NEXT-ネクスト-

NEXT-ネクスト-

この映画は見られないだろうと思っていたのよ。そしたら向こう(東京とか)での公開が終わってからこっちでもやり始めたのよ。時々そうやって遅れて公開するみたいなんだな。「俺たちフィギュアスケーター」もやったけど、これなんか半年もたっていて、すでにDVD発売されてる。お客来るの?とにかくこういうのはすぐ終わっちゃうだろうからと早めに見に行った。「ネクスト」と言えばジャック・ブレルの曲をスコット・ウォーカーが歌ったのよ。「NEXT,YOU’RE NEXT」当時の私には歌詞の意味よくわからなかったけど、名曲・名唱なのは確かです!映画が始まってもお客は私一人・・「次、次の人」はいなかった。この映画はフィリップ・K・ディックの「ゴールデン・マン」が元になってるらしい。まだ読んでないがかなり変更してあるらしい。どことなく「ペイチェック 消された記憶」みたいだなと思いながら見ていた。ニコラス・ケイジ扮するクリスは、ラスベガスのしがないマジシャン。彼を見ていて「ジャンパー」とか「ラスベガスをぶっつぶせ」思い出すけど、クリスは善人だと思う。「ジャンパー」では超能力利用して、「ラスベガス」では数学の知識利用して、主人公達はやりたい放題だった。どっちも好感持てなかった。でもクリスは違う。彼の過去ははっきりしない。そりゃ若い頃は道を踏みはずしたこともあっただろうけど、今は・・。物心ついた頃から、親切ヅラして彼に近づいてくるのは能力悪用しようと企む連中ばかり。だから彼はマジシャンになった。予知能力はマジックだと思わせておけば誰にも怪しまれない。そうやってひっそり働き、ひっそり暮らしている。お金が足りない時はカジノに行く。がっぽり稼ぐなんて目立つことはしない。少しずつ、生きていくのに必要なぶんだけ・・。彼には2分先が見える。それも自分に関係したことだけ。その未来も、彼が別の行動取れば変わってしまう。そんな毎日を送る彼だが、たった一つ待ちこがれていることがある。いつだかわからないが、未来に現われる若い女性。2分先しか見えないはずなのになぜ彼女だけは見えるのか。現実に彼女と会えるのはいつ?彼はその瞬間を待ちながら今日もダイナーへ通う。そんなクリスに目をつけている連中がいた。まずカジノの連中。気をつけてはいても、いつも勝つクリスはついつい目立ってしまったのか。

NEXT-ネクスト-2

次にFBIの連中。テロリストグループによってロスに核爆弾が運び込まれたらしい。捜査官カリー(ジュリアン・ムーア)はクリスの能力を利用して爆弾のありかを突きとめようとする(何でクリスの能力わかったの?)。一方テロリストの方もそんなFBIの動きに気づく。詳しいことはわからないが、計画の障害になるようならそのクリスとかいうのを今のうちに始末しておけ。・・クリスの知らないところでこういう動きがある。運命は彼をそっとしておいてはくれない。要請されたって彼には協力する気なんてない。自分に見えるのは自分に関係のある2分先のことだけ。爆弾のありかなんてわかるわけない。ボクちゃん前にさんざんひどい目に会っているから誰ともかかわりたくないんだも~ん。しかしカリーの方はそんなクリスのおセンチな気持ちなんてかまってられない。彼を脅し、リズをだまし・・。はっきり言ってカリーには好感持てない。冷たいし権柄ずくだし。協力しなければ無実の罪でクリスを刑務所にぶち込むくらい平気でやってのけるだろう。ただ、そうまでしないとテロリスト達に対抗できないのも確か。ある日とうとうダイナーにあの女性が現われる。何とか知り合うきっかけをつかもうと苦戦するクリス。その女性リズは元恋人につきまとわれ、困っているようだ。クリスはそれを利用し、ようやく彼女に近づくことができた。リズにしてみれば、何で見知らぬ男性が近づいてこようとするのかさっぱりわからない。でもストーカーと化した元カレを追い払ってくれたし、いい人そうだし痛い思いさせて(クリスは元カレにわざと殴られる)悪かったし・・。ここらへんはコメディータッチ。また、リズが情にほだされやすい性格であることもわかる。実はクリスはカリーに未来を見るよう強要(と言うかほとんど拷問)されている時、リズの悲惨な運命を見てしまう。自分にかかわったばっかりに・・。しかしその運命は変えることもできるのだ。「ジャンパー」のテレポート能力と同様、こちらの予知能力の描写も多くは特撮頼み。いちおう工夫はしている。クリスの身のこなしで見せたりする。彼の能力が進歩するにつれ、描写も複雑になる。分身の術とか・・真面目に作ってるけど失笑寸前なのも確か。あれこれあって、テロリスト達を倒し、リズを助け出し、さあ爆弾は・・というところで、クリスは間違えたことに気づく。

