スネーク・フライト

スネーク・フライト

有楽座になってから行くのは「ナイト・オブ・ザ・スカイ」以来二度目。大きなスクリーンを見ながら、ああここで「地獄の変異」やってくれていたら・・と思った。シネパトスの小さなスクリーンで見てさえあの迫力。あそこの四倍はありそうなここのスクリーンなら・・。お客だってもっとたくさん入っただろうし。とは言え、ここはきれいに改装されてからも相変わらずこういうオバカ映画やってくれる。そこがいいのよね。入れ替え制だけど初回は自由席というのもいい。私が見に行ったのは公開一週目の平日。お客は50人くらいか。シニア男性が多い。若い女性はちらほら。オバさんは私一人だったと思う。世の中死ぬほどヘビが嫌いという人は多いけど、私はそれほどでもない。好きというわけでもないけど、見るのもいやということはない。襲ってきたり毒のあるのは困るけど、大人しくて無害なものは怖がる必要ないと思う。さてこの映画はヘビと飛行機(飛行機にヘビが二匹絡みついている図柄はなかなかしゃれている)、サミュエル・L・ジャクソン(ヘビより強い)、「セルラー」の監督・・それで終わり。ぱっと公開されてそれで終わり。全米初登場1位、二週目は下の方。いちおうアメリカでは盛り上がったようだが日本ではどうなのかしら。ヘビで盛り上がれる?そう言えばグッズ何もなかったな、何で?あの図柄でTシャツとかさ、あれば買っちゃったかも。私が見に行ったのは、まあ軽い内容で一回で満足して帰ってこれそうだから。それとジャクソンが出ているならある程度はちゃんとした映画だろうと思ったから。こういう内容で主役が知らない人だったら、重みのない軽そうなタイプだったら・・よっぽどヘビがしっかりしていない限り映画として成立しないだろうから、見に行く気は起きないと思う。で、こういう映画でヘビ(のキャラ)がしっかりしていることはありえないのよ。どうせCG使いまくりだろうから。映画には中心になるもの、大黒柱が必要だと私は思っている。で、その点ジャクソンなら心配ないの。その上ジュリアナ・マーグリーズが出ている。私はジャクソン(とヘビ)以外誰が出ているのか全然知らずに見に行って、別に知ってる人いなくてもいいんだけど、それでも彼女の名前を見つけた時にはうれしかった。安心できるからね。彼女はテレビの「ER」で有名だが、私は「ゴーストシップ」だけ。小柄だけどがっちりしていて性格は男まさり。

スネーク・フライト2

今回はスチュワーデス(どうも他の言い方はぴんとこない)役だからそれなりの格好して笑みも浮かべているけど、基本的には体力満点のしっかり姉さん。ジャクソンといいコンビだ。出演者で一人気になったのはムエタイのボクサー。どうもどこかで見たような人だ。調べてみたら「バリスティック」「リディック」のテリー・チェン。美しい顔立ちしているのよ彼。でもほとんど見せ場なくて、それがとても残念だった。舞台はほとんど飛行機の中で、登場人物も限られている。でも犬を連れたパーティ・ガール(って何?)や、気取り屋のラッパーに時間を割いて、テリー君の出番ほとんどないんです。唯一の見せ場はパーティ・ガール助けるところだけど、アンタこんなところで何ウロウロしてるの?他の人とっくに逃げたのに・・って感じ。まあほとんどの乗客はオバカだったりエゴイストだったり色ボケだったり、ろくな性格じゃないんだけど、彼は非常にまともでそこがよかった。ボクサーらしい、いい体してるけど何も技見せない。しつこくせがまれるけどね。でも現実にはあれでいいんです。カッコつけたり見せびらかしたりするのは素人。達人はむやみに技を開帳したりしないんです。ジャクソンの役はFBIの捜査官フリン。クレア(マーグリーズ)の同僚で尻軽なのがティファニー。演じているサニー・メイブリーは「トリプルX ネクスト・レベル」でジャクソンに殺されていた。あとは全員知らない人。ストーリーは、まあ書いてもしょうがない。メチャクチャだし、はしょってある。要するに飛行機をヘビであふれさせるためにでっち上げたようなもの。殺人を偶然目撃した青年ショーンの前になぜか突然フリンが現われ、「オレの言う通りにしろ」だもんね。さてこの映画、思った通りになるお約束映画。この人はこうなるぞ・・こうなった。あの人はああなるぞ・・ああなった。サプライズがほとんどないの。ラスト近くに一回だけびっくりするようなことが起こるけど、それだけ。フライト中ヘビが出てきて、まあいろいろ驚かせるわけだが、たいていはやり過ごしちゃう。中盤一回だけ座席からお尻が浮くほどびっくりしたけど、あとは普通。こういう映画は、ヘビにしろ飛行機にしろ、ここはCGだな、作り物だなとわかってしまうのが辛いところ。ヘビは「アナコンダ2」と変わりないし、飛行機は「ランゴリアーズ」「エアポート」シリーズと同じか、少しマシくらい。

