テンタクルズ

テンタクルズ

こういうのってなかなか見る機会がないからね。出来はどうでもいい。たぶんあんまりよくないと思う。それにノーカットじゃないし、吹き替えだし。吹き替えでも字幕ついてると助かるんだけど、それもなし。カリフォルニアあたりの海岸道路。ひっきりなしに車が通る。タクシーとかで無線を使う。ラジオも聞く。最初はわからないけど、この飛びかう無線てのが大ダコの出現に関係しているらしい。母親が化粧しながら赤ん坊に話しかける。ウム、このシーンで悪い予感。そのうち赤ん坊ほっぽり出して道路を横断し、女友達とおしゃべり。行きかう車の向こうに見える乳母車。いつ消えるかないつ消えるかなと観客は期待する。普通の車じゃすぐ通り過ぎちゃうし、窓から向こうが透けて見えるからダメ。ん?大きいのが来たぞ。向こうが見えないし、通り過ぎるのに時間かかるし、ここだな。案の定通り過ぎると乳母車はなくなってる。母親のこと気の毒だなんて思わない。目を離したアンタが悪いッ!次に義足のビルが犠牲になる。次にいちゃつくカップルが・・と思ったら、ビルの死体が浮かび上がって。赤ん坊の死体も見つかったらしい。興味を覚えたのがターナーという老人。この人が海洋学者か何かで、大ダコの退治方法見つけるのかなと思ったら違った。彼は新聞記者。ずいぶん年寄りの記者だなあ。演じているのは「マルタの鷹」や「アフリカの女王」などの名監督ジョン・ヒューストン。この映画の頃は71歳くらいか。妹ティリーがシェリー・ウィンタースで、こちらは太りすぎ。映画を見ていても何が何だかさっぱりわからない。ネットで少し調べてみる。トロージャンという建設会社があって、海底トンネルを作っている。まあ我々の年代だとトロージャンと言えばスーツだけど。ジュリアーノ・ジェンマがCMに出ていたやつ。トロージャンの社長ホワイトヘッド(ヘンリー・フォンダ)は、海洋学者ウィル(ボー・ホプキンス)に何やら調査を依頼している。ターナーは怪死事件にはトンネル工事が関係していると思っているが、保安官のロバーズ(クロード・エイキンス)には相手にされない。調査でもぐった二人も死亡。海底には逆さまになって死んでいる多数の魚が。ここは変わった映像で、びっくりする。

テンタクルズ2

トロージャンで使った電気振動装置の影響で、大ダコが目覚め、狂ったのもそのせいらしい。ウィルにはマイク(アラン・ボイド)という助手がいて、二人でシャチの研究でもしているのか。ウィルには美しい妻ヴィッキー(デリア・ボッカルド)がいて、彼女に最初に会ったのが夏、結婚したのが冬なので、シャチにはサマー、ウィンターと名前をつけた。彼は潜水病にかかったので、今はもぐらない。それでいて後で大ダコを退治するためにもぐる。そのうちヴィッキーの妹ジュディが、夫など二人の男性と共に犠牲になる。ここらへんの描写もぐだぐだしてかなりひどい。何人か出てくる男性がみんな同じ顔をしていて、誰が誰だか見分けがつかない。ジュディを捜していたヴィッキーも、沿岸警備隊の二人と共に犠牲になり、ウィルは悲しむ。いちおうみんな無線を使っていたと描写される。ところでこの映画の主役は誰なんだろう。最初はてっきりターナーだと思っていた。ターナーと大ダコなら「老人と海」風味でいける。でも彼はそのうち出てこなくなる。代わりにウィルが出てくる。悪役もてっきりホワイトヘッドだと思っていたら、実は副社長のコーリー(チェザーレ・ダノーヴァ)が勝手に基準を超えたテストをやっていたとか何とか。ただ、具体的なことはほとんどわからない。放映時間の関係でカットされているのかもしれないが。ダノーヴァは「特攻ギャリソン・ゴリラ」のアクターだ。あの時よりこの映画の方が若く見える。エイキンスも西部劇や戦争物が多く、いつもなら汗やらヒゲやらでむさくるしいのだが、今回はすっきりした顔していた。まあダノーヴァとエイキンスのクレジット見た時点で、録画しといてよかった!と思ったわけで。結局ホワイトヘッドはどうなったのかな?トンネル工事は?見ていてもつながりが悪く、モタモタゴタゴタ。それにも増してひどいのが音楽。いかにもな感じで流れるが、統一感がなくバラバラ。おまけに耳ざわり。さて、こういう動物パニック映画と言うと、水着の美女が犠牲になるか、そうでなければ子供達。今回子供達のヨットレースが行なわれていて、ターナーも保安官も知らんかっとってんちんとんしゃん状態。大ダコが現われてレースは大混乱。もっとも今と違ってCGはないし、ついでに予算もないと思われる。

