サンダーバード実写版

実写版が公開中だが、アメリカでこんなにコケるとは・・。ある程度の不安はもちろんあったろうけど、ここまでとはね。日本でもぱっとしないし。実写版はけなしている人と楽しんだ人との落差が激しいな。私はもちろん楽しんだ方。二回見たけどこれからも見に行くつもり。だから今は詳しい感想は書かないが、自分の中で思っていることがあるので、それについて書こうと思う。

クラシック(実写版と区別するためにこう書くことにする)の方も劇場版が2本作られ、最近DVDが出たし、教育テレビでも月末に「サンダーバード6号」を放映する。皮肉なことにこの2本を見ると、実写版がいかにクラシックのお約束をきっちり守っているかがわかるのだ。第一に活躍するのはアランばっかりで、兄ちゃん達はサシミのツマかそれ以下の扱い。「6号」でのジョンやゴードンときたらあなた・・(絶句)。時間をさかのぼって映画を作り変えたい!ついでにこんな脚本書いたやつの頭をポカリと・・。見ている間中悔しい思いをしたのは私だけではありますまい。それにくらべりゃ実写版では「ピザが食べたい」とか何とか言う時にはジョンが一人でうつっていたから、初めての人にもこの人がジョンだってわかったはず。まあ残りの三人は予備知識のない人には誰が誰やら最後まで区別つかなかっただろうけど。第二に肝腎の救助シーンがほとんどないじゃないかという意見があるが、これもお約束。クラシックの劇場版も呆れるほどないのよ。最後の方で少し出てくるけど「いちおう」って感じなの。見ている者を満足させるには程遠い展開。じれったいのなんのって・・(絶句)。搭乗シーンがないのが不満だとか、サンダーバードをもっと見せろとか言われているけど、私に言わせりゃゼロエックス号やスカイシップ号のような超大型メカが出てこないぶん、サンダーバードをちゃんと見せていると思う。クラシックではホント、サンダーバードは脇に押しやられているのよ。第三は中だるみがあるってことかな。もちろん私だってアランやティンティン達がケンカしたり仲直りしたりという中盤の展開にはうんざりしましたぜ。一作目だから大目に見るけど二作目(作られそうもないけど・・トホホ)もこんなだったら怒りまっせ。でもクラシックの劇場版もさ、アランの夢とか火星でのシーンとか世界一周とかニセテープの製作過程とか、中盤あたりはたるみっぱなしなの。見る側の期待を作り手がことごとく打ち砕いているの。これを見れば実写版への文句なんて半分になるはずよ。でもそんなことを言いつつも、やっぱりこの2本は私にとっては貴重なの。どんな出来だろうと存在してくれるだけでうれしいの。人形は作り直されたりオークションに出されたりして、もう二度と「あの顔ぶれ」が揃うことはない。テレビシリーズの33話目は作られることはありえない。でも劇場版が2本ある・・これってトクした気分になれるでしょ。そんなこんなを考えると実写版もね、作ってくれてありがとう・・と私は素直に喜んでいるの。これがもしアニメだったら・・そう考えるとぞっとするな。

私はもちろんテレビシリーズの大ファンだけど、32話の中にはいいものもあればそうでないものもある。ペネロープやパーカーばっかり出てきて、トレーシー兄弟の出番がないと「引っ込め!ペネロープ」ってなもんよ。でも実写版は逆で、彼女とパーカーが出てくるとホッとするの。ガキんちょ三人ばっかり見せられていると大人のムードが恋しくなるのね。ソフィア・マイルズの起用は大正解。ただしアクションシーンはいらないけどね。とにかくテレビシリーズも見て劇場版も見て、その上で意見を言わせてもらうと、実写版はよく作ってあるのよ。「クソ映画」と断じている人もいるけど、それはそれでいいと思う。そうやって映画を通り過ぎてしまう人もいれば、立ち止まってもっとよく見ようとする人もいるってことなの。ビル・パクストンのジェフは最初聞いた時にはええーって思ったけど、なかなかよかった。彼には何となく物悲しい雰囲気があるからね。人形のジェフには物悲しさなんてみじんもないけど、五人の息子をかかえた男やもめですからね。何かが欠けているんだけどじっとがまんしている・・みたいな雰囲気があって当然なの。この物悲しさは「フレイルティー/妄執」でも全開。話はそれるけど実は最近感想を少し書き直したのよ。あの映画は最初二回見たんだけど、クライマックスで内容が引っくり返りまくるので、何がどーなってるのかわかんにゃーい状態になっちゃったのよ。だから確認のために三回目見に行ったんだけど、それでも勘違いしている部分があったのよ。だから少し訂正したの。DVDのコメンタリーでわかったこともあるけど、そういうのは書かないでおく。映画館で見た時の印象を大事にしたいからね。

9月で日記をつけ始めて丸2年たちましたよ。最初の頃は神妙な文章書いていたけど、だいぶ崩れてきたな、まあいいや。・・で、3年目突入記念で実写版「サンダーバード」行くぜ!♪ほーたーるのひかーり・・くそ、ついにこの日が来てしまいましたとさ。♪よねんたったらまったあーいましょっと・・オリンピックには次があるけど、実写版「サンダーバード」には次があるのでせうか!ついでに「アテネオリンピック音頭」はなぜ作られなかったのか!いやそんなことはどーでもよろし。この夏、正確には8月7日以来、よくがんばってきましたよ私。いつもだったら夏の間は映画館には行かないのよ、クーラー苦手だから。ねえみんな!地球のためにも人類のためにももうちょっとがまんしようよ!冷やしすぎだってばよ。

さて実写版、お義理に二、三回見て終わりだろうと思っていたのよ。テレビシリーズにはまっている自分は、実写版にははまらないだろうと思っていたのよ。メインはアランで他の四人は蚊帳の外、救助活動はつけ足しで、島の中でうんたらかんたら・・これじゃあ期待しろって方がムリ。キッズムービーだ、ティーンムービーだ・・と辛口批評ばっかり。見る前からしっかり心がまえができちゃったじゃないのよ。残る期待はメカの表現なんですけどぉ。クラシックでは絶対ムリという表現あるでしょ。それを最新鋭の技術でどこまで見せてくれるのか・・あ、メカあんまり出てこないんですか。期待しない方がいいとしつこく自分に言い聞かせ、それでもドキドキしながら公開三日目に行ってきましたよん。三日目に行くなんてめったにないのよ、私の場合。たいていは公開終了間際のすいた頃を見計らって行くのよ。ついでに言うと私は土日には映画館に行かないの。と言うか行けないの。太極拳の練習があるからね。お客は70人くらいで、この時が一番いっぱいいたな。最終日の9月10日までに12回見て、前にも書いたけど「ついにこの日が・・」なんて感慨にふけっていたんだけど、その後まだかろうじてやっているところ見つけて13回目行ってきてしまいましたぁ。うう、アホですね、どうしようもないですね、その言葉否定しないわbyペネロープ。この時は何と二人でした!ついに貸し切り初体験か!・・と恐怖のズンドコ・・いや、ドンゾコにいたんですが一人入ってきましたよ!これじゃあお客ゼロの回もあったのでは?つぶれないでね、ここ。

アメリカでの週末興行成績の数字を見た時には、何てこったこれじゃあ製作費5700万ドルのうち、700万ドルくらいしか行かないのではないか・・と予想した。作り手としてはゼロが一つ抜けているのでは・・と目を疑ったことだろう。製作費の他に宣伝費もかなりかけているしああ・・。要するに興味がないってことなんだろうな。毎回たくさんの予告を見せられて、この映画はアメリカではヒットしたのに・・とか、日本で公開されればヒット間違いなしなのに「サンダーバード」だけなぜ・・と思わずにはいられなかった。つまり自分に小さな子供がいたとして、「ヴァン・ヘルシング」や「アイ,ロボット」を見せようとは思わない。「コラテラル」や「エイリアンVS.プレデター」に至っては予告編すら見せたくない。だって刺激が強すぎるもの。おぞましいものが出てきて人々を殺すとか、ためらいもなく人が人を殺すとか、そういうものを見るのに私達は慣れてしまっている。「9.11」とかロシアでの学校の悲劇とか、こんなことは絶対あってはならないことだと誰もが思ったはず。でもそれとこれとはまた別の話で、人々はやっぱり銃をばんばん撃ちまくり、人が人を殺す映画を見に行くのだ。銃は一発も撃たれず、人も死なず、人命救助に人生をささげる一家を描いた「サンダーバード」はタイムリーだと思ったんだけどなあ・・。でもこれが現実なのね。私がこの映画をせっせと見に行ったのはこの映画にはまったからだが、少しでも収益が上がりますように・・という思いもあった。オバさん一人が通ったところで何の影響もないことはわかっているけどそれでもさ。アメリカはだめでも日本では少しは・・と思ったんだけどこっちも・・。

