D.N.A.シリーズ

ドクター・モローの島

これを見るのはたぶん初めて。監督はドン・テイラー・・ってことは「花嫁の父」の新郎か。船が難破し、漂流の末孤島に流れ着いたブラドック(マイケル・ヨーク)。ボートの中での殺し合いとか、船に拾われてというのはなし。直接島へ。しかも仲間と一緒。目が覚めるとベッドに寝ていて、仲間は死んだと聞かされると疑いもせず受け入れる。島のあるじモロー博士はバート・ランカスターなので重々しい。モンゴメリー役はナイジェル・ダヴェンポート。マリアがバーバラ・カレラで、”掟の語り手”がリチャード・ベースハート。なかなかの顔ぶれだが、ベースハートはメイクのせいで顔はほとんどわからない。どうしても「D.N.A.」と比べてしまうが、こちらは正統派と言うか・・真面目に作ってある。特殊メイクは「猿の惑星」に似ていて、どれも同じに見える。本物のトラやライオン、クマ、ハイエナ、ヒョウなどが出てくるが、格闘シーンなどどうやってとったのだろう。迫力満点だが、全体的にはやや退屈。「D.N.A.」のような、絶海の孤島で奇妙なパラダイスが(危険をはらみつつも)展開しているという・・わけのわからない変てこさが懐かしい。こちらのモローは行き詰まっていて、包容力もない。動物を人間化しようと実験を重ねるけど、結局元に戻ってしまうのはなぜなのか・・とあせる。ブラドックが実験台にされるのは原作にはなし。この頃になるとモローは半分狂っているが、狂気よりも悲劇性強調した作り。ラストは二種類あるのだそうで、今回見たのはハッピーエンドの方か。ブラドックは元に戻ったけど、マリアはヒョウ(?)に戻ってしまったというのがバッドエンドか。マリアの顔が見えないシーンがあるから、そこから二種類のラストに分かれるのか。ブラドックがマリアの正体を全く疑っていないのは、のん気すぎるな。ちなみに原作にはマリアは出てこない。二人してボートで逃げ出そうとするわけだが、クマ人間が襲ってくる。演じているデヴィッド・S・キャス・シニアは、後年テレビムービー版「クマとマーク少年」の監督をしたようで・・クマ繋がりか(んなことないって!)。

D.N.A.

これは前テレビ東京の「午後のロードショー」で見た。見ていて不思議な感じがした。主人公エドワード役は「タイムライン」のデヴィッド・シューリス。この頃はまだ若く細い。で、このエドワード・・何だか変なのだ。首が長くなよなよしている。今回びっくりしたのは歩く時もしゃなりしゃなりしていること。意識してかどうか不明だが、表に出た動作は常に女っぽい。飛行機が墜落し、三人が漂流。そのうち水をめぐって争いが起きる。飢えてるわりには元気で殴り合う・・と言うか、何で体力ムダにするのか。まあ頭がおかしくなってるんだろうけど。生き残ったエドワードは運良く船に拾われる。モンゴメリー(ヴァル・キルマー)という男が看病してくれる。彼はモロー博士の島で研究の手伝いをしている。エドワードは船に残るつもりだったが、モンゴメリーの「船長は君を気に入ったようだ」と言う言葉で思い直し、島へ上陸する。そりゃこんなになよなよしてたら目もつけられるでしょうよ。もっともモンゴメリーはエドワードを研究に利用する下心があって、わざとそう言ったのかも。最初はまともに見えるモンゴメリーだが、そのうちおかしくなる。その変化に説得力がなく、どうしてこうなるの?・・と思ってしまう。エドワードがぐにゃぐにゃしているので、頼りになりそうなモンゴメリーに期待したのだが・・。モロー役はマーロン・ブランド。ぶよぶよした肉のかたまりでしかない。さて、これを見ようと思ったのは、マーク・ダカスコスが出ているらしいから。テレビ放映の時は気がつかなかったから、きっと特殊メイクしているのだろう。ローメイという役らしいが全身着ぐるみ。これじゃわからないね。エドワードが引かれるアイッサ役はフェアルーザ・バーク。「ザ・メイカー」や「ウォーターボーイ」に出ていた。あっけなく殺されてしまうのが残念。聞くところによるとこの映画いろいろトラブったそうで。シューリスの演技が変なのも、後半のモンゴメリーのキャラが変なのもそのせいかしら。何で誰もシューリスの演技変・・と書いてないのかしら。ブランドほめてる人が多いのも疑問。誰の指図も受けず、好きかってにやってるのが見え見え。後半は殺し合いで、希望の持てないラストなので後味は悪い。せめてアイッサが生きていればねえ。オープニングは凝った映像で期待させてくれる。ラストの実写も考えさせられる。本編は・・苦労が偲ばれる(←?)。

