発しかないから、一人はナイフで。夜の闇、雨の音にまぎれ、軒下にたたずむ標的の後ろに近づき、さっと一突き・・ここらへんは「必殺」風味。レントゲンがうつるかと思っちゃった。ベケットの口癖は「一発必中」なんだけど、クライマックスの「一発で二人を」というのはどういう意味かな。
山猫は眠らない4
「3」ではどういうことか見せてくれたけど、この時のミラーにはわかってないような・・。ベケットがミラーを救う部分は、盛り上がり方としてはささやかな方。雨の中、痛めた指を使っての狙撃。ぎりぎりの状態だけど、さすがはベケット・・そんな感じ。見ている我々(私だけじゃないよね?)の胸を熱くする・・。いよう!千両役者!今でこそシリーズ化されて、「3」とか「4」まで作られたけど、一作目の段階では次もあるとははっきりしてなかったわけで・・。ストーリーを盛り上げるため、ベケットかミラーが死んじゃうおそれも十分あったわけで。弔い合戦というのは確かに盛り上がるからね。だから余計「助かってくれ!」と応援するわけで。こういう持っていき方はよかったと思う。冒頭のシチュエーションのくり返し・・任務が終わってヘリは目の前・・ああそれなのに・・という状態。でも前回はだめだったけど、今回は二人とも生還できた・・だから気持ちよく見終われる。作り手はやりたかったことは「2」で実行。ベケットは生き延びるが、コールは・・。だから「2」はちょいと後味悪し。さて・・この映画のもう一つの見どころは、ジャングルでのサバイバル。夜眠るのは川のよどみ。濁った水、蛭、そしてたぶんマラリアを媒介する蚊がうようよ。しかも何があっても銃だけは濡らせない。これでよく眠れるなあ。しかも眠ったとして見るの悪夢だし。でもいちいち気にしてたらやってられないし、正気も保てない。地図は濡れないようビニール袋か何かに入ってるし、ベケットは目薬も差していた。そしてたぶんいつもならあんなにしゃべらない。ミラーはもちろんべらべらしゃべる。スナイパーと言うとカッコいいイメージがあるが、都会はともかくこちらはジャングル。偽装服は重くて動きにくいだろうし、銃も重い。何時間もじーっと待って、しかも緊張の糸切らすわけにはいかない。喉の渇きや空腹、トイレもがまんするのかな。犬の嗅覚から身を守るため、馬か何かのフンの上に身を伏せる。狙撃の後の逃走方法もこれまた大事。ヘリに拾ってもらうにしても、あれはバカでかい音がするからなあ・・。もちろん今回の経験でミラーは大人に。でもラストも引き延ばしたりせず、さっと終わって・・。通好みのいい映画です。地味だけどいい役者を揃え、パナマかどうかはわからないけど、ロケもちゃんとやってる。手を抜いてない!偉い!
山猫は眠らない2 狙撃手の掟
最初に見たのはすでに感想も書いた「3」。それで他の二作も見たくなってレンタルビデオ店へ。「2」はDVDだったけど、「1」は古いせいかビデオ。画質が悪く、内容は気に入ったものの、飛び抜けてすばらしい作品・・とも思わなかった。この映画はこの路線で行くという固い信念のようなものは感じられたけど。「2」は「1」ほど評価は高くないようだ。でも私は「3」から入ったので・・。「2」は「1」と同じくらい、あるいはそれ以上に好きですよ。それにしてもシリーズ物って「1」より「2」や「3」の方が感想書きやすいんだよな、なぜか。一作目よりしょぼくなって、あんまりよく知らない人が出てきて、突っ込みどころが多くなって。でもその方が書ける。話は飛ぶけど田舎に越してきて、郊外にシネコンが一つという環境。実際は街中にもう一館あるけど成人映画専門(たまに一日限りの一般映画の特別上映やるけど)。見る本数は都会にいた頃とさほど変わってないけど、(新作の)長い感想文書くことは減ってきている。一回しか見られないせいもあるけど、お金も手間もかかっていて、宣伝もそれなりにされている映画がシネコンでは主流。見ている間は十分楽しく満足できる。でもその後であれこれ思いめぐらし、ほじくり返し、つつき回したくなるようなものがない。ストーリーを丹念に文章化すれば感想は長くなるけど、そんなのはネットにみんな出ている。クセのある映画だと私もストーリーを追う。書きながら頭の中を整理したいから。どんなクズ映画でもかまわない。いや、クズ映画ほどどんなにクズかを文章にしたい。都会にいた頃はそういう映画にめぐり合う機会はけっこうあった。シネパトス、新宿トーア、シアターN・・などなど。特にシネパトスは私の筆を躍らせる(?)クセモノ映画の宝庫だった。シネコンのラインナップを見る度、そのクセのなさにがっかりし、シネパトスが恋しくなる。・・で、長々書いて、結局何が言いたいのかというと、もし私が今でも都会にいたら「山猫」みたいな映画は決して見逃しません・・てこと。「2」は新宿ピカデリー4で公開されたようだけど(と言うことはほんの小規模の上映ってことだろう)、こんなりっぱなクセモノ映画、見に行かなくてすみませんでした。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟2
