沈黙のテロリスト

沈黙のテロリスト

これはだいぶ前にWOWOWで一度見た。さほど長くないし、そんなに印象悪くもなかった。ネットで調べたらみんなしてクソ映画、最低映画と酷評の嵐。残念がってると言うより、みんな怒ってる。特に劇場で見た人やレンタルした人は腹が立つだろうなあ。見に行く人や借りる人は、決してトム・サイズモア目当てじゃないと思う。トムには悪いけど日本では知名度低い。じゃあデニス・ホッパー?いやいや2001年と言っても彼の年齢じゃセガールとの対決は無理。オープニングクレジットではセガールはサイズモア、ホッパーに続き三番目。たぶんこの時点で、見ている人は一抹の不安を感じる。映画が進むにつれ、その不安は現実のものとなる。しまいにゃ悪夢だ。全然動かないセガール。いつになったら動くのか。動かないのではセガールである必要がない。やっと腰を上げたのは1時間15分過ぎ。ところが・・暗くて何もわからない。何をどうしているのか見えない。しかも細切れ、しかも画面揺れまくり。何と言うか・・失望すると言うより、怒りにふるえると言うより、首を傾げちゃうんだよな。理解不能な世界。見に来てる人は、レンタルした人はセガールのアクションが目当てなわけ。爆発や銃撃戦見たいのなら他にいくらでもある。でもセガールのアクションはセガールの出ている映画でしか見られない。だから来るんだし、借りるんだし。それを見せないと言うのは・・アクションをわざわざ見えなくするというのは理解できない。ファンに意地悪してるとしか思えない。たとえ短くても目の覚めるようなアクション見せてくれていたら・・多くの人は満足したと思う。多くの人が書いているように、セガールファンは低いハードル設定する。その低いハードルよりさらに低レベルの映画出してくる。そうなるともう何のために映画作ったのかそれすらわからない。この映画ではいくつか深い意味のありそうな言葉が発せられる。「落ちるところまで落ちたら、あとは上がるだけ」とかさ。でもみんな思うわけ。「落ちるところまで落ちたけど、実はまだ下があったぞ」ってね。2001年でセガールのこれ以上ないくらいの最低映画は出た!とみんな思ったけど、安心するのは(←?)早かったわけよ。

沈黙のテロリスト2

少なくともこの映画でのセガールは見苦しくない。この後♫むくんでひらい~て・・じゃない、肥満して肥大して膨張して画面からはみ出すことになろうとは・・。10数年間ファンは待ち続けた。いつかダイエットする気になってくれる。いつかダイエットするはず。そうすりゃまだ動ける。セガールならできる。武道の修行に比べればあなた、ダイエットなんてちょちょいのちょい。でも・・だめでした。動けなくてもファンは見に来てくれる。許してくれる・・と、学習しちゃったようです。セガールを甘やかした我々が悪かったのです(何のこっちゃ)。そろそろ映画のこと書きますかね。冒頭上院議員が人質に取られて騒然とした雰囲気。身代金は100万ドル。地下には爆弾。爆発したら上にいるテロリスト達は困ると思うが。全体的に何がどうなっているのかはっきりしない。その後に起きる混乱も、警察側、テロリスト側、人質側、てんでんばらばらで、やたら撃ったり爆発したり。セガール扮するグラスも別撮り感ありありで存在が浮いている。そのうち1年後のサンフランシスコ。レイ(サイズモア)は麻薬担当。相棒のファジーには「おまえの中の悪魔を自由にしろ」などと言われるが、妻子を爆弾でなくすというつらい過去を持っている。いつも心の中にモヤモヤを抱えている。悪魔ってこのモヤモヤのことかな。と言うか、あまり深く考えちゃいけないのかな。ファジーは早々に殺されてしまう。演じているナズはラッパーか。顔は悪くないが、早々の退場は正解。リリー役のチリもミュージシャンか。いくらそっちの方で知られていても、演技となるとまた話は別で。相棒を殺された上、怪しい男達には逃げられるが、女はつかまえる。レイは男達を目撃したのにモンタージュ写真も似顔絵も何にもしてない。後でグラスを現場へ連れて行くが、グラスはそこでマッチと吸い殻を拾う。ここで刑事が殺されたってのに、鑑識も呼んでいないのか。女はクレア(ジェイミー・プレスリー)と言い、最初は黙秘しているが、そのうちしゃべり出す。夫ブランドンは建築家だったが事故死。彼女は夫が土壌汚染告発絡みで殺されたと信じており、今回の行動はその復讐のためらしい。いくら夫を愛していたからって、爆弾で無関係の人を無差別に殺しまくるというのは、おかしいと思うが。

