ダーク・ウォーター

ダーク・ウォーター

この映画はコケたのかしら。二週間で打ち切りというところもあったし、もっと後で見る予定だったが、そんなわけで休日に見に行った。一回目は20人もいない。二回目は30人くらいか。休日ですよ、もっと入ってるかと思ったのに・・はっきり言ってガラガラ。何でだろ、地味すぎ?さて私は前にも書いたがジャパニーズホラーは一本も見たことなし。「リング」などハリウッドでリメイクされたものも見ていない。今回見たのはジェニファー・コネリー主演だから。「ダークシティ」でもその美しさは際立っていたが、あの頃にくらべると少々やせて顔立ちがきつくなっている。毎日新聞の批評には「意志は強いが幸薄い顔立ち」と書いてあって、まさにその通り。相変わらず美しいが、私は「ダークシティ」の頃の、ダークな雰囲気の中にもふっくらとしていてのどかな美しさを懐かしく思う。それにしてもあのカワイコちゃんがアカデミー賞とるなんてねぇ・・(しみじみ)。ヒロインダリアは生まれついての犠牲者である。子供の頃から犠牲者で、結婚や出産は転機になるはずだったのに、過去を引きずっているためにうまくいかない。離婚を決意したことも引越しすることも再出発を意味したが、行き着く先は「死」だった。それも犠牲という形での「死」。しかし彼女を「犠牲になるだけの生」から解放してくれたのも皮肉なことに「死」だったのだ。薄幸な運命にもてあそばれる人間は確かにいる。死によって彼らは苦しい生とおさらばできる。死は彼らにとってむしろ救いである。しかしだからと言って彼らが全員死を願っているわけではない。少女ナターシャの霊がなぜ自分を捨てた薄情な両親や、死のきっかけを作ったずぼらな管理人にたたらず、ダリア達を苦しめるのか理解に苦しむ。子供だから道理の通らぬたたり方をするのか。いややっぱりダリアには霊を引きつけるものがあるのか。ダリアは霊に利用されやすいのか。霊とか死とかすべてひっくるめてダリアには悪運を呼び込んでしまう何かがあるのか。あったとしても彼女のせいではないが。不動産業者マレーは口先だけで誠意のない男。何かトラブルがあっても先のばしにする。演じているジョン・C・ライリーは声が印象的だ。こういう声は私は好きじゃないけどね。管理人ヴェックがこれまた何かやらかしてもうまくすれば明るみに出なくてすむかも・・と見て見ぬフリをする卑しい根性の男である。

ダーク・ウォーター2

ピート・ポスルスウェイトが演じているので、ヒロインを助けてくれる善人・・に思えるが、結局諸悪の根源は彼だったのです!昼休みに女性を引っ張り込むようなやつなのです。途中で出てくる弁護士フラッツァーにはちょっと希望を持たされる。演じているティム・ロスは・・彼って背が低いですねえ。途中もう忘れた頃になってやっと出てくる。予告で見て出演していることは知っていたんだけどさ。もっと活躍してくれるかなーって期待したんだけど・・不発に終わりましただ。もしかしたらダリアといいムードになるかと期待したんだけど・・ダメでしただ。いい人そうに見えるけど平気でウソつくし・・。まぁある程度の力にはなってくれたけどさ。結局離婚とかそういう問題って、当事者がどう考えを変えるかにかかっているのよね。ダリアと夫カイルとの仲はこじれているけど、娘セシリアを愛しているという点では違いはない。ダリアは自分だけがセシリアを愛し、守っているのだと思い込んでいたけど、カイルも同じように娘を思っているのだとわかって考えを改める。仲直りのきざしが見える。明るい未来が開けそうになる。一つの考えにとらわれず、素直になることで人間は変わることができるのだ。でもそんな希望も未来もナターシャがすべてぶち壊す。子供にとっては自分の欲望だけがすべて。それによって引き起こされる悲劇など知ったこっちゃない。自分が愛されたことがないから、ダリアがセシリアを愛する気持ちもわからない。ナターシャによってセシリアが殺されそうになった時、ダリアは迷わず自分の命を投げ出した。「私があなたのママになるから」・・自分の命を奪い、愛する娘と無理やり別れさせられ、自分とは何の関係もない(小さい頃の境遇が少し似ているだけだ)少女の母親になれるのか。セシリアではなくナターシャをかわいがることができるのか(しかも永遠に)・・そこらへんは大いに疑問で、映画は自立の一歩を踏み出すセシリアのけなげさを強調して終わるが、私は釈然としなかったな。ママになってくれるなら誰でもいいのかよナターシャさんよ。ダリアだってナターシャ見る度に愛する娘との仲を引き裂いた張本人、憎い~と思うはずだが・・。カイル役はダグレイ・スコット。この映画わりと前から予告がかかっていたんだけど、ダグレイが出てるって知ったのは直前の予告でなの。

ダーク・ウォーター3

それで「よっしゃー、見に行ったる!終わらないうちにぃ」となったわけよ。「エバー・アフター」での情けない王子様がツボでしたの、ウフ。彼ってヴァンサン・ペレーズに似てますな。ペレーズと違って髪の心配全然なさそうだけど。カイルとダリアは最初はののしり合ってる。でもカイルの方ばかり悪いわけではないことはそのうちわかってくる。ダリアには母親に邪魔者扱いされたトラウマがあって、自分も娘に同じことをするのではないかと苦悩する。自分に自信が持てず、不安の裏返しとして娘にベタベタと寄りかかる。夫のことは二の次で、それが不和の原因だろう(夫は当然別の女性とつき合うわけで・・)。カイルも同じアパートの住人使ってダリアにいやがらせをしていたようだが、そっちの方は話が発展せずあいまいなままである。まあダグレイが全くの悪役ではなかったのにはホッとしましたけどね。いちおうホラー映画だけどそれほど怖くはない。水を使った特撮も「別にぃ・・」という感じである。驚くとか感心するとかそういうのなし。怖いって言うと例えば湯上りで部屋の中を歩いている子供の顔が見えないっていうのが怖い。ダリアは当然セシリアだと思っているけど見ている我々はナターシャだってわかってる。そういうことの方がゾクゾクさせられる。あ、でも一番怖いのは天井のシミでしょうな。ホラー映画じゃなくたって天井裏でポッタンポッタン音がし始め、そのうちに天井にシミが広がり・・。あーこんなに怖いことってありませんて。業者に連絡しても何だかんだ言ってなかなか来てくれない。やっと修理してもらって次の雨の日にまたポッタンポッタンですよ。いったいどこを修理したんだこらッ!・・と話がそれましたが、とにかくダリアがこの部屋を借りなければこの悲劇は起こらなかったんですよ。まあ別の悲劇(泥沼離婚・親権をめぐる争い・ダリアの精神病など)は起こったでしょうが。娘がいなければナターシャの霊も寄ってこなかっただろう。アパートの他の住人は何の影響も受けていないのだから。ダリアの悲劇の御膳立てをしたのは無責任な男達である。彼らは自分のことで頭がいっぱいでダリアのことなんかどうでもよかった。そういう彼らの身がってさが私には一番印象的だったな。それといざという時迷わず命を投げ出す母の潔さにもね。怖くないし地味でパンチ不足だけど、こういうダークなムードの映画私はけっこう好きですよ。