シャーク・ナイト

シャーク・ナイト

これは「午後のロードショー」でやったのを録画しておいたもの。もう二年以上たってしまった。見ている時は気づかなかったが、3-Dらしい。サメがこっちに向かってジャンプしてくるシーンが何回かあるのはそのせいか。あと、お尻プリプリも?冒頭はありきたり。海で、ビキニの若い女性がいて、サメかと思ったらボーイフレンドで。そのボーイフレンドがいなくなると女性は食われる。音楽流しているせいで、ボーイフレンドには悲鳴が聞こえないのか。このエピソードは以後の展開には関係ないのか。場面は変わってチューレン大学。ゲーム漬けで七年も留年しているのがゴードン。演じているジョエル・デヴィッド・ムーアは見覚えがある。「ミディアム」のシーズン6でジョーを困らせたキースだ。ガリ勉タイプのニック役はダスティン・ミリガン。これに出ているとは知らなかったな。「ゴースト・ハウス」に「ダークハウス」にこれ、パニック物やホラー向きのタイプなのかも。IMDbには179センチとあるけど、もっと小柄に見える。目の大きくないイライジャ・ウッドってところか。スポーツマンのマリクとマヤはカップル、絵の授業でヌードモデルをやるなど顔と体には自信のあるブレイク、ちょっとビッチなべス、この六人がサラの別荘に招かれる。ニックはサラが好きだけど、内気なので言い出せない。それにサラは自分から壁を作っているようなところも。にぎやかな音楽やらフィルムの早回しやらビールやら、まあおなじみのバカ騒ぎ描写が続く。海かと思ったら川みたいだし、でも結局は湖らしい。別荘はケータイの圏外ってのもお約束。途中で寄った店・・女性二人がトイレへ行くが、鏡のあたりに隠しカメラがあるらしく、レジそばのテレビにうつっている。店主は目が釘づけ。これじゃあバレそうなものだが・・。マリクとマヤがトラブル起こしそうになったのが、レッドといういけすかないクズ男。一緒にいたのがデニス(クリス・カーマック)で、サラとは知り合いらしい。後で保安官グレッグとも会う。見ている我々は、彼がニック達にサメの件を話し、注意を促すだろうと思う。でも何も話さない。何でだろう。冒頭の事件は海での話で、ここは湖だからか。保安官は気さくな感じだが、ちょっとのん気すぎる気も。演じているのはドナル・ローグ。「ブレイド」や「ゾディアック」に出ていた人。

シャーク・ナイト2

さて、別荘に着いて早速楽しいひととき・・でもすぐ暗転する。マリクがサメに腕を食いちぎられる。ニックは医者志望らしく、少しは心得はある。でも急いで病院へ運ばなければ。ケータイは通じないから、ボートで運ぶしかない。・・こんな別荘持ってるくらいだからサラの家は裕福なのだろう。電気も水もある。でも・・電話も無線もないってどういうこと?それとボートも(サラ達がここへ来るのに使った)一艘しかないのかな。普通予備のがあるはずでしょ?後で水上バイクは出てくるけど。ボートにはサラとニック、マリクとマヤが乗る。途中でサメに襲われ、マヤが犠牲に。ボートもコントロールがきかなくなり、大破。結局三人は島へ戻るはめに。マリクはマヤの死を知ると、サメに復讐しようとニックが止めるのも聞かず湖へ。さっきまで死にそうだったのに。銛(たぶん)で一匹仕留めるが、そのサメはニックが見た・・マリクの腕を食いちぎったのとは別の種類だった。この映画の売りは、いろんな種類のサメが出てくることらしいが、すみません、私にはみんな同じに見えました。こういうことが起きるとみんなパニックになってワーワーギャーギャー状態。特にべスはこんなことになったのはサラのせいとか言い出す。別に強制的に連れてこられたわけでもないのに。サラがここへ来るのは三年ぶりらしい。ニックに打ち明けたところによると・・。彼女はダイビングスクールで教えていたデニスと二年間付き合っていた。金髪で青い目のハンサムなデニスはここらの女のコみんなの憧れの存在。でもサラは大学進学のため、ここを離れることを決める。彼はここに残る。で、最後に二人でダイビングへ行ったけど、器具の故障で死にかけるはめに。デニスにエアをもらおうとしたけど、彼は彼女から離れていって・・。やっとのことでボートに上がった彼女はパニック状態。一刻も早くここから逃れようとする。その時スクリューで彼の顔を傷つけてしまった。彼を病院へ送って、それっきり。怖くてここへは近づかなかった。今回も来るんじゃなかった。まあなぜ私がこんなふうに長々と書くかと言うと、この映画はサメが出てきて人間食いまくる、お定まりの映画に見えるけど、人間の暗部も鋭く描いているからだ。

