ICHIGEKI 一撃

ICHIGEKI 一撃

ネットで調べると、酷評している人が多いので、見るのには勇気がいったけど(←?)、見てみたら・・すっごくとまではいかないけど、かなりよかった。全体的には話がはっきりしないと言うか、フラフラしている感じ。人身売買で売られそうになった少女を、セガールが助けるという話なのだが、何がどうなってるのか、ほとんどすべてはっきりしない。登場人物達の背景も、主人公のウィリアム(セガール)を始め、はっきりしない。とは言え今回のセガールは、私が待ち望んでいたキャラ。「激突」でも書いたが、私のイメージするセガールはこういうキャラなのだ。髪はオールバックでやや長め、暑苦しい格好をしていて、間違っても上半身裸になって上腕二頭筋見せびらかしたりしない。腹筋も見せない。セガールって割れているんだろうか、腹筋。割れていなさそうだが。ウィリアムは傷ついた鷹を見つける。山小屋へ連れていって治療し、野生へ戻す。彼の仕事は野生動物の保護。途中で、世界救済基金の者と名乗り、ちゃんと身元も証明されるが、これは一時的にもぐり込んだだけらしい。ウィリアムはハッキングなどにも長けている。一人で野山を歩き回るが、過去は彼をほうっておいてくれない。ルイスという男が来て、また元の仕事につくよう勧めるが、断る。すぐにルイスを含め、数人の男が現われるが、ウィリアムは姿を消す。彼はCSAという、政府の組織にいたようだが、どういうのかははっきりしない。特殊部隊、特殊工作員の類だろう。なぜ彼をそっとしておいてくれないのかも不明。山小屋は掘っ立て小屋ではなく、ちゃんとしたもの。自分の金で建てたと言っていたから、それなりの貯金はあったことになる。今の仕事ではほとんど金にならないだろうから。それとも遺産とかあって、生活には困らないのか。ルイスは彼のこと命の恩人と言っていたから、そういう・・命のやり取りをする仕事だったのだ。後の方で、ウィリアムは自分のことを罪人と言っていたから、汚い仕事もしていたのだろう。そういうのがいやになってやめたのだ。そっとしておいてもらえないのは、秘密を知りすぎているからか。ウィリアムには秘密をどうこうしようなんて気はこれっぽちもないけど、相手は人間を信用しない連中なのだ。だから始末しようと現われる。CSAの身分証では名前はトーマス・R何とかになっていたな。身分証は焼けていたから、彼は自分が死んだと見せかけていたのか。

ICHIGEKI 一撃2

ウィリアムは他人と関わることは避けている。相手に迷惑がかかるから。でも、外国の少女と文通するくらいはいいだろうと考えたのか。相手はワルシャワの孤児院にいる、もうすぐ14歳になるイレーナ。パズルや暗号を教えたり、チョコレートを送ったり。イレーナは頭がよく、チョコだってみんなと分け合うやさしい性格。彼女には自分の写真は送っていないようだ。だからイレーナはウィリアムの顔を知らない。セガールと傷ついた野生動物、セガールと孤児院の少女。これらは鉄板の組み合わせだ。セガールと少年ではだめなのだ。少女でないと。そりゃ今回ニッキーという少年も出てくるけど。さて、孤児院にいられるのは14歳まで。その後は里親を捜す。イレーナやアグニェシュカ達は、孤児院から別の場所に移されても、最初のうちは疑わない。里親が見つかったのだと思っている。孤児院の少女全員が人身売買組織へ売られるわけではないだろう。頭がよいとか、容姿がすぐれているとか、基準があるだろう。ここで出てくるのがファイザル(マット・シュルツ)。彼がトップにいるわけではなく、まだ別の人物がいる。そいつは人身売買のことを、麻薬より儲かる巨大ビジネスとうそぶく。映画が終わってもたぶんこのボスはそのままで、他の少女達も救われないまま。そこがちょっとアレだが、ウィリアム一人で何もかも解決するのは無理だ。さて、ウィリアムは孤児院の院長からの手紙に不審感を抱き、ポーランドへ飛ぶ。この院長は、ウィリアムが来たので心配になり、自分は手を引くとファイザルに連絡。即始末される。あの後孤児院がどうなったのかは不明。たぶん駆け落ちしたのだろうという院長の言葉が信じられないウィリアムは、独自に調べ始める。イレーナの友達のニッキーは手癖が悪く、ファイザルからライターをすり取る。ウィリアムからもサングラスをくすねるが、もちろんお見通し。ライターの図柄から、トルコが関係しているらしいことがわかる。と言うか、ライターの指紋調べればファイザルのことわかるかもしれないけど、ウィリアムがそういうことをしないのはお約束。逃げようとしたアグニェシュカは殺されたが、ウィリアムはイレーナが死んだのだと思い込まされる。死体は焼かれていたのか。捜査をしているのはラトー刑事。こういう映画のお約束で、地元警察の捜査はまともには描かれない。

