トランスポーターシリーズ

トランスポーター

「ミーン・マシーン」ではジェーソン・ステーサムとなっていたけど、「トランスポーター」ではジェイソン・ステイサムとなっている。けっこうヒットしたのだと思うが、私が行ったのは公開終了間近だったので、映画館はがらがらだった。実を言うと私はこういう雰囲気が好きなのだ。あのにぎわいはどこに・・というさびしい雰囲気が。まあ私の場合公開直後なのにさびしい・・ってことも多いんだけれど。冒頭、無人の地下駐車場に車が一台だけ止まっているのがいい。するりと滑るように地上に出てくるのがいい。車のことはさっぱりわからない私も、ああきれいだ・・と思う。この導入部分でもうこの映画に強く引きつけられてしまっているのに気づく。その後のカーチェイスは期待したほどよくないんだけれどね。主人公のフランクは運び屋だけど、品物だけとは限らなくて、銀行強盗の逃走を請け負ったりする。この仕事で思い出すのはライアン・オニール主演の「ザ・ドライバー」である。こっちはアメリカが舞台だが、イザベル・アジャーニが出ていて、ダークでクールな雰囲気がフランス映画っぽかった。登場人物には名前がなく、カウボーイとかプレイヤーなどと呼ばれるのもカッコよかった。「トランスポーター」もクールだけれど、「ザ・ドライバー」にくらべればずいぶん人間味豊かだ。ニースが舞台だから開放的で明るい。何より主人公にはフランク・マーティンという名前がちゃんとある。元軍人だということもわかる。身のまわりは整然とかたづき、余計なことはしゃべらず、彼を疑っているタルコーニ警部にもスキは見せない。「トランスポーター」は近頃珍しいくらい主人公のキャラクターに魅力のある映画だ。アクションなどやっていることはすごいけど、主人公自身にはさして魅力があるわけではない「トリプルX」とは全然違う。謎めいた経歴も興味深いし、一作で終わらせてしまうのでは何とももったいない。ぜひ続編を作って欲しいものだ。さて荷物を開けてしまったことからやっかいなトラブルに巻き込まれてしまうフランクだが、「ダイ・ハード」のブルース・ウィリスばりのタフガイぶりを見せる。見かけは(ヘアスタイルとか)よく似ているけど、あっちが文句や泣き言をたれっぱなしなのに対して、こっちは黙々と行動する。そこがいい。彼には仕事に関して自分に課した三つのルールがあり、どんな時でもそれを曲げない。

トランスポーター2

決められたルールに従って行動するということをフランクが学んだのは軍隊時代だった。ルールが正しければ仕事はうまくいき、時間も短くてすむ。仕事をする上での「指差し確認」とか「声かけ」とか「一覧表を作ってチェック」といった作業は、どんなに機械化されてもその仕事につく人間が省略してはならないルールである。まあフランクが自分に課した三つのルールは映画の宣伝文句のためにあるようなものかもしれないが、この映画で一番私の印象に残ったのはこの「ルールを守る」ということである。曲げられない、省略できないものは私にもある。さてステイサムのアクションは見ごたえがある。バスの倉庫で廃油をかぶって戦うところや、自転車のペダルを利用して戦うところはいささか行きすぎという感じもするけどね。それにしてもなぜライをバッグに押し込んでフランクに運ばせたのかな。薬で眠らせて車で普通に運べばすむことなのに。海から上がったフランクの体が全然ぬれていないとか突っ込みたいところはいっぱいある。そもそも自分に厳重に課していたルールを何であんなに簡単に破っちゃうのかね。まあ魔が差したんだろうけど。留置場で目覚めたフランクに「あと二、三日は頭痛がするだろう」とタルコーニが言うシーンがある。その後タルコーニを連れて留置場を抜け出したフランクが寄ったのは薬局。こりゃてっきり頭痛薬を買ったのだろう、だってその後のフランクは全く頭痛に悩まされることなく暴れまくっているのだから・・と思った。でも二回目を見て、買ったのは聴診器だとわかった。ところで冒頭の強盗達。フランクの次に雇ったヘボなドライバーのおかげであえなくつかまってしまう。名前は知らなくても顔はわかっているのだから、そっちからの捜査でフランクに警察の手がのびると思うんだけどな。スー・チー扮するライは美人でスタイルもいい。フランクと恋に落ちたものの、この後どうなるのかな。孤独を愛するフランクにはライはにぎやかすぎる。うまくいかないと思うよ、きっと。ストーリーはめちゃくちゃであんまりいい映画とは言えないんだけど、前にも書いたようにフランクというキャラクターにはすごく魅力がある。ステイサムは地味だけれどこの役にぴったりで、彼と美しい風景のおかげでこの映画は非常に楽しめた。続編作ってくれー。さて「レッド・ドラゴン」、今のところ八回見たぞ。でも今日で公開終わりなのよね。