シャーク・ナイト3

サラ役サラ・パクストンはなかなか感じのいいタイプ。リース・ウィザースプーンとキャメロン・ディアスをミックスしたような感じ。サラは二つのことでずっと悩んでいる。あの時、死にそうになったのは・・デニスは私を殺そうとしたのかしらという恐怖。デニスの顔のことは私がパニックに陥ったための事故だけど、もしエアの件が私の思い違いなら、私は彼にひどいことをしてしまったことになるという後悔。そのせいで彼女は大学へ入っても誰とも付き合わずにいる。心を許せるのは犬のシャーマンだけ。ここの、デニスの見かけとは違う裏の部分・・本当なのか思い違いなのかのところがいい。彼を信じていいのかどうか。サラの話を聞いて、冒頭部分を思い出した。あの時ボーイフレンドが女性を助けに来なかったのには裏があるのかな・・って。後でデニス達のやっていることがわかると、あの時も撮影していたのでは・・と思ってしまう。あのボーイフレンドがデニスなら、戻ってこなくてあたりまえ。車の中で映像見て喜んでいるかも。で、映画を見終わってからもう一度冒頭部分を見てみたわけ。そしたらデニスじゃなかった。ここのところが惜しいと思うのだ。ボーイフレンドの顔ははっきりうつさず、指輪とか腕時計とかうつして、後で実はデニスだったとわかるようにするとか。そうすればあの冒頭部分も意味を持ってきたのに。あのままじゃサメ映画のお約束としてカップル登場させ、女性の方を餌食にしました・・それだけになる。まあとにかくサラとニックは生き残るだろうな。まだサラはニックには遠い存在だけど、それでも悩みを打ち明けるくらいには近づいてくれた。そのうちサラもニックの思いに気づくだろう。いや、もう気づいているんだろうけど。他の連中はエサだ。マヤが本当に死んだかどうかははっきりしない。だから後でひょっこり出てくるかと思ったりもしたけど、結局出てこなかったな。ボートがだめになったので、ブレイクがマリクを水上バイクで連れていくことに。でももちろん途中で二人とも餌食に。ブレイクはイケメンだけど頭空っぽのバカに見えたけど、なかなか友達思いのいいやつ。でもサメにとってはいいやつだろうが悪いやつだろうが関係なし。エサはエサ。

