スペース・クラッシュ

スペース・クラッシュ

まあよくあるマイケル・パレ物です。「マイケル・パレ」とついてれば女性は借りてくれます。男性はパレならエッチシーンあるだろうと借りてくれます。冒頭・・よくわからんがここはパリらしい。車の中である男が、ある男にアタッシェケースとカギを渡す。渡された方はあるビルに入り、エレベーターに乗る。そのままずんずん・・時々彼のこと不思議そうに見る人もいるけど、彼は全く気にしない。見とがめられもせずあるオフィスに入り、ケースを開ける。なかみはもちろん爆弾。爆発しても炎だけで、何も飛び散っていなかったな。安っぽいCG。次に宇宙船がうつる。艦長ジャクソンや副艦長ダリル(パレ)達が何やらぐちぐち言っていて、障害あったけど爆破決行して。もうこのあたりから「金ない~金ない~」って呪いのうめき声が聞こえてきそう。そうよねえ、パレだもんねえ、彼でなきゃ出てくれませんてば。よくわかんないけど今は2051年で、人口は260億にも増えてしまい、エネルギーは枯渇、環境も汚染されてる。この危機を救ってくれそうなのが小惑星MOON44・・じゃない、NT27。これの鉱脈があれば当分エネルギーの心配はない。ISA(国際宇宙局)がNT27を地球の軌道に乗せようと送り出したのが、今ダリル達がいる宇宙船。爆発によってNT27の軌道を変えようと、もう14ヶ月も作業している。ダリルは息子アダムからの送信に目を細める。でもその後の、妻マリリン(ハイジ・フォン・パレスケ)からの送信には顔を曇らせる。二人の間には離婚話が持ち上がっている。進展しないのはダリルが地球にいないからにすぎない。マリリンに、子供ができたと知らされた時の驚きと喜びを思い返すダリル。はい、ここで入らなくてもいいのにラブシーン入ります。作り手はたぶんこういうの見る人が欲していると思うんでしょうなあ。後で、ダリルの親友で同僚のアンダーソンが死んだ時、助けることができなかったと沈んでいる時、同じく同僚のリザードが誘惑しにくるんです。今はそんな気分じゃないと断るんだけど、やっぱり後でいちゃつくんです。まだいちおう既婚者だし、隊員どうしでいちゃつくのは規則違反なんだけど、やっぱりいちゃつく。

スペース・クラッシュ2

この二人だけでなく、シュナイダー(マッケンジー・グレイ)とバーディニーもそういう仲らしい。どうもこの宇宙船、だいぶたががゆるんでいるようで。みんなの艦長への不信感は強い。なぜかトラブルも続く。元々多額の報酬目当ての寄せ集め隊員なので、結束力も弱い。私はどことなく「スーパーノヴァ」に似ているな・・と思いながら見ていた。たぶん艦長は早々に命を落とし、ダリルが指揮を取るのだろう。隊員の中に裏切り者がいて、一人また一人と殺されていくのだ。コンピューターは操作され放題。スペースシャトルみたいなのが何度かうつるが、ラストはこれで・・たぶんダリルが・・脱出するのだ。そんな見え見えのストーリー。「ノヴァ」と違うのは、お金のなさのせいで目立つアラ。「ノヴァ」は何だかんだ言ってもお金かかってた。CGもセットもちゃんとしてた。でもこっちは安物感ありあり。出演者まで何やら安い。パレ以外は知らない人ばっか。いや、もちろんあと一歩というところで持ちこたえていますけどね。日本映画だったら総崩れだろう(←?)。で、お金かからず、時間稼げて、お客が喜び、つじつまの合わないストーリーから気をそらさせるには何がいいかとなれば、そりゃラブシーンです。それもあっちをチョコ、こっちをチョコという具合に出し惜しみ・・いや、うつし惜しみ。とにかく肩とか腕とか部分的にしか見せない、ケチくさいうつし方。長々と念入りにうつすけど、見終わってみると、オッパイがちょこっと見えたくらいで、あとは何が何やら。で、こういうのやって、本来うつすべきシーンは省略する。うつすべき・・ってパレのフルヌードとかそういうことじゃありません、今の地球の状態ですよ。260億ってアンタ、どういうことです?そんなに増えるわけないじゃん。そこまで行く前に深刻な食料不足が起こる。そのために戦争が起きるはずだ。他に石油などのエネルギー資源の奪い合い、住む場所の奪い合い。都市部では超人口過密になるはずだ。でもそんな描写ゼロ。人がうじゃうじゃいるはずなのに、ダリルの家もロペスの屋敷もゆったり広々。こんなに広い居住空間確保できるはずないし、空気も汚れているはず。

