デュカリオン

デュカリオン

「デュカリオン」てどういう意味かな。主人公の名前?原題は「フランケンシュタイン」で、これはもう説明の必要なし。ただし舞台は現代のアメリカ。時々画面が暗くなるので、「ザ・サイト」と同じでここでCM?・・と思ったらやっぱりそう、テレビムービーでした。結論から言うと「待たされて」「じらされて」そのあげくスパッと終わります。えッウッソー・・って感じ。さあこれからクライマックスというところで終わるんですよ何でー?レンタル代返せーって怒り狂う人もいるんだろうな。何ですかこれ・・パイロット版?次も出るのかな。出たら見ますよモチ。ヴァンサン・ペレーズの大ファンですから私。もっとも二年たってるけど作られる気配なし。企画しぼんじゃったのかしら。こういうのって誰かのファンだから見たとか、そういうのでなきゃ怒りの金返せ映画だよなやっぱ。製作総指揮マーティン・スコセッシの名前にだまされたーとかさ。でもペレーズやトーマス・クレッチマン見て満足している人もいるわけで。出来はともかく出てくれているだけでいい・・というファンが。ペレーズは「花咲ける騎士道」以来だな。その前は「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」。どっちも映画館で見たのにまだ感想書いてないよー。この作品のことは全然知らなかったんだけど偶然知って・・レンタルビデオ店に行ったら偶然見つけて・・まあ運がよかったです。「フランケンシュタイン」だからてっきり作る側かと思ったら、作られる側・・つまりモンスター役でした。こんなに美しいモンスターは映画史上初めてじゃないの?何やら作っているビクター・ヘリオス吐かせ・・ギョギョッ!何という変換だよ!博士だってば!ビクターという名前からして彼がフランケンシュタイン博士ってことね。何が目的か知らんが彼を追ってアメリカへやってきたデュカリオン。内臓を抜かれるという連続殺人事件を追っているオコナーとスローンの刑事コンビ。この三つの流れが、はっきりしないわかりにくい映像と、寄り道ばかりでモタモタした筋運びで絡まり合う。まあ映像はその人の趣味ですから。はっきりしないわかりにくいを、凝っている斬新だと言い換えることもできる。殺された男の部屋を調べるシーンは「テイキング・ライブス」風味。あれよりも暗い。懐中電灯ばっかで・・電気はどうした、それでも現代のアメリカかよ・・と呆れるほど。

デュカリオン2

懐中電灯以外では窓やすきまからもれる心細い光。心が落ち着く・・んじゃなくて、もどかしくていらいらさせられる間接照明映画。もっとすっきりはっきりさせてよ画面も筋運びも。エンドロールになっても大して前進していないのよ。デュカリオンがなぜヒロインに協力するのかよくわからない。生活ぶりを見て・・ってどういうことだよ!デュカリオンが直接ビクターの前に現われて対決すりゃコトは簡単なのに、なぜ劇場みたいなところでうじうじ時間をつぶしているのかな。心臓移植や遺伝子工学の権威で大金持ちであるはずのビクターが、薄汚れ老朽化した不潔そうな研究室でモンスター作ってるのもちぐはぐ。普通ならピカピカの最新設備の研究室使う。まあこれは以前作られた「フランケンシュタイン」映画へのオマージュかもしれないが・・。それにしたってビクターはあちこち忙しく飛び回る生活のはず。あんなにヒマなわけない。ビクター役のクレッチマンは初めて見るけど、発散するものがない。彼はデュカリオンと同じく200年以上生きている。・・ってことは彼もモンスター?誰が手術したの?自分・・じゃないよな、ヘンなふうになってるの背中だから手が届かない。ヘンな背中(鯵のぜいごみたい)はへたくそな合成。たいていの映画同様この映画もCGは安っぽい。研究所とかさ合成バレバレ。ビクターは人類を滅亡させ、自分が作ったモンスターばっかにするとか、自分が創造主・・つまり神になることを企んでいるらしい。だったらもっとエネルギッシュで冷酷で神がかり的で・・それこそケネス・ブラナーみたいな暑苦しさ全開のキャラの方が説得力ある。こっちのビクターはうじうじいじいじ。ビクターの妻(彼女もモンスター)役は岩魚・・じゃないイワナ・ミルセビッチ。「恋は邪魔者」とか「ペイチェック」に出ていた人。女優と言うよりファッションモデル風。この奥さんもうじうじいじいじ悶々スター。「許して・・」「ごめんなさい・・」そんなのばっか。ビクターに「逝かせて」と頼むが、それでいていざとなるとあばれる。何やってんだよ全く。オコナー役はパーカー・ポージー。ヒロインやるには顔立ち地味すぎ。彼女には自閉症の弟アンソニーがいて、どういうわけかデュカリオンが現われてなぐさめたりする。コインを使ってね。「ザ・クロウ」でもマジックで少女なぐさめるシーンあったな。ペレーズは手先が器用。

