デトネーター

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「スナイプスの大運動会」第2弾。二週間ずつなので、ポケッとしてるとすぐ終わっちゃう。忙しいのだぜベイビー。別に見に行かなくちゃならない義理もないんだけど、乗りかかった船だし・・って何のこっちゃ。一回目は10人ちょっと。二回目は七、八人くらいか。要するにガラガラで男性ばっか。シネパトスは1から3まであるけど、かかる予告は少しずつ違うのね。「地獄の変異」の時にはかからなかったモニカ・ベルッチのすごそうなのがかかった。あたしゃ予告だけでおなかいっぱいですぅあんまりよく見てませんけどぉ(エッチすぎて)・・ってまたまた何のこっちゃ。「7セカンズ」の予告ぐらいかけてよ。前にも書いたけどパンフがなく、感想を書く助けになるものがない。三作品共通の出演者が多い。製作も同じアンドリュー・スティーヴンスだし。今回は出演していないようだ(いちおう捜したのよ)。まあとにかくレギュラー出演みたいなものだから、顔は覚えやすい。元CIA(記事によっては現職の捜査官になっている)のグリフィス、今は国家安全とか何とか省で働いているけど、やってることはおとり捜査と言うか潜入捜査と言うか。もう仕事やめようと思いつつ、毎日毎日命のやり取り。もう精神的に疲れちゃっているけど、体の方は自然に動いていつも通り仕事をこなす。最初登場した時はオカマっぽい感じで「三人のエンジェル」風。でもこれももちろん演技。仕事によってキャラを変えるのだ。銃の買いつけのためブカレストに現われる。相手はディミトリという成り上がりの若者。ところが途中で正体がばれてしまう。そしてまた死体が増える。なぜばれた?CIAに内通者がいるのか。仕事は失敗、ディミトリはすぐ釈放されるし、自分には本国アメリカでの裁判が待ってる。アメリカへ帰るのならついでに・・と、ある女性の護衛の仕事を押しつけられる。昔の同僚シェパードの頼みなのでいやとは言えない。この女性ナディア(チラシではロシア美女となってるが、ナディア、ブカレストとくればルーマニア人でしょ普通)は、入国する際空港で大金を所持しているのが見つかり、拘束されたらしい。アメリカでは殺害された夫が見つかっている。このお金の出どころは?夫を殺害したのは?どの紹介文でも彼女のこと美女と書いてある。こういう映画では出てくる女性は美女でなければならないと法律で決まっているのだ。しかも謎めいていなくてはならない。

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主人公は必ずクラッとこなくちゃいけない。登場する時はそれらしき音楽かからなくちゃならない(「ナディア愛のテーマ」とか)。逃亡中もお化粧ばっちり。ナディア役シルヴィア・コロカは知らない人。確かにきれいだが、何しろ予告でモニカ・ベルッチ見た後だから・・。豊満に対して貧弱、巨乳に対して虚乳、大トロに対して鯵の開きとかさ。まあとにかく勝負になりませんわな。でもいちおう美女ということにしておきましょうよ(美女にもいろいろあらーな)。美女なら何やっても許される(夫殺しても、金盗んでも、主人公だましても)みたいなストーリーは、正直言って好きじゃないです。でもスナイプス扮するグリフィスは、例えナディアにクラッとしたとしても、その感情を棚上げにして目の前の仕事に集中できるタイプ。デレデレしたり美女に目がくらんで読みを誤ったりしない。一瞬の迷いは死につながる。彼は仕事をやめたいと思ってはいるが、生きることをやめたいと思っているわけではないのだ。グリフィスのキャラがしっかりしているので、彼を見ているだけでおもしろい。ありきたりのストーリー・・過去のトラウマ・上司との衝突・罠・内通者・美女の誘惑と裏切り・・にピリリと一味アクセントをつける。セリフもおもしろい。厄日だ、宗教裁判か?、口が悪いね・・。さめている。マイペース。自分の流儀を通すのは「ザ・マークスマン」と同じ。上司にとっては何とも扱いにくい部下だろう。シェパード役ウィリアム・ホープ、内通者の目星をつけるためにかり出されるセキュリティ担当ミッチェル役の人、銃の取り引きシーンで出てくるダン・バダルー、ディミトリの叔父で悪の元締めのジョゼフ役のサージ・ソリック・・みーんな「ザ・マークスマン」に出ていた。だから例え悪役やっても「また出てるの?懐かしいね」という感じで、ちっとも憎たらしくないの。ナディアのことはあんまりはっきりとは説明されないが、運命に翻弄されていて、その中で何とかしようと彼女なりに努力している。彼女のたった一つの目的は息子を取り戻すこと。推察するに彼女は、まずジョゼフとの間に息子アレックスをもうける。その後(なぜか)会計士と結婚するが、息子はジョゼフの元で育てられている。いちおうジョゼフは息子をかわいがってはいるが、いざとなれば・・。

