ダーク・プレイス

ダーク・プレイス

これはあんまり評判よくないようだ。確かに見ていてわかりにくいし、見終わってもスッキリしない。リビー(シャーリーズ・セロン)は、カンザスで起きた一家惨殺事件の遺児として生きてきた。事件の後、多額の寄付が集まり、今日まで働かず暮らすことができた。しかし28年もたてば事件は忘れ去られ、お金も底をつく。リビーの家はゴミ屋敷になってる。実は私には事件の真相よりよっぽどこっちの方が興味深かったのだが、それはまた後で書く。1985年、ろくでなしの夫ラナーと別れ、四人の子供を育てるパティ(クリスティナ・ヘンドリックス)。しかし農場の経営は行き詰まり、差し押さえの危機にある。それだけでも大変なのに、長男ベン(タイ・シェリダン)が少女達にイタズラをしたと警察に追われる。息子を信じるパティだが、彼の部屋で女性の下着を見つけ・・それは恋人ディオンドラ(クロエ・グレース・モレッツ)へのプレゼントだったのだが・・絶望した彼女はある決心をする。母親と妹二人を殺した犯人としてベンが逮捕され、28年も服役しているが、それは当時8歳だったリビーの証言のせいである。彼女はベンが犯人だと今でも信じている。ある日ライル(ニコラス・ホルト)という青年から手紙が来る。会合に出てくれれば500ドル払うと。殺人クラブという、名前は物騒だが過去の有名事件を再検証し、冤罪を晴らそうという活動をしている集まりがあって、それに出て欲しいと。どうやら彼らはベンが無罪だと思ってるらしい。最初は金欲しさに出かけたリビーだが、そのうち真相を知りたいと思い始める。ベンがとらわれの身であるように、彼女自身も過去にとらわれている。ラナーや、イタズラされたと訴え出た(これは結局ウソだったとわかる)クリシーなどに会い、話を聞くが、なかなか真相が見えてこない。見ている我々は、ベンが再審要求もせず運命を受け入れているのには、それなりの理由があるのだと思う。誰かをかばっているのだ。たぶんリビーが犯人か、母親が(保険金目当てに)やったか。結局真相は少し違っていたけれど、大筋では予想通り。リビーの調査にライルも同行するなら少しは雰囲気も違ったろうが、彼女一人なのでどうしても暗く重くなる。セロンにとっては演技の見せどころだが、見ている方はつまらない。それと、回想シーンの多くがリビーの知りえないことなのも、見ていてしっくりこない。

ダーク・プレイス2

で、私が興味を引かれた点だけど、幼くして金持ちになった彼女には、代理人と言うか、財産管理人のような人物がつけられたはずだ。そうしないとラナーに全部持って行かれてしまう。で、その人物はリビーが働いて補っていればこうはならなかったと言うわけ。でも彼女はそういった忠告も聞かないし、残金がいくらあるかも気にせず今日まで来た。土壇場になって初めてどうしようと思うけど、真面目に働くという選択肢は彼女にはないのだ。ライルに対しても、取れるだけ取ってやろうという感じで、これじゃラナーと同じだなと思う。何か読むのに懐中電灯で照らしていたから、電気を止められているのか。家賃滞納しているらしいし。Tシャツに穴が開いてるのが興味深い。いつも同じものを着ているようで、洗濯しないのか。水道も止められ、風呂に入っていないのではないか。穴にしても脱ぐ時にスソからまくり上げるのではなく、首のあたりを引っ張って脱ぐのだろう。それをくり返しているとあそこらへんが破れてくるんだよな。彼女は自叙伝を出したらしいが、自分で書いたわけではない。それでも彼女は印税を期待する。事件からもうすぐ30年たつから何かお金が入らないだろうか。保険金は・・結局パティは子供達に保険金を残すためにああいうことをしたのだろうが、手違いがあって、ベンの弁護費用に消えてしまった。パティは人々の善意による寄付で大金が集まるとは思っていなかったろうが、リビーは金持ちになり、そして落ちぶれた。中年に近づいた今も、金はどこからか入ってくると当てにしている。どうもねえ・・こんなヒロイン共感できないんですわ。兄の無実が明らかになってもろくにあやまりもしないし。と言うか、ベンの心理も不可解。一番アレなのは、真実が明らかになるのがライルの調査によってというところかな。見ている者、脱力しますがな。成長したベンやってるコリー・ストールは「ミッドナイト・イン・パリ」でヘミングウェイやってた人らしい。シェリダンがいいので、成長したベンはさぞや・・と期待して見ていると、ツルツル頭とヒゲのオッサンが出てきて、あちゃ~となる。それにしても・・28年たってるんでしょ?ディオンドラの娘は28のはずよね・・でも、とてもそうは見えないんですけど。若すぎるんですけど。まあいいや、不出来なのは確かだけど、実は私この映画好きなんです。原作があるようなので捜してみよ~っと。