ヤンババ! ばばぁ強盗団がやって来る!
題名や宣伝文に乗せられて見た人は、だまされた・・と失望するかも。おバカコメディーではなく、暗くてほろ苦くてちょっぴりしんみり。笑いを期待して中古ビデオを買った父はがっかりしたようだが、私はさほどはずれとも思わない。ドイツ映画なので知らない人ばっか。カーラ(アルバート・フィニー似)はガンを宣告される。もうあまり生きられない。老人ホームからも追い出されそう。メータ(リンダ・ハント似)は同居している息子から家賃を請求されている。リリーは娘と同居。三人の夢はクルーズ旅行。何とかお金をためた(万引きしたタバコや酒を、老人ホームで夜な夜な競売)けど、預けに行ったら銀行強盗に出くわし、取られてしまった。預金する前だったので取られ損。頭にきた三人は自分達も強盗してやれ・・と計画する。襲うのは自分達に冷たい仕打ちをしたあの銀行。新聞に出ていたイケメン強盗に教えを乞うため、刑務所に会いに行くのがおかしい。もちろん彼は三人にはやめるよう忠告する。一回目は成功したものの金額が少なすぎ、二回目は大金だったがつかまって刑務所行き。カーラは自分が首謀者だと言い、そのうち亡くなる。あとの二人は取り調べにも金のありかは知らないと言い張る。主人公は70をとうに過ぎた老女達。生きていくって大変。お金がないのって、病気になるのってみじめ、さびしい。ラストもあんまりはじけない。お金は出所するまで何とか隠しおおせたけど、頭の悪い男どものせいで、豪華客船どころかボロ船でのクルーズになってしまった。きっとだまされたに違いない。でもそのおかげで刑事二人もお金の行方突きとめるのをあきらめたみたい。豪華客船に乗ったりしたらたちまち怪しまれていたことだろう。カーラの遺灰を海にまき、船はデンマークへ向かう。お迎えが来たら旅行のことカーラに話してあげよう。・・と言うか、彼女もここにいるかも。だってカーラは魂は不滅だと信じていたし。全体的には「ウェイクアップ!ネッド」みたいな感じ。お金の手に入れ方は違うけど雰囲気的にはね。ドタバタ部分もあるけど、元気がもらえるという感じではない。老い、病気、死、貧乏、孤独など見たくないという人には苦痛かも。それとテンポの遅さもね。私はみんな受け入れたけど。出てくるのは老人ばかりだけど、心のやさしい医者、親切な銀行員、イケメンの服役囚など若いのが出てくるので、目の保養ができた。