実は私、最初は字幕版を選んで見ていたのよ。吹き替え版なんて・・と思っていたの。でもヒットしないせいで三週間もたつと一日の上映回数が減り、選んでいる余裕もなくなったわけ。で、仕方なく吹き替え版を見たら・・これがいいのよ!あー選り好みせずもっと早くから見ればよかった。そうすりゃ20回くらいは見ることができたのに・・。映画が始まってすぐロシアの油田火災のシーンがある。かなりめまぐるしい展開なので、字幕を読んでいるとどういう状況にあるのかよくわからない。何か1号が危ないらしいんだけど・・。吹き替えだと画面に集中できるから1号がどういう状況にあるかわかるわけ。最初見た時は何が何だかさっぱりわからないうちに救助に成功しちゃっていたのよ。救助デッキに乗っているのがバージルだってこともわからなかった。だってあの格好でしょ、ヘルメットかぶっているから顔わかんないし。そして・・最初はV6とかいうグループが吹き替えを担当するってのも気に入らなかった。どーせ話題作りのためにかつぎ出して、つたないセリフ聞かせられるんだろう・・って。でもいいもんねー、あたしゃ字幕オンリーで行くもんねー。洋画をテレビならまだしも映画館で吹き替えで見るなんて邪道だぜい・・そう考えていたわけよ。でもそうも言ってられなくなって、吹き替え版を見て「すいませーん、私が世間知らずでしたー、ゆるちてー」となったわけですの、おほほ。

正直言って私V6のこと全然知りませんの。スリーファンキーズとかジャニーズは知ってますけどね。でもほとんど知らなかったせいか、V6の声には抵抗なかったんですの。考えてみりゃクラシックだって吹き替えで見ていたわけでしょ。人形だろうが人間だろうがトレーシー一家が日本語しゃべることに違和感なんかないわけよ。メインはジェフ役の坂本氏とアラン役の岡田氏だけど、この二人はとっても上手。他の四人はセリフが少なくて気の毒な気がするが、その中でもスコット役の井ノ原氏はすんなりセリフが聞こえていい感じ。特に「これでもプロなんですけど」というセリフが好きなの!字幕だと「ばかにすんな」となっていてとがった感じになるけど。気になったのはバージル役の森田氏。「ぜっこーちょぁー」とか「宿題ないのかよぁ」とかぶっきらぼうでちょっとだらしないしゃべり方。演じるドミニク・コレンソの雰囲気とも合っていない。でも何度か見ているうちに考えが変わってきた。油田での救助ではバージルが重要な役割を果たす。いちいち手順を声に出して機械を操作し、作業員を救助し、サンフランシスコの病院で下ろすまでつき添う。つまり外部の人間と接触したのはバージルだけなのよ。ジェフ達はサンダーバードの中にいるからね。・・でバージルはそういう時はちゃんとしたしゃべり方をしているのよ。「誰か手を貸してくれませんか」とかね。バージルは20歳、家族と一緒の時には子供っぽいしゃべり方をしていても、外部の人間に対した時には大人のしゃべり方、ちゃんと使い分けているのよ。これってなかなか魅力的だと思わない?字幕だと字数制限があるせいか、ていねい語はなくて普段も仕事中も同じ言葉づかいだけどさ。兄弟のちょうど真ん中のバージルには大人と子供の両方の雰囲気がある。アランやゴードンは早く大人になりたくて背のびしているし、22歳のスコットには余裕が感じられる。24歳のジョンになると落ち着きや分別が出てくる。バージルは子供っぽいけど大人だし、大人と言うにはスレていない部分があるし、そうなると森田氏のしゃべり方も不思議とぴったりに思えてくるのよね。ドミニク本人の声には子供っぽいところはないけど、吹き替えだといろいろ妄想がふくらむ余地があって楽しいわ。なぜ本職の声優を使わないのかという不満の声もあるようだが、私自身は何度も聞いているうちにすっかりV6の声が耳になじんでしまい、邦画のように何言ってるかわからなくてイライラすることもないので、後半は吹き替え版を選んで見ていた。現実的な話として、もしV6が声を担当しなかったら、実写版の成績は惨憺たるものになっていたはずだ。吹き替え版はいつ行ってもV6のファンらしい若い女性の二人組が何組かはいて、最後の最後まで、つまり日本語版キャストが表示されるまでしっかり見て行く。彼女達がいなかったら・・てことでV6とファンの皆様に感謝。ついでに「サンダーバード」のファンになってね!

さてこの映画はアニメから始まる。これを知った時にはヤな予感がした。「ダドリーの大冒険」「モンキーボーン」いずれも冒頭にアニメくっつけているけど興行失敗。特に「モンキーボーン」は超大コケ。そりゃ「ジャングル・ジョージ」みたいに成功したのもあるけどさ(日本ではだめだったけど)。ただでさえ時間が短いのにアニメなんかで時間つぶすなよ。「エンドロール長すぎ」なんていう批評もあって、ああますます本編が侵食されるぅ・・。でも実際に見たらそんな心配きれいに吹き飛びましたよ。何たって「5、4・・」とやってくれて、あの曲使ってくれたんだから。えーいもう許す!4号見て「何じゃこりゃー」って一瞬思ったけど、見なかったことにしてやるぜベイビー!きっと錯覚だったんだろうぜ!一番気に入ったのは4号がオフロのセンポコッと抜くところ(え?オフロじゃないって?)。2号が白煙の中上昇するところまで、あー何度見てもあきないわ。ワクワクドキドキ幸せいっぱい。

さてマサチューセッツのウォートン校で学ぶアランは、今日も今日とて授業そっちのけで空をながめておりましたとさ。アランは14歳でファーマットは12歳・・てことは、この学校飛び級制なんでしょうか?それともアランが落第?休憩室で救助隊のテレビ中継を見るシーン、アランにライバル心を持っているらしい同級生がうつる。きっとこの子はカットされたスクーターレースでアランと争うウェルチという少年だろう。よかったよなーこのシーンカットされて。ただでさえアランばっかなのに、この上アランのシーンなんて見たくないもーん。別にアランが嫌いというわけじゃないけど、サンダーバードとは無関係のシーンなんて・・。それにホバースレッドでの似たようなシーン後で出てくるし。この少年に限らず、学校のシーンではアラン役のオーディションに受からなかった子が何人かは出ているんだろうな。ウェルチ役の子もきっとそうだろう。彼の方がアラン役のブラディ・コルベットよりも整った顔立ちをしている。ブラディはまのびしてしまりのない顔立ち。目が小さくて下ぶくれで、いつも口をパカッと開けている。彼がこのまま大人になるのか、きりっと引き締まった美青年に変身するのか今のところは不明。14歳だから、いや16歳になった今でも彼は成長中。1988年生まれと言えばオスメント君と同じだ。「ウォルター少年と、夏の休日」の宣伝で来日した彼を見て「あれ?」と思ったのと同じよ。小さい時にはきれいにまとまっていたのに、成長期の今は顔のパーツが移動中・・みたいな妙な感じ。ブラディ君も同じで、アランが14歳の心と体のアンバランスな思春期の少年というのであれば、まとまりのなさを感じさせるブラディ君はぴったりなわけよ。それにくらべるとファーマットやウェルチは、大人に向けて顔立ちや体つきが変化するのはこれからだ。

さてロシアの油田火災のシーンは「海上ステーションの危機」をほうふつとさせる。夜・強風・豪雨という悪条件をくっつけて危機感をあおっているが、サンダーバードや救助活動は見にくくなってしまった。1号が危険にさらされているのが見る側に伝わってこないでしょ。また操縦席が暗いためにスコットの顔もはっきり見えない。せっかくの数少ない活躍シーンだというのに。・・でもまあ彼がクラシックのスコットとはだいぶ性格が違うってのはわかるな。少しばかりごうまんで気取り屋で、操縦の腕を見せびらかして・・あらまあそうなんですか。その一方で頭脳明晰で身体能力ばつぐん。・・確かに1号までお尻が軽くて浮わついて見えますな。2号のまわりをくるくる回っちゃったりして。その一方でものすごい高性能。私が実写版で一番気に入ったのがこの1号なんですの。クラシックでは4号かわいいわー、けなげーと胸キュンするくらいで、メカにはそれほど強い思い入れはないんですけどね。実写版のメカには重厚さがないとか言う人もいるけど、私自身は軽くて当然・・と思っている。2号とかその周辺のメカにはちゃんと重みを感じるしね。クラシックでは絶対出せないものがあって、それはスピード感。特に1号はマッハ20というとんでもないスピードを出せることになっているけど、CGならそれを表現できる。2号のまわりをくるくる回ることもできる。銀色を主体にし、赤と青を印象的に配置した1号の何とスマートでかっこいいことよ!スピードを最大にした時の、見ているこっちまで座席に押しつけられるようなG感覚。小まわりがきいて尻軽・・もとい、身軽に見えるけど、発射する時のものすごい重量感、力強さ・・いやーホント感涙もの。