・・と話が「山猫」に戻ってきたところで「2」ですけど、「1」の約10年後。「2」が作られるなんて誰も思っていなかったんじゃないの?それを言うなら「3」もだけど。作られるなら「1」の数年後、まだ主演のトム・ベレンジャーにあんまり変化が起きないうちに・・ってのが普通。「3」ではそのあまりにもゆるみ、たるみ、崩れたベケットの体形や顔つきに(「1」や「2」を見ていなくても)ショック受けたけど、そのせいか「2」はまだ大丈夫、原形保ってるじゃん・・と思った。「1」と「2」の間の10年はさほど影響していないのに、「2」と「3」の間の2年にいったい何があったんですか?そりゃある日突然体形が崩れ出し、一度起きると元に戻らない地すべり現象は私も経験ズミですけどさ・・って何のこっちゃ!「2」は前テレビ東京でやったけど、その時は見なかった。わざわざDVDをレンタル。きれいな画面で、CMなしで、ノーカットで見たいから。DVDを見る前日「ザ・シューター/極大射程」を見たので(←このことからもわかるけど、「2」の感想書いたのはかなり前。今回DVDを再見し、ついでに感想大幅に書き足しております)、どうしてもくらべてしまう。主人公はどちらも似たような性格・境遇。退役したけどお国のために・・と再び引っ張り出される。性格はわりと単純で一本気。容易に人やものを信じないが、それでいてすぐだまされる。しかも何度も。味方にさえ。孤独でマイペース。家族や友人との縁がうすい(ただし観測手は別)。「ザ・シューター」はハデでスケールでかいけど、「山猫」はしょぼくて地味。こういう映画の主人公はカッコよくてさっそうとしていてハンサムで・・が普通。でもベケットは見てくれ地味だし、自分でも言ってるけどあんまり頭よくない。ただ射撃だけはうまい。それだけがとりえの男。傷病退役したけど年金じゃ食べていけなくて、ハンターツアーのガイドしている。でもベケットから見るとお客は鹿と人間の区別もつかないアホども。結局仕事は長続きしない。考えてみりゃ森の中ではアホな連中が、一般社会ではちゃんとした人間として通用しているのだ。逆にベケットは一般社会では落ちこぼれ。50歳になって体力は落ち、目はかすむ。何だか物悲しいけど主人公はこうでなくちゃ。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟3
出てきた時はカッコ悪くてもだんだんよくなっていくのが、こういう映画の醍醐味。さてまたしても失職したベケットの前に、軍情報部マッケナ大佐(リンデン・アシュビー)とCIAのエクレス(ダン・バトラー)が現われる。アシュビーは「メタルウィング」に出ていたらしい。傭兵パイロットの役かな・・。まずい!見たばっかりなのにもう忘れてるぞ!マッケナは温厚で誠実そうな感じだが、エクレスはいつもうす笑いを浮かべているようなタイプで信用できない。きっと裏が・・。まあ裏があるのは後でわかるけど、結局この二人、そんなにワルってこともなくて。だから絶対悪人に違いない・・と思わせるようなエクレスの描き方は不要なんだけどね。何もない、マッケナとエクレスはただ自分達の仕事してるだけ・・とわかった時には拍子抜けしますぜ。さて彼らが頼んできたのはヴァルストリア将軍とかいう男の抹殺。モスリムだの民族浄化だの、見ていてもよくわからん。要するに悪いやつがいるのでベケットに抹殺してもらいたい・・と、そういうことだけわかればよろし。今回組む観測手は死刑囚のコール。任務に成功したら死刑は取りやめ、自由の身。コール役はボキーム・ウッドバイン。「ビッグ・ヒット」とかいろいろ出てるけど、この組み合わせも地味だなあ。現地で落ち合った連絡員は、ベケットの予想に反し、若く美しい女性ソフィア。コールにんまり。しかしまずは仕事・・と、将軍を狙撃するのに適した場所を捜す。まあホント地味な展開なんですよ。暗殺成功の後、路面電車使った大がかりな見せ場出てきたりするけど、すぐまた地味路線に戻る。ドハデ・・って感じじゃなく、コハデ(←?)。一作目とは違う監督だけど、精神はしっかり踏襲されてるというか・・。逃走の途中なぜかコールは妙な行動を取り、敵につかまる。自分からわざとつかまったように見える。しかし彼の行動には理由があった。それはまた別に書くとして、ここらあたりまで・・つまり前半はドキュメンタリーみたいなとり方。標的狙撃の準備、決行、逃走・・をたんたんと見せる。変に色気出して話をぶれさせたりしない。ベケットの性格はもう決まっている。無口で冷静で仕事に集中する。例えばなぜコールが死刑判決を受けたのか・・なんてことには全く興味がない。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟4
ベケットの「陰」に対し、コールは「陽」の存在だが、こちらもさほどはめははずさない。ベラベラしゃべりまくったり、ソフィアにちょっかい出すこともしない。何たって将軍暗殺は前半のヤマ場。見ている者の気をそらすような描写は出してこない。「2」を見る者の大半は「1」のファン。「1」と同じムード再体験したくて見てる。その期待を裏切ってはならない。一発で終わらせなければならないこの仕事は、準備が重要だ。標的の行動、身長。場所は逃走経路も考えて選ばなければならない。当日の風向き、風力。建物の入口ではためいている旗は、風を知るためのかっこうの目安なんだな・・とわかる。将軍自身の器量は不明だが、まわりに有能な人物がいるかもしれない。何かあっても、すぐに事態を収拾できる切れ者。そう、例えばスコープ越しに見たあの男。警備担当か何かだろうか、油断のなさそうな男だ。・・この映画、セリフが少ない。でもベケットの言葉は無駄がなく奥が深い。そりゃ彼だってたまにはキレるし、愚痴も言う。でも仕事に入ればね。映画の作り方は生真面目で専門的。ついてこれなくてもいいよ・・って感じ。でも決して不親切じゃない。何と言ったらいいのか、やっぱり無駄がないとしか言いようがない。他の映画なら入れるであろういくつかのものが見当たらない。例えばベケットが暮らしているトレーラー。うつすのは外観だけ。マッケナ達と話をするのは外。そこで私はトレーラーの中を想像する。