ダイヤモンド・アイ

ダイヤモンド・アイ

日本では未公開か。「スペースバンパイア」を見てスティーヴ・レイルズバックのファンになり、集めたビデオの一つ。彼の出演作ってあまりDVD化されてなくて、まあそれも仕方ないんだけど。いかにもレンタルビデオ店のアクション映画の棚に並んでいるようなものばかり。と言うことはDVDが主流の今は駆逐されちゃって、もうレンタルでは見られないかも!さて・・主演は・・誰なんだろう。ランス・ヘンリクセンだと思ってたらすぐ退場しちゃったぞ。探検家のレイモンド(ヘンリクセン)は仲間のハーリーを殺してダイヤを一人じめ。帰国するが、出資者のエリーズ(モード・アダムス)には何も見つからなかったと嘘をつく。エリーズは彼を疑っている。ローラ(リサ・アイルバッハー)はレイモンドと別れたくてたまらないが、彼にはその気なし。と言って妻を愛しているわけでもなく、浮気もしていそう。要するに何でも自分のものにしておきたいエゴイストということなんだろう。そのうちレイモンドは交通事故で死亡。ローラはやっと自由になれたわけだが、レイモンドは金を残すタイプではなく、請求書の山。葬式で再会したのが古い友人ジェフ(レイルズバック)。後でわかるがレイモンドは五人で探検に行き、ジェフとか他の者はみんな死んだとまわりには思わせていたようで。お互い好意を持っているが、ローラはすぐに関係を持つほど軽い女ではない。しかし葬式がすんだ頃から何者かが家に侵入したり尾行されたりで不安な彼女は、ジェフの存在がうれしい。それにしても家には取られるような金も宝石もない。なぜ妙なことが起きるのか彼女にはさっぱりわからない。借金の足しに自分の宝石を売ろうと思ったが、不安なので友人のヴィッキーに預かってもらうことに。知らないうちに災厄をまき散らしているんだけど、自分では気がつかない。ヴィッキーに死亡フラグ。黒人男(フレッド・ウィリアムソン)とエキゾチック美女(パーシス・カンバッタ)のコンビがヴィッキーを襲う。家に戻ればメチャクチャに荒らされている。呆然としているとなぜか神父(デヴィッド・デュークス)とシスターが現われる。

ダイヤモンド・アイ2

実はこの二人も宝石を狙っていて、何者かに先を越されたことを知る。駆けつけてくれたジェフにまで当たり散らし、疑うローラ。さすがの彼も気分を害したようで。自分はローラのことが心配なだけなのに・・。とにかくここでやっとローラはこんな目に会う理由を知る。レイモンド達はマヤ族の像を盗み出したが、像には大した価値はなく(マヤ族には大ありだが)、片目にはめ込まれているダイヤが目的。これをレイモンドが一人じめしたが、彼が死んだせいでどこにあるのかわからなくなってしまった。妻のローラなら知ってるのでは・・と、相手は思っている。家の中を荒らしたのはそのせいだ。ヴィッキーの死体を発見したローラはショックを受ける。警察は事故だと思っているが・・。謎の男はシスターを殺す。テレビのニュースでそれを知ったローラは、シスター・・ナディーンと神父・・マイロンが宝石密輸の前科があると知って驚く。あの二人も親切にすると見せかけて、宝石目当てに彼女に近づいたのだ。こうなると信じられるのは・・頼りにできるのはジェフだけだ。・・ここまでで半分。見るのは二回目だが、最初に見た時も、底の浅い作りだなあと感じた。最初の方でエリーズがレイモンドに目のことを言うので、それでダイヤの隠し場所はほぼわかってしまう。ダイヤがはまっていたのは像の目・・それで「ダイヤモンド・アイ」という邦題をつけたのだろうが、ネタバレしすぎという気も。全部矢印がレイモンドの義眼指してるのに、ずっと後になるまで誰も気づかないというのは・・。交通事故は謎の男に追われたからだが、車が転落し、火を噴いたってのにレイモンドの遺体はヤケドもなく無傷。当然検視があったはずだが、そこで義眼・・中のダイヤが見つからないってのは・・。ローラもジェフも義眼のことは知っていたはずで、なぜ気づかない?お金は一銭もないと言いつつ、ローラは豪邸に住み続け、外出したと思ったらクルーザーへ。何のんびりしてるのかね。大急ぎで売りに出すんじゃないの?調度品だってすぐ売ればいいのにモタモタしてるから壊されちゃった。と言うか、侵入のあと歴然なのに警察には通報しないの?

ダイヤモンド・アイ3

ヴィッキーに預けた宝石類はどうなった?後でわかるが、二人組が持ち去っていた。だったら事故じゃなく強盗殺人でしょ?互いに関係のない、少なくとも三組の連中がダイヤを狙っているように見える。謎の男、黒人と美女、ニセ神父とニセシスター。でもみんな手際が悪い。この、”みんな”の中には作り手も含まれる。レイモンドが事故を起こすまでのモタモタぶり。追っかけっこの後、つけてきた男と対峙して、それからまた追っかけっこの再開。いったい何をやってるんだ?事故を起こしても、本当にレイモンドは死んだのかいな・・と、見てる人全員思ったはず。彼、もっとしぶといはず。でも・・死んでいる。映画の主人公はたぶんローラなのだろうが、1980年代ということで、四角く盛り立てたようなヘアスタイル、きつい目のメイクなどは女性全般に共通している。つまりみんな同じキツネのような顔と髪をしていて、区別がつかない。ローラ、ヴィッキー、パーティにいた女性、修道服を脱いだナディーン。一人だけみんなと違うのはエリーズ役のアダムス。平べったい顔立ちで、パッと見はさほど美人には見えない。しかしそのうちに優美さ、体つきの美しさがわかってくる。後半は裏切りに次ぐ裏切り。謎の男はハーリーで、死んではいなかったのだとわかる。と言うか、ケガの後遺症も傷も全くないのは変だ。冒頭なぜか指輪がうつるが、男が手袋を脱ぎ、指輪をはずすシーンで、冒頭の指輪だとわかる。と言うか、何でここで指輪をはずすのかわからんのだが。ローラは手がかりを捜そうとレイモンドの書類を調べていて、新聞の切り抜き記事か何かに気づく。そこにうつっていたのはレイモンド、ジェフ、謎の男・・実はハーリー、黒人の男カート、謎の美女フランチェスカの五人。要するにレイモンドに裏切られ、みんなして力を合わせて・・ではなく、別々にダイヤを捜していたと・・。マイロンとナディーンを雇っていたラミレス(クルト・ローヴェンス)は宝石のバイヤー。ナディーンを失ったマイロンはエリーズに近づくが、あっさり殺されてしまう。エリーズはジェフに協力を持ちかけるが、彼はローラを愛しているので態度はあいまい。