ところでガイドブックなどでは1号の飛行高度は45000メートルとなっている。・・で5号は太平洋上空35790メートルにいるんだってさ。こら!1号は5号の上を通るのかよ。35790キロメートルの間違いだろーが。ちなみに映画のパンフレットではスコットが長男になってるし、小説版ではキラノがフッドの兄だったり弟だったり。いろいろ混乱があるようだぜ、ベイビー。実写版ではなぜスコットを長男にしなかったのかな。またなぜああいう性格に設定したのかな。クラシックのような沈着冷静なスコットを見たかったけれど、そういうのはジェフが具現しちゃっているからな。演じているフィリップ・ウィンチェスターは整った二枚目ではないけれど、とっても感じのいい青年。そういうところはちゃんとクラシックのスコットを思い出させるようになっているの。ちょっと落ち着きはないけど、若い頃(クラシックでいうと空軍時代)はああいう感じだったのかも・・なんてね。さて前にも書いたが油田火災のシーンではバージルが大活躍・・なのに顔すらうつらん。アラン以外の四人は顔のクローズアップも少ない。悪役三人はいやというほどうつるのに・・とほほ。性格もはっきり描き分けられていない。でもその少ない情報をかき集めて四人の性格を分析してみるのも一つの楽しみだったりして(アランは情報が多すぎて分析してみる気にもなれないけど)。

中でもバージルは脇に置いとくのがもったいないほどの美少年(小柄だから美青年というより・・)。彼のことは「慎重で思慮深く、頼りになる」ですってよ!スコットとは対照的な性格に設定されているわけだ。ストーリーが本来の形(救助活動メイン)を取っていれば、バージルの出番も多くなり、美しいドミニクは一躍注目の的となったことだろう(キャ!)。あいにくなことに彼の出番はアランの百分の一くらいしかないのだが(目分量で)、彼の美しい瞳を見る度にオバさんは目がくらくら(血圧のせいだってばよ)しましたわ。はー何てりりしくて潔いのでせう!5号に閉じ込められてピンチに陥ってもヤケになったり騒ぎ立てたりしない。弱音も吐かないし。そういうのはもっぱらゴードンの方。彼とは2歳しか違わないけど、バージルははっきり言って大人なの。ジョンの手当てとかしているところを見るとわかるけど、自分の仕事をきっちりやるの。ジェフがジョンやペネロープを精神的な支えとしていることははっきり描かれているけど、バージルは二人とはまた違った意味でジェフの支えになっていると思うよ。何しろ担当が2号だし。今はジェフも乗っているけどそのうちバージルがメインになるんでしょ?2号は巨大で見かけは鈍重に見えるけど、極めて複雑で繊細なコントロールを必要とする。それを小柄な美少年が担当するというのが配役の妙ですな。バージル自身が複雑で繊細な雰囲気持ってるし・・いやーん彼ってホント妄想しがいのある人物だわ。テクノ・ミュージシャンとしての彼を見たいとは思わないけどさ。だってバージルはやっぱピアノをポロロンでしょう!ケガをしたジョンに肩を貸しているバージル。この二人を見ると、五人のうち彼ら二人は母親似かも・・って思えてくる。目に特徴があってロマンチックな顔立ち。スコットやアランは父親似。ジェフは昔から今みたいな堅い性格だったのかな。少し前NHKBS2で「エイリアン2」を見たけど(ダンナには食事どきにこんなもの見ないでよ・・って文句言われたけど)、若い頃のジェフってあんな感じだったのかも。ちょうど今のスコットみたいにさ。やたら威勢がよくてペチャクチャしゃべって落ち着きがなくて、頭からっぽに見えるけどコンピューターとか専門だったりして実はけっこう頭脳明晰みたいな・・。これってスコットやアランそのままじゃん。・・で、ジェフは妻の死を境にすっかり性格が変わり、今のような堅い性格に・・ってどうこれ?ゴードンはどっちに似ているのかな。彼って一番情報不足。

さて無事救助に成功して(おいおいまだ油田火災のこと書いてるよ!)、現場から飛び去る1号と2号。この時画面がゆれるのがそれっぽくていい。そばにいたらあおりくらってとんでもなく危険なこと間違いなし。クラシックでは手持ちカメラふうに画面をゆらすなんていう表現まだしてないよね。ところでこの場面、映画では単にロシアの油田になっている。それで何で作業員をサンフランシスコの病院に運ぶのか見ていて不思議だった。何でロシアの病院に運ばないの?テレビ中継だってロシアのテレビ局が・・。ガイドブックにはベアリング海峡の石油掘削現場って書いてあるけど、ベーリング海峡のこと?それならサンフランシスコはそう遠くはないけどさ。それとも油田はロシアにあるけどアメリカの企業のものだからアメリカへ運んだとか・・。作業員英語しゃべってるし。あのナベかぶってる男の子も、どういう意味があるのかな。あの子が救助隊のファンであることは確かで、ナベをかぶることには何か意味があるはずなんだけど。例えば2号になったつもりとかヘルメットのつもりとか・・でもそういうところはカットされてしまったんだろうな。顔の見えないバージルに(ここでは雨降ってないんだからヘルメットかぶってなくたっていいじゃん!)がっくりしながらも、森田氏の声(あるいはドミニク本人の声)に胸キュン。

さて中継を見ていまだ興奮さめやらずのアランとファーマットの前に現われたのがペネロープ。小説版には休憩室に置いてある雑誌の表紙をペネロープが飾っていることになっている。・・で、よく見ると映画でもちゃんと二人ほどが雑誌を見て驚いているのよね。男子校になぜそういう雑誌が置いてあるのか(彼女が載っているとすればファッション雑誌か上流階級の情報(ゴシップとも言う)を載せた雑誌でしょ?)不思議な気もするが。ペネロープとパーカーのコンビはこの映画を成功させた大きな要素だろう。空を飛ぶFAB1も夢があってとてもよかった。空を飛ぶためのエンジンのせいでトランクがないようだが、こちらのペネロープはクラシックのペネロープと違ってトランク一つで身軽に動き回る。それにしても空中では時速9120キロですか?2号や3号より速いってどういうことですか?3号いちおう宇宙ロケットですけど・・。普通に地上走る時も時速160キロとあったり320キロとあったり、情報が錯綜しております。おーいお茶・・じゃない、おーい誰か統一規格示してくれい。一番最後のシーンでペネロープとパーカーは足漕ぎボートに乗っているけど、これって元々は島に近づいた時にフッド達が放った魚雷を避けるためにFAB1を捨てて島に上陸した時のシーンなのよ。だからその後のロンドンでうんたらかんたらの時には、FAB1がないからペネロープがタクシー使ったり、パーカーが一人乗りシャトルで島から飛んできたり。でも結局は魚雷はなしにしてFAB1は無事にロンドンへ。足漕ぎボートのシーンはボツにするのも何だから・・とラストで使われたわけ。まあねえペネロープがタクシー拾うなんてシーン入れたらストーリーが滞っちゃうよな。アラン、ティンティン、ファーマット、ペネロープの四人が1号でロンドンへ向かった後、パーカーもFAB1でロンドンへ向かう。モノレールの救助が終わった頃にあっちで落ち合うとなると、FAB1はものすごいスピードで飛んでいかないと間に合わないのよ。それこそ時速9120キロとやらでね。

話を戻してペネロープの迎えで島へ向かったアランとファーマット。途中で救助から帰還した1号と2号に出会う。スマートで身軽な1号、操縦するスコットのスカッとさわやかな笑顔。対照的にグリーンののっぺりボディの2号は画面におさまりきれないほど巨大。空飛ぶクジラ、トド、セイウチ・・あるいは太りすぎのカエル。いやーうまい表現だよな、1号と2号を一緒に見せるってのはさ。2号の形には不満持ってる人も多いようだけど私は全然気にならないな。こういううつし方はムリ・・と思える角度でもCGなら可能で、それをちゃんと見せてくれるのがうれしい。CGはやっぱこういうのに使わないとね。まあ全部すばらしいというわけではなくて、ところどころボロは出ているけどさ。さて、バビューンとソランが・・じゃない(古!)1・2号が島に向かって飛んでいくシーンを最後に、冒頭から続いたワクワクドキドキシーンはおしまい。

その後はかなり忍耐必要。キラノには何と奥さんがいるぞ!普通ならおばあちゃんの登場だが、こっちは省略されちゃった。トレーシー島を見ると、一番上に図書館がある。クラシックだとラウンドハウスにあたる。幅22メートルの3号が出入りするわけだから、そのままってわけにもいかなくて、三つに分かれるようになっている。これがまたカッコいいんですわ!予告編見た時「ウッもしかして・・」と心臓ピクンとしたのがこのシーン。用途はやっぱり図書館なのね・・と思いつつも、三つに分かれた時本棚から本が落ちないんだろうかと心配してみたり。表には階段ついてないけど内部からしか出入りできないのかしらと思ってみたり。そうなると足の部分に階段が通っているのかしらと思ってみたり。エレベーターはムリだよな(分かれる時傾くから)と思ってみたり・・いろいろ謎の多いラウンドハウスだぜい。中腹にあるのが司令室でクラシックのクリフハウスにあたるものか。まああっちは2号の格納庫の上にある非常時用司令室ってことになっているけど。実写版では2号が出てくる時、上には何もなかったな。・・で、キラノに話が戻るけど、おもやの隣りには離れみたいな小さいのが二つあるわけ。・・で、私が思うに片方はキラノ一家用、もう片方はブレインズ親子用なのではないかと。クラシックだと皆同じ建物に住んでいるけど、プライバシーのこと考えるとね。つまりこの映画は子供向けだというのがまずあって、メインはアランとティンティン。でも二人だけだと話がふくらまないから(初恋物語ってわけにはいかないからね)、つなぎ役の三人目が必要なわけ。・・となるとブレインズだけど、実写版のアランに合わせて彼の年齢を下げるわけにはいかない。いくら天才でも10代でサンダーバードなどの設計をするのはムリ。だからブレインズを大人にし、アランと同年代のファーマットという子供がいることにした。だがファーマットが生まれたってことはブレインズに奥さんがいたってことになる。でもブレインズの奥さんとなるとストーリーに絡めるのは難しい。前面に出すのはまずいし(作り手はブレインズにトランサムを絡めて笑いを取りたいのだから)、出てこなさすぎるのも不自然だ。だから何も具体的な描写はされてないが、どうやらブレインズは男やもめらしいってふうにしてある。ジェフも男やもめだし、キラノもそう。ただそうなるとトレーシー島は男やもめばっかりになってしまい、どう考えてもおかしいので、キラノだけ奥さんがいることにして不自然さを緩和する。キラノの奥さんならストーリーに絡むことはないし、男ばかりの島で女性はティンティン一人かよ・・という余計な心配しなくてすむ。・・てなわけでキラノ一家とブレインズ親子はトレーシー一家とはいちおう別居と・・。だけど中にハンモック吊るしてあるし、スコットやバージルの個室というセンも考えられる。ペネロープやパーカーのためのゲストルームかもしれないし・・これじゃ何でもアリだな。ジェフにははっきり奥さんが雪崩で死んだという設定がくっついているけど、ブレインズの場合ははっきりしない。離婚したのかもね。

