Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
音楽を聞いたとたん、あ、「ゴッド・アンド・モンスター」に似ているな・・と。監督がビル・コンドンで主演がイアン・マッケランとくりゃ・・音楽はカーター・バウエルだわな。その後もずっとホームズ版「ゴッド」を見させられているような・・。背筋のスッと伸びた35年前と、今の縮こまった姿。ホームズは93歳で、ワトソンもマイクロフトもハドソンさんもすでに故人。結婚でワトソンが去った後、結局は最後となった事件を思い出そうとするが思い出せない。海の近くの田舎で養蜂をしながら静かに暮らす。老化防止にはローヤルゼリーと思っていたが、山椒の方が効くかも・・と、わざわざ日本へ。せっかく真田広之氏が出ているのに、ストーリーには何となくちぐはぐ感が。ホームズは時々記憶が蘇る。それを書き留める。ワトソンが書いたものは自分を有名にしたが、自分はこの件では事実のみを書きたい。ケルモットという男性が妻アンのことでホームズを訪ねてくる。二回の流産の後、鬱状態に。気晴らしにとアルモニカという楽器を習い始めたが、だんだん様子がおかしくなる。教えているシルマーという女のせいに違いない。ホームズがアンを尾行すると・・夫のサインを偽造し、銀行から金を下ろし、毒物を買い、夫の遺言を確認し、駅で男に会う。どう見ても夫の殺害を企んでいるとしか思えないが・・。ホームズだからと事件を期待していると肩透かしを食う。アンは夫がホームズを雇ったことは知っていて、わざと彼を引き回していた。毒は捨てたけど別の方法で自殺した。ウソでもいいからアンの孤独に寄り添ってあげればよかった・・と悔やむホームズ。傷心のケルモットはホームズにちゃんと礼金支払ったのかしら・・そんなことを考えてしまうくらい、アンのことは私にはどうでもいい感じで。気の毒とも思えないし。ケルモットは探偵ではなく医者に相談すべきだったのだと思うし。日本へ行ったホームズはウメザキ(真田氏)が父親のことで自分を恨んでいるのを知るが、全く覚えがない。途中でウメザキの父のこととケルモットのことがこんがらかって、何か意外な真相でも明らかになるのかと期待させるが、結局何もなし。最後の方でホームズがウメザキに手紙を書いていたけど、記憶が蘇ったのか。私はアンの自殺に懲りて、今度はウソも方便と作り話を書いたのかなと思ったんだけど・・。
Mr.ホームズ 名探偵最後の事件2
何でウメザキのことが出てくるのか、そのことからして私にはよくわからないんだけど。と言うか、山椒のことからして・・ってもういいか。広島の爆心地で見た、死者を悼んで石を並べることがラストシーンでのホームズの行動に繋がるのだが、見ている時には気づかなかった。ネットで読んでああそうか・・と。ホームズの世話をしているのはマンロー夫人(ローラ・リニー)。彼女は「ゴッド」のハンナのような役回りか。夫は戦死し、ロジャーという息子がいる。家政婦とは言え、もうろくし始めたホームズの介護までする気はない。病院か施設に入ればいいのだ。彼女は姉にポーツマスのホテルの仕事があると言われ、心が動いている。ロジャーがいつもホームズと一緒にいるのが気に入らない。息子は何を考えているんだろう。ロジャーは「ゴッド」のクレイのような役回り。と言ってもまだ子供だからまっさらの状態。彼との会話は、たぶんローヤルゼリーや山椒以上にホームズには効き目があったことだろう。最初真田氏が出演していると知った時には、彼がクレイの役回り?って思った。でも全然違ってた。ウメザキの母親も含め、日本のシーンで出てくる日本人は何となくうさんくさい。ウソっぽい。風景も室内もそうだ。ロンドンの風景も田舎の風景も美しく自然なのに。どうも見ていて乗れない感じなのだが、賢いロジャーの存在が救い。マッケランもリニーもいいが、ロジャーをやってるマイロ・パーカーがすばらしい。目が大きくてとてもかわいい。鼻がちょっと広がった感じで、成長した時にどうなるか心配だが(←?)、とにかくかわいい。スズメバチに刺されて倒れているのを見た時には、ホームズ以上にびっくりした。ゲッ、死んじゃったらどうしよう!マンローは逆上して、アンタのせいよ!アンタが刺されりゃよかったのよ!・・と、まあホンネでしょうけどそこまで言うかって感じ?でもまあ助かってよかった。マンローは面接に行って採用も決まったのにここに残ることにしたようだし、ロジャーはもちろんここがいいんだし・・。てなわけで何となくハッピーエンド。老いは止めようがないし、誰にでもやってくる。結局それと折り合って生きていくしかないのよね。医者の役でロジャー・アラムが出ていた。