きれいに軍隊風にかたづいているんだろうか、それとも床には酒ビンが林立?「ザ・シューター」ではスワガーの住む小屋の内部がうつったけど、ベケットの部屋はもっと殺風景だろう。彼は本は読まないだろうしパソコンもしないだろう。最新式のメカより昔ながらのコンパスを使うタイプだし。あるいはシャバに出てきたコールはちっとばかりはめをはずすだろう。久しぶりのアルコールを求めるだろうし、用もないのにソフィアに話しかけるだろう。でもそんなシーンはなし。全部仕事が優先される。狙撃の直前ベケットの目がかすむんだけど、そのシーンだけは余計・・という気がした。「3」ではかすみまくっていて、「山猫」ではいわばお約束のシーンなんだけど、大事なところでいつも・・というのは、はらはらすると言うより気が抜ける。引き金を引く時は中指を使っていたらしい。「1」で拷問され、人差し指を傷めていたからね。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟5
走って逃げるシーンも、あのベケットが街中を走るなんて・・などとネットでは(否定的に)書かれている。ベケットには密林でギリースーツ(迷彩服の一種)をまとい、周囲と同化していなければならないというイメージがあるからね。でも私はこの走るシーンがとても印象的で・・。彼一度も後ろを振り返らない。他の映画なら何度も振り返る。その方が緊迫感増すから。でもベケットは前だけ見て走る。後ろ見たって時間のロスになるだけ。いっさいの無駄を省き、全力で逃げることだけに集中する。でもコールが突然コースを変える。初めてベケットは動揺する。実はコールには任務があった。秘密刑務所に入れられている反体制作家パヴェルに接触し、脱走させること。将軍暗殺という大事件が起きれば軍は動揺し、重罪犯を別の場所に移すはず。つまりベケットは、パヴェル奪回の御膳立てに使われたってこと。コールにすれば、自分がつかまればベケット追跡の手はゆるみ、無事国外に脱出できるはず。自分はソフィア達レジスタンスの助けで、移送中にパヴェルとともに脱走・・そういう計画だった。しかし・・ベケットは自分一人で帰るような男じゃないッ!!まあここらへんはまただまされているよ(「3」を先に見てますから)、ベケットったらかわいそうに、お上のやることはいつもこうだ、汚いぜ!・・なんて思わせたいんでしょうけど、私は別に・・。だって秘密にすることないじゃん。こういう目的のために○×△をして欲しいと「正直に」言えば、ベケットは引き受けるはず。本命の仕事かどうかなんて彼は気にしない。将軍暗殺はパヴェル奪還と同じくらい難しい任務だし。将軍側近(ベケットがスコープ越しに目をつけた男)が誰かと密談するシーンもなあ。わざわざ逆光にして顔わからなくしているけどそんな必要ない。あの男実は裏で糸を引いているエクレス・・とか、見ている者に勘違いさせたいんですかね。私もそう思いましたから。でも彼はマッケナと一緒にいるし・・。結局あの人誰だったの?さて、ベケットはソフィアの元へ戻り、コール救出の協力を求める。ここで出てくるのがモーゼル銃。見つけた時のベケット、唇のはしがちょっと上がってるのがわかる。いつもは無表情な彼だけど、この時は表情が少しゆるむ。いい銃を見るとそうなるのね。何だかかわいいわウフ。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟6
人手の方はソフィアの兄二人。レジスタンスったってこれしかいないのだ。みんな死んでしまったのか。さて何とかコールを助け出すが、パヴェルも一緒。何も知らないベケットは、誰だこいつは早く降ろせ!・・となるが、コールに言われて自分がだまされていたことに気づく。彼は怒るけど、それは自分に対しての怒り。そこがベケットらしい。なぜ助けにきた・・とコールに聞かれるけど、彼に言えるのは前に観測手に助けられたから。その観測手は「1」のミラーであって、コールではないけれど、でもベケットにとっては観測手から受けた恩は観測手に返さなければならないの。コールは、自分だったら助けに戻ったりしない・・とドライに言うけれど、ベケットはそんなことないと思ってる。同じ状況になればコールも自分と同じことするはず。仲間を見捨て、一人だけ逃げたりしない。狙撃手と観測手のきずなはそれほど強い。何かねえ・・こういう部分がいいんですよ。胸にぐっときちゃう。人を殺すのが仕事だけど、なぜ殺すかと言えば人を助けるため。裏切られ続けているけど、でもやっぱり人間を信じている。どんな特撮よりもそういう描写の方がインパクトあるんだよな・・。パヴェルの件でショック受けたベケットだけど、次の瞬間にはコール以上に展開が読めているのもすごい。コールは自分の任務が成功したと思っているけど、実際はパヴェルの救出は成功しようが失敗しようがお上にとってはどうでもいいの。「反体制作家を救出しようと試みた」ことを諸外国に印象づけられればいいのだ。アメリカはこんなにがんばりました、結局失敗したけどその努力は認めてねウフ・・って感じ?さすがのコールもそこまでは考えていなかったようで。考えてみりゃ死刑囚とおいぼれスナイパー。使い捨てるにはもってこいの存在。さすがに今回の二人(特にマッケナ)はそこまで非情じゃないけどね。さて、途中から登場するパヴェルですけどどうなんでしょうこの人。救ってあげたい・・と思うようなタイプじゃないんですよ。頭がよくて善人なのはわかるけど、空気の読めないとんちんかん。暴力反対・・って、そりゃ口では何とでも言えるけどさあ・・。ソフィアは途中で離脱。ベケットがきっぱり宣言する。彼女はここまでだ・・ってね。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟7
