ディスタービア

ディスタービア

アメリカでは大ヒットしたけど日本ではどうなの?公開二週目のシネコン、レディス・デーで午前中、お客は13人くらい。あんまりヒットしているようには見えないんですけど。前にも書いたけど、私はシャイア・ラブーフみたいな生意気そうなタイプは好みじゃない。でも時々こういう軽い感じのホラーとかサスペンス物をむしょうに見たくなるのよ。後に残らず一回で満足できるような・・。他にも見たいものいっぱいあるんだけど、まずは軽いものからかたづけていこう・・って感じ?見始めてすぐ、何となく「カースド」に似ているなあ・・と。青春映画・・ロマンス風味がかなり入ってる。あまり変な方向へは行かない。「カースド」と言えばやっとDVDが発売されたので大喜びで買ったら・・劇場公開版より過激という宣伝。2、3分増えただけだけど、それが全部残酷シーン。なくてもいいような、いや、ない方がいいシーンばかり。ホラー映画だけど青春映画風味で、さわやか胸キュンで、私はそれがすごく気に入っていたのにムードぶち壊し。作品の「品」が落ちてしまっていて、それがとても残念だった。話を戻して、この「ディスタービア」も予告では「覗き」を強調していて、何となく下品な印象。でもRとかPGなどの年齢制限がついていないことでもわかるけど、それほどひどくはない。冒頭主人公ケールが父親と釣りをするシーンがある。その帰り道交通事故に会い、愛する父は死んでしまう。この父親役がマット・クレイヴンで、あららこんな役珍しい、しかも冒頭から出ているなんて・・とびっくりしていたらすぐ死んじゃってまたまたあらら~。あとは写真のみの出演ですぅ~残念。一年たってもケールの心の傷は癒えず、勉強にも身が入らず、先公殴って三ヶ月の自宅謹慎命じられる。行動半径30メートル。足には監視システムがつけられ、はみ出すと警察が飛んでくる。でも家ったって日本と違って広いしなあ・・あんまり気の毒にも思えない。この導入部分で主人公のことをかわいそうでしょ、味方してあげたくなるでしょと思わせたいんだろう。若くてちょっとひ弱な感じのラブーフ出してきて「同情を買おう」作戦。193センチの大男デヴィッド・モース次に出してくりゃラブーフの非力さ際立つこと間違いなし!

ディスタービア2

私から見ると冒頭部分は余計。父子の会話とかハデな事故とかわざわざ見せなくても、最初から沈んだケール出してくるだけで、彼のくすぶった心情十分伝わる。ラブーフにはそれが出せるだけの演技力あると思う。とは言え17歳半のケールの部屋は散らかし放題。ちっとも家事を手伝わず、ジャンクフード、清涼飲料、テレビゲーム漬け。・・ああもうこんな子に誰が同情する?きちんと、やるべきことを一つ一つかたづけていけば三ヶ月なんてあっという間。だらだらしているから一日が長く、気分もいらつくのだ。ホント、スクリーンに向かってしかりつけていましたよ私。母親ジュリー役はキャリー=アン・モス。公開中の「ゾンビーノ」でも母親役。彼女もこういう役やる年齢になったんですかねえ・・。夫を失った悲しみは深いはずだが、とにかく生きていかなくちゃならない。食べていかなくちゃならない。息子の気持ちはわかるけど、自分は沈んでいるわけにはいかないのだ。仕事はきつく(何をしているのか不明)、夜勤もある。私から見るとジュリーが気の毒で、ぐうたらケールにはちーとも感情移入できませんでしたとさ。さて、テレビゲームを禁じられたケールは、今度は近所の家を覗き見し始める。特に最近隣りに越してきた美少女が気になる。何とかこの少女アシュリーと知り合い、友人ロニーというお邪魔虫も加わって三人で覗きごっこ。世間では赤毛の女性が行方不明という事件がニュースになっているが、隣りのターナーという独身中年男がどうも怪しい。目撃情報と同じムスタングに乗っているし、車体にへこみもある。行動は・・と言うとこれまた怪しい。・・誰でも心の中にはちょっとは持っている「覗き」趣味、それに狼少年の要素(普段の行状が災いしてホントのことを言っても信じてもらえない)・・でも観客にはわかっているから主人公に一体感を持つ。それに甘酢っぱい初恋(かどうか知らんが)をプラス。加えてケータイだのパソコンだのビデオカメラだのiPOD(←何?)だのYouTube(←何?)だの小道具ちゃらちゃら使って・・。今の子供は金持ちだねえ・・。前半はさして事件も起こらずのほほんムード。後半・・と言うかクライマックス部分は息もつかせぬたたみかけるような展開。各駅停車からいきなりジェットコースターってとこですかね。