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ジョゼフは家に大きな肖像画を飾っているのだが、ルーマニアということで何となくワラキア公でも気取っている雰囲気。いざとなれば串刺しでも何でもやってしまう残酷さを内に秘めている(さすがに吸血鬼方面には行かないようで・・)。さて、会計士はジョゼフのお金をごまかし、スイス銀行に預け、口座番号を(なぜか)ナディアに教える。おそらく美人の妻にぞっこんだったのだろう。ところが妻は夫を殺害、金庫にあったお金を持ち出しルーマニアへ向かう。・・で、さっき書いたように空港で拘束され、送還されることになり、グリフィスが護衛することになり・・。そうやって無関係なように見える人物、出来事がつながっていく。CIAが用意した隠れ家(何でCIAがナディアを保護するのか説明が十分ではない)が襲われ、捜査官達は殺され、グリフィスとナディアは(もちろん無事に)脱出し、これもまた内通者のせいだ、もう誰も信用できない・・と、モーテルや貸家を転々とする。ナディアには、スイス銀行の口座番号と引き換えに息子を取り戻すという目的があるから、グリフィスには常に秘密を持っている。お金をエサに「私と逃げない?」と誘ってみたり、色っぽい服で迫ったり。迫るシーンでは(迫るったってこっちに向かって歩いてくるだけよ)とたんにスローモーションになる。しかも何度も同じシーンくり返す。それらしい意味ありげな音楽(だから「ナディア愛のテーマ」ですよ)流し、まるで素人製作のイメージビデオですよ、アホらし。さすがのグリフィスも色香に負けてしまうのだが、ナディアが近づいたところで画面が切り替わり、朝となる。ああよかったホッとしたラブシーンなんか見たくないですぅ。なぜってナディアはいちおう人妻であり、夫殺しであり、ウソつきであり、これからグリフィスを危険にさらそうとしているから。それにしてもグリフィスは車を家の前に堂々ととめているけど、こういう時はなぜかジョゼフの部下には見つからないんですよ。無事に一夜過ごしてからピンチになるわけです。何か都合よすぎ。・・てなわけでナディアが密かに呼んだジョゼフの部下にグリフィスはつかまります。ナディアはジョゼフが夫を殺したとグリフィスに言ったけど、それはウソだとわかります。殺したのは彼女自身。グリフィスはだまされていたことを知っても、他の映画のように怒ったり嘆いたりしない。そこがいい。