スペース・クラッシュ3

初めから描く気ないのか、お金がないからか(たぶん両方だろう)。テレビで討論やってる。片方はISAの局長で、NT27のおかげで人類は助かると説く。もう片方・・環境学者か何か・・は、そんなの結論を先送りにしているにすぎないと反論する。NT27のおかげで人類が今まで通りの生活を続けられることが、果たしていいことなのか。このまま環境破壊を進めれば、人類は滅亡する。そうならないためにはどうすればいいか、経済を犠牲にしてもそっちの方を考えるべきだ。見ていて驚いたのは、悪役がISA側でないこと。環境テロリストの方。ん?こんな言葉あるのかな?宇宙船ではトラブル続きなので、ダリルは中止しろとか言うんだけど、艦長は言うこと聞かないし、ISAからの指示は常に計画を推し進めろ・・だ。こりゃどう見たってISAは利益優先、人命・安全軽視のクソ団体。だから、人類は今こそ地球を長持ちさせるためにはどうすればよいか、真摯に考えるべきだと説く方が、真っ当に思える。でもこの考えが変な方向へ行っちゃったのがロペス。彼はNT27が地球に衝突するよう宇宙船に手下を送り込む。トラブル続出はそいつのせい。でもまさかそんなのがまぎれ込んでるとは夢にも思わないから、艦長がおかしい、ダリルがおかしいなど、疑惑や不満が渦を巻き・・。そんなことやってるうちに一人また一人と殺されていき・・。安っぽいCGやセット、無名っぽい(パレは別だが)キャスト、わけのわからんストーリー・・と見せて、進んでいくうちに何やらまとまってくる。宇宙船内のことはまだしも、地球での出来事は、なぜこんな描写があるのかわからない。題名からSF・・宇宙物のはずなのに、何でビル爆破だの、マリリンが捜査に引っ張り出されるだのとなるのか。ビル爆破の際、車の中にいた年かさの方がロペス。大物犯罪者に見えるけど、いつの間にかカルト集団の教祖ということになってる。これでテレビ討論での環境学者と通じてるとでも言うなら、皮肉がきいてるが、そういうのはなし。ロペスはロペスで行動しているようだ。マリリンは腕利きの捜査官で、あっちこっち飛び回っている。で、ダリルに少しは母親らしくしろと怒られ、ケンカになり、離婚話に・・。

スペース・クラッシュ4

2051年になってもまだ、女は家庭で子育てをなんて決めつける亭主がいるのだ。今回のパレ君のキャラ・・あんまりよくない。艦長に対してもマリリンに対しても、やや料簡が狭い感じ。ドクターには権力志向なんて思われてるし。もちろん最後は地球救うし、マリリンとも元の鞘におさまりそうだ。でも・・また少ししたらケンカしそう。マリリンはそれくらい行動的な女性。いっそのことダリルの方が主夫やったら?エプロンとお玉とか似合いそうだし。話を戻して相棒のジミーに引っ張り出されて捜査を始めたものの、不可解なことばかり。一番変なのは、数百人の死体を冷凍保存してること。これの理由って説明されてたっけ?生きたまま冷凍し、未来に甦りますとか何とか言って大金取って、殺して大儲けしたってこと?あれの維持費用って膨大な額になるんでないかい?ロペスはなぜかチリでとらえられ、マリリンはジミーと共に向かう。ところがいつの間にか立場が逆転。ジミーや地元の警官は皆殺しにされ、マリリンはロペスの屋敷に連れていかれる。何で彼女だけ?あたしゃてっきり彼女人質にしてダリル脅すんだと。あるいはマリリンが言うこと聞くようアダムを人質に取るとか、すると思ったんですけど。何もありゃしませんでしたとさ。結局ロペスは観客がいて欲しかったのかな。彼はNT27が地球に衝突し、人類が滅んでも・・30億年前の状態に戻るらしい・・自分が死んでもかまわないと思っている。まわりにいる者・・信者・・も、自分や家族が死ぬことを承知しているみたいで。たいていの映画なら、心がゆれ動いているのがいて、マリリンがそそのかすとその気になって、謀反起こして、逆にロペスに殺されるとか・・そうなるけど、そういうのなかったな。ビル爆破のテロリストもそうだけど、よっぽど念入りに洗脳したのだ。で、なぜかロペスの屋敷と宇宙船はつながっていて、監視カメラの映像が見れる。どうせならダリルとリザードがいちゃこいてるシーン出てくるかと思ったんですけどねえ・・出てきませんでしたとさ。まあとにかくロペスは、自分は神だと思っていて、計画通りうまくいくはずと絶対の自信持ってて。でも黙ってやったのでは自分のすばらしさを見せられない。

スペース・クラッシュ5

信者はいるけど、それ以外の者にも見せたいし、自分の言うこと・・すばらしい理論・・を聞かせたい。だからマリリンをここに連れてきた・・と。さて、NT27で作業中、シュナイダーが何か見つけるんだけど、それが何なのか説明されてたっけ?バーディニーには言うけど、彼女は踊ってて、ろくすっぽ聞いてない。シュナイダーはシュナイダーで立体映像のストリッパー出して喜んでるし、ホントまあゆるんでいるのよこいつら。たぶんNT27で起きる不可解な爆発はそのせい?爆発のせいでNT27は地球へ向かうけど、データが改ざんされているので、ダリル達は後々まで気づかない。そのうちバーディニーが気づくけど、同時に死刑宣告受けたようなもんよ。アンダーソン、艦長、バーディニーが死に、ドクターはダリルを疑うけど、このドクターも何か変で。彼女に関しては何かがカットされているような。医者なのに精神的に不安定なような、らしくない雰囲気。特に最初に登場するシーンは意味不明。「ノヴァ」と同じで途中でストーリーが変更されたのかな。で、医務室で困るのは、メスとか剥き出しで置いてあること。使わない時はちゃんとしまっておけよ!と言うか、うつった時点で誰か死ぬって見え見え。さすがに銃とかそういうのは出てこない。よくあるでしょ、宇宙船内で銃撃戦とか。おまえらバカかってシーンが。あ、メスでズブリ・・やっぱり・・「サンシャイン2057」になってきたぞ。2051年ならイカロス1号が行方不明になった頃で・・。まあとにかくここでリザードがテロリストだとわかるわけですの。しかもかなり強くてダリル君分が悪い。普段からサンドバッグ相手に体鍛えてるのに何だよ。ちなみにトレーニング中のパレ君、少しおなかが出てますぜ。はい息止めて~腹引っ込めよう!勘違いもいいとこのドクターに何やら注射され、リザードに宇宙にほっぽり出されるんだけど、しぶとく戻ってきて反撃・・と、これまた「ノヴァ」風味。さっきメスでズブリとやられたのはドクターの方です。ダリル疑って注射打った時点でアンタ全女性敵に回しましたぜ。私のパレ様に何をする~死ね死ね死ね~い。シュナイダーも倒したリザードは、いよいよロペスの指示通りに・・宇宙船も爆発するようセット。

スペース・クラッシュ6

リザード役の人はグウィネス・パルトロウプラスリース・ウィザースプーンと言ったところ。さして美人ではないが、すらりとしていて、すっきりしたヘアスタイル。マリリンはもうちょっとごてっとしたきつい感じ。ちょっとジュリアン・ムーア入ってる。途中誰かの(後で艦長のだとわかる)切断された手が出てくるけど、ここでその理由がわかる。コンピューターを操作するのに指紋だか掌紋だかが必要なのだ。だからシュナイダーも殺された後手首切断され。それに気づいたダリルはリザードの手をドアに挟んであっさり切断。もうここらへんになるとSFと言うより猟奇変態殺人ホラー。恐怖の手首コレクター!でもそれにしては出血少なくて。リザードだって顔に血がドピャッとかかるはずだけど(金ない~そんな金ない~ってか?)。せっかく手首手に入れたってのに、コンピューターは言うこと聞いてくれない。生体認証ってあるけど、ここらへんみんな死体認証だよな。クライマックスはいちおうハラハラする。宇宙船自爆まであとわずか。もちろんダリルがあのシャトルで脱出するってのはわかってるけど、いくら緊急発進でもあそこまで速くは動かんでしょ。エンジンがあったまって・・あら、発進しちゃったわ。ダリル君ドクターが殺されたこと知らないはず。捜しもしなかったぞ。注射打ちやがってあのクソあま~とか?何だかよくわからんけどNT27は軌道をそれ、地球は人類は助かりましたとさ。鉱脈はおじゃんになったから、人類は生き延びる別の道捜さないと。一つの危機が去れば(パニックも大統領の緊急演説もみんなして空見上げるのも教会で祈るのも何にも出てこないが)、人類はまた別の楽な道捜し、結局は滅亡すると思うよ。一度便利な思いをしちゃうと、なかなか前には戻れない。パレ君少しおなかが出て、髪のボリュームもやや減少気味。でもこうやっていろんなのに出てさ、凡作でも駄作でもチョイ役でも出てさ、コンスタントに顔見せてりゃ、数年ぶりに見て「ウソッ!」とか「ガビョーン!」とかならずにすむからさ。でもさすがに最近の彼は・・顔とかゆるんで・・。まあ変に若作りしてるのも嫌だし、自然体で・・と、最後の方になって文章もクラッシュしております。ロペス役クリスチャン何とかと言う人はなかなかよかった。