チャーリーとチョコレート工場

チャーリーとチョコレート工場

平日朝早くだけどかなり入っていた。レディス・デーなのでほとんどが女性。さすがデップ、人気ありますねえ。私はこういう「おはなし」系映画ってほとんど見ない。「ハリポタ」の予告かかり始めたけど「また?」ってなもんよ。「私が早く見たいのはハリーの新作」なんて前どこかの館で女性が連れに言っていたけど「何で?」ってなもんよ。じゃあなぜ「おはなし」系のこの映画見る気になったかと言うと・・デヴィッド・ケリーのせいなんですの。ジョーおじいちゃん、この人鼻が大きくて「やせたお茶の水博士」って感じ。前にも書いたけどケリーじいさんはもう年寄りなので、今のうちに見ておかないと・・すいません、エンギでもないこと書いちゃって。私が一番好きなのは「マン・オブ・ノー・インポータンス」みたいな役。あとはたいてい囚人で(「ミーン・マシーン」や「グリーンフィンガーズ」)、しかも途中で死んじゃう。「ウェイクアップ!ネッド」では死んだネッドの身代わり役。今回みたいな超大作は初めてじゃないかしら。しかも三番目くらいに名前が出てくる!どうか長生きしてください。私はヘソ曲がりだから大ヒットしている映画はあんまり見ない。見るにしても明日で終わり・・くらいなところで見る。今回は少し早めだけど、他に見るものなかったし・・。この館は前招待券が当たってタダで見たところ。この前はタダで見させてもらってありがとうございました。これからはちゃんとお金払って見ますねって感じ。わりと古くて、椅子はまああんまり座り心地はよくない。でも懐かしさを感じさせるレトロな作りがステキ。トイレにはシャガールの絵、ロビーにはピアノ、スクリーンの両脇の壁には石膏像。シネコンとは違う雰囲気がいい。そして・・お客さんがたくさん入っているのがうれしい。・・で、ここで話は元に戻るけど、ほとんどの人はデップ目当てなんでしょうね。私みたいなケリーじいさん目当ては・・いないだろうなあ・・。ついでに出演者いきますね。チャーリーのお父さんノア・テイラーは「アドルフの画集」でヒトラーやってた。この映画はWOWOWで見たけど・・何て言ったらいいのかわからん。お母さんへレナ・ボナム=カーターは・・似合いますねえ、こういう貧しさに負けずけなげに生きる女性の役。顔つき何だか日本人ぽくて親近感がある。ソルト氏ジェームズ・フォックスは老けましたなあ。

チャーリーとチョコレート工場2

NHKBSで「ポアロ」シリーズに出ていたのを見たばっかり。ボーレガード夫人ミッシー・パイルはどこかで見たような・・と思ったら「ギャラクシー・クエスト」ですか、なるほど。「金のチケット」当てたチャーリーに500ドル出すって言ってきた女性は「サンダーバード」の冒頭に出てきた先生。ウォンカの父親クリストファー・リーはケリーじいさんより七つほど年上だけど、若いと言うか達者と言うか・・さすがドラキュラ、きっと不死身なんでしょう(冗談ですってば)。外見も堂々として(白衣姿はヘルシング教授もいける!)、何よりも深みのある声がすばらしい。古木、巨木、世界遺産という感じでとにかく存在感がある。そばにいるだけで森林浴できそう。これと正反対なのがデップ=ウォンカで、とらえどころがなく、とりとめがなく、まとまりがなく、要するにお菓子みたいにふわふわ。清潔な工場でいい材料使って心をこめて(機械にだって心はあるでしょ、冒頭のシーンではそれが伝わってきたもん、えッ気のせい?)大切に作られたチョコレートと同じ。純粋で傷つきやすく(暑いと溶けます)、人々を幸せにするが害も与える。ウォンカはなぜ「絶対虫歯にならないチョコレート」を発明しないんでしょうか?「おはなし」だから描かれていないこともたくさんあって、まあ私は原作を読んでいないし読む気もないのだが、欠落している部分についてはどうこう言わない。とにかくウォンカは20年チョコを作り続け、そのうち15年は世間と没交渉。ウンパ・ルンパを世間と言うなら話は別だが。ある日白髪を一本見つけて「もう年だ、ショック!」となる。チョコ一筋で今日まで生きてきて、何の不足も感じていない。ありえない、風変わりな中年男をデップが見事に体現する。本格的なウォンカ登場までにはかなり時間があるが、それまでにチラリチラリと出てくる若きウォンカの何とみずみずしく新鮮なこと!15年後チャーリー達の前に現われたウォンカの何と人工的で不自然なこと!公開前テレビで予告や紹介を見たが、白塗り・真っ白な歯・真っ赤な唇のデップ=ウォンカにはいやな予感がした。わざとらしいしありえないし、映画の間ずっとこれを見るのはごめんだ・・と思った。でも実際に見てみると・・全然そんなことはなかった。登場してからはデップの一人舞台。私の目はデップに釘づけ。ウンパ・ルンパなんてどうでもいい。

