夢駆ける馬ドリーマー
本当はもっと後で見に行く予定だったけど、二週目からは夜に追いやられてしまっている。それで午前中に見られる一週目に見に行った。シネコンはこういうところ(入りが悪いとすぐ夜へ追いやる)が困るね。お客は10人もいない。きっとコケたんだろう。馬と子供と家族愛なら春休みとか夏休みがいいのになぜ今?日本語吹き替えなら子供も楽しめるのになぜないの?配給側に熱意のなさ感じるけど宣伝はわりとやっていたし・・。まあそれはともかくこの映画の売りはもちろん天才子役ダコタ・ファニング。馬は二の次ですよ。ダコたんの知名度だけが頼り。でも映画はそれだけじゃムリなんですけどね。彼女は確かに天才的な子役なんだろう。「だろう」としか言えないのは、他の映画に出てくる子役もたいていの場合うまいからである。えッ映画初出演なの?・・と驚かされることも度々。ダコたん扮するケールは、最初出てきた時はあんまりしゃべらない。父親のベンが好きで好きで、いつも一緒にいたいし、しぐさをまねしたい。つぶらな瞳にベンは理想の男性にうつっている。他の者から見ればしょぼくれた中年男。何をやってもうまくいかない。父親(ケールにとっては祖父)ポップとはうまくいってないし、ケールともどう向き合っていいのかわからない。ケールは人の顔色をうかがうようなところがあり、ワンクッション置いて反応するような、用心深い、そんな子だ。前半は、だからかなりいい感じで見ることができる。ケールは心の中ではいろいろ思っているのだが、何かあっても表面に出ることはできない。受身の状態。なぜならまだ子供だから。ところが後半馬主となった彼女は、急にでかいツラをするようになる。こましゃくれた、背のびした、子供の持ついやな面が目につき、見ていて不快になる。何度かハエたたきでぴしゃりとやってやりたくなる。大人を気取る子供、それを受け入れる大人、何かおかしいと思うんだけどな。さて私がこの映画を見に行ったのはカート・ラッセルのファンだからだ。「ポセイドン」も公開されているし、彼の活躍ぶりがうれしい。さすがの彼もこんな父親役をやるようになったのかと感慨深い。何しろ「ジェミーの冒険旅行」の頃から知っているからね。いったい何十年前だよ・・。中年になってもスネークのような不良中年でいて欲しいのに、こんなしょぼくれた父親役ですよ。でもこれがいいんだよなー。
夢駆ける馬ドリーマー2
ポップ役がクリス・クリストファーソンで、カートとはそんなに年も違わないのに親子役ですよ。でもこの二人顔がよく似ていて、本当の親子に見えちゃう。映画に厚みが出たのはこの二人のおかげ。決してダコたんの演技のせいではありません。彼女には運命に裏切られ続けた男の悲哀なんて出せません。ケールは馬のソーニャが大好きで、家族の一員だと思っているから、取り戻すことができてうれしい。レースに出てきっと勝ってくれると信じている。うれしいのも信じるのもけっこうだ。しかし彼女は牧場経営のやりくり、レースに出るための費用の捻出、その他モロモロには無関係でいられる。馬主になったからって、勝ってくれると信じるだけでいいのは、彼女が子供だからだ。わずらわしいモロモロは大人がやってくれる。ソーニャがレースに勝ってハッピーエンド、夢の完遂で終わるのはお約束だが、現実はそんなもんじゃない。もちろん作り手も承知してるし、見る方も(子供は別として)これはおとぎばなしだとわかっている。大人にとっては感動して終わりという映画じゃない。ベンの姿に自分を重ねて共感する。何とまあ彼はついていないことの連続なんだろう。ポップの方も似たり寄ったりだ。彼は経験を積んでいるから、一歩下がって安全な立場から状況を見ている。それにしたって消極的でさえない人生であるのは確かだ。こんな男どもを世話して愚痴も言わず家計を支えるのはベンの妻リリーだ。ヒスも起こさず黙ってせっせと働く姿はけなげだが、演じているのがエリザベス・シューだからどうもねえ・・。もうちょっと堅実な感じの女優さんの方が合っているのでは?シューはどうしてもはすっぱで尻軽な感じが出てしまうのだが・・。憎まれ役パーマーがデヴィッド・モース。彼とカートが並ぶと、カートはずいぶん背が低いのでびっくり。「ニューヨーク1997」でも「エスケープ・フロム・L.A.」でも案外背が低いのネ・・とスネークさんざん言われていたけど。調べてみたらカート178センチ、モース193センチ。モースがでかすぎるのじゃ!ベンは元騎手という設定なので、背が低くて当然です。他に、お金がなくてレース出場がピンチという時に、スポンサーになってくれたサディール王子役でオデッド・フェール。「ハムナプトラ2」以来、久しぶりに見ることができてうれしい(「バイオハザード2」見てないの)。
夢駆ける馬ドリーマー3
けど出番ほんのちょっぴり、うぅ残念。やっぱ役柄制限されちゃうのかなあ・・。サディールさんよ、アンタ王子なんだからもうちょっと堂々としてよ。ケールなんてテーブルに肘ついて大人なめきった態度、許せんわー。誰かハエたたきでぴしゃっとやってよ。少し礼儀教えてやって!他にルイス・ガスマンとフレディ・ロドリゲス、どちらもよかった。ガスマンはいつも小悪党役ばっかだけど、たまにはこういう役もやりたいよねえ。一度見たら忘れられない怖い顔だけど、今回いい役やって、パンフにもちゃんと載ったから名前も覚えましたよ。ロドリゲス扮するマノリンは、レース中落馬し、それがトラウマとなって騎手を断念。しかしソーニャに乗ることで恐怖を克服する。小柄でかわいい顔していて、これでダコたんがもう少し大人だったらロマンス生まれてもおかしくないけどね。ダコたんまだオシメしてますからロマンスはムリです。マノリンは騎手をやめたのでおなかがぽっこり出ていて、そこがまたかわいいの。ロドリゲスはどこかで見たような顔だが、「ポセイドン」に出ているということなので、予告で見たのかな。馬の調教に関してはどうなのかな。あんな程度でいいのかな。「レーシング・ストライプス」でのサラブレッド達はかなり大変そうだったけど、こっちは・・。骨折後のリハビリとかレース復帰までの調教とか、もうちょっと念入りでもよかったと思うけど、何しろダコたんメインだからしょーがないかも。私自身は賭け事には全く興味ないが、日曜の午後、たまーにテレビで競馬を見たりする。走っている馬は美しいと思う。優勝したのもビリのもどちらも美しい。映画だと大きなスクリーンで見るから迫力も美しさもアップする。走るコースにはあんなふうに縦の線が入っているのか。走っている時にはあんなふうに凄まじく土が舞い上がるものなのか。一番後ろで走っている馬や騎手からは、前があんなふうに見えるものなのか。現実の生活では決して見る機会はないが、映画なら見ることができる。まさに神の視点。こういうのを見ることができるから、私達は映画を見に行くんですよ。・・てなわけで見てよかったと満足して帰ってきましたが、エンドロールでの歌に歌詞の字幕がつかなかったのがアレでした。普通出るでしょ。捜しちゃったよ字幕。でも結局出なくて・・何か手抜きー。