斬撃ーZANGEKIー

斬撃-ZANGEKI-

セガールの出演作はいっぱいあるので、たいていはテレビの録画ですませる。吹き替えでもかまわないし、尺も短いから大量にカットされることもない。わざわざDVDを買ったのは、ダニー・ミッドウィンターが出ているらしいから。「アナコンダ4」で見て、気になった人。セガールのDVDでは珍しく、メイキングがついている。監督とかみんな真面目そうな感じ。セガールの映画って、どうしてもいいかげんな人達が集まって、テキトーに作っているという印象あるから。初期のものは違うけど。でもみんないいものを作ろうと取り組んでいるんだよな。セガールにとっては初めてのホラー映画なんだそうな。DVDのカバーには「夢の対決!ゾンビvsセガール!」なんて書いてある。インタビューによると、アクションシーンの打ち合わせやリハーサルはセガールには必要ないのだそうな。パッと出てきて、その場ですぐできちゃうらしい。まあまわりがセガールに合わせてあげてるのだろうが。出たとこ勝負なんて言っちゃあいけない。ただのゾンビ映画では終わりたくないという作り手の意気込みも、結果としてはお気の毒様というところか。いつ、なぜ感染が始まったのかは不明で、ワクチンなどの解決手段もなく、人類は危機に陥っている。わずかに残った人々は隠れ、逃げ、生き延びようとしている。ここ、総合病院の一角ではドロシー(ジェナ・ハリソン)とモーガン(ミッドウィンター)が潜む。今までは外に出ることは考えなかった。しかし食料が乏しくなってきた。そろそろ移動した方がいい。途中で出会ったのはアメリア(エマ・キャサウッド)、ディラン(ダニエル・パーシヴァル)、リッキー(スティーブン・ヘイガン)、チャーリーの四人組。チャーリーは肺炎なので薬が必要だ。ドロシーは以前ここでインターンをしていたが、薬があるかどうかは望み薄。一方この7区に巣食うゾンビどもを一掃しようと、民間人によるハンター集団がやってくる。リーダーはタオ(セガール)。部下はタガート(タノアイ・リード)と女性二人。動くのは(動けるのは)もっぱらタガートで、タオは「一掃しろ」とか「前進するぞ」とか、動きどころかセリフまで短い。セガールに長ゼリフは無理ってか?って言うか、セリフ暗記してこなさそうだなセガールって。

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一方どこかの野営地では、7区を空爆によって一掃しようという計画が・・。クロス(リンデン・アシュビー)は生存者がいると反対するけど、大佐(キース・デヴィッド)は夜明けに攻撃するつもり。何と言うか・・ちゃんと機能している軍が出てくるのにはびっくり。冒頭無政府状態みたいな描かれ方していたから。舞台はほぼ総合病院の中。ほぼ同じに見える廊下、階段、トイレ、モロモロの部屋。ぐるぐる回っているだけ。出口・・シャッター目指して一目散・・じゃない、モタモタダラダラ歩く。何しろ90分持たせなきゃならない。一緒になったり離れたり、襲われたり逃げたり。ベチャクチャしゃべるし、カフェテリアで腹ごしらえし、クスリやってるのもいるし。で、セガールなかなか出てこない。トイレにでもこもっているのか(はまっていたりして)。出てきてもちょっとしゃべってちょっと動いて、ほとんどリードにお任せ。それからまたドロシーやらアメリアやら脇の連中にカメラが切り替わる。もう明らかに失敗なのよ。ただのゾンビ映画。しかも設定があいまい。血がついただけでは感染しないのか。食いつかれりゃアウトだけど、ドロシーなんか首丸出しだし、胸の谷間見せっぱなしだし。つまり首をガードするとか、できるだけ肌の露出を避けるんじゃないの?あと素手だし。病院なら手袋あるでしょ。ゾンビは首の骨を折るとか、そういうことしなくても普通に撃たれて斬られて死ぬみたい。もちろんセガールは・・じゃない、タオはどんなことがあっても無傷です。夢の対決じゃないんです。セガールは絶対ピンチにならない。全然盛り上がらないゾンビとの戦い、平板すぎる流れだけど、たまにはオッというシーンがある。途中でディランが変なオッサンに出くわす。このオッサンはゾンビじゃないけど、彼の娘はゾンビ。しかも進化したゾンビらしく、他のと違って理性がある。理性があるったって子供だからどれほどのものか怪しいが。オッサンは迷い込んできた人間をエサとして与え、その代わり襲われずにすんでるわけ。で、後でタオはこの娘を始末するわけ。最後の方でアメリアは少年に不用意に近づき、噛みつかれてゾンビになっちゃうんだけど、この少年もタオは始末。普通ならいくらゾンビでも少女や少年となるとちっとはためらうけど、タオはそんなの関係なし。問答無用でグサリ。ここがちょっと新鮮かな。

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もう一つ、ドロシーを追いつめたゾンビがやはり理性残していて、今じゃ自分達が主流で、人間達が少数派みたいなこと言うわけ。「地球最後の男 オメガマン」みたいな感じ。ドアのガラスの部分が壊れていて、そこから顔をのぞかせるんだけど、ちょっと「シャイニング」みたいでよかった。こういう・・進化したゾンビが出てきても、それ以上発展せず終わってしまうのがちょっと残念。さて時々(忘れた頃に)出てきて刀でぶった切って、ショットガンで撃つタオ。ゾンビは武器なしだから、刀はともかくショットガンは卑怯だよなあ。その間にも攻撃開始の時間は近づいてくる。外との通信手段はなしかよ。生存者を見つけたのなら大急ぎで脱出すりゃいいのに、タオは一掃にこだわる。一行からは次々に犠牲者が・・。まずリッキーが。美形なのにもったいない。途中でエレベーターに乗る。途中で止まるかもしれないけど乗る。たぶんタオは階段なんか使うのいやなのだ。疲れるもん。案の定エレベーターは止まる。何だかよくわからんがモーガンがハッチから下りる。下に水がたまっているのはなぜなんだろう。まあこういうところには水がたまっているのだ「インフェルノ」みたいに。モーガンはほとんど無駄死に。無駄に死ぬと言えばハンターの女二人もだ。タオの後ろを歩くだけで、この二人何かやってたっけ?セリフもほとんどなし。現地調達した素人さん?てなくらい印象薄い。モーガンが死んでもドロシーはほとんど悲しんでいない。ゾンビ化したアメリアをディランはあっさり撃ち殺すし、何だか最後の方になると無理に人数減らしている感じ。普通はもうちょっと悲しむとか怒りにふるえるとか。空爆はピンポイントなんだろう。ゾンビは吹っ飛び、タオ達は無事。ドロシー達は野営地に向かうけど、タオとタガートはたぶんまたゾンビ狩り。そのうつし方もそっけないと言うか、宙ぶらりんな感じで映画は終わる。今度こそ・・と期待させて、やっぱりだめか・・とがっかりさせて終わる、いつものセガール映画。セガール自身がもっとちゃんと動こうと心を入れ替えてくれない限り、同じような傾向はずっと・・それこそ死ぬまで続くんだろうなあ。よく動いていたリードはどことなくドウェイン・ジョンソンに似ている。それもそのはず二人はいとこどうしらしい。