さてトレーシー一家の夕食。スパゲッティにハンバーガーにサラダに・・ボリュームたっぷりアメリカン。ジョンはピザが食べたいと言ってたし、冷凍室にはアイスクリームみたいなのが並んでいたし、彼らの食生活は想像つきますな。夕食の場にペネロープがいないのは食習慣が違うからですかね。兄弟達はアランをからかう。「こいつ学校ふっ飛ばしたりして」とか何とかゴードンが言う。クラシックではアランはロケット実験で学校の窓ガラスを全部割ってしまった経験を持つ(エピソード中には出てこないけど)。ペネロープがフッド達のことを調べている時の「救助隊が500人助けた」というセリフと「にせ者にご注意」でのジェフの「500人助ける」というセリフ(テレビ放映ではカットされているけど)。「ピラミッドの怪」でのジープと同じように、ホバースレッドの連結部分が壊れるところ・・などなど、クラシックとのちょっとしたつながりが見ていてうれしい。

さて14歳のアランがいくら救助活動に参加させてくれとせがんだところで、とうていムリである。まだ学生だし、高校だけでも卒業しろと言うのが親として普通である。ものには順序があるけど、アランは結果しか見ていない。隊員になれるかなれないか、それだけ。なぜなれないのか理由ははっきりしているのに、その現実に目を向けることは拒む。兄達だってこの年齢の時には隊員になれなかったはず。こういう性格の主人公には、子供はともかく大人は感情移入できない。「何甘えてんだ、ボケ!」で終わり。それにしてもモヤモヤしているアランに対して、兄達の誰一人理解を示さないというのもなあ・・。5号にいるジョンは別として、他の三人はアランと同じ道をたどってきたのだし、諭すとかなぐさめるとかもうちょっと兄らしいことするでしょ。何かあの三人は今やっているスリリングでやりがいのある仕事のことで頭がいっぱいみたい。車もガールフレンドも遊びに行くところもなしで不満ゼロなんて、普通の若者ならありえないけど、そこらへん掘り下げるでもなし、かなり単純化しているな。

さて国際救助隊としての体制はまだ完全には整っていない。ちゃんと整っていればフッドに簡単に島を乗っ取られることもなかったろう。1号に付着した追跡物質のせいで島の位置が簡単にわかってしまうこと。あらゆる障害に対して万全の対策を取っているはずの5号が簡単にやられてしまうこと。2号が隊員以外でも簡単に操縦できてしまうこと・・まだまだあるけど、要するに家族でボランティアでやっているから管理体制が甘いわけ。そういうのをしっかりする前に救助要請に応えるべく出動し、戻ってからはよかったよかったごくろーさん・・ですませちゃうわけ。本当に自分達の正体を秘密にしたいのなら戻った後でしっかりチェックするでしょ。ああいう付着した物質に気がつかないなんてことありえないでしょ。そういうことはブレインズやロボットにやらせているようだけど十分じゃない。そもそもブレインズは自分の発明の方に気を取られているようだし・・。彼一人では見きれないぶんスコットやバージルがチェックするのがスジだと思う。自分の担当する機なのだから。彼らのいでたちもなあ・・。クラシックではちゃんと銃を携帯していたけど、こっちは・・。隊員服というか作業着というかつなぎというか・・身を守るもの何も持ってないじゃん。よくしたものでフッド一味も武器を全く持ってないんだけどさ。ありえなーいなんて言っちゃだめよ。お子様映画なんだからそれでいいの。

せっかく1号にくっついた不審な物質に気がついたのに、アランはジェフに怒られたせいでそれを伝えそびれてしまう。ファーマットがブレインズに伝えたのは翌朝になってから。まあませているようでも子供は子供・・ってことなんでしょうな。大事なこともすぐに忘れてしまう。その頃にはフッドの潜水艦が島のすぐそばまで来ていましたとさ。いつの間にかサンフランシスコの病院抜け出した有楽町マリオン(ロシアの油田火災と追跡物質の付着は彼の仕業なのだ)も乗ってるぞ。ところでフッドですけど、私長らくユル・ブリンナーがモデルだと思っていたのよ。でもサンダーバード関係の本には違うと書いてあるし。・・でNHKBS2でシンドバッドシリーズをやったので見たら「シンドバッド七回目の航海」に出てくる魔術師がフッドに似ているのよ。顔は似てないけど、ハゲ頭で眼力で人をあやつり、何でも一人でやって(誰も信用しないし、誰からも信用されないの)、悪賢くて慎重なのに間が抜けていて、結局最後は失敗してしまうタイプ。フッドとの共通点がいっぱいあるのよ。実写版ではさすがに手下がいる。そりゃ全部一人でやるのはムリだもーん。トランザム7000・・じゃないトランサムと有楽町マリオンの他に男二人がいるけど、後半は行方不明。ロンドンには行かず、潜水艦に戻ったんでしょ?この他に少なくとも女性一人が潜水艦にいた。

さてアランをしかりつけたものの、ジェフはそんな自分に自己嫌悪を覚える。5号から連絡してきたジョンに「ちょうど話したいと思っていた」とホンネをもらす。思春期の嵐に出会うのは5度目のはずだが、その度にこれでいいのか、自分は少し厳しすぎるのではないか・・と心がゆれるのだ。「ピザが食べたいんだけどぉー」このジョンのセリフにはびっくりしましたよ。クラシックでは絶対ありえないでしょ。この時のジョン、手に何か持って振ってますけど何ざましょ。タバスコ?粉チーズの缶?何度見てもわからん。DVD出たら確認しよ。ジェフは30分で届けるのはムリだ・・とか言ってるけど、3号なら余裕ですってば。「五人目だろ」「僕達は皆父さんに感謝している」くく、どーですかこの会話。実写版のいいところは、ジェフと長男であるジョンとの関係がしごくまともに描かれていることなんですよ。クラシックでは不自然だったでしょ。第一ジェリー・アンダーソンからしてジョンの人形が嫌いだなんて公言しちゃってさ。正直と言えば正直だけど、どういう神経してるのかって呆れたのも確か。だって1号や2号にそれぞれファンがいるように、人形にだってファンがいるわけでしょ?ジョンのことを心から愛しているファンの気持ちを踏みにじるような発言、まともな大人ならしませんぜ。5号に追いやられ、たまに地球に戻っていてもほとんど登場させてもらえなかったジョン。ジョンを地上へ連れてくるという(エピソードの)案が出る度に反対していたジェリー。彼はきっとジョンが美しすぎるのが気にくわないんだと思う。「UFO」の時、シルビアが「とてもハンサムなフランコという俳優を起用しようとした」とか、「マイケル・ビリントンを起用しようとうるさく言ったが、それは彼がとてもハンサムでいかした男だから」とか、そういうのを本で読むと、シルビアが面食いだとわかると同時に、ジェリーが自分の容貌にコンプレックスを持っているようにも思えてくる。ぎくしゃくしたアンダーソン夫婦の仲がカゲを落としているクラシックと違って、実写版の方ははっきりすっきり。短い会話ながらお互いに信頼し合う父子の関係がこちらにも伝わってきた。

