BRICK ブリック

BRICK ブリック

最初見ながら迷ってた。ここはどこ?大学?後で高校と知って驚いた。そりゃ大学ならもっと人数多くてキャンパス広くて。だから高校に違いない。でも連中のやってることって・・。授業受けてるところは一度も出てこない。どこでランチ食べるかにこだわってるけど学食出てこない。ぴかぴかの高級車・・アルバイトしてる者主要登場人物の中に誰もいない。お金を稼ぐとすれば・・クスリの売買。やってることが高校生のやることじゃなくて、暗黒街での話みたい。会話はこれで通じるのかと思うくらい省略したり遠回しだったり。大人の知的ゲーム・・って感じ?監督はこれが長編デビューで、サンダンス映画祭で絶賛されたんだと(あたしゃその評価には「絶」対「賛」成できない)。手法は・・何て言うのかな・・切り返しが多い・・とか?思わせぶりで、いかにも凝ってるでしょ、そぎ落としてるでしょ、でもまだ削り足りないんだよな~そんな感じ。まあ確かにデビュー作っぽい。いじくり回しこねくり回し詰め込んでいる。それでいてナチュラルでしょシンプルでしょ、ああオレって天才・・とかうっとりしていそう。いろんな謎がばらまかれる。観客の興味引こうとあの手この手。ストレートじゃ物足りない(お客がではなく作り手が)からひねくり回す。その結果あまりにもウソっぽくなってしまった。SF風味さえ漂う。まあどことなく「ドニー・ダーコ」思い出すんだけど、あっちはそれでも人間の持ってる悲しみのようなものが感じられ、やるせないんだけど、こっちは・・。出てくる連中がどうなろうと知ったこっちゃないって感じ?おまえら高校生なら高校生らしくちゃんと勉強しろッ!試合でオレを使ってくれないとわめき立てるアメフト選手・・クスリやってるって見え見えのアホなんて誰が使う?エミリーはブレンダン(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)ふったくせに電話で助け求めてくる。やっと会ったと思ったら忘れてと言い、今は死体となってブレンダンの目の前にころがってる。彼は警察にも届けず(「警察ははずす」・・って高校生のセリフかよッ!!)、一人で犯人捜し。まわりはみんなクスリに手を出しているけど、彼はそういう連中とは距離を置きたい。副教頭(リチャード・ラウンドツリー)と取引したり、手先のようなことをしたり。でも決しておもねっているわけではなく、むしろ彼の方が副教頭あやつってるような・・まるで暗黒街の一匹狼。

BRICK ブリック2

いったいどういう世界?エミリーには彼の気持ちは通じてない。束縛されるのはいや・・と離れていく。ブレンダンにとっては束縛ではなく愛なんだけど。少々自分かってという気もするが彼の気持ちはわかる。クスリなんかに頼らず生きていこうという姿勢。でもエミリーはだめだ。ただみんなの仲間入りをしたいというだけの頭の悪いふわふわとしたコ。いっぱしの悪を気取っている連中から見れば邪魔だし利用するのに都合のいい存在。後で妊娠していたことがわかるが、ドードもタグも自分の子だと思ってるし、ローラによれば実はブレンダンの子なのだそうだ。そんな身持ちの悪い芯のない、助かるチャンスがあってもどうしていいかわからないような女・・殺されてかわいそう、ブレンダン仇を討って~となります?ブレンダンもブレンダンで・・こういうどうしようもないようなののことがいつまでたっても忘れられず。犯人捜しは警察も教師も親も蚊帳の外。まるでどこかの組織の話のような・・かわされる言葉は暗号のような・・。雰囲気は思いっきりフィルム・ノワール。クライマックスはブレンダンが仕組んだ同士討ち。映像はきれいで俳優達の演技も悪くない。でも・・何度も言うようだが高校生ですぜ、ちぐはぐ感が漂う。麻薬取引の大ボス、ピン役でルーカス・ハース。足引きずってすごみきかせて。でもやっぱり童顔でかわいいボクチャン。ブレンダンの親友・・と言うかほとんどパシリのようなブレイン役がマット・オリアリー。いつの間にか手足のひょろっと長い青年になって・・あのフェントンがねえ・・(遠い目)。分厚いレンズのメガネかけて。図書館に入りびたってるけど秀才というよりオタク。情報通でブレンダンの他には友達いなさそうで、誰にもマークされてなくて自由に動ける。彼の「バッくれてやった」というセリフが印象的。「しらばっくれてやった」の略か。彼の自由さがなぜか自然で心地よい。他の連中があまりにも不自然なせいだろう。ラスト、ブレンダンはおなかの子の父親が自分と知ってショックを受けるが、見ている我々誰もショック受けないと思う。作り手はうまいしめくくりだと思ったんだろうが、そんなの予想つく。ブレンダンが自分の子じゃないかと思わないのがそもそもおかしい。てなわけであまりいい作品とは思わないが、ジョゼフの演技見てるだけで元は取れる。若いのにしおたれた感じで・・武田鉄矢氏に似ている。