D.N.A.2

たぶん日本で一番長い「D.N.A.2」の感想。私以外の誰も書かないと思う(断言)。マーロン・ブランドやヴァル・キルマーの出ていたやつとは何の関係もないようだ。レンタル店に行くと「5」くらいまで並んでいるけど、これらも全然関係ないんだろうな。「2」はDVD出てないようだ。何で!吹き替え版ビデオしかなかったけど、マーク・ダカスコスが出ているからね。しかも主演らしいし、こりゃ見なくては。見る前は、遺伝子操作されて誕生したのが彼の役だと思っていたのよ。「1」にも出ていたけど、着ぐるみだから顔見えんかった。失望。この作品1997年頃だから、彼は30少し過ぎた頃。すばらしく美しい。白人や黒人とは違う美しさ。正直言って映画の出来は悪い。それはこの後書くけど。でも彼がうつるだけで、画面は清らかですがすがしくなる。雨でさっぱり洗われたような、浄化されたような、神秘的なものとなる。くっきりとしたみずみずしい顔立ち、さえざえとした澄んだまなざし、小柄だが無駄なものが全くない体つき。今回は吹き替えであることもマイナスにはならなかった。誰が吹き替えてるのか知らないが、静かで落ち着いていて、謙虚さの感じられる声。彼アッシュは北ボルネオの町で医者として働く。すべてのものが不足し、休みなく働いても状態は改善しない。何の希望もなく、疲れ切っているが、それでも働くしかない。かつては何やら研究し、成功するかに見えたが、それもだめになった。ある日ウェッシンガー(ユルゲン・プロホノフ)という男が現われ、熱心に口説く。オレの女になれ・・って違うがな!でもそうなってもおかしくないくらいアッシュは美しい。まわりのやつらは何にもわかっちゃいない。君の研究がどんなにすばらしいものか。世紀の大発見になるのに・・とか何とか熱く語り、こうすりゃいいのだと黒板に方程式をスラスラ。何で気がつかなかったんだろうとアッシュ君呆然。たぶん彼はとっても真面目で常識家。そのぶん、ぶっ飛んだ発想はできなくて。だから最後まで行き着くことができなかったのよ。逆にウェッシンガーは大胆な発想ができて。でも努力なんて人に任せて、おいしいところかっさらうのが得意なんだわ。

D.N.A.2 2

アッシュは元々人の善性信じるタイプ。彼の過去はウェッシンガーによってササッと語られるだけなので、はっきりしたことはわからない。幼くして親をなくし、ある部族に育てられた。成長後は医学をおさめ、研究がだめになってからはこっちへ戻ってきて、人々のために働いている。これは私の妄想だけど、両親はたぶん都会出身で、医療活動か布教活動か教育活動のためにここにいたんだと思う。で、事故か伝染病で亡くなってしまい、アッシュ一人取り残されたと。育ててくれた人達には恩返ししたい。彼はそういう恩義重んじるタイプ。お金や名声には興味がなく、他人を利用したり蹴落としたりしない。挫折し、明るい未来もないけど、誰を恨むでもないし、生活がすさんだりもしない。ウェッシンガーに焚きつけられた時も、すぐ心が動いたわけじゃない。でも彼が言うように、研究が成功すれば多くの人の命が助かるのも事実。で、探検隊が組織され、カブトムシ取りに・・。まあいろいろごたくが並べられるけど、要するに主人公がその気になって(だまされて)、ウェッシンガーをある場所へ案内すると。原住民の中にはおびえたり逃げ出すのもいて。ここらへんは「コンゴ」とかいろんな映画と同じ。封印された場所、何やら警告が刻まれているが、もちろんウェッシンガーは迷信・神話にすぎないと無視。パンドラの箱は開き、地面はゆれ、崩れ、あたりは大混乱。ここで不思議なのは、カブトムシを二、三匹取ったところでウェッシンガーが正体あらわし、アッシュ達を撃つこと。別にこんなところで正体あらわさんでも。気が早いと言うか。さらに不思議なのは胸を撃たれたアッシュが、何事もなかったように生き延びること。まあ撃たれたのに・・という点では「サボタージュ」の方が上ですけど。あっちは一発どころか・・。まあそのうち(いつだよ!)感想書きますけど。ウェッシンガーは別の場所でも何か見つけて喜んでいて。意味さっぱりわからんけどこれって宇宙人?二年後アッシュは元の場所で同じように働いている。君も懲りないなあ・・と言うより、彼の本質って変わらないのよ。ウェッシンガーが腐りきっていて、改心することがありえないように、アッシュの方はどんな目に会っても善性を失わないの。

