失踪

失踪

この映画は「ザ・バニシング-消失-」のリメイクらしい。原作も出ているようだが、古本屋で捜しても見当たらないのが残念。オリジナルは結末が違うようだ。ハッピーエンドじゃなさそう。だとしたらあんまり見たく・・だって後味悪いのいやなんだもん。キーファーを初めて知ったのは「ダークシティ」だと思うけど、あの時の彼はかなりメイクしていたし、どことなく気持ち悪い感じ。若いんだか年寄りなんだか。でも・・ほら・・お父さんにくらべれば。お父さんのドナルド・サザーランドを初めて見たのはテレビの「電撃スパイ作戦」の「テロの邪神」だったと思う。今度ケーブルテレビにしたのでチャンネルが増えて途中からだけど「電撃」見られる!「テロ」もそのうち・・ムヒヒ。なぜこんなこと書くかと言うと、「テロ」でのドナルドの気持ち悪さときたらあなた・・。それにくらべりゃキーファーはかわいいもんです。で、「失踪」だけどたぶん「霊視」のせいで本格的に興味持ち始め、少しずつDVDや中古ビデオ集め始め・・。そのうちの一本ってわけ。中には買ってそのままになってるビデオもあって、何とかしなくちゃ・・と思うけど、でもまずはこの映画からね。これ・・キーファーの出演作品としてはけっこういい線いってると思うんですけど。何となくキーファーよりサンドラ・ブロックが出ていることが売りになってる気もするけど。ジェフ・ブリッジスも出ていて、彼も今じゃアカデミー賞俳優だけど、この映画での彼は・・見ようによっては大根よね。「スターマン」の時とさして変わらない。動きも表情もこわばっていて、煮るのに失敗してゴリゴリになった大根みたい。アカデミー賞と言えばジェシー・アイゼンバーグ君が「ソーシャル・ネットワーク」でノミネートされたのにはびっくりよ。「カースド」以来彼を見守ってきたおばさんとしては、彼の出世に大感激よ!まあ受賞は無理だろうけど、もしとったら史上最年少なんじゃないの?うぅ話それまくり・・。ジェフ(キーファー)とダイアン(ブロック)のカップルは休暇で旅行中だけど、どうもしっくりいっていない。気持ちがすれ違い、衝突ばかり。と言うかぴりぴりしてるのはダイアンの方。やれ帰りたいだの何とかしてよだの置いてかないでだのギャーギャーブーブー情緒不安定。ジェフは困惑ぎみだ。

失踪2

でもようやく気持ちもほぐれ、何とか旅行も続けられそう・・となった矢先、とあるサービスエリアでダイアンは失踪してしまう。待ち続け、捜し回り・・こういう時のいたたまれない気持ち・・いやだわ~、わかるわ~。警官を呼んでも24時間たたないと動かないとか失踪する前ケンカしたんじゃないのとか言われるし。三年たってもジェフはダイアン捜し続けている。尋ね人のポスター貼り、ラジオやテレビに出て訴え・・気の毒にねえ。私から見ると、失踪しなくてあのままだったとしても二人が幸せになれたとはとても思えない。いくら愛し合っていても、あんなにぴりぴりして不安がってる、ぬれ雑巾みたいにべた~っと貼りついてくる女と一緒じゃあ疲れるばかり。と言うか、私にはなぜダイアンがああいう態度取るのかよくわからないんですけど。死が二人を分かつまでとかプレッシャーかけまくり。で、ジェフの方もあの時自分が・・と責任感じていて・・。過去の呪縛から抜け出せないでいる。今じゃ気持ちも変化し、生きているとは思っていないが、何があったのかだけはどうしても知りたい。でないと心の区切りがつかない。今日も疲れてふらふらになってドライブインへ寄る。ウエートレスの一人リタ(ナンシー・トラヴィス)は彼を見て・・。どうやら高校が一緒だったようで。そのことを言うきっかけは逃してしまったが、後で言ったのだろうか。たぶん高校の時からリタはジェフが好きだったんだろう。積極的に近づき、ジェフの方も好意持ったようで。そのうち一緒に暮らし始める。彼女から見ると若い彼が人生費やして恋人捜し回ってるのは時間の無駄としか思えない。もしかしたらダイアンは新しい人生築いているかもしれないじゃん。話を聞くと相当気まぐれな性格だったようだし。私の愛の力で彼に新しい人生スタートさせてみせる。できるはずだと思っている。見ている側としてはジェフが簡単に方針変えてリタと同棲し始めるのでびっくりする。しかもウサギの耳のオモチャつけてパタパタさせてふざけてる~(かわゆい~ん!)。一見幸せそうに見える二人だが、ダイアンのことはどうしてもカゲを落とす。リタは「秘密はなしよ」と強引で、ダイアンとはまた違った意味でジェフを束縛する。彼は口実を設けて・・つまりウソをついてモーテルにこもるが、リタに突きとめられ、なじられる。