シャーク・ナイト4

見ていても水上バイクやボートの方が速くて有利に思えるんだけど。波が邪魔するだろうし。でも映画だからね、波もスクリューも関係なし。デニスとレッドが島に現われ、救助を頼んでやるというので、ゴードンとべスも一緒に行くことに。この時点ではレッドはともかく、デニスはいい人に思える。サラの思い違いだったのでは?とか。でも・・船には無線くらいついてるはずだよな、それで連絡しないのはなぜかな。落ち着いて考えれば、陸にいる限り、サメに襲われる心配はない。でもべスはこんなところにはいたくない。一刻も早くここを離れたい。船に乗ったせいで・・。でも、乗らなくて待っていたとしても同じような運命が待ち受けていたわけで。ここらへんになると見ているのもけっこうつらい。何にも悪いことしてない若者達が残酷な方法で次々に殺されていくというのは・・。サメに食われるとは言え、そこへ追いやられるのは人間のせい。途中でデニスとレッドは正体をあらわす。二人は人間がサメに食われるところを撮影するのだ。ここで先ほどのレジのことを思い出す。「モーテル」を思い出す。あの店主はああやって撮影し、自分で楽しむだけでなくコピーして、あるいは投稿して稼いでいるのではないか。彼もデニス達とはグルなのか。デニス達は餌食になるべスをうつすけど、ゴードンの方は無視。生贄は若い女性の方が高値がつくからだろう。ゴードンのようなタイプは生き残ることが多いが、この映画ではだめだった。一方島には保安官が来る。照明弾を上げても来てくれなかった・・気づかなかったほど無能なのに。無線であれこれ手配してくれて、安心したのかニックは気絶してしまう。あら、意外と軟弱・・でも違った。眠り薬でも飲まされた?犬も横たわっていて、てっきり毒にやられて死んじゃったのかと心配したが・・後でまたぴんぴんして出てくる(よかった)。救助を呼んだはずの無線機から流れてくるのは・・レッドだかデニスだかの声。あちゃ~保安官もグル?やる気のなさそうな態度の理由がこれでわかった。自分の無能を棚に上げ、保安官は少ない給料や大学生にバカにされることに不満をつのらせている。ケーブルテレビに映像を売って儲けてやる。何しろケーブルテレビには残酷な映像があふれている。視聴者が求めているものを与えてやるだけのこと、何が悪い。

シャーク・ナイト5

ここでちょっと思い出す。昼間話をした時、ブレイクは缶ビールを二本も渡してくれたじゃないか。そんな気のいい相手に対して何でそんな残酷なことができるのだろう。湖にはいるはずのないサメがいるのは、ハリケーンによる高波で運ばれたせいと説明される。湖でも生きていられるのは、ここが塩水湖のせい。でも何種類ものサメが・・となると、人為的にとしか考えられない。レッドとデニスがつかまえては運んだのか。ちょっと無理だと思うが。あと、サメにはカメラがつけてあるようだが、エサを見つける前にバッテリーがなくなったらどうするのか。ここらへんちょっといいかげん。でも生き残ったニックとサラに危険が迫り、そんなことはどうでもよくなる。椅子に縛りつけられたニック。床に開いた穴の下ではサメが待ちかまえている。こういう時はサメはジャンプしないのか。上から吊るされ、一度水に沈められ、パニックになるニック。これはいわばリハーサル。もう一度今度は本番・・でもニックの代わりに保安官が落ちるのはお約束。一度沈んだ保安官が浮き上がって、また沈むのもお約束。一方船の上では檻に入れられ、沈められそうになるサラ。近くにはサメ。デニスは自慢の顔をだいなしにされたことを恨んでいる。でも、その前に溺れかけているサラを見殺しにしようとしたってことは・・サラがやったこととは関係なく、元々殺人鬼の傾向があったってことで。うん、だから冒頭の女性とかさ、他にもいろいろ犠牲にしていたとか、ひねって欲しかったぞ。デニスにとっては自分を捨てるなんて許せないことで。捨てるのは常に自分の方であるべきで。ハンサムなのを鼻にかけ、プライドが高く、要するにエゴイスト、ナルシスト。サラのピンチに、ニックは間に合うのか・・てなわけで最初の頃のおバカムードにはうんざりさせられたけど、次々に食われる残酷描写には辟易したけど、全体的にはよくできていると思った。湖にほうり込まれた犬が、ニックやサラを助けて意外な働きするのも、見ていてうれしい。は~それにしても・・サメは別に悪くないんだよな。本能のままに行動しているだけ。陸に上がってくるわけでも、人間をおびき寄せるわけでもない。人間が自分の金銭欲や復讐心のためにサメを利用しているだけ。怖いのは人間の方!