D.N.A.2 3

人間不信にも陥らず、ぶれずに生きていく。私の書いてることおかしいですか?この映画の評価はとても低くて、確かにそうなんだけど。これからいろいろけなすわけだけど、でも出来とは関係ない部分ですばらしいところもあるの。つまりダカスコスを主役にしてくれたこと。彼が出ていることで、少なくとも私にはこの作品をやり過ごすことができないの。二年後の彼は髪が長くなっている。短いのも長いのも両方ステキよ。・・近頃奇妙な死体が運び込まれる。今日も少女の死体が・・。でもこれもよくわからない。警察も全然出てこない。一目でよそ者とわかる白人女も現われる。どうも彼女クレア(ロビン・マッキー)はCIAらしい。この時点でちょっとあちゃ~となる。ヒロインが安っぽかったりブサイクだったりすると、ただでさえチープな作品がいっそうチープになる。立ち直れないまま終わってしまうことになる。だからある程度はマシなの出してきて欲しいわけ。でもダカスコスとプロホノフという、いちおう知られたの揃えて、キャストに関してはそれでもう力尽きましたって感じ。ヒロインまで手が回りませんでしたって感じ。絵に描いたような金髪、白い肌のキャリアウーマン風、都会風ねえちゃん。汚れ仕事なんかしたことなくて、何でも経験ズミと自信持ってるけど、みんな机の上、シュミレーション。普通はこれに人の言うこと聞かない自己主張の強さが加わるけど、クレアはそこまでいかない。最初見た時はダカスコスの相手がこれかよ~とがっかりしたが、何回も見てるうちに慣れたのか、まあまあかな・・と。ジャングルに入るってのに軽装で、アッシュに着替えるよう言われ、真っ白なブラとショーツをちらりと見せる。唯一のお色気シーンですここが。ま、お色気シーンなんてなくていいんですよ。そのぶんアッシュが絶世の美女・・もとい、美人だから。いえ、目がおかしいんじゃないですってば。本当に美しいんですってば。クレアが盛んに写真とるんだけど、仕事と見せてアッシュをパチリ。いや、その気持ちわかりますって。さてクレアの言うことも、ササッという感じでよくわからないんだけど、要するにアッシュがもう一度出かける気になればいいわけ。