ガイドブックに書かれたジョンについての文章は、彼のファンなら100%納得!である。母親が亡くなったのが12歳の時なら、末のアランはまだ2歳である。自分のことは置いといてジョンはアランやゴードンの世話を買って出たことだろう。それこそ第二の父親として。ウォートン校時代には次々に入ってくる弟達の面倒を見ていたはずだ。成長してからはジェフやブレインズの相談相手になったことだろう。常に誰かの手助けをし、5号という全く以て地味な(一般の人は1号や2号を見ることはあっても、5号の存在は知らないはず)仕事を引き受ける。ジェフは仕事や家庭の悩みをジョンに相談できるけど、ジョン自身は悩みがあったとして誰に相談するのかね。5号での仕事に100%満足しているわけではないんでしょ?クラシックのジョンがそうであったように(と言ってもエピソード中には出てこないけど)、自分も現場で働きたいと思っているんでしょ?でもそういうのは全部自分の中に押し込めちゃうのかな。がまんしちゃうのかな。「父さん、たまにはボクもミッションに参加させてよ」なんて絶対言いそうにない実写版のジョン・・(けなげー)。最後の方でフッド追跡をアラン達にまかせるかどうかで迷った時、ジェフはジョンとペネロープに判断を頼っている。ジョンもペネロープもOKのサインを出したからアラン達の出動を許した。こういうところをきっちり(しかもさりげなく)見せているのがいいね。クラシックのジェフのような独断的なところがなくてさ。せっかくセット作ったんだから、もう少し5号での生活の描写があってもよかったのに・・という不満は残るけど、そこらへんは続編でお願いします。ともあれクラシックでは伝わってこない5号の巨大さは、実写版では画面からはっきりくっきり伝わってきましたよ!ジョンを演じるレックス・シャープネルは、祖母がデボラ・カーですってよ!クール・ビューティーという形容がぴったりの美女の中の美女(と私は信じている)だが、レックスはストレイカー司令官の方に似ているな。5号にいる時のレックスはクラシックのジョンをほうふつとさせて見ていてもうれしいが、ラストの海パン姿はねえ・・。ジョンはやっぱ5号のコンソールの前にいた方が無難ですな。ジョンのファンとしてはクラシックではかなわなかった正常な父子の関係の描写、5号のピンチ・・この二つをかなえてくれたので感謝してますわ。

・・で、フッドが5号を攻撃し、ジェフは急いで3号を出動させ・・となるのだけど、気になるシーンが二つある。一つはフッドの潜水艦からロケット弾が発射されるところ。水中で発射用のフタを開いたのなら潜水艦に水が流れ込むはずでしょ。浮上して発射するってのならわかるけど。もう一つは3号が発射する時、ラウンドハウスが三つに分かれるんだけど、下にぽっかり開いた白煙もうもうの口の部分がはめ込みの合成だってことがはっきりわかるのよ。3号の発射シーンがすごくいいだけにこの部分はとても残念。3号はね、ドハデな赤ってのがいいよな。ボン!という音がして、白煙の中から出てきて、上昇する途中でぐんとスピードを上げるでしょ。最初から猛スピードじゃなくてさ、そこがいいのよ。上からうつしているのもグー。クラシックではこういう角度ムリでしょ。フラフラしてなくて一直線というのもいいね。いやフラフラしている3号も好きなんだけどさ。このシーンがせめてあと10秒でもいいから長くやってくれていればねえ・・。フッドとか空を見上げるアランに場面が切り替わるんじゃなくてさ。島→海→地球→宇宙・・と背景を変えて欲しいわけよ。ゼロエックス号の時にあったでしょ。窓にうつる景色がだんだん変わっていく・・っていう描写。それにしてもこの時のジェフはカッコいいよなー。助けを求めるジョンに「今助けに行くからな」って心強いお言葉!厳しい表情、断固たる口調・・もうたまりませんわ。父ちゃん役をやってビルパクがこんなにもはまるとはねえ・・。えーパクストンがジェフ?という見る前の予想がくつがえった一瞬でした。3号は内部も赤、乗っている隊員の服も赤のライン入り。統一してあるのね。赤だと画面に緊張感が出るけど、これが食料の補給に来たよーなんていうのだと場違いな感じがするね。5号と3号がドッキングするシーンもよかった。ウィーン・・てのびてくるでしょ、えーと万能ドッキング・アセンブリとやらが。何だか薬草茶みたいだな、「万能ドッキリするほどよくきくセンブリ茶」。あのウィーンを見ると(聞くと)なぜか「ダークシティ」を思い出すな。好きなのよこの映画。アレックス・プロヤスの監督であんまりヒットしなかったの。今度の「アイ,ロボット」は大ヒットしたようでよかったわね。ケガをしたジョンを心配するジェフに感無量・・。

一方のトレーシー島は・・子供達がケンカしたり仲直りしたり、ブレインズがユーワクされそうになったり・・。初めて見た時はびっくりしたわ。えっいいの?「サンダーバード」にこんなシーン入れて・・って。未遂に終わったけど(何のこっちゃ)。いやしかしちゃんとすればトランサムだって・・ねえ、ブレインズとお似合いだと私は思うんですけどね。中だるみシーンは、もう作られちゃったんだからどうしようもないけど、それでも言いたいことはあって、例えばマリオンがハチに刺されるところ。普通のハチだとしてもあんなに刺されたらどうにかなっちゃいますって。スズメバチだったら死んじゃいますって。刺された後は大変ですって。薬持ってないはずだし。それなのにすぐ治っちゃうのはおかしいですってば。「ハムナプトラ」のスカラべ以来、こういうシーンを入れるのがお約束みたいになっちゃってる。安直すぎる。ホバースレッドのエピソードもそう。スクラップエリアに捨てられていたのになぜ動くの?燃料入ってるはずないじゃん。それともスピード狂のアランは燃料をちょろまかしてきて、休みで島に帰る度にホバースレッドを乗り回していたのかな。だとすればあの展開もアリだけど、走り方は納得いかない。アランがホバースレッドや後ろにつなぐソリみたいなものを動かすシーンを見るとわかるが、鉄か何かでできているようで相当重い。子供三人を乗せてフワリと浮くような描写をしたってうそっぽいだけなのよ。ホバースレッドとソリの連結部分がはずれてしまうところ、ファーマットがスピードの出しすぎを注意してもアランが聞かないところなどは「ピラミッドの怪」のジープのシーンを思い出させる。アランの自分かってな性格全開だし、ホントここらへんは見ているのがしんどい。これらのシーンを耐え忍んで、フッドが2号で出発する頃になってやっとまたワクワクドキドキシーンになるわけよ。考えてみると私13回つまんない追いかけっこシーンを見てたことになるのよ。こういうシーンの時まわりを見ると、中年の男性客はたいてい座席に沈んでいますな。心の中では「金返せ!」とか思っているんでしょうな。

さて2号の発射シーンは出し惜しみしているなあという印象。「(子供は)どんなに美しくても長いシーンにはあきてしまう」というのがジョナサン・フレイクス監督の意見のようだが、これは間違っていると私は思う。クラシックでは1~3号の発射シーンは延々と流されたが、子供達はどうしたか→大人になってもそのシーンを忘れなかった。中には例外もいただろうけど、たいていの子供は熱心に見入っていたのだ。40年たったからって子供のなかみなんてそう変わっていない。大きなスクリーンにサンダーバードが発射されるまでのプロセスが克明にうつし出されれば、子供はもちろん大人も息をのんで見つめるはずなのだ。今の技術なら40年前よりももっと凝った出動シーンを作れるはずでしょーが!ここらへんは見る側の気持ちをわかってないなーと残念だった。操縦席のフッド達なんかうつさんでいいからもっと2号うつせー!サンドイッチみたいに冷凍室のシーンはさむなーボケ!2号は2号でうつし、飛び立った後で冷凍室でのあれやこれやをうつせばいいんじゃーい!ブツ切れ、細切れ、チンジャオロースーにするなー!全く最近の編集の仕方ってみんなこれだよな。テレビのチャンネルカチャカチャ変えるのと同じで、腰がすわってない。・・で、2号(ここまでは悪口書いたけどいいところもあるのよ)。ゆっくり倒れるヤシの木の描写、まるで2号がなぎ倒しているみたいに見えるのがいい。発射台まで運ぶ運搬車・・そうなのだ、2号はちょっとやそっとのことでは出動できないのだ。こんな島じゃ滑走路もなし、仕方ないから運んでもらって角度つけてもらって・・よっこらしょ。ああ世話の焼ける2号!ずり落ちないようウィーンって固定してもらって、さあてと仕方ない行くか・・ってな感じ。1号はあんなに尻軽なのに2号はホントしぶしぶ出かけるっていう感じなのよ。こんなに巨大なのになぜかかわいい2号!でも一度飛び立ってしまえばもうこっちのもの!飛んでいる2号には近寄らない方が無難だぜ。予告編では広場みたいなところにキキッと急停車(?)するシーンが出てきたけど、本編にはなかったな。あんなことしたら衝撃波で周辺の建物のガラスはみんな割れてしまい(・・てことはアランの操縦ね)、ヤワな建物にはヒビが入るぜ。それほど2号はすごいんですぅ。