ICHIGEKI 一撃3

よそ者というだけで同僚は「あいつを逮捕しよう」と言い出すが、ラトーは反対する。さすがにそこまで根拠の薄い捜査はしないってことか?もっとも、ウィリアムがしょっぴかれて、息抜き的なシーンをはさむことは可能だけど、この映画の作り手はそこまで器用じゃないみたい。ラトーの叔父はバーをやっていて、後で彼女とウィリアムに大量の武器を提供する。都合よすぎと言うよりムチャクチャ。ただ、ウィリアムのキャラがいいので、たいていのことは気にならない。大男のくせにスッと姿消しちゃうとか。音も立てずになんて絶対無理そうだけど。ニッキーとのやり取りもいい。と言うか、このニッキーのキャラがなかなかいいのだ。ウィリアムの泊っているホテルへ来ると、果物を次々につまんだり・・孤児院ではそんな贅沢できなかったんだろう・・ミニ・バーのボトルを次々に空けたり。彼はあまりしゃべらないが、その分目で感情を伝える。二人を安全な場所へ逃す時、ウィリアムはニッキーとハグするが、ラトーには何もしないので、非難のまなざしを向ける。目で「ハグしろ」と命令する。で、仕方なくウィリアムがラトーを形だけハグすると、ニッキーは満足そうな表情を浮かべるのだ。ここらへんはうまくできてる。さて、ウィリアムはイターラ基金の建物に侵入する。中はひとけがないが、ネットサービスを使って国際オークションをやっているらしい。もちろん競っているのは少女達の値段だ。オークションのお膳立てをしたのは国際同盟連合の財務部のワイス。この国際同盟連合は、孤児院とつながっている。少女達のテープを送付したらもう用ずみと、ファイザルは手下のアジミにワイスを始末させる。一緒にいた愛人も殺すが、そこへウィリアムとラトーが来る。なぜアジミが姿を現わすのかは不明。だって、ワイスは愛人を殺し、その後で自殺したというふうにしか見えない。せっかくそういうお膳立てしたのに、姿現わしたんじゃ何にもならない。おまけにウィリアムはアジミのかぶっていたマスク、スポッとはいじゃった。ここでラトーが負傷するが、もちろんウィリアムは救急車呼ぶ代わりにナイフとかあぶり始める。ラトーに酒を飲ませ、グリグリやって弾を取り出し、傷口を焼いて血を止める。警察の力借りないのは、腐敗していて信用できないからかと思ったら、同僚に危険が及ぶからと言ってたな。まあ警察の力借りないのはこういう映画のお約束。ただ、ラトーは自由行動取りすぎだ。

ICHIGEKI 一撃4

傷もこれ以後は全く気にしておらず、まるで負傷しなかったみたいだ。「目を閉じて手当てした」というウィリアムの言葉がいい。そう、女子供にやさしく、たとえ胸をケガしても安心なのだ。と言うか、以前真っ暗闇で手当てした経験もあるのだろう(←?)。トルコ大使館のパーティは、何のために出してきたのかな?と言うか、トルコという国名を出すのは失礼じゃないのかな。別に架空の国でもいいと思うんだが。普通の映画なら、パーティに招待された大物連が、密かに一室に集まり、少女達が連れて来られ、競りが始まる・・となる。だからこそウィリアムがロシア大使館の知人に頼んでパーティにまぎれ込むんでしょ?でも結局何もなくて、ファイザルの部下イボーがレストランへ。ウィリアムは娼館へ。ここで初めて少々色っぽいシーンになるのだが、ご安心ください、ウィリアムには目的があるのです。と言うか、別に娼婦利用しなくても・・。別にイボー裏切らせるのに大金払わなくても・・。1万ドルとか2万ドルとか、普段からそんな大金持ち歩いているのかな。その後ルイス達との決戦の場にこの娼館を選ぶのだが、ここも??だ。秘密の通路があると言ってもほとんど無関係だし。なぜ由緒ある美しい建物を銃弾でボコボコにするのか。娼館にとってはとんだ災難だ。お金はむしろ娼館のマダムに払って弁償しなさいッ!!とにかくここでアジミやルイスは退場。あとはファイザル一人。ファイザルが住んでいる建物はまるでお城のようで、美しい。ここに限らず出てくるワルシャワの建物、景色は美しい。イレーナ達が連れてこられた建物・・倉庫も、異様だが美しい。クライマックスは剣での対決。わりとあっけない。そう言えばこの映画、全体的にアクションは少なめだ。そこが見ている人にとっては不満で、内容への不満も増すのだろう。でも私にとっては・・そりゃセガールのアクションもっと見たかったけど・・待ち望んでいたキャラを見られたのだから満足。イチャイチャもなかったし。ラスト・・カナダへ連れて来られたイレーナとニッキーは幸せな日々を送る。ウィリアムは傷ついた動物を捜して留守がちだが、今の二人は孤児ではなく家族だ。このラストもとてもよかった。ウィリアムが演説なんぞしてぶち壊さないでくれたので、ホッとした。ルイス役ロビー・ギーは見覚えがある。「アンダーワールド」に出ていたらしい。