シャッター アイランド
お客は七人。原作は読んだ。読むと映画を見る楽しみは減るかもしれないが、複雑な内容の時は前知識があった方が楽。上映前セリフやら何やらが謎解きのヒントだと出る。次にまだ見てない人に結末教えるなとか何とか出る。二種類もこんなのが出るのは珍しい・・と言うか、お節介にもほどがある。黙って始めろ!画面は暗く、陰鬱な色調。音楽も不安をあおるような、とげが突き刺さるような感じ。レオナルド・ディカプリオは額にシワを刻み、ぴりぴりいらついている。マーク・ラファロがいい中和剤になってる(得難い人だ)。孤島、精神病院、患者の失踪、ハリケーン・・謎の連発であおり立てるが、見始めてすぐそんなのはただの見せかけとわかる。謎や問題は捜査にあたっている連邦保安官テディ(レオ君)の方にある・・ってわかってしまう。まさか○○オチ?という不安を抱き、それがはずれることを期待するが・・。私自身の興味はラストにあった。何度原作のラスト部分を読んでも意味がわからないのだ。映画のラストは少し変えられている。「モンスターとして生きるか善人として死ぬかどちらが悪いだろう」みたいなセリフは原作にはない。映画だとレディスはロボトミー手術のような治療を受け、記憶や感情をなくしてしまいたいと願っているようだ。過去を思い出し、それと向き合い、受け入れるのが治療とわかっていてもいやだ。人間であることをやめてもいいから記憶を消してしまいたい。それくらい辛い過去。それで映画の方はわかったが、原作の方は?ネットで調べても説明してる人いなくて。単行本発売当時はラストの方は袋とじだったとか、ネタバレになるから書かないとか・・皆肝腎なこと書いてない。まわりをうろついて筆を濁してそれですませている。何でちゃんと言わないの?こんな結末わけわからん!って。彼が島を出たがるのはまた”後退”しちゃったってこと?布のような白いかたまり、鉄のようなものって手術用具?”後退”したから手術?(映画と同じく)手術を受けるためにわざと”後退”のふり?そのわりには今の彼は気分すっきりだ。治療のためにかなりばかばかしいことをおつき合いしてやってるのを見せられるのは変な気分だが、それなりに楽しめた。ミシェル・ウィリアムズの妻はもっとほのかな感じにした方がよかったと思う。しゃしゃり出てくる感じでよくない。エンドロールの歌もいや。静かで感動的なメロディーの方がいい。