デュカリオン3

弟は年が離れすぎていて、オコナーとは親子に見える。続編が作られてもアンソニー役は別の子にしないとね。成長しちゃうから。オコナーの相棒スローン役はアダム・ゴールドバーグ。「ビューティフル・マインド」に出ている。バランスの悪いしまりのない顔立ちで、ミスキャストのようにも思える。いちおう彼はこの映画での息抜き的存在。暗い空気をほぐす。いろんなヘマをやらかし、ヒロインに振り回され、ぼやきつつも協力し、密かに思いを寄せ・・。彼には蛍光灯や太陽など、明るい光の中でのコメディーが似合うと思う。こういう暗くてよく見えなくてストーリーもモタモタしてはっきりしないような映画はどうなんだろ。とは言え二回見るとこれらの欠点にも慣れてくるのか、アダムの間抜け面も好ましく思えてくる。さて・・刑事でありながら殺人を犯し、それは彼がモンスターだから・・というハーカーを演じるのがマイケル・マドセン。窓栓なんちゃって(←アホ)。つかまえた女性二人には何をするつもりだったんでしょう。内臓収集?レクターみたいに料理の材料にするつもりだったのかな。彼の作ったラザニアは絶品だったんですって。何が入っていたのやら(オエッ)。しかも彼は「エイリアン」のリプリーみたいに、おなかの中に何かいるんですってさ。男なのにモンスターなのに妊娠しているというアホ役です。よく出たね、こんな役で。でも地味な顔ぶれだけどこの映画、わりとちゃんとしているのよ。安っぽい役者のヘタな演技見せられてうんざり・・ってことはないのよ。作り方によっては、暗いけどムードのある忘れがたい映画になったかもしれないの。特に冒頭は「ダークシティ」の「スリープ・ナウ」みたいな曲が流れてムードたっぷり。こりゃいけるかも・・とワクワクしながら見ていたのよ。残念ながら中途はんぱな欲求不満映画で終わっちゃったけどさ。一本で完結する内容にした方がよかったのに。ただ前にも書いたけど私の目当てはペレーズなので、内容が期待はずれでもそれ以外のことに興味が持続するからモウマンタイ(無問題~ノー・プロブレム)なのよ~。私は「ザ・クロウ」を見てペレーズのファンになって、「恋人たちのアパルトマン」で素顔を見てその美貌にKOされて・・。彼「ザ・クロウ」ではなばなしくハリウッドに進出するはずだったのにあんまりうまくいかなくて・・。