トランスポーター2

「1」を見た時、このフランク・マーティンというキャラを、これだけで終わらせてしまうのはもったいない!・・と強く思った。そう思ったのは私だけじゃないようで、「2」が作られたのはうれしい!「1」よりおもしろいくらいで、ぜひシリーズ化してください。ファーストシーンからもうゾクゾクしちゃう。人気のない駐車場、ピカピカの車というのは「1」と同じで、ファンにとってはうれしい出だし。今回彼が運ぶのは荒っぽい銀行強盗などではなく、ナゾナゾの好きなガキんちょであります。続編に子供を持ってくるというのはよくあることで、あんまり子供を前面に出すと、私なんかは引いちゃいます(「ゾロ」みたいにね)。今回も設定聞いた時にはいやな予感がした。コワモテのハゲと男の子の組み合わせ?そりゃ絵になるけど、マセガキに振り回されるフランクなんか見たくないよ。でもジェイソン・ステイサム好きだし、それと今回は何とマシュー・モディン出てるし、見ないわけにはいかないわッ!まあこのガキんちょジャックはわりと素直な子で、フランクの言うことちゃんと聞く。車に敬意を払い、あいさつもする。まだ小さくて、悪人に首根っこつかまれてぶら下げられているところなど、まるで子猫のよう。ああいうの見りゃフランクだって何としてでも助け出す!・・って気になりますわな。とは言うものの、やはりアクション主体の映画なので、フランクと子供とのかかわりはさほど濃厚ではない。結果的にはそれでよかったと思う。ブルース・ウィリスみたいな子供を絡めた泣き路線は、ステイサムには似合わない。さてフランク・・仕事はばっちりパーフェクト、車はピカピカ、着るものはクリーニング仕立て(しかも予備もある!)、物腰はクールでエレガント。子供の送り迎えをしていても、漂うセックスアピールはどうにもなりません。今回も早速ジャックの母親オードリーに色目をつかわれる。危うし!フランク。オードリーは夫ジェファーソン(モディン)との仲がうまくいっていない。多忙なジェファーソンとは別居状態が続き、たまに顔を合わせれば子育てについて文句言われる。そりゃ頭にくるわな。その上夫とは全く別のタイプのセクシーハゲタフガイが運転手として雇われる。夫とは口ゲンカばかりだが、フランクはいやな顔一つせず愚痴を聞いてくれる。そりゃ舞い上がるわな。

トランスポーター2 2

お酒飲んで勢いつけて、夜フランクの家を訪れる。この時のフランクがピザの配達遅延に文句つけてる最中・・っていうのがおかしい。「金は払わんぞ」とか、けっこう短気。自分が時間をきっちり守る方だから他人のルーズさががまんできないのね。さて・・オードリーに誘われてもフランクは手を出しません。「1」でこりてますからね。それに相手人妻だし雇い主だし。オードリーもバカじゃないから気がつく。自分が求めているのは浮気相手ではなく、自分に敬意を持って接してくれる相手だってことをね。バリバリのアクション映画だけど、こういう節度のある描写がとてもよかった。フランクはただの臨時雇いで、子供の送り迎え以上の仕事は無関係なんだけど、その仕事ぶりによってジャックやオードリーに精神的な影響を与えているのよ。これは凄まじいアクション以上に、私には印象的だった。ところでオードリー、ついでにその上を行ってくれない?フランクが自分に敬意を持って接してくれたように、自分も夫にそう接したら?バカじゃなければジェファーソンはそれに気がついて自分の生活改めるかもしれない。気がつかないようなアホだったら見限って離婚してジャックと二人で生きてきゃいいのよ。今回はジャックの誘拐が起きてそれがきっかけで二人の仲が縮まったけど、相手を変えようと思ったら、まず自分が変わらなければならないのよ。それを忘れないようにね。今回感じたのは、フランクは相変わらずストイックで魅力的だけど、女性が今いちなこと。オードリーは好きになれないし(ジェファーソンの方に同情しちゃうのは仕方ないでしょ、演じているのマシューだし!)、ローラに至ってはサイテーゲス女。敵役として宣伝されているけど、彼女はそのへんウロウロしては銃をぶっぱなすだけで、本当の敵役はジャンニです。演じているのはヴィットリオ・ガスマンの息子アレッサンドロ・ガスマンだけど、あたしゃ髪を黒く染めたヴァン・ダムかと思いましたぜ。ジョン・ローンもちょっと入ってる。剣道の防具つけて現われた時にはどうなることかと心配したな。漢字のTシャツと同じで、外国人にとっては目新しきゃ何でもいいんだろう。全体を通してステイサムのアクションはいちだんとグレードアップ。ホースとか使ってジャッキー・チェンも顔負けの動き見せる。ここまでやれる人ってそうはいない。でも残念なことに「1」と同じでやりすぎちゃうの。