ダイヤモンド・アイ4

彼は一番ローラに近く、しかも信頼されている。彼女がダイヤのありかを知らないことは十分承知しているはず。それなのに何でそのことを黙っているのかな。このあたりから(残念なことに)ジェフの立場もビミョーになってくる。エリーズはまたカートとフランチェスカを使ってローラを誘拐する。彼女はレイモンドに出資して古美術を集めさせていたらしい。彼がちょくちょく小物をちょろまかすのはわかっていたが、大目に見ていた。しかし今度のダイヤはそうはいかない。スポンサーは私だから探検から持ち帰ったものは私のもの。ま、いちおう筋は通ってますな。問題はダイヤが盗んだものだってことだけど、そこらへんは何の痛痒も感じてないようで。フランチェスカはハーリーに殺され、カートはジェフに殺される。ローラは助け出されるが、ここでやっと隠し場所が義眼だと思いあたる。ジェフは墓地へ向かうが、ハーリーがあとをつけているのはわかっているので、まず波止場へ向かう。ハーリーが泳げないのを利用して殺し、墓地へ。墓を暴いてダイヤを見つけるが、そこへエリーズが現われる。エリーズをレイモンドの棺に閉じ込めるが、自分も撃たれて重傷。一方家で待っているローラのところへ航空会社からフライトキャンセルの電話。ジェフとエリーズがメキシコへ?!裏切ったのね、じゃあ私はラミレスと組むわ。裏切り、裏切られ、殺し、殺され、だまし、だまされ・・まあいつものパターンです。登場人物はあらかた死んで、夜で雨がザーザー降ります。そこに涙が加わります。ヒロインは愛する人を失い、夢もチボーもありません。ただし、ダイヤはあります。やるせない感じの曲が流れ、映画は終わります。たぶん何も解決してません。エリーズは何でジェフの行き先がわかったんですかね。あの航空会社の切符の件も、どういうことですかね。エリーズが勝手に予約したんですかね。一方ローラはジェフの持っていた切符・・こちらはジェフとローラの名前・・を見て涙にくれる。何が何だかわかりましぇん。棺に閉じ込められたエリーズはどうなるんですか?叫べばローラに聞こえたはずですが・・。

ダイヤモンド・アイ5

ローラの今後よりエリーズの運命の方がよっぽど気になります。でも、こういう突き放したようなラストはこういう映画のお約束でもある。カンバッタの使われ方はもったいないと思う。大した見せ場もなく殺されちゃった。ウィリアムソンは昔「ドラゴンを消せ!」という映画に出ていた。私は見たことないが、ブルース・リーによって起こったカンフー映画のブームに乗っかって作られただけのゴミ映画らしい。この映画のウィリアムソン見ていても、何の魅力もなく、ただ出てるだけ。カンバッタはもったいないと思うけど、彼の場合は全然思わない。デュークスはまだ若く、ういういしい感じ。ジェイク・ウェバーに似ているな。クルト・ローヴェンスは・・まあ名前は知らなかったけど顔だけはよく覚えている。「特攻ギャリソン・ゴリラ」とか「スパイ大作戦」とか、たいていはドイツ将校・・あるいはそんな感じの役。吹き替えは宮部昭夫氏で決まり。マックイーンもいいけど、ローヴェンスもぴったり。今現在(2016年10月)ローヴェンスは90歳くらいで、まだ生きてる。そう言えば「天使と悪魔」に枢機卿の役で出ていたな。結局ヘンリクセンは最初の方とラストの死体と出演シーンはそれだけ。でも全編にわたってカゲを落としていて、何となく彼が主役に思えちゃうんだよな、さすが。お目当てのレイルズバックだが、「スペースバンパイア」からいくらもたってないので顔もそんなに変わってない。かえってあぶらっこさがやや抜けた感じでいいかも。彼のバイオグラフィー見ると、1945年生まれっていうのと1948年生まれっていうのがあって、どっちがホントなんだろ。まあどっちにしろこの映画の時は40か、40過ぎた頃。年齢のわりには若く見えるが、小柄なせいだろう。キャラも味方なのか敵なのかあいまいにしてある。結局ダイヤを手に入れようとしていたことでは他の連中と同じだけど、ローラを思う気持ちは本当で、そこらへんはちょっとマシかな。でもダイヤとローラ、どっちを取るかとなったら・・わからんけど。そういうふうに人々を狂わすダイヤだけど、あんまり狂わせそうにも見えなかったのが残念。出演者も小粒ながらわりと揃っているけど、そのわりにはあんまり生かされてなくて、展開にしろ何にしろ残念な出来なんだけど、ゴミとまではいかない。私はレイルズバックが見られたから十分です。