デジャヴ
公開一週目平日のシネコンで30人くらい。大ヒットというわけでもないようで・・。近頃タイムトラベル物って多くない?「タイムライン」「サウンド・オブ・サンダー」「イルマーレ」。こういうのは二回見たいよな。一回じゃ見逃していることいっぱいあるだろうな。いちおうこれは伏線だろう・・ってところどころ思いながら見てたけど。出演はデンゼル・ワシントン、ジム・カヴィーゼル、ポーラ・ハットン、ヴァル・キルマー。でも私が注目していたのはアダム・ゴールドバーグ。予告見た時から「あら、出てる!」って思って、どんな役かな~と見る気になったわけ。「デュカリオン」のところでも書いたけどオバカコメディーが似合いそうな間抜けな顔しているのよ。でもシリアスでけっこう重要な役なの。ニューオリンズ、フェリーが爆発して500人以上の犠牲者が出る。ATF(アルコール・タバコ・火気局)の捜査員ダグ(デンゼル)は、不審な男(カヴィーゼル)が監視カメラにうつっているのに気づく。一方女性の死体が上がり、最初は事故の犠牲者と思われたが、調べてみると彼女クレア(ハットン)は事故が起きる前に殺されていた。ダグの有能さを見込んだFBIのプライズワーラ(キルマー)は、ある秘密システムをダグに見せる。衛星などのハイテク機器を使い、ある地点を映像で再現できるのだ。どんな角度でも家の中でも・・。ただし4日と6時間前のだが。監視と言うより覗き見。4日と6時間前にはまだ生きていたクレアにポイントをしぼって再現させるのは職権濫用?シャワーだの着替えだの・・見ていてオヨヨ。ダグ君の表情・・恋に落ちてるってわかる。クレアは死体になっても美しかった。生きて動いているのを見りゃあ・・。でもそこが映画。死体があんな顔してるか?生きたまま指切断され、焼き殺されたんですぜ。もっとゆがんでひどい形相のはず。家でのクレアだってあんなイメージビデオみたいなわけない。生身の人間ならオナラもするし鼻だってほじくる。・・そのうちに映像の中のクレアに変化が起きる。誰かに見られている。そりゃ気がつくわさ、みんなして見ているんだもん・・ってそういう意味じゃなくて。再現映像というのは表向きで、実はこれ現在。ワームホールによって過去と現在がつながっている。ここでデニー君(アダム)力説。ダグだけじゃない、映画見ている我々も説得・納得させなくちゃならない大役。
デジャヴ2
突然SFになっちゃうけど、お客はついてきてくれるのか!けッ、バカバカしい!・・と席を立ちそうになったお客を、もう一度着席させることはできるのか!最初の再現映像うんぬんの段階でもうかなりうさんくさい。それでも衛星がどうのこうのという説明があって、まあ何とか納得する。それが・・今度はタイム・ウィンドウ・・。もちろんそのままでは終わらなくて今度はダグがタイムトラベル。恋した男が過去を変えようとするのはよくある話。いちおうフェリー事故を未然に防ぐという大義名分はあるけど、実質的にはクレアに助かって欲しいだけ。命の危険があるタイムトラベル。何で都合よく病院に出現するの?デニーが出現場所を病院に設定してくれたってことか?もちろんタイムトラベルには成功。細かいことは抜きにしてあとはクレアを捜し、見つけ、助け、疑われ、信用され、好意を持たれ・・クレア、クレア、クレア。自分が犠牲になってもクレアですよ純愛路線。見ていて思いませんでした?クレアがブスだったら、デブだったら、おばあさんだったら・・。それでも命賭けました?ダグ君。映画だからクレアは若くて美しくて性格もよくて、ほれられて当然、助けられて当然。犯人追跡では片目で過去、片目で現在を見ながら高速道路ぶっ飛ばし、無関係な人事故に巻き込んで迷惑かける。タイムトラベルでは大停電起こす。恋のためなら何やっても許されるんでしょうか!許されるんでしょう!一度くらい犯罪が起きる前に犯人をつかまえたい・・って執念燃やしてたけど、起こす前じゃ逮捕できない。逮捕できたとして実証は難しい。実証できたとして未遂だから十分罰することができない。このようにストーリーはかなりキワモノと言うかばかばかしいの一歩手前。でも実写にこだわり骨太に作ってあるし、スピード感はあるし、どうなるのだろう・・と気を抜けない。おもしろい映画ではあるのよ。まあ二列ほど前に座っていたオッサンは退屈なのか、ア~とか声を出してのびをしたりあくびをしたり。よっぽど「うるせえ静かにせんかい!」と殴り飛ばしてやろうかと思ったけど、慎みが邪魔して行動には出ませんでしたわおほほ。きっとストーリーが理解できなくて退屈だったんだろう。複雑だからよく見ていないと・・いや、よく見ていてもわからなくなるのよ。タイムトラベルの装置は「サウンド・オブ・サンダー」風味。
デジャヴ3
タイム・ウィンドウは、私くらいの年代だと昔テレビで「タイム・トンネル」見ているからわりとすんなり受け入れられる。「タイム・トンネル」でも過去に迷い込んだトニーとダグを、科学者達がずっと捕捉し見守る。トニーはすぐ恋に落ちるけど、そういうのまで科学者達は全部見ているわけ(恥ずかしー!)。ポーラ・ハットンは「最後の恋のはじめ方」に出ていたらしい。ヴァルはほとんど見せ場がない。別に彼じゃなくてもいいような役。どうでもいいのはブルース・グリーンウッドもそう。出てるだけ。ダグの同僚ラリー役はマット・クレイヴン。彼は不運な役が多い。ダコタ・ファニングの妹も出ている。映画を見ていても気がつかないし、パンフにも書いてない(写真はある)が、ノベライズ本の解説で知った。冒頭父親らしい男(実際は父親ではない)にだっこされている少女、川に人形を落としてしまう少女、クレアが寝かしつけていた少女・・この三人が同じ人物で、演じているのがエリー・ファニングというわけ。気がつきました?ジム・カヴィーゼルは悪役だけど、どうも彼には善人というイメージがあって。今回もかなりひどいことやってるけど、屈折していて100%悪人には思えない。デンゼルには100%正義の味方というイメージがあるから、悪役にはもっと何の同情もできないようなキャラ持ってきた方がよかったかも。ムチャクチャな内容の映画なのに格調高く作ってるし、出演者はみんな真面目・・みたいなちぐはぐ感がある。誠実な姿勢に好感は持てるけどね。ラストは・・うーん、そうなっちゃったか、仕方ないよなあ・・と思わせておいて一転。まあそこで現われても不思議じゃない。でもってダグはああいう人柄だから、例え自分が出会ったのとは別のダグでもクレアの期待裏切らない。これから話す信じられない話にも耳を傾けてくれるだろう。あっちのダグは川に沈んだまま発見されることはない。同じ次元に二人同時には存在できない。未来から来たダグが奔走していた間、こっちのダグはどこにいたのか。彼はどこかにいたはずだ。でないとこうやってクレアの前に現われることができない。この矛盾をうまく説明できるものならしてみろ~!それと今気づいたけど、4日と6時間後のデニーには、装置でダグを追い続けるのは可能なはずだが・・。つまり沈んだ方でも新しい方のダグでもどっちでも。あまりのハッピーエンドにころっと忘れてたけどさ。