テンタクルズ3

画面が止まったり(デッキが故障したのかと思っちゃった)それらしき工夫はしているものの、いらんことしてるとしか思えない。ティリーは自分の子供に無線を持たせる。レースに出場する子はみんな持たされるのかと思ったら違うようだ。で、さんざん無線で呼びかけるからますます大ダコが張り切って(たぶん)襲ってくる。見ているお客は、ティリーこそ真っ先に吸われちまえばいいのにとイライラしたことだろう。大ダコは人間を食べると言うより、髄液や軟骨を吸い出すらしい。文字通りうまい汁を吸うわけだ。ところで体のどこから吸い出すのだろう?子供達のうち犠牲になったのはティリーの友人の子供の方。ここらへんは気の毒で後味が悪い。そんなこんなでウィルはとうとうマイクと二人で大ダコ退治を決意する。不思議なのは他に誰も協力しないこと。ただ、ここで登場人物がウィルとマイクの二人にしぼられたことで、いくらかマシになる。それまでは散漫すぎて・・。ホプキンスは横から見るとクシャッと押しつぶしたような顔立ちで、デヴィッド・マッカラムに似ていなくもない。ボイドは目がパッチリとしていて、ホプキンスよりもハンサム。どうやらウィルは大ダコ退治にシャチを利用しようと思っているようだ。と言っても戦わせるんじゃなくて、大ダコの居場所、接近を知らせてもらうつもりらしい。研究を始めた頃は彼らの声はただキーキーとしか聞こえなかった。その後いくつかの段階を経て、今では彼らが何をしゃべっているのかわかるまでになった。彼が話しかける言葉の意味も彼らにはきっと通じているはず。役に立ってくれるはず。ウィルは、大ダコは人間の味を知ったからまた現われると思っている。マイクは大ダコにだって防衛本能があるから、もう帰ってこないのではと思っている。船が大揺れするので、大ダコが襲ってきたのかと思ったら・・。船にはシャチを入れた容器を接続していたけど、それがはずれて二頭は海の彼方へ。二頭は逃げ出したのか。大ダコは関係ないのか。よくわからんが、ウィルは気を取り直す。こうなったら二人でやるだけだ。

テンタクルズ4

この後水中銃を持ってもぐるが、普通の映画ならこれには毒が入ってるとか、強力な麻酔が入ってるとか、当たると爆発するとか、威力についての説明があるところだが何もなし。もぐってしばらくして片方が崩れてきた岩の下敷きになって動けなくなる。よくわからんが大ダコの仕業か。崩れてきたのに気づいたらすぐ逃げればいいのに、何をモタモタしているのだろう。よくわからんが埋まったのはマイクの方か。わからんことだらけ。まずいことに空気が漏れている。で、ウィルが助けに向かう。大ダコの方は・・逃げたと思われたシャチが戻ってきていて、猛然と大ダコに食らいつく。クライマックスだ!ヨットレースに続いてのスペクタクルシーンだ!・・でもなあ、シャチがぬいぐるみに見えるんですけど。何とかそれらしく見せようとしているけど、あまりそれらしく見えないシーンが続き、大ダコは足を食いちぎられ、シャチの勝ちのようです。ウィルは何とかマイクを救出。結局人間は何もできず、何もしないまま、水中銃は使われないまま戦いは終わったのでありました。そうか、この映画の主役はシャチ二頭だったのか!!その後は・・船に戻ってやっと一息かと思ったら、騒動の始末がいつの間にやら全部ついて、だからたぶん数日後の二人。この間の描写があるのか、時間の関係でカットされたのかとにかく間があいてる。調べたら元々は102分あるようだ。放映時にはたぶん10分くらいカットされるだろう。ただ、この映画の場合、ノーカットで見ても疑問点は解明されないと思う。いっそうモタモタグダグダすると思う。二頭はあれ以来姿消しちゃったので・・おなかいっぱいになったからかな・・ウィルは今度は海じゃなくてアフリカへでも行こうかなんてマイクと話す。そこへまた二頭が現われるので、きっとまたシャチの研究に戻るのだろう。ちゃんと戻ってくることわかったから、これからは放し飼いにするかもね。この映画はこき下ろしている人が多い一方、好きだという人も多い。私なんかも、悪口満載でスラスラ感想文が書けるけど、それでいて嫌いになれない。何でかな。まあせめて音楽だけでもまともなら・・と思わずにはいられないけどね。