さてペネロープの機知による冷凍室脱出のくだりは何度見ても楽しい。ペネロープとパーカーの関係って何ともびみょー。紅茶を持ってきた時に入浴中のペネロープをチラッと見るところ。着替えをすませて出てきたのを見て目を見張るところ。パーカーの人間くささが出ている。女性には絶対手を上げないとか、子供への接し方とかはっきりとした性格づけがなされていて・・。クラシックのパーカーにはさほど興味をそそられないのだが、ロン・クックの演じるパーカーには大いにそそられるものがあった。この映画を見た女性の多くは思ったんじゃない?あんな召使が欲しい!ってね。ちょっと危ないけど絶対安全なパートナー(何のこっちゃ)。ペネロープからワイヤーを借りて冷凍室のカギを開けたパーカー。ペネロープから受け取った時には(体温で)暖かかったはず。「寄せて上げる必要ないの」「それはようございました」笑えるセリフで巧みにごまかしているけれど、大人向けのすっごく色っぽいシーン。ペネロープがモゾモゾやっている時に、みんながあわてて目をそらすところが何とも・・。特にブレインズの大きな手がチビのファーマットの目をふさいでいるところが微笑ましくていいですな。ところであのワイヤーどうしたんですかね。返しそびれたんでしょ?あのままパーカー家の家宝に・・って違うがな!持ってるわけにもいかないし、すぐにロンドンへ行かなくちゃならないし・・で、パーカーはブレインズに始末頼んだのよ。・・で、ブレインズもよせばいいのにあのワイヤーのカーブを元にサイズを試算したのよ。冷凍室に閉じ込められて寒さで頭がボーッとしていたけど、答のおかげで興奮して元に戻りましたー・・って違うがな!それにしてもパーカーはプールに落ちてびしょぬれの状態で冷凍室に直行したのよね。さぞきつかっただろうと思うわ(いつの間にか乾いていたけど)。

つかまる前のペネロープのアクションシーンはねえ、スタントウーマンだってのがバレバレ。もうがまんして見ているより他に手だてはなし。あんなヒールの高いサンダルじゃ敵をやっつける前に自分がねんざしますがな。ロンドンを出発する時はスカートで、島に着いた時にはズボンと言うか、パンツなんですな。FAB1の中で着替えたんでしょうか。3号の中で着替えをしているに違いないクラシックのアラン君みたいなもんです。フッドとのやり取りの中で、吹き替えではフッドはペネロープのことを「お姫様」と言っているんだけど、字幕だと「この城の主(あるじ→つまりジェフのことね)の愛人か」になっているの。そんなひどいことを言われてもペネロープは毅然として顔色一つ変えないのよ。そこが偉いと思う。演じるソフィア・マイルズがまたぴったりはまっていてね。

さて5号のコントロールを取り戻し、ジェフ達が命拾いしてからは展開が一気に早くなる。おーい、置いてかないでくれーってなもんよ。後はもうジョン達はほとんど出てこなくて、省略状態。あら?まだゴードンのこと書いてないわ。「正義感が強くて激しやすくて、流行に敏感」・・お、お願いだからそんなどーでもいいような、とってつけたような性格にしないでくれる?五人のバランス考えたら一人くらいは完全なノーテンキ野郎がいたっていいんじゃない?いったいあいつ誰に似たんだろう・・ってみんなが首ひねるような。ゴードンの担当が4号じゃなくて3号で、しかも見習だってのはガマンするからさ(いくら何でも18歳で宇宙ロケットはムリ)、性格をそのぅ・・「あの!ゴードン」の性格にして欲しいわけよ。つまり5号がピンチに陥った時に全員が暗い顔をしているんじゃなくて、一人くらいはのほほーんとしているのがいて欲しいわけよ。まあ今更こんなこと言ってもムダなんだけどさ。ゴードンの存在はアランに毛の生えた程度で、早く兄達に追いつきたいというあせりがあると同時に、アランには立場の違いを見せつけたいわけ。そんな中途はんぱな状態である上に、スポットライトがアランにばかり当たるストーリーなので、ゴードン役のベン・トージャーセンの印象はますますうすくなってしまう。来日した時の写真を見ると、髪型が違っていて、ものすごく整った顔立ちで、映画とは全然違うのよね。映画では彼のことあんまりよくうつしてくれていないんだってことがよくわかる。ブラディ君とくらべると顔の大きさが全然違う。ちいさーい!彼、王子様役も十分いけますぜ!目といい鼻といい口といい・・ジョン・ウォーカー思い出しちまったい!声担当は三宅氏だけど、アラン役の岡田氏の声が大人っぽいせいか、ゴードンの方が幼く感じちゃいますな。いかにも負けん気の強いゴードンという感じ。ジョン役の長野氏の声はさらっとしてますな。ジェフ役の坂本氏の声が(当然なことだけど)若いので、ジョンとジェフの会話はあまり親子という感じはしない。でもその中でもジェフの声には断固としたところがあるし、ジョンの声にはさらりと受け流すようなところがある。そういうところはうまい配役だと思った。それにしてもジェフは四人の息子が意識を失って漂っているのを見てどう思ったのかね。そこらへんの描き方は十分じゃないな。アラン達の方に時間割きすぎ。普通なら「すまないルーシー(奥さんの名前がルーシーだとして)、こんなに早く君のところへ行くことになるとは・・。私だけならまだしも子供達まで巻き添えにするなんて、どうか許してくれ・・」とか何とかつぶやくはずなのよ。救助隊を作ったことすら後悔するはずなのよ。父親なら当然でしょ。こら!何でそういうとこ省略するんじゃい!それでいてクライマックスでアランが危ない目に会っている時にはかなり取り乱しているのよ。結局ジェフはアランが一番かわいいってことなんでしょうね。奥さんの名前は映画では出てこない。クラシックでもルーシーという名前が出てくるわけじゃないけどさ。小説版だとジョンが5号から定時連絡をしてきた時、ジェフに「ルーシーがものすごいトラブルにあってる」と話す。これはテレビシリーズの「アイ・ラブ・ルーシー」のことだろうが、作者は母親の名前と引っかけているのだろうな。「サンダーバード」のことをよく知らないアメリカ人はこれを読んでルーシー・カーマイケルのことを思い浮かべ、よく知っているイギリスや日本のファンはルーシー・トレーシーのことを思い浮かべるというわけ(考えすぎ)。それにしてもなあ、ファンとしてはジョンにはやっぱり勤務の合間には天体観測をしていて欲しいのだが・・。

さて1号の発射シーンは持っていき方がうまいと思う。だんだん出力が上がってきて、プールが移動して、警報(?)が鳴って、1号を取り巻く輪っかがはずれて・・。「さあ、まいりましょう」という青音・・じゃない、ペネロープのセリフがいいですな。これが子供達だけだと「イェーイ!」とか「キャッホー!」になっちゃって重みがない。一人は大人がいて場を引き締めないとね。一方宇宙でも3号が5号を離れる。あたり一面5号の破片が飛び散っていて、後でそうじが大変だぜい。ラスト、プールでバカ騒ぎしているバヤイではないのだが・・。3号は大きいってだけであんまりとりえもないんだけど(と言うか設定しにくいんだけど)、方向を変えるためにシューッと小さい煙出してるところとか、大気圏突入で先端が熱くなってるところとか、けっこうかわいいわ。ロケットとしてありえない形だとしても、3号はやっぱりこの形でなくちゃね、ウフ。

さてロンドンのジュビリー公園に突然現われた2号。いくらアメリカ市場を意識していてもクライマックスはやっぱりロンドンでなきゃね。万に一つもないだろうけど、いや万に一つくらいはあるかもしれないけど、続編が作られるとして舞台はやっぱりイギリスでなきゃだめよ。日本なんか絶対だめ。「サンダーバード」に日本は合わないの。「サンダーバード」は何たってイギリスかアメリカなのよ。海の向こうの話であるべきなの。え?続編が作られる可能性?そりゃ限りなくゼロに近いでしょうけどゼロだとは思わない。ビデオやDVD、あるいはテレビ放映で人気に火がつくかもしれないでしょ、アメリカでも。うう、火をつけて回りたい私(アホ)。あっテムズ川の水面(みなも)に漣を立てて(さざなみと言うにはちとでかいが)2号が飛んできましたよっ!こら、フッドなんかうつさんでええっちゅーの。どうせうつすならもっと2号うつせ(お願い)。操縦にてこずるとこうつせ。あっ足が出ましたよっ。アイスクリームの屋台わざわざ踏みつぶしております。2号君太りすぎで足元が見えないようですっ。帰ったら足洗いましょうね。そのままにしとくとアリが寄ってきますよ。クラシックの2号にはおなかに車輪ついているようですけどとてもそんなふうには見えません。「ニューヨークの恐怖」でバージルが「車輪が飛んだっ!」とか叫んでましたけど、えっどこ?ってなもんよ。私ずっと2号はおなかでずるずる滑っているんだと思ってましたもん。

さてフッドの目的は救助隊への復讐なんだけど、それじゃ手下はついてこないから、やっぱりお金で釣るわけ。ロンドン銀行など十ヶ所襲って世界の金融事情をメチャメチャに・・ってわけ。銀行を襲うなんてやることがケチくさいけど、元々クラシックのフッドもそうでしょ。いじましいと言うか狭量と言うか、要するに小物なの。実写版のフッドもそれを踏襲しただけ。だいたい今の世の中善と悪との区別がつきにくくなっているでしょ。ある人にとっては善でもある人にとっては悪だとか。宗教とか思想とか絡めると特にね。だから一番はっきりしている「金目当ての悪人」「自分の非を棚に上げて人を逆恨みする小物」ってことにしたのよ。