他の映画なら誰かが強硬に反対し、彼女も連れて行く。その方がストーリー展開が多彩になる(「プレデター」みたいにね)。でもベケットの言葉にみんなしたがう。ベケットは彼女の方全然見ないし態度もぶっきらぼう。でも別に女性蔑視とかじゃなく、すべてのこと考え合わせて一番いい方法取ってるだけ。言葉や表情には出さないけど、彼女のことは心配しているし感謝もしていると思う。ソフィアが大人しく帰ったのはベケットの言葉が正しいからだし、兄達のことが心配だったせいもある。どうせ二人とも生きている可能性はないが、それでも確かめたく思うだろう。それにしてもこんな場所に生まれたばっかりに、せっかくの人生が戦いに費やされてしまうなんて気の毒に。でも誰かが悪と戦わなくてはならないのだ。さて、ベケット、コール、パヴェルの三人はパヴェルの友人ナザードを頼るが、彼は裏切る。もとよりベケットはナザードを信用していない。で、あれこれあって国境近くのシマンドという場所にたどり着く。ここで救助ヘリを待つのだ・・ってその取り決めいつしたの?シマンドは破壊され、火が燃えてる。コールはゴーストタウンだと言うけど、火が燃えてるってことはつい最近までここに人がいて戦っていたってことで、頭からここには誰もいない・・と思い込むのはちと早計・・。などと突っ込みどころはあるけど、ここからがクライマックスです。この長い長いクライマックスですけど、森の中での敵の一団との戦いもあるけど、メインは廃墟での敵スナイパーとの対決。コールやパヴェルもいるけど、基本的には一対一。このスナイパー、名前もわからないし、登場の仕方も唐突。いきなりぬっと現われるので、あれ?誰?・・ってなる。全然説明されないけどベケットにまさるとも劣らない鮮烈キャラ。前にも書いたけど元々見たのはDVDをレンタルして。でも彼のことが気になって忘れられない。幸い廉価盤DVDが発売されていたので早速ゲット。どうしても「彼」を手元に置いておきたくなったのよ。この名前のないスナイパーを演じているのはベラ・ジャッキとかいう人。ネットで検索してもほとんど何もわからない。引っかかるのはベラ・ルゴシとかさ。ってことはハンガリーとか、そっち系の出身なのかな。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟8
ちなみにソフィア役エリカ・マロジャーンも、パヴェル役タマス・プスカもハンガリー出身。敵スナイパーは、セリフもほとんどなくて、銃をかまえるかそこらへん走り回るか。彼はベケット達がここへ来ると知っていて(ナサードが裏切ったからね)、ヘリで先回りし、一人潜んで待っている。他の連中(スコープ越しに見た男が引き連れる兵士達)は、ここへかけつける最中。森で戦うニンジャみたいな一団には、ベケット達を倒すという目的もあっただろうけど、ここ(廃墟)へ追い込むという役目もあったのでは?敵スナイパーは地下のあちこちに地雷をしかけ、スイッチ一つで爆発させることができる。爆発に追われ、ベケット達が地上に出てきたところを狙い撃つつもり。一方ベケットは狙撃手は一人と判断し、二手に分かれる。お互い自分の位置を知られたらそれっきりだから、じっと待ったり汗みずくで走り回ったり無言の駆け引きが続く。人によってはこのシーンが長くて退屈・・と感じられるかも。確かに何やってるんだ?・・とじれったく思うこともある。でも私はこれでいいと思う。べちゃべちゃしゃべったり、騒がしく動き回ったり、銃を撃ちまくったりしたら「山猫」じゃない。そこらへんにいっぱいある普通のアクション映画と同じになってしまう。「山猫」は一発必中、一撃一殺でなければならないのだ。例え監督が交代してもその路線はきっちり守る。「山猫」のファンはきっとついてきてくれるはず。一発で満足するはず。それを信じて作っている。・・くり返すがこの敵スナイパーが実にいいのだ。ほとんど誰も書いてくれないから私が書くけど。ベケットの相手はこうでなくっちゃ。彼は冷たくて厳しい顔つきをしている。氷を削ったような鋭い目鼻立ち。うすい色の目が何度も大うつしになる。見えない相手を捜す機械のような目。どことなくアラン・ドロンを思い出させる美男だけど、甘さは全くなし。ウオッカみたいに無色透明だけど、飲んだら火を噴きますぜ。ギリギリな状態にいるけど一瞬も気を抜かない。それにくらべるとベケットは、コール達のことも気にかけなくちゃならない。救助ヘリや、今にも現われるかもしれない敵の軍隊のことも考えてる。
山猫は眠らない2 狙撃手の掟9
冒頭でハンターツアーのガイドとして登場した時には、こうでなかったと思う。不慣れな客達のことは忘れていたと思う。でも今は・・集中しつつも、同時にいろんなこと考えていると思う。さて、全く会ったこともない二人だけど、一瞬お互いの姿がガラスにうつって見えていることに気づく。ガラスにうつったカゲ、スコープ越しというのが憎いじゃありませんか。正面からばっちり見えたりしちゃいけないのだ。そんなヒヤッとする一瞬もあるが、いつの間にかベケットは何やら細工をしている。最初は意味わからなかったけど、そのうちわかった。おとりの発砲というか、そういう細工。将軍暗殺の時もこの手を使った。単純に撃つと銃声が聞こえた方向などから、狙撃手のいる場所がわかってしまう。だから別の場所で小さな爆発を起こす。敵がそっちに気を取られているスキに逃げ出すわけ。この頃にはコールは撃たれて重傷だし、ヘリの到着時間は迫っているしで、かなりドキドキしますぜ。