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フランクとジャンニが飛行機の中でゴロゴロころがりながら戦うシーンなんてものすごく大変だったと思う。思うけどハラハラドキドキはしない。墜落途中の飛行機の中でアンタら何やってるの、他にすることあるでしょ、バッカじゃないの?と言うか、遠心力で壁に貼りつけられるか急降下で気が遠くなるか、どっちにしろあんなに元気いっぱい取っ組み合いなんかしてられるわけがない。第一フランクはどうやって飛行機に乗り込めたの?テレポートしたのかよッ!飛行機はCGバリバリで安っぽく、ジャンニが身につけた解毒剤はあんなに激しく戦ったのに無傷らしい・・ありえん。アクションは本当にすごいのに内容はうすっぺら。両方ちゃんとすることはできないのかね。どうしても克服できない弱点のようなもの・・と言うか克服する気もないし、弱点だとも思わないんだろう。ローラは銃をかまえてぶっぱなす姿は絵になってるけど、銃がないと、銃以外で戦うとなると、とたんにでくのぼうになる。恐れるということがなく、ためらいもない。でも考える頭もない。フランクと戦うところなんか目も当てられない。ほとんど何もせず(ターザンごっこにしか見えない)自滅し、無能ぶりをさらけ出す。さすが演じているのがモデルだけあって(ケイト・ノタという人)見てくれだけなのよ。とは言え舞台はマイアミに移ったけどタルコーニ警部も出てるし、欠点はいっぱいあるにしても楽しめる快作だった。「1」よりずっといいのにあんまりヒットもしなかったようで残念。ラストシーンもいい。入院しているオードリーとジェファーソン。ジャックがナゾナゾを出すが二人とも答がわからない。面会に来たものの親子水入らずの光景を見たフランクは「ポテトだ」と答をつぶやき、その場を立ち去る。きっと彼が前ジャックに出したナゾナゾなんだろう。家族の幸せそうな情景はフランクにとっては無縁のものだ。車に戻れば早速仕事の依頼。フランクの目が鋭く光る。そう、これが彼の生きる世界。いやーカッコいいんですわ。「3」の実現待ってまっせ!フランクと同じくらいカッコいいのが車。高性能でピカピカでどこをとっても曲線。動きもくるくると自由自在でなめらか。美しいと言うより悩ましい。車のこと全くわからない私でもうっとり見ほれちゃう。車好きにとってはたまんないだろうな。出てくる女優達が揃いも揃って今いちなぶん、「美女な車」で魅せてくれまっせ!

