ダイヤルMを廻せ!
見るのは初めて。舞台はロンドン。トニー(レイ・ミランド)は元テニス選手。妻のマーゴ(グレース・ケリー)は資産家で、一年ほど前アメリカ人の推理作家マーク(ロバート・カミングス)と浮気したらしい。トニーが引退すると言い出したのをきっかけに、二人は別れたようで。でもマークはその後も手紙を送り続け、マーゴはその度に焼き捨てていたが、一通だけはバッグに入れていた。少し前そのバッグが盗まれる。しばらくして戻ったが、手紙は消えていて、ゆすりめいた手紙が二通来る。そんな頃またマークがロンドンへ。二人の仲は再燃か。でもマーゴは夫とやり直す気のようにも見えるが。一方トニーは大学の同窓生スワン(アンソニー・ドーソン)を見かけ、尾行して調べ始める。昔から手癖が悪く、今も後ろ暗いことやってる彼に、マーゴ殺害を持ちかける。金欲しさにスワンは承諾。トニーはアリバイ作りのためにマークとパーティへ。ところが襲われたマーゴは反対にスワンを殺してしまう。私はリメイクの方を先に見ていたので、スワン本人が来たのにはびっくりした。トニーは計画が狂ってあわてるが、何とか細工して最終的にマーゴが疑われるよう持っていく。つまり、手紙のことでゆすられ、スワンを呼び寄せといて殺したのだと。マーゴは裁判で有罪になり、死刑を宣告される。彼女が死ねば財産はトニーのものだ。一方ハバード警部(ジョン・ウィリアムズ)は、妻の逮捕直後からトニーが金を使い出したのに目を付ける。スワンが死んだため、残金を払う必要がなくなり、用意していたお金を、あちこちにたまっていた支払いに使ったのだが、何でもうちょっと大人しくしていられないのかな。ささいに思えることも根気よく調べるハバードはコロンボを連想させる。彼の、素人にだまされてたまるか・・みたいな気概が頼もしい。そりゃ関係者がウソをついたり、隠したりするとあっては腹も立つだろう。そんな障害を乗り越えて真実に行き着かなきゃならないんだから、警察も大変だ。全体的にリメイク版のようなドロドロ感、せっぱつまった感はなく、他人事のよう。セリフが多く、何でも説明するせいか、現実味がない。
ダイヤルM
これはだいぶ前に一度見ているが、グウィネス・パルトロウの美しさ以外は何も覚えていない。美しいと言っても彼女の場合しょっぱいような、すっぱいような顔立ちで、グレース・ケリーの美しさとは種類が違う。短めの金髪が白や黒の衣装に、赤い口紅が白い肌によく映える。何よりもまだ若い。スティーヴン(マイケル・ダグラス)は妻エミリー(パルトロウ)の殺害を、彼女の愛人デヴィッド(ヴィゴ・モーテンセン)に持ちかける。デヴィッドは画家だが、エミリーには名前や過去を偽っている。金持ち女専門の詐欺師で、服役経験もあり、実は今も逃亡中。彼が承諾するのは金が欲しいから?スティーヴンは破産寸前。エミリーは資産家なので、離婚を切り出されるのは困る。彼女が死ねば財産を相続できる今のうちに殺害を実行しなければ・・。彼は確実なアリバイを用意する。犯行時刻に電話をかけ、エミリーが襲われるのを聞いている。この電話が後になって何か関係してくるのかな・・と思ったが、何もなし。エミリーは相手を殺すが、駆けつけたスティーヴンは彼女が生きているのにびっくり。殺されたのが見知らぬ男だったのにまたまたびっくり。デヴィッドの方は、運び出される死体をエミリーだと思い込んでいるから、電話がかかってきた時にはびっくりする。自分の手は汚したくないからと、知人に頼んだわけだが、その知人が死んだことは何とも思っていないようで。一度はエミリーを死なせた・・と後悔しているように見えたので、生きているのがわかって改心するかと思ったら・・。スティーヴンとの会話を録音し、ゆする。うまく金を手に入れると、さっさと旅に出るが、テープのコピーをエミリーに送る。この映画を見ていて引っかかるのは彼の心理である。エミリーと恋仲になったとしても、結婚までは無理だ。いずれは過去がばれる。普通なら画家として売り出すための資金をねだるとかするはずだが。純粋に愛しているのならスティーヴンの依頼は断るはずで。金に困り、追いつめられているスティーヴンに、依頼された仕事もせず、ゆするんだから、彼に殺されても自業自得。カラマン役でデヴィッド・スーシェ。少し離れたところから静かに観察しているようなタイプなので、期待したのだが・・何もありゃしませんでしたとさ。名前の通り、何もカラマン。