D.N.A.2 4

アッシュはあの時ウェッシンガーは死んだと思い込んでる。新聞にそう出てたから・・って疑うことを知らないアッシュ君単純。死んだのはアンタの方でしょッ!胸を撃たれたんだから。脱ぎたがりの誰かさんならここで上半身裸になって胸の傷見せるところだけど、アッシュは慎み深いからそんなことしません。あの時の探検隊は全滅したらしく、それもアッシュのせいにされてるらしくて。でも言い訳もせず耐えてる。いやホント、ここまで忍耐強く、表に出さないキャラも珍しいな。まあわめいたって何にもならないんだけど。ウェッシンガーはCIAに資金出させて何やら研究していたけど、ほぼ完成という時になって行方くらましてしまう。何だか「沈黙の激突」みたいだな。CIAの方もあんまり表沙汰にはしたくない。医学の発展のためではなく、ゆくゆくは生物兵器にというのが狙いなんだもの。ウェッシンガーにはそんなことはどうでもいい。彼の場合は単に金が目当て。セリにかけて大儲けする気。これに部下のローレンが話が違うとか言い出すのはおかしいのよ。だって日頃のウェッシンガー見てりゃわかるはず。うまくやったもん勝ち、自分がやらなくたってどうせ他のやつが同じことする、これはゲームだ・・。いさめたって無駄なのに延々しゃべり、キレたウェッシンガーに始末されるのもお約束。どこまでバカなんだローレンは。何でその場は黙ってやり過ごし、機会を見つけてアッシュ達助けるとかしないのか。まあそういうちゃんとした脚本でも編集でもないんだけどさ。何かあってもブチッと切れて次に移る。まるで民放で・・CM入れるためあちこちカットしたみたい。間が抜け落ちている。ちなみにローレン役のロジャー・アーロン・ブラウンは、「ミディアム」の「血の味」でも貧乏くじ引いていたな。さて、奥地へ向かうのはアッシュとクレアと一人ぼっちになってしまった少年マツ。病院に運び込んだのは彼の妹の死体だが、彼が一人で運ぶのは無理なのでは?妹にしては大きかったし、死んだのは遠くのはず。あッ、ほじくっちゃいけないんですよね。それにしたってこのマツも、二年前の例の騒ぎの時ウェッシンガーに撃たれて死んだ男の遺児・・とかさ。

D.N.A.2 5

そういうふうにすれば話がつながるのに。クレアも最初のうちは医療関係みたいなこと言っていて、そのうちCIAってことになって、何やらうやむやになっちゃったけど、元々は医者志望で免許も持ってるとか、そういうふうにすればいいのに。どうせアッシュとは(映画が終わった後)結ばれるだろうから、そういうことにしとけば何かと便利じゃん。今は彼一人できりきり舞いしてるけど、クレアが協力してくれればぐっと楽になる。ほんのちょっとの脚本の工夫でぐっと筋が通るようになるのよ。でもろくにまとまらないうちに製作始めちゃったって感じ。あるいは途中で大幅に変更されたのか。「D.N.A.」とあるから、見ている方はどうしたって頭の隅にブランドやキルマーがちらつく。全く「1」とは無関係とわかってもやっぱりこびりついてる。たぶんそのうち着ぐるみがうじゃうじゃ・・。それがアナタいきなりエイリアンプラスプレデターになっちゃうんだから呆れ・・いえ、びっくりよ~ん。しかもカブトムシでしょ、何が何やら。話を戻して、小舟で川を行くシーンはなかなかよかった。美しく雄大な自然。途中奇妙な小舟に遭遇。遺体が乗ってて、これって水葬礼?これも最初見た時は意味わかんなくて。そのうちある集落に着くけど、ここの連中が流したのだろう。村には普段敵対している部族も集まっていて。どちらにも犠牲者が出、共通の敵・・この時点ではまだ正体不明だが・・ということで、協力し合うことにしたらしい。夜クレアが一人でふらふら歩き回るのは、CIAとも思えん不用心さ。男が襲ってくるのも意味不明。こいつはウェッシンガーの手下だが、こんなところで何してる?CIAが追ってきたという情報でも?でもこの村にいるとまではわからないでしょ?あ、またほじくっちゃった。ここでたぶんダカスコス初めてのアクション披露。あッ、そうだ彼ってアクションスターだったんだっけ。美しさに気を取られ、すっかり忘れていた私。医者なのに何で?なんてほじくってもいけません。ちらりとだけど、アクション見れたこと素直に喜びましょう。村を出発した三人は、打ち捨てられた施設へ。ここが実はウェッシンガーの施設で、都合のいい流れ。

