タイムリミット

タイムリミット

ん?何じゃこりゃ・・。これは日本では未公開か。デンゼル・ワシントン主演でおんなじ題名の映画あるらしい。こっちは・・「フリーザー」でいいんじゃないの?見る気になったのはディラン・マクダーモットが出ているから。彼、最近ではテレビが多いみたい。スーパー!ドラマTVで「DARK BLUE/潜入捜査」とかやってたけど、見てる暇なくてスルー。ごめんネ。1961年生まれだからもういいトシだけど、顔立ちが濃いせいか、あんまり変わらん。一人の男・・ロバート(マクダーモット)が目を覚ますと、そこは冷凍庫か冷蔵庫で、肉がぶら下がっている。コンテナの中だってのは、終わる頃になってようやくわかるけど、今は彼も見ている我々もカフェだか何かの冷凍庫だと思っている。今日は彼の誕生日で、恋人クリスと祝ってたとこ。それがトイレで殴られ、気がついたらここに。男が二人現われる。ロシア人らしく、英語が通じない。どうも組織の金800万ドルが消え、そのありかをロバートが知っていると思ってるようだ。自分はただの整備士、金のことなんか知らない、誰かと人違いしてるのだと言っても信じてもらえない。これらの事情がつかめたのは、アリサという女性の出現によって。彼女は英語がわかる。組織の運び屋で、ボスの息子ヴァディムの愛人。ロバートの言動見てると、ほんとに人違いかな・・と思えてくる。ロシア人・・ステパンとキリルをあおるなど、一般人にしては無鉄砲すぎる。ただでさえ寒いのに、余計なことしてさらに温度下げられたり、靴脱がされたり。登場人物が少なく、場所も限定されているので、単調さを破るため、唐突に新しい登場人物が・・。寒さしのぎに狭い通路走っていると、いきなり手が伸びてきてびっくりさせられる。ピーター・ファシネリ扮するサムである。その前にロバートは、落ちていたケータイでニューヨーク市警の麻薬課ドリアン刑事と話をしている。そのケータイはサムのもの。組織のボス、オレグをつかまえるため潜入していた刑事の彼は、撃たれて危険な状態。後でロバートの正体がわかってみると、彼とサムやアリサ、ロシア人との対話につじつまの合わないことばかりなのに気づく。ロバートもアリサも芝居をしているわけだが、監視カメラで逐一見張られているのならともかく、全く必要のない時でも芝居をしている。

タイムリミット2

よく戦争物やスパイ物で、ロシア人やドイツ人が出てくると、アメリカ人かイギリス人の主人公のために(と言うか、見ているお客のために)英語で話してくれる。それはいいのだが、ロシア人しかいないところでもなぜか英語で話す。あるいはナチの将校どうしなのに英語で話す。そんなの明らかにおかしいが、映画だからそれで通っちゃう。それと同じで、ロバートやアリサは、する必要の全くない芝居をする。800万を奪ったのは誰なのか。離婚して金に困っていたサムは結局は実行しなかった。サムの相棒がドリアンか。ロバートはステパンが怪しいとアリサに言うが、結局は違ったようで。と言うか、言う必要もないんだけどね。サムは殺され、ロバートは一人に。寒さのせいでサムの幻覚を見るシーンは、何ということもないんだけど、けっこう怖い。ここでまた流れを変えるために、一人の男が唐突に登場。ロバートと同じく、頭に袋をかぶらされ、手を縛られ、ほうり込まれる。彼はオレグを狙った殺し屋、ダニルらしい。殺される運命にあるにしては余裕こいてるので、いったいどうなるのかと期待させる。来たばかりなのでロバートみたいに弱ってないし。彼はすぐに死んでしまうが、彼は実はヴァディムだった。ロバートをだまし、金のありかを聞き出そうと一芝居打ったのだ。でもって、やっとオレグ登場。一度命を狙われたことがあって、それ以来用心して人前に出ない。ロバートを見た彼は、殺し屋だと気づく。たぶん見てる人あまり驚かない。かえって正体がはっきりしたことで噴出する、数々のつじつまの合わなさに気を取られる。彼こそがダニル?・・てことはヴァディムの芝居はお見通しだったってこと?800万盗まれたくらいじゃオレグにはさしたる痛手でもないが、息子が殺されたとなれば話は別。そうやって姿を現わすよう仕向けたわけ。当然誰に雇われた・・となるけど、ロバートは言わない。どうやらアリサを助け出すのが目的だったようで。アリサを完全に自由の身にするには、オレグとヴァディム両方を始末することが必要。でもこの設定にしたために、くり返すけど、つじつまが合わなくなったんだってば!前に暗殺に失敗した時、ヴァディムに虐待されつつも逃げ出せずにいるアリサを見かけて密かに恋し、彼女を助けるために危険な賭けに出たと・・そういうふうにすればよかったのに。

タイムリミット3

で、最初はとまどっていた彼女も、この4時間のうちに心が動き始め、ラストでは彼の愛情を受け入れると・・。オレグを倒したものの、ステパンのせいで二人は閉じ込められてしまう。そこに現われたのがドリアン。しかし彼には二人を助ける気などなく、金を一人じめする気だ。アリサは隠し場所を白状する。このコンテナの中に最初からあったのだ。ドリアンが金に気を取られたスキを突いて二人は脱出。コンテナはドリアンを閉じ込めたまま船に積まれる。800万はふいになったけど、命が助かったのだからとロバートが思っていると、アリサが誕生日プレゼントだとか言って何やら出してくる。はっきり見えないがお金?じゃあコンテナの中にあったのは一部?分割しておいたの?別にそこまでハッピーエンドにする必要ないと思うが。ヴァディムが登場した時にはそれまでの映画の流れが変わって、アッこりゃいいぞ・・と思ったのよ。それまでは金はどこだ、人違いだ、信じないぞのくり返し。相手をおちょくっては殴られる、そのくり返し。どうしても停滞した感じになる。ロバートには前科があって、それなりの人生送ってきたらしいから、一般人とは違う反応をするのだろう。そのわりには逃げ出すチャンスを生かさない。消火器構えて扉のところで待ち伏せすりゃ血路も開けるのに全然しない。正体明らかになってみれば、逃げ出さなかった理由もわかるけど、じゃあ何でダクト調べたり壁をほじくったり逃げ出す算段してたのか。まあ私はからくりの分析してみせるところから、ロバートはドリアンなどとはまた別の・・特別捜査官かな・・と思ったり。さすがにプロの殺し屋だとは思わなかったけど。終わり近くになると、何が何やらわからなくなるが、まあいいや。アリサとロバートの関係くらいはもうちょっとはっきりさせて欲しかったけどね。出来はともかく、マクダーモットが出ずっぱりで大熱演なのがうれしい。アリサとは親子ほども年が違うけど、さほど不自然な感じもしない。アリサ役ユーリヤ・スニギルは見覚えがある。「プリズナー・オブ・パワーズ」に出ていた美女だ。でも私が注目したのはヴァディム役パスカル・ペタルディ。マクダーモットほど濃くないし、ファシネリみたいに印象薄くもない。数分で退場はもったいなかった。