2号のおなかから出てきたのはジェットモグラ号。「サンダーバード」の中でも一番人気の救助メカだが、形はクラシックとはだいぶ違う。最初見た時は私もあれ?と思ったのよ。あの両方向に回る刃は何なの?ってね。話は飛ぶけど飛行機のプロペラで、二重についていて、それぞれが逆方向に回るのがあるのよ。帰省した時例によって父にいろんなDVD見せられたんだけど、そういうのが出てきたの。・・で、何でこんなプロペラつけてるの?って聞いたら、片方向に回るプロペラより機体の安定がいいんですって。ちなみに父は戦時中四発の(つまりエンジンが四つついた)大型の飛行艇に乗っていたから、船や飛行機には詳しいの(任務は索敵・哨戒。1号みたいなもんよ)。ジェットモグラ号の刃もこれを聞いて納得がいったわけ。クラシックのように刃が片方向に回るタイプだと、掘っていくうちにどんどん方向がそれていってしまうと思う。ああやって両方向に回るタイプだとまっすぐ進むのでちゃんと目的地へ行けると思う。地中での描写は作りようがなかったのか、ジェットモグラ号の活躍はだいぶ省略されている。掘っていく時に出る土砂の始末方法は謎のままだ。さて未来のロンドンにはモノレールが走っていて、ジェットモグラ号が支柱を壊したためにテムズ川に落ちてしまう。強引に1号を着陸させたアラン達、すぐ2号に移り、救助活動開始。人命第一、フッドなんかあとまわし。フッド達は2号をからっぽにしてジェットモグラ号に移ったし、アラン達は1号をからっぽにして2号に移ったし、フッドはともかくアラン達はちゃんと1号にカギかけたんでしょうか・・南京錠とか・・。セキュリティ関係はホントいいかげんで、それはトレーシー島からしてそうなんだけど、服装もあわてて飛び出してきたから普段着のまま。ペネロープだけはいつの間にかピンクのラインの入った隊員服で・・。 普段着だろうが隊員服だろうが丸腰であることに変わりはないが、よくしたものでフッド達も武器は持ってない。前にも書いたけどさ。お子様映画だから武器は御法度・・というのであれば、舞台はやっぱりイギリスで正解なのよ。アメリカだったらすぐさま銃をかまえて「手を上げろ!」となるから、フッド達も何か持ってないと対抗できない。銀行のまわりにはSWATが配置されて、そうなるとお子様ムービーでーす♪なんて言ってられなくなるわけよ。

さて実写版のいいところは、4号もちゃんと活躍させてくれること。クラシックの劇場版2本では無視されていたでしょ。サンダーバードで一番形が変わったのは4号だけど、濁った水の中での活躍なので、何がどうなっているのかよくわからないのよ実は。澄んだ水の中でなら「何だありゃー!」ってなるんだろうけどさ、見えなくてかえってよかったわ。4号がモノレールつかんで浮かび上がってくるシーンは、音楽のせいもあるけど何度見てもウルウルしちゃう。4号は小さいからどうしてもけなげに見えちゃうの。水面に近づくにつれてあたりがだんだん明るくなってくるけど、明るさイコール希望なんですな。太陽の光イコール命なんですな。いやもう映画の中でも一番いいシーンですな。その頃やっと3号が到着。着陸する時に輪っかが降りてくるのがまたよくできてます。あのまま着陸したんじゃ不安定。何しろ3号でかいですから。でも後で発進する時には・・地面にオコゲができるはず。ジェフ達がかけつけるシーンは不自然だったな。一般の人々は後方の橋の上に鈴なりになっていて、前には誰もいなくてジェフ達だけ。その後銀行に行ってからも展開がメチャクチャ。ちゃんとしたものをへたにカットしてしまったからああなったのか、最初から出たとこ勝負みたいなストーリーだったのか不明だが、見ていて理解に苦しむな。ロンドン銀行に侵入してからのフッド達の行動はのろくさすぎる。マリオンが宝石に浮かれているのはわかるが、フッドまで「灰は灰に、ダイヤはダイヤに」なんてのんびり鑑定しているってどういうことよ。自分がここにいる目的を忘れてしまっている。フッド達の行動もばからしいけど、それ以上にばからしいのがペネロープ。ドレスアップしてヘアスタイルも変えて意味もなく現われる。あーせっかく4号の活躍でウルウルしていたのに、さめちまったぜい!ここでのペネロープはグレース・ケリーを意識しているらしい。私は「電撃スパイ作戦」のシャロンを思い浮かべたけどね。ジェフはアラン達を銀行に連れてきながらなぜ一人でペネロープを捜しに行ったのか。マリオンを倒した後パーカーとファーマットはどこへ行ってしまったのか。フッドは消耗しているのになぜさらに消耗する行動を取ったのか。くるくる回りながら上昇する必要なんてどこにあるんじゃい。回るのは1号だけでよろし。

このようなもたついたクライマックス(子供はともかく大人にゃ辛いぜ、このばからしさ)を何とかしのげるのは二つのシーンのおかげ。一つはジェフとアランの会話。フッドが島を乗っ取った時言っていたこと。弟のキラノは助けたのに自分のことは助けてくれなかった・・。これって完全な逆恨みだけど、聞いていたアランにはショックだった。反抗期で不信感を抱いているとは言え、心の中では父親のことを完全無欠な人間だと思っているからだ。・・で、モノレールの件がかたづいて二人きりになった時、アランは聞かずにはいられなくなるわけ。「フッドの言ったことウソだよね」それに対し、ジェフは正直に「いや本当だ」と答える。どんなにがんばっても全員は救助できない。どんなに自分が大切に思っている人でも助けられないこともある。ジェフはアランに厳しい現実を教えるわけ。14歳のアランがジェフの言うことを完全に理解したかどうかは不明だが、父親を理解するいとぐちを見つけたことは確かだ。次のアランのセリフは字幕と吹き替えでは少し意味が違って聞こえる。字幕だと大切に思っている人でも云々のジェフの言葉の後にアランの「母さんの話を」という言葉が来るので、「大切に思っている人でも助けられないことがあるって、それ母さんの話をしてるの?」という意味に聞こえる。つまりジェフの前の言葉とつながっているように聞こえる。次のおまえに似ていたという意味のジェフの言葉とはつながっていなくて、ジェフがアランの疑問をはぐらかしたように聞こえるのだ。これが吹き替えだと「母さんのこと話して」で、次のおまえに似ていたという言葉にすんなりつながる。この部分では字幕より吹き替えの方が意味が正確に伝わるなあ・・と思った。いずれにしてもジェフの苦悩がかいま見えるシーンで、オバさんはほろりとさせられちゃいました。何だかんだ忙しく暮らしていても、ジェフはさびしいと思うよ。こういう役にビル・パクストンを起用したのは大正解!

もう一つはアランがフッドを助けるシーン。「おまえなんか助けたくないけど」っていうのが正直でいいですな。「それが使命だ」・・いやージェフ、アンタの苦労はむくわれましたよ!鉄格子につかまりながら「かーさん、見てくれ!私の育て方は間違っていなかった!」・・てな感無量の表情でしたな(わかります、わかります、その気持ち)。ここでのフッドは結局どうしたかったのでしょーか。ホントに死ぬ気なら、例えアランに手をつかまれていてもいくらでも振りほどくことできたでしょ。回転するジェットモグラ号の上に落ちて一巻の終わり。そうしなかったってことはやっぱ死ぬのはいやだったんでしょ?その後のシーンはもうつけ足しね。めでたくアラン達三人は正隊員になりましたとさ。でも最後の最後でとんでもないことやってくれましたな。大統領から電話?おいおいそりゃないぜよ。救助隊はどこの国の政府とも無関係な独立した存在でなきゃならないんだってば。ある特定の国と結びついてはいけないの。この出動要請は(5号が使えないんだから)秘密隊員から入るんだってば。そりゃクラシックでもジェフは何だかワシントンと結びついてはいた。でもかなりあいまいだったし、救助隊の独立性ははっきりしていた。実写版はいきなり全世界(おそらく)にテレビ中継でしょ。でもうつしホーダイってことはありえなくて、例えば隊員の顔のクローズアップ禁止とか何らかの規制があるはずだ。1号や2号の無線のやり取りが傍受されないよう、あるいはどこかの国の上空を飛んでも攻撃されないよう配慮がなされているはずだ。3号のようなロケットを飛ばすにはNASAの技術協力が必要で、いくらブレインズが天才でも一人で全部はムリ。・・てなわけで作り手はいくら国際救助隊といえどもアメリカ政府と無関係に存在することはありえないと判断したのだろうな。だから大統領とジェフの間にはホットラインが・・。これが小説版だと電話の主は大統領夫人・・こいつぁいくら何でも・・。ジェレマイアにしとけっちゅーの!いずれにしてもこのシーン萎えましたぜ!せっかくアランの正式な初仕事なのにさ。・・で、夜の出動シーンで終わり。1号と3号が出動するってのは変則的な感じもするが・・。普通は1号と2号でしょ。ラストに2号じゃスピード感がなくてしまらないから3号を出してきたのかな。この時のアランのうれしそうな顔。正面からでなく横顔をうつしているのがいい。彼って横からだとまのびした感じがなく、ういういしい乙女に見えるのよ。とにかくこの時が一番かわいい。