トランスポーター3 アンリミテッド

WOWOWでやってたけど、どうも時間とか合わなくて見そびれていて。それでもいいやとのん気にかまえていたけど、ロバート・ネッパーが悪役だと知って急いでDVDをレンタル。ウッ、何だこの汚っくらしいねえちゃんは・・。映画全体が薄汚れて見えるじゃないか。今回はエココープとかいう会社がウクライナに大量の汚染廃棄物持ち込もうとしてうんたらかんたらというストーリーらしいが、彼女こそ汚染物質だっちゅ~の!フランク・マーティン(ジェイソン・ステイサム)というキャラを一回で終わらせるのはもったいないと思ったのは私だけではないらしく、「2」「3」と続いてくれるのはうれしいが、この女は何だ!「1」のライもいやだったけどこっちはもっといや。「2」にも変なの出てきたけど悪役だったし。今回はいつフランクがこの女張り倒すかと待っていたのに。彼がこんなのによろめくはずがないッ!せっかくのネッパーもあまりよくないわ。いくら考えてもわざわざフランク雇ってこの汚物運ばせる意味がないのよ。自分で運べる。女にくどくど言い訳並べていたのもバツ。べちゃべちゃしゃべったのでは大物悪党に見えないの!途中で警察の車が襲われ、警官が殺されるけど、襲ったのは女の父親(ウクライナの環境大臣)が娘救うため雇った連中。GPS奪うためらしいけど、こんなことしてそれじゃあネッパー達と変わらないじゃないか!大臣も悪党一味じゃないか!女は働きもせず夜毎遊びまくり、クスリもやってるし、それをウオッカで流し込んでハイになってるし、コンビニでは○○するし、フランクが腕っぷし強いと見ると、とたんに目を輝かせ色気づくし、フランクの仕事邪魔するしホントもうどうしようもないバカ女。車のキー見せびらかしフランク困らせ・・おかしいなあ・・何も思いつかず困って言いなりになるような彼じゃないのに。何でバシッと蹴り倒さないのか(手は届かなくても足なら届く)。そんなこんなでストレスのたまる映画。カーアクションやファイトシーンは手慣れた感じでいいし、フランクとタルコーニ(フランソワ・べルレアン)の釣りバカコンビ(?)もほんわか楽しい。これでヒロインさえまともだったらねえ・・。首の後ろにはなぜか「安」の刺青。映画見た日本人全員首傾げたと思う。で、全員納得したと思う・・「安物」の安か!裸にすりゃどこかに「馬鹿」とか「阿呆」って彫ってあると思うよ。

トランスポーター イグニション

これもず~っとほったらかしにしていた映画。何かもうそんなのばっかだけど、時間がないのよ~。1995年のコートダジュール。カラゾフが誰かのシマを乗っ取り、女達を配置。そのうちの一人がアンナ。近くにいた若いのがカラゾフの目に止まって連れていかれる。アンナはお払い箱、これからは他の女同様体で稼げというわけだ。15年後、フランクが父親を領事館へ迎えにいく。フランク・シニアは退職してこれからは年金暮らしだが、その金額の少なさよ。フランクのところへ仕事の電話。依頼人はアンナで、他の三人・・ジーナ、キャオ、マリアと組んでカラゾフに復讐してやるのだ。四人して金髪のカツラ、黒いドレス着ていることが多く、区別がつかない。これは彼女達の作戦。三人と見せて、実は四人いるわけ。カラゾフの帳簿を盗み出し、彼の口座からアンナの口座へ送金して、大金をせしめる。手下達には、カラゾフが女達を使って金をちょろまかしたと思わせ、仲間割れさせる。でもそんなのはどうでもよくて、要はカッコいいアウディ。トンネルや空港のターミナルビル、滑走路でのカーアクション。銃を使わないフランクの、そこらへんにある道具を使ってのキレのいいアクションが見どころ。フランクだけでなく、シニアもいい味見せる。二回も拉致され、その度にフランクが救出に向かうはめに。ちょっと抜けたところがあって、女にヨワイ。彼はスパイだったらしいが、行く先々で女こしらえていたんじゃなかろうか。機長に化けたり、撃たれたジーナをありあわせのもので救ってしまうなど、機転もきく。この作品はだからシニアの存在、活躍によって単調さが補われ、見ていて楽しめるものになっている。フランク役エド・スクレインは知らない人。ステイサムに似せるためか不精ヒゲを生やし、しゃがれた声でしゃべる。体もよく動くし、悪くはないけど、唇がいやに赤くて、線も細い。シニア役はレイ・スティーヴンソン。ラッセル・クロウ似。一人生き残ったアンナが、三人の家族にそれぞれ大金を送るラストは気持ちいいが、その大金のせいでたぶん家族の運命は悪い方へ転ぶと思う。それにしても・・15年たったのにみんなシワ一つ、贅肉一つつかず、そのまんま。ありえないっしょ。