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仮に怒っていたとしても、息子を取り戻そうと必死なナディアを見ればそんな気も失せただろうけど。さて、グリフィスの特技は手錠はずしらしい。前にも一回見せたが、ジョゼフの部下につかまったこの時も、話を聞くフリをしながらはずしてしまう。笑えるシーンだが、あまりにもさりげないので見逃してしまいそうになる。ジョゼフはサッカーチームのオーナーで、今もルーマニア代表を決める試合の真っ最中。みんなの目をそちらへ向けといて、サッカー場へ堂々と生化学兵器を届けさせる。強奪・輸送シーンはいちおう挿入されるが、一回目は見ているのに全然頭には残らない。試合中に運び込まれて、ああそう言えば冒頭強奪していたっけ・・と、ぼんやり思い出す。その後のグリフィスとナディアの道行きに気を取られ、他のことをよく見なくなるのだ。でも二回目は余裕が出てくるから、ああこうやって盗んでこうやって運んでこうやって到着してこうなるわけか・・と思うわけ。二回見た方が明らかにより多くのことがわかる。ジョゼフはこの兵器を持ってアメリカに乗り込み、高値で売り、大儲けしようと企んでいる。自分のサッカーチームが今やってる試合に勝ってアメリカで開かれる世界大会に進むことは確実なので、それを隠れ蓑にして・・と思ってるわけ。こういうものを作る方も作る方だし、奪う方も奪う方だし、売る方も売る方だし、買う方も買う方。自分だけはこの兵器に対して絶対安全だとでも思っているのかしら。細菌だか毒ガスだか知らないが、こういうのは殺す相手選ばないと思うが・・。ともかくジョゼフはこの兵器を買うお金が必要で、そのお金を会計士がくすねてスイス銀行へ預け、その口座番号を知っているのはナディアだけ。しかし・・CIAの内通者は、また別のこと考えているようで。CIAあるいはアメリカへの復讐か・・結局はっきりしないまま終わっちゃうけど。カーチェイス、銃撃戦、ハデな爆発、サッカー場でのパニック・・いちおうあれこれ取り揃えてサービスしてくれて、アクション映画としての義理(?)は果たしている。そのわりにはスケールの大きさが感じられないのが残念だが、けっこうおもしろく見ることはできる。ラストもちょっと引っくり返るし。ただいくつか疑問は残る。ナディアが所持していた大金。その前に金庫からお金を取り出すシーンが出てくるからこのお金の出どころは明らかだ。

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その一方でスイス銀行の隠し金がある。つまり大金は二種類あって、ナディアはスイスのぶんはジョゼフに渡し、金庫からのぶんはアレックスとの当座の暮らし用にするつもりだったのか。そのわりには息子の指を切り落とすぞとジョゼフに脅されても、ナディアはなかなか口座番号を言わない。まあそこへグリフィスがかけつけるから事態は変わるけど、かけつけなかったらどうするつもりだったのか。ナディアは息子命のわりにはしぶとすぎる。息子と同じくらいお金にも執着しているように見える。夫殺害後、金庫からお金を取り出すのに手袋もしていない。金庫にも凶器の針金にも彼女の指紋ばっちりついているだろう。息子の写真も残して行くし手がかり残しすぎ。夫の死体もおかしい。針金で絞殺されたのに顔色は赤くも青くもなく、口さえ開けていない。こんなことありえない。生化学兵器を奪う時、連中は工場だか研究所だかをハデに爆破する。有害なもの飛び散るんじゃないの?クライマックスは兵器のある部屋で銃撃戦。当たっても兵器なの?・・いや、平気なの?その後兵器ほっぽり出してグリフィスは外へ出てしまう。誰も見ていない間に盗まれたらどうするの?確か作動させるキーもそこらへんにほっぽってあったが。グリフィスは内通者と撃ち合って倒れるが、この倒れているシーンは冒頭出てくるので、ここまでは全部回想だな・・ってわかる。でもほら助かったのはなぜなのかいちおう説明して欲しいんですけど。実は防弾チョッキ着ていたとか・・負傷したけど病院で細工したとか。そういうのなしで、ラストはノーテンキな会話。そりゃアメリカを救ってくれたんだからある程度のことはしてくれるだろうけどさ。それとグリフィスみたいなのは部下として困るから厄介払いできてうれしいかも。デトネーターは雷管とか爆発信管という意味だ。危なくてしょうがないヤツのことを言うのだろうか。彼も死体ばっかり増やすのに嫌気がさしていたから、死んだことにしてもらって自由の身になって・・。ナディアはコブつきだけど美人だし3000万ドルという大金持ってるし・・メデタシメデタシ・・ってちょっと待ってよ!彼女殺人犯ですぜ。おとがめなし?美人だから?言っときますけど3000万ドルは彼女のお金じゃないよ!それと空港で没収されたお金はどうなったの?何もかもウヤムヤのままハッピーエンドで終わらせていいんですか?(いいんでしょうたぶん)