砂上の法廷
ここでのキアヌはすっきりした髪型にヒゲなし、スーツ姿もバッチリの敏腕弁護士。弁護士によくある、芝居がかったいやみのないところもよろし。ラムゼイ(キアヌ)の今度の裁判は手ごわそう。マイクが父親ブーンをナイフで殺したという事件だが、なぜか彼は弁護士のラムゼイにさえ一言もしゃべらず、黙秘を続けている。凶器には彼の指紋・・こりゃかなり劣勢だ。ほとんどが法廷でのシーンで、こういうのはあまり劇的でも嘘くさいし、盛り上がりに欠けるとつまらないし。でもこれを見るのはほとんどがキアヌファンだろうから、清潔感あふれる彼を見られるだけで満足。マイクが黙っているのは母親ロレッタをかばっているからだろう・・と見ている者は思う。でももしそうならロレッタはなぜ罪を息子にかぶせて平気なんだろう・・とも思う。ラムゼイのところへ新しくジャネルが来るけど、これはまあ後でなぜ登場させたのかがわかる。ラムゼイの視点でストーリーは展開するけど、別の者・・新しく来たばかりの者の視点も必要なのだ。証人達はみなウソをつく。途中でマイクが一転証言を始め、形勢が逆転する。でもそれだってウソかもしれないのだ。そのジャネルの懸念をラムゼイは気に止めない。真実よりマイクを無罪にするのが自分の仕事と言う。これも後になってみればはは~んとなる。ロレッタの態度の意味もわかる。彼女は息子も助けたいが愛人も助けたいのだ。結果は無罪。陪審員達は、マイクが父親を殺した事実(本当は事実じゃないけど)より、そこに至った動機(妻子への虐待)を重視する。喜ぶロレッタだが、ジャネルの不信感はつのるばかり。ラスト近くマイクがラムゼイに突きつけた事件の真実とは・・これって反則ですがな・・。でもラムゼイにも葛藤はあったはずで、それを表わしているのが冒頭のトイレで吐くシーンだろうな。事件は解決ずみだが、ロレッタが喜びすぎてボロを出さないといいけど。で、ラムゼイが消極的になると「真相をばらすわよ」とか言い出したりして。一番犠牲払ったのはマイクだけど、彼の今後も気になる。16か17でこの経験はつらすぎるね。ブーン役はジム・ベルーシ、ロレッタ役はレニー・ゼルウィガー。途中まで彼女だと気づかんかった。ジャネル役はググ・ンバータ=ロー。「ミス・マープル」の「無実はさいなむ」に出ていたハル・ベリー似の美人。