MOON44

MOON44

これは前WOWOWでやったらしいが、その時は見ていない。でもちょっと変わった題名だし、マイケル・パレの主演なので、頭の隅に引っかかっていて。ビデオを見つけたので早速レンタル。まああの!マイケル・パレ主演の異色SF!・・と言うより、あの!ローランド・エメリッヒが監督・製作!・・ってのが売りなんだろう。話はそれるが、今NHKで「プライミーバル」というのをやってる。恐竜とかそういった類のものが出てくる。まあ私はそういうのはどうでもよくて、超ハンサムジェームズ・マレー目当てで見ているのだが、それは置いといて・・。この作品で目立つのはカメラのゆれ。しょっちゅうゆれる。いや、ゆらしてる。でなければぐるぐる回ってる。かごめかごめだ。ものすごく落ち着きがなく安っぽい。目が疲れる。こんなの見ていたくないけどマレーは見たい。で、仕方なく。最近「GODZILLA」のDVDをレンタルして再見したので、ますますその差が強く感じられる。「GODZILLA」はちゃんとしている。変にゆらさないから映画の質が格段に上。こうやってとるというのが事前に練られている。「プライミーバル」を始め、多くのゆれる映画は練ってない。取りあえずゆらしとけ・・だ。作り手はいや、そんなことはない・・と反論するかもしれないが、見る側からするとそうとしか思えない。質も下がる。下がるようなことなぜわざわざやるのか。で、「GODZILLA」だけど、この作品の感想のところでも書いたけどDVDにはコメンタリーがついてる。「スターゲイト」でジェームズ・スペイダーがやった役はマシュー・ブロドリックが候補だったとか。そのことはすでに書いたけど、今回改めてコメンタリーを聞いていたらこの「MOON44」のことも出てきて。ここでやっと話が戻るんだけど(字数を稼ぐために話を脱線させているわけではないのよ←言い訳)、「MOON44」の主役はカート・ラッセルが候補だったんですって。でも予算の関係で実現しなくて、パレになったらしい。ってことはパレは安いってこと?確かにそんな感じもするけど・・っておいおい。「光る眼」とか「微笑みをもう一度」とかちょい役で出ていたりする。最近だと「ブラッドレイン」もそう。

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そう言えば彼「ブラッドレイン2」や「アローン・イン・ザ・ダーク2」にも出ているらしいんだな。ますます安いじゃないか!でもそのうちこれらも見るけど。まあとにかく私は彼のこういう安っぽさを感じさせるところが好きだったりして(←屈折した愛情)。さてこの映画「スーパーノヴァ」とか「エイリアン3」「アウトランド」などと似たムードを持つ。宇宙の果て、閉塞感、囚人・・。2038年、地球の資源は枯渇し、他の星から鉱物を運んでしのいでいる。銀河系内の星・・と言っても遠い。地球へ届けるにはワープでもしなけりゃ間に合わないと思うが、そこらへんの気配りはゼロ。科学的な説明は省略されている。最近運搬船が消失し、採掘用の星が攻撃され、残っているのはムーン44だけ。事件解明のため送り込まれたのが内務局のストーン(パレ)。減刑を条件に集められた囚人達にまじってムーン44へ。囚人達は皆元パイロット。警備には特殊なヘリを使うが、パイロットだけでは飛べない。まだ子供と言ってもいいような少年達がナビゲーターを務める。ヘリは岩壁の間を飛ぶ。何で上空は飛ばないのか。強風が吹いてるとか?視界はほとんどきかない(だから基地からのナビゲーターの指示が頼り)。ガスでも充満しているのか。ムーン44がどういう環境なのかは説明されていなかったと思う。「エイリアン」での星みたいに荒れ狂い、光の差さない過酷な世界なんだろう。そのせいで画面は常に暗く、何が何だかよくわからない。ヘリのこともよくわからない。今回のパレは無口で知的で冷静。ロマンスもなしでシンプルだが、何もしなさすぎ。タバコふかしているだけ。おもしろくなりそうな題材なのにもったらもったら。スカッと明快なものがない。いや、一つだけあるか。マルコム・マクダウェル扮するリーが出てきて、一発で彼が黒幕・・とわかる。何もしないストーンといかにも犯人顔のリー。これじゃおもしろくないですってば。リーの部下サイクス役レオン・リッピーは「THE VISITOR」に出ていた。ローランド・エメリッヒ製作のテレビシリーズだが、評判がよくなかったのか途中で終わっている。私はジョン・コーベットとスティーヴ・レイルズバック目当てでビデオをレンタルして一通り見たけど、ホントおもしろくなかった。