ここでもパヴェルがねえ・・。この人コール達に助けられた時お礼言いました?コールが撃たれたのも彼のせいだけどあやまってなかったようだし・・何か好感持てないキャラだなあ。ソフィアの兄は「先生の言葉は祖国だ」と言って、進んで命ささげていたし、そういう影響力のある人なんだってのはわかるけどね。と言ってどういうキャラだったらよかったのかと言われても思いつかんし・・あれはあれでいいのかな。ラストは・・悲しむベケットの表情が胸に迫りました。コールはおいしい役だと思うけど、印象に残るのはやっぱりベケットなんです。しゃべりまくったり動き回ったりしなくても、そこにいるだけで重みを感じさせる男。何かが伝わってくる男。ベレンジャーの抑えた演技は実にすばらしい。ここまで来ると映画の出来は関係ない。心に迫るものがあっていろいろ考えさせられる。こういう映画・・好きです。茶色っぽさが印象に残る「1」。何もかもくっきりと鮮やかな「3」。それにくらべ「2」は白っぽくてちょっとかすんだような画調。ひんやりしている。しかしその中で男達が息を詰め、汗みずくになって戦っている。冷たさと熱さが同時に伝わってくる映画だった。
山猫は眠らない3 決別の照準
トム・ベレンジャーがスナイパー、トーマス・ベケットを演じるシリーズ三作目。これを見たのはだいぶ前。WOWOWでの放映はいつも深夜。たまたま平日の午前にやった時、ひまつぶしにいいかな~と思って、軽い気持ちで見たのよ。「3」ともなれば、出来の方は期待できない。この時点では「1」も「2」もまだ見てない。ベレンジャーは年取ってだいぶたるんできたな。首が短い。軍人だから髪の毛短い。ゆるみたるみがモロに出ちゃう。手がふるえているのはアル中だからか。でも飲んでばかりなのは確かだけど、ふるえは手の古傷のせいのようで。追い出したくてうずうずしている上官もいるけど、腕を見込まれて特別な仕事を頼まれる。標的を知らされてびっくり。死んだはずの戦友フィネガン。しかも彼はベケットにとっては命の恩人。彼の家族とはずっと親しくつき合っている。息子ニールの結婚式では彼に託された手紙を読んだ。未亡人シドニーとのつき合いも長い。本当はお互い好き合っているけど、ベケットの方に遠慮がある。そういうストイックなところはなかなかよろしい。顔や体はたるんだけど、暮らしぶりはシンプル。ズック袋一つでホテル住まい。勤務地が変わればそこへ移るだけ。さてNSA(国家安全保障局)のエイブリーの話によると、フィネガンは麻薬などで儲けていたが、武器も扱い始め、テロ組織に売り込んでいる。彼は一時CIAの仕事もしていたことがある。死の商人が昔政府の仕事をしていた・・なんてばれたらアメリカ政府は困る。彼のことはベトナムの警察も追っているが、そっちにつかまる前に抹殺してしまいたい。それでベケットに白羽の矢が立ったのだ。断ってもいいんだけど、そこはそこ実直なベケットは、どうせやるなら自分が・・と引き受けるわけ。エイブリー達はそういう彼の性格はお見通し。もちろん彼らはワルで、自分達の弱み握っているフィネガンを始末しようとベケットを利用するのだ。人間には生まれ持った性分ってもんがある。ベケットは善人なのだ。だます側、だまされる側がいるとすれば、ベケットはだまされる側。しかも何回も。エイブリー達も利口で、全部ウソで固めたりしない。適当に真実まぜる。自分達にも非はあったと反省してみせる。フィネガンが死の商人だと知れたら家族はどうなる?・・と、ベケットの弱点を突くことも忘れない。
山猫は眠らない3 決別の照準2
ホーチミン市に着いたベケット。30年前の記憶が甦る。狙撃用の銃を持ってきてくれたのはクアンという若い刑事。彼はホーチミン警察の一員でありながら、密かにNSAの連絡員も務めていた。クアン役バイロン・マンは目がぎょろっとしていて、見たことのある顔だ。「キャットウーマン」に出ていた。ベレンジャーと違って贅肉ゼロ。二丁拳銃はカッコ悪いが、アクションは切れがあっていい。フィネガンは自分の経営するクラブで商談相手と会う。ベケットは向かいのビルの屋上から狙う。クアンや刑事達はお客にまぎれて機会をうかがう。で、もちろん狙撃は失敗する。成功したら映画終わっちゃう。突然の銃撃戦にクラブは大混乱。フィネガンを捜すベケットだが、彼自身が狙撃される。フィネガン暗殺に成功したら即ベケットも始末しちゃえ、それで万事解決・・って悪いやっちゃな~エイブリー。でもまだ暗殺成功してないぞ。さてベケットは警察につかまるが、そこには都合よくフィネガンもぶち込まれていた。そこでベケットは自分がだまされていたことを知る。一方クアンは意外な成りゆきにとまどうが、見覚えのあるフィネガンの手下がいると思ったら次の瞬間には警察署が爆破される。どさくさにまぎれ、ベケットもフィネガンも逃亡する。クアンはベケット暗殺のことは知らされておらず、NSAの汚いやり方に嫌気がさしたのかベケットと行動をともにし始める。ベケットにはフィネガンの逃走先が推測できた。監獄でもらしていた「穴」という言葉。ベトナム戦争時アメリカ軍を悩ませたのが、地下に縦横に掘られたトンネル。30年前、フィネガンに命を助けられた時のトンネル・・あそこがアジトに違いない。その頃にはベケットとクアンも心が通い合うようになっている。クアンの父親はアメリカ兵。戦争が終わると父親は「本当の」家族の元へ帰ってしまった。いろいろ苦労しただろうし、思ってることもあるだろうけど、口には出さないクアンが好ましい。(都合よく)穴を見つけ、とうとうアジトへたどり着く。フィネガンは若者をたくさん集めて手下にしていた。まあ確かにここらへんは「地獄の黙示録」風なんだろう(私は見たことないのでよくわからんが)。ここらあたりになると、肉のたるんだおっさんだったベケットが、ちっとばかり引き締まって見えてくる。ベトナムに着いた頃はハデなシャツにサンダルか何かで、どこから見てもおのぼりさん風。
