スプリット、ミスター・ガラス

スプリット

解説を聞いてびっくりしたんだけど、これは三部作なんだそうな。一作目が「アンブレイカブル」で、二作目がこれ、三作目の「ミスター・ガラス」はもう公開されたらしい。ひょ~全然知らんかった。ラストでブルース・ウィリスが出てきてびっくりするけど、そういう意味があったのね。セリフでミスター・ガラスって言ってるけど、その時は何のことかわからなくて。わざわざ名札でダンとあるのは、「アンブレイカブル」の主人公のなれの果て・・じゃない、15年後の姿なのね。車椅子の・・なんちゃらはサミュエル・L・ジャクソンのことで。「アンブレイカブル」は、「シックス・センス」に続いてのシャマラン作品ということで大いに期待されたけど、はっきり言ってなんじゃこりゃ。その失敗をシャマランは認めたくないんだと思う。あれにはこういう意味があったのだと、10年以上たってまた映画にする。何か執念のようなものを感じる。内容としては、多重人格の話だから、ジェームズ・マカヴォイはさぞ演じがいがあったと思う。次にヒロイン、ケイシー役アニャ・テイラー=ジョイの発見がある。目が大きくて、しかも間が離れている。金魚かカエルかチワワか。非常に個性的。映画を見終わってクレアやマルシアの顔は思い出せなくても、ケイシーの顔は思い出せる。ケイシーは問題ばかり起こす。でも後でわかるが、彼女は叔父から虐待を受けている。家に帰るのを少しでも遅れさせるために問題を起こす。幼い時のケイシー・・目が大きくて、よく選んだなと感心するキャスティング。父と叔父と三人で鹿狩りに行った。父にいろいろ教わったけど、叔父との忌わしい記憶の始まりでもあった。父が亡くなり、叔父が保護者になってからはさらに。さて、誘拐され監禁された三人の少女。男は時々人格が変わる。彼はフレッチャーの治療を受けている。フレッチャーは彼・・元々の人格はケヴィン・・の態度に不審なものを感じる。彼女は他の人格を消していって、最終的に一つにという治療法は取らない。人格によって肉体的なものまで変わり、さらには超能力にまで至るのでは・・と考えている。しかしケヴィンの中で生まれた新しい人格、ビーストは・・。ええ、別にいいですよ、超人的でも。でも、壁を這っているのは失笑するしかないかも。それまではけっこうハラハラして見ていたんだけど。ケイシーは「ミスター・ガラス」にも出ているようだが、この作品で終わりにして欲しかった気も。彼女はケヴィンの変身を見て、精神によって肉体まで変わることを知った。彼女の叔父への態度は変わるはずだ。それでいいんじゃないの?

ミスター・ガラス

デヴィッドはホームセキュリティー用品の店をやっていて、息子のジョセフが手伝っている。いや、今は反対か。店をジョセフに任せ、自分は散歩と称して歩き回り、人助け。しかし、警察にも目をつけられているので、ジョセフは心配で仕方がない。お客の一人でシャマラン監督が出ている。もちろんセリフもある。妻のオードリーは五年前病死したようだ。ケヴィン(の別人格)は相変わらず若い女性を誘拐し、監禁。デヴィッドが救出するが、彼もケヴィンもつかまって精神病院送り。そこには薬漬けにされたイライジャもいる。精神科医ステイプル(サラ・ポールソン)は彼らを誇大妄想患者と決めつけ、特殊能力など本当はないのだと説得しようとする。必ず思い込みの原因となった出来事があるはずだ。イライジャの母親は今になっても息子の味方。ケイシーはあの後行動を起こしたようで、虐待していた叔父は刑務所行きに。見ている方としては、彼女が目覚ましい能力発揮することを期待するのだが、ケヴィンを癒すくらいで他には何もなし。ケヴィンはしきりにビーストに変身するが、脅威でも何でもなく、ただただ笑える。アホな内容を2時間以上見させられるこっちの身にもなってくんなまし。まあ「アンブレイカブル」とのつながりが意外なほどきちんとされていて、そこは意外だったし、感心もした。もっと「スプリット」とつながっているのだと思っていたから。あの列車事故がそもそもの発端というのも意外でよかった。見ているうちに気がついたんだけど、ジョセフやってるのは「アンブレイカブル」と同じ人なのね。スペンサー・トリート・クラーク。目が小さくてそばかすだらけで・・あの少年がこんなに大きくりっぱになって・・。いやホント、よく同じ人起用してくれました!「アンブレイカブル」のワンシーン・・泣いているようなジョセフの顔がうつった時はこっちまでウルウルしてしまいました。このスペンサー君、「隣人は静かに笑う」「ダブル・ジョパディー」「ミスティック・リバー」と活躍していたんだよな。巷ではオスメント君がもてはやされていたけど。さて、善のヒーローがいて悪のヒーローがいて黒幕がいてという図式には、もうひとひねり加えてある。とかくヒーローの対決はまわりに多大な被害をもたらす。だからどちらのヒーローも止める組織があって、ステイプルはそのボス。でもケヴィンやイライジャは仕方ないとして、デヴィッドまで殺されて終わりじゃ後味悪いぞ!