サドン・デス

サドン・デス

これは確かテレビ東京の「午後のロードショー」で見た。こういう番組こっちでもやってくれると助かるんだけどな。どのチャンネルもワイドショーで、同じネタなんだからいやんなっちゃう。そりゃ「午後」は吹き替えだしカットされてるけど、でもここで見たおかげで存在を知り、字幕ノーカット版に進んだって作品もけっこうあるのよ。私にとって「午後」は発見・発掘であり、入口だったのよ。さて「サドン・デス」だけどちょっと長いかな。15分くらい切ってちょうどいいかな。つまり「午後」におさまる長さ。犯行とアイスホッケーの試合がほぼ同時進行。でもこのアイスホッケーというのがなじみがなくて、ちっともワクワクしないんだよな。消防士のダレン(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は少女を助けられなかったせいで精神を病み、離職。離婚した妻はすでに再婚。息子タイラーと娘エミリーは妻が育てている。ダレンは決められた日以外にも会いにくるので、元妻はいい顔をしない。「ルールを守って」と冷たい。今ダレンが消防管理を担当しているアリーナで、アイスホッケーの決勝戦がある。彼は子供達に見せてあげたい。この試合には副大統領も観戦に来るが、ある一味によって市長らとともに人質になってしまう。満員のアリーナにはあちこち爆弾がしかけられている。一味のボス(パワーズ・ブース)は、政府の隠し金17億ドルを自分らの口座に振り込むよう要求。入金されなければ試合のピリオドごとに人質を殺すぞ。偶然事件に気づいたダレン。エミリーが人質にされてしまったのだ。孤独な戦いが始まる。ま、ヴァン・ダム版「ダイ・ハード」ってとこですかね。ストーリーだけ見ればおもしろそうで、期待が高まるんだけど・・どうも盛り上がらない。DVDの画面がやたら暗い。テレビで見た時こんなに暗かったかな。何をやってるのか、誰がどうなったのか、ここはどこなのかはっきりしない。いくら息づまるアクションやってても見えなきゃどうにもならん。ヴァン・ダムだからアクション期待するわけだが、最初のアクションは始まって35分くらいたってから。やっと。厨房での戦いは「スカイ・ハイ」思い出す。その後何回かあるし、クライマックスはアリーナのドーム屋根・・かなりハラハラさせるんだけど、これも暗いし遠いしでハラ・・くらい。この頃のヴァン・ダムはまだ若くて体も動く。見せ方がもったいない。

サドン・デス2

アクションならアイスホッケーの壮絶な試合がありまっせ・・というつもりかもしれないが、私にはぴんとこない。防具だらけの男どもがワサワサ滑っているだけじゃん。ストーリーはかなりメチャクチャ。悪ボス、ブースはいいキャスティングだと思うけど、副大統領達を人質にしてしまうと、後は動きがなくなる。金が振り込まれるのを待っているだけ。間を持たせるため会話が必要だが、どうしてもありきたりのやり取りなのでおもしろくない。半分くらいカットしても影響なし。ボスの正体は最後まではっきりしない。名前もはっきりしないのでは?まあそうやって正体をあいまいにしているのは悪くない設定だが、この映画で一番困るのは人が殺されすぎなこと。ボスはものすごく頭がよくて計画も念入り。ダレンが邪魔しなきゃ成功していただろう。こういう頭のいい人は、なるべく死者を出さないようにするんじゃないの?あっちでもバン、こっちでもバン、ゴミ収集車(?)いっぱいの死体・・こんなことする?前、要求金額17億ドルって書いたけど、金の行き先突きとめられないよう細工をくり返していくと、最終的に手に入るのは5億ドルくらい。12億は捨て金である。それくらい緻密な計画を立て、目減りも気にしないくらい冷静なら、死体の山など築かず、薬で眠らせるなどの方法取るのでは?ひとまとめにして一室にほうり込んでおけばいい。どうせホッケーの試合の間だけでいいんだし。ああやって人質達に素顔見せてるってことは、後で皆殺しにするつもりなんだろう。犯人達がいかに残忍かアピールしているんだろうが、見ている側としては後味が悪くて・・。途中でシークレット・サービスのホールマークと出会って、ダレンの孤独な戦いも終わりか・・と思えるんだけど、実はこいつが裏切り者で・・。それはまあうすうすわかっているけど、シークレット・サービスに内通者がいるなら何もこんな大がかりな計画立てなくったって・・。副大統領・・あるいは大統領を人質にできるでしょうが。副大統領達が人質になっていることをいつの間にか警察やシークレット・サービス達が知っていて、何で知ってるの?と見ていて不思議だった。撃たれたけど死んでいなかったシークレット・サービスがこっそり知らせたのかしら。そういうシーンももっと明るくはっきり見せてよね。テレパシーでも使ったのかと思ったわ。

サドン・デス3

アリーナの外にはチケットを入手できなかった人々がいっぱい群れているはずだし、不穏な空気に気づいたはずだが描写されない。マスコミも出てこない。ホールマークが火につつまれた後、見回りに来た仲間がそのまま行ってしまうのもおかしい。肉の焦げた臭いが漂ってるはずだが・・。厨房は閉めたはずなのに、煮えたぎった油の中でポテトが揚がっていたり、肉が焼かれていたりするのもおかしい(オートメーションかよ)。ダレン君火は止めた?このままじゃ火事になるぞよ。私がこの映画レンタルしたのはもちろんヴァン・ダム目当て。心に傷を負っていて、でもどこかに英雄志向がある。奥さんにはもう未練はないようで女っけなし。心の支えは子供達で、いいとこ見せたいフツーの父親。アリーナへ行っても子供にかかりきりで、それはまあ微笑ましいけど、仕事ちゃんとしろッ!単純であんまり頭よくなさそう。でも自分の専門分野には詳しく、勇気もある。ヴァン・ダムにはこういう役合ってる。普通こういう父親だと疎ましく思う子供もありなわけだけど(入手困難なチケットなのにありがたがらないとか)、この二人の場合は違ってて。タイラーは父親の苦悩も少しはわかってて。新しい父親とも仲良くしてるし、まわりを気遣うタイプ。それでいて強情。ダレンに「例えビルが壊れても席を離れるな」と言われ、ホールマークが言葉巧みに誘い出そうとした時も動かない。大人を小馬鹿にしたいやなガキに見えるが、とにかく父親の言いつけを守り通す。会場がパニックになり、観客が先を争って逃げ出した時も一人座ったまま。ここは笑えるけど、パニックの中でダレンがタイラー見つけることができたのは、席を離れなかったおかげで。タイラー役ロス・マリンジャーはどこかで見た顔だ。「バイバイ・ラブ」でマシュー・モディンの息子役やってた。妹のエミリーは天真爛漫。そのせいで人質になったり高所から落ちそうになったり。ダレンが助けるかな・・と思ったら自力でよじ登っちゃった。偉いね。クライマックスはヘリの墜落。中にいるボスには何もできない。開いたドーム屋根の間からゆっくりゆっくり落ちる。あんなに人を殺したばちがあたったのさッ!少しは恐怖味わえっての。悪者必滅・・こうこなくっちゃ!てなわけでいろいろ不満はあるけど、この映画でのヴァン・ダム、私は好きです。