ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ

ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ

公開最終日、一回目は10人くらい、二回目は15人くらいか。要するにガラガラ。ほとんど女性客。二回目は全部終わって明るくなるまで誰も席を立たなかった。行儀がいいなあ・・まあイルカがずっとうつっていたからね。歌もよかったし。「王様のブランチ」で紹介されていたので、前知識はうっすらとあった。松山ケンイチ君主演だから見ようとは思っていたけど、ぐずぐずしているうちに近くのシネコンでの上映は終わってしまった。それで別に見なくてもいいかな~とか思ったりもしたけど、新宿ではまだやってる。それでじゃあ見ようかな~とか思って出かけたわけよ。「ゴースト・ハウス」とこの映画と二日続けて新宿まで行ったんですの。続けて二本見りゃ一日ですむけど、そういう要領のいいことができない性分で・・一本を二回ずつ二日かけて見たわけですの。疲れて頭痛くなった~。連日JRはトラブるし、バスは不定期だしで二日とも遅刻しちまったぜベイビー。不思議なもので途中から見ると映画にすんなり入り込めない。二回目はちゃんと最初から見るわけだけど、心のどこかではおさまりの悪さ感じている。近くでやってる時にさっさと見りゃいいのに、ぐずぐずしているから電車やバス乗り継いで見に行くはめになるのよ。今回はパンフも売り切れで・・ショック。だから実話ったってどの程度までなのかわかりませんの。ミチルとかいう少女の部分はフィクションぽく思えるけど。あたしゃスカート姿見るまでずっと男の子だと思っていましたの。そしたら女の子じゃないですか。しかも・・主題歌歌ってるんですか?15歳?あんれまあ・・。一回目は聞き取れないセリフも多く、多少イライラさせられた。二回目は何とか・・。あのさ・・今度から日本映画にも字幕入れようよ。映倫もおじいちゃんにボカシ(「ストーン・カウンシル」のDVDもうすぐ発売されるよ!)入れてるヒマあったら「こんなセリフの聞き取りにくい映画はダメ、字幕入れなさい」ってそういう規定作ってくれる?ケンイチ君はよかったですよ。まあ彼とイルカ目当てだからたいていのことは・・。映画は・・何て言うか・・無音・無言の部分があって、それは現実世界でもあることだからいいんだけど、映画として見ていると妙な気分にさせられるな・・と。この沈黙にどこまで耐えられるか、作り手と見る側とのがまんくらべみたいな・・。たいていのお客は沈黙を長いと感じるだろうな。

ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ2

逆に音(と言うか声・歌)が鳴り響くシーンもあって、海で舟が燃えているところ。まあこれはまた後で書くけど。ミチルが一人になりたい時に行く森の中の大きな木の根元。これって実物?「蟲師」の世界ですよこれじゃあ。沖縄・海・イルカということで、こっちは特定のイメージ(先入観)持って見ているのに「蟲師」ワールド。ホラーかオカルト映画みたいでとまどう。他に感じたのはカットしやすい映画だなあということ。なくてもいっこうにかまわないシーンがいくつかある。館長役山崎努氏が弁当食べるところとか、一也(ケンイチ君)がミチルのおじいちゃんに舟に乗せてもらうところ。それと話がいきなりポーンと飛ぶ。一也の恋人が東京からやってくる。遠距離恋愛にかげりが出ているのは明らかで、見ているこっちも心配してるから、彼女が来てくれたのは関係修復のチャンスだ!と思う。久しぶりに会ったのに二人はどこかよそよそしい。彼女は彼に東京へ戻ってきて欲しい。彼女自身は仕事が忙しく、東京を離れるつもりは全くない。一方一也の方は迷ってる。どっちかと言うと戻る気はないが、はっきり宣言するほどでもない。明日仕事休みだからここらへん案内する・・そう言って取りあえずは断定を避ける。その後どこかの部屋の窓辺がうつって、ああこれは二人が久しぶりに一緒に夜を過ごして、朝日が差し込んでいるところだ・・と思う。その後いきなりミチルのおじいちゃんの葬式になって、一也も一緒に歩いているから、これのせいでデートはおじゃんになったのか・・と思う。でも違うのよ。恋人との再会と葬式までには間があるの。恋人とはどうだったのか描写が省略されているの。だから一回目見ている時には何がどうなってるのかよくわからなかった。先ほど書いた燃える舟も、最初はおじいちゃんを火葬にしているんだと思ったの。でも見ているのは一也とミチルだけだし・・。二回目にああ、あの舟はおじいちゃんが漁に使っていた舟だなってわかる。もう乗る人はいないし、舟も海に返してやろうとか、そういう意味で燃やしたのではないか・・と。それともそういう風習がここらにはあるんですか?このおじいちゃんも葬式の時の遺影がどう見ても田村高廣氏なんだよな~。でも生前は全然別の顔してるし・・わけわからん。でもってさっきうつったのは一也の部屋ではなくて水族館の館長室。窓辺に置いてあるのはおじいちゃんが編んだ花器。

ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ3

したがって一也と恋人との描写が結局は何もなかったってことに気がつくの。観客は恋人達のその後を知りたいのに、話は全然別のことに飛んでるの。見ている側にそういう置いてけぼり感があるから、いくら幻想的な燃える舟、じわじわ高まってくる歌声で感動を盛り上げようったってだめなのよ。は?彼女は?デートは?ってなもんよ。結局ラスト一也は東京には戻らないという手紙を出す。今更そんなの見せられてもねえ・・前々から戻る気なんてないの見え見えだし。どうも見ていて一也の苦悩や決心が伝わってこないのよ。それはミチルの苦悩や決心もそうなんだけどさ。何となく・・なんだよな。でもそういうのってもしかしたらとってもリアルなのかも。映画として見るとドラマチックさに欠けるけど。飼育員の大変さもイルカのすばらしさもよくわかる。でも映画で一番印象に残るのはフジの人工尾びれを作るよう頼まれたブリヂストン側の描写。もっと宣伝めいた作りになるのかな、批評読むと「プロジェクトX」風なんて書いてあるし。でも・・全然。すごく控えめな描写。お金も時間も労力もかかったと思う。たかがイルカ1頭のためにそこまでやる?とも思う。でもやるんだよな。でもって担当する須藤役の田中哲司氏がまたいいのよ。大人しくて真面目なごく普通の人。ああいう人達が企業を、日本を、世界を、地球を支えているんだよな。一部のカリスマ指導者じゃなくってさ。まあいくつか欠点はあるものの、見てよかったと思いましたよ。地道に働いている人を見ると襟を正したくなります。ケンイチ君はLとは全く違った役で、見ていて新鮮だった。ミチル役の高畑充希嬢は目がつり上がっていて、まるで仏像のよう。見ようによっては少年にも見える。男女どちらとも取れる阿修羅像とかは、こういう一瞬を刻んだのだろうなあ。と言うわけでイルカのことはあんまり書かなかったけど、芸達者だし愛敬あるし・・好きです。尾をひらひらさせるのがかわいかった。その後ケンイチ君が「カムイ外伝」実写版に出るというニュースが!うーん、もしかしたら適役かも。元のマンガでのカムイは髪が長いこともあってやや女性的なイメージ。ケンイチ君もやや細身だし、それでいてこの映画ではせっせと自転車こいでねばりのあるとこ見せてたし。旅立つミチルを見送るシーンでは意外と男くさいとこ見せてたし・・(あの握手を要求するシーンでの目つき!)楽しみですぅ。