沈黙のテロリスト3

我々は当然スワン(ホッパー)がテロリストのリーダーだと思って見ているから、彼女が黒幕と知って驚く。でもテロリストの一団を雇うには巨額の資金が必要なはずで。いくら夫が売れっ子の建築家だったと言っても、無理なんじゃないの?いやいやそんなことほじくっちゃいけないのか。レイは麻薬班だから殺人事件の捜査は部外者。でも、ファジーの仇を取りたい。ウィンタース警部(ジョー・スパーノ)に無理を言って、捜査に加えてもらう。アーティ(ピーター・グリーン)はレイがでしゃばるのが気に食わない。いろいろ衝突するが、後でレイに命を助けられ、アーティはあやまる。ここらへんはお約束だが、見ていて気持ちがいい。スパーノは「NCIS」に何回か出ている。グリーンもよく見かける。目のあたりなどキリアン・マーフィによく似ている。いやなやつの役が多いが、本来は二枚目だと思う。と言うか、この二人とかサイズモアとかホッパーとかキャストは意外と豪華。アイスTも出ているらしいが全然わからない。キャラでよかったのは女浮浪者。しゃべる時ケータイをかけているような手つきをする変わり者だが、記憶力ばつぐんで、レイを助けてくれる。まあ要するにこの頃はまだ、何人かは名の知られた人を使うことができたと・・。今は・・相変わらずテレビで放映されてるけど、録画はしてもなかなか見ない。忙しいせいもあるけど、何を見せられるのか、最後まで耐えられるのかっていう恐れもある。さて、何とかしようとあせるレイだが、爆発物処理班のグラスはするりとかわしてしまう。「捜査は自分達の仕事じゃない、捜査してから来い」・・これは正論だが、いくらもたたないうちにグラスはあっさり考えを変え、レイを自分の班に入れる。ヤケになっているレイのせいでかえって犠牲者が出る、だったら自分の目の届くところに・・と思ったのだろう。ゆったり構えて、何事にも動じないグラスのキャラはいいと思う。他の映画では「こんな性格のセガール見たくない」なんて思ったりするが、このグラスは〇。それだけに残念なのだ。顔もすっきりしてるし、笑顔もいいし、体もまだだぶついていない。それなのになぜ動かない。

沈黙のテロリスト4

スワンはなぜかクレアに執着する。どういう計画なのかはっきりしないが、仲間の二人は死に、スワン一人になったのかなと思っているとテロリストチームが出てくる。あれこれあって・・と言うのもストーリーいいかげんなので書いても仕方ない・・と言うか書けない・・と言うか書きたくもないのだが、スワンはあっさりクレアに殺されてしまう。あんまりあっさりすぎるので、「やる気があるのか」などと怒られるはめに。いや別にホッパーが悪いわけでは・・。ブランドンが設計した新市庁舎のお披露目がクレアの標的らしいが、今まで明るかったのにいきなり夜になる。どう見たって冒頭の上院議員なんちゃらの場面と同じとしか思えない。おまけにテロリストグループと制圧のため送り込まれたチームの区別がつかない。何がどうなってるのか、何もどうもなってないのか、全然わからん。グラスの前に現われた敵は、何もしないうちにやられる。グラスが屋上で気化爆弾とやらを解除、経験ゼロのレイが地下で爆弾を解除。見ている者は思う。時間が来るのは地下の爆弾の方が先。地下のは市庁舎をメチャメチャにするのが目的のはずで、いくらビルとは言え、爆発したら屋上にも影響があるのでは?グラスが言うには気化爆弾の方が強力らしいが、何で二つも仕かけるんだ?解除なんて・・とびびるレイにグラスは、「死は次の段階」とか「魂は生まれ変わる」とか、ありがたいお言葉をかけて、気を静めてくれる。まあそこまではいいけど・・環境破壊反対なんて言い出したら怒るけど・・ラストは「愛は永遠に」とかわけのわからんこと言ってる。実に盛り上がらない、実にしまらないクライマックスアンドエンドシーン。たぶんレイは妻子の死や相棒の死から少しは抜け出せたのでは?グラスはミスで部下を失った過去がある。今回もプーチが犠牲になった。でも乗り越えていかなきゃならない。プーチの奥さんはまだ若いし、子供は幼い。普通ならレイかグラスが慰めるところだが、結局事件が進行中ということもあって、そんなヒマなかったな。・・てなわけでやっとラストにたどり着いたぞ。ひどい映画にゃ違いないけど、「セガールは脇役」と無理にでもインプットすれば、何とか見ていられる。こういうキャラで主役っていう作品、この後あるのかな。あるといいな。動いてくれたらなおのこといいな。