扉の影に誰かいる

扉の影に誰かいる

これは大昔テレビで見たような気もするが、記憶はおぼろ昆布。公開当時はあんまり評判よくなかったような。チャールズ・ブロンソンにはこういう役は似合わない。この頃の彼は映画出まくりで、奥さんジル・アイアランドとも共演しまくり。要するに飽きられ始めていて。ジルは美しい金髪でお目目ぱっちりでお人形みたいにかわいくてスタイルもよくて。それなのにどの映画でも目を見開いてのびっくり顔。全然魅力なくて単調。ローレンス(アンソニー・パーキンス)は精神科医。ま、人の頭の中いじくってるうちに、他人操って・・なんてよからぬこと考え始めたんでしょうな。仕事熱心すぎて妻フランシス(アイアランド)はポールと浮気。仕返ししたいが、自分の手は汚したくない。ある日記憶喪失の男(ブロンソン)と出会い、うまくだまして自分の代わりにポール殺させようと・・。意外だったのは、ほとんどローレンスの家で展開すること。まるで舞台劇。あっちの部屋こっちの部屋、ドアやカーテンを開けたり閉めたり。パーキンスやブロンソンの髪がちょっと長めで、そこが1970年代風。男はどうやら女を襲って殺したらしい。さすがは精神科医、男を精神分裂症と即見抜く。正直言って退屈な内容。登場人物の誰にも共感できない。ローレンスはこんな回りくどい方法取らず、さっさと離婚すればいいのに。そのうち男は精神病院からの脱走患者とわかる。でも何で銃を持ってるの?何で記憶失ったの?ローレンスはポールを自宅へ呼び寄せるのに成功。でもフランシスもついてきちゃった。あの~彼は妻をどうしたいわけ?ポールを始末すりゃ妻の心が戻るとでも?気の毒だったのはポール。殺されてもフランシスはろくに悼みもせず、これってすごく変。完全犯罪企んでるわりにはローレンスは一部始終をテープに吹き込み・・こんな証拠となるものなぜ残す?と思ったらラスト、フランシスの前に置き、君次第だ・・みたいな。おまえらみんなアホか!と腹の立つ映画。彼らがどうなろうが知ったこっちゃないわい!たぶんこの映画の見どころは、男が海岸で女を襲うところと、フランシス襲うところ交互に見せるシーン。執拗で、すごく不快。こういう単純で暴力的なイメージがブロンソンにはある。でもジルの闘病記での彼は、彼女の病気知って彼女以上におびえ、途方にくれる。記憶を失い、どうしていいかわからずにいる男は、案外素のブロンソンに近いかも。