それにしてもプールで騒いでいるところへ要請が入って緊急出動・・結局そういう生活パターンなのよね。5号が散らかしたゴミの始末とか(3号を接続する時困るでしょ)、ファイアフライがまき散らした消火液とか、サンダライザーで壊した扉とかさ、やることちゃんとやってからバカ騒ぎしたのかね。私は3号はそうじに行ったんだと思うわ。どさくさにまぎれて1号と一緒に出動したように見えるけどね。どーせ大統領の要請なんて大したことないわよ。初仕事!と大喜びのアランは操縦席ではなくて地下の格納庫に一直線。ポカンとするアランにジェフの声が飛ぶわけよ。「アラン、まずは自分達のやったことの後始末をしなさい。ティンティンとファーマットもそっちへ行かせる。それがすんだら宿題だ」・・で、三人してぼやきながらモップがけ・・どう?これ。前にも書いたように映画はペネロープとパーカーの足漕ぎボートのシーンで終わるんだけど、しゃれてはいるものの前とのつながりは悪く、そのせいかついこんな妄想をしてしまう。

さてジェフとペネロープはずいぶんはっきりといいムードで、これはちょっと意外だった。どちらかと言うとペネロープの方がジェフに興味を持っている。ジェフは奥さんの思い出のせいもあるけど、ペネロープのことは頼りになるパートナーとして見ている。親子ほど年が違うからロマンスの対象としては考えてもみないのよ。だいたいペネロープは何でジェフに協力することになったのかな。続編ができればそこらへんいろいろ話をふくらませる余地はあると思うけど。アランとティンティンの初恋物語なんていうのだけはやめて欲しいな。プールサイドでペネロープと一緒にうつっているバージルの笑顔がいいですな。何かこう心に突き刺さってくるような、見るとハッとさせられるような顔つきだよなー。何か違うのよ。他の四人のうちジョンだけは前にも書いたけどあんまりカッコよくないんだよなー。ジョンにはもっと高貴で優雅で神秘的な雰囲気があって欲しいのよ。例え海パン姿の時でもね。ムリな注文だってことはわかってるけどさ。

話は飛ぶけどレンタルビデオ店へすっとんで行って借りてきましたよ「沈黙の陰謀」と「K-19」グフフ・・。「沈黙」は見たことあるんだけど改めて・・どこに出てるんだろ・・キャッ、いたっ、スコットかわいいー!ういういしいー!最後どうなっちゃったの彼、うわーんはっきりしないよーん。予告だと彼の出番もっと多そうなのにカットされてしまったのね、くそっ何てことを・・許せん!ジョンの方は・・「K-19」はWOWOWでやったけど、冒頭の大騒ぎシーン見て「何じゃこれ・・」と見る気が失せて消しちまったんですの、おほほ。今度はちゃんと見るからねー!

エンドロールはかなり長いけど何の趣向もなくてがっかり。オープニングであんなに凝ったアニメ見せてくれたのに。ただでさえサンダーバードの登場シーンが少ないんだからここで見せるとか、サービスしろこら!はー何て長い感想文だろ。自分でもバカだってわかってるんだけど、これだけ言いたいことがあったってことなの。批評はけなしているものが多いけど、共通していることが一つあって、それは(自分は失望したけど)連れて行った子供は楽しんだ・・とか、館内には子供がたくさんいたけどみんな大人しく見ていたとかいうことなの。子供向けに作って、見にきた子供達が満足していたのだとしたら、この作品は成功したってことなのよ。名作かどうかというのは大人の視点でしょ。子供にとってはおもしろいかおもしろくないか、退屈するかしないかがいい映画の基準でしょ。映画を見に行ってまわりに子供がたくさんいることなんて私の場合ほとんどないんだけど、初めて吹き替え版見に行った時、お母さんと男の子という組み合わせがけっこういたわけ。騒がしかったらいやだなーって思ったけど全然そんなことなかったわ。そりゃしゃべる子もいたけど、大人だって上映中しゃべるのもいるし、ケータイピカッと光らさないぶん子供の方がまだマシよ。大人はギャグシーンでも静かだけど、子供の場合はクスクスとかわいい笑い声が聞こえてきたりして、大人よりよっぽど素直に反応しているわ。映画が終わると「おもしろかったねー」とお母さんが言い、男の子は「2号かわいかったねー」とウキウキしているわけ。これって作り手にとっては最高のほめ言葉よね。子供が喜んでくれたんだから。次の回はあいにく字幕版なのに、男の子が一人いたの。オバさんおせっかいだから内容わかるかしらーって心配しちゃったのよ。そしたら1号がアラン達の操縦で飛び出すあたりで体がゆれてるの。だって男の子にとっては永遠のあこがれでしょ。巨大な乗り物、速い乗り物、宇宙ロケット、小さいけど力持ちの潜水艇、空を飛ぶ車・・それらの多くを自分とそう年の違わないコがあやつっているんですよ。席にじっとしてなんかいられなくてお尻が浮いちゃうわけよ。そういうところは実によく作ってあるのよ。顔色一つ変えずに人を撃ち殺すとか、殺しても殺しても生き返ってくるとか、見ていて現実が危うくなってくるような・・つまり人は傷つけられれば痛みを感じるのであり、一度死んでしまうと生き返ることはないのだという事実がなおざりにされているような映画を見るより、こっちの方がずっといいと思うんですけどね、少なくとも小さな子供にとっては。モタモタしている部分もあるけど、それって銃を使わないからでもあるわけ。撃てば瞬時にカタがつくけど、失われるものが大きいからあえてそっちの方法は取らない。え?ペネロープのピストルはどうなんだって?あれはねえ武器じゃなくてアクセサリーでしょ、きっと。とにかくジェリー・アンダーソンの「人の命は何よりも大切」という信念は、この映画ではちゃんと守られていると思う。テレビ版や「6号」では見たくないシーンも出てきたけど、この映画はね、安心して見ていられる。クラシックの劇場版一作目はヒットせず、そんなはずはない・・と作った二作目もだめだった。実写版の話が持ち上がった時には、ジェリーは今度こそは・・と期待したはずだ。それがこんな結果になってしまって残念としか言いようがない。ジェリーやシルビアのような年齢の人に、そのうちまたきっとチャンスがあるわよなんて言うのは・・。実写版だって実現するまでにはホント紆余曲折があったんだし・・。

小説の解説にはボールドウィン兄弟がトレーシー兄弟を・・なんていううわさもあったなんて書いてあって(実現しないでよかった!アランがマット・ディモンとかそういうのもダメーッ)。今回ほとんど無名の俳優さんばかり使ったわけだけど、私自身はこれでよかったと思っている。全く先入観なしで、出てきたキャラをそのまま受け入れることができた。逆に今後彼らが他の映画に出た時に「いやんバージルそんなことしちゃだめだってば」となるかもよ。例えば銃を撃ちまくるとか盗みをするとかさ。人形の場合はバージルはバージルだけ、アランはアランだけ。他の映画で他の役ってことはありえないからイメージは保たれる。でも生身の人間はそうも行かないから辛いよなー。いや本人じゃなくてファンがさ。いや私何アホなこと言ってるんですかね。ないものねだりだってことはわかってるんですけどね。続編がそれこそ八作目まで作られて、彼らにはずーっとトレーシー兄弟を演じて欲しいわけよ。声はやっぱりV6で。くれぐれも残酷なシーン(「6号」でのアランが人を殺すようなシーンは見たくないッ)とラブシーン(トレーシーボーイズのラブシーンなんて見たくないッ)抜きでお願いします。ラブシーンと言えば予告で「東京タワー」見てびっくり。「アラン、だめだってば、アンタまだ14歳でしょーが」・・ってすっかり岡田氏イコールアランになってる私。V6と言えばCD買いましたよ。アフレコ映像目当てでね。あんなにちょびっとしかうつってないなんて・・残念。でもこれでやっと誰が誰の声当てているのか区別がつきましたわ。一番はじっこでニコニコしている三宅氏がえらくかわいかったです。クラシックのゴードンのキャラそのまんまじゃないですか!DVDは11月10日発売、何か早すぎない?って気もするけど、でも早く見たいよーん。それまではサントラでガマンだわ。すっごくいい曲ばかりで聞いているとサンダーバードの雄姿が・・はー(ため息)。

さてとやっと書き終えたぞ。今までで最長だな。余ったぶんで「スティングレイ」だいッ。私の記憶では白黒なのよね。それにこんな解説入ってたっけ?そして・・トロイってこんなにステキだったっけ?もったいないからまだじぇんぶ見てましぇーん!少しずつ楽しんで見るんでーしゅ。始まったかと思うとすぐ終わっちゃう、30分ものって短いなあ。それにしてもマリーナの曲!懐かしい!トロイがマリーナを見る目つき!何で片方の眉だけ下がってるんですかッ!そのせいでトロイが魅力倍増しているじゃありませんかッ!按抹(あんもう←気にしないでください)!犯罪ですッ、確信犯ですッ。最初は△だったのに後半はフォンズがマリーナにやさしくて□じゃありませんか。それで解決かと思ったら特典ではアトランタが泣いてるじゃありませんかッ!エッいいんですか、こんな生々しいの入れて・・。すみませーん、もうやめますね。