山猫は眠らない3 決別の照準3
ホテルのボーイに、何でも用意しますよ・・なんてしつこく言われる。スケベな観光客に見られても仕方ないくらい。でも仕事に入るともう段取りが体にしみついていると言うか・・。クライマックスではクアンが人質になって、ベケットは主役だから死ぬはずないけど、クアンはどうなるか予測がつかない。死んじゃったらいやだな~なんて思いながら見ていた。そしたら「一撃一殺」じゃなくて「一撃二殺」。まあここはよくできてましたな、意外で。もっとも現実にはあんなにうまくいかないだろうけど。フィネガンから聞き出したエイブリー達の企みというのはかなりしょぼい。もうちょっとましな理由くっつけて欲しかった。それとフィネガン倒した後の展開もねえ・・。フィネガンはコブラのように強い存在で、それで手下もしたがっていたんだけど、ベケットはその彼をあっという間に倒してしまった。まるで神業。そうなるとベケットはコブラより強いマングース。手下はベケットの言うことなら何でも聞く・・ってそんなに単純なの?誰もフィネガンに恩を感じてないの?復讐しようって思わないの?そりゃそうやってコロッと宗旨替えして新しいボスにつけば、誰も死なないしケガしないし、利口なやり方かもしれないけどさあ。結局あの連中どうなるのかな。犯罪予備軍として訓練されてて、今更真っ当な仕事なんてやりそうにない少年ばかり。押しつけられたクアンも始末に困ったと思うよ。でもベケットはそんなこと気にしない。エイブリー達のこともどうでもいいの。どうせ原因不明の自殺や、突然の辞任があって、そのうちうやむやになっちゃうに決まってる。今のベケットは帰ることしか考えてない。シドニーはきっと待っててくれる。そのうち二人は結婚すると思う。律儀なベケットのことだから、フィネガンのことは正直に話すだろう。でもシドニーの気持ちは変わらないと思うな。・・てなわけで、別にどうってことないんだけど、なぜか好感の持てる映画だった。つじつまの合わないところはいろいろあるけどね。画面はすごくきれい。黄金色の稲穂、目にしみる木々の緑、青い空、太陽の光。そこで働くやせた人々。・・何でこんなに平和で勤勉な人達が暮らしているのに戦争が起こらなきゃならなかったのかな。
山猫は眠らない4 復活の銃弾
「3」で終わったはず・・誰もがそう思っていたシリーズ。まさか「7」まで作られるとは。よっぽどネタがないのかな。ベケットの息子ブランドンを演じるのはチャド・マイケル・コリンズ。「U.M.A レイク・プラシッド2」に出ていた人だ。ちょっと顔が長くてマーク・ウォールバーグに似ている。「U.M.A2」では髪が長くて、ヒース・レジャーにも似ていた。彼ならいいかも・・と思った。今回は短髪で、筋骨たくましい。ブランドン三等曹長は聴聞会にかけられようとしている。♪あれは三年前・・じゃない、三週間前のコンゴ。イェーガー大佐からの命令は、退去を拒んでいる農園主ブラントを使用人ごと避難させろというもの。この時点でイェーガーが怪しいってのは見え見え。悪役ヅラ・・と言うか、黒幕ヅラの俳優さん・・リチャード・サメル・・持ってくるから、先が読めちゃう。ネルソン大尉とその配下・・ブランドンら五名、コンゴ兵ヌゴバ大尉ら五名、合わせて10名がミュカナへ向かう。ネルソン達はこの時点ではのん気なもの。ブランドンはみんなからはアホと言われている。アフリカなので、雄大で美しい自然、動物達がうつる。その一方で人間達のいるところは貧困や混乱、強欲が渦巻く無秩序な世界。農園に残っていたのはブラント一人。彼はここを離れるのをいやがるが、何とか外へ連れ出す。するといきなり狙撃され、死亡。反乱軍の仕業か?いや、どうやら敵は一人のようだ。家の中にいた時なら何とかなったかもしれないが、みんな外へ出てきてしまっている。次々に仲間を失い、ブランドン一人になってしまう。肩を撃たれて穴に落ち失神。そのため死んだと思われ、命拾い。と言うか、スナイパーならとどめを刺すはずだが、それだと映画終わっちゃうからね。ここで引っかかるのは、農園の一角にアメリカ軍の武器が入っていたと思われる箱があったこと。わかりやすいですな・・武器の横流し。さて、ブランドンを救ったのはハンターのチャンドラー(パトリック・リスター)。彼は金持ち相手のハンティングのガイドをしている。その一方で、親をなくした子供達の面倒を見ている。肩の弾も抜かず、ブランドンは農園へ戻る。仲間をあのままにしておくに忍びない。しかしチャンドラーと一緒に行ってみると、死体がない。家の中が荒らされている。しかも・・銃を構えた少女が現われた。ブラントの娘ケリーだ。彼女はブランドンが父親を殺したと思い込んでいる。
山猫は眠らない4 復活の銃弾2