失踪3

あのさあ・・家にいても仕事にならないから場所を変えたんでしょ。ジェフはコピーライターだったが、ダイアンの捜索に駆けずり回っているせいで職を失い、全財産もなくし・・。それで前からなりたかった作家になろうと、出版社に原稿を送るが、いつも突っ返され・・。でもある出版者が、ダイアンの失踪を書け・・と勧める。それなら契約すると。本当は書きたくないけど生活のためには・・と思ったのよ。愛だけじゃ暮らせない。生きていくためにはお金を稼がなきゃ。でもリタに言えば反対するに決まってる。秘密はなしよ・・なんて。秘密のない人間なんていないよリタ!ホント気の毒なジェフ。ところでモーテルにこもったのは仕事のため?捜索のため?さて、リタだけどジェフのパソコンのなかみが気になって仕方がない。彼ったら何を書いているのかしらもしかして私のこと?ウフ・・とでも勘違いしたのか何とかして読もうとパスワードをあれこれ探る。その執念深さ・・いや、根気強さには呆れ・・いや、感心する。たいていの人はあきらめるが意地でも見てやるぞ・・という感じ。とうとう突きとめ、ファイルを開くとかわいらしい童話が。でもその先には・・。さー怒った。よく生き別れはいいけど死別はだめだとか言うでしょ。離婚してその後再婚する人はいるけれど、死別の場合相手のことが忘れられず再婚する気になれないとか。死んだ人が相手じゃ勝てないとか。今はそういうことはないのかな。ダイアンは死んだと決まったわけじゃないけど、まあ死別と似たようなもの。悪い思い出より、いい思い出の方が残る。いくら嫉妬しても無駄なんだけど。リタはまれに見るファイターで、おめおめ引き下がったりしない。どうも彼女の家族はクスリやアルコールに逃げたようで、そういう辛い過去の持ち主のせいか自分だけは絶対現実から逃げないと決意している。とは言えダイアンの格好してモーテルに押しかけ、ギャーギャーわめき、ジェフを追いつめるってのはどうなんですかね。ジェフの心中を察し、一緒に捜してやろうとは思わないのかね。今のジェフはダイアンよりリタの方を愛している。例えダイアンが生きていたとしても一緒になる気はない。ただ、何が起こったのかわからないまま過ごすのはいやだ。とにかく事実を知りたい。その気持ち、苦しい胸のうち・・わかるわあ。かつては愛していたけど今は愛してない・・そう、気持ちって変化するのだ。