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ストーンが組むナビゲーター、タイラー役ディーン・デヴリンは俳優の他に製作や脚本もやるようで、「スターゲイト」「GODZILLA」でエメリッヒと組んでいる。他にも「ユニバーサル・ソルジャー」「インデペンデンス・デイ」「セルラー」など、けっこうすごい。この映画でのタイラー役やってる細くてちょっと生意気で青臭い彼からはとてもそんなイメージ(若さに似合わぬ敏腕さ)わかないけど。ナビゲーターの少年達も、組むのがストーンやオニールのようなまともなタイプならいいが、中には異常なのもいて・・。そのせいで時には悲劇が起こる。相手を殺し(前にも書いたがヘリの操縦はナビゲーター頼みなので、殺そうと思えば簡単に殺せる)、自分も自殺。そういうエピソードに時間を割くと、ただでさえもたついているのにじとじとしたしめっぽさまで加わる。紅一点(ムーン44ではね)テリー役リサ・アイクホーンもこれまた何のために出てきたのかわからないような感じ。場所が場所だからお色気ふりまく必要はないけど、バリバリ仕事する有能な女性ってふうでもない。何かあるとサイクスに文句を言い、いやみを言い、相手をやりこめてそれで終わり。それしかやることないのかよ。いやな女だ。サイクスは憎まれ役だし、リーの手先としていろいろ悪いことをするが、元々はそれほど悪いやつじゃない。自室で酒をあおるシーンが出てきたりするが、どうも父親が偉くて期待され、自分も努力したがだめだった・・みたいな。こんな遠い宇宙の果てでくすぶってるしかない・・みたいな。でも映画はそういうのには踏み込まず通り過ぎる。メインは特撮で人間描写はどうでもいいのかな。クライマックスでは敵の攻撃受けるけど操縦しているのはロボット。これは意外でなかなかいいアイデア。ロボットだからためらいも何もなし。一人(一体?)で全部やっちゃう。一方こっちはパイロットとナビゲーターが力を合わせて・・と、そういうところはよかった。でも戦うのはストーンと、もう一人オニールだけ。あとの連中出番なし。そこがまあしょぼかったかな・・と。オニールはいつもストーンと対立する男で、ストーンが水・クールなら、彼は火・ホットである。この映画ストーンが主人公のはずだが、何度も言うようだが何もしないでタバコふかしているだけなので、だんだんオニールのことが気になってくる。

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オニールを演じているのはブライアン・トンプソン。知らない人だがちょっとジャン=クロード・ヴァン・ダムに似た感じの肉体派。ヴァン・ダムの「ファイナル・レジェンド 呪われたソロモン」に出ているようだから今度見てみよう。見る前から呪われた作品(出来が悪いってこと)って想像つくけど。トンプソンはがっちりした体つきと不敵な面構え。罪人ではあるけれど気骨のある男。ストーンのロッカーから本をかすめ、ちゃんと読んで返すなど見かけによらず知的で繊細な面を持つ。ストーンよりずっと深みのある、魅力的なキャラだと思う。ストーンはハンサムで知的。まわりの者とは距離を置き、メガネをかけて一人読書にひたる。いつもならこういうキャラには好感を持つ。ステキだわ~となる。でも今回はそうならない。しつこいようだが彼は何もしない。どうやって身分がばれないようにするのかとか、事件の裏側を探るのかとかいうこちらの期待裏切りまくる。最初から内務局の者だとばれている。何かあっても動かないで様子見。クライマックスになってやっと動き出す。キャラに深みがない。演技も平板。そりゃドラマチックなオニールの方に目が行きますってば当然。オニールのナビゲーター、クッキー役スティーブン・ジェフリーズはミニジャック・ニコルソンという感じ。ホントよく似ている。長い独白シーンは余計だが、なかなかの儲け役。クライマックスのあたり・・ロボットが操縦する機と戦い、ムーン44から脱出するあたりは、何が何だかさっぱりわからない。オニールとクッキーが死んでしまうのも(応援しながら見ていた私としては)不満。ラストのやり取りもなあ・・。見終わっても爽快感がないのよ。結局敵の正体って何だったのかな。冒頭パイライト軍の攻撃とか、銀河鉱山開発社とか出てくるけど・・もう一度見直せば少しはわかるんだろうけど・・そんな気になれない。暗くてもったらもったら・・それだけ。基地のムードとかそれなりに私好みだけど、いかんせん慢性的な説明不足、日照(←?)不足。アメリカ・西ドイツ合作ということで「メトロポリス」的ムードという好意的な批評もあるけど、そこまで行っていない。でもかすかに心に引っかかるものはある。今は当分いいやモードだけど、そのうちまた見たくなるかも。見たらけっこうはまっちゃうかも。