D.N.A.2 6

あちこちぐるぐる回り、はぐれたり一緒になったりで時間稼ぎ。マツはすぐふらふら歩き回るたちで、常にアッシュと一緒にいれば命落とさずにすんだかも・・あッ、ばらしちゃった!トンネルをぐるぐるというのはモロ「エイリアン」。また、モンスターから見た情景というのはモロ「プレデター」。ただ、熱感知性なのかどうかはわからん。ちょっとパソコンいじっただけで地球の生物じゃない、宇宙人だってことになって。するとウェッシンガー、あるいはCIAは、宇宙人という世紀の大発見を秘密にしていたと?最初の方で何か発掘してたけど、あれが宇宙人?あれからDNA取り出したの?宇宙人にもDNAあるの?いやとにかく宇宙人とカブトムシであれができたと?カブトムシのおかげでどんなものにも免疫があって、毒では死なない。究極の生物兵器・・そういうこと?あ、でもクライマックスではカブトムシ潰して、それがモンスター倒すたった一つの手段だと斧に塗って。でもネット(掲示板)見たら、水に濡れたから毒は落ちちゃったんじゃないの?って。あの毒効いたの?話を戻して、ウェッシンガーはモンスター作るのには成功したけど、逃げられてしまい、つかまえようと苦心しているところ。宇宙人は地球に来たくらいだから、宇宙船どこかにあるはず。知能もあるはずだが、とてもそうは見えなくて。と言ってエイリアンのような増えることしか考えてないタイプには見えん。寄生しないし、死体が残ってることからわかるけど、食べるわけでもない。増えないし。そこらへんはプレデタータイプなのか・・とにかく殺す!さて、施設内でばったり出会ったアッシュ達とウェッシンガー達。再会を喜ぶ・・はずもなく、と言って殴り合うわけでもない。アッシュはそんな人じゃない。あの時はよろめいちゃったけど、もう同じ間違いはしない。でも・・何度も言うようだが人間の善性は信じてる。まあ作り手がアッシュのキャラ考える時、そこまで掘り下げたとは思えない。ほとんどのキャラは見たとたん「あッ、こいつ裏切る」「あッ、こいつ犠牲者」・・顔に書いてある。でも手抜きしたおかげで皮肉にもアッシュは崇高な人物になっちゃった。よくあるでしょ、ものすごくしゃべるキャラ。

D.N.A.2 7

しゃべればしゃべるほど品格が落ち、説得力がなくなるんだけど、それでもしゃべる。しゃべっていなけりゃ人間じゃない、生きてるとは言えないという思い込み。そんなことない、黙っていたって心のうちは伝わってくる。見ている私達はそれくらい読み取ることができる。でも作り手は信用しなくてしゃべらせる。そのくり返し。キャラによってはあんまりいじくらない方が、寡黙な方がいいこともあるのよ。さてあれこれあって、とどめはハデな爆発。面倒くさくなったら取りあえず吹っ飛ばしておけ・・とばかりに景気よく。どさくさにまぎれてウェッシンガーまで吹っ飛ばしてるじゃないの。たぶん多くの人は、そう見えて実はしぶとく生き残り・・と思っただろうけど(私もそうです)、そんなことにはなりませんでしたとさ。単にウェッシンガーが爆発に巻き込まれるシーンの合成が、お粗末だったってことでよろしいでしょうか?これでモンスターもやられちゃえば映画終わりだけど、作り手としてはこれからがメインなわけ。余計なのいなくなったし、森の中だし、さあこれから「プレデター」ってなもんよ。保護色とか臆面もなくパクリ放題。南米にいたけど北ボルネオにもいました、もしかしたら南極にもいるかもよ~って感じ。で、マツが死んじゃうんだけど、これは流れとしては非常にまずい。けなげな、しかもかわいい子供が死んじゃうというのはテンション下がるわけ。見てる人全員ラスト、アッシュとクレアとマツというファミリーができていて欲しい。今までちっともいいことなかったけど、最後は幸せになれた・・というふうであって欲しい。その期待が砕かれる。作り手の狙いはわかる。マツが殺されたことでアッシュの怒りが爆発、もう誰にも止められない・・そういうふうに持って行きたい。さて、ここでアッシュが本当の意味でメインになる。やっていることはシュワちゃんのダッチやスタローンのランボーと同じだが、演じているのがダカスコスということで違いが出る。ここで初めて上半身裸になり、筋肉見せるが、見せびらかしているふうはなく、慎み深い。「プレデター」でのあのこれでもかと言わんばかりの筋肉の見せ方!マツの死に際して見せる感情の高ぶりも、あのランボーの醜態とは違う。

