サロゲート

サロゲート

「映画の日」なのでいつもよりこんでる・・と言っても14人くらい。ダンナと一緒に行ったけどダンナが見たのは「おとうと」。こっちよりお客多いのは確か。終わって出てきたおばちゃん達は皆目が赤い。ダンナも何度か泣いたそうな。私自身は泣ける映画は見たくない。近未来のアメリカ・・サロゲートロボットが壊され、持ち主の人間まで死ぬ。普通安全装置が働き、人間には影響ないはずなのになぜ。FBIのグリアー(ブルース・ウィリス)とピータース(ラダ・ミッチェル)が捜査に乗り出す。このグリアー(のサロゲート)が髪フサフサで肌つるつる。サロゲートは皆自分の好きな形にできるので美男美女揃い。若くてスタイルもいい。性別も人種も自由。金髪美女が実は太った中年オヤジだったり。どことなく「アイ,ロボット」の世界だが、こっちの方が不健康。人間本体は寝ているばかりで、「ウォーリー」での人類みたい。風景も人間も「ウルトラヴァイオレット」のような感じで、きれいだが不自然。役者はロボットっぽい演技・表情要求されるわけで、さぞ演じがいがあったろう。グリアーの妻マギー役ロザムンド・パイクは、これでもかとばかりに美しくうつされる。グリアー夫婦は交通事故で息子を失い、以来マギーは部屋にこもってサロゲート三昧。映画は事件の行方追いつつも、夫婦のきずなの復活に時間を割く。これでもかとばかりにウィリスの涙目うつすのでうんざりさせられる。ちょっとぉ~いいかげんにしてよ。やっぱ人と人とのナマの触れ合いが大事なのよ~ってそんなことわかってるってば。ジトジトジメジメメソメソ・・前半の無表情サロゲートグリアーの方がよっぽどいい。だからピータースの方に目が行く。きびきびと仕事をこなし・・あらッ!死んじゃったわマジ?ストーリーは非常にわかりにくく、ついていこうと努力したけど途中であきらめた。ラストは「地球の静止する日」や「エスケープ・フロム・L.A.」風だが、グリアーにとっては自分と妻の関係が一番大事。ああそうですか、かってにしろ!まあ出来はいいとは言えないが、描写に力強いものがあり、わりと満足できた。歌一曲分でさらりと終わるエンドクレジットもいい。出演は他にジェームズ・クロムウェル、ヴィング・レイムズ、ジャック・ノーズワージー。キャンターのサロゲート役ジェームズ・フランシス・ギンティは「エクスタミネーター」のロバート・ギンティの息子。ロバートは去年亡くなったのね、残念。

サロゲート2

中古DVDを買って見た。コメンタリーがついている。原作はグラフィック・ノベルで、ラストは(映画よりも)暗いらしい。サロゲート・・ロボット役の俳優達はCG処理でシミやニキビ、シワなどを消しているのだそうな。見ていて思ったのだが、この映画ではまわりが現実で、動き回っているのがロボットだ。たいていの映画だと生身の人間、あるいは生身の人間の思考が仮想空間に入り込む。コメンタリーでラダ・ミッチェルのことを何も言わないので、何でかな・・と思っていたら、終わりの方で取り上げてくれた。ジェームズ・クロムウェル扮するキャンターは、いろんなロボットを操る。子供、青年、予言者、殺人犯。反対にミッチェルの方は、見かけは同じだがなかみが違う。ピータース本人、ピータースに操られるロボット、キャンターに操られるロボット、グリアーに操られるロボット。どちらが演じるのが難しいかは言うまでもない。それにしてもこの映画での(ロボットの方の)ロザムンド・パイクとミッチェルは美しい。CG処理をほどこした人工的な美しさだが、何となくヒッチコックの映画に出てくるヒロイン達を連想させる。監督は何よりも大事なのはグリアーとマギーの心が寄り添うことだと考えているが、それだと他の映画と同じになっちゃう。ウィリスのウルウルにはうんざりだ。もう少し生身のピータース描写して欲しかった。彼女のことの方がよっぽど気になる。グリアーがピータースの家を訪ねて遺体を発見するシーンがあったのか。カットしてしまったのか。DVDの特典はコメンタリーとミュージック・クリップが一つだけ。ブルーレイならもっと特典ついているのか。今回見ても予言者の存在感は薄い。ロボットであることがばれずにすむわけないと思うが。ところでヴィング・レイムズは髪があるとウーピー・ゴールドバーグによく似ている。うつる度に笑ってしまう。現代のボストンという設定で、近未来と思おうがパラレルワールドの話だと思おうが自由だと言っていたが、どう見たって現代じゃないでしょ。まあこの映画から数年たったけど、人間はますます仮想現実に依存するようになってる。それは確かだ。何が出てこようが境界線さえきっちり守っていればあまり問題はない。でも、ポケモンGOとかでもわかるけど、人間って線引きができないんだよな。危険と知りつつのめり込んでしまうのが人間。