デッド・サイレンス
この映画は前「ぴあ」で紹介されていたのを見て興味を持った。「ソウ」のジェームズ・ワンとリー・ワネルが関係してるってことと、腹話術の人形が出てくる・・わかるのはそれだけ。私は「ソウ」は一作目だけ見て、他のは見ていない。一作目と同様後味のよくないラストらしいので、見る気になれないのだ。「デッド・サイレンス」も特にそそられる部分があるわけではない。予告を見る機会もなかったので、誰が出ていてどういうストーリーなのか全然わからない。それでも見に行ったのは・・私が面食いなせい。「ぴあ」に載った主人公らしき若い男性の小さな写真が決めて。これが別の写真・・しなびた老婆とか気味悪い人形のだったら、あたしゃ見に行かない。気にとめずにいたと思う。新宿でもやってたけど、有楽町スバル座へ。ここは金曜初回は割引料金なのだ。いつもならそれなりにお客入ってるけど今回は・・。初日からガラガラ・・なんていう情報もあったけど、あんまり・・と言うか全然ヒットしていなさそう。「ソウ」の!・・というだけではお客は来ないのか。一回目は35人くらい、二回目は25人くらいか。「88ミニッツ」より少ないんじゃないの?このスバル座にもお世話になったな。二回見れるのがいいよな。予告で「ミスト」やったけど、予告もチラシもあのスティーヴン・キングの・・で終わりだな。主演は待ちに待ったトム・ジェーンだけど、チラシには顔も載ってない(載せろこら)。話を戻して「デッド」だけど、音楽がよかったな。ドラマチックな曲と「サスペリア」を思わせる曲とだいたい二種類あったな。パンフにも書いてあったけど、ダリオ・アルジェントの影響はあったな。音楽がそうだし、人形がそうだし、主人公ジェイミー(ライアン・クワンテン)が水に落ちると人形とかいろんなものが沈んでいるところとか。「インフェルノ」みたいに死体も出てくるかと思っちゃった。主人公の若い男性が理不尽な目に会うというのは「ブギーマン」ぽい。ちょっと暗い過去かかえているというのもね。ライアンは知らない人。改めて映画で見るとイケメンではあるけれど、ちょっとしょぼい。ちまちましている。目が小さいせいもある。もっとぱっちりしていたら映画の雰囲気も変わったと思う。全体的にはケイリー・エルウィズに似ているかな。
デッド・サイレンス2
奥さんリサ役で「インビジブル2」のローラ・レーガンが出ていたのにはびっくりした。すぐ死んでしまうのでまたまたびっくり。しかもひどい死に方でねえ・・。ジェイミーの父親役でボブ・ガントン。「ブロークン・アロー」とか「グリマーマン」とかたいてい悪役。父親の三番目の奥さんエラがアンバー・ヴァレッタ。きれいな人だ。元スーパーモデルらしい。「トランスポーター2」に出ていた。他に刑事役でドニー・ウォールバーグ。マークのお兄さんだが、マークにくらべると活躍ぶりも見てくれも地味。私は「ソウ2」を見てないので、「シックス・センス」と「ドリームキャッチャー」くらいだな。ドニー扮するリプトン紅茶刑事は、この映画の息抜き的存在。名前の通りティータイム的存在。現実的で、幽霊だの呪いだのは信じない。リサを殺したのはジェイミーだと思っている。夫が妻を殺すのは納得できる。人形や目に見えないものが人を殺すなんてありえない。そうは言っても、妻を突然なくし、呆然としているジェイミーが人殺しにも見えないしぃ・・。主演が知らない人でも、脇をこうやってわりと手堅くかためてあるので、見ていても安心感はある。「ソウ」と同じである。これが邦画だと必ず誰か幼稚園の学芸会・・みたいなのがいて脱力させられるけどね。例によってクライマックスでは衝撃の事実が明かされ、どんでん返しにびっくり・・ってことになるらしい。でも私は途中でからくりがわかっちゃいました。○○が××だな・・ってね。だって若くてきれいすぎるでしょ・・これ以上は書かないけどさ。ジェイミーとブルックボンド・・じゃない、リプトンティーバッグ刑事が古い劇場に忍び込んでいろいろ歩き回るところ、人形がたくさん出てきて目玉や首がギーッギーッと動くところは見ていて長すぎると感じた。時間をかけてじっくり見せて怖がらせたいというのはわかるけど、怖さよりじれったさの方が先に立つ。もっとさっさかさーと見せろ!人形の顔が変化するところは、とたんにCGと言うかアニメと言うか安っぽくなる。腹話術の人形というアナログな存在だからこそ薄気味悪いわけで、あんなふうにぐいーんと変化したのではちっとも怖くないんだってば。「口裂け女2」の予告もそうだったな。怖い・・じゃなくてあッアニメ。日本の人形でよくあるじゃん。目が変わるとか口が耳まで裂けるとか。ああいうのの方が不気味。
デッド・サイレンス3
それにしても腹話術の人形って顔が独特で、私から見るとどうしてあんな気持ちの悪い顔にするのだろう・・と、不思議で仕方がない。この映画に出てくる人形はビリーという名前だけど、一回目見ている時は薄気味悪さしか感じなかった。それが二回目には何やらかわいらしく思えてきて、我ながら妙な気がした。デフォルメしてあるとは言え、人間に似せてあるので、そのせいで見ているうちに情がわくのだろうか。とは言えこの映画にはこれと言って特別なものはない。よく考えて作ってあるしどんでん返しもある。グロテスクさもあるが家族を思う気持ちも描写されている。でも「ソウ」のようなあっと言わせるものがない。スケールの大きさがない。まあそういうのがなくても私は別にいいですけどさ。怖さが中途はんぱなのは確かだが、私好みのムードのある作品。「ソウ」とよく似た青っぽい画面がいい。印象的な音楽がいい。若夫婦の住むありふれたアパート。意外といいところのおぼっちゃまなのだとわかるジェイミーの実家。大きくてりっぱではあるが、がらんとしている。体が不自由になった父親は若い後妻と二人きりで暮らしているのか。召使は出てきたっけ?廃墟となった劇場・・昔はメアリー・ショウの腹話術を見るために毎晩お客が詰めかけたのだ。・・ええ、そう、私この映画好きです。でも好きだからこそ一言言いたい。この映画は起こったことの全部を呪いでかたづけちゃってる。呪いだから何でもできます説明する必要も具体的に見せる必要もありませんって感じ?リサが舌を抜かれたのも、ジェイミーも知らないのにリサが妊娠してるってわかるのもぜーんぶ呪いの力でできるんですわかるんですってか?何しろメアリー・ショウは不死身で超能力があって・・でもそれじゃあ安易すぎません?当然のことながらトワイニング・・じゃない、リプトン刑事も(律儀にぼけるなこら)ジェイミーも生き残ることはできない。日東紅茶刑事やジェイミーやリサに何の罪があるってのよー!メアリーさんよ、どんなものにだって終わりはあるはずでしょ?復讐にだって。せめてジェイミーくらいは生かしておいて欲しかった。リサや父親やメアリー・ショウの菩提を弔う役回りでさ。とまあイケメン好みのおばさんとしてはこういう救いようのない結末は納得いかないのでありました。