夜空の大空港

夜空の大空港

これはずっと見たかった。DVDが出たなんて信じられない。うれしい。これには私のお気に入りの俳優トム・シムコックスが出ているのだ。シムコックスって誰?と思うかもしれないが、「刑事コロンボ」の「祝砲の挽歌」で吹っ飛ばされる人ですよ。ここはロサンゼルス国際空港。ファンにもみくちゃにされてるデュセットは俳優か。ジョン・サクソンは「燃えよドラゴン」の時よりまだ少し細い。娘と言い合いしている老女は・・ありゃ、「別働隊」の伯爵夫人だぞ。度の強い眼鏡をかけてそこらをウロウロしている、見るからにうさんくさい中年男はエドモンド・オブライエン。爆撃にあって精神が不安定だという陸軍伍長がマイケル・サラザン、若いな~。こちらは93分だから「恐怖のエアポート」と違っていろいろ背景くっつけてある。インターナショナル航空のニューヨーク行きの6便に爆弾を仕かけたという電話がかかってくる。会社の部長フェルドマンがエドワード・アズナー、FBI捜査官トンプソンが「ハワイ5-0」のジャック・ロード。同じくFBI捜査官役でグレッグ・モリスまで出ている。残念ながら出番は少なく、「スパイ大作戦」のような活躍を期待すると肩透かしを食う。機長のアンダーソンがヴァン・ジョンソン、副機長エドワード・フォークナーもよく見かける人。鼻が短いのが特徴。シムコックス演じるチップスは航空機関士かな。スチュワーデスのジーンがキャサリン・クロフォード。金髪の清楚な美人で、一時テレビでよく見かけた。さて、最初はイタズラの可能性もあった電話だけど、797型に詳しいし爆弾の知識もあるようだし、こりゃ本物かも・・となる。相手は10万ドルを要求、逆探知されないよう場所を変えて何度も電話してくる。機内では爆弾の形もわからないまま、まずは乗客の手荷物検査。こういうのやってると必ず文句言い立てるアホがいるが、今回はデュセット。着陸してから捜せばいいじゃないかと騒ぎ立てる。ところが今回の場合、一定以下の高度になるとスイッチが入るアネロイド爆弾。今のところ1万フィート以下ということしかわからないから着陸できないのだ。下では会社が用意した金を、指示通り配達員に渡す。ところが配達トラックが事故を起こし、ドライバーは重傷、お金は燃えてしまった。当然犯人は怒るが、その一方で金なんかどうでもいいと思い始める。自分が求めているのはスリル。

夜空の大空港2

何度も電話をかける客を不審に思い始めたのがバーの主人。演じているのは「プロ・スパイ」でおなじみのマラチ・スローンだ。まあどんな人間も、秘密をもらすまいとしつつ、その一方で自分のことを知って欲しい。自分の計画がどんなに巧妙かしゃべりたい。酒は飲んでるし興奮してるし、眼鏡のせいで大きく見える目玉がギョロギョロ動く。オブライエンの怪演全開だ。この犯人は心臓が悪く、そのうち具合が悪くなる。FBIではクビになった者とかリストアップし、その中からしぼり込もうと懸命だが、とても間に合わない。そのうち店主からの通報でトンプソン達が駆けつけると、犯人はすでに心臓発作で死亡。でも店主のおかげで4000フィート以下になると爆発するとわかった。その頃には燃料も尽きかけていたけど、急遽デンバーのステープルトン空港へ。わりとスムーズに着陸する。ここは標高が5000フィート以上あるらしい。客は急いで脱出し、爆弾撤去係が来るけど、見つからない。もちろん爆弾は機長のカバンの中。いくら客席調べたって見つかるはずないのだ。今回は壁を壊したり剥がしたりして捜したけどこういうのも珍しいね。でもその分チップスの出番が増えて私はうれしかったけど。機長はジーン達を連れてどこかへ行くつもりだったようだが、それだとどこかで爆発したかもね。空港内で見つかってよかった。カバンに爆弾を入れられたのは、自分の不注意のせいだけど、反省してるふうもなかったな。犯人は・・貯金が10ドルしかないって言ってたのが気の毒だったな。職はないし病気だし絶望してたんだろうな。10万ドルが灰になった会社も気の毒。事件を嗅ぎつけた記者に、フェルドマンが絶対口外するなと約束させた上で状況を話すシーンがある。聞いていた記者の表情が変わるところが印象的だ。しかもここでトンプソンの妻エリザベス(ジャン・シェパード)が機内にいることもわかるのだ。もちろんトンプソンは全く表情にも言葉にも出さずに職務を遂行していて。で、無事に着陸した妻が電話してくるが、途中で涙で言葉が続かなくなる。その妻をいたわるトンプソンの頬にも涙が光っている。見ているこちらまでもらい泣きしそうになった。いいラストだ。