ブラントの友人でもあったチャンドラーの説得で、ケリーも納得する。彼女はベルギーの叔母のところへ預けられていた。戻ったとたん父を殺された・・と、悲しむ。それにしても彼女は・・昼間ブランドン達が来た時はすでに家にいたのか。それとも一連の出来事が終わった後でここへ着いたのか。前者ならブラントはなぜ彼女のことを黙っていたのか。また、家が荒らされていた間、どこかに隠れていたのだとすれば、そいつについて彼女は何か言うはずだが。後者なら、彼女はここまでどうやって来たのか。町からはかなり離れているはずだし、猛獣もいるしで、歩いてこれるとは思えない。チャンドラーのキャンプは、留守の間に襲われていた。物資を奪われ、子供達は連れ去られていた。子供を連れていくのは、兵士にするためだ。チャンドラーと別れ、ケリーを基地へ送り届けようとするブランドンだが、途中で傷が化膿し、倒れてしまう。目が覚めると病院。その頃ノースカロライナ基地にはミラーがいた。今は教官か。頭ははげ、ヒゲを生やし、太っている。某サイトでは「ヒゲだるま」なんて書かれていて、言い得て妙だ。いったい誰が彼に知らせたのかわからんが、ミラーはブランドンを連れ帰るためコンゴへ。ブランドンは父と折り合いが悪く、狙撃なんて卑怯な方法だと思っている。正々堂々と戦いたいから歩兵になった。いちおう彼は海兵隊で、国連軍らしい。ヌゴバははぐれたとかで生き残って基地へ戻っていた。エレン・・アブラモウィッツ(何ちゅー名前だ)中尉(アナベル・ライト)によると、ブランドンの肩から取り出した弾はロシア製で、使われた銃はアメリカ製らしい。ブラントはあちこちと取引していたようで、腑に落ちないことばかりだが、国連軍はじき撤退するからと、ブランドンの疑問は無視される。しかし、根っからの命令違反男ブランドンは、一人密かに基地を抜け出す。自分一人だけ生き残ったという負い目がある。それに、ケリーに父親の仇を討つと約束したし。まずチャンドラーに協力を頼む。その代わり子供達の救出に力を貸す。二人で反乱軍と戦っている時、誰か味方がいるのに気づく。ミラーだ。どうやら例のスナイパーはミラーの教え子マシエロらしい。スナイパーのターゲットは普通は一人だ。だから今回の場合ブラントがターゲットで、ブランドン達は巻き添えを食ったのだ。わざわざ彼らが送り込まれたのは、そうしないとブラントが用心して外へ出てこないからか。
山猫は眠らない4 復活の銃弾3
武器の横流しがバレるとまずい誰かに、口封じに殺されたのだ。その頃エレンはブランドンを迎えに行くため、ヌゴバらと出発。別にマシエロも出発する。彼は同じ基地にいたってわけ。チャンドラーは子供達を連れて去り、ブランドンとミラーはマシエロを待ち伏せする。ところがやってきたのはエレン達。たぶんエレンもここで殺される予定だったのか。彼女ちょっとおめでたすぎる。最初の方で彼女いかにも・・って感じで出てくる。ヤローばっかじゃないよ、ちゃんときれいどころも出ていまっせという感じ。高嶺の花だけど、ものにするのはややどんくさいところのあるブランドン。彼が危ないとなると自分から進んで救出に。一夜を共にして、もう冷静ではいられない。ブランドンやミラーは来るならマシエロ・・って思ってて、エレンの登場は予想外。と言うか、たぶん邪魔。さて、やっとブランドンとマシエロの対決。ミラーは撃たれたようだが、詳しいことは不明。夜になって暗視装置のあるマシエロが有利だが、ブランドンはスコープを壊す。油のタンクを撃って爆発させ、あたりを見えにくくさせる。その間にマシエロに近づく。で、あっさり倒して今現在に至るわけだが、イェーガーの悪事・・ブラントを使って反乱軍に武器を流していた・・には証拠がない。次にブランドンがイェーガーの家に現われるので、私的に復讐するのかな・・と思ったら、イェーガーが自分の悪事しゃべるのを録音していた・・となる。ミラーは負傷したけど生きていた。あの時姿消したのは、彼も黙って基地を抜け出し、ブランドンの私的な行動に加担したのがわかるとまずいからだろう。てなわけで四作目・・なかなかよかったと思う。元々このシリーズって、お人好しの主人公が上の誰かにだまされ、罠にはめられ、ピンチに陥るけど何とか生き延びて復讐というのが一つのパターン。別にそこからはずれる必要もない。高性能の武器と、腕のいい射手が出てきてくれればいい。この映画だとミラーとチャンドラー。特にチャンドラーは、もしかしたら彼がスナイパー?なんて、見ながら疑っていたのよ。結局違ったけど。ブランドンは出てきた時からすでに凄腕で、未熟だったけど努力して・・の部分がない。そこがちょっとアレだったかな。それと無理して女性出してくる必要もなし。見終わって、あれ?そう言えばヤローばっかだったな・・となってもいいと思う。それでこそ「山猫」。
山猫は眠らない5 反逆の銃痕
冒頭はベルリンらしい。雪があって寒そう。ビルの屋上へ出たステフェン(ネスター・セラーノ)。呼び出したのはシンプソン(ダグ・アレン)。二人を狙っているらしいスコープ。シンプソンはセンチネル作戦のことを持ち出す。ステフェンを恨んでいるらしい。そのステフェンが撃たれるが、シンプソンは離れたところへ銃を設置し、リモコンで操作したようだ。手ぶらなのでステフェンも警戒しないし、ケータイの操作も家族からと言えば疑われない。さて、シリアとトルコの国境あたりで任務についているブランドン。今は多国籍軍にいて、一等軍曹。観測手はサナー伍長(メルセデス・メイソン)。倍賞美津子さん似。ターゲットはタリバンの幹部。もう一組リースと観測手も待機しているけど、こいつは緊張感がなく、使えないやつ。一発目で失敗すると銃撃戦になる。リースの観測手がやられ、ターゲットも逃してしまったようで。五人撃ち殺したブランドンは気が重い。リースのような素人と一緒だとうまくいかない。やめたくなる。ブランドンの上官はビットウェル少佐(ドミニク・マフハム)。その彼はギリシャのサントリーニ島にいる大佐(デニス・ヘイスバート)のところへ。例のセンチネル作戦は彼の命令。従事し、生き残った五人のうち、ステフェンを含め三人が撃ち殺された。1500メートルも離れたところからだ。ちなみにビットウェルは参加を断ったらしい。その後ローマでベケットが殺された。あら?今作にてベケットは復帰するはずじゃなかったの?と言うか、ベケットは復帰するんだから、この死は偽装ってことですな。ブランドンがスナイパーになる決心をしたのは、前作で描かれたように、コンゴで一人のスナイパーに分隊を全滅させられたから。今でもあの時のことは夢に見る。一方サナーは、麻薬撲滅に取り組んでいた父親を殺されたため。犯人は父親を護衛していた警察の人間。つらい過去があるのはブランドンだけじゃない。たぶん二人の関係は友達で、それ以上のものではなさそう。「4」みたいに無理に女性を絡めるのではなく、心を割って話せる・・命を預けることのできる信頼できる関係として描いているのがいい。一人のスナイパーが暴走し、士官を殺している。父親も殺されたと告げられたブランドン。彼は身内なので、シンプソン捜しのチームからははずされる。