NEXT-ネクスト-3

どこでどう間違えたのかもわからないうちに爆発が起こり、ロスは吹き飛ばされる。大惨事・・みんな死亡・・と思わせておいて・・あれ?お客は拍子抜け・・エンドクレジットが何だか変だけど私の気のせいかな・・なんてぼんやり思ってみたり。クリスが間違えたのはリズのことに気を取られすぎたからだろうな。まず彼女の命を救うというのがあって、爆弾は二の次。リズが見つかれば爆弾も見つかる・・って思い込んでた。もっとも、映画を見ながら私が主に考えていたのは、特撮やハデハデアクションのことではなく、クリスの能力のこと。なぜリズの出現や悲惨な死は、2分先とは関係なく見ることができたのか。言えるとしたら「彼女は運命の人だから」。でもその運命って?普通考えられるのは「自分と結ばれる運命にある人・・恋人・妻」。・・だから見えた。クリスはそう思ったはず。会う前から彼はすでにリズに恋していた。じゃあ思いがかなって結ばれた後は?実はこのシーンがこの映画の要なんだけど、それがわかるのはラスト近くになってから。ああ、そうだったのか・・ってね。リズと出会って結ばれたことでクリスの能力は進歩し始める。リズがいなければ能力はそのままだったろう。彼にとってギフトなのか呪いなのかはともかく、生きていくのに必要な範囲でだけ使われる能力。でもリズと出会ったことで別の面が開けた。リズは運命の人だけど、クリスにとってだけでなく、人類(800万という人数は、人類と言ってもいいはずだ)にとっても運命の人だったのだ。リズ自身には特別な能力は何もない。でもクリスの内面を変えさせた。トランプの目を読むのではなく、人類の未来に目を向けさせた。リズはクリスの運命も変える。つまり彼女はカリーから、クリスは変質者だから逮捕するのに協力してくれと要請される。普通FBIからそう命令されたら、ある程度相手に好意持っていても指示にしたがう。FBIがウソを言って自分をだましているとは思わない。でもどたん場でリズはFBIを裏切り、クリスに真相を話す。FBIよりクリスの方を信じる。そのおかげで彼の運命は大きく変わる。最終的には人類の未来も変わる。いやいや、結局核爆発が起きたから運命はいい方には変わらなかったんだけどさ。でもその後でどんでん返しがあるから・・ウーム書きにくいな。

NEXT-ネクスト-4

リズ役はジェニファー・ビール。健康的でさっぱりしていて好感の持てる女優さんだ。まあこの映画も特撮がどうの、ハデなアクションがどうのよりも俳優達の演技やキャラに目が行きますな。何たってケイジの悲しそうな顔つきがいい。「善人はばかを見る」・・今までずーっとそうだった。いいことなんて何もなかった。でもそれでもやっぱり善人であり続ける。ばかを見続ける。おそらく死ぬまで。でも、ばかを見るのがいやで悪人に転じるよりは、人間としてマシ。何だかいろいろ考えさせるところのある映画。本当はこんなこと考えるのではなく、ハデハデアクション楽しめばいいだけの映画なんだろうけど、私はそっちの方には違和感ばかりがつのった。クリスが逃げ回るシーンが何回かあるけど、そのどれもがしっくりこない。浮いてる。斜面を丸太やら車やらがころがり落ちるシーンなど、ここまでハデにする必要は全くないわけで。人とはちょっと違った能力持ってたばっかりに追われるはめになった男の哀感・・のはずが、スーパーマンだかインディ・ジョーンズばりにハデに動き回る。変なところに労力・お金使ってるとしか思えない。ケイジがやたら上半身裸になって肉体美見せるのもいやみ。鍛えてるってのはわかったわかった。わかったからもう服を着ろッ!それよりヘアスタイルの方何とかしろッ!あと、せっかくリズに連れられて先住民の居留地行ったのだから、自分の能力のことまじない師に相談するとか、そういうエピソード入れてもよかった。エンドクレジットは普通の映画と逆で、下から上に流れていましたな。ちょっと変わった趣向だけど、いつも通りでも別にぃ・・。他にトーマス・クレッチマン、ピーター・フォーク。クレッチマンはテロリスト役だけど、私は最初リズの元カレと同一人物だと・・。顔が似ていたような・・もちろん別人ですけどね。フォークはちょこっとしか出ていなくて・・。まあ出来はさほどいいとは思えなかったけど、見てよかった。「ゴーストライダー」と言い、この映画と言い、ケイジってホント、ロマンチストだなあ・・と微笑ましくなった。さて、予告でやっと「ハム3」を見ることができた。ブレンダン主演なのに彼が登場する割合ちょっと低いように思えたのが不満。息子あんなに大きくなって・・。でもブレン、ふくれてないし、髪はちゃんとあったし、顔つきもすっきり。は~一安心。