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ストーリーにはひねりゼロ。どんなに頭悪くても大丈夫ついてこれます!って親切に言われてるみたいなバカにされてるみたいな。最初から怪しいターナーは途中も怪しく、やっぱり犯人でした・・となる。こういうどんでん返しゼロの映画って近頃珍しいのでは?モースがだんだんアンソニー・ホプキンスに似てきたな・・と思うのは私だけ?このターナー、何で今まで見つからずにすんだの?って不思議なくらい行動が開けっぴろげ。窓から見えてるし(カーテン閉めろ)、怪しいもの(黒いビニール袋に入れられた重そうな物体、血がついてたり)運ぶし、あれじゃ私殺人者ですって宣伝しているようなもの。ケールは女性が殺されたらしい場面を目撃するが、警察には取り合ってもらえない。でもアシュリーの助言で、どこの店のホステスかわかるんだから行方不明になってるかどうか調べることくらいはできるのでは?やることが中途はんぱなのはまだ17歳半だから仕方ないってこと?家から出られないケールに代わっていいようにこき使われているのがロニー。演じているアーロン・ヨーは何と28歳くらい。これも「カースド」と似ているなあ。あっちのボー役の人も28歳で高校生役。アシュリー役サラ・ローマーは、ケイト・ブランシェットとグィネス・パルトロウを足して二で割ったような感じ。前へ前へと出てくる迫力はなくてお嬢様タイプ。控えめだがしっかりしていて感じがいい。アシュリーは両親の問題(父の浮気がやまず、母親は泣いてばかり)をかかえている。自分の居場所が見つけられないでいるのはケールと同じ。いつも屋根の上に座って本を読んでいる。ケールがそういう彼女を描写するシーンはなかなかよかった。覗き見して、胸やらお尻やらに目が釘づけなのは確かだが、長く観察しているうちに、自分では気づかなくてもアシュリーの内面にまで入り込んでいたのだ。単なる興味(目の保養)から恋心にまで発展。彼女の髪の匂いに陶然となったり、他の男と一緒だと嫉妬したり、ここらへんはわりとかわいかったです。ただしストーリーには関係ないので停滞感がある。感動する一方、早く先へ進めてくれ・・なんて思ったり。ラストはケールとアシュリーがべたべたキスをしまくって、胸キュンもへったくれもなし。ロニーが二人を撮影していてもおかまいなし。こらッもう少し慎みを持て!・・とオバさんは思うのでありました。