山猫は眠らない5 反逆の銃痕2
しかし厳重に禁じられたにもかかわらず、ブランドンは基地を抜け出す。命令されると、その反対のことやっちゃう性分は、いまだに治らない。ビットウェルのチームは彼とサナー、彼女と組む観測手カンタラの三人。空軍基地からヘリで移動し、ブランドンの方は海から行く。漁師の船に乗せてもらうが、言葉もかわさない。なぜ漁師がOKしてくれるのか不明。金のやり取りもしていない。その代わりブランドンは漁を手伝う。そのうちシリア北西部の港に着く。ここには次のターゲット・・最後の一人ショープ少佐がいる。彼の隊は麻薬カルテルと戦っている。麻薬と武器の交換が行なわれるのを阻止し、両方とも焼いて・・爆破して・・始末する。そのショープを狙うスナイパーを見つけ出すのがビットウェル達の仕事。ショープは囮なわけだが、豪胆な性格で、恐れる様子もない。近くにはブランドンも来て、潜んでいる。なぜ場所がわかるのか不思議に思うが、ここにショープがいることはうわさで流してあったのか。でもそれだとカルテルに気づかれるおそれもあるはずだが。ここへ来る途中、ブランドンは警官二人に見とがめられ、殴り倒すはめになる。狙撃用ライフルは大きく、背中にしょっているので目立つ。また彼は自分が異人種で目立つということに気づいてないのか、変装も何もしていない。あと、交換の場近くにはたくさんの野次馬がいて、銃撃戦が始まると逃げ惑うこととなる。危険だとわかっていても好奇心の方が勝ってしまうのか。さて、ビットウェルに大佐から連絡が入る。ブランドンが基地を抜け出したと知らされる。その後の銃撃戦はなかなかの迫力。向こうにもスナイパーが二人いて、そのうちの一人は女性。この二人はシンプソンの仲間なのか。ショープ達は苦戦するが、ブランドンが加わったせいで戦局が変わり、ショープ側が勝利する。もう夜になっている。後始末をしていると、突然ショープが射殺される。シンプソンの仕業だ。ブランドンが追うが、逃げられてしまう。ここでやっとベケット登場。たぶん多くの人が心配してたと思う。ヨボヨボだったらどうしよう、ブヨブヨだったらどうしよう。夜なのであまりはっきりしないが、髪の白さが目立つ。夜が明けて明るくなって顔がはっきり見えてホッとする。そんなにブヨブヨでもない、よかった!でも・・上半身を横から見るといやに分厚い。だいぶ腹回りに肉がついている。
山猫は眠らない5 反逆の銃痕3
顔の方は小顔マッサージ、シワ取りマッサージ、重力に負けたたるみ持ち上げマッサージ・・何でもいいけど大急ぎでやって、見苦しくないよう整えたけど、おなかには手が回りませんでした~そんな感じ。まあ仕方ないやね。「インセプション」で見た時はベレンジャーじゃなくてダレジャーというくらい変わり果てていたけど、よく復活しました(←?)。ベケットがどうやって死を偽装したかは不明。自分を死んだことにしたのは、それによってシンプソンの関心が次のターゲットに移るから。もう自分は自由に動ける。結局ショープは殺され、ビットウェル達の作戦は失敗。ところで見ている人達はたぶん大佐を怪しいと思ってる。「山猫」シリーズは上官が黒幕ってのがお約束。あのセンチネル作戦には裏があって、全員死んで大佐の悪行がバレずにすむはずが何人か生き残った。他の者は犠牲者が出たことを疑ってないけど・・作戦に死者が出るのは仕方のないこと・・シンプソンだけは何かがおかしいと気づいたのではないか。彼は大佐に操られているのではないか。大佐は豪華な屋敷に住み、今も司法長官や上院議員招いて華やかなパーティやってる。出世街道まっしぐら、上昇志向。ベケットもビットウェルもブランドンもなぜ気づかない?しかし例の二人のスナイパーはシンプソンの仲間ではなかった。彼は単独で動いている。次に狙うのは大佐だ。ベケットは大佐の屋敷へ、ブランドン、ビットウェル、サナー、それに他にいないので仕方なく引っ張ってきたリースの四人は持ち場につく。ブランドンはリースと仲直りするが、こういう・・いやなやつからいいやつへ変わった人物には死亡フラグが立つ。大佐は撃たれるが、ケガですむ。その後いろいろあるけど、この頃には大佐は黒幕じゃないし、結局シンプソンの思い込みと言うか、頭がおかしくなって暴走したのだとわかってくる。過酷な任務のせいで精神的におかしくなっても、その後のケアが適切になされない。つまり使い捨てにされる。そういう人の中には銃の乱射事件を起こしたり、自殺したりする者も。ベケットやビットウェルはそれに耐えて生きているが全員がそうとは限らない。シンプソンを倒すのはベケット。シンプソンが死ぬところは合成がうまくいっておらず、そこは残念。ところでベケット・・目がかすむのはなくなったのかな?サナーやビットウェルなど脇キャラもよく、「4」よりは見やすい。大佐が黒幕じゃなかったのだけは釈然としないけど。