憑神

憑神

最近日本映画のいいのに当たっているので、期待したのだが・・これははずれでしたな。しかも大はずれ。一番がっかりしたのはセリフが全然聞き取れないこと。今回見たのはチネチッタで一番大きいチネグランデ。公開一週目の平日午前、800人以上入るところで、入りは50人くらいか。大きすぎて音が散ってしまうのか、とにかく何を言ってるのかわからない。字幕が欲しい・・冗談じゃなしに。ストーリーも・・どうせありえない話なんだから最後までノーテンキで行って欲しかった。後半主人公の気持ちがよくわからない。まあ要するに死神に取りつかれたけど、死ぬ意義を見出せないうちは死にたくない。意義を見出せたら自分から進んで死を受け入れると・・そういうこと?でも死神はなぜ彦四郎と一体になったのか。息子には死ぬなと言っておいて自分がこっそり死地へおもむくのは矛盾しないのか。同じ死ぬ運命にあるのならなぜ妻や母親や息子との時間を最後まで全うしないのか。元々嫌いで別れた夫婦じゃない。強欲な舅に嫌われ、ムリに別れさせられたのだ。なぜもっと寄り添わない。いやもちろん別れた後も心は寄り添っている。日本人らしく武家階級らしく、慎み深く心を通わせていて、そこは好ましい。でも彦四郎は自分が死ににいくことを黙ってる。あの中途はんぱなキスシーン、ありゃいったい何だ?しない方がマシ。息子にだってもっと父親として言い残しておくことあるだろうに。最初彦四郎についていた貧乏神が舅に宿替えし、そのせいで舅一家には火事などの悲運が見舞う。バカにしていた元の婿が今は頼り。その彦四郎が死んだら彼らはいったいどうなるのか。貧乏神も疫病神も通り過ぎ、死神は童女で、もちろんボール(日本だからマリ)持ってる。少女・ボールでワンセットなのよ。「世にも怪奇な物語」「フィアー・ドット・コム」と同じで、芸がなさすぎ。だからこそマッケランの死神にしびれるんだけどさウヒ。ラスト・・と言うかクライマックスは上野、寛永寺、彰義隊・・となって、何やら悲劇ムード。何となく取りつかれたのなら、何となく助かって、武士やめて野良仕事でもして何となく明治の世に生きのびましたとさ・・で終わってもよかったのに。何だかぐずぐずした気の晴れない結末。感動ゼロ、余韻ゼロ、見たことによる収穫感・満足感いずれもゼロ。まあたまにはこういうこともあるわさ。でも今もまだ上映中なんて・・信じられない。