ディスタービア4

ケールをいじめるグティエレス巡査(殴られた先公は彼のいとこらしい)役はホセ・パブロ・鑑定料・・じゃない、カンティーリョ。坊主頭で鼻の穴が大きく、このまま少林寺の僧いけますぜ!銃の代わりに棍か槍でも振り回してよ!「アドレナリン」では悪役で、ステイサムと戦っていた。ラスト、事件は解決するけど、謹慎は解除されてケールは自由の身になるけど、アシュリーとイチャイチャするけど、見ていてちっともすっきりしませんの。それというのもグティエレスはターナーに殺されちゃうんですの。これが私にはとっても後味悪かったんですの。おまえらイチャイチャしてるけど事件の犠牲者のこと少しは悼めよ・・と思ってしまうんですの。それともケールをいじめていたグティエレスなんて死んで当然だ、いい気味だってことなんですかね。さて、クライマックスのあたりは前にも書いたけどジェットコースターみたいでハラハラドキドキ。その一方で何で?ってところもある。例えばターナーはグティエレス殺すけど銃は取らない。何で?その方がケール簡単に始末できるのに。理由つけやすいのに(ケールとグティエレスの仲はまわりも知ってる)。ターナーの攻撃逃れて部屋に逃げ込んだケールとアシュリー・・ドアを閉めてホッとしてへたり込む。二人ともドアを背にして・・ですよ、何で?鋼鉄製のドアならともかく家庭内の木のドアですぜ。全然安全じゃない。しかも背中くっつけている。いつぶち破られるか、あるいは突き通されるか。そういうのに思い至らないというのもまだ半分子供だから?このように穴だらけでうすっぺら。でも単純に娯楽目的で見るぶんには十分楽しめる作品。ケールの足につける装置の説明していた目のギョロッとした黒人女性は「ソラリス」のゴードンだな。四六時中つけているから足がかゆくて仕方がないというのが気の毒やらおかしいやら。・・さてここからは横道。行動を制限され、つれづれなるままにご近所を覗き見する主人公がある事件を目撃し・・とくれば「裏窓」。ヒッチコックの有名な作品で、テレビ東京で少し前にやったので私も見ることができた。原作はウィリアム・アイリッシュの短編。最近創元推理文庫で出ているのを見つけ、早速ゲット。読んでみたら・・グレース・ケリーに相当する女性なんて原作には出ていないのね。男ばっか。

ディスタービア5・・横道脇道

でもって「裏窓」に関してはそれでおしまい。この短編集には他に「踊り子探偵」というのが収録されていて、私が注目したのはこっちの方。WOWOWで放映されたこともあるアメリカのテレビ番組「パーフェクト・クライム」。30分くらいのが三本ずつ入ったビデオが中古で出ていたりする。実はブレンダンが「完璧なる殺人」というエピソードに出ていて、私は字幕版と吹き替え版の両方持っていたりする。だってぇ~ステキなんだもんここでの殺し屋ブレンは・・美!妖!艶!監督はあの(!)スティーヴン・ソダーバーグ。「踊り子」の方は「殺意の罠」という題で、監督はピーター・ボグダノヴィッチ!ついでに言うと製作総指揮はシドニー・ポラック!なんちゅう豪華メンバーじゃ!もう一つは「死と幻覚」だけど、私このエピソード一回しか見てません。「殺意」見て「完璧」見て、そこでビデオ止めちゃう。だってこれものすごく怖いんです。ゾーッとする。ウールリッチ(アイリッシュの別名義)の原作読んでみたい。もちろんそれ以上に読んでみたいのは「完璧」の原作。いちおう「おれはビジネス・マン」という(ダサい)題で知られているらしいけど、両方ともまだ邦訳されていないみたい。あ~ん、読んでみたいよ~ん。「おれは」のデヴィッド・グーディスは「ピアニストを撃て」とか「狼は天使の匂い」とかいくつか作品が映像化されていて、「狼」は今でも書店で見かける。ハヤカワさんお願い!「おれは」の日本語訳出して~、創元さんでもいいけど。は~夢のまた夢ですな。「ゴッド」の原作も出てないし・・ふぅ(ため息)。話それまくりだけどラブーフ君の次回作は「インディ・ジョーンズ4」ですか?でも私にはそんなのどーでもいいでーす。私の興味は・・期待は・・ハムサンドでーす。「ハムナプトラ」の三度目ってことですが。何とジェット・リーが出るそうで、ますます期待が高まるじゃありませんか。悪役かしら。エヴリンがマリア・ベロに代わったらしいけど、それもまた楽しみ。ブレン少しはやせたかしら。あんまりたぽたぽじゃ俳優失格よ!「ハムナ太ラ」になっちゃう。ここらへんで「ハム3」をヒットさせてカムバックしなけりゃいくら何でもまずいわ。大作に起用されまくりのラブーフなんてどうでもいいの!ブレンにスクリーンに戻って欲しい!ブレン、カムバーック!!