次は、心臓を狙う

次は、心臓を狙う

ギョーム・カネは「ヴィドック」の時もそうだったが、一見普通に見えて実は異常という役が似合う。あれから10年以上たって彼も40を過ぎたが、さほど見苦しくはなっていない。がっしりして四角くなって、ういういしさはなくなり渋さは出てきた。「シックス・パック」風味かなと思って見ていたが、撃ち殺して捨てるだけで、死体損壊はなし。フランクはヒッチハイクの若い女性を車に乗せては銃で撃ち殺す。警官かなと思ったら、憲兵らしい。どこが違うのかな。犯行声明を送りつけるが、自分では正常だと思っている。洗濯婦のソフィーと親しくなるが、彼女に夫がいるのを知って驚いたりする。犯行を重ねるうちにはミスをし、ピンチに陥ったりするが、何とか切り抜ける。最初はそれなりに期待して見ているわけだが、そのうち退屈してくる。同じことのくり返し。音楽がうるさい。今の人達に音楽がつきものなのはわかるが、私にはわずらわしい。彼はなかなかつかまらない。まわりから見るとちょっとおかしいけど、仕事のストレス、疲れのせいと思えば、それもありかなと思える。憲兵が連続殺人鬼だなんて普通思わない。手にしている人相書が彼にそっくりでも、誰も彼とは結びつけない。最初の5分ほどを見逃したので、後で見たが、これは1978年に起きた実話を基にしているらしい。やっぱりそうか。そんな気がしたのよね。クライマックスが全然盛り上がらないのもそのせいか。フランクは指紋は拭き取るけど、唾液や尿には無頓着。78年じゃまだDNA鑑定はなしか。逮捕のきっかけとなったのは、勤務時間と犯罪発生時期の一致、ナンバープレートについた彼の指紋。ナンバープレートの方は私には意味がわからなかったな。何で素手で取り換えてるのかなとは思ったけど。警官が彼の自宅に踏み込むと、悪臭がし、部屋によってはゴミで足の踏み場もない。それ以前にはきれいに片づいているのがうつるので、フランクにはそう見えていたのか。でも、洗濯に来ていたソフィーは何も気づかなかったのかね。被害者の女性はみんな美人でかわいいが、これも彼にはそう見えていたってことなのかな。結局彼は精神に問題ありということで病院送りになったそうだ。やっぱり最後まで盛り上がらなかったな。