デストラップ・死の罠

デストラップ・死の罠

シドニー(マイケル・ケイン)は劇作家だが、このところ立て続けにコケている。妻のマイラ(ダイアン・キャノン)は慰め、励ますが、効果なし。教え子クリフ(クリストファー・リーヴ)が送ってきた脚本はすばらしい出来で、ヒット間違いなし。呼び寄せて殺し、自分が書いたことにしよう。死体を始末し、やれやれとなるが、死んだはずのクリフが現われたショックで、マイラは心臓発作を起こして死ぬ。実はシドニーとクリフは恋人どうし。マイラの財産目当てに一芝居打ったのだ。葬式もすみ、同居し始めた二人。ところがクリフが一連の出来事を芝居にしようとしていることがわかり、危機感を覚えたシドニーは彼を殺すことに。しかしそんなことはクリフも想定ずみで。次々にどんでん返しがあり、途中で霊媒のヘルガがウロチョロし、どうせろくな結末は迎えまいと思いながら見ていた。「スウォーム」もそうだったが、ケインが度々大声でどなるのが私には耐えられない。なまじろうろうと響くいい声だからなおさらだが、こういうのは嫌いなんです。リーヴはケインより背が高く、白いセーターが清潔感をかもし出す。ケインのおなかが出ているので、ますます彼を見て目を清めたくなる。でもクリフは異常者なのだ。見かけは愛想がよく、爽やかなのだが。キャノンは目のまわりのシワが目立つが、プロポーションがいい。すぐ悲鳴をあげるので、最初はコメディー映画かなと思っていた私。シドニーはなぜマイラを殺したのだろう。お金も使わせてくれるし、作品がコケ続きでもいやな顔をしない、いい奥さんなのに。シドニーがクリフを好きになってしまい、一緒になるためには彼女が邪魔だったのか。そのわりにはせっぱつまった感じはしない。マイラの死後もシドニーは仕事をしていない。せっせとタイプを打つクリフとは対照的だ。すでに才能は枯渇し、何も出てこないのか。ヘルガの霊能力はあまりにも都合よすぎるが、映画だからね。何か感じると、口に出さずにはいられない。感じ取るのはいいことばかりではなく、犯罪のことも。よく今まで無事に生きてこられたものだ。今回も犯罪に首を突っ込んだわけだが、ついでに金の匂いも嗅ぎ取ったのだろう。