失踪4

でも変化してると思っても変わっていない部分もあって、パソコンにポロッと打ち込んじゃったり。でもそのことでジェフを責めるなんてリタにはできないはずよ。アンタ人の秘密にずかずか入り込み、盗み見したのよ!でもその気持ちもわかるけどさ(何のこっちゃ)。で、ジェフもとうとう決心して過去を捨てる気に。で、今まで書かなかったけどダイアンを誘拐したのはバーニー(ブリッジス)。高校だか大学だかの教師で、表向きはおだやかでインテリのよき夫、よき父親。しかし幼い頃から異常な面も持っていたようで。殺人と言っても金目当てとか恨みがあるとかじゃない。快感を覚えるからでもない。細かいところまで計画し、念入りに予行演習し、そのプロセスを楽しんでいるような。脈拍をチェックし、女性に声をかけても平常心でいられるよう練習する変なおっさん。ダイアンの災難は全くの偶然。運悪くそこにいたのだ。神経質な彼女は、その一方で信じられないくらい不用心でスキだらけ。善人、純真なのは確かだが、それにしてもあぶなっかしい。ブロックも昔はこういう役やってたんだ~。ダイアンがどうなったのかはなかなか明らかにされない。うまく見る人の気を持たせる。ジェフが人生すり減らしているのをバーニーはずっと観察する。彼は次々に殺人を犯すというタイプじゃない。自分がやったことのせいで誰かがず~っと苦しむというのが彼の希望。だから(リタのせいで)捜索をやめるのは許せない。それまでは全く接触せず、自分の存在を隠しているが、ジェフの関心引くために手紙を出す。何と言うか・・自分を無視されるのがいやなんだろうな。自分が隠れているぶんにはいっこうにかまわないけど、相手が(ゲームから)降りてしまうのはだめ。ジェフが誘拐犯は誰だ・・と悩むからこそ、自分が存在していると実感できる。悩むのをやめたら自分はどうなる?存在してないも同然じゃないか!・・まあよくある思考パターンですな。リタはどうせ誰かのいたずらと相手にしないが、ジェフは本物の犯人・・と確信する。警察には届けない。ダイアンが失踪した時のあの応対!規則ずくめで不親切で何の役にも立たなかった!バーニーは何度も同じことをくり返すのが好きなようで、最初はリタを誘拐し、ジェフを再び苦しめるつもりだったようだ。それができないと今度はジェフを誘拐する気に。彼の失踪に苦しむリタを見たいってか?

失踪5

ジェフはバーニーの出現にびっくりするけど、事実を知りたいという弱点があるから、彼の言う通りにするしかない。車を走らせながらバーニーは、聞きたくもないのに自分のことをべらべら話す。隠していたい、隠れていたい・・その一方で話したい、知ってもらいたくて仕方がない。自分がいかに優秀か。人が躊躇するようなことを自分はいとも簡単に実行できるし、いつだってやめることもできる。自分は神のような存在、それと同時に究極の悪の存在・・まあバカらしいことを並べ立てる。ダイアンと同じ経験ができると睡眠薬入りのコーヒー出され・・ジェフは飲む。目が覚めると棺の中。生きたまま埋葬だ~。オリジナルだとここで終わり?でもハリウッドじゃそんな結末は許されない。法律で禁止されている(ウソだぴょん)。一度は別れようと決心したリタだが、留守電にバーニーの声が・・まあ!本当にいたんだわ!この後彼女は信じられないくらいの奮闘するんですよ。これくらい知恵が回るならダイアン失踪の謎も解いちゃったんじゃないかしらジェフがポケッとしている間に。ところがよくしたもので(←?)リタは過去にはしがみつかないし、ジェフにもそれを強要する。彼女は未来に向かって驀進する。クライマックスでは泥だらけになってバーニーと格闘。棺を掘り出し、ジェフを助け出そうとする。ものすごいパワー、執念、生命力。それにくらべるとジェフは棺の中でかわいらしくのびちゃって・・。彼女の奮闘には本当に感心したな。ジェフには甘ったれで寄りかかってばかりのダイアンよりリタのような力強い伴侶が必要。きっとパソコンのなかみやメール、手紙の盗み読み、電話の盗聴(おいおい)もするだろうけど。バーニーは彼女がなぜ自分の居場所や正体突きとめたのか合点がいかない。頭の回転の速いリタは彼の弱点・・娘のデニース・・を利用する。デニースはリタのことをパパの愛人だと思っている。そんな秘密めいたことの好きなお年頃・・と言うか彼女には父親の性癖が遺伝しているようにも見える。今はまだ無邪気だが。デニース役の子はうまい。バーニーの妻エレーン役は「MOON44」のリサ・アイクホーン。二人ともバーニーの正体知ったらショック受けるだろうな。髪をきれいにとかし、暖かそうな黄色いセーター着たキーファーはホント目の保養になる。疲れ果て、ボロボロになってるところは胸キュン。軍服姿もステキッ!!