デュカリオン4

公明正大に言って、「ザ・クロウ」のラスト部分は何じゃこりゃ状態。そのせいかそこまで言わなくてもいいじゃんと言いたくなるくらいの不評の嵐。出来が悪いのはペレーズのせいじゃなくて、作り手のせいなんだけどさ。でもまあ欠点はあるにしても私はこの作品大好きで・・。ペレーズが演じたアッシュは私のぞっこんほれ込みキャラ。ぜひもう一度ああいうキャラを見てみたい!・・と、この数年間願い続けておりますの。ところがなかなかねえ・・。しかし!今回のキャラ、アッシュと共通点ありますの。生き返ったこと、人間ばなれした力があること、暗い過去・・要するにダークヒーロー!だからホントワクワクして見ていましたの。特に実験で生き返る(?)ところなんか・・体から灰みたいな細かいのが落ちるでしょ?アッシュと同じじゃん!海に沈められ、体中に泥がついていたのが、生き返って海から出て体が乾いたため、細かい粒となって落ちる。ああんこのシーン、アッシュの再来だ!ばんざーい、待っていたかいがあったぜベイビー!・・とテレビの前でニタニタほくそえんでおりましたの。ところが・・ちっとも出てこないんですの。いじいじビクターとその奥さんとか、刑事コンビのモタモタ捜査とか、そんなのばっか。いろんな人が出てきたとしても、いろんな事件が起きたとしても、映画(この場合はテレビムービーだけど)である以上何かが、誰かが中心にならなくちゃならない。彼を中心にストーリーが動き、彼の言葉によって事態が明らかにならなくちゃ。・・でも隠れてばっかで出てこないしなかなか説明もしない。待たせ、じらし、引きのばし、そのうちにじゃ今回はここまで、またねーって感じで終わっちゃって続編いまだ作られず・・ああ。個人的に気に入ったセリフは、ハーカーがデュカリオンを見て「兄弟(ブラザー)か?」と聞くと、デュカリオンが「第一号(ファースト)さ」と答えるところ。ハーカーは刑事だから職場の定期健康診断とかあるはずだが、どうやってごまかしていたのかな。レントゲンとかさ。モンスターには心臓が二つあるとか、骨のカルシウム含量とかリンパ液とか、常人ばなれしたところがある。すぐばれると思うが・・。ハーカーは都合悪くなると証拠みんな燃やしちゃう。被害者の死体も写真などの資料も建物ごと燃やしてしまうという乱暴さ。まあ燃えるシーンは出てきませんけどね。製作費の都合でしょう。

デュカリオン5

ハーカーはデュカリオンと戦って(と言うかほとんど何もしてないけど)死んじゃうけど、おなかからは何かが飛び出した後。このシーンも省略(節約とも言う)されているので、おなかから出てきたのが何なのか不明。きっと永久に不明なんだろうなあ・・続編作られなさそうだし。「フランケンシュタイン」風味に加えて「エイリアン」風味も・・と欲張っているようだが。さて話を戻して・・「ザ・クロウ」から10年くらいたっているわけだが、美しさは全く変わらない。隠れてばっかなのがホントもったいない。いくらモンスターでもあんなカッコする必要ないと思うんですけど。「クリムゾン・リバー2」の謎の修道士みたい。シャワー浴びておヒゲそって(一度そればもう生えてこないと思うが・・)シャンプーしてこざっぱりしたものに着替えてさわやかなローションのにおいさせたってバチは当たらないわそうでしょ?全世界のペレーズファンのためにもお願いしますってば。人目に立ちたくなけりゃ夜だけ行動すればいい。そんなカッコしてたらかえって目立ちます。堂々としてりゃいいんです。現代のアメリカ、誰がどんなカッコしてたって気にとめない。縫い目だって別に・・。それにしてもロバート・デ・ニーロやボリス・カーロフみたいなでこぼこ顔のモンスターでなくてよかった。凶悪犯の囚人の死体の寄せ集めでありながら、この上なく美しいモンスターでよかった。体つきもスラリ、動きもごっつくない。ペレーズでなきゃこの作品見ませんッ!ペレーズでなきゃ(DVD買おうか)迷ったりしませんッ!美しいペレーズのダークヒーローキャラのアクション映画もっと見たいです。彼美しさだけじゃなくアクションもちゃんとできるんです。はーそんな日がいつか来て欲しいです。あんまり遅くじゃ困るんです。彼が年取って体動かなくなる前にね。髪の毛の方はもう若い頃からアレでしたからね、今更どうっていう心配しませんけど。何だかんだ書いたけど一回目より二回目の方がおもしろかったな。まあ二回以上見る人なんてペレーズやクレッチマンのファン以外いないだろうけどさ。ここからはつけ足し・・あるDVDで言っていたけど、車を暴走させるシーンではスタントマンは、ただ走らせるだけじゃ承知しないんですってさ。必ずゴミの袋とか缶をふっ飛ばさないと承知しないんですってさ。で、この映画でもやっぱりゴミの袋や缶をふっ飛ばしているわ。