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ケリーじいさんでさえ・・(ごめんね)。見かけの異様さ、ふるまいのわざとらしさ、不自然この上ないのに不自然でなく、ウォンカという複雑なキャラを自由自在にふくらませ、あやつるデップの演技力に脱帽。工場に招待されたチャーリー達の前に現われた異様な人形達。燃え始めても続く不気味な歓迎ショー。デロンと落ちた目玉はまるで「パタリロ」の一コマ。どうやって登場させるのかと思ったらウォンカはいつの間にかチャーリー達の横にいた。カードを読むのはなぜ?両親と発音できないのはなぜ?チョコレート工場の秘密なんてどうでもいい。ウォンカの秘密の方がよっぽど興味ある。カラフルで夢のあるお菓子の園、チョコレートの滝も何もかも私にはどうでもよかった。全部CGに見えるけどいちいちセットを作ったらしい。ディープ・ロイもいちいち演じ分けたんですってさ。お金も手間もとほうもなくかかっている。ご苦労様、でもすみません、私にはどうでもいいんです。デップ=ウォンカに胸キュン。チョコ一筋、ずーっと一人で生きてきて、今アメリカでヒットしている映画の題名じゃないけど、彼こそ「THE 40-YEAR-OLD VIRGIN」よね。回想にはお父さんは出てくるけどお母さんは出てこない。ウォンカはきっとお父さんから生まれたのだわ。チョコに胸をこがすことはあっても生身の女性にはときめかない(んだろう)。妙なヘアスタイルや真っ白な顔、真っ赤な唇は何とも女性的だ。彼はもちろん男性だが女性的な部分もかなりあって、それで一人でいても充足しているのだ。恋人なんかいらない、家族なんかいらない、チョコさえあればいい。お金儲けだって二の次。自分が作りたいと思うチョコを作って今日まで生きてきた。でも白髪が一本。自分とできるだけ同じ思いの子供に後継者になってもらおう。チケットが当たった他の四人は何ともひどい性格の子供達だったが、チャーリーは心がやさしくとてもまともだった。だがチャーリーはチョコレート工場よりも家族を選ぶ。ウォンカの当てははずれ、失意の日々。彼に欠けているものは・・家族・・お父さん。ほらやっぱりぃ・・ウォンカはお父さんから生まれたんですってば。でなけりゃお母さんだって出てくるはず。再会した二人がぎこちなく抱き合うところがよかったですな。お父さんが集めに集めた切り抜きがまた泣かせます。

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他の映画でよくあるぎゅっと抱きしめるんじゃなくて、何かこう隔ての感じられる抱き合い方。一つになりたいのに年月が、衣服が、感情が隔てている。画面を見ていてチョコの香りとか甘さとかそういうものは私には伝わってこなかったのだが、この「隔たり感」だけは実に如実に伝わってきましたな。ウォンカは涙も見せずとまどったような顔をしていてそこがまた胸キュン。号泣すればいいってもんでもないんですぜ「ホステージ」のウィリスさんよ。はー私の頭の中はウォンカ、ウォンカ。透明なエレベーターに律儀にぶつかるウォンカ、帽子を取ると何ともサマにならないウォンカ(帽子をかぶっているからこそ似合うウォンカのヘアスタイル)。明らかに人格に欠けたところのあるウォンカ。でも完全な人間なんていない。家族思いのチャーリーだってお金拾ったのに警察に届けず、その足でチョコを買いに走った(何で迷わない?)。親はなぜチャーリーにチョコが買えたのか聞かないの?「ホームアローン」でも歯ブラシのお金払わなかったし、何で始末つけないまま映画を終わらせちゃうのかね。チャーリーも完全じゃない、そういうことを言いたいのかしらね。あッ「おはなし」だから追究しちゃいけないんだっけ。絵に描いたようなハッピーエンド。水のようにうすいキャベツスープの代わりに毎日ご馳走が並べられ、チャーリー一家は幸せに暮らしましたとさ。ウォンカも仲間入りして団欒を味わう。・・てなわけで胸キュンデップ、胸キュンウォンカに私は大満足。「シークレット・ウインドウ」は期待はずれだったけど、今回の漂白ウォンカは最高!大がかりな仕かけより「2001年宇宙の旅」や「サイコ」のパロディの方がずっと笑えた。モノリスが板チョコだったなんて!それとリスがかわいかったな。最近散歩に行ってシマリスの檻をボーッと見たりする。手のひらに乗るくらい小さくてとてもすばしっこい。郵便貯金のマスコットキャラクターはリスである。木の実を「蓄える」からだ。ついでに言うと簡易保険のマスコットはカンガルー、郵便はポストンである。知ってました?こんなこと書いてることでもわかるように、この映画見ても「チョコが食べたくなった」とかそういうことはありませんでしたな。デップ=ウォンカでおなかいっぱい!さて・・場内が明るくなった時、女性達は皆一様にニコニコと楽しそうで、デップ効果でしょうか。モチ私も幸せでしたヨ。