D.N.A.2 8

あっちの二人は多弁すぎる。肉の見せすぎ、泣き言の言いすぎ。アッシュはわめいたりしない。そんなことしたって何にもならない。鍛え抜かれた肉体や、特殊部隊のエキスパートみたいなサバイバル技術、戦い方知ってるのは、ただの医者なのにおかしい気もするが、彼を育てたのが原住民であることを、思い出して欲しい。キャラ設定、背景として生きているのってこの部分だけじゃないかしら。と言うか、見てる人の多くはアッシュの過去なんてもう忘れてるだろうけど。とにかく顔や体にあれこれ塗り、丸太を使って罠を作り、そのどれもが前に見たものだけど、ダカスコスがやってるってだけで私は満足。話はそれるけど、ここらあたりでのアッシュ見ていて思い浮かべるのは「プレデター」のビリー。あの映画見ていて、たいていの人はインディアンの血を引くビリーに、ダッチとは違う意味で期待したと思う。白人とも黒人とも違うものの考え方、感じ方。自然により近い存在。彼ならプレデター相手に何かやってくれそう。結局はやられるにしても(何しろシュワちゃんが倒すって法律で決まってますから)、一矢報いるはず。でも期待も空しく何も描写されない。「プレデター」を見て物足りなさを感じるとすれば、この部分で。何で省略したの?それはともかく、こちらでモンスター倒すのは白人でも黒人でもないアッシュ。変な言い方だけど、長年の借りを返してもらえた・・そんな気がしたわけ。彼が一人で戦い、原住民は何もしないのかと思ったら、少し(←?)助けてたな。あそこは何だか微笑ましかったな。斧の毒は効いたのやらどうやら。とにかくまたしても爆発で終わり。そう言えばアッシュ達がヘリに追われるシーンも最後は爆発だったな。困った時の爆発頼み。ヘリが墜落するところはモロミニチュアで、安っぽかったな。まあいろんな映画のコメンタリー聞くと、ヘリを使うのってお金かかるみたいなんだな。だからCGで代用したり、増やしたり、いろいろ節約・工夫する。本物墜落させるなんてとてもとても。だから見逃してあげましょうよ。すべてが終わって向かい合うアッシュとクレア。普通の映画ならここで初めてのキスとなるが、そうなりません。

D.N.A.2 9

どこまで慎み深いねん!・・と言うか、アッシュは今まで通りなのよ。クレアの方がアッシュに影響されてるみたい。自制することを覚えたみたいで、好もしい。彼女は明らかに彼に引かれている。そりゃ今まで自分のまわりにいた男とは全く違うタイプだし、神々しいほど美しいし。何枚写真とったんだ?私にも寄こせ!それにCIAのやり方にもうんざりしていたんだと思う。何が生物兵器よ!そんなことやってるからウェッシンガーみたいなやつに振り回されるのよ!・・と言うか、出世の見込みないんだと思う。こんなところへ一人で派遣されるくらいだし。「また会えるかな」アッシュはこう言うのが精一杯。疲れ切ってるし、マツのこともあるし(これから葬式だし)。「愛してる!」なんて浮かれるほどバカじゃない。でもアッシュの方も明らかにクレア見たとたん興味持ってた。強い生命力や前向きなところに引かれたんだと思う。「書類の整理に二、三週間かかると思うけど」と、クレアも遠回しにOKよ。数週間後にはアッシュの花嫁姿が見られるでしょう・・って違うがな!ボケはともかく、アホでクソな映画なのは確かだけど、珍しいほど純で清らかでぶれないアッシュのキャラが私には驚きで。何と言うか、こっちのテンションが下がっている時・・嫌なことがあったり悩みを抱えている時・・彼を見ると癒されるわけ。多くの挫折を経験し、今回だって人類救ったけど、そのことで名声もお金も得るわけじゃない。たぶん一生貧乏で働き通し。でもそれを静かに受け止めている。そんな彼のやり過ごし方が、悩んでいる我々のお手本になると思うわけ。逆らわず、でもぶれず。だから私はこれからも時々、アッシュに勇気もらいたくてこの映画見ると思う。たぶん作り手はこんなこと考えていないけど、そこが映画。作り手の見て欲しいところには目が行かず、手を抜いたところに生きる力もらってる。映画って不思議だね。ダカスコスを起用してくれてありがとう。美しさをフィルムに刻んでくれてありがとう。できることならDVDを発売し、メイキングやコメンタリーつけてください。今からでも遅くありません。よろしくお願いいたします・・って誰に頼んでる!