ダークネス

ダークネス

恐怖映画は多いが、この頃のは「怖い」と言うよりも「気持ち悪い」ものの方が多い。「ダークネス」はその点、正統派「怖い」映画である。乾いたイメージのあるスペインだが、雨ばっかり降っている。ストーリー上でカギとなる日食の日に雨が降ったらどうなるのかな・・なんて余計な心配をしてしまう。毎晩のように光る稲妻。その瞬間浮かび上がるいるはずのない子供達。どこも故障していないのに電気が切れる。背後をスッと横切る人影(その度に大きな音を入れるなよ、もう・・。びっくりするじゃないの。たまには音無しで横切らせてみたら?それでもびっくりさせることができたらすごいよね)。一番怖かったのはヒロインの後ろ、何かが天井でうごめいているところ。我々の視線が普段行く床や壁じゃなくて、まじまじ見ることのあまりない天井というのがいい。はっきり見せなくて、何かがいるぞ、それもおぞましいものが・・程度なのがいい。ばっちり見せると効果が半減するってわかってるとこがニクイ。ヒロインのアンナ・パキンは他の若手女優とはちょっと違う。彼女よりも美しくスタイルのいい女優はいっぱいいると思うが、彼女の持つおかしがたい気品、威厳のようなものは貴重だと思う。そのへんを意識してか、横顔のクローズアップが多い、というか多すぎる。まあ美しいものをとりたくなる気持ちはわかるが。決してつまらない映画ではないが、内容はありきたりで、犯人(?)の目星も簡単につく。さてどんな映画も二回見るのが信条の私だが、今回ばかりは一回で出てきてしまった。だってあの結末・・いくら何でも救いがなさすぎる。あれでヒロイン達が無事なら(これから闇と戦うにせよ)、喜んで二回目も楽しめたと思うけど、あれじゃ神も仏もない。気分がどよーんとなって耐えきれずに出てきてしまった。しかしまあ人間にとって光、明るいことがどんなにありがたいものであるか。パッと電気がつくことで邪悪なものは退散し、人間の心の中には希望が生まれる。それがよくわかる映画だった。ヒロインのボーイフレンド役のコがよかった。あんなにきれいな女性にまんざらでもなさそうなそぶりをされ、頼られたらそりゃホイホイ何でも手伝っちゃうよねえ。お客は10人くらいしかおらず、さびしいものだったが、久しぶりにマジで背筋の寒くなる映画を見た・・という気がした。内容は怖くないけど、見せ方で怖がらせてくれる。