スネーク・フライト3

冒頭のバイクシーン、ラストのサーフィン、どちらもスタントマンがやっているんでしょ?で、ストーリーだけど乱気流とか荒天とか機体に穴が開く(開けたと言うべきか)とか「ツイスター」みたいに吸い出されそうになってるとか、一通りのことが起きる。まず時と場所をわきまえないバカップルがトイレでいちゃつく。このシーンはサービスのためかいやに長かったな。早くヘビに襲われて欲しかったです。別のトイレでは男性が大事なとこかまれます。お約束ですな。パーティ・ガールのメルセデスは機内に犬を持ち込んでいたけどいいんですか?キャンキャンとうるさいし、しつけはなってないし、あたしゃネコ派なので貨物室でヘビに襲われるニャンコには同情しましたが、ポイッとほうり投げられてヘビの餌食になるワン公には全く同情しませんでした。あの犬にも飼い主にもまわりに迷惑かけているという意識ゼロですな。無神経すぎる。それにしてもあのシーンは愛犬家の怒りを買うでしょうなあ。犬を投げたエゴイストの会社重役はもちろんその報いを受けます。お約束ですから。しかし飲み込むのはいいけど服とかどうするのかな。パイロットはもちろん死にます。お約束と言うより法律で決まってると言った方がいいでしょうか(ウソだぴょん)。満身創痍の飛行機を操縦し、無事に着陸させるのはパイロット以外の者でなければならない。普通ならフリンがカッコよく操縦するところだけど、この映画ではデブの黒人青年がやります。飛行経験2000時間、ゲームオタクとくれば、はいもうオチはおわかりですね。まあそれはいいんだけど、このデブ興奮してやたらわめき散らすのよ。それがいやだった。いつもならジャクソンががなりたててうんざりするんだけど、今回はわりと控えめ。だからってこのデブにギャーギャー言わせなくたっていいじゃんよ。スリルもへったくれもなくなっちゃう。他にも傷を切開して血が(毒が)ぴゅーとか、高木ブーさんみたいな太ったオバハンのムームーの中にヘビが忍び込んだり、まあ一通りやって、はいいちおう全部やりましたね?やり残したことありませんね?じゃ、ラスト行きまーす・・こういう感じ。まあホントお気楽なのよ。乗客はどんどん死ぬけど、通り過ぎちゃって何も残らない。ヘビですら機体の穴から吸い出されていなくなっちゃう。ちなみにパンフには「数千匹のヘビ」と書いてあるけど、数え間違いだと思うわ。

スネーク・フライト4

無事着陸した後はカップル誕生ですよ。ラッパーとパーティ・ガール(こらメルセデス、恩人のボクサーにお礼言ったか?)、尻軽ティファニーとショーン(ノベライズによれば何と17歳らしい)、この二組はバカップルですけどフリンとクレアはいい感じ。恋人と言うより戦友ですが(貴様とオレとは「同機」の桜~♪)。まあこの二人のおかげで、オバカ映画とは言え何とかまともな作品になったのです。ジャクソンはやたら映画に出ていて(仕事しすぎ)、いつも同じ感じなんだけど、それでも今回は相手がヘビということで一瞬気弱になってしまう。相棒も死に、どうしていいのかわからず困り果てる。そこがよかった。演説も短めだったし。エンドクレジットはちょっと変わっている。いつも通り多くの人はすぐ席を立つのだが、プロモーションビデオみたいなのが流れ始めるので、立ったはいいけどこのまま出ようかな、もう一度座ろうかな・・と迷っている感じなのが後ろから見ていておかしかった。パンフによればコンテストをし、勝ち残ったグループが演奏しているらしい。係員が女性に見とれている間に空港での荷物検査をパスしようというストーリー。ギターケースやスーツケースの中はヘビがうじゃうじゃ。エックス線だからなかみがうつる。もちろんCGだかアニメだろうけど。出ている連中はカッコつけてるだけで演技ヘタなんだけど、曲も歌も乗りがよくて聞いていて楽しい。ちらりとジャクソンが顔見せるし。なかなか最後までサービス精神旺盛で、深みはないものの愛敬があって憎めない映画。館内はヘビだらけ。ポスターのまわり、パンフ売り場・・ヘビの丸干しみたいなおもちゃでいっぱい。通路の照明のカゲからもヘビが垂れ下がっている。こんなにたくさんあったら一匹くらいなくなってもわかんないだろうな。なかなか楽しい飾りつけでありました。それにしても・・ヘビヘビと騒いでいたけど、よーく考えてみればヘビは何も悪いことしていないのよ。彼らは被害者なの。乗りたくて飛行機乗ったわけじゃない。攻撃したくて攻撃したわけじゃない。みーんな人間が悪いのよ。その点では「アナコンダ2」と同じ。ヘビがやられるところは、本物殺すわけにはいかないので全部作り物。大騒ぎの最中、小型のヘビがふっ飛んでいるシーンが何度か出てきたけど、何だかかわいそうな気がしたな。CGだろうが作り物